「ううん、」
しばらくして目が覚めると、まるで何もなかったかのように、辺りは静まり返っていた。いや、違うね、遠くから街の喧騒が聞こえてきた。
(白昼夢?しかしそれにしては妙にリアルだったな。)
ううんと唸りながら考え込む、が
「まあ考えても仕方ない!何もなかったんだ。」
短絡的な考え方だが、一般人の反応としては普通だろう。
しかし、それはそこにいた。
くるりと 方向転換 し、路地を出ようとしたその時だった!
運命の出会いとはこの事を言うのではないかと思うほどだった。目の前を通ったそれは、あまりにも異常で、不思議で、
何より、美しかった。
人の上半身を持ち馬の下半身を持つ、
昔話に出てくるセントールと言うやつだった。
つややかなブロンド髪、バランスの取れた上半身
筋肉美すら感じる馬の下半身、どれを取っても【カノジョ】は美しかった。
僕はハッとした、目があったのだ!
向こうは僕のあまりにもうぶな反応に若干驚いているように見えた。
「よ、妖精」
かすれた声で僕は言った。
すると彼女はすぐさま返してきた。
「あら?私たちをそんな無粋な【呼び名】で呼んじゃだめよ!私はあまり気にしないけど、
僕は呆然としていた、夢じゃなかった。起き上がった時にぶつけた足の指はまだ痛い。セントールの彼女は続ける。
「貴方、今時珍しい【見える人】なのね。フフッ随分と驚いちゃって、まるで、【今の今まで見たことない】って表情してるわね。」
いや、今の今まで見たことないんだよ!
言いたいことも聞きたいこともあるけど、言葉にならない。
「美しい。」
ただ一言そうつぶやいて僕はその場にへたり込んだ。
流石に彼女も気づいたようだ。目を丸くしながら
「まさか、本当に【今まで見えなかった】の?」
と聞いた。
コクリと僕は頷いた。
彼女はその栗色の丸い目をさらに丸くして僕を見た。
「あ、貴女は」
やっと落ち着いてきた僕は彼女に聞いた。
「あら?人に名を聞くときはまず自分からって言うでしょ」
人のような返しだなぁと思いつつ
「失礼しました。私の名前はセト・南武です。」
いつもの調子に戻ってきた。従兄弟に人前では紳士面してるって言われたけな。
「あら、随分あっさりと名乗ったものね。隣人の中には名を聞いただけで相手を縛れるのもいるのに。」
あんたが名乗れって言ったんだろうが!心の声を抑えつつ話を聞く。
「まあいいわ、私はルーシィ。昔助けてくれた人がくれたあだ名だけどね。貴方はセトね、、、気に入ったわ!いいわ話を聞いてあげる。」
(聞いてくれなんて言ってないんだが、、、強引だなぁ)
とは言え聞いてくれるなら話そうと思った僕は今日の一部始終を話しだした。ローブの人、金の彫刻の扉、そしてルーシィとの出会い、その間ルーシィは真剣に聞いてくれた。
「、、、と言うことなんです。」
ルーシィは少し考えたあと、
「原因はその扉の向こうを見たから。って決定づけるにはちょっと曖昧よね〜
突然出た大声にビクッとしながら、僕はルーシィの顔を見た
「こういう時は、こちらとあちらのどっちにも詳しい人の所に行くのが一番よ!」
「どっちにも詳しい?」
「そう。名前は ジャック
ジャックの登場は第三話に持ち越しです。
因みにジャックは小説のキャラクターです。