これには理由があるのです。
まず1に、この話ではもう夏が終わりもうすぐ冬が来ちゃうからです。イギリスの冬を都会ニューヨーク育ちの若いのが簡単に乗り切れるのか?エルダさんはそう言うところも考えているのです。しかも冬は何かとやらなければならない行事もありますし。
第2に、初期設定でも述べましたが、この物語、チセちゃんがイギリスに来る一年前から始まってます。そう!ほっとくとチセちゃんが来ちゃうのです。絡ませる予定があるので作者的にどうにかせねばならんのです。
以上の理由で展開が早いのです。まあエルダさんがセトくんを気遣ってると思ってやってください。
第二十九話『ドラゴンの楽園』
空気が綺麗だなぁ…
ドラゴンの住むというこの土地は普段の生活圏とはまるで違った空気を持っていた。
「これならドラゴンが住んでるって言われても納得です。」
「ここまで辺境なら人も寄らないからね。セト、寒くない?」
「大丈夫ですよ!この外套すっごく暖かいんですよ。」
学院の二人が帰ってから、実は1ヶ月も経ってしまってもう10月。
出発が遅れた理由は泥棒だ。
ドラゴンの卵を盗もうとした連中が学院によって捕まったのだ。その結果、事実確認のためにドラゴンの管理者と学院の間で諸々あったらしく、しばらく外から人を入れられなくなってしまった。
まあおかげで僕は魔法の技術を結構手に入れられたのだが。
最初はろくな薬も作れなかったが、ルキアが来てから魔力のバランスがとれるようになり二週間前にやっと風邪の薬が完成した。これに関してはルキア様々だ。
まあそんなこんなで、前回のお出かけよりは魔法使いとしてレベルアップしてここに来たのだが…
さっきから後ろから来ているルキアの匂いがどんどん遠ざかっている。
「ルキア!君はだいじょ…」
「全然大丈夫じゃなぁーい!セトの影に入れてよ〜!」
岩場を歩いてはや一時間。セントールのルキアにはやはりキツかったか…なんとか来てるがヘトヘトな様子。
「最初君が自分で歩くって言ったんだろ?」
「だってこんな険しいとは思ってなかったんだもん。いくら人をよせたくないったて限度があるでしょ!こんなとこに住むなんて管理者ってのも好きモンね。」
アハハハ…確か………!?
「ワシがなんだって?」
「だ~か~ら~!とんだ好きモンだって言って…………!?」
「大陸から来た隣人は辛辣よの。」
気がつくと僕の後ろに嗅ぎ知らない匂いの人間がいる!
「なっ!どこから現れた!」
慌てて地面を蹴って距離を取ろうとしたが、バトル漫画のように行くわけもなく、岩場の着地をミスって足を滑らせて…
「あっ!」
ズッっという不快な音とともに眼の前にはいっぱいの空が広がっていく。
ガシッ
岩場への後頭部直撃は回避したようだ…
ぶつけかけた頭はなにか柔らかものに支えられている。
「セ、セト!大丈夫?」
どうやらルキアがすっ飛んできて僕を助けてくれたようだ。彼女の瞬発力には時折驚かされる。
「ああ。ありがとう。」
彼女は両手を僕の胴に当てて支えてくれている。その間に僕は足を地面につけ直してバランスをとり、頭を上げようとした。その時…やっと自分の後頭部を支えていたモノがナニかわかった…
「もうちょっとだけ倒れててもいいかな、なーんて…」
ルキアの顔が赤くなった。
匂いも恥ずかしがった匂いから怒りに…
「バカ!セトのバカァ!」
げいーんと背中を両手で押されて僕の体は起こされた。
「アハハ。ごめんごめん。まあそんなに怒るなって。」
ムスーっとした彼女をあしらいながら事の原因でもある人の方へ向き直った。
掴みどころのない魔力を漂わせ、その全てを匂いだけで知ることはできないが、それこそが彼の実力の高さをうかがわせている。
「あんた。誰だ?」
いきなり背後を取られた以上強気で行く。まあおそらくはここの管理人だろうが、偏屈なやつだと困る。
「なかなか良い目つきをしているな。すまなかった。わしの名はリンデル。」
バサッ、バサッ
どこからか空を切る音がする。不思議な匂いも近づいてくる。
「ココの管理人をしている。」
バサッ バサァッ!
ふと見るとルキアが僕の袖をギュッと掴んでいる。
不安なのか?
「ようこそ。ドラゴンの最後の楽園へ」
バサッァ!ザッ!
一瞬男の姿が消えたようにみえた。
あたりを埋め尽くす大きな影はそんな勘違いをさせるには十分な大きさだった。
岩場の際に立つ男の背に現れたソレはあまりのも雄大であった。
これが…ドラゴン!
さーて変なとこで切れてますが気にしない気にしないw