魔法使いの嫁〜AnotherStory〜   作:ケニーF

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ポケモンとかマザー2とかみたいな秩序のある世界で落ちてる物を交番に届けないのはおかしい気がする。
まあゴミ箱の中のバーガーは普通拾わなけどw


第二十八話『拾い物』

学院からの魔術師二人を部屋に通すと、部屋には先生がお茶を用意して待っていた。

はやくね?ルキアもいる…

すでに机の上にはトランクを置いてあり、中には販売会(あの一件)で僕に呪い道具を売りつけようとしたり、鱗を奪おうとしたあの男が落としていった道具があのとき放り込んだまま入っている。

動物たちに被害が出なかったところを見るにおそらくは大丈夫だろうけども、用途のわからないものを持っていてもしょうがない。

発明された時期が新しい魔具では先生もわからないかもしれないし、そういう意味でも学院の人は役に立つはずだ。

 

「初めて会う方もいらっしゃるので、あらためて、私は学院のアドルフ・ストラウドです。よろしく。」

 

彼は僕に手を伸ばしてくれた。魔術師の話を隣人から聞くと毎回ボロクソだったので、これだけ礼儀正しく接する人がいるってのは意外だ。

一方もう一人は我慢できずアドルフさんとの握手を終えた僕に飛びついてこようとした…

 

「セトに近づかないで!ヘンタイ!」

 

ドガッ

 

案の定ルキアのどぎついケリを食らって一声も発することなく伸びてしまった。

彼女、人型でも関係なく蹴りが光ってる…

 

「……………同胞が失礼しました。彼はトーリー・イニス。あんなんですが、根はいいやつなんです。魔法使いが大好きで…まあ…悪気はないんです。すみません」

 

とりあえずアドルフさんが苦労人なのはなんとなくわかったし魔術師にも色々いるのもよくわかった。

実際彼の言うとおりトーリーさんからは悪意の匂いはしない。純粋な興味から来てる行動なのだろう

。だとしたら激しすぎだが…

そのうち’口の中の粘膜の細胞を採取させてくれ’とか言い出しそうだ…

 

「はぁ…私はセト・ナンブと言います。よろしくおねがいします。」

 

「お互い挨拶は済んだわね。それじゃあさっそく鱗の話からはじめましょう。それで…」

 

ーーーーーー

 

先生が取り仕切る感じで話は進み鱗についての長い協議も結論が出た。

ドラゴンの生息地にいる管理人に返すらしいのだが、なんと僕らが行くことになってしまった。

しばらく遠出することもないと思ってたらまたこれだ。

先生はアドルフさんを(鱗を渡しに行く人物として)一番ふさわしいと言っていたがどういう意味なんだろうか…

交通費は出すと言っていたが、鱗の代金は半分しか出せないと言われた…まあこっちが勝手に買ったといえ全額負担してほしいものだ…

動物達については引き取り手が付きそうにもないとのことで、餌代を無理やり学院にもたせてこっちで飼うことになった。先生はすごく嫌そうだったが、主に僕がおねがいしたのもあってしぶしぶ了解してくれた。

ちなみに、僕以上に話の内容がわからないルキアはず~~~っと黙って椅子に座ってた。

 

さて…

 

「それじゃあ、話も一段落したところで、こいつを見てもらってもいいですか?」

 

トランクの蓋を軽く叩く。魔法で内部の広さが自由自在だが、今は普通のトランクと同じ状態になってる。つまりその程度しか入ってないはずだ。

 

カチャ…

 

トランクを開ける。アンジェリカさんからの追加便で届いた呪い封じの手袋をして1つ目の小瓶を取り出す。あの男の物だ、どんな呪がかかってるかわかったもんじゃない。

小瓶は透明で中には白い小さな魚が空を泳いでいる。

 

「これって生きてるんですか?」

 

僕の質問にいつの間にかおきていたトーリーさんが答えた。

 

「最近飼育方法が発見された幻獣だよ。すごく強い幻覚を見せる力があって、相手に食べられたことすら感じさせないまま捕食をする強暴な肉食魚だ。今は狭いとこにいるから小さいけど彼らは住む環境の広さに合わせてサイズを変えるんだ。この部屋で放ったら……」

 

「サメくらいですか?」

 

「いや、そこまでは大きくなれないらしい。おそらく君が両手を広げたくらいはあるだろうね。」

 

ちなみに僕の身長は164cm。19才の日本人男性の身長が170なのでちびな方だ。しかも顔が女っぽいのや、声が高めだったり、先生に髪を切るのを禁止されたのもありよく女扱いされる。

それにしたって160って大きい。そんなんじゃ…

 

「そんなんじゃ、そこらじゅうにもっと居てもおかしくないんじゃないんですか?強暴なら人が襲われる話だって多いはずですよね?」

 

「そう!そこなんだよ!」

 

その質問を待ってた。って感じだ

 

「こいつらが【インドアフィッシュ】と呼ばれるゆえんはそこにある。」

 

インドア…日にでも弱いのだろうか…?

 

「こいつらは強い空気の流れの中では生きていけないんだ。風に吹かれると液状になって溶けちまう。これがわかったのが最近なんだ。」

 

もっと重篤な問題だった。逆にコイツラが絶滅しなかったほうが奇跡だ。

 

「まったく、よく今まで絶滅しなかったもんだよ。まさに奇跡だね。」

 

この人と同じ意見ってのはあんまり嬉しくないな…

 

次に取り出したのはなんか文字が刻んである拳ほどの石の板。

 

「ああ!こいつはただの簡易魔法陣だよ。こいつは…火起こし用だね。陣の上に火が出るんだ。ホラ」

 

ボッと石の上に火がついた。ライターでいいと思うが言わないでおこう。

 

トランクの残りは瓶の中に入ったいくつかの指輪と二つの革袋だけだった。

銀、金、白金…普通に高級な指輪だが、アメジストやルビーがついたものもある。普通のものと唯一違うのはリングの裏にびっちりとルーン文字が書き込まれているってところだ。

 

「こいつは…アドルフ。これって確か…」

 

「えっ?あ…これは!」

 

ん?なんだなんだ…瓶から出してみると確かにやな匂いがする。おそらく呪い付きの物があるのだろう。しかし二人の反応はそれだけではないといった感じだ。

 

「この指輪…こっちで回収させてもらえないか?」

 

一気に真面目な空気になったトーリーさんがいくつかの指輪を指す。見た目は他と変わらない、匂いは…多少危険な気もするが、対処できる範囲だ。

 

「別に構いませんけど…ねえ先生?」

 

先生の表情は二人と同じく固めになってた。

 

「これが、魔術師同士でのやり取りなら大したことはないでしょうね。」

 

???

 

「さすがエルダさん。問題はそこなんですよ。」

 

アドルフさんも同意している。

 

まったくわからん。

 

先生が僕に何が問題なのか教えてくれた。

 

「この指輪の呪いに気づけない人たちが、これを手に入れたらどうなるか?よく考えてみなさい。この指輪と同じタイプのものが一般流通品に混ざり込んでるってことよ。イタズラで済まされる問題じゃないわ。」

 

ようやく理解できた。それでアドルフさんたちはこの指輪を回収したいのか。

 

「ここ最近になってこれと同じ形の指輪が出回ってまして、被害報告もちらほらと…魔術師のしたことの責任は魔術師が…」

 

「わかりました。どうぞ持っていってください。」

 

結局どれも呪いがかかってることもあり指輪は瓶ごと全部持っていってもらうことにした。持っていてもしょうがないし…

 

さて次はこの拳よりちょっと大きいくらいでずっしり重い革袋だ…

袋の口を開けると…なんか粉が大量に入ってる。

 

少し取り出してみるとこの正体がわかった。そのまま粉をすっと袋に戻し、アドルフさんに渡した。

 

「これはこうしたほうがいいですよね?アドルフさん。」

 

「魔術師のブローカーは厄介ですからね…責任持って処分します。」

 

中身は麻薬だ。こうするのが一番だろう。

 

最後の袋には(ろう)が入っていた。

 

「魔術や魔法で蝋は欠かせないからね。けどこいつは…ああ、大丈夫。ほんとにただの蝋だよ。市販のものだ。死蝋じゃないね。栄光の手(ハンズオブグローリー)とかだったら面白かったのに…」

 

死蝋はミイラの親戚みたいなもんだ。魔術ではおなじみの儀式アイテムではあるが、そんな不気味なもの絶対使いたくない。

 

「こんなところか…問題になりそうなのは指輪とこの粉だけだね。」

 

トーリーさんはちょっと残念そう。まあそんな面白そうなものはあの男も落とさないだろう。

 

「それじゃあ、私達はこれらの処理もありますから、そろそろ失礼したいと思います。」

 

アドルフさんは少し忙しそうに席を立った。

 

「ええ、お疲れさま。」

 

あっさりした先生と不満そうなトーリーさん

 

「なんだよ、アドルフ、もう行くのかい?まだ魔法見せてもらってないのに…」

 

「それは、あなた個人の問題でしょうが。仕事を優先してください。」

 

まあ、もう日も傾いてるから帰ったほうがいいのは事実だ。てかトーリーさんに関してはもう帰って…この人は一緒にいるとどうも疲れる。

 

「今日はありがとうございました。これどうぞ。」

 

柚子のはちみつ漬け最後の一瓶を押し付けて帰ってもらった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁ~~。やっと終わったのね。」

 

「悪いことしたなルキア。」

 

終始座りっぱで黙ってたルキアは限界だっただろう。

別に無理せず外歩いていても良かったんだが…

 

「ううん、いいの。セトと一緒のほうがいいもん。」

 

ま~た密着してきたルキアをスルーしつつ、机の上を片付ける。けっこう面白そうなものもある。特にインドアフィッシュとか言うのは骨っぽい外見でかっこいい。

 

「片付けたら……悪いけどまた出かける準備よ。明々後日にはドラゴンの巣へ行くわ。」

 

疲れ気味の先生だが、ドラゴンの巣に行くのは別に嫌ってわけではなさそうだ。ただ疲れてるだけ、そんな感じがする。

 

「ドラゴンの巣ですか…どんなとこなんですか?」

 

「ん…まあそのまんまドラゴンがいるところなんだけど、イングランドのハズレで空気も景色も綺麗なところよ。」

 

「ドラゴンか〜!私見たことはあるけど、巣の方は行ったことないなぁ。アメリカから出たのはこれが初めてだもん。」

 

僕の腕に抱きつくルキアは随分楽しそうだ。

ドラゴンの巣…そこはきっとこことは別世界だろう。

僕はまだ見ぬ世界に想いを馳せていた…




インドア…フィッシュ。書いてから気づいたよ。

「恐ろしく早い手刀。俺でなきゃ見逃しちゃうね。」
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