神社から出た後、明久は山に入った
山の中は暗く、普通は怖いだろう
だが明久は、怖くはなかった
何故ならば
「ご、ごごごご主人! 何か話してくれ!」
ムラサメが、怖がっていたからだ
(所謂、アレかな? 一緒に居る人が怖がってるから、落ち着いちゃってるってやつ?)
と明久は、泣いてるムラサメを見ながら、そう思った
そして明久は
「そんなに怖いならさ、何か歌でも歌ったら?」
と助言した
するとムラサメは、手をポンと合わせて
「いい案だな!」
と言って、少し考えた後に歌い始めた
とおりゃんせを
「待てぃ! なぜにその選曲!?」
「仕方ないだろう!? 今の歌など知らないのだから!?」
明久が突っ込むと、ムラサメはそう返答した
そう言われたら、明久としては、何も言えなかった
そして明久は、少し考えてから
「これの中に、入れるの?」
と叢雨丸を掲げた
するとムラサメは、手をポンと合わせて
「その手があったか!」
と言った
どうやら、入れるらしい
そしてムラサメは、明久の正面に浮かび上がると
「では、いくぞ!」
と叢雨丸に入った
明久が軽く鞘から抜くと、叢雨丸が白く輝いている
明久は、すぐに鞘に納めて
「これで、タタリを切れるのか」
と言った
すると、頭の中に
『うむ。その通りだ』
とムラサメの声が聞こえた
どうやら、叢雨丸に入ったら頭の中に声が聞こえるようになるらしい
「それで、このまま進めばいいんだね?」
『うむ、間違いない』
ムラサメの言葉を聞いて、明久はそのまま奥に進んだ
そして、進み始めて数分後
「あ、居た」
少し先に、探していた二人
芳乃と茉子の二人が居た
「明久さん!?」
「なんで来たんですか!?」
明久の姿を見て、芳乃と茉子は驚愕した
すると明久は
「なんでって、女の子が戦ってるのに、僕が待ってるわけにはいかないでしょ?」
と返答して、叢雨丸を構えた
すると、芳乃が
「ムラサメ様! なぜ、止めなかったんですか!」
と怒った
すると、ムラサメは
『男児の心意気を、無下には出来ないだろうて』
と言った
それを聞いて、芳乃は反論しようとした
だがその時
「疾!」
と明久が、右手に持っていた鞘から叢雨丸を抜刀した
その一撃は、芳乃を背後から襲おうとした触手を弾いた
「抜刀術!? いえ、それよりも……芳乃様。今となっては、降りさせる方が危険です!」
茉子は明久の技に驚いたが、すぐに芳乃にそう言った
それを聞いて、芳乃は
「仕方ないですね……吉井さん、無理しないでください!」
と言って、鉾鈴を構えた
すると、触手の先から本体が姿を現した
これが、明久のタタリ戦の始まりだった