巡る世界の白金少女   作:雪解け餅 

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超ダイジェストです。
全試合書いても良かったんですが、また来る可能性があったので端折ることにしました。

天空闘技場が大好きな人には申し訳ないです。




第5話 天空闘技場(スライムダンジョン)

 

 

とうとうやってきました。

野蛮人の聖地、天空闘技場。

 

飛行船に乗って、数時間で到着した。

時間にしたらたった数時間だけど、実際はここに来るまでに6年の歳月が掛かっていると思うと感慨深いものだ。

 

 

 

「天空闘技場へようこそ。こちらに必要事項をお書きください」

 

 

とりあえず、1階で必要事項を適当に埋めて受付を済ませた。

どう見ても10歳未満の幼女が受付をしているので注目が集まる。実際は12歳の立派なレディだから見る目がない連中ばかりだ。

 

初戦は50階より上じゃないとお小遣い程度の稼ぎしか貰えないので速攻で片付ける予定だ。

 

 

一辺10メートルくらいありそうな正方形のリングが、等間隔に8個8個、計16個並んでいる。

その上では、現在も戦っている人が何人かいる。

 

私は、説明書は読まずにやる派だから適当に受付の説明を聞き流したが、確か初戦の戦闘を踏まえて進む階決めるというルールだったはずだから、審判に分かるレベルで相手を派手に倒せばいいのだろう。

 

 

「1620番、1622番、Iのリングへ」

 

私の番だ。私の番号は1620番。

初戦の相手は私の倍以上はある大男だ。

筋骨隆々という言葉がよく似合う。

だがただの筋肉マッチョに負ける気はしない。

 

 

「おいおい、お嬢ちゃん本気か? さっさとリタイアしてくれよ」

 

チンピラみたいな見た目なのに予想外にまともそうな奴だ。

瞬殺予定だから関係はないが。

 

 

「ここ1階のリングでは入場者のレベルを判断します。制限時間3分以内に自らの力を発揮してください。それでは、始め!!」

 

「じゃあ、行くぜ!」

 

行くのは私だ!

始まって早々、足に念を込めて地を蹴る。

高速で相手との間合いを詰める。

このまま殴るとまず間違いなく殺してしまうので手前で止まり、一歩踏み込むような形で震脚をして勢いを殺してから手のひらを開いて念を込めない掌底を腹部に叩き込む。

高速移動からの掌底にまったく対応できていない相手は、無防備な腹に掌底が直撃しリングから壁際まで吹っ飛んでいった。流石に壁に叩きつけるのは可哀想だったので手加減はしたつもりだ。

 

 

「おいおい、今の動きまったく見えなかったぞ」

 

「マジか、やべぇなありゃ……」

 

 

「1620番、君は50階へ行きなさい」

 

「はーい、わかりましたー」

 

念なんていうズルい力を使ってる私の敵ではないのだよ。

こうして、私の天空闘技場スライム大乱獲が始まったのであった。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

1階以降は念を一切使わずに戦った。

わざと攻撃を受けたり、試合時間になっても行かずに不戦敗になったりして上手い具合にコントロールしてのんびりと階を進めていった。

 

本気でやれば1、2週間で200階到達も可能だったろうがここに来たのは資金稼ぎの意味もあるのだ。

だから、200階に上がってしまうと報酬が貰えなくなるのでこのペースを維持し続けた。

 

 

そして、天空闘技場に来て半年ほどが経った。

現在は、150階前後を登ったり降りたりしてお金を稼いでいる。

わざと攻撃を食らって気絶したフリをするのも上手くなったものだ。医務室に担架で運ばれてどのタイミングで目覚めるのがベストかってこともだいたい把握できた。

 

稼いだお金はちゃんと手紙を添えてアイラさんに仕送りしている。面倒だったので小包に札束を放り込んで送り付けている。

最近では賭け事にも手を出して結構な稼ぎになっているのだがいきなり大金を送り付けてビックリさせたら悪いので月に1000万ジェニーずつ送るようにしている。

当然だが住所不定の私に返事が返ってくることはないのだが、きっとアイラさんは喜んでくれているだろう。

前世は親不孝者だったから今世くらいは母親代理に恩を返したいものだ。

 

 

話は変わるが、私はグリードアイランドを購入しようと考えている。

前世でHUNTER×HUNTERの漫画は読んでいたが、グリードアイランド内の指定ポケットカードを全部覚えているわけではないので、元の世界に帰るための手掛かりを探すため、バッテラ氏のプレイヤー募集に応募するつもりだ。

確かバッテラ氏は恋人のために『大天使の息吹』を欲していて、それを手に入れるために大枚を叩いているということだったはずなので、出来るだけ早くゲームをクリアして恩を売ってから、要らなくなったグリードアイランドを購入しようと思う。

落札価格と同額であれば売ってくれるだろうし、最低300億ジェニーくらいだろうか。

クリア報酬も貰えるから必要ないかもしれないが何が起こるか分からないため出来るだけお金を多く集めておくようにする。

 

 

 

そして、天空闘技場に来て1年ほどが経ち、かなりのお金を稼いだのでそろそろ200階に上がることにした。

大した使い手もいなかったのですべて一撃で仕留めてやった。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

200階に上がったので選手登録をする。

あと1年はここにお世話になる。

色々と記入事項を埋めて、最後に戦闘希望日の記入を行う。

ここでは一度戦闘したら90日間準備期間が与えられ、その間は好きに過ごしてもいいということだ。

準備期間内に闘ったらまた90日間準備期間が貰える。

無論毎日戦ってもいいし、準備期間ぎりぎりでも問題無い。

 

 

すぐ戦いたい気分なので早めに戦闘日を書こうかと思ったのだが、背後に気配がしたのですぐに振り向いた。

予想通り振り向いた先には三馬鹿がいた。

隻腕の能面男、義足覆面の独楽男、車椅子に乗った髪型が特徴的なカレだ。

もしかしたら、原作よりまだ1年以上前だから200階クラスにいないかもしれないと思っていたのが杞憂に終わったようだ。

すべての念能力者が常に【纏】をしているわけではないが、パッと見かなり弱そうだ。

念能力者に限れば手足の欠損はハンディキャップになり得ないので、普通に鍛えればいいのに努力する方向がかなり間違っている三人組だ。

原作のキメラアント編で登場したシュートさんは隻腕だったけどめちゃくちゃ強かったはずだし、こいつらの根性を叩き直してやるのも一興かもしれない。

 

 

「お嬢ちゃんは、今日ここに上がってきたのかい?」

 

「はい、そうです! 今、天空闘技場で修行してるんです」

 

「へぇ〜、小さいのに偉いねぇ〜」

 

 

絶対、思ってないだろ!

 

ちなみに、私の目当ては独楽男だ。

彼の独楽を操る念能力は【流】の練習に使える。

出来れば毎月戦いたい。

 

まあ独楽男じゃなくても実際は問題ないのだけど、都合のいい練習相手だから初戦は勝ちを譲って何回か相手をしてもらいたい。

10勝したらバトルオリンピアとかいうめちゃくちゃどうでもいいのに参加できるらしい。

4敗したら200階クラスから降格になるそうだが、正直降格することを全く苦に思わない私からすればどうでもいい話だ。

 

「あの、修行したいので何ヶ月かに1人の間隔でいいので対戦を受けて貰えませんか? 」

 

「え? いいのかい?」

 

めちゃくちゃ嬉しそうだ。

絶対、鴨だと思ってんだろうなぁ

まあ実際負ける気満々だから鴨が黄金背負ってるレベルなんだけど。

 

 

 

 

 

「では、部屋は2340号室になります」

 

受付のお姉さんから部屋の鍵を受け取る。

キドかギドか忘れたけど独楽男と戦うことになった。

口約束だけど他の2人とも戦う約束をしたので問題ないだろう。

 

 

部屋に入ると、テレビに

『 戦闘日決定!!

225階闘技場にて

1月11日午後3時スタート』

と書かれていた。

 

そっかぁ〜明日かぁ〜

とりあえず、最初の何分かはすべての独楽を避け続けて、満足したら顔や急所に飛んできた独楽は叩き落として、それ以外は【流】を使って身体で受け止めるようにしよう。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

『さあやってきました注目の一戦、先日まで150階付近を行ったり来たりしていたのですがとうとう200階クラスまで勝ちあがってきたアリス選手対、200階の闘士、戦績2勝1敗といまいちパッとしない!覆面に義足の闘士、ギド選手!!一体この二人は、どんな戦いを見せてくれるのかあぁ!!』

 

 

めっちゃ辛口やん。

正直、独楽男に同情の念が湧いてきた。

 

 

『アリス選手は13歳で幼いながらもしっかりとした格闘戦を行うインファイターです!!』

 

 

ていうか私インファイターじゃない……

まあ打って打たせてって感じで戦ってたから仕方ないか。

 

 

『対するギド選手は独楽を武器に戦うという一風変わった戦い方をします!!』

 

 

客席から歓声が聞こえる。一体誰を応援しているのか分からないがとても賑やかだ。

 

そんな中、私は独楽男とリングの上で向かい合っている。

 

「それでは両者、始め!!」

 

戦いが始まった。

私から動くつもりは毛頭ない。

 

まずはすべて避ける。

 

 

「行くぞ!【戦闘円舞曲(戦いのワルツ) 】 」

 

独楽男から独楽が打ち出される。

正直そんなに早くないのでただ躱すだけなら簡単だ。

だから最小限の動きで避けることにする。

 

独楽と独楽が互いに弾き合い、私に向かって飛んでくる。

私はそれを次々と躱していく。

最小限の動きを意識しているため、私はほとんどその場から動いていない。

 

 

普通に考えてこの能力はかなりの失敗作だと思う。

独楽なんて基本平らな場所でしか使えないから天空闘技場限定と言ってもいいレベルの能力でしかない。

こんな中途半端な能力を作るくらいなら天空闘技場以外ではこの念能力を使わないとか制約を付けてしまえばいいのに。

 

 

『 おおっと!! アリス選手、まるで舞いを舞うかのように華麗にすべての独楽を躱していく!!』

 

 

そろそろ躱し続けるのをやめるとしよう。

向こうも痺れを切らしたのか次の技を放つようだ。

 

 

「くっ、なかなかやるな! だが、次で決める!!【散弾独楽哀歌(ショットガンブルース)】」

 

 

独楽男は複数の独楽をいっせいに私に向かって放ってきた。

せめて物理攻撃一辺倒じゃなく、独楽が10個相手にヒットしたら特殊効果が発動するとかにすればいいのに。

 

 

私は迫り来る独楽と周囲を囲む独楽を見ながら動きを止める。

そして、急所に来るものだけを素手で叩き落とし、残りはすべて身体で受け止める。

私はその場から一切動かずに、時には捌き、時には受け止める。

横で審判がクリーンヒットの宣言をしてるのが聞こえる。

私が幼女だから早く終わらせようとしているのだろう。

このまま続けていればいずれ私の負けになるはずだ。

ポイントなんてどうでもいいのでこのまま続ける。

 

 

「そこまでっ!! クリーンヒットプラス1ポイントっ!ポイント10:0により勝者ギド選手!!」

 

 

『 ポイントによりギド選手の勝利が決まったー!! アリス選手も見事に攻撃を捌いていましたが攻撃に移ることが出来ずに防戦一方でした!!』

 

 

「試合ありがとうございましたー」

 

「あ、あぁ」

 

試合が終わったので挨拶したら独楽男は少し困惑しているようだ。

一切ダメージを与えていないのに勝利したから仕方がない。

 

「ふぅ、結構楽しかったぁ〜」

 

リズムゲームみたいでかなり面白かった。

ハンター試験まで時間もあるし次は1ヶ月後くらいにしようかな。

その間にハンター試験の準備と念の修行をしないと。

あと忘れないうちにハンター試験の応募をしておこうかな。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

あれから能面男や車椅子の人とも戦った。

こっちからすると練習試合でしかないのでかなり気楽なものだ。

 

能面男の場合は上手く負けてあげることは出来た。能面男の念能力はデカい腕を生み出すというものだった。独楽男よりは断然マシな能力だが、ひねりがなくて弱い。

 

ただ車椅子の人と戦った時に私が鞭を掴んで止めてしまったため電流を流されてしまった。

電流に軽いトラウマのある私はキレてつい車椅子をバキバキに壊してタコ殴りにしてしまった。

自分で電気を扱うのはいいのに、他者に電気を浴びせられるとダメってかなり面倒な性格だ。

あとで謝罪しに行ったら、ちゃんと許してくれたし良かった。

 

 

あと、原作でヒソカに殺されたロン毛の人とも戦った。

この人はまあまあ強かったので普通にインファイトで【流】の練習に付き合ってもらった。

何か拳法っぽいのを使ってくるし、分身する念能力も使ってくるので普通に強かった。

それでも能力を使わずに手を抜いてる私にすら劣るのだからヒソカに勝つなんて夢のまた夢だろう。

私が能力を使えば秒殺できる自信がある。

まあ所詮スライムダンジョンの中ボスでしかない。

私は適当なところで降参を宣言して試合を切り上げた。

 

 

 

 

 

 

そして今、何故か私はヒソカとリングの上で向かい合っている。

ハンター試験が始まるまで3ヶ月を切った。

1勝3敗でボロボロの戦績を誇る私は、そろそろ戦闘準備期間が終わりそうだったので、試合をするか天空闘技場を出ていくか悩んでいた。

 

そんなときにヒソカがやってきた。

最初は『私の能力は戦闘用じゃないので絶対に試合はしたくないです(半分以上嘘)』と断っていたのだが、ヒソカが『 じゃあ、ボクも能力を使わないで戦うよ♣︎』と言い出したため、命を賭けないで済む強者との戦闘という魅力的な話に抗えず戦うことになった。

 

 

既に試合は始まっている。お互い開始位置から一歩も動かず、ただ無言で睨み合いを続けている。

 

先に痺れを切らして、動いたのは私だ。

ヒソカはどうせ自分の力に絶対の自信を持っているタイプだから、こっちから動かないと永遠に睨み合いを続けることになっただろう。

 

とりあえず、近付いて殴り合うことにする。

7年半前は誘拐犯にすら力負けしていたのに凄い進歩だと自分で感心してしまう。

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

あれから2ヶ月と少しが経った。

結局あの試合はポイント11対8で私の負けとなった。

審判が幼い上に負けてばっかりの私を早く敗北させようと、どんどんヒソカにポイントを渡していったので、私はかなり焦って戦うハメになった。

体格差や体重差などのせいで肉弾戦はどうしても不利な分野だったため、細かく動くことで相手を撹乱してどうにか応戦したが、1発食らうだけで体重の軽い私はかなり吹き飛んでしまうのでダメージはないのにどんどんポイントだけを奪われていった。

 

正直めちゃくちゃ悔しい。

そして、天空闘技場200階クラスでめでたく4敗を決めた私は地上落ちすることとなった。

それから、天空闘技場の下の街にあるホテルでダラダラと時間を潰して、ときどき天空闘技場で賭け事をして遊んでいる。

アイラさんへの手紙に『天空闘技場の200階で変態ピエロにセクハラばっかされて負けた』って書いてやった。収入が賭け事で得る分しかなくなってしまったが、いつも通りに札束を突っ込んだダンボール箱と一緒に手紙を送り続けている。

 

 

ヒソカが悪いわけじゃないのは分かっているけど、無性に腹が立つ。

ハンター試験の最中にヒソカを感電死させて変死体にしてやろうか、と原作知識を総動員して暗殺計画を企てていたりする。

 

 

 

 

そして、とうとう待ちに待ったハンター試験の日が近付いてきた。

 

 






次からはやっと原作に入ります。
まあその前に閑話を入れようと思うので2話連続投稿になるかもしれません。
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