巡る世界の白金少女   作:雪解け餅 

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 最初は念空間を生み出すだけの能力にしようかと思ったんですけど、HUNTER×HUNTERの世界って科学が発展しているのに何故か無法地帯だらけなので、すぐ死なないように最強無双能力者にしました。

 HUNTER×HUNTERの世界だと、最強無双能力者でも相手の能力によっては普通に死ぬから油断できないので難しいです。

※注意※
 殆どの文章を改稿してます。一度見た人はかなり変わっていると思うのでもう一度見直してみて下さい。段落下げや「――」の使い方、言葉の表現などを全体的に補いました。




プロローグ
第1話  はじまり[改]


 

 

 突然だが、俺は死んだ。

 いや、正確には現在、死の間際にいるというのが正しい――所謂、今際(いまわ)(きわ)というやつだ。この状況に至った経緯はあまりにも唐突すぎるものだった。別に誰かに殺されたわけでもない。ただの不幸な事故というやつだ。何の因果も脈絡もなく俺のその短い生涯は幕を閉じようとしている。

 

 

 暗転する視界。既に痛みすら感じない。視界に続き思考すらも暗転しそうになるのをどうにか繋ぎ止めて、おそらく今生で最後になるであろう思考を巡らせる。

 回顧されるのは、“自身を死へと追いやった要因への恐怖”や“母への思い”、その他にも様々な思いが脳裏を駆け巡っては消えていく。

 

(あぁ……死にたくないなぁ)

 

 もうどうにもならないというのに未練がましく生へとしがみ付いて一分一秒でもいいので少しでも長く、この生が続くように、と祈るように乞い願う。そこでふと自分が本心から死にたくない、と考えていることに気付いて内心で驚愕する。

 

――そうか、俺はまだ生きたいんだな

 

 怠惰な人生だったが死ぬ直前になって自身の本心からの願いを理解することができるなんて。“家族への思い”や“まだやりたいこと”が延々と思考を巡っていく。

 

――なら、まだ諦める訳にはいかない

 

 俺は今までの人生でおそらくで最大の決意をもって自身に迫る死へと抵抗する。可能性はきっと0パーセントじゃない、と無理矢理に自分に言い聞かせて。

 

 そして、この努力がまったく無意味なものじゃなかったのか、心なしか今の今まで死に体だった()()()()()()()()()()、身体の感覚が少し戻ってきた気がする。それでも感覚器は何一つとして捉えることはなく、まるで世界に自分一人しか存在していないかのようだった。

 自分ではどうにもならないのだから今度は周囲を頼るしかない。いや――縋るしかないのだ。それが藁よりも脆い存在であっても。

 

――出来るだけ粘れば助けがきっと来るはずだ

 

 しかし、現実は物語のように都合良くはいかない。今の今まで死に体だった存在が思い一つで回復するなんてことはあり得ないのだ。

 

 

 

 

 

 瀕死の男は有り得もしない幻想を抱いて、あっさりと息を引き取った。息を引き取るまでに掛かった時間はほんの数分だった。男が(いだ)いた思考や思い、願いは所詮、ただの走馬灯の類でしかなかったのだ。

 だが、男が残した物が何もなかったかというとそういうわけではない。男が残した“死への恐怖と後悔”は誰に何と言われようとも間違いなく――()()だった。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 その日は、いつも通りの朝を迎えた。

 俺はいつも学校に遅刻しないために、6時半前には起床するようにしている。今日も普段と変わらず、目覚まし時計の音で意識が覚醒した。

 

 普段と違う場所があるとすれば、外は凄まじい豪雨で家の中に居ても、ザーザーと風なのか雨なのか分からない音が聞こえることだろうか。

 しかし、幸いというべきかこれほどの豪雨だというのに未だに雷の音は聞こえず避難勧告が出ることはなかった。ここ数年ではまず間違いなく五指に入るレベルの記録的な豪雨だったが被害自体は非常に軽微のようだ。

 

 被害はなくともこの状況だとまともに電車が動いているのかすら怪しいだろう。内心では『学校が休校になるのでは?』と期待しているのだが、まだ連絡網がまわってきた訳でもないので、通常通りに朝食を取って学校があっても問題のないように登校の準備をしていた。

 学校に着いて着席していなければならない時間は8時でそれまでに席に着いていない者は遅刻扱いになる。だから、その1時間前の7時までならば休校の連絡網がまわってくる可能性が十二分にある。

 

 朝食を取って準備することもなくなったので、テレビでも見てのんびりとした時間を過ごしていると、不意にテレビの音くらいしかしない部屋に電話の呼び出し音が鳴った。

 

 

『プルルルルル プルルルルル プルルルルル プルルルルル』

 

 

「おっ、やっと連絡来たか」

 

 俺は、どこか心待ちにしていた、それを聞いて心の内で歓喜した。さんざん期待して裏切られたら凄く辛いので素っ気ない態度を取っていたが、平日に堂々と休める機会なんてそうそうないので嬉しくてたまらない。

 

 ガチャ、と音を立てて受話器を取り、母が電話に出る。これでただの電話だったらガッカリなので、期待や不安でドキドキと胸の鼓動が早くなるのを感じる。はいはい、と母は何回か相槌打つ。そして数回の相槌の後に受話器を置いた。

 

 非常に短い電話だった――そして、

 

「今日は、電車が止まっちゃってて休校らしいわよ。午後になるともっと強い雨になるらしくて、午後から登校ってことにも出来ないんだって」

 

「やったー!!」

 

 俺は貴重な平日の休みを手に入れ、有頂天になって舞い上がる。テレビを見たり、ゲームをしたりしてダラダラ過ごそう、と心に決める。

 

 それからは、ダラダラと無為に時間を浪費した。テレビゲームをして、漫画を読んで、お菓子を食べて。こんなに自堕落な日々は久しぶりだ。平日だからか、いけないことをしているようで意味もなくワクワクとした気持ちになる。

 

――そういえば最後に本気で何かに打ち込んだのっていつだっけ?

 

 時間を無為にしたことでどこか達観したような気持ちになってしまい、家の天井を見上げながらぼんやりと下らないことを考える。

 

「まあいいか。それよりお菓子なくなっちゃったな……」

 

 こんなくだらない問答よりお菓子だ。お菓子がないならケーキを食べればいいじゃない、なんて言いたいところだが、生憎我が家には平時からケーキを常備しておく習慣はない。

 外は土砂降りの雨だけど雷も鳴ってないし台風でもないからコンビニに買いに行こうと思えば行けなくはない状況だ。側溝や川が増水していて危なかったら戻ってくればいいし、ちょっと台風の様子を見るついでに買い物にでも行ってみるとしよう。

 

 

「お母さん、ちょっと近所のコンビニにお菓子買いに行ってくる〜」

 

「危なそうだったら、すぐに帰ってくるのよ?」

 

「はーい。じゃあ、ちょっと行ってくるわ〜」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 行きは良かった。ただ帰りが遅くなったのがいけなかった。

 コンビニまでスムーズに着いたから適当に漫画雑誌を読んだりしていたら、雷が鳴り出して雨がより激しさを増したのだ。しかし待っていれば雨や雷が弱まって、いずれは帰れるようになるだろうとタカをくくってコンビニ内で時間を潰してしまったのが失敗だった。

 結局その後、雨が弱まることはなく15時頃に家を出たのに19時になるまで足止めを喰らうハメになった。

 

 母から何度かメールが来ていた。車で迎えに行こうかと言ってくれているが、流石に悪いので断った。

 いい加減痺れを切らした俺はこの大雨の中、意を決して帰宅することにした。

 

 凄まじい暴風と豪雨だ。雷が発光して間髪入れずにゴロゴロと轟音を轟かせている。発光から音が届くまでの短さからおそらく雷の発生場所は相当近いだろうことが分かる。こんな中を傘一本で歩くのは何とも心細い。

 増水した水で溢れ返る道の側溝と、上空から降り注ぐ大雨によって道路のほとんどが水没していて、既に靴の中すらビッショリと濡れてしまった。だが水没していると言っても所詮10〜20cm程度の深さでしかないため、ギリギリ歩けるし車も普通に車道を走っている。汚水が靴下と靴に染み渡って普段の倍以上に物理的に重くなった足で帰路を歩く。

 

 早く家に帰って、お風呂に入って寝たい気分だ。せっかくの休みだったというのに4時間以上も無駄にしてしまった。遊んで無駄に浪費するだけだった時間が同じように無駄になっただけなのだから結局は同じことだったのだが、如何せん自分の意思で浪費するのと外的要因で無駄にさせられるのでは気持ち的に違ってくる。

 

 ただ、ただ足を前へと動かす。いつもは歩いて20分も掛からない道が妙に長く感じる。もう既に20分なんて過ぎてしまっただろう。それでもまだ半分くらいしか進んでいない。

 

 

 

 そんなときだった――雷が至近距離で発光したのは。

 その雷光の在り処は、自身のちょうど真上と錯覚してしまいそうなほど近くだった。背筋が凍る、とはまさにこのことだろう。日本人の一般学生、という危機意識の欠片も無い俺のなけなしの危機察知能力が――過去最大の警鐘を鳴らす。

 

 だからと言って、俺に出来ることは何もなかった。

 

 次の瞬間――すぐ近くの電柱に落雷が落ちたのだ。これがただ落ちただけなら問題にはならなかっただろう。

 しかし、電柱付近に落雷が直撃して()()()()()()()()()()のだ。切れた電線は地球の重力に従って当然落ちてくる。突然過ぎるソレに俺は反応すら出来ず、ただ眺めることしかできなかった。

 電線は絶縁被覆で覆われているため普通は感電することはない。しかし、断線して中の導線が露出していたら別だ。降ってきた電線が鞭のように俺の身体を打ち付け、そのまま、まるで意思を持つように襲い掛かってくる。

 

「ーーガアアッ!!」

 

 おそらく感電したのだろう。意識が飛びそうになる中、何とか分かったのは分かってもどうにもならない、ということだけだった。電線で打ち付けられて感電したということが分かっても対処の仕様がないのだ。

 全身を焼かれるような痺れが襲う。意識が飛びそうになるたびに痛みによって覚醒する。もう目すら開けていられない。眼球が無事なのかすら分からない。

 

(母があんなに心配してくれていたのになんて馬鹿なんだろう)

 

 しかし無情にも、もう一度轟音が鳴り響いた。目を開けることができないため、正確な距離は掴めない。

 

――光が消えて、音が消えた

 

 最後に消えたのは……

 

 

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