魔法使いの嫁〜AnotherStory〜   作:ケニーF

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前書きに書くことなくなってきたorz


第二章【接触編】
第十一話『新しい日々』


「セト!そろそろおきなさい。朝食できてるわよ。」

 

ドンドンと扉を叩く音が聞こえる。

柔らかい布団。清々しい空気。清らかな朝日。

すべてが僕の新生活を祝福しているようだった。

 

「はい!今行きまぁす。」

 

時計を見ると朝の6時。夜型不健康生活20代にはちょっときつい時間だ…

寝ぼけ気味でそのまま部屋を出ようとすると先生の声が帰ってきた。

 

「着替えるのが先よ。下で顔洗ってその後朝ごはんだからね。着替え大丈夫よね?」

 

もちろんと言いたいとこだが、今日の分はともかく実際着替えは2、3日分しか持ってきてなかった…

なんで持ってこないかなぁ〜

 

「はい!とりあえずは大丈夫です。」

 

寝ぼけがまだ抜けないのか若干変な回答にも思えるが、先生はそのまま下に降りていった。

ゆっくりと体を起こし、着替えて下に降りて顔を洗う

 

(これルーティン決定だなぁ)

 

キッチンへ向かうとすでに食事は昨日のテーブルに並んでおり、先生が待っていた。

 

「おはようございます。先生」

 

「おはよう。セト…フフフ」

 

返事をするなり先生が笑っている。

 

「どうかしました?」

 

「いや。なんてことないけど、また先生って呼ばれるとはねぇ。って」

 

ああ、なるほど…

 

「70年くらい呼ばれてないもんだからちょっと可笑しくてね。」

 

第二次世界大戦からもう70年以上経っている。

アメリカや日本では夏に向けてその話題でいっぱいだろう。

 

「あら。ごめんなさい。早く食べましょう。冷めちゃうわ。」

 

僕は席に付き食器を手に取った。

今日の朝食はスクランブルエッグにサラダ。あっさりめの野菜スープにトーストだ。

 

(なんかこんな時間にちゃんと朝ごはんなのって久しぶりだなぁ)

 

「久しぶりなんでしょ?ちゃんとした朝ごはん。」

 

図星です!

 

「は、はい、、、アハハ…どうしてまた?」

 

「その眠そうな顔が物語ってるわ。日頃の生活のリズムがグチャグチャなのね。けど、弟子入りした以上は、しっかり整えてもらうわよ!」

 

「げっ…」

 

「げっじゃなくて返事は?」

 

「は、はい、、、」

 

トホホ…

そんなこんなで食事も終わり、話題は今日の事へ変わっていった。

 

「食器かたしましょうか?」

 

なめたような皿を重ねながら、僕が聞くと

 

「とりあえず流しに入れておくだけでいいわ。あとでちょっと見せたいしね。」

 

とニコッとしながら先生は返した。

見せたいものとはなんのことだろうか?考えていると、

 

「ところで今日なんだけどね、どっちにするか決めたいのよ。」

 

「どっちと言いますと?」

 

なんかわくわくしてきた。どんなことでも今の僕なら楽しめるだろう。

 

「家や、近いとこの村、それから今後の生活についてを確認するか、」

 

(そいつはいい!)

 

「ちょっと街へ出て諸々を買いに行くか。どうする?」

 

(ウ~ン甲乙つけがたい…)

 

流しの前で考えていると、先生はこっちに来て、

 

「まあ、洗いながらでも決められるわね。」

 

と言い、洗い物へ向かおうとした。

 

「あ!僕やりますよ!これでも家では家事は分担だったんです。」

 

先生はフフッと笑いながら脇に立つ僕を見つめる。

きれいな目だ…ずっと見ていると吸い込まれそうな…

栗色の髪もつややかだ。そもそも先生はそこら辺の女性じゃ勝てない程の美人だ

(ああ…きれいだなぁ…)

 

「食生活の改善は髪質の向上にもなるわよ。で、セト。そんなに見つめないでよ、ちょっと恥ずかしいわ。」

 

「あっ!ご、ごめんなさい!」

 

思わず見惚れてしまった。

しかし僕ってこんなにも表情に出るものなのか、、、

どうりで、爺やが僕の考えることをすぐ当てられたわけだ。

 

「大丈夫よ。それより食器だけどね、手伝ってくれるのは嬉しんだけど、せっかくだから魔法を使って洗おうかなって。ちゃんとしたのはまだ見てないってジャックから聞いたけど?」

 

思えばここまで、ルーシーの使っていたもの以外、つまり人が使う魔法をちゃんと見たことがなかった。

 

「よくまあ、見もしないで弟子入りしようと思ったわね…」

 

先生はハッとしてる僕を見ながら少し呆れ気味になっている。そして流しに向かって手をかざした

 

「それじゃ行くわよ、しっかり見ときなさい。」

 

「は、はい!」

 

「さあ、美しいお隣さんたち、少し力を貸してね。」

 

そう言うと先生はなにかブツブツと唱え始めた。

アメリアで英語を聞いてもう何年も経つが、今更になって聞いたことない単語がいくつも出てきて、何を言ってるからよくわからなかったが、大まかに''水へ働きかけてる“のだけはわかった。

そうこうしていいる内に、不思議な感覚が僕を抜けていった。

暖かく懐かしい、けどまったく新しい…ただ一つ言えることは、気持ちの良いものだということ。

更に、よく見ると先生の周りに光る色のついた糸のようなものがいくつも現れ、彼女を包んでいくのが分かった。

 

「糸?いやこれは…」

 

(むしろ光!)

 

「やっぱり見えるのねこれ。大したものよ。これは私の魔力の結晶とも言えるもの、一種の性質。人によるけど、私の魔力の性質は色や光に関連しやすいわ。」

 

そうしていると、先生は光の糸の一本をそっとつまんで流れから引き抜いた。糸は少し空中を踊ったあと、洗い物へ向かい消えていった。一瞬強く光ったと持ったら消えてしまっていた。先生の周りの気配と糸も消えていた。

 

「まあ、こんなものね!こういうのも久しぶりだわ。」

 

「えっ?もう終わりですか?」

 

水や石鹸に使われた形跡も無いし、食器だって積まさったままだ、、、

 

「あせらないでよく見なさい。」

 

早とちりする僕に先生が釘を刺す。すると

 

カチャ

 

えっ、、、

 

カチャカチャ。ジャー。ガチャカチャ。

 

ひとりでに食器やスポンジが動き出し何もしてないのに水が出てきた。

 

「す、すげぇ…」

 

思わず声を漏らすと、先生はどこか得意そうに

 

「ま、こういうことよ。」

 

と言った。

魔法の凄さはルーシーに見せられていたが、それとは全く違う性質の、いわば【人間の魔法】。

やっぱりきれいだ…

感動している僕に先生が、そうそうと付け加えた。

 

「魔法っていうものは神聖でかつ身近であるものだけど、一番は自分自身で動いて働くこと!こんなことに毎日使っちゃダメよ。今日は特別なだけだからね。」

 

「無駄に使うなと」

 

「そうね。まあ遊び半分で使う方が駄目だけどね。それから…」

 

タッタッタッ!

突然話に割り込んでくる影が現れた。

 

「あっ!この間のうさぎ!」

 

そう。割り込んで来たのは初めて僕がこの家に来たとき家の中を駆け回っていたうさぎのぬいぐるみだった。

近くで見ても良くできているように見えるがどこかデフォルメされており、可愛らしい。

 

「そういえばまだ紹介してなかったわね。この子は来客を知らせたりしてくれる門番のフィル。ある魔法機構(マギウス・クラフト)に作ってもらったものなの。あっ!マギウス・クラフトは魔法使いの技師みたいなものよ。かわいいでしょ。」

 

「はぁ…確かに可愛らしいですね。」

 

とりあえず魔法で動くものなのはわかった。

カワイイのは否定しない。

ん?来客用?

 

「そうね。誰か来たのね。」

 

ドンドン

 

言ってる間に扉をノックス音が聞こえる。

 

ガチャ

 

「どちら様?」

 

そう言いながら先生が扉を開けると、そこには一人の男が立っていた。茶色っぽい髪に眠そうな目。神父のような牧師ような曖昧な服を着ている。

 

「やぁ!エルダさん。お久しぶり!」

 

馴れ馴れしく手のひらを上げながら挨拶をするその男を見た途端、先生の顔がちょっとめんどくさそうになってまたもとに戻り次に笑顔になった。

 

(そんなに嫌いなのかぁ…なんなんだこの人?)

 

「あ、あらサイモン!久しぶりねどうしてこんなとこに?エインズワースはいいの?」

 

「まさか!?そんなかんたんに神のご一筆は得られないよ。今日はちょっと急用でね。合間を縫って飛んできたんだ。なんせこの辺の教会の代表が風邪こじらせちゃってさ…ん?」

 

男は先生の後ろを覗き込む。もちろん目当ては僕だ。

 

「こいつは失礼。お客さんがいたのか。それじゃまた…」

 

「待ってサイモン。いいのよこの子は。」

 

そう言って先生はサイモンと呼ばれた男を引き留めた。

不思議そうな顔をしてサイモンさんが聞く。

 

「いいのって彼は一体?」

 

一拍空いた後に先生は少し声を大きめにして言った。

 

「私の弟子よ。セトって言うの。」

 

「ふぅん。セト君ね。うんうん。弟子ねぇ………へっ?はっ!?で、弟子!?」

 

サイモンさんは3度見してる。

澄ました顔で言った先生をみて。僕をみて…先生をみて…

よほどびっくりしたらしい。

 

「そうよ。弟子。いけない?別に監視してるわけでもないでしょ。それであなた何しに来たのよ?」

 

完全にペースを飲み込まれているこの人は驚いた様子を隠せないようだが、やっと用事を思い出した。

 

「あ、ああ…そ、それでちょっと我々では手が出せない問題がいくつかね…」

 

はぁ…とため息をつきながら先生は扉を大きく開けサイモンさんを迎い入れた。

 

「話は中で聞くわ。ほら入って。」

 

「それじゃ。お言葉に甘えて。」

 

そう言って入ってくれば自ずと先生の後ろにいた僕の前にやって来ることになる。

サイモンさんは僕を多少は不思議がって見てはいたが、

 

「はじめまして。僕はサイモン教会の神父兼牧師だ。ええっと…」

 

サイモンさんは手を差し出しながら困った顔をしている。

 

「私の名前はセト。セト・ナンブです。よろしくおねがいします。」

 

僕はそう名乗りながら笑顔で手を握り返した。




そういえば、前回セトくんはぼっちであることを強調していましたが、正確には親の愛情がって話です。
やっぱり爺やは爺やの立場を崩さなかったんですね。
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