第三十五話『四人の卵』
ドラゴンの巣から帰った僕らを玄関の前で待っていたのは手紙を咥えた小鳥、、、の死骸だった。
生きているかのようにふるまうそれからは生の匂いがしない。
「先生、、、あれは!」
しばらくぶりの開放感の中で気が抜けまくっていた僕にとって異質でしかないそれは恐怖の対象になりつつあった。
ルキアもセントールの姿で影から飛び出してきた。
一方で先生は怪訝な顔こそしていたが、警戒感は匂ってこなかった。
「二人ともそんなに警戒しなくても大丈夫よ。あれは
警戒心マックスの僕らを諫めた先生だが、怪訝な表情をしているのもまた事実。
学院からの頼み事などろくなものじゃないのは、鱗の一件で実感したばかりだ。
死骸は手を出した先生に手紙を渡すとどこかへと飛んで行った。
家に入って窓からバサバサと飛ぶあれを見送っていると
「よくできてるね。あれで死体だっていうんでしょ?」
興味津々なルキアが言った。
「僕からすりゃあれは命への冒涜だと思うんだよね、死霊術ってやつだろ?あれは薄気味悪いよ。」
僕らが駄弁ってる間も先生は届いた手紙とにらめっこだった。
その間僕らがやることは、動物たちの様子を見ること。
青蛙神とピュティアは僕の部屋で飼っている。狭いとこに閉じ込めるのは気が進まない話だが、仕方あるまい。特に青蛙神に関しては神獣と呼ばれているし、下手に外で町の子供にいたずらでもされたらどんなリバウンドがあるかわからん。ピュティアは利口なので僕の意をくんで部屋でのんびり過ごしてくれている。
問題は外で飼ってるやつらだ。ズラトロクは色以外は比較的普通のシャモアなので囲っておけばいいが、
毒牙を持つファングドバードや脱走癖のあるウサギ二匹は餌やり一つにだって手を焼いている。
厚手の手袋で鳥小屋へ、片付いたら今度は細心の注意を払ってウサギ小屋へ
エサ代は出るとはいえ大変だ、、、
まあ今回も何も問題なく済んでくれたので良しとしよう。
一通り終わってルキアとダイニングで荷解きをしていると手紙を読み終えた先生がやってきた。
それもとびっきり真剣な顔で
「かえって早々悪いんだけど、明後日ロンドンに行くわよ。」
「「えぇぇぇ!!」」
さすがに僕らの体力の限界が目前に、、、
「気持ちはわかるけど、今回のことはあなたにとーーーーってもかかわりのあることなの。おそらく人生でも一位二位を争うくらいの。」
はて?人生にかかわること、、、?
話を聞いてみると手紙は学院からの協力願いらしい
ただのお願いであれば断ればいい話。先生が出発を決めた理由はほかにあった
「これを頼んできた魔術師こそ、あなたとルキアが出会ったあの日にほかの卵たちを引き取った人物なの!」
!!
あの日ジャックのもとへ連れて行ってもらったとき彼女は言った
「これで四人目だ」と
あの時はほかの三人については深く聞かなかったが、よく考えれば僕が魔法に目覚めた理由を知る手がかりそのものじゃないか。
結局、最後までごねたルキアを何とか説き伏せて、僕らはロンドンへ向かった。
約束の路地へたどり着くと、そこには5人ほどの男女が集まっていた。
見覚えのある顔は一人だけ、アドルフさんだ。
連絡役だと言っていた彼だが、今回の主役はその隣に立つ老紳士のようだ。
外見は65過ぎくらいの白髪の男性。だが体はしゃきっとしており杖の世話にはなっていなそうだ。
しっかりと手入れの行き届いた茶色のスーツに中折れ帽子。いかにも英国紳士を気取った服装だ。
この老紳士は僕らの前へ一歩出て挨拶をした。
「突然のお呼びたて申し訳ありません。あまり時間のないことだったもので。私はフランク・バーダー。学院の魔術師です。」
先生は僕らを背後にやって返した。
「ご挨拶ありがとう。私はエルダ。知っての通り魔法使いよ。それでこの子が、、、」
「存じ上げております。ナンブさんですな。」
バーダーさんは先生の後ろから顔を出した僕をまじまじと見つめていた。
「どうも、セト・ナンブです。」
挨拶もそこそこ、アドルフさんがバーダーさんに時間がないって顔して咳ばらいをすると
僕への目線を自身の背後へ向けた。
「さて、早速だが彼らを紹介しよう。
バーダーさんの後ろに立っていた三人の少年少女が前に出てきた。
すぐに、彼らが普通と違うことに気が付く、彼らの香りは僕と似ているから、、、
ここは必要なのですが書きづらいところでもあって難航しております、、、