巡る世界の白金少女   作:雪解け餅 

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 時が流れます。

 後書きの方が改稿大変でした。



第4話 修行[改]

 

 あれから、4年と半年の月日が経った。

 

 毎日欠かさず念能力の修行を続けている。

 【四大行】――【纏】【練】【絶】【発】の四つは既に完璧にこなすことができる。

 そして、【四大行】の応用技の【周】【隠】【凝】【硬】【円】【流】【堅】も一応は全部出来るようになった。

 

 【周】は物質にオーラを纏わせる技術で、武器の強度を増したり、刃物の切れ味の強化、速度などを強化することができる。

 休みを貰った日にゴン達がやっていたオーラで強化した石で普通の石を砕く修行をコツコツやっていたので、それなりに出来るようになった。これとは別にオーラで強化したスコップで岩山を掘る修行もあったんだがそちらの修行は周辺への被害が大きすぎるため流石に遠慮した。

 

 【円】はオーラの覆っている範囲を広げて、周囲を感知する技能だ。

 元々私は【円】が得意だったのか正確には距離を測っていないが半径400m~500m未満くらいまで広げることが出来るようになった。【円】の広さで強さが決まるわけじゃないらしいけどキメラアントを除けば最高峰だろうからめちゃくちゃ嬉しい。

 

 【堅】は、【練】を持続するだけの技能だ。

 【練】を維持するだけだから元々それなりの時間出来たけど4年も積み重ねた結果半日以上も維持していられるくらいにまでなった。これについては正確な時間をはかる機会がなかったので、半日以上としか分からない。仕事中にするわけにもいかないので休みの日に1日中やっていたんだけど、次の日も仕事があったから途中で切り上げるしかなかった。

 

 その他の応用技の方もそれなりにできるようになった。成果としてはかなり順調と言えるのだが問題があるとすれば――【流】だ。

 【流】はオーラの量を振り分ける技術で、かなり簡単そうに思えるのだが、実際は念能力者同士の戦闘では必須の技能で一番習熟が難しい。

 そして、この【流】の修行には致命的な問題がある。それは――1人では練習ができないことだ。オーラの攻防力の移動をスムーズにする技術である【流】を1人で練習なんてしたってただ纏うオーラを自分の意思で動かしているだけに過ぎないため、実戦で使えるレベルには決して至らない。

 

 そのために筋トレなどをして筋力もある程度付けたので、ここ1年くらいは休みを貰った日などに武術道場に行って実際の戦闘経験を増やす方向で動いている。

 念能力者である私が道場で暴れたら大変なことになるので、もちろん【纏】や【練】などは使わずに中途半端な【絶】をすることでオーラを意図的に垂れ流した状態で行っている。

 いずれは念能力者との実戦を行いたい。出来ればハンター試験が始まる前に一度は雑魚念能力者の巣窟である天空闘技場にお邪魔したいところだ。ハンター試験の1年前くらいに行けば、噛ませ犬三人衆(独楽、能面、車椅子)の1人くらいは居てくれるだろうし、お金も稼いでおきたいから200階までを行ったり来たりして最後に雑魚念能力者との戦闘をちょっとだけ経験すればいい。

 

 

 

 実戦経験の少なさ以外にも問題がある。

 それは私の――オーラの系統だ。

 キルアと同じようにオーラを電気に変えて操る能力を持つのだから普通に考えて私の系統は【変化系】だと思うだろうが実際はそう簡単な話ではない。

 オーラを電気を変えて操るだけなら【変化系】と【操作系】の能力だ。それを外に放出するなら加えて【放出系】とも言えるだろう。

 

 だが私の能力は――正確にはオーラや()()を電気に変化させて操る能力なのだ。

 

 肉体自体を電気に変化させるなんて【変化系】ではまず不可能だ。肉体を変形させるなら【操作系】だが、変化させるとなると話は変わってくる。それに加えて電気に変化させた肉体を元の状態に戻すことまでも可能なのだ。

 だから最初、私の系統はどの系統にも当てはまらない【特質系】だろうと予想していた。しかし、水見式の結果が凄いことになったので正直判断が付かないでいる。

 

 ぶっちゃけると私が水見式を行うと、()()()()()()()()()()()()()()殿()()()()()()()()()()()()()という状態になる。

 これだけを見ればどの系統の変化にも当てはまらないから【特質系】なのだが、見ようによっては【強化系】【具現化系】の2つの系統を併せ持っているように見えなくもないのだ。

 普通なら何を馬鹿なことを言っていると否定されるはずだが、私という存在はかなりイレギュラーだからあながち間違っているとは言い切れない。私は2つの魂が融合した姿とも言えるから、2つの系統を併せ持っていてもおかしくない。

 

 だから、私の系統は

・【特質系】のみ

・【強化系】【具現化系】の2つ

・【強化系】【具現化系】【特質系】の3つ

の3種類の可能性がある。

 

 特殊過ぎる事例なので、信用の出来ない相手には明かしたくない。

 というか、私の能力が【変化系】寄りなのに【強化系】【具現化系】ってヒソカあたりに知られたらメモリの無駄使いだと馬鹿にされそうで嫌だ。

 だいたい最初から備わってる能力をどうしろと言うのだ。

 

 それにもし私の系統が【強化系】や【具現化系】だったとしたら、私の能力は得意系統ですらないのに強力過ぎる。正直、異常なまでに破格な能力と言える。ただこれもある程度予測ができる。

 念能力を強くするには――【制約(ルール)】を設ければいい。

 多分この能力の【制約】は『雷に打たれて即死したことがある場合、発動可能』とか生きている者には絶対に不可能な条件になっているのではないだろうか。あくまでおそらくでしかないが当たらずとも遠からずだと思う。

 少なくとも『 一度死ぬこと』が条件に含まれている可能性は非常に高い。それかこの能力自体が“死後に強まる念能力”の可能性もある。

 電気に恨みはあるか?と聞かれたら正直かなりあるとしか言えない。“死後に強まる念能力”の場合は前世で死ぬ直前に念能力に目覚めたことになってしまうが別におかしいことではないと思う。

 メモリの無駄遣いをしている可能性もあるが、能力自体はキルアの強化版とも言えるので文句はそこまでない。

 

 

 

 あと、念能力には名前を付けた方がいいみたいなことを誰かが言っていたので適当に名前を付けてみた。

 というわけで今日からこの念能力を――【悲運の雷(ドゥームボルト)】と呼ぼうと思う。

 ちょっと厨二臭いが別に戦闘のたびに能力名を宣言する必要はないので問題は特にない。

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悲運の雷(ドゥームボルト)

 オーラ・肉体を電気に変化させ、操る能力。前世で、雷に打たれて身体の大半が電気に同化されるようにして消失し、即死したために目覚めた念能力。

 死ぬ間際のほんの数秒の間に発現し、死後に強まる念により強力なものとなった『雷に打たれて、理不尽に死ぬなんて絶対に嫌だ』という強い思いがこめられている(が普通に死んだ)。そのため、能力の発動中は電撃が一切通用せず、傷の回復が早まる。

 身体を電気に変化した状態から元の身体に戻そうとしたとき、(無意識的に)自身が最適だと思ってる状態に修復されるようになっている。

 なお、前世の時の電気操作能力はここまで強力なものではなく、電気を浴びると少しだけ身体の怪我が治る程度で、オーラの総量も今世の10分の1以下しかなかったため、大した量の電気も生み出せないショボいものだった。

 

[制約]

・不明。

 

[誓約]

・不明。

 

※備考※

 主人公はこの時点ではまだ気付いていないが、この念能力の本質はオーラ・肉体と電気の間の相互変換能力にある。

 外部から電気を吸収して、自身のオーラの回復や肉体の再生などが可能。オーラ・肉体を電気に、電気をオーラ・肉体に変化させることができる。

 能力の発動は任意だが物理攻撃をほぼ無効化することが出来て、不死身に近いため、主人公を殺すには能力を発動していない時に頭を潰して即死させるくらいしかない。

 

 思い入れはあるが、プラスの思い入れではなくマイナス方面なので、主人公はこの能力をあまりよく思っていなかったりする。

 [制約と誓約]は元々が前世で生み出した雑魚念能力であるため形式上は存在しないが、無意識的に設けられた[制約と誓約]は存在する。

 取得に至った経緯が経緯なので取得することはほぼ不可能。

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――もう1年が過ぎた。

 

 そろそろ仕事をしながら修行をするのに限界を感じている。武術もある程度極めたと言っても問題ないくらいには修めた。念能力者は打たれ強い上に、回復力も常人のそれを大きく上回っているため、人一倍練習をして身に付けることができた。

 

 食費と宿代は出してもらっているので衣類ぐらいにしかお金を使わなかったため半年で150万ジェニー近くを貯金できた。これを6年も続けたため、現在の所持金は2000万ジェニー近いほどだ。

 私が所持する衣類と金銭を合わせるとかなりの重量になるが、この1年で私が生み出した()()()()()()もあるため大した問題ではない。

 これまでに買った衣類は、天空闘技場付近の宿屋に送ったとアイラさん達に嘘を吐いて、念能力で生み出した念空間に全部しまい込んだ。今の私はアイラさんが買ってきてくれたウサちゃんリュックに荷物を持ってるフリをするために詰め込んだ2000万ジェニー分の札束だけを入れた状態だ。

 12歳の少女(見た目10歳未満)が持つには大金過ぎるが、100万ジェニーの札束20本くらいなら重さ的にはリュックに詰め込める程度の量でしかない。2000万ジェニーは2kgくらいの重さしかないため、1リットルのペットボトル2本を持ってると思えば大したことはない。

 見る人が見れば、今の私は鴨がネギ背負ってるように見えるだろう。

 

 

 

「じゃあ、アイラさん、店長。行ってきます」

 

「本当に行くのね? アリスさえ良ければいつまでもここにいていいのよ」

 

 アイラさんと店長は平日の朝だというのに、わざわざ私の見送りに出てきてくれている。娘さんのリコリスお姉ちゃんとは既に別れの挨拶を済ませた。

 実の娘や妹のように親しくしてくれた人達との別れだから、私も本当の家族とお別れをするようで少ししんみりとしてしまう。

 

 実際は天空闘技場とかいう雑魚っぱの巣窟に2年くらい行って、ついでにハンターライセンスを手に入れるだけだから、別れといっても2年ちょっとの間だけなのだが。

 

「ハンター試験に向けてこの6年間身体を鍛えてきたから、天空闘技場でその仕上げをして2000年のハンター試験を受けるよ。次会うとき、私はハンターになってるかもね」

 

 少し冗談っぽく言って悲しい気持ちを頭の中から追い出す。

 

「そう……貴方がお金を貯めたり、道場に通っていたりしてたのは知っているわ。だから、もう止めないけど、もし怪我をしたりして諦めたくなったら、いつでも帰ってきていいからね」

 

「うん。あと、もしお金持ちになったら仕送りするね」

 

 他人でしかない私をこんなにも心配してくれるのだ。雑魚スライムのお家(天空闘技場)で荒稼ぎしたら仕送りしようと心に誓う。

 

「じゃ、今度こそ行ってきます」

 

 店長は一言も話さなかったが元々寡黙な人なので通常運転だ。

 2人に手を振って別れを告げる。全部終わったらまた会いに来よう。

 

 

――いざ行かん、スライムダンジョン(天空闘技場)!!

 

 




[四大行]

・【纏】:
オーラを体の周囲にとどめる技術。
身体能力の強化や頑丈さを上げる。若さの維持も可能。

・【絶】:
精孔を閉じてオーラが出ない状態にする技術。
気配を断ったり、オーラの消費を無くせるので疲労回復に役立つ。

・【練】:
精孔を広げて、通常以上のオーラを出す技術。
簡単に言えば【纏】の強化版。

・【発】:
オーラを駆使して「系統」別の力を発揮する技術。
念の集大成で特殊能力や必殺技にあたる。アリスの場合は電気操作。


[応用技]

・【周】:
物質にオーラを纏わせる技術。
通常は自身の肉体にしかオーラを纏わないが、そのオーラを延長して物質に纏わせる。
武器を硬化したり、刃物の切れ味を上げたりなどできる。

・【隠】:
オーラを見えにくくする技術。
気配を消したり、【発】を見えにくくすることができる。

・【凝】:
オーラを体の一部に集中させる技術。
身体能力の部分強化や、オーラを目に集中させて【隠】を見破ったりできる。

・【堅】:
【練】の状態を長時間維持する技術。
【練】により大量のオーラを生み出した状態を長時間維持して、隙の無い防御を可能とする。

・【円】:
オーラの覆っている範囲を広げる技術。
オーラの触れた部分を肌で触れたように知覚することができるので、それを応用して索敵などを行える。

・【硬】:
【練】で生み出したオーラ全てを一点に集める技術。
特定部位の攻防力を飛躍的に向上させることができる。その反面、それ以外の部位は極端に防御力が落ちるため諸刃の剣のような技術。

・【流】:
オーラの攻防力移動をスムーズにする技術。
オーラを瞬時に守りたい部位や攻撃に使う場所に集めることで戦闘をスムーズに行う技術。念能力者同士の肉弾戦は【流】の練度がものをいう。


[その他の用語]
 念の系統は【強化系】【放出系】【操作系】【特質系】【具現化系】【変化系】の六つがあり、オーラで肉体や物体を強化するのが得意な【強化系】、オーラを体から切り離して飛ばすのが得意な【放出系】、物質や生物を操る【操作系】、オーラを物質化して武器などを生み出す【具現化系】、オーラの性質を変化させる【変化系】、他に類を見ない特殊な念能力などを纏めて【特質系】という。

 “水見式”とは念の系統を調べる方法で、グラスに水を注いでそこに一枚の葉っぱを浮かべて、オーラを当てることでグラスの変化を見る手法。グラスの水が溢れたら【強化系】、水の色が変われば【放出系】、葉っぱが動けば【操作系】、水に不純物が出現したら【具現化系】、水の味が変われば【変化系】、それ以外の変化が起これば【特質系】にあたる。

 “制約と誓約”とは念能力に敢えて設けたルールとその罰のこと。
 能力の発動条件に制約(ルール)を設けることで威力を向上することができる。例えば煙を操る能力なら“タバコを吸っている間のみ能力を発動することができる”などと条件を付けたりすると能力の性能が上がる。
 誓約は自身で設けたルールを破った場合の罰にあたる。前述した煙を操る能力で例えるなら、タバコを吸わずに能力を使ったときに自身にデメリット効果が発生するようにしておくと能力の効果が大幅に上がったりする。

 死後の念能力とは死者の怨念により強化された念能力を指す。強い思いを持つ事例でないとまず発生しないため、全員が全員発動するわけではない。

 念能力者には個人個人にメモリと言うものが存在して、これは才能そのものの上限にあたる。メモリの多い者はより多くの能力を十全に発揮できる。

※ちなみに、アリスの念能力【悲運の雷】は死後の念能力に当たるため、メモリは通常の念能力と同程度しか消費していない。
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