「そう。見たのね。」
先生は静かにそう言った。
すべて話した。夢の中での出来事。見たもの聞いたものすべてを…
先生の反応は思ったよりあっさりしていた。まるでわかっていたみたいだ。
「あなたが見たのは私の記憶。間違いないわ。そして…」
先生は一息おいて僕へ向き直り、続ける。
「そしてそれこそが、あなたの魔力の性質。」
「魔力の性質、ですか?」
新しい用語登場の瞬間である!
「そう。人間の魔力ってね、性格みたいに人それぞれに特徴があるの。」
「ある人は、炎に関係していたり、ある人は水、ある人は風、ある人は色…ある人は、、、心」
「心…」
それで、、、匂いを感じるようになったのはそういうことか。
「魔法使いである以上、性質の出現はごく普通のことだわ。おそらく初めての魔法で顕著に出たのね。」
まあ、特別心配する必要はなさそうだ。
「ただ、問題ないってわけでもないわよ。」
心配する必要があるようだ。
「私はこの色が性質だから、問題にはならないけど、あなたの場合は心、まして記憶や感情に直接リンクしてしまうとくれば、魔法を使うだけでなく、握手すらも一苦労になりかねないわ。」
確かに、現に自分の記憶に捕まりそうになっていたわけだし、、、相手に触れたりするたびに記憶や感情がわかるのは話しづらくてかなわない。
「えーっと、、、何かしら対策はあるんですよね?」
先生の顔色はすぐれない、、、これはまずいぞ。
「うーん。まあもとからあるものだからね…そうそう押さえつけて良いわけでもないし。彼女に追加の依頼が必要ね。」
「彼女って誰です?」
「えっ?ああほら言ったでしょ。
そういえば、今回はその人に合うために魔法を使ったのを忘れていた。
「まあ、彼女に言ったからって確実に解決できるかはわからないけどね。」
結局は行ってみないと始まらないわけか…
「まあ、追加で手紙を送っとくわ。それじゃあそろそろ行きましょう!」
???最近どうも忘れっぽい。大きなイベントが重なり過ぎなのかもしれないが、疲れてるのかなぁ…
「百聞は一見にしかず。って日本では言うんでしょ。あなたがさっきやった魔法の結果を見に行くのよ。」
「あっ。そういえばそうでしたね。わかりました。ん?」
起き上がろうとしてるのだが、体に違和感がある。なんか足の上に乗っかって重い。
「はっ?なんだよぉ。」
みゃ~
「・・・ギャッ!」
不意打ちにもほどがある、、、なんで今まで気づかなかったんだ…僕の足の上に乗っかっていたのはなぜか’みゃ~’と鳴くサンショウウオだった。いやサンショウウオもどきかな?ぶっちゃけどうでもいいけど。
「プッ。なんで今まで気づかなかったのよ。アハハハ。」
これには先生も大笑い、って先生がこんなに笑うのはじめてみた。とは言っても付き合いめちゃくちゃ短いけど。
先生がひとしきり笑ってる間に、渦中の生物を持ち上げてどかした。
「寝てる人の上に乗っかるなよな。お前。わかってるのか?」
にゃあ〜
あーわかってないわ、これ。
やっと自由になった足をベッドから降ろす頃には先生も落ち着いたみたいだ。
「ハハハ、ハハ、はぁ…もう、久しぶりに笑わせてもらったわ。もう大丈夫ね?」
聞きたいのはこっちの気もするが気にせず立ち上がることにした。
先生も立ち上がり、わざわざドアを開けてくれた。
「あっ。ありがとうございます。」
扉をくぐると何が問題か分かった。
「あー。そういう」
「わかったでしょ。百聞は一見にしかずってね。」
後ろから先生が顔を出した。
例の部屋から蒼い塊が溢れていた。ドアからそのまま廊下に流れ出ている…
はぁ〜派手にやっちまったなぁ~
「ホント、派手にやったわね。けどこれだけじゃないわ。部屋覗いてみなさい。」
嬉々としてそう言う先生。こっちは、ハラハラドキドキだ。
(一体これ以上何をやらかしらというのだろうか…)
不安にかられながら僕はゆっくりと部屋を覗いた
切り方が段々と雑なことになっている気がする