魔法使いの嫁〜AnotherStory〜   作:ケニーF

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作者の思いが冒頭に入ってるけど気にしない
大丈夫、僕(作者)の両親は生きてるし事故もフィクションですからね。
実在の団体、組織、企業、事件とは無関係です。


第六章【迎冬編】
第44話「祝い事」


自分の誕生日をめでたいと思えるのはあとどれくらいなのだろう。

きっとこんな事考え出すようになる頃が終わりなんだろうな。

 

もう二十か。

みんな節目だという。人生の大人への一歩だと。今までは子供で突然大人になる不思議な節目。そりゃそれが日本だけの文化だってのはわかってる。でもどれだけアメリカにいても家族は日本人だったんだ。僕にとってこの誕生日は特別なんだ。

15も超えたころからか。誕生日をこの上ない楽しみとして感じられなくなった。クリスマスもそうだ。家族が突然一人になったとき...それは僕が15になるそんな日の出来事だった。

二人は僕の誕生日を祝うため忙しい仕事の中合間を縫って帰るため列車に乗っていた。僕はニューヨークのあの家でそれを待っていた。

そして日が変わっても二人は帰ってこなかった。よくは憶えていない。ただおぼろげに父と母の乗った列車の横転する映像がテレビで流れていたのを見た気がする。

訃報が届いたのは翌日だった。後で聞いた話だが二人は胴を切り離された状態で見るも無残な状態だったそうだ。届いた遺品はあのネックレスだけ。

 

だからこそ、僕は祝い事は避けてきた。爺やもむりに誕生日を祝うことはなった。少しだけ豪華な夕食だった。それで満足だった。

 

親の命日だというのに祝われて喜べる人間がいるだろか。

 

 

”でも今年は特別だから。”

 

目が覚め朝日とともに僕の横で眠っていたルキアはそういった。寝言だろうか?

ベッドのわきに置いてある箱を見ながら昨晩のことを思い出した。

そう、あれはピュティアをかまいつつ話題が僕の誕生日に移り始めたころのことだった。いつもより僕たちは夜更かしだった。

 

「セトは明日誕生日なのよね。そしたら明日はセトのお祝いだね!」

 

ルキアのこの一言にはどうにも閉口した。

僕はあえて先生に誕生日は教えていなかった。祝われたくないから。

僕の感情を読み取ったルキアは申し訳なさそうな顔をしてた。

 

「知ってたわよ。でもそっちが言わない以上私も追及はしないわ。」

 

あれ?

 

「え、でも。どうやって...?僕は」

 

「あなた、ジャックのところに行ったとき住所とかいろいろ書いたでしょ。」

 

あ、

 

そういえば僕が探偵のジャックのところに相談しに行ったときまず最初に問診票みたいなものを書かされた憶えがある。そこには誕生日の記入欄もあったかもしれない。

 

「これでわかった?でもあなたがそれを人に言いたくないと思っているのと同じくらいにあなたは祝ってほしいと思ってる。さみしいと思ってる。でなきゃルキアに教えることないでしょ?」

 

「それは...」

 

教えてなんかいない。気づいたら彼女はそれを知っていた。僕と繋がったがためなのかはわからないけども。

 

「もし教えてないで知っていたというなら、やっぱりそれはあなたが自身の誕生日に特別な思いを持っている証拠よ。隠したければたとえ命すら繋いでいたとしても隠し通せる。あなた達二人がそこまでの結びつきを持っていないのはわかっているはずよ。」

 

なんだか責められている気がする。どうして自分のことを不幸と思うのを否定するんだ。

 

「嫌な...言い方ですね。まるで僕がかわいそうだと同情してほしいからルキアに教えたみたいじゃないですか!」

 

僕のあからさまな不快感に二人は戸惑いを見せていた。

 

「落ち着いて。何をそんなに」

 

「そうよ。私だってあなたが誕生日を隠す理由なんてわからなかったわ。」

 

そうか...二人がしってたのはそれだけだったのか。

これじゃあ本当に憐れんでほしいみたいじゃないか。自分で外堀を埋めてしまった。

 

「ごめんなさい。勝手な被害妄想ですね。これじゃ」

 

心配そうな表情の二人。何とか先生が口を開いてくれた

 

「私じゃ何もできないだろうけど、理由聞いてもいい?」

 

どうしてかはわからないがすごく言い出しやすかった。

5年間つづいた抵抗はつゆほども感じられない。

 

「命日なんですよ。」

 

「命日...?」

 

「僕のせいで死んだ両親の、ね」

 

ルキアはハッとした表情をした。

先生は眉一つ動かさずこっちを見つめたまま無言だった。

 

当時の出来事を話し終わったころには僕自身も落ち着きを取り戻していた。

先生は僕を見つめたまま口を開いた

 

「そう。」

 

あっさりとただそれ一言だった。これにどうにも納得がいかないのはルキアだ。

 

「そうって!エルダそれじゃあセトがあんまりだよ。かわいそ...」

 

「じゃあ誰がセトを祝うの?セトはそう思われたくないから隠してきた。で、そうなったら誰がセトの誕生日にプレゼントを贈るの?誰がケーキを用意するの?」

 

そうだ。僕にとって無駄に同情しないでそうやって祝ってくれる人が必要だった。

言われて初めて気づけた。

 

「ありがとう...ございます。あの、僕」

 

先生はにこやかに微笑みながら僕の言葉を遮った。そのくらいわかってるという表情だ

 

「それじゃあ明日はごちそうとケーキ。それでいいわね?いや。もう決めたわ。」

 

「はい。よろしくおねがいします。」

なんとも不思議なあいさつで僕の誕生日の前日は締めくくられた...ハズだった。




すまん思ったより長くなった。
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