「あれか?」
草木を掻き分けて進むと、小さな小屋が見えた。しばらく使われていない感じだが…
やりばのない怨嗟が舞っているこの森では鼻が全然効かない。中がどうなっているのか全くわからない。
暗い森の中で先生もいないし、正直言えば帰りたい…
(やっぱり無理言って一緒に行けばよかったかなぁ…)
ーーーーーーー
「やっと場所を聞き出せましたよ!こんなふうに記憶の中を見るのは初めてでしたけど。」
「その人の印象に残っているものは引っ張り出しやすいけど、それ以外の記憶は神経を使うものになるわ。体は大丈夫?」
僕らの足元にはロープで縛られ気絶した今回の主犯格がいた。
やつはマヌケだった。いや、正確にはこの手の仕事が初めてだった。先生が受け取った情報にはコイツが魔術関連の出来事に絡んだことは一度も無かった、とあった。
はじめての仕事がこんな大それたことってのは驚きだが、
先生の分析では知らなかったからこそ
まあ初めてだったからこそ闇雲に僕らが森に入って早々に襲い掛かって捕まったワケだが…
気絶させてるうちに記憶を見たが、キリドさんを運んでいる記憶もしっかりあった。だが…
「体は大丈夫ですけど…それより謎が一つ。コイツ、誰かの指示を受けていたんですよ。」
「他に首謀者がいるってことね?」
先生の情報ではコイツが主犯とあった。
しかし…
「えぇ間違いなく。けど解決した謎も一つ。キリドさんの居場所もわかりましたよ。」
「弱々しいキリドの魔力ならこの森の奥から感じていたけど、具体的な位置は?」
「ここ真っすぐに行った奥にある小屋です。」
指差す方は真っ暗な先の見えないわかれ道だ。
「そんなに時間はないわ。したくなかったんだけど、二手に分かれましょう。いい?連中に気づかれないためにも魔法は原則禁止。無理は絶対しない!」
「わかってますよ。大丈夫ですって。」
僕は右。先生は左の道へと向かった。
ーーーーーー
これが数十分前のことだ…
しかし見つけてしまった以上入るしかあるまい…
いざとなったらトランクの中の彼らの力を借りよう。拳を握り直し僕は小屋へ向かった。辺りに気配はない。大丈夫…かな?
ガチャッ…ギギギギ!
長らく使われていなかった扉は気味の悪い音をたてながら開いた。
「だ、誰かいますか?」
我ながらバカっぽい質問をした気がする…だが
「誰だ!見張りじゃないな?」
部屋の隅、その影の中から声が返ってきた。
「キリド・フェーンさんですね?助けに来ました。」
手元に持った懐中電灯を向けると、眩しそうに目を細くしながら鎖に縛られている若い男がいた。写真で見たキリドさんに間違いなかった。ちょっとやつれ気味だけど…
「助けに来た?まだ子供じゃないか!見張りが戻ってくる前に逃げるんだ。鱗の情報もまだ掴めていないんだ。私は帰るわけには…」
「鱗なら手に入れました。犯人も捕まりつつあります。もうここにいる必要はないんです。」
キリドさんは驚きながらも、ホッとした表情で立ち上がった…縛られていたように見えたがその鎖も解いている。
僕らくる必要なかったんじゃないか?
しかもさっきさらっと子供扱い…
「なるほど、それならいつまでも捕まったフリの必要はないな。ウッ…!」
「キリドさん!」
ふらつく彼を慌てて支える。捕まったふりといえど食事や体の制限はあったのだろう。立っていいるだけで精一杯という状態だ。
「肩を。行きましょう。」
「済まない…」
よたつきながらも小屋を出る。そういえば小屋の中にあったアルミのプレート皿にはパンのかけらと少量の水があった。もしこの数日間そんな食事を続けていたとしたら…無事でいるのが奇跡みたいなもんだ。
「よくご無事で。」
「彼らは私と他の組織の関連を調べるために始末しなかったようだ。うまく行けば人質としても…とでも思ってたんだろう。ん?」
キリドさんの目線が僕の腰のナイフに向く。
「金属のナイフかい?護身用ならもっと手入れをしたほうが良いよ。」
隣人たちは金属を嫌う。僕は隣人に好まれる。
彼らが集まると目立ってしょうがないのであえて金属のナイフを持ち歩くことにしたのだが、さすが
「アドバイスどうも。ここをしのいだらそうさせていただきます。」
「君…どうでもいいとか思ってるだろう…」
「べつにそんなわ…」
ガサッ!
「キサマらそこで何してる?!」
背後にフードをかぶった男が立ってる。
迂闊だった!鼻が効かないせいで藪から出てきたコイツに気づけなかった。
「ん?アッ!テメェ!捕まえといた魔法使いじゃないか!」
さらにまずいことにこの暗い森で一発で見抜きやがった…
「アハハどうも、、、」
キリドさん冗談言ってる場合じゃない!
男は銃を持っている。肩を貸しながら歩いている僕らにどうこうできる状況じゃない。てかよく見るとまだ小屋の前からそんなに進んでないぞ!
「脱走は殺すかもしれないって話はしたよな?魔法使い」
「そ、そんな話したっけな?あ!ああそういや言ってたね……ありゃ冗談だろ?」
「ふん!死ねっ!」
このままじゃやられる!銃口はキリドさんをまっすぐ見つめている。集中しすぎたせいか、すべてがゆっくりに見える。引き金が…指に…
ドガッ!
「ウッ!」
思わず目を閉じた僕の耳に銃声より低い鈍い音と男の呻きが聞こえた。
目を開けると何故か男が倒れている。背中に何かをぶつけられた跡があるが…
「た…助かったみたいだ…なっ?君。」
「えぇ!間に合ってよかったわ。」
女性の声が先程男が立っていた少し後ろの暗闇から聞こえる。
「だっ…誰だ!」
「ひどーい!もう忘れちゃったの?」
木々の隙間から木漏れ日がさす。僕らに歩み近づくその影は少しだけ懐かしく思えた。
記憶をのくシーンやとっ捕まえるシーンは長いのでカット!
まあはカマセだったわけですw
ちょっと短め〜