巡る世界の白金少女   作:雪解け餅 

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原作沿い?です。
ストレスフリーな作風を目指してます。


第7話 一次試験(マラソン大会)

 

 

エレベーターのドアが開く。

ドアの先の薄暗い部屋の中には、かなりの人数がいるようだ。

 

「いったい何人くらい人がいるんだろう?」

 

ゴンが誰に言ったわけでもなく呟いた言葉に予期せぬところから返事が返ってきた。

 

「君達で406人目だよ」

 

ハンター世界の顔の濃いメンツ達の中で、非念能力者なのにかなりの知名度を誇る『新人潰しのトンパ』だ。

 

私はちっちゃい豆の妖精さん(係りの人)からナンバープレートを受け取りながら、トンパの話を流し聞く。

(ちなみに、レオリオが403、クラピカが404、ゴンが405、私が406だ)

過去35回ハンター試験を受験した、と年寄りの苦労自慢みたいなことをされた。

その後は、受験者の説明をしてくれるようだ。

モブの名前とか覚えて無かったし非常に助かる。

ヘビ使いや武闘家、レスラー、アモリ三兄弟などなど。

何故このメンツの中にただの三兄弟の説明を入れたのかはかなり謎だ。

 

そして最後は、

 

「ぎゃああああぁ〜〜!!」

 

「アーラ、不思議♥ 腕が消えちゃった♠︎ 気を付けようね♦️ 人にぶつかったら謝らなくちゃ♣︎」

 

44番奇術師ヒソカの説明だ。

振り向くとちょうどヒソカが受験者の腕を切断していた。

聞いたところによると去年は20人の受験生を再起不能にして、気に入らない試験官を半殺しにしたらしい。

どうせ試験官が腹が立つほど弱かったのか、上から目線で偉そうにしてたんでしょ。

ヒソカなんて[変化系]のくせに[強化系]並に行動原理が真っ直ぐなんだからどういう対応をしたらどう動くかなんて分かりきってるだろうに。極力関わらないのが吉だよ。

 

色々話を聞かせて貰って上に、最後には缶ジュース(下剤入り)をくれた。まさしく至れり尽くせりだ。

わーうれしいなー(棒読み)

ゴンが最初にジュースに口をつけてすぐに吐き出した。

 

「トンパさん、このジュース古くなってるよ!! 味がヘン!」

 

「え!? あれ? おかしいなぁ〜〜〜」

 

飲んでも能力でどうにか出来なくもなかったのだが人目もあるから飲まないで済んだのはありがたい。

試験が終わったら毒対策の訓練も取り入れるとしよう。

とりあえず、これ以上トンパが絡んできたら、地味に面倒なので釘を刺すことにしよう。

 

クラピカやレオリオも缶ジュースの中身をこぼしたので私もそれに便乗することにする。

そして、空き缶を片手で握り潰して、パチンコ玉サイズまで圧縮した。

 

「はい、トンパさん。これ返すね」

 

「ハハハハ〜、ご、ごめんね〜」

 

目が全く笑っていない笑顔でゴミを渡してやった。

 

「あっ、皆のゴミも私が潰してあげるよ」

 

そう言ってゴン、クラピカ、レオリオのゴミも回収してパチンコ玉を3つ生み出して、トンパのポケットに入れてあげた。

 

「ハハハ……ごめんね! ホントわざとじゃなかったんだよ」

 

「大丈夫、私は分かってるよ(ニッコリ)」

 

悪魔幼女のエンジェルスマイルで撃退成功。

トンパは青い顔をして去っていったとさ。

 

「ねえねえ、さっきのどうやったの?」

 

「さっきのって?」

 

「ほら空き缶を潰してたでしょ、アレだよ」

 

「あれは普通にギュッてしただけだよ」

 

「おいおい、普通に握っただけじゃ空き缶をあんなに小さく潰すなんて無理だろ。いったいどういう力してんだよ……」

 

「同感だな。この前も魔獣が壁に突き刺さるほどの蹴りを放っていたし、アリスの強さが気になるな」

 

うーん、別に正直に言ってもいいんだけど、この腕自慢ばかりが集まる空間で『私は受験者の中で上位3人に入るくらいの強さです』って言ったら絶対に血の気の多い奴らに絡まれるだろうし。

というか念能力者がヒソカとイルミしかいない時点で戦闘で負ける道理がない。

毒使いとスナイパーライフルだけは注意しないといけないけど、オーラが尽きてダウンしてるときに襲われでもしない限り大したダメージを負わないだろう。

 

「まあ、たぶん弱くはないと思うよ。普通よりは強いくらいじゃないかな?」

 

普通の基準が天空闘技場の200階クラスだけどね。

 

 

 

 

『ジリリリリリリリリリリリリリリリリッーーー!!』

 

 

地下に突然ベルの音がなり響き、スーツを着た変わった髪型のおじさんが現れた。

髪がカールしており、おヒゲも何かくるんとしていてフランス人っぽい雰囲気だ。

名前は忘れたけど確かサダソかサダツって名前だった気がする。

 

「ただいまを持って受付時間を終了いたします。ではこれよりハンター試験を開始します」

 

サダツさんは丁寧にハンター試験の注意事項を説明しながら歩き始める。

そして、だんだん歩く速度が速くなっていく。

 

「申し遅れましたが、一次試験担当官サトツと申します。これより皆様を二次試験会場へと案内いたします」

 

 

そうして一次試験が始まった。

というかサダツさんじゃなくてサトツさんだったみたいだ。

見た目的にはピエールって感じなんだけどね。

ちなみに、一次試験の内容は二次試験会場までサトツさんについていくことだ。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

皆が必死こいて走っている中、キルアがスケボーに乗って先に進んでいく。

 

ちょっとだけ羨ましい。

念空間に自転車なら入っているけど、ウサちゃんリュックから出しているように偽装するのにも限度がある。

ウサちゃんリュックは、自転車が入る大きさではないので諦めるしかない。

 

「おいガキ、汚ねえぞ!! そりゃ反則じゃねーかオイ!!」

 

「何で?」

 

「何でっておま……こりゃ持久力のテストなんだぞ」

 

ただでさえ面倒臭いマラソン大会だって言うのにレオリオはキルアに絡んでいく。

その元気を後にとっておいた方がいいと思う。

 

「違うよ、試験官はついて来いって言っただけだもんね」

 

「ゴン!! てめ、どっちの味方だ!!」

 

「どなるな、体力を消耗するぞ。何よりまずうるさい。テストは原則として持ち込み自由なのだよ!」

 

レオリオの味方はいないようだ。ホントにうるさいし、仕方ないよね。

 

「ねぇ君、年いくつ?」

 

「もうすぐ12歳!!」

 

「……ふーん。オレ、キルア」

 

「オレはゴン」

 

「そっちは?」

 

「名前はアリーチェだけど面倒だからアリスって呼んで。ちなみに今年で14歳、2人よりお姉ちゃんだよ!!」

 

キルアがゴンに年を聞いて、その後に私にも聞いてきた。

私は無い胸を精一杯張ってお姉ちゃんアピールをする。

 

「は!? 年上!? マジで」

 

「本当らしいよ。オレもちょっと信じられないけど」

 

「8歳くらいにしか見えねえぞ。どうなってんだ?」

 

失礼なガキンチョだ。

14歳(まだ13歳)のレディをそんなケツの青いような年齢のガキと見間違えるなんて。

 

「ついでに聞くけどそっちのオッサンは!? 30代くらい?」

 

「オッサ……これでもお前らと同じ10代なんだぞ、オレはよ!!」

 

「「「ウソォ!?」」」

 

つい私も一緒になって驚いてしまう。

あれ、レオリオって10代なんだっけ?

私から見ても20代後半から30代前半にしか見えないんだけど。

こういうとき私の原作知識はあまり役に立たない。

ゴンとキルアが同い年だったのは覚えてたけど何歳なのかは記憶になかった。

というか、ゴンは12歳なのに幻影旅団とやり合ったりしてたのか。

そうなるとゲンスルーと戦ったのは13歳で、キメラアント編は13~14歳ってことか。

私の今の年齢にはキメラアントなんて化物とガチンコバトルしてるとかハードな人生送り過ぎだと思う。

前世でいうところの中学生がキメラアントと戦ってるところを想像すると、とてもじゃないが勝てるとは到底思えない。

 

 

 

 

 

風景が一切変わらない退屈なマラソンは続く。

現在はゴンやキルア、クラピカ、レオリオと集団の最後尾付近を走っている。

ちょっと前まで中間あたりを走っていたのだが、レオリオの減速が激しいのでそれに合わせるように少しずつ最後尾に下がっていった。

 

レオリオは限界が近いようだ。

ゴンに鞄を持ってもらって上半身裸でヤケクソ気味に走っている。

そして、おそらく最後の難関になるであろう階段が見えてきた。

スタート地点が地下100階だったことを考えるとかなりの段数をのぼらないといけないことは容易に想像がつく。

全然関係ないがもしかしたら、この世界の建築技術は前世の世界のものより上のなのかもしれない。

天空闘技場は250階まであったし、ハンター試験会場は地下100階だ。

東京スカイツリーが普通のビル換算で100階建てくらいだと聞いたことがあるので、天空闘技場は東京ツカイツリーを縦に2本並べた高さより高いわけだ。

 

 

よせばいいのにクラピカがレオリオにハンターの志望動機を聞いている。

限界を超えて走ってるレオリオに鞭を打ちつけるような行為だと思うんだけど、クラピカには躊躇いが一切ない。

それどころか前回と同じように『金のためだ』と発言したらキレ出した。

クラピカが頭でっかち過ぎて、レオリオが可哀想なんだけど……

 

隣の話題がこちらにも伝染してハンターの志望動機の話になった。

私の志望動機は便利だからだ。

グリードアイランドの指定ポケットカードを漁って、それで駄目なら念能力者を探さないといけない。

正直に伝えるのも面倒だったので『探し物がある』とだけゴンとキルアには言っておいた。

 

ゴンやキルアと適当に話しながら走っていたらいつの間にか集団の一番前に出ていたようだ。

そして、やっと出口の光が見えてきた。

風景が一切変わらなくて退屈だったので出口の光はとてもありがたい。

 

「はぁ、風景が全然変わらないから、1時間くらいで走るのに飽きて凄く大変だったよー」

 

「そういう割には、まったく汗かいてないのな」

 

「うーん、まあこのくらいなら大丈夫かな」

 

私はキルアの言葉に適当に返事をしてからウサちゃんリュック(に見せかけた念空間)からペットボトルを取り出して口を付ける。

キンキンに冷えててめちゃくちゃ美味い。

この瞬間を味わうがために、わざわざ途中で給水をせずに走ってきたのだ。

 

 

 

 

 

出口に到着したので長い長い地下マラソンはやっと終わった。

出口の先はヌメーレ湿原というらしい。

なんか霧の濃い沼地だったのは覚えていたけど、実際に見るとかなり壮観だ。

 

サトツさんがヌメーレ湿原の説明をしてくれる。

地下マラソンの次は湿原マラソンのようだ。

通称『詐欺師の塒』と呼ばれていて、騙されると死んじゃうらしい。

万が一があったら怖いので【円】を使っていこうと思う。前方だけに【円】をすれば800mくらいの距離まで伸ばせるはずだから迷うことはないだろう。

 

「ウソだ!! そいつは嘘をついている!!」

 

サトツさんの説明が終わったタイミングで猿の死骸を抱っこした血だらけの男が現れた。

私は内心『あぁあったなー、この展開』と冷めた目で猿男を見る。

ネタの割れている手品を見せられているような気分で不愉快だ。

正直、登場するタイミングもちょうど良すぎるので、ヤラセの線もあって凄く滑稽に見えてしまう。

 

確かこの後ヒソカに殺された気がするけど面倒だし、もう私が殺そうかな?

そんな危ないことを考えていたら、猿男はいつの間にかヒソカが投げたトランプによって顔面が悲惨なことになって死んでしまった。

私が猿男を殺そうとしているのを察知したのか、さり気なく私の方にもトランプが1枚だけ飛んできたが、キャッチすると目立ちそうだったので避けてそのままスルーすることにした。

私の後ろにいた人がどうなったかは知らない。なんか叫び声が聞こえた気がするけど、痛いのは生きてる証って言うし、きっと大丈夫なはずだ。

 

 

 

 

 

湿原マラソンが始まった。

ぬかるんで走りにくい道とも呼べないような道。前方すら視認するのが難しい濃霧。ブサ可愛い珍生物達。

地下マラソンの次がこれって退屈で受験者を殺す作戦なのかもしれないな。

 

「ゴン、もっと前に行こう」

 

「うん、試験官を見失うといけないもんね」

 

「そんなことよりヒソカから離れた方がいい」

 

「私もキルアと同じ意見かな。絶対アイツこの霧に紛れて何人か殺すよね」

 

「へぇ~アリスもわかるんだ」

 

キルアと私の話を聞いて、ゴンがキョトンとした顔をしている。

普通に見てればヒソカがヤバいって分かると思うんだけど、ゴンは案外鈍感なのかな?

 

「なんでそんなことが分かるって顔してるね。なぜならオレも同類だから。臭いで分かるのさ」

 

「同類……? あいつと? そんな風には見えないけど」

 

「それはオレが猫被ってるからだよ。そのうち分かるさ」

 

「ふーん」

 

その臭いがどうたらの理屈だと、私まで暗殺者と殺人狂の同類にされてしまうんだけど……まあいいか。

 

「レオリオーーー!! クラピカーーー!! キルアが前に来た方がいいってさーーー!!」

 

「いけるならとっくにいっとるわーい!!」

 

キルアが緊張感の無さに呆れたような顔をしている。

 

 

 

それからしばらくは平和だったのだが、少ししたら辺りに複数の叫び声が響き割った。

 

『『『――うわあああああああああ』』』

 

私達は辺りを警戒しながら、より慎重に進む。

ちなみに私は結局【円】を全力で出さずに自分の半径30mくらいに留めている。

ヒソカやイルミが私の【円】に引っ掛かったら何かしら反応してきそうな気がするので一応警戒してのことだ。

 

「ってぇーーーーーーーーー!!」

 

今度はレオリオの叫び声が後ろの方から聞こえてきた。

それに咄嗟に反応してゴンが飛び出していった。

 

「レオリオ!!」

 

「おい、ゴン!!」

 

キルアがゴンを呼ぶが無視して後方に行ってしまった。

キルアが悲しそうな顔をしていたので慰めの言葉を言う。

 

「行っちゃったね。まあ多分大丈夫だよ」

 

「なんでそんなことわかるんだよ!」

 

「なんでって言われても……」

 

原作を知っているからというのもあるけど、今は【円】を後方にのばしているからゴン達の安否は手に取るように分かる。

ただ説明する言葉が思いつかないので適当に濁すことにする。

 

「まあ……しいて言うならカンかな」

 

「……ふーん」

 

「そういえばキルアはゴン達を助けに行かないの?」

 

「……お前も行ってないじゃん」

 

「まあ私はゴン達は大丈夫って確信があるし、それにここでヒソカとやり合ったら先頭に追い付けなくなりそうだったからね」

 

「まるで、ヒソカと戦えるみたいに言うんだな。俺でも勝てる気がしないのに」

 

「私はヒソカともそれなりにやり合える自信はあるよ。ただ時と場所が悪いだけ」

 

全然信じてない顔だ。

まあ小悪魔系幼女が変態ピエロと戦ってる姿は想像がつきにくいだろうから仕方ないね!

 

 

 

 

 

時々会話をしながらも無難にマラソンを走り切った私達は時計のある大き目の建物の前でゴン達を待っている。

 

「おっ! 珍しい組み合わせだけど追いついて来たみたいだよ!!」

 

「!?」

 

「ほら、あそこ!!」

 

私はレオリオを担いでいるヒソカを指さす。

ここについてからずっと森の中に向けて【円】を広げていたのですぐに気づくことができた。

ただ何故かキルアは凄く残念そうな顔をしている。

あれ~??

 

「なんだよ、ゴンじゃねえじゃん。期待して損したぜ!!」

 

「ま、まあレオリオは無事みたいだし、ホント……良かったね……」

 

原作でハンター試験に受かった人は覚えてるんだけど、試験の事細かな部分までは覚えていなかったのでヒソカと一緒にレオリオが来たのは正直驚いた。

一次試験がマラソン、二次試験が料理(寿司)、三次試験が多数決、四次試験がサバイバル?、最終試験がトーナメントって程度しか覚えていないが、武力特化の私は大概のことは乗り越えられる自信がある。

三次試験の多数決の話とかかなりうろ覚えの部分が多いからこの後が大変そうだ。

いざとなったら塔から飛び降りる手もあるから問題ないと言えば問題ないのだが。

 

 

「今度こそゴン達が来たみたい」

 

「なんで分かるんだ?」

 

「……カン」

 

「おい」

 

 

そんなやり取りをしているとゴン達が見えてきた。

ちゃんと原作通りに進んでくれてるみたいで良かった。

私が混ざったせいでバタフライエフェクトが起きたとかだと堪ったもんじゃないしね。

 

 

この8年で戦闘に関してのみ鍛え続けてきたからあまり料理は得意じゃないけど、この調子で二次試験も頑張ろう。

 

 

 

 

 

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