バカと千恋万花   作:京勇樹

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譲渡

「さて………問題は、今後の方針だ」

 

と切り出したのは、腕組している明久である

すると、ムラサメが

 

「ならば、一つは決まっているではないか」

 

と言った

それを聞いて、芳乃が

 

「どういうことですか、ムラサメ様?」

 

と問い掛けた

すると、ムラサメは

 

「あの金髪娘を呼ぶのだ」

 

と提案した

 

「金髪娘……レナさん?」

 

と明久が首を傾げると、ムラサメは

 

「うむ……あの娘だが……かなり高い確率で欠片を所持している筈だ」

 

と言った

 

「レナさんが、欠片を?」

 

ムラサメの話を聞いて、芳乃は驚いていた

なぜ、レナが欠片を持っているのかと

すると、ムラサメが

 

「芳乃よ。あの娘と初めて握手した時のこと、覚えているな?」

 

と問い掛けた

その問い掛けに、芳乃は頷き

 

「はい。何やら、バチリと……」

 

と答えた

それを聞いて、ムラサメは頷き

 

「そして、芳乃の耳が見えていたこと……その二つから、あの娘が欠片を持っている可能性が高いと思ったのだ」

 

と言った

確かに、それなら話は繋がるだろう

バチリとしたのは、恐らくは欠片の障気に弾かれたからだろう

 

「とりあえず、一度聞いてみよう……今日なら、宿で働いてる筈だから……お爺ちゃんに電話してみよう」

 

明久のその提案に、芳乃と茉子も頷いた

そうして、十数分後

 

「あの……呼んだと聞いたでありますが……」

 

とレナが現れた

すると、茉子がレナを座らせて

 

「レナさん、一つ聞きたいことがあるんだ」

 

と明久が問い掛けた

 

「なんでありましょうか?」

 

明久の問い掛けに、レナは小首を傾げた

すると、芳乃が融合した欠片を巾着袋から取りだし

 

「このような欠片……知りませんか?」

 

とレナに問い掛けた

すると、レナは僅かに驚いた表情を浮かべ、胸元から一つの小さな巾着袋を取りだし、中からそれを出した

それは、間違いなく欠片だった

 

「レナさん、それは……」

 

「昔、お爺ちゃんがお婆ちゃんと出会った切っ掛けらしいです……」

 

芳乃の問い掛けに、レナはそう言って語り出した

その昔、戦後間もなくの頃

この穂織の地に、機関車を走らせるという話があったらしい

その時、機関車を知る技術者としてレナの祖母の両親が呼ばれたらしい

その世話役を任されたのが、当時若かった祖父だった

その後祖父は、その相手に山を案内したりしていた

その間に、少しトラブルが起きた

なんと、祖母が山で遭難

その祖母を、祖父は必死に捜索

そして、見つけた

その見つけた切っ掛けが、一度転んだ祖父が偶々握っていた欠片だとか

祖父はその欠片に導かれるように、祖母が居た祠に向かったそうだ

そこから、二人は惹かれあった

結局、機関車は引かれないことが決まり、祖母達は祖国に帰ることに

その後を、祖父も追い掛けた

そして祖父は、その家の手伝いをし続けて、認められて結婚

今に至るそうだ

その話を聞いて、芳乃は

 

「あの……大変不躾とは思います……ですが、どうかその欠片を譲っていただけないでしょうか? 私達に出来ることは、出来るだけします……」

 

と言って、頭を下げた

それに追随するように、茉子と明久も頭を下げた

それから少しして

 

「頭を上げてください……」

 

とレナが言った

三人が頭を上げると、レナは

 

「確かに、これは私達家族にとって大事な物です……私達家族は、長年これを祀ってきました……」

 

と語り出した

そしてレナは、芳乃を見て

 

「しかし、これが穂織に……何より、朝武家にとって大事な物なら……渡します」

 

と机の上に置いた

 

「本当に……よろしいんですか?」

 

と芳乃が問い掛けると、レナは

 

「はい! 事情を説明すれば、家族も納得してくれますよ!」

 

と笑顔で返答

そして

 

「そして、また今度一緒に買い物しましょう!」

 

と告げた

どうやら、それがお願いらしい

それを聞いた芳乃は、微笑みを浮かべて

 

「わかりました。約束です」

 

と言った

こうして、また一歩前進した

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