バカと千恋万花   作:京勇樹

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夜の

負傷してから、数日

明久と芳乃の距離感は、大分縮まってきていた

芳乃の介護と穂織の温泉

その二つで、明久は自分で歩けるようになった

しかし、タタリに突き刺した右腕はまだ痺れが酷い

そのために、芳乃が介護していた

しかも、明久が視線を向けただけで、食べたい料理を察している程になった

それを見た、茉子と安晴は

 

「安晴さま……見てくださいよ、あの光景を」

 

「いやぁ……芳乃も丸くなったなぁ……」

 

と会話していた

そして、明久の視線のみで察している芳乃の姿に

 

「ツーと言えばカー」

 

「阿と言えば吽」

 

と短く会話

小声だったが、机一つ挟んだ距離なので余裕で聞こえる

二人が何を言いたいのか察して、芳乃は顔を赤くしながら

 

「し、仕方ないじゃないですか! 吉井さんは、まだ満足に食事が出来ないんですから!」

 

と反論した

すると茉子が、ニヤニヤとした笑みを浮かべながら

 

「おやおや、芳乃様。私は具体的なことは、まだ言ってませんよぉ?」

 

と言った

それを聞いた芳乃は、不覚と言わんばかりに苦い表情を浮かべ、安晴は

 

「いやぁ……懐かしいね……僕と秋穂が婚約した時のことを思い出すよ」

 

と頷いていた

そして明久だが

 

(あー……腕が痺れてて、変な感じだなぁ……)

 

と必死に意識を逸らしていた

でなければ、自分も茉子に弄られると、明久は確信していた

そして、明久の必死の努力が実ったのか、茉子から弄られることはなかった

そして、芳乃の介護で入浴を終えると、眠りに就いた

実はその寝ている間、不思議なことが起きていたことに気づかなかった

気付いたのは、翌朝だった

翌朝明久は、少し違和感を感じて目覚めた

そして目の前には、無防備に眠っている芳乃の姿があった

芳乃は寝る時は浴衣姿なのだが、胸元が開いている

 

(え、なんで、芳乃さんが!? 確かに、寝る少し前まで一緒に居たけど!?)

 

その姿の芳乃を見て、明久は激しく混乱していた

しかし、無理はないだろう

芳乃の部屋は、居間を挟んで反対側なのだ

 

(確かに芳乃さんは、寝起きが弱いけども、流石に寝惚けてここに来るなんてあり得ないはず!?)

 

と明久が、狼狽していると

 

「ん、んん……」

 

と芳乃が身動ぎして、うっすらと目を開けた

やはり寝惚けているらしく、芳乃は最初はボーッとしていた

しかし、目の前に居るのが明久だと気づくと、目を見開いて

 

「な、なんで吉井さんが!?」

 

と驚いていた

すると明久は

 

「え、えっと……芳乃さん、信じられないかもしれないけど……周りを見て」

 

と言った

それを聞いた芳乃は周りを見て、驚いた

 

「ここは……吉井さんの部屋?」

 

今居るのが、明久の部屋だと気付いたのだ

そこに

 

『明久さん、芳乃様を知りませんか?』

 

と茉子の声が聞こえた

 

「ま、茉子!?」

 

その茉子の声を聞いて、芳乃は驚きの声を上げた

上げてしまった

 

『え、芳乃様!?』

 

芳乃の声を聞いた茉子は、驚きながらも襖を開けた

そして、呪いに関して一気に進むことになる

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