後、物語の時間軸が曖昧になっちゃたので訂正します。
この物語は現在本編の一年前です。
「気をつけてね。エルダには手紙を送っておくから。」
「ありがとうございました。次は約束通り貴女の”推し“のサイン付単行本用意しときますね。」
「楽しみにしとくわ!」
僕はお礼を言ってジャックの事務所を出た。
辺りはすっかり暗くなっていた。
(ここに来たのが四時前頃だったから、、、)
ざっと3時間はいたようだ。
(さて、帰るか。)
危うく歩いて帰るところだったが、すぐにポケットの石を思い出した。
(そうか、ルーシィが迎えにきて来れるから、、たしか、、、)
3時間前の記憶を掘り返しながら、
石を手に握り、地面を軽く蹴った。
すると、持っていた石は一瞬光を放ち、次の瞬間には。
「はい!おまちどうさま!」
目の前にはルーシィが立っていた。二度目の出来事であまりびっくりはしなかったが、正に魔法みたいだった、、、いや魔法だけど。
「早いですねぇ」
「その石には魔法をかけてあってね、特定の条件下でのみ石のある場所へ瞬間移動できるようになってるの。
それで、、、どうだった?」
一番気になるのはやっぱり、、、
「結局何が起きてるかはわかりませんでした。代わりに魔法使いを紹介してもらいましたけどね。」
ルーシィは少し驚いたような顔をして、
「へぇ〜てっきりカレッジに行くのかと思ってたけど」
と言ってきた。やっぱり僕の判断は珍しい例のようだ。
「他の三人はカレッジに行ったみたいなんですけど、
私の方は魔法寄りらしいので、やっぱり専門家に
聞くのが一番かなと、、、」
「まあ、それもそうね、、、それじゃ、帰りましょうか。家まで?それともあの路地まで?」
大真面目に彼女は聞いてきた。
「家って、、、しらないでしょ。路地まででいいですよ。」
「あら。私がなんで午後の時間忙しくしてたと思うの?あなたの家ぐらい調べたわよ。」
(怖っ!いくら惹かれるからって、、、怖っ!)
「え、えっと〜じゃ、じゃあ家までお願いします。」
そう言いながら僕はまた膝を折ってくれたルーシィの上に乗った。二度目ともなるとそう鈍くさくも無くなる。
「じゃあ行くわよ!しっかり捕まってね!」
「了解!のわッ」
再び世界が目まぐるしく変わっていった。そして十数秒後には家の前に着いていた。
「はい!到着ぅ〜」
「は、はやっ!」
「そりゃあセントールですもの!」
ルーシィの背から降りながら家を見る。相変わらず二人暮しには広すぎる家だ。
「しっかし、おっきい家に住んでるのね〜」
ルーシィはただ感心してるようだ。
「死んだ両親が残してくれたんです、、、今は従兄弟の資産の一部を任せてますけどね。」
「ふーん ま、あなたにもいろいろあるのね。さて、そろそろ私も帰ろうかしら。」
「そうですか、、、」
「なに寂しそうな顔してるの?今生の別れってわけじゃないんだから。また会えるわよ。」
「そうですね!それじゃお気をつけて!」
そう言って僕は手を差し出した。
一瞬彼女は戸惑ったが、趣旨がわかったようで、僕の手を握った。
(暖かい)
「ありがとう。じゃあまたね!」
するとルーシィはジャックの家の時の様に何処かへと消えっていた。
僕は家の門を開け、入っていった。なんだか数カ月ぶりに帰ってきた気分だ。
「ただいま」
だだっ広いエントランスに声が響いた。
声は帰ってこないが、僕の鼻腔を刺激するいい匂いがあった。どうやら奥で爺やが夕食の準備をしてるようだ。
支度を解いて夕食のテーブルへと向かう。見回せば使ってない部屋もあったりして人が住んでなきゃちょっとした幽霊屋敷だろう。テーブルは比較的小さい部屋にあり、いつも僕は爺やと一緒に食べる。父も母も使用人という考えを嫌ってたためか、爺やには家族のように接していた。僕もその影響を受けてか、同じように接している。昔から優しい人でよく昔話を聞かせてくれたっけな。
「セト様どうかなさいましたか?」
食べながら色んなことを考えていたら爺やに声をかけられた。気づいたら全然食べていない。これじゃあ余計な心配を増やしてしまう。
「いや、なんでもないよ。いつも通り美味しいよ。」
こう返したものの僕は再び口を開こうとした。すると
「それは良かったです。話は変わるのですが、」
爺やが話しをしだした。
「実は息子から手紙が来まして。」
爺やには24になる息子がいる。これまた気のいい人で結婚している。たしか2ヶ月前に子どもが生まれたような、、、
「家を手伝ってくれないかということでして、、、それで申し訳ないのですが、しばらくお暇をいただけないかと、、、」
なるほど。たしかにはじめての子育ては先達の 手助けがあった方がいい。それに好都合だ。たぶん、、、
「爺や。それは別に構わないけど、その手紙には’帰ってこないか?’って書いてあったんじゃないの?」
「えっ、、、ま、、まあそうなのですが流石に、、、」
僕はすかさずことばをはさむ
「いいよ」
「えっ!」
「いいよ。実は僕も当分この家を開けるんだ。管理はショウ兄もいるし大丈夫だよ。」
「そ、そうですか。ありがとうございます。」
「いや、別に構わないよ。それで、出発はいつ頃の予定なの?」
「一週間後には息子が迎えに来る予定です。」
「そうか、分かった。僕もその一週間後には出発する予定だから」
そう言うと爺やは不思議そうに僕の顔を覗き込んだ。
「そういえば、しばらく帰らないご予定とは一体?聞いてませんでしたよ。」
「ああ、そのことなんだけど、、、」
僕は頭を掻いた果たして真実を告げるべきか否か。
意を決して口を開く
「実は、、、今日、、、笑わないでくれよ、、、よ、妖精を見たんだ。というか見えるようになったんだ。」
爺やは顔をしかめた。絶対、頭おかしくなったと思われてる。そうに違いない。そう思って恐る恐る爺や次の言葉を待った。
「セト様そのお話はお食事が終わりましたら聞かせていただきます。」
帰ってきた言葉はそれだけで、その後はいたって普通の夕食となった。なにかまずいことでも行ったのだろうか、、、食事中爺やはずっと無言だった。
食事も終わり、片付けが済んだ頃僕は爺やに連れられ書斎へ向かった。父の趣味で神話の類の本が多く、母や爺やがよく読み聞かせてくれた。
爺やは机の前の籐椅子に座った。僕も向かい側の椅子に座る。爺やは僕に事のしだいを聞いてきた。僕が説明をすると爺やは何かを考え始めた。無が部屋を支配している。僕が口を開こうか迷っていると、爺やが、話を始めた
「昔、、、もう40年も前のことですが、、、」
爺やは今52なので彼が10代の頃だ
「妖精、、、その名に相応しい者たちを、私は見たことがあります。忘れられない。」
衝撃だったそれじゃあ、、、
「爺やが見える人だったなんて、、、初耳だよ!」
「見える人とは少し違います。おそらくあれは正午の時が見せた夢。」
「人に精霊が見える時間、、、」
「それはそれは美しいもので、幻として切り捨てることができませんでした。まさか、セト様に見える才がお有りであったとは。」
「爺やは信じてくれるの?こんな荒唐無稽な話を」
「 私も見たのですから疑うわけがありません。まして貴方を疑うわけがないでしょう?」
不意に涙が頬を伝った。最後の家族の言葉が胸にしみた
「ありがとう、、、爺や」
「さあ、今日はもう遅いです。お休みください。」
爺やに促され、僕は寝室へ向かった。
タイトル詐欺ですね。
次回予告
セトは家をでた。向かうはイギリス古より魔法の栄えた地
「彩りの衣のエルダ」