魔法使いの嫁〜AnotherStory〜   作:ケニーF

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タイトルヤバそうですが全くヤバくないですw
アンジェリカさんの旦那さんって意外に元気なタイプかなって思いました



第十八話『赤い想い』

通されたアンジェリカさんの作業場は見たことない道具や材料がいくつもあっていかにもって感じがしていた。

まあいわゆる作業場ってのを見るの初めてだけど…

 

「見るのはいいけどむやみに触るんじゃないよ。」

 

「アッ!はい」

 

キョロキョロしてる僕にアンジェリカさんが声をかけた。

そういや今日は僕がメインで来たんだったよな。しっかりしなきゃ

 

「エルダが寄越した手紙のものはほとんど用意できてるわ。問題は…」

 

彼女の手には例の花があった…

やっぱり一筋縄では行かないらしい。

 

竜舌蘭の花(アガヴェ・エクネ)…下手すれば夜の愛し仔(スレイベガ)より珍しい存在だからね。ここまでの物をほぼ無意識で完成させてしまうほどの魔力を抑え込むのは難しい。いや、できることにはできるけど、かなり制限が強くなってしまう。とりあえずいくつか用意はしてみたから試してみて」

 

アンジェリカさんの手元にはいくつかの指輪があった。

 

「指輪…ですか?」

 

「手は体と外界を繋ぐ重要な部分。そこを押さえれば影響を与えやすい。とはいえそれは普通の話。ちゃんと水に入れないと枯れちゃうような結晶花作るようなレベルにどこまで効くか…」

 

バックを脇において指輪一つ取った。

きれいな銀色で目立った装飾のないシンプルな作りだ。

結構こういうの好きだな。

早速右手の小指に付けてみた…

 

「どう?ちょっと手を貸して」

 

アンジェリカさんが僕の手を見てみるも顔色は良くない。

 

「うーん…普通ならこれで無駄遣いは抑えられるんだけど。

ほんとに雀の涙くらいしか変化がないわね。どうするか………ん?」

 

[この子の魔力は相当のものね…エルダがあんな手紙を書くから期待はしてたけど。正直私の予想を遥かに上回っている…]

 

「アッ…」

 

「なるほど…これが意志とは別に他人の心を読んでしまうって言うやつね。」

 

手が触れただけで今アンジェリカさんが何を考えているのか分かった。彼女の内の声がはっきりと聞こえた。

 

「ご、ごめんなさい!けど、止め方がわかんなくて…」

 

慌てて手を引いたが結局記憶まで覗いてしまった。

 

ーーーーーー

 

「私達の…子供。」

 

「なあアンジー。名前は決めたのかい?」

 

「もう決めてるの。アルシアってどうかしら?」

 

ーーーーーーー

 

『アンジー!今度こそ僕と…』

 

『・・・・』

 

 

『だ、だめかい…?』

 

『フフッ。そんな弱気じゃいいものもだめになるわよ。』

 

『えっ?』

ーーーーーーー

 

幸せな家族だ…

 

「そう。確かに私は幸せものね。」

 

「本当に、ごめんなさい。」

 

「そんなに落ち込まないで。今いいこと思いついたから。」

 

うつむく僕の手を取りながらアンジェリカさんの目線は僕のバックへ移っていた。けどわかるとても優しい匂いがする。ちょっと尖った人かもと疑ったのは間違いだったようだ。

 

「何か…得策が?」

 

先ほどまでの反応では望み薄だが…

 

「ええ。あなたその石はどこで?」

 

彼女が指したのは例の母の形見のルビーだった。

 

「母の形見ですが…それが?」

 

「お母さんお優しい方だったのね。」

 

それを手に取りながら彼女は続けた。

 

「誰かを守りたい。助けたい。このルビーには想いがこもっている。普通のどこでも手に入るルビーだけど。この想いは手に入らないわ。想いは魔力を持って宿っている。これだわ…」

 

「あの…全くわからないんですが。」

 

話しにちょっと置いてかれてるな…

 

「要はこのルビーに込められた力があなたを守ってくれる。これこそ今の貴方に、魔力のコントロールにまだ慣れていない今のあなたにピッタリのものってこと。それに余計な加工もいらなそうね。」

 

死の間際まで母のつけていたあまり飾り気のないネックレス。なんだかんだで手放せず、ずっと持っていた。血を吸った宝石だ。と言われたこともあったが気にならなかった。なるほど。これが愛のなせる技と言うやつか…

アンジェリカさんは僕にルビーを渡してくれた。

 

「ホラッ。これをここじゃなくて、首にかけないさい。心臓の上っていうのは手以上に意味を持つ場所だからね。多分そうしていれば極度に相手の(ナカ)を覗くことは無くなるはず。って聞いてる?」

 

母さん…

 

結局アンジェリカさんの説明はあまり入ってこなかった。僅かな記憶の中で生きる母に想いを馳せることが自分にできる数少ない感謝。なぜだかそう思えてしょうがなかった。手に握るルビーが少し暖かかった。




遅れると行ったなあれは嘘だ![不定期です!
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