バカと千恋万花   作:京勇樹

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最後の欠片

タタリとの戦いから、二日後

 

「うごごごご……」

 

短時間とはいえ、ムラサメの力を流した反動に、明久は苛まれていた

 

「まあ、この程度で済んで、御の字と思いなさい……話を聞いたが、まったく無茶をする……」

 

と言っているのは、診察に来たみづはだ

そして、診察が終わったタイミングで

 

「駒川先生、吉井さんの容態はどうですか?」

 

と芳乃が来た

するとみづはは、器具を片付けながら

 

「この様子ならば、明日には動けるようにはなるはずです……」

 

と芳乃に教えた

それを聞いた芳乃は、安心した表情で

 

「良かったです……」

 

と言いながら、胸元で手を握った

すると、みづはは

 

「それで、欠片はどうなりましたか?」

 

と芳乃に問い掛けた

その問い掛けに芳乃は、少し苦い表情をしながら袖に手を入れて

 

「……これを」

 

と机の上に置いた

それは、ハンドボールより一回り小さいサイズの水晶玉だった

しかしよく見れば、僅かに欠けている

ちょうど、欠片一個分というところだろう

 

「これは……」

 

「あと一個……のようなんですが……」

 

芳乃はそう言いながら、腕組みした

あと一個を、山の中から探す

まさに、砂漠の中から石一個を探すようなものである

 

「とりあえず、私は出るよ。他に、回診する場所があるからね」

 

「はい、ありがとうございました」

 

芳乃はそう言って、みづはを見送った

そして、明久に視線を向けて

 

「本当に、良かったですよ。吉井さん……大したこと、なくて」

 

と言った

すると、明久は

 

「だから、言ったでしょ? 酷い筋肉痛みたいなものだって……」

 

と言って、ゆっくりとだが上半身を起こした

そして、水晶玉を見て

 

「本当に、あと一個くらい……だね」

 

と呟いた

それを聞いた芳乃は

 

「はい……たまたま、一個だけタタリ化しなかったのか……それとも、レナさんみたいに誰かが持っているのか……分かりませんが、後少しなんですが……」

 

と言いながら、明久を支えた

すると、明久は

 

「そういえば、ムラサメちゃんは?」

 

とムラサメが居ないことに気付き、芳乃に問い掛けた

すると、芳乃は

 

「今は、山を回ってもらってます。ムラサメ様は、欠片の気配が分かりますから」

 

と説明した

確かに、明久や芳乃。茉子には欠片の気配というのは分からない

ならば、ムラサメが探すのが理に叶ってるだろう

そして明久は、芳乃に支えられながら昼御飯を食べていた

そこに

 

「戻ったぞー」

 

とムラサメが帰ってきた

 

「あ、ムラサメちゃん。お帰り」

 

と明久が出迎えると、ムラサメは明久を見て

 

「山を見てきたが、欠片の気配はしなかった」

 

と報告してきた

それを聞いて、芳乃と明久は唸り声を漏らした

だが、ムラサメが

 

「しかし、確信した」

 

と言って、明久を見た

 

「どういうこと?」

 

と明久は、ムラサメを見た

すると、ムラサメは

 

「うむ……最後の欠片だが……ご主人の中にある」

 

と言った

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