作品作りで一番大変なのはタイトルだと確信しているからタイトルは付けない 作:空白紳士
一人称は安易でもいいから個性を
「なぁなぁ、俺達友達だよね?今すっげー金に困ってるんだわ」
もう言いたい事は分るよな?とでも言いたげな表情で気の弱そうな小柄の男の子を三人のチンピラ然とした学生服の男達が囲んでいた。
「で、でも・・・僕も今お金なくて・・・だからその・・・」
歯切れの悪い怯えた声で俯きがちに答える。
「はぁ?そんなん知んねーし。俺達親友が困ってんだからさ、どんな方法を使っても金工面してくんない?」
親友が聞いて呆れる様な非道なセリフを述べ、少年を壁へと追いつめる。
――――と言うかこれもう本編始まってる?
嘘だよね?まさかそんな、だってまだ世界観の説明もなければわちき一切関係ない揉め事から話スタートしてるしね?第一せめてタイトルは頑張れよ作者。『タイトルは付けてません』っつタイトル聞いた事ないよ?
あ、初めまして。今地の文に割って入って読者さんに直接話してるわちきがこの作品の主人公的なあれだから。
名前とかはどうせ後で名乗るからちょっと待っててね。
何を言っているのかわからないと思うが、わちき自身も何が起こっているのかわからないんだぜ。気が付いたらいきなり本編スタートしてるし、路地裏には時代遅れの不良が多分同じ学校の・・・それもどうせ高校生と思う学生たちの揉め事が聞こえてきているわけだからね。
「ど、どんな方法でもって・・・ど、どうやって?」
目の焦点は既に合っておらず、声は震えていた。
「んなもんてめぇで考えろよ。頭いいんだろ?誰か騙して金せしめればいいだけだろ?」
もうそれ自分でやれよ。今やってる事と何が違うんだ小心者め。
――――って、勝手に本編に戻らないでくれるかな!?読者さん混乱するっしょ!?
大体地の文が一人称視点になったり、三人称視点になったりを何の区切りもなくやってたらマジでわからんからね?分かる読者さん?今はまたわちき話してるけど大丈夫?
よし、おっけいだな。
「そ、そんな事したら・・・僕警察に捕まっちゃうよ!?」
「はぁ?なに?なら俺らは警察に捕まってもいいって言うのか?てめぇ友達として最低だぞ?」
前言撤回何もおっけいではなかった。なにあいつら人の気も知らないでべらべら話し進めてくれちゃってんの?一時停止ボタンとかないわけ?
しかもまた笑いそうになるくらいふざけたことを抜かしてるし、あの十五の夜を拗らせたっぽいあほ三人は。
取り合ず状況の説明から使用か、今の時間帯は丁度八時五分頃で丁度皆登校時間なわけよ。
それでわちきもこれでも高校一年生でね。今日は一学期初の登校日なの。
だというのに路地裏では揉め事は聞こえてくるし、みんな知らん顔だわでどうしようか迷ってたら。
「そ、そういうわけじゃ・・・!」
「だったら口答えしねぇでちゃっちゃとやれやクソガキゃぁ!」
イラッ☆
「じゃかましいんじゃ馬鹿どもがぁ!!」
突如表の曲がり角から怒鳴りを上げて同じ制服の若者がドロップキックを詰めよっている不良にお見舞いしながら登場した。
「・・・だ、誰?!」
「あー今説明するから、むしろやっとだからね?君達ちったぁ落ち着けよ。お陰でまともに状況説明もできてないんだぜ?」
若者(主人公?)の足元ではドロップキックをまともに顔に食らった不良Aがビクンビクンしている。
「主人公だからぁぁぁ!!何だ『?』って!間違いなく主人公の『ピーーー!』だからって、おい!伏字!?なにしてくれてんじゃぁぁ!放送禁止用語かわちきの名前は!某スタイリッシュ高校生じゃないんだから!」
騒がしく独り言を捲し立てる心の病気を患った自称主人公は顔に青筋を浮かべていた。
「心の病気って誰がだ!ふざけんなよ!謝れ!本当に心の病で苦しんでいる人に謝れ!ていうかもう周りぽかんとしてるよ!読者さんが一番困ってるからね!?分かる?茶番はほどほどにしないとだれるから」
はいはい、乙です。
「くっそ、マジで地の文腹立つな。難しい言葉遣いと漢字ばっかり使って知識人ぶっていい気になってるんだな」
それは心外。説明はよう(イライラ)。
「何で普通に会話成立するの?なにこれ天の声?いーすんさんかなにか?」
違いますし、分かる人極端に少ないですし、そういう名前出すときは丸とかで一部伏せてください。これ常識ですよ?
「あーはいはい気を付けますよ。それでそこ君は大丈夫?怪我とかしてない?」
しかし既にそこには足元で泡を吹いてビクンビクンしている不良A以外の姿がなかった。
まるで神隠しにでもあったかのように音もなく忽然と姿を消したのだ。
「いや単純にわちきが気味悪がられて全員逃げ出しただけなんだけど」
路地裏には先程までの喧騒はなく、ただぽつねんと長髪の一人の少年と、足元でビクンビクンしている不良Aだけが空間に置き去りにされていた。
「あ、あいつガン無視決め込む気だな・・・。それとあんたもあんただよ!わちきそこまで強く蹴ってないからね?いつまでそこでビクンビクンしてるの?」
返事がない、ただの屍の様だ。
「殺してないから。今も元気よくビクンビクンしてるから」
表の通りからも先程まで聞こえていた賑わいもすっかり過ぎ去っていた。
「ってやべ。もうこんな時間じゃんか!いきなり遅刻とか完全に笑い者にされる!」
勢い良く地面と不良Aを蹴って少年は走り出す。
後ろで束ねた長い青髪をそよ風に靡かせながら。こうして、彼の――――
「プロローグで終わらせんじゃねぇぇ!!わちきの青春はまだこれからじゃぁぁ!」
某「俺ちゃん」とか、女神とか、侍とかを彷彿とさせるメタ発言の数々。オープニングだけでお腹いっぱいなほどネタがつまりに詰まっています。
うぇっぷ・・・