「これが受けた依頼の内容よ。」
そう言って先生は机の上に例の手紙を広げた。
一枚目には
『教会関係者の魔法使い失踪。黒き森に単身調査に向かいその後消息不明。行方不明者名「キリド・フェーン」依頼内容:行方不明者の捜索。本案件の責任者「サイモン・カラム」』
二枚目には
『魔術品販売会において非合法品「ドラゴンの天鱗」が出品。依頼内容:その真偽の調査と確保。本案件の責任者「キリド・フェーン」』
とある。
うーむ。わからんワードも多いがそんなに難しいことは書いてなさそうだ。確実に一つわかることは1件目と2件目に関連性がありそうな事だけだ。
首をかしげる僕に先生が解説を入れる。
「キリドってのは私の知り合いよ。マギウスクラフトで、前に壊れたフィルを直してくれたことがあったの。今は教会に出入りしていたらしいんだけど。見ての通り行方不明。そんなやわな子じゃないし、無謀なことはしない性格だから何かあると見ていいわ。そして、」
一息おいて続ける
「その関係ある一件はおそらく2件目の違法取引ね。ドラゴンの素材は取り扱い注意やドラゴンの命に関わるような物も多いから、基本は、カレッジか教会や素材の持ち主本人。つまりドラゴン。あとは管理人からの取引のみが認められているの。で、ここにある魔術品販売っていうのは、そう言うの無視した裏取引で有名なところなの。」
いきなり
「とすると、」
「その販売会の調査に絡んでキリドさんなる人は事件に巻き込まれた可能性がある。と?」
先生は頷き
「そう。そしてその販売会は一週間後よ。調べるにも時間がないし、一回そちらに行ってみるしかない。」
といった。
「僕も行きます!」
こんなにこの世界のことがわかるチャンスはない。しかしおそらく駄目だろう。さすがに素人の僕でもその危険さがわかる。
「だめよ!」
やっぱりか…これはコッソリ行くしか…
「と言いたいところだけど。そういってコッソリついてこられても困るし。私から離れない。絶対言うことを聞く。これを守れるなら来てもいいわ。それでも危険だけどね。」
心を先回り、、、
完全に読まれていたが許可はもらえた。
思わずその場でガッツポーズをとっていた。
「はい!約束します。」
「ホント?まったく…口だけじゃだめよ。」
呆れながらも先生はどこか楽しそうだ。やっぱり…
「けど行くとなったらいろいろ準備がいるわ!物事はじめが肝心だからね。今手紙で知り合いのマギウスクラフトに貴方に必要なものを頼むわ。明日はその人に合うために、ロンドンへ向かうわよ。」
それでもいくらなんでも無理がある!
「先生。それだと手紙届く前に僕らそこに行くことになりません?」
今日は安息日。集荷は明日だ。しかもここからロンドンまでは随分ある。速達でも明日中は怪しい…
僕の心配は先生には全く意味をなさない。先生はにこにこしながら
「それはもちろん、
と言って手紙をサッと書いてしまった。
今まで万年筆も持っていなかった筈なのにいつの間に?!
「驚くのはここじゃないわよ。ほら!」
先生の言うとおり。驚くのはここからだった。
先生が窓を開け、書いたばかりの手紙を外へ向けたかと思った瞬間
バサッ!
手紙が鳥になっていた。いや正確には鳥の形になり羽ばたいていった。だ。体は紙のままだったし、生きている訳ではなさそうだ。しかし…
「な、なんと、、、」
今日は驚かされてばかりだ。
「これで今日中には届くわ。それよりも私達にはやることがあるのよ。絶対に外せない大きなイベントが。」
???
一体なんのことだろう。村の方の案内や裏の森の探索ではないのは明らかだ。
「一体なんのことです?大きなイベントって。」
フフフ。先生がまた小さく笑った。初めて会った時より優しく感じる。どこかいたずらっぽさも…
「それはもちろん・・・」
おお!ここで溜めてきたよ…
「セト。あなたの初めての魔法よ!」
なるほど!・・・ハッ!
「えっ!」
「えっ!じゃないわよ。魔法使いの弟子になったんだから当然でしょ。それにその人にあった魔具はその人の魔法見て決めることも多いわ。」
確かに弟子である以上当然ではあるが、さすがにちょっと唐突過ぎてびっくりした。だが。
(やっとだ!ついに僕も…)
その驚きもすぐ大きなワクワクに流されていった。
これで僕も魔法使いへの道を一歩進める!
希望に満ちた僕を先生は包み込むような瞳で見つめていた
「何事も最初が肝心。さあ!行くわよ。」
日常ラブコメ漫画要素なかったわ…