魔法使いの嫁〜AnotherStory〜   作:ケニーF

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前回の多少は考えたタイトルとは大違い。あからさまにチンパンなタイトルですwてか銀魂じゃあるまいし…




第二十三話『優しいやつは大体が動物に好かれる』

ニャァアン!

 

こういう事ばっかり続くと感覚にぶるなぁ…あんまりびっくりしてない自分がいる。

しかし、頭はねこだが胴体は蛇…どっかで見たような…

そうだ!先生から貰った隣人たちの本に、こんなのいたぞ!

確か名前は…【アイトワラス】いや【サーポパード】だったかな?

サーポパードなら毒持ちの凶暴な性格で何でもすぐ噛む危険な奴って書いてあったはずだけど…

 

件の猫蛇は喉をごろごろ鳴らしていっこうに襲ってくる様子はない。

なんだ、けっこう大丈夫そうだ。

 

「ちょっとお前、どいてくれよ。これじゃベッドから下りれないからさ。」

 

先生を起こさないように小声で言いながら足をすこし左右に揺らすとサーポパードはスルスルと足から離れて行って、部屋の隅にとぐろを巻きはじめた。

ゆっくりベッドから起きてのそばによってみて見るとのんきなもんで、アクビしながらまだ喉を鳴らしている。

 

「お前、どこから入って来たんだ?」

 

なんか餌になるものはないかとバッグを漁りながら聞いてみる。猫は喋れるらしいし、こいつも行けるんじゃないだろうか。

 

ニャア!

 

駄目そうだ…

猫と蛇なら肉食べるのかな?

バッグの中には非常食で入れてた干し肉があった、けど干し肉って凄くしょっぱいんだけど大丈夫かな?

肉を持ちながら迷っているとサーポパードがジーーっとこっちを見ているのに気づいた。

 

「これ、喰えるか?」

 

鼻先に出してやるとしばらく匂いを嗅いで確認してから

 

パクっ

 

手のひらサイズくらいの肉は一口で消え去った…

なんか口の中でモゴモゴやってるよ。

別に一口で食べなくてもいいでしょうに…

だが口をパンパンにさせながらも満足そうな顔で食べてるからこれはこれでよしとするか。

それにしてもけっこうかわいいなぁ。

 

「なあ、お前に名前つけていい?サーポパードじゃ呼びづらいからさ。」

 

種族の名前のまんまってのもなんだし。

そう言って手を近づけるとなんかもうウナウナ言って頬ずりしてくれた。もうOKでいいよね。

 

さーて名前どうすっかな〜

そんなこと考えていたら

 

「う、うーん。」

 

先生が起きた。ってまだ5時30分前なんですけど。どうりでいつも僕が起きると朝食ができてるわけだ…

 

「あっ、お、おはようございます…」

 

あっ…起きたってことはこれ見られるんじゃ…

 

「おはよう。珍しくずいぶん早起き…………」

 

「ど、どどうしました?」

 

振り向くのが怖い…十中八九コイツのこと言われるぞ。

 

ニャァ!

 

(やめろぉぉ!鳴くなぁぁ!)

 

「セト。そこにいるサーポパードはどういうことかしら?」

 

うん。まあそうなりますよね。

 

「え、あ、いや…なんか起きたら足に巻き付いたてもんで。け、けど全然凶暴じゃなかったんで…」

 

あぁ…なんて言えばいいんだこういうとき

 

「それで思ったより懐くうえに可愛く思ってきちゃって餌付けがはじまったと。」

 

「はい…」

 

まったくもってそのとおりでございます。

 

「はぁ…まあここまで懐いちゃ仕方ないわね。いい?餌付けした以上責任持ってあなたが育てるのよ。絶対捨てたりしない!」

 

「は、はい!えっ!?」

 

意外だ。てっきりこっぴどく叱られるかと思ったのに。

振り向くと先生は夜ほどじゃないがやっぱり顔色が悪かった。

 

「昨晩は迷惑かけたみたいだからね、全然覚えてないんだけど…なにか私言ってた?」

 

言ってた、やってた、キスされた、うーんこれ言うべきなのか?

 

とりあえず、自前のバッグとは別の鞄からゆずの蜂蜜漬けを入れた瓶とお湯の入ったヤカンとコップを引っ張り出す。この鞄ってのは先生がこの一件に合わせてくれたトランクケースだハンドバッグタイプのやつで車輪とかはついてない方だ。お湯が出てくる時点でわかるとおりこれただのトランクじゃなくて、とんでもなく中が広い空間になっているって代物なんだ。やろうと思えば家2つ分以上の広さが確保できる。まあそんなに広いと使いにくいから今は宿の1部屋もないくらいだけどね。

今回は中にガスコンロを入れてきた。おかげでお湯が簡単に沸いたってわけだ。

 

「先生、その前に。これ飲んでください。少しはよくなるはずです。ほんとは夜のときに飲んでもらおうと思ったんですけど、すぐ寝ちゃったんで…」

 

蜂蜜漬けを白湯に溶かして先生に渡す。

 

「この香り…蜂蜜と柚子ね。ありがとう。」

 

けっこう僕はこういうのを作るのが好きで、練習の合間を見ては作っていた。

 

「うん。美味しい!」

 

それは良かった。人に振る舞うことはめったにない。こういうのは素直に嬉しいもんだ。だが

 

「あっと…それでさっきの話なんだけど。昨日の夜の…」

 

あぁ…話題帰ってきたぁ。なんでブーメラン式なんだよ!行ったきりになってくれよ!

 

「私なにか変なことしてた?ねぇ、その渋い顔の理由を聞いておきたいんだけど…」

 

「えっと…例の鱗のせいで自慰したりうなされたり…」

 

「えっ?じ…」

 

「鱗を取って起こしたら、大丈夫だって言ったあと僕の頬にキスをしてそのままバタンと倒れるように眠っちゃいましたね」

 

「…………うん。詳しく説明して。」

 

先生…顔赤いです…

 

ーーーーーーーーー

 

「セト。本当にごめんなさいね…なんか、迷惑しかかけてなかったのね…」

 

「あっ…いえ。僕は別に…」

 

キスされたの正直ちょっと嬉しかったし…

 

「鱗の魔力が私の記憶と結びついて夢っていう一種のモニターに映し出した。これがうなされてた原因よ。おかげで大戦中の嫌な夢を見たわ…しかも体力まで持ってかれるし……とはいえ起きてからは…」

 

なんか重い話とただただ気まずいだけの話がごちゃまぜになってきたぞ…

 

「先生!こ、この件はもうお終いにしましょう!サーポパードの件でチャラってことに。ね?」

 

「ありがとう。それじゃお言葉に甘えてそうさせてもらうわ。」

 

気を取り直して身支度を済ませる。今日は取引の3日目。昨日とんでもなく目立った僕らを問題の連中が見逃すはずがない。

 

「いい?セト。今日は昨日のようなことは無し。絶対離れないで。」

 

真剣な面持ちで先生が忠告する。

僕だってさすがにここでドジ踏むわけにはいかない

 

「はい!」

 

ニャァ!

 

「「???」」

 

二人揃って頭に疑問符が…見える。見えるぞ!

僕の腕にサーポパードが巻き付いている。しかも楽しそう…

 

「その子。来るみたいよ。」

 

「もうこれで宿は引き払いますから、トランクの中に入れときます。」

 

「そうね。そうした方がいいわね、それにしても私まだちゃんと見てないわ。少し見せてよ。」

 

そう言って先生が顔を近づけるとサーポパードは別に起こるでもなく鼻を先生の鼻にこすりつけてきた。

 

「まあ!この子、天然のサーポパードじゃない!キメラかと思ったら…本物なんて初めて見るわ…」

 

「貴重なんですか?」

 

「大昔はいっぱいいたけど、こういう類の隣人たちは一般人にも見えてしまうことが多くてね…けっこう狩られてしまったて聞くわ。」

 

腕で喉を鳴らすコイツはレアモノ幻獣らしい。まあ、そんなこと関係ないけどね。命に値段つけるなんておかしい話だからね。

 

ーーーーーーーー

 

「コイツ…名前はピュティアってのはどうです?」

 

トランクの中に“彼女“を誘導しながら先生に聞く。肉投げ入れたらあっさり入ってくれた。

 

「古代ギリシャ、デルフォイの女司祭。なんか結局予備やすさの面では変わってない気もするけど…いいんじゃない?そのうちピュティーって呼ばれそうだけどね。」

 

「アハハハ、そうなったらそうなったまでですよ。よし!お前は今日から【ピュティア】だ!よろしくな。」

 

ピュティアはトランクに入りながらこっちに振り向いて

大きく「ニャア!」と鳴いた。




最近、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの幻獣辞典って本が気になる…買っちゃおうかなぁと、けど全図版が載ってるものは日本語訳されてないという噂を…
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