転生者は平穏を望む   作:白山葵

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第06話 おねえちゃんず です!

 …白い薄手のワンピースを着た、黒く長い黒髪の女性。

 その黒い髪を首の後ろ辺りで、まとめています。

 ひまわり畑とかの前でしたら、絵になりそうですね。

 その女性の存在に、皆さんが気がつき、視線を一心に浴びています。

 

 優花里さんが、またですか? と仰っていた様に…なんというか…。

 隆史さんがまた、すごく好きそうな出で立ちの女性ですね。

 線が細く…儚げで…。

 

「おはようございます」

 

「…あ、はい…おはようございます」

 

 いけません。

 初対面の方を、ジロジロと見るなんて失礼な話です。

 私達の視線を特に気にする事もなく、先に声を掛けられてしまいました。

 

「朝早くに、ごめんなさい? 少々お伺いしたいのだけど、ここって尾形…さんのお宅よね?」

 

 見た目に反し、気さくな感じの喋り方をする方ですね。

 見た目は私達とあまり変わらない…。

 

「えぇ、そうです。間違いございませんよ?」

 

「…そう」

 

 問いかけに私が答えると、やっぱり…といった、小さな声が聞こえました。

 優花里さんと麻子さんは、少しため息を吐きました。

 沙織さんと、小山先輩は顳かみ抑えています。

「…また増えた」

 そんな、呟きが聞こえました。

 

 

 …しかし…この方…。

 

 ブツブツと何か唱えるような声で、優花里さん達は呟いて…隆史さんをどうの言っておりますが…。

 私、そちらの事よりも…少々、この方が薄気味悪いです…。

 何と言いますか…存在感…? いえ…気配がまったく感じません。

 

 目の前に立って、実際に話しているのですが…本当に人と話しているのでしょうか?

 …と、いった…大変失礼な事を感じています。

 

「ふ~~ん。…貴女」

 

「はい? 私ですか?」

 

 笑顔で、私を指名されましたね。なんでしょうか?

 う…。

 えぇ…とても優しい笑みを浮かべていらっしゃいますが…目が座ってますね…。

 何故でしょう?

 …この方…その目が、私の顔を見ていません。

 どこを見てるのでしょう…か?

 

「先程、この家から出てきたけど…どういう事かしら?」

 

「え…」

 

 その目線が…とても強まりました…。

 笑みは崩さないのですが…若干、青筋が立っている様に見えるのですが…。

 これは、怒ってます。いえ、私の答えを聞くまでは、我慢している。…といった感じですかね?

 

 やっぱり、そういう…。

 

「…隆史君の家を訪ねてきて、その家から女の子が出てきたら…まぁ…そうよね」

「知らない方からすれば、ショックですよねぇ」

「…見た目が完全に書記好みだな。もはやこれは、疑うまでもない」

「まだいるのかぁ…。また戦車道関連の子かな?」

「まったく…」

 

 はい、皆さんも同じ意見…といいますか、同じ結論に辿り着きましたね!

 …私…この方とは別に、2、3人現れても驚かない自信があります!

 あ、ようやく私の目を見ましたね。

 

( 華… )

( なんですか? )

 

 あら、沙織さん。

 問い掛けた方の目の前で、耳打ちなんて…その様な真似をしないでください。

 ですので、思いっきりガンをつけられてますから、こちらも目を離す訳にもいきませんし…声だけ返しました。

 

( この人、絶対に隆史君を訪ねて来たよね… )

( そうですね。「尾形」と、お聞きになりましたし…私の事を真っ先に聞いてきましたしね )

( …華。分かってるわよね )

( はい、そうですね。隆史さんご本人もいらっしゃいませんし…適当にお茶を濁しておいた方が、良さそうですよね? )

( そっ! そう!! よかった…ここの所、華って変だから…またとんでもない事、言っちゃう気がして、ちょっと怖かったよ… )

( あら、沙織さん。それは少々失礼ですよ? 変ってなんですか? )

( まぁまぁ! ほらっ! 待ってるよ? 早く! )

 

 少々待たされてイライラでもしてるのでしょうか?

 目線が右往左往してますね。

 私だけではなくて、沙織さんも凝視してました。

 あら? 小山先輩も?

 まぁいいです。

 

 では、さっさとお答えしましょう。

 

 

 

 

「 一 緒 に 暮 ら し て ま す 」

 

 

 

「はぁなぁぁぁぁぁーー!!!???」

 

 

 

 

 あら。普通に答えてしまいましたねぇ。

 

 てへっ♪ 

 

 …とか、やると隆史さん喜びそうですね!

 

 

 

 

「 ………… 」

 

 

 

 

 

 あっっらぁ…。

 今度は、しっかりと気配を感じました!

 

 一瞬、殺気めいたモノを感じました。

 えぇ…とても良い、心地よさです。

 小山先輩以外は、青くなっていますが…ダメですよぉ?

 女性が、「ひぃ!」とか、声に出しては。

 

 しかし…。

 

 怒ってますねぇ! 怒ってますねぇ!!

 

「はっ…華!! なんで、はっきり言っちゃうの!? すっごい怒ってるよ!? アレ!!」

 

「いえ…こういった事は、ハッキリと申し上げないと…ねぇ?」

 

「さっきと言ってる事が違うよぉ!? 後なんで一瞬、小山先輩、横目で見たの!? ひぃ!!」

 

「……」

 

 あらあら。

 

 

 ……。

 

 

 

 あらあらぁ!!!

 

 

 

「冷泉殿。…五十鈴殿、なんであんなに、楽しそうなんでしょう?」

 

「……私に聞かれても困る」

 

 楽しそう…ですかぁ?

 そんな気なんて、更々無いのですが。

 何というのでしょうか? この感覚…。

 この方…第一印象から、どうにも不穏な感じ…。

 目が…どこを見ているか分からない…その目が、兎に角気に入りません。

 

「沙織さん、いいですか? 名乗りもしない、見ず知らずの方なんかに、兎や角言われる筋合いなんて、ございませんよ?」

 

「華っ!! 段階、色々と飛ばしてるから!! まだ何も言われてないから!!」

 

「どうせ言われるのですから、一緒です」

 

「そりゃ言われるだろうけどっ!!」

 

 先手を打つ…という事を、最近学びましたぁ。

 戦車道って、色々な事を教えてくれるのですねぇ?

 では、どうでしょう? どうでますぅ?

 

「………ふむ。そうね…まず……タカ君いる?」

 

「「「 タカ君!? 」」」

 

 おや…また親しげに…。

 明らかに、隆史さんの事でしょうけど…。

 普通に呼べば、誰しも分かると思うのですけど…敢えて、そんな言い方で言いましたね。

 

「おっと…隆史の事ね? で? いるの? ()()タカ君は、今いますかぁぁ???」

 

 

「「「「 ワタシノ… 」」」」

 

 

 あからさまに、敵対心を向けて来ました…。

 態度に出るという事は、余程の事なんですねぇ。

 呼び方といい…そうですかぁ。

 まぁ……なんであれ…。

 

()()()…隆史さんは、この家どころか、大洗にはいらっしゃいませんねぇ。そもそも存在しませんよぉぉ???」

 

「……へぇ…」

 

 なんでしょう? 

 言い返されて、更に怒る所か、薄ら笑いを浮かべました。

 ウフフフ…。

 

「…ど、どうしたの華!? えっ!? 何か、怒ってるの!?」

 

「別に怒っては、ないですよぉ?」

 

 …えぇ…怒ってはいません。そもそも怒る理由がありませんし。

 ただ…なんでしょうか?

 この方…とても癇に障ります…。

 

 あら? なんで優花里さんと麻子さんは、座り込んでしまっているのでしょう?

 ダメですよ? 女性が直接、地面になんて座っては…。

 

 …しかし、この女性…なぜか嬉しそうな顔してますね

 

「…いいわね貴女。あの女以来よ? 私にそこまで喧嘩売ってくるの…」

 

「あら、失礼な。誰も喧嘩なんて売っていません。…喧嘩腰で来られた方に、それ相応の態度で接しているだけですよぉ?」

 

 そもそも、あの女って誰の事ですか?

 存じない方を引き合いに出されても、困るだけです!

 

 …沙織さん。腰が抜けたみたいに、私に縋り付くのやめてください。

 私、スカートなんですよ?

 

「…あわ……あわ……」

 

 何を震えて…風邪ですか?

 

「…ちょっといいですか?」

 

 あら? 小山先輩?

 手を上げて、彼女に光の無い目を向けましたね。

 

「私は「小山 柚子」といいます。隆史君の学校の先輩…兼、生徒会仲間です」

 

「タカ君の? あぁ…」

 

 何か、納得した顔をしましたね。

 

「取り敢えず、初対面でコレは流石に…そもそも、貴女…。隆史君と、どういったご関係なんですか? まず名前くらい…」

 

「私?」

 

 そうです、貴女です。他に誰がいますか。

 しかし…やはり小山先輩…結構、言いますね。

 真っ先にこういう時は、仲裁に入る方ですのに…。

 不審者を見る目で見ています。

 えぇ…とても良い目…。

 

「…あ、まだ名乗ってもなかったか。まぁいいわ! まず…私とタカ君は…」

 

 しかし…この方…見た目と違い、結構ハキハキとモノを言いますね…。

 小山先輩から聞かれた事に答えようとしてますね。

 さて…この方……隆史さんと…どの様なかん…

 

 

「 一緒にお風呂くらい、気軽に入れる関係ね!! 」

 

 

 

 お…ふろ……

 

 

 

 

「「    HA ?    」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……。

 

 …………。

 

 

 

 

 

「あ、皆さん。おはようございます。もう来てたんですね」

 

「みっみっっっ!! みぽぉぉリィィン!!!」

 

「にし!! じゅみ!! どにょぉぉ!!!!」

 

「   」

 

「わぁぁ!! 何ですか!? 何ですか!?」

 

 

 後ろが少々、騒がしいですねぇ。

 しかし…何をこの方…勝ち誇った顔を…。

 そんな妄言、信じませんが…気に食わない…えぇ…本当にっ!!

 

「華がぁ!! おかっ!!! おかしくなっっちゃってぇ!!」

 

「怖いです!! もう、普通に命の危機を感じます!! あの方達、なんであんなに至近距離で、睨み合ってるんですかぁ!!??」

 

「  」

 

「何を言って………………あっ」

 

 ん…みほさんの声が聞こえた気がしました。

 いえ…気のせいではなく、ご本人がいらっしゃいましたね。

 

 あら?

 

 手に持っていた、お布巾……落としましたよ?

 何を顔を青くされてるのでしょう?

 

 怖くない。

 怖くないですよぉ? 

 

 沙織さん達は、何故かそんな状態ですが…ほら、小山先輩も元気に、この女と睨み合ってるじゃないですかぁ?

 

 ……。

 

 目。

 

 そうです…。

 

 目です…この目……。

 

 先程からの視線…分かりました。

 何故か知りませんが、私の胸元をずうぅっと…見ていたのですね。

 またその視線…。

 

 私を全否定するかの様な…目。

 

 これが…とても癇に障る…。

 

「え…あ……涼香…さん?」

 

「あら、みほちゃん?」

 

 ……。

 

 え?

 

 みほさんが、硬直しました。

 この失礼な方と、面識がお有りな様で…。

 

「みぽり…ん? え? 知り合いなの? 知ってる人なの!?」

 

「あ…はい…」

 

 困惑した顔。

 よく分かりませんね? この態度では。

 みほさんと、隆史さんのお知り合い…って、事でしょうね。

 で、あの呼び方…。

 これはまた…。

 

「あ~らま! 随分と女らしくなったわね!!」

 

 硬直してしまったみほさんが、皆さんの視線を集めています。

 …随分と親しげに、みほさんに話し掛けるこの方。

 本当に…何といいますか、姿格好と雰囲気がアンバランスすぎて、少々戸惑います。

 

 ……。

 

 ん?

 

 この喋り方…雰囲気……何処かで…。

 

 

 ドサッ!

 

 

 …と、今度はまた後ろから、何かを落としたような音。

 あら…後ろを振り向く前に視界に入った、みほさんの顔が…蒼白…。

 

「……チッ」

 

 このみほさんに、「涼香さん」と呼ばれた女性。

 突然、顔を物凄く顰めかせ、大きく舌打ち…。

 まるで、後ろの物音の正体が分かっている様な…その後ろの気配に威嚇するかの様な…。

 

 

「色々と、言いたい事…聞きたい事は、それこそ山程あるが…」

 

 

 あら…? あらあら…。

 

 みほさんが、泣きそうな顔になりましたね…。

 どうしたのでしょうか?

 

 少し聞き覚えがある声…。

 

「みほ…。なぜ、この女がここにいる」

 

「お…お姉ちゃん…」

 

 みほさんの声で、一斉に振り向きました。

 麻子さんは、青くなって震えてますが…どうしました?

 

 はい、そこには決勝戦で対峙した…みほさんのお姉さんが、立っていました。

 あらぁ~…物凄く、睨みを効かせていますねぇ…。

 厳しい方の様に感じましたが、ここまでの気迫といいますか…こんな雰囲気の方では無かった様な…。

 

「はっ! こっちのセリフよ。何で、この駄肉の塊が! ここにいるのよ」

 

「黙れ。相変わらず、開口一番それか? 薄い…。人間性が薄いなぁ。薄いのは、その胸部だけにしておけ」

 

「いきなり他人の人間性がどうのって、言う人の方こそどうなの? それに私は無駄がないだけぇ。体脂肪率って知ってるぅ?」

 

「……」

 

「……」

 

 あらぁ…。

 

 優花里さん達の腰が、完全に引けてますね。ですから、地面に直接座らないでください。

 

 あって数秒しか経っていないと言うのに…完全に睨み合ってますねぇ。

 あ…小山先輩が、胸の前で、両手を握り締め…何かお姉さんを見ていますね。

 なる程…では! 私もお姉さんを応援しましょう!!

 

「なに? それにその格好。まぁぁた、男に媚び売る様な格好して」

 

「…似たような格好をしている、貴様に言われたくはないな」

 

 そうですね。

 似たような格好をしていますね。

 まぁ…随分と突起が違いますが…本当に……隆史さん好みらしい格好…。

 白を基調とした…随分とまぁ…。

 

「私は清楚を地で行く女ですからぁ? 似合うからいいんですぅ! 肉なら肉らしく! 普段みたく、その垂れ下がった脂肪を、見せつける様なビッチな格好でもすればぁ? 母娘揃って、タカ君誑かしやがってっ!!」

 

「垂れっ!!?? お母様と一緒にするなっっ!!」

 

「お姉ちゃん!?」

 

「それに、何が清楚だっ!! 熊を素手で挽き肉にする女の、どこが清楚だ!! 笑わせるな!! 隆史が思いっきり引いていたぞ!!」

 

「淑女の嗜みですぅ!! それに、たかが熊殺し程度で、タカ君が引くわけないでしょ!!」

 

「諦められているんだろうっ!!」

 

 ……。

 

 …………えぇと…。

 

 どうしましょう。応援し始めた手前、なんですが…。

 完全に場を乗っ取られました…。

 すごい至近距離から、罵りあってますねぇ。

 

「チッ!! いつもだったら、真っ先に胸ぐら掴んでくるのに…なに? 日和ったのぉ!?」

 

「掴み合いなんて、していられるかっ!! 態々、貴様の土俵に上がる訳がないだろう!!」

 

「ケッ! 本気で日和やがった!!」

 

「……はっ…。それにこの服は、隆史が選んだ服だ。貴様の様な、下卑た変態に触れられたくないだけだ」

 

「だめよ……タカ君…。豚は服を着ないのに……」

 

「…この……」

 

「あ! 豚は、体脂肪率が極めて少ない動物だったわ、豚! 失礼だったわね、豚! ごめんなさい、豚!!」

 

「よし、マウスの修理が、そろそろ終わる頃だったな!」

 

 あら、楽しそうですね。

 こうまで感情むき出しにして怒鳴り合う場面、ちょっと…えきさいてぃんぐですね!

 みほさんのお姉さんって…もっと冷静な方だと思いましたのに、結構! 熱い女性なんですね!!

 好きになれそうです!!

 

「ど…どうしよう…。私じゃ止められないし…」

 

「あらぁ…? みほさん、止めてしまわれるんですか?」

 

「…華……何で、心底残念そうなのよ…」

 

「西住殿…」

 

「ぇ、あっ! はい!!」

 

「あ…あの西住 まほ選手が、アソコまで露骨に…あの方、誰なんですか? 西住殿ともお知り合いの様ですし…」

 

「うん、私も気になる。冷泉さん…寝起きでアレだから、萎縮しちゃってるし…」

 

 驚く程に普通になりましたね、小山先輩。

 冷静に、麻子さんを介抱されていますね。

 …その麻子さんは、小山先輩の胸に埋もれて苦しそうですが。

 

「あ…うん…彼女は…その。もう一人の私達の幼馴染みと言いますか…その……あの人は…」

 

 酷く言い淀んでいますね?

 何か、言い辛い間柄なんでしょうか? でも…幼馴染みと仰言いましたし…。

 

 一体、何者なのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

「……」

 

「…あの…エリちゃん?」

 

「…呼び方」

 

「あ、はい。エリたん」

 

「 コ ロ ス ワ ヨ 」

 

 はい、現在はここ。

 大洗学園のある、学園艦へと帰ってきました。

 先行してスタスタ歩くエリカの後ろを、トボトボと着いていっています。

 

「はっ…アンタ……達の家…ねぇ?」

 

「……」

 

 はい、掻い摘んでですが、現在の状況を説明させて頂きました。

 華さん…後に、マコニャン…との同居。

 同棲ではありませんよ?

 ルームシェアみたいなモノだと、今節丁寧に…。

 

「どうせアンタの事だから、家元が用意したからって理由が、大半でしょ?」

 

「」

 

「まっ…私が兎や角言うのも筋違いだけど…大概にしなさいよね」

 

「……」

 

 不機嫌…すこぶる不機嫌!!!

 彼女のゴミを見る目は、非常に…その…一部の方には、とてつもない人気が出そうな気迫を感じます!

 

 車に乗り込み、宿泊したサービスエリアから出た時には、すでにいつもの感じに戻っていたのに…。

 例の告白とやらも、今になればはっきり言える。

 冗談だと…言っていた。

 アンタを試したのよの、ごめんなさいねぇ? とか、悪びれる事もなく、淡々と言われました。

 たかが小さかった頃の事。…昔の思い。

 

 子供の頃の「初恋」を、現状でも継続してると思うなよ? このカス。

 

 …だそうです。

 

 えっと…流石に俺でも鵜呑みにはしなかった。

 早朝の会話で、全てバレてしまったとか、言っていたしな。

 それに…。

 

 ただの言い訳だと思っておいて…と、最後に呟いたのが、少々心に来る。

 

 

「…で? そっちの…貴女はどう思う? この…カスの状態」

 

「わっ!? 私か!?」

 

 はい、そんな訳で、カス呼ばわり継続中。

 はい、もう一人いらっしゃいますねぇ。

 学園艦に入り、すぐに出会ったもう一人の隊長さん。

 いつもと違う服装に、エリカは初め、信じていなかったけど…。

 でかい一本の三つ編みに髪を纏め…非常に俺好みの地味な格好をしております。

 

「隆史」

 

「…はい」

 

「……えっちなのは、いけないと思うぞ?」

 

「なんでそうなるんだよ! チヨミン!!」

 

「近しい年齢の男女が、一つ屋根の下とか…憧れ…違う!! 非常に…その…どうかと?」

 

「…えっちでは、ないと思うのですが?」

 

「……隆史。説得力って漢字を書けるか?」

 

「……」

 

 信用がっっ!! ない!!! まぁ!! そうだろうけどさぁ!!

 

 はぁ…。

 

 どうにもチヨミン。俺に用事があったようで…まぁ……その時の出店の件で、会長と接触。俺の自宅を聞いたそうだ。

 アンツィオは、エキシビジョンには参加しない…金が無くて。

 その試合会場で、商売をするつもりではいたらしい……金がないから。

 ちゃんと働いて稼ぐのは、いい。すごくいい!!

 ミカに見習わせたい。あぁ!! 本気で見習わせたい!!!

 

 

 …ま、まぁそれで、俺に何か頼みたい事があった様で…俺の自宅へと赴く中…その家主の俺が、トコトコと歩くチヨミンを発見確保したと言うことです。

 

『 …自己紹介してどうする 』

 

 はい…俺の格好を見て、開口一番そう言った…。

 はい、熊出没注意のTシャツを見て、エリカと同じセリフをオッシャイマシタ。

 …ただなぁ…何故かエリカの事をジィーと見て、大きくため息をついたのが、強く印象に残っている。

 

 そのエリカが、昨日購入したのは、パーカーだった様で、昨日から俺が押し付けた熊出没注意の上から羽織っているといった格好。

 前をファスナーで閉めているから、変な熊も見えないし…そんな変な格好ではないと思うのだけど…。

 

 そんなこんなで、3人で自宅へ帰宅中…。

 チヨミンが、一瞬眉を潜めたが、「隊長への言い訳に使えそう…」とか、淡々と言っていたのが少々怖かったヨ?

 

 

 

「まぁ、それが普通の反応よね。アンツィオは、比較的に隊長()()がまともだからね。それが一般論よ」

 

「比較的ってのは、余計だ!!」

 

「あの…カルパッチョさんは?」

 

 

「 アレが一番 オ カ シ イ 」

 

 

 

「……」

 

 

 力強く、否定されてしまいました…。

 あの人も常識人だと思うのだけど…変か?

 ペパロニは……ゴメンナ?

 

「はぁ…。例えば…そう。例えばだけど!!」

 

 エリカが、顔を赤らめて…なに?

 腕を組んで、後ろを向いてしまった。

 

「あ…アンタが大人になって…その…私との間に子供がいたとしましょう。それが娘だとしましょう!!」

 

「「 …… 」」

 

 えっと…。

 

「なに? どしたの、エリカ? え?」

 

「…突然、何を言い出すんだ。この黒森峰の副隊長……」

 

 なんか、トチ狂った事を言い出した。

 は? 子供?

 

 反応に困る!!

 

 

 

 ……。

 

 

 …………でも何故だろう。

 

 

 その子供とやらを簡単に…それこそ、見た目まで、想像できてしまったのは…?

 多分、名前は…。

 

 

「その娘が、高校生なんて多感な時期に、男と同居なんてしたら…どうする?」

「え? 相手の男、ぶっ殺すけど?」

 

 

 

「「 …… 」」

 

 

 

「…な…なんだ? 即答の割に、言葉に重みがあったな…」

 

「本気の殺意を出したわね…ちょっと怖かった…」

 

 特におかしな事を言った気はないけど…。

 まぁ? うん。 裂くよね? 取り敢えず。

 それに耐える事ができたら、始めて命乞い位は聞いてやる。

 

「そ…それと一緒よ!」

 

「ぬぅ…」

 

 そう言われてしまうと、そうだなぁ…。

 しほさんは、何故か強引にこんな事を実行したけど……常夫さんなら、怒り狂うだろうなぁ…。

 でもなぁ…。

 

「家元がその家を用意したって言っても、その…男親は知らなさそうだし…ちゃんと聞いておいたら?」

 

「ぐ…んん…。まぁ…今度聞いてみるわ…」

 

「そうね。そうしなさい」

 

 何時までも内緒でってのは、一番まずいだろう。

 なんだかんだ、大洗に来れたのも…俺に転校をお願いしてきたのは、常夫さんだ。

 それとなく…しほさん通してでもいいから、聞いてみよう。

 それで…少し。ちゃんと彼の話も聞いてやろう…聞いた上で…まぁ?

 しほさんに怒られない程度には、庇ってやろう…。

 

 あの人、まだキャバ行ってるのかなぁ…。

 風俗に手を出してなきゃいいけど…。

 

 

 ……。

 

 …………。

 

「…なに? どうした、チヨミン。驚いた顔して」

 

「…隆史……お前が素直だ…と……?」

 

 …失礼だな。

 

「普段から、人の言う事はしっかりと聞くようにしてるぞ?」

 

「じゃぁ!! 私の事をチヨミンと呼ぶな!! ちゃんとアンチョ『  ヤ  ダ  』」

 

「なんでぇー!!??」

 

 

 今日はツインテールでは、ございませんので振り回せないため、取り敢えず頭を撫でる。

 両手をパタパタさせている姿は、まぁ……うん。

 

「漫才はもういいから……その気持ち悪い笑顔は、やめなさいよ」

 

 気持ち悪いって…。

 いやぁ…侮蔑の顔ですね…。

 チヨミンと絡み出すと、どうにも機嫌が悪くなるエリカ。

 

 ……。

 

 ん?

 

 

 ……。

 

 んん!?

 

 チヨミンで遊びながらの帰路は、それなりに時間を忘れさせてくれて…。

 気がついた時には、家の近くにまで来ていた。

 

 ……。

 

 家がある方向から…直感だけど…変な特殊能力とかないけど!!

 すっごい悪い気配というか、意識というか!! なんかよくわからないモノがぶつかり合う、衝撃的な何かを感じた!!

 とうか、振動!? は!?

 

「なぁ、黒森峰副隊長」

 

「…なによ、アンツィオ隊長」

 

 急いで携帯を取り出して、電源を入れる。

 着信数とメール数が増え続けていく、携帯の惨状を確認する為ではない。

 時間!! 時計!!

 

「学園艦の上だと、海に浮かんでいるし…地震とか、すぐに分かるモノでは、なかった気がするけど…なんか揺れてないか?」

 

「…そ…そうね」

 

「なんだろうな? 結構強い地震って事か? あぁ、今は停泊してるからかなぁ?」

 

「ありがとう…そういった日常会話を振ってくれて」

 

「何を言ってるんだ?」

 

 何も知らないチヨミンが、可愛くてしかたないな!!

 そういった会話は、安らぎすら与えてくれるんだなっ!!!

 俺にはすでに、原因が分かってるから、余計にそう思う!!!

 

「」

 

 じ…時間……9時20分…。

 

 着信数…しほさんには、昨日寝る前に、連絡をしておいたから、増えてはいない。

 まほちゃんは、途中で諦めたのか、200件付近で、止まっている…。

 

 みほ……431件……。

 

 ……。

 

 

 …………怖っ!!

 

 

 めっ…めーるぅ!!!

 

 

「…………」

 

 あ、はい。

 この着信数の理由が分かりました…。

 俺と同じ様な、中村曰く、電報みたいな文章が多数。

 

「エリカ」

 

「…なによ」

 

「みほからの着信が、430件以上ある…」

 

「よっ!?」

 

「…同じくメールも多数来ていてな…一言二言の簡潔な文なのだけど…」

 

「……」

 

「こりゃ、SOSだ。メールの文章が、助けての文字でほぼ、埋め尽くされている…って、怖ぇぇえよ!!!!」

 

「普通に、ホラーじゃない…」

 

「こりゃ…多分…いるな。まほちゃんも…………姉さんも」

 

「まだ9時頃じゃない…流石に隊長も…」

 

 あ、目を伏せた。

 東京からの移動時間を考えたのだろう。

 けど、ハッキリとこんな時間にいる訳がないと…言い切れないのだろうね。

 

「ん? まほ? いるのか? 後、姉さんって?」

 

 あぁ…チヨミンの無垢な顔が安らぎをくれる…。

 

「隆史…目がキモイぞ…」

 

「……」

 

 …うん。

 

 

 

「まっいいわ。どちらにしろ会って、誤魔化さないと…。早く済ませちゃった方がいいでしょ!?」

 

 エリカ、声が震えてるね?

 

「もっ…もう! この辺りなんでしょ? アンタの家!!」

 

 足も震えてるね?

 まぁ…先程からの近くから感じる、濃い意識。

 もうわかったのだろうね? 

 …すでに戦いが始まっている……。

 

 さぁ…もう……どうなるか…。

 そろそろ腹を括るか。

 

 ……。

 

 …………。

 

 …ん?

 

 なんだ? 足元に…何かが触れている。

 目線を足元に移すと…。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 一番奥の大広間…。

 皆で食事をしている場所…。

 

 普段なら、もう少し賑やかなのだろうけど…今は……静寂が支配しています!!

 怖いです!! 普通にこの静かな空間が、怖くてしかたありませんっ!!

 

 …はい、この方。

 今は出されたお茶に口をつけている、この…。

 

「あの…涼香さん。スカートで胡座は、ちょっと…」

 

「大丈夫、大丈夫! 女同士で何言ってるの!? みほちゃん!」

 

「いやぁ…そういった意味ではなくてぇ…」

 

 部屋の中心…。

 胡座をしたまま、出された麦茶を啜っていますね…。

 いやぁ…なんでしょう! 本当に!!

 

 尾形 涼香殿…と、西住殿より、紹介された彼女。

 まさかぁ…隆史殿のお姉さんだとは、思いもしませんでした。

 しかし…この方、見た目と行動と言動が、見事にミスマッチしてますね…。

 違和感しかありません。

 見た目はすごい清楚ですのに…行動がや言動が…全然…。

 

 他の方々は…。

 いやぁ…睨んでますねぇ…。

 あの場では、隆史殿の姉だと言う事で、驚きが皆さんは先行したようで、あの睨み合いは中断となりました。

 立ち話では、何なのでって事で、皆さん全員がこの部屋に通されました。

 まぁ…家先で、あんな状態を放置させておくのも色々な意味で、ダメですよね!!

 

「……」

 

「……」

 

 しかし…一番、意外なのは…五十鈴殿と小山先輩。

 隆史殿のお姉さんだと、正体が知れた時も、驚きはしましたが、この状態を崩しません。

 特に驚いたのが、小山先輩…。

 この方、普段すっごく優しいですのに…なでしょうか?

 

「…五十鈴さん。隆史君のお姉さん…どう思う?」

 

「……私…初対面の方に、これほど嫌悪感を持つのは、生まれて初めてです」…アノ、オトコイジョウ……

 

「うん。私も……なんでだろう……すごく……目だけで存在その物を否定されてる気分」

 

「あっ! それです! まさにそれ!!」

 

 西住 まほ選手と同じく…すっっっごい! 

 …敵意丸出しです…どうしたんでしょう?

 二人共、目に光がありません!! 表情もありませんよ!! なんでしょう!?

 

「…みほ」

 

「なっ!? なに!? お姉ちゃん!!」

 

 尾形 涼香殿と、西住 まほ選手の間に座る、西住殿。

 完全に板挟みの状態ですので…動くに動けない…そんな感じでしょうか?

 少々声が上擦いていますねぇ…。

 

「 今のこの現状。お母様から全て聞いた 」

 

「…っ!」

 

「…我が妹ながら…こうも大胆な行動に出るとはな…」

 

「あ…あのね? あの…」

 

「まぁ。私も同じ立場ならそうするだろう。…同居人が複数いるとも聞いている……二人きりよりマシだと、自分に言い聞かせているのが、現状だ」

 

「ぇあ……うん…」

 

 あ~…はい。

 何となく何が仰りたいのかは、理解しますが…。

 西住 まほ選手は、同居状態になる生活をご存知になっているのですね?

 

「…どういう事?」

 

「…え? はい…あの」

 

 その姉妹の会話を、口につけたコップの上から睨んでいる…尾形 涼香殿が、西住殿に声をかけました。

 西住殿には、普通の態度ですね。…姉の方は、すっごい睨んますけど…。

 しかし…ちょいちょい、その視線を私達にも向けますね…。

 私達には、睨みつけるといった事はしてこないのですが。

 

 はい。私と武部殿、冷泉殿は、一番部屋の隅っこで、小さくなっています。

 

 怖いですから!! あの渦に巻き込まれたくありません!!

 

 何か言いたそうな、西住 まほ選手。

 しかし、本当に尾形 涼香殿の事が嫌いなのか…視線を外し、喋りたくもない…といった態度を露骨に出してますね。

 

「ねぇねぇ、ゆかりん」

 

「えっ? はい、なんですか?」

 

 ボソボソと同居の説明をしている西住殿を眺めていると、武部殿が耳打ちをしてきましたね。

 顔が若干青いです…。

 

「ぅぅ…なんでか、隆史君のお姉さん…。私を睨んでくるんだけど」

 

「そうか? 私は何かすごい、優しい視線を感じるのだけど…」

 

「そうですか? 特に普通ですけど…」

 

 私を含めた、この三人。

 彼女からの視線が、一様に違う様ですね。

 そんな器用な事できるんでしょうか?

 

 

 

「ふ~~~~~~ん。ま、タカ君らしいっちゃ、らしいけど……チッ! あのババァ」

 

 

 胡座をした膝に肘をつけて…すごい顔してますねぇ。

 大きな溜息の様な、納得できない…といった返事が、聞こえました。

 あからさまに許容できないって感じですね!!!

 五十鈴殿を思いっきり見てます!!

 

 ババァって誰のことでしょう!?

 

「……あっ」

 

 ん?

 

 あれ?

 

「…あれ、どうしたんです? 涼香さん」

 

 突然、崩した脚を上げて…正座に座り方を変えました。

 

「…下品な」

 

 一瞬、苦虫を噛み殺したかの様な顔をした西住 まほ選手。

 いや…まぁ普通に見えますよね。スカート短いですから…。

 なんか…すっごい派手な……その…。

 

「……」

 

「…あ…あれ? 涼香さんが、お姉ちゃんに言い返さない…」

 

「……」

 

「……」

 

 その様子を見て、今度は西住 まほ選手が、周りをキョロキョロと目だけ動かし始めました。

 こ…怖い。

 お互い、見もしないで無視し合っているのに…牽制し合っているといった感じしかしませんよぉ。

 再び訪れる静寂が…また……。

 

 んっ?

 

 縁側の先…庭の奥から、何か声が聞こえてきした。

 土を踏む音と共に…あれ?

 

 

 

 

「こっちか!!」

 

 

 

 

 

 家の中に上がらず、そのまま玄関前から、外から回ってきたのでしょう。

 はい、おかえりなさい。

 

 隆史殿。

 

 熊本にまで出向いたと聞いていたのですが…随分とお早いご帰宅ですねぇ。

 西住殿も、驚いて……あれ? すっごい安堵の表情…。

 

 …って。

 

 

 少々、顔を青くした隆史殿。

 ラフな格好はいつもの通りなのですが…。

 

「姉さんも…本当にこんなに早く来るなんて…」

 

「……」

 

「マジで、まほちゃんまでいる……」

 

「ふむ、隆史」

 

 この現状を分かっていた…かの様に、仰っていますね。

 普段通り、軽い口調で縁側まで歩いて来られた隆史殿。

 色々と思う所はありますが…。

 

 でも取り敢えず。

 

「なんだ、その服は。自己紹介してどうする」

 

 

「…………」

 

 

 はい。皆さんもそう思っていましたね。

 一斉に頷いてますね!!

 

 さて…この状況…どうなるでしょうか…?

 

 少し、楽しみにしている自分がいますよ!

 

 ……人間って…慣れる生き物なんですねぇ…。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

「タァァァカくぅぅぅん!!!」

 

「…やめろ、姉さん。首に抱きつくな」

 

 家についた早々…また、懐かしい呼び方で、はしゃいで来る姉さん。

 縁側に近づいた瞬間に、抱きついて来ましたね。

 はい、まほちゃん。すげぇ目で姉さん見ないでやって…。

 

「お…お帰り、隆史君」

 

「あぁ、ただいま。みほ」

 

「……」

 

「しかし…これは一体、どういった状況……あれ? 柚子先輩?」

 

「……おはよう、隆史君」

 

「お…おはようございます」

 

 え…益々、状況がわからない。

 華さんと並んで座り…目がすごい座ってる…。

 

「…みほ。何をにやけている」

 

「う…ウフフ…お帰り……ただいま……」

 

「みほ…ちょっとこっち見ろ」

 

 あっちの姉妹は、姉妹で…何か至近距離だし…。

 しかし、よかった…思いの外、事態が安定していて…。

 まぁ、いつもの様に睨み合いの硬直状態が続き、みほがどうしていいか分からなくて困っていたって感じだろうか?

 

「小山先輩…」

「何? 五十鈴さん」

「あの方…隆史さんが来る事をまるで分かっていた様ですね」

「そうね…あからさまに、座り方を変えたものね」

「……」

「……」

 

 あ…うん。

 あの二人…なんで仲良くなってんだ?

 

「ま…まぁいいや。華さんも…その、ただいま」

 

「はい! 隆史さん!! おかえりなさい!!!」

 

「…チッ」

 

 あ…はい。一応、もう一人の同居人へ挨拶すると……あれ?

 気のせいか? 華さんの機嫌、悪い様に感じたんだけど…パァァ! って明るい顔に変わったな。

 柚子先輩と仲良くなったと一瞬感じたんだけど…すっごい光の無い目で、華さんを見だしたし。

 

 …あれ? 首が苦しい…。

 

 部屋の中を見渡して、人数を確認していると、首が段々と絞められていく…。

 

 はい。

 

 首元に抱きついている姉が、その手に力を込めていた。

 そのまま耳元で…でっかい声で…。

 

「ねぇ? タカ君? いつもの様、私に甘える前に、一つ聞きたい事があるの」

 

「あ…甘えた事なんてないだろ!!」

 

 強引に腕を解こうとするが…くっそ!! ビクともしない!!!

 

《 …… 》

 

 あぁ!! もうッ!! 全員が生暖かい目で見てくる!!

 

 首にぶら下がった姉をそのままに、庭に踏ん張れるように立つと…思いっきり力を込めてみる。

 足腰だ!! 腹に…丹田に力を込めて、全身の筋肉を意識する。

 腕の力だけじゃない。多分、それだとダメだ!

 膨張する筋肉を意識!! 限界を…限界を超えろ!!! 俺!!!

 

 

 ……

 

「動かねぇぇぇぇ!!」

 

「いやぁ~まだまだねぇ」

 

 楽しそうな声がするのが、また腹立つ!!!

 あぁぁぁ!!! くっそぉぉぉ!!!

 

「書記の奴…顔真っ赤だな」

 

「なる程。あれが車外の血暴者の後継者…」

 

「ゆかりん…」

 

「隆史君。相変わらず、おばさんと涼香さんには、勝てないんだね…」

 

「みほ…あれは人外なんだ。言ってやるな。隆史が可愛そうだ」

 

 ギャラリィィィ!!! 

 可哀想はやめてっ!! 普通に泣きたくなる!!!

 

「みほちゃんに事情を聞く前ね? タカ君が、初め本当に女連れ込んで、一軒家でハーレム構築なんて…そんな、ゲスな事してると思っちゃったの」

 

「似たような物じゃないのか?」

「麻子…」

 

 マコニャン!!!

 

「諸悪の根源は、()()、あのババァだったから…。それにそこの駄肉と違って、みほちゃんなら……まぁ…許容範囲ね…」

 

「何言ってんの!?」

 

「…本当に、ただのゲスになってたら、責任を取ってタカ君殺して、私も死のうかと思ったけどね」

 

「本当にやりそうで怖いんだけど!!」

 

 強引に振り解こうとしても、びくともしない!!

 くっそ!! ちょこちょこ、耳に息かけてくるし!!

 

 

 

「…何時までも待たせて、なにやってんの?」

 

 

 なに!? 今度は!!??

 

 首を決められている顔の正面。

 …玄関前で待っていてくれと言って…放置していた二人が、引いた顔で立っていた。

 

 あぁぁ!! もうっ!! 考える暇もない!!

 

 顔を動かした矢先、違う人が次々と現れるよ!!

 

「……またぁ…増えたぁぁ……」

 

 その新たな来訪者に…まほちゃんが反応した。

 まぁそうだよな! 副隊長だものな!

 

「…エリカか……んっ? 安斎?」

 

 

 

 

 この場が段々と、混沌と化していく気がする…。

 

 

 

 

 

 

 

 




閲覧ありがとうございました
でぃすり合いが、次回すごそう…
マイルドにできればいいなぁ…。
ああ…後……


平穏ってなんだっけ?
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