「責任をとれ」
いきなり初対面の男に言われたのはこの言葉。迷惑甚だしい…
「取引ができなくなった?どうしてまた。」
バーダーさんがわきから突っ込む。
「簡単な話だ、騒ぎを起こしてあそこを仕切ってる連中から嫌われちまったって話だ。あいつらは無駄なかかわりを嫌うからな。商品の管理もちゃんとできねぇようなやつを縄張りに置いておきたくないんだろうな。まあわからんでもない。俺だって
ネズミと呼ばれていたのは件の男。わなわなと震えている。
そうだ!問題を起こしたのはこの
「私に責任を取れというのはお門違いなのでは?あれにはあくまで客としてかかわったのですから。」
僕の言葉を聞いた途端
「ㇵッ!これだからジャップは…チビなだけじゃなくてオツムもいかれてるらしいな、どんくさそうな見た目だしまあやむなしか。」
なっ!こいつ!いわせておけば人をどこまでも…
思わずこぶしを握り締めた僕を見てバーダーさんはあわてて制止した。
(よせセト君。気持ちはわかるがこの部屋にいるのは私たちとあの男だけではないんだ)
小声で言うバーダーさん。彼の言いたいことはわかる。部屋は黒服の男が壁のふちに沿うように4人いる。しかもご丁寧に腰に拳銃をぶらさげている。
考えもなしに動けば二人ともお釈迦というわけだ。どうにも物騒な連中だ...
「あの時確かにお前は客で幻獣どもを買った。それはいい、だがその直前の出来事が問題だ。ズラトロクにのかって、注目を浴びて、、、あの段階ではまだあれらはお前のものじゃなかった。つまり俺らの商品でお前が目立ったことになる。十分問題だ。」
まあ一理ある。だがまさかこんなにも絡まれる羽目になるとは
分が悪い言い合いの中顔色が悪くなり始めた僕をにやつきながら
「まあ責任といっても、死ねとかいうわけじゃない。俺も慈悲深いからな。」
よく言うぜ。
「ほう…それで?」
「やっと聞く気になったな。お前にやってもらうのは今度ニューヨークである競売での俺たちの護衛だ。」
?????
はっ?なんか世界観ズレてない?どこの現代人に見習い魔法使いに護衛任務させるやつがいるんだ?
「この世界ではよくある話だ。脅迫があってな。それで護衛を増やそうと思ってな。な~に毎回死人は1人出るかどうかだ。」
この男!さすがにこの要求には隣にいるバーダーさんも黙っていられないようだ。
「ちょ、ちょっと。待ってくれ。その競売ってのはまさか裏の連中の…」
何か思い当たるものがあるようだ
「あぁ、そうさ。魔術関連の品をそろえた競売。その中でも金持ちどもがこぞって集まる隠れた競売」
ツコツコツ
?今何か聞こえたような
「危険だ!マフィアどもの闇取引と何ら変わらん世界だぞ…それを」
コツコツコツコツ
足音だ!扉の外から聞こえる。もうすぐ扉の前につく。
「危険だぁ?このジャップが顔出した闇市の100倍は安全だぜ。」
コツコツ!
匂いも嗅ぎ取れるくらいまでになった。あれ?この匂い、、、
「だから…!」
バンッ!
会話を遮るように僕らの背後の扉が勢いよく開いた。
「な、なんだ!?」
バーダーさんが驚きの声を上げる。
この匂いは間違いない!けどなんで?ここには僕ら二人しか入れないって最初…
「さっきから聞いてれば。セト君は置いてけぼりだし、理不尽な要求だし。ふざけているとしか思えないわ。ねぇ?グラハム・フリント。」
「エ、エルダ、、、!?」
そこに立っているのは先生だった。
驚くバーダーさんと
ん?なにか…
「さあ、こんなふざけた連中とはおさらばよ。行きましょう!」
「ま、待て!」
驚きの硬直から戻ってきたと思われるフリントが声を出す。
だがその声からは嘘が匂ってくる。何か変だ…
「待つ道理がある?え?あんたに言われて止まると思うかい?」
……匂いだ。先生からする”先生の匂い”がおかしいんだ。しゃべり方にも違和感がある。もっとよく近づいて、、、匂いを、、、
「な、どうしたのセト?!」
腕をつかまれたとき。僕と先生との間にはぎりぎり1人くらいは入れるスペースがあいていた。
だが今その距離は鼻がくっつきそうなくらいになっている。
スーッと一息吸う。
先生の匂い。けどこれは、、、血?そうだ血の匂いがうっすら混じってる。そしてその奥に隠れている匂い、、、こいつは先生のじゃない、、、
刹那に感じたこのことだけで状況の理解には十分だった。
「あんた、、、誰だ?」
瞬間女はローブの中に手を突っ込んだ。
何か出す!
そう思った時には体が動いていた。
僕の右手は女の顔をがっちりと掴みそのまま壁まで押し付けた。
一瞬の出来事に混乱し続けのバーダーが口を開く。
「セ、セト君!何してるんだ!自分の先生だろう」
「あ?何言ってんだよ。こいつは先生じゃねえ。先生の血の匂いまとって俺を騙そうとしたクズだ。」
吐き捨てるように言う俺と唖然とするバーダー、ことの流れに渋い顔をするフリントと偽物の顔で苦しむ女、何が起きたか把握できない護衛の男ども。立場は大きく変わりそうだ。
いま俺の手の力は自分で考えているもの以上らしい。女は苦しそうにして壁に顔を押し当てられ続けている。
「質問に答えろ。先生に何をした。嘘つこうなって考えるなよ。」
苦しむ女に尋問をする。血の匂いがするということはよい状況とは思えない。前に先生は血があればより精巧に相手をまねれるといっていた。手段は分かったろして問題はその血はどこで手に入れたのか…
「し、してない!何もしてない!」
一瞬で考えている間に女の返答があった。
だがそれは嘘。
「嘘だな。お前はこの
…馬鹿にするのも大概にしろ!」
頭の中が沸騰してる。感情が全部を置いてって前に出てる。
このイメージは...俺にとっての怒りは....まるで炎のように
気が付けば女をつかんでいた手が炎上していた。真っ赤な炎。見ているだけで火傷をしそうなほどに。メラメラと俺の右手を覆っている。
「ア゛ァァァッ!ガァァーッ!」
果たして人が出す類の声なのだろうか?燃えさかる炎の轟音に負けず劣らずの叫び声が部屋いっぱいに響き渡たる。
女の頭は火に包まれ皮膚が少しずつ焼けただれ始めている。
ずっとこの状況に驚きビビっていたフリントがやっとこさ声を振り絞って部下へ指示を出した。
「てめら!このガキを撃て。このクソジャップを撃ち殺せ!」
これで確信犯だ。フリントとこの女は目的こそ不明だが結託して俺をだまそうとした。
だがその指示を出すのなら女が悲鳴を上げる前にすべきだったな。
叫び声は大きかった。そのすきに自分の陰に隠れている
俺の影から延びる魔力の腕は地を這い、いとも簡単に男たちの背後をとった。あとは一時的に失神する薬を吹っ掛ければいい。ルキア自身はあまり乗り気ではないようだったが、状況が状況だ。やらざる負えんさ。
しかもフリントは気づいていない。恐怖で焦点が定まらず。燃える炎と叫ぶ女くらいしか目に入っていないのだろう。
一瞬の間をおいて俺が倒れず部下の返答もないことに気づくと、恐怖で顔を染め上げ椅子の背もたれにしがみつきガタガタと震えだした。
「お、お前。い、今すぐその手をはな、、はな、放せ」
ビビっていながらもまだ命令をしてくる。こいつも心底嫌いになった。
要求通り抑えていた手を放す。だがそれでは終わらない
女の顔と俺の手をまとっていた炎はみるみる女の顔の中に吸い込まれていった。まるで顔じゅうの毛穴がストローになって炎を吸ってるかのように。
気づけば焼けただれた先生の顔は崩れ落ち、別の人間の顔が見える。こいつは僕らをここまで案内した女だ。
火が消え呆然とへたり込む女をよそに僕はフリントの机にゆっくりと近づく。一歩進むたびにひぃ!ひぃ!と小さな悲鳴を上げる、、、
なんとも滑稽だ。僕を見下した男が一瞬でこのザマだ。
「お前は…」
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『おい、ジャップ。今日はどんな
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「さっきはずいぶんと言ってくれたなぁ。ジャップだどんくせえだ、ハイスクールんときの奴らみてぇなこといいやがってよ!てめえも俺を侮辱するんだな!!」
ずかずかと進み奴の胸ぐらをつかむ。
男のひぃぃという情けない声と同時に背後から再び悲鳴が上がってきた。
「あづい、あつい、あついあついああぁああぁぁ…いやあ。あぁっ!」
頭を掻きむしり苦しみもだえる女。
「あいつに何をしたんだセト君!」
混乱のさなか状況をやっと理解し始めたバーダーさんは再び混乱に飲み込まれかけているようだ
「なあに簡単なこと。火を頭の中に移しただけです。でもご安心を、本当に燃えてるんじゃないですから。彼女が頭の内側が燃えているように感じているだけ、一種の幻覚にすぎない。まあこのままいけば精神が擦り切れて自我が残るかどうか。」
頭の中が燃える感覚、あの女にとっては表面で燃えているほうが幸せだったかもしれない。
「さてと、やっとあんたの番だ。先生に何をした?」
女にしたものと同様の質問を投げかけるとフリントは意外な反応を見せた。
「そ、その前に。彼女の火を消してやってくれ。あの変装は俺の命令だ。頼む!あのままじゃ死んじまう。」
!!!
クソッ!こいつがただの悪党なら、女を捨てて命乞いをしたのならばここで躊躇なく顔面にでも火をつけていただろう。だがあろうことか部下の女を助けてくれと頼みやがった。
恐怖でべそかいてるこいつに部下にかけるやさしさがある…
「そんな感情を持ってるんだな。そうか…だったら、なんで、なんでその気持ちをお前らが傷つけた先生に分けてやれねぇんだよ!」
僕の怒りが最頂点に達しフリントに殴りかかろうとしたとき
バタンッ!
背後から勢いよく響く扉の音
今度は違和感なく香る美しい色の香り
振り返るとそこには先生がいた。僕の先生が
叫び声の表現がわからんです