転生者は平穏を望む   作:白山葵

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はい。今回、ちょっと書き方変えてみました


第10話 愛してるゲームでタイマンです! 前編

『  い や だ  』

 

 

 

『はぁぁい! 尾形の真顔の一言。そんな拒否すら拒否し、始まりました! 「愛してるゲーム」と言う名の、タイマンゲーム!』

『司会進行は私、中村 孝と』

『林田 優(スグル)で、お送りします』

 

『いやぁ…始まりましたねぇ。中村さん』

『はい、始まりましたねぇ…。司会進行! …拒否権なんて、端からありませんでしたね!』

『しかし、なんで、司会が私達なんでしょうか…』

『尾形の唯一の男友達…って、だけみたいですね!』

『とばっちりですね?』

『とばっちりです』

 

『おや? すっげぇ、嫌そうですねぇ…尾形選手』

『そりゃ、ここのメンツのほぼ全員に、愛してるだの言わないといけませんからねぇ…そろそろ胃に穴でも空いて、血でも吐きそうですね!』

『中村さん…私は、すでに血の涙でも流しそうです…嫉妬で狂いそうです!』

『はい! ではルール説明!』

『はい! 無視ですか! そうですか!!』

 

『はい、ここまでの流れを簡単に説明します!』

『まずは、すでに席に座り、スタンばっている尾形選手』

『えぇ! 「合コンとかでのゲームだろ? アイテシルと強制的に言わされて、すっげぇ嫌そうな顔される、ドM御用達のゲームだろ?」 との事でしたね!』

『まるで、合コンした事がある様なセリフでしたねっ! 尾形選手、ありゃ多分、経験者ですね!』

『ばっ! 林田!!』

 

《 ……… 》

 

『はぁぁい! 殺気充満して、開始前から、盛り上がってまいりましたぁ!!』

『…ぉぁあ…。尾形が小刻みに振動している…。お前、ワザとか……』

『……うるせぇな。こんな役回りだ…この位の権利は、あるだろうが…』

 

『……』

 

『はぁぁいっ!! では、簡単にルール説明します!』

『はい! やはり中村さんも、俺と同じ気持ちですね!! 尾形選手! 睨んでも無駄です!!』

『結局、了承したのだから、すでに貴方に私達に対する、発言権はありません!』

 

『はい! では、簡単に説明します!』

『ルールは単純明快! 「愛している」…に、類似したセリフを交互に吐いてもらい、照れた方が負けとなります! 制限時間は、各々3分!』

『タイマン・ルールを適用、机に向かい合って座ってもらっております。勝負が着くまで行ってもらいます! 先攻は、全て女性陣から!』

『そして、負けた方は罰ゲーム! 相手の言う事を一つ! 何でも聞く…と言う事になります』

『「ん?」 …と、ならない様、ゲーム開始時に、まずは女性側から尾形選手にお願い…という名の、強制労働を発表してもらいます!』

『常識の範疇と判断され…周りの了承が取れれば、ゲーム開始となります! というか、彼女の西住さんの許容範囲がボーダーとなりますね!!』

『逆に女性側が負けた場合は、相手である、尾形選手のひん曲がった性癖を叶える為に、そのドス黒い欲望を聞かなければなりません! まとめてしまえば、負けた方が勝った方の奴隷になる。そういった趣向です!!』

 

『あ? 違う? 何が? どーせ、エロい事でも頼むんだろ? この変態』

 

『はぁい!! そういった訳で、尾形選手は無視ですね!』

『そもそもこれが、尾形選手がこのゲームに参加を了承した理由となります!』

『ここで、特別ルールを追加。どうも尾形選手の発案…というか、条件ですが、相手の女性のお願い内容によって、勝った場合にのみ発表…と、なります』

『女性陣のお願いって奴が、規格外の内容ですと、それに比例して、尾形選手のお願いもまた、変態地味ていくといった事ですね!!』

 

『しかし、こんなルール…良く全員が呑みましたねぇ…。どうやら尾形選手、このゲームに凄まじい程の自信を持っていましたが…』

『いやぁ…寧ろ、良くこんなゲーム開催を許しましたねぇ、西住さん…』

『彼女も彼女で、何かお願いでもあるのでしょう。…基本、朴念仁の尾形だし』

『普通に、浮気禁止とかじゃね?』

『いやぁ…どうだろ。彼女、ほんわかしてるけど……闇が深そうだし…。俺は単純に興味があるわ』

 

 

 

『『 …… 』』

 

 

 

『はぁぁぁい!! 以上!!! ルール説明でした!!』

『順番は、各学校の隊長達に先陣を切ってもらいます! 後は各々、希望なりジャンケンなりで決めてください!』

『大体いつも聖グロから始まりますからねぇ…』

『聖チュートリアル学園ですからね。流石に毎回では不平不満が出ますねぇ』

 

 

『はぁい。順番も決まりそうですので、本格的にそろそろ開幕と相成りますね!』

『……』

『どうしました? 林田さん?』

『いやぁ…どうして、彼女達…なぜ態々、こんな茶番に参加したのかと…ある意味で、傷つく…というか、虚しくなるだけではないでしょうか?』

 

『…………』

 

『ん? どうしました? 中村さん』

 

『お前は…たまに核心をつくな…酔ってるか?』

『…泣きましてよ?』

『それはですね? 全員が同様の事を仰っておりました。……本気で自分達に照れる、タラシ殿が見てみたいそうです』

『……』

『寧ろ俺は、林田が我慢してまで、こんな司会を引き受けた事に疑問を感じるが…』

『いやね!? 美少女達が、真っ赤になって悶える姿を、ただ見たいと思ったんだ!!!』

 

『……』

 

『相手が尾形だし…虚しいのは分かるが、それはそれだ!!』

『……』

『……』

『…理解はする』

『 中村!! 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁい! 順番が決まったようです! 一人目の犠牲者が、席につきました!!』

 

『…………』

『…………』

 

「…ふむ。このゲームとやら…これはこれで、楽しみだな」

 

『ま…まさかのラスボス…』

『いきなりかよ…大丈夫か? この番組…構成考えてる?』

 

『はっ…はい! そんな訳で、西住流家元 後継者! 西住 まほ選手!!』

 

『…いやぁ…なんでまた』

『あぁ! なる程!! 頭の良い彼女です! なんの考えもなく、こんな馬鹿なゲームの、一人目を希望するはずがありません!』

『なんですか!? 中村さん!?』

 

『この手のゲームは、回を重ねる事に、慣れてしまっていくモノです。彼女達一人一人は、一回ずつですが…尾形選手はこの後、アホみたいな回数をこなさなければなりません!』

『…あ、各選手が一斉に、西住 まほ選手を見ましたね』

『ですから、初手! 慣れていないこの一回目が、明らかに有利と踏んだのでしょう…』

『……あ、あの冷静な西住 まほ選手が、思いっきりドヤ顔を披露しましたね…』

 

『『 …… 』』

 

『おい、中村…尾形の奴……すっげぇ無表情だけど…』

『…おかしい…いつもだったら、この周りの空気に右往左往しているだけだったんだけど…』

『では…』

 

『西住 まほ選手のお願い…「()()膝枕をさせて欲しい」だ、そうです!!』

『……』

『はいっ! 林田さん!! 気持ちはわかりますが、細かい事は省いて、仕事に集中しましょう!! この先、まだまだ有りますよ!?』

『…会場中が、ざわついてますね…またって、言いましたね…』

『ジャッジは…………OKでました!! 妹さんが、生徒会長に抗議しておりますが…他の全員は微動だにしません!』

『……今後の事を考えての事でしょう…。あの会長は会長で、何を頼むつもりなんでしょう…』

 

『では、試合開始です』

 

「ふぅ…私からだな…では……」

 

『余裕の表情で、尾形選手を見つめ出しましたね…』

 

「……」

 

『相変わらず、きっつい目ですねぇ…。涼しい顔で……おぉ!?』

『西住 まほ選手、微動だにしなくなりました!! では…の、後、小刻みに振動を始めましたね!!』

『こんなに早く、試合が動くとは思いませんでした!! いざ「愛してる」の一言を言わないといけない事を、まるで今! 思い出したかのように!!』

『先ほどのドヤ顔は、どこへ行ったのでしょう!!??』

 

「ぅ……うぅ……んんっ……」

 

『声が艶っぽい!! というか、エロい!!』

『また顔が赤いのが、素晴らしい! この人のこんな表情、見れるなんて思いませんでしたね! すっごく言い倦ねております!!』

『本来は、攻め側も照れてしまったら、負けですが…まぁ!! 今回のゲームには、適用されません!! 勿体無いですから!!』

 

……

…………

 

『斜め下を向いてしまいましたね…』

『右腕で左腕を抱きしめる様に掴みましたね…なんでしょう、中村さん。冷たい印象しかなかった彼女が、めちゃくちゃ可愛く見えます』

『そうですね!! えぇ、そうですね!!! しばらく見ていたいですが、持ち時間は3分しかありません………後、私達の命もその位でしょうか? 逸見選手にすっげぇメンチ切られてます』

『…あっ! 彼女の口が開きましたね!』

 

「た……隆史…その……」

 

「……」

 

『…尾形選手が、すっげぇ無表情で、相手の目をまっすぐ見てますね…』

『……あいつ、このゲームの有利に運ぶ方法…知ってんじゃねぇか』

『んん!! 言いますよ!! すごくソワソワして来ました!!』

 

「ぁ…愛して……いる…ぞ?」

 

『……』

『……』

『最後、上目使い! 上目使いで、言いましたね!!! 中村さん! 私、なんか悶えそうです!!』

『なんでしょう!? この破壊力!!! 正直、こんな役回りどうかと思いましたが、役得ではないかと思い始めました!!』

『さぁ! 相手の尾形選手は!?』

 

「…………そうか」

 

 

『『 ………… 』』

 

『ひ……一言…。微動だにしない…というか、顔色すら変えませんね…』

『うっわ…西住 まほ選手が、軽くショックを受けていますね…』

 

『では、ここで尾形選手のターンです』

『…さぁあの朴念仁…。何分、言い淀むのか…マゴマゴした尾形見ても、キモいだけですけど…』

『さて…どうでますでしょうか?』

 

 

 

「……まほ」

 

 

 

《「!?」》

 

 

 

「 愛 し て ま す 」

 

「!!!??」

 

 

『……』

『……』

 

『…今…すごい音したな…』

『西住選手が、思いっきり机に額を打ち付けましたね…あぁ……顔を両手で隠してる…』

『あいつ…速攻で勝負をつけた……あれだ……。そっけないフリして、呼び捨て……しかも彼女に対して敬語で、愛してますって……。落として上げるって奴の良い見本だったな…』

 

『…西住選手、ハァーハァー息切れしますね…ここの司会席にまで聞こえます…』

『ある意味で、幼馴染の為に彼女の性格を知っていての作戦だったのでしょうか?』

 

「ぁ……う……」

 

『たかがゲームで、西住選手……虫の息です…』

『はい…勝負有りですね』

 

『尾形選手の勝利です…』

 

「ぁぁ…う……」

 

『では!!! 鬼畜先輩から、敗者である「西住 まほ選手」への奴隷勧告をどうぞ!!』

『…林田。その言い方は、やめよう…マジで逸見選手から刺されそうだから』

 

『…………』

 

『どうぞ!!!』

『やめない!?』

 

『 「乙女の戦車道チョコ・カード。撮影枠追加。……白バニーガール」 』

 

『…あ…あいつ、ある意味で容赦ないな…』

『どうにも、カードにはしないけど、撮影自体はできるそうだから…との事です。職権乱用ですね!!』

『素晴らしいと思います!!!』

『はい!! 素晴らしいです!!!』

 

「……」

 

『西住選手……聞いていませんね…顔真っ赤です…』

『……でもなんでしょう? すっごいニヤケテマスネ…』

『……』

『……』

 

 

 

 

 

 

『続いて、二人目の犠牲者の着席です!』

 

『……』

『……』

『…いやな? だから番組構成を考えろよ』

 

「あぅ…」

 

『大洗学園、優勝への立役者!! 西住 みほ選手!!!』

『いきなり、姉妹が犠牲者となります!! …というか、現彼女だろうが…。いくら今回、隊長達から先だとしても…いいのでしょうか? …最後にしなくて』

『はぁぁい!! 西住 選手! 完全に場違い感がすっごいです!! 拉致されて来た感が、しっくりくるほど、オドオドしてますね!!』

『…ある意味、周りは尾形選手とのノロケを見せつけられ、彼女からすれば…それを見させられる……こんなの得するの、尾形選手だけですね!』

『……あぁ、あいつ辱めるの好きだからな…』

 

『……』

 

『はい、尾形選手。 ウ ル セ ェ 』

 

『では…さっそく、気になる西住 みほ選手の要望…』

 

『『 …… 』』

 

『「朝昼晩のお料理に、もうピーマンを入れるのは、やめて下さい」…だって』

 

『  』

 

『…ふ…普通だ……なんだこれ。……ん? 中村さん? どうしました?』

 

『 こ… 』

 

『こ?』

 

『こっっっわっ!! 怖っ!!!』

 

『は?』

『ここに来て、態々日常会話をぶっ込んで来た…』

『いやいや…何が?』

『これってさ……こんな要望、普通に普段言えばいいだろ? 周りを見てみろよ…』

 

『!!??』

 

『な? 全員の表情が消えてるだろ…』

『えっ!? な…なんで!?』

『多分彼女達は、俺らと同じで、尾形の現状を知っているんだろ…。その事も西住さんも気がついている。……それを踏まえて、この要望…』

『……』

『…要は……あからさまに、見せつけているんだろ…』

『…………………』

 

『同居していますって…』

 

『  』

 

『怖い!! 女って、どうしてこうっ…!! 西住さんすら、例外じゃなかった!! 女怖い!! 超怖い!!』

『西住さんの目に、光がない…って、なんか呟いてるな……』

 

「怨嗟の声すら、血肉に変え……なる程……」

 

『『 …… 』』

 

『ゲ…ゲームを続けましょう!!!』

『そうですね!! 見なかった事にしましょう!!!』

『ではっ! 西住選手のターン!!!』

 

「……」

 

『……』

『……あの…』

 

「え? あ、はい!」

 

『……』

『……』

 

「え~と…えっと……ぅぅ…」

 

『…やっと、現状を認識しましたら、いつもの西住さんに戻りましたね?』

『安堵…という意味を、今…改めて理解しました…』

『さぁ…現在の彼氏相手にどう出るでしょうか!?』

 

「ぁ……ん……ぅあ……」

 

『マゴマゴし始めましたねぇ…相変わらず、エロ住姉妹は、エロいですねぇ…』

『…中村さん。尾形選手と言っていた、彼女がエロいというのが、最近理解できてきましたよ! 姉妹揃って、言い倦ねている声が艶っぽい!』

 

「あ……あい…」

 

『おぉ!! 結構、素直に言いそうですね!! 負けても今回の目的は果たしたと、お考えなのでしょうか!?』

『…林田』

『……すまん。忘れよう…目的なんて無いよな…』

『そうだ…』

『しかし…微動だにしない尾形も、若干怖いな…』

 

「あいっ!!」

 

『『 あい!? 』』

 

 

「愛してまっ!!……すぅ……ぅぅ……」

 

 

『『…………』』

 

『良い!! 良いですねぇ!! 林田さん!!』

『はいっ! 素晴らしいですね!!! 胸の前で握り締めた両手の拳すらも、赤くなっています!!』

『意気消沈して、消え去る後半のセリフが、彼女の性格を明実にしてますね!!』

『素晴らしいですね! 悶える女性は!!』

『分かります!! 分かりますが…………俺達の寿命が短くなっていくと感じるのも分かります!!』

『さてっ! 尾形選手の反応はっ!?』

 

 

「…そうか」

 

「 」

 

『『 …… 』』

 

『また一言!!!』

『あいつ、どうかしちまったのだろうか…』

『あれか? また落として上げる? って奴か?』

『どうだろう…取り敢えず、西住さんが固まってる…』

『さぁ! 尾形選手のターン!!』

 

「……みほ」

 

「な…何?」

 

 

『相変わらず、微動だにしませんね…。西住選手、名前を呼ばれた瞬間…思いっきり身構えましたね…』

 

 

 

「…みほちゃん」

 

 

 

「ぅっ!?」

 

 

 

「 俺 も だ 」

 

 

「!!!!????」

 

 

『カウンター!!??』

 

『まさかのカウンター!!! 愛してると同義語と認めます、これは有効!!』

 

「ぁ……いや……あ……」

 

『あーー…』

『そうですねぇ…あれはダメですね。勝負アリです』

『さすが尾形選手……やり方が汚い』

『態々、呼び方を2回目は、変えてきましたしねぇ…そこからのカウンター。しかも現状付き合ってる二人だからの、あのセリフ…汚い』

『あぁ…こりゃ、西住選手、再起不能ですなぁ…』

 

「あいっ!? あい……あい!!??」

 

 

『…めっちゃ、キョロキョロしてますねぇ…何を…逃げる気でしょうか?』

『逃げる理由がありませんが…なんでしょう? 蓄積されたのが、一気に放出されたと感じる程の……あれ、大丈夫なんでしょうか? 顔の赤さが異常ですよ?』

『ドクターストップします?』

『…いやぁ……もういいでしょう。 ……では』

 

『 尾形選手の勝利です!! 』

 

『では、日常の要望に比例した、西住選手の罰ゲームを見てみましょう』

 

 

『 バニーガール衣装への着替え。色は赤…丸一日 』

 

『……』

『…エグいな…』

『…姉と違って、指定日が無い…』

『比例してこれか……さっき表情には出さなかったけど、結構、内心焦ってたんだな…』

 

「ぁ……う……あ?」

 

『いやぁ…姉妹揃って、バニーですね。素晴らし!!』

『それにしても、姉妹揃って話を聞いていませんねぇ…まぁ!! いいけど!!!』

『周りの気配が、もの凄く濃いですが…無視です!!』

『では未だアワアワしている、西住 みほ選手の退場でーす…』

『これが、西住キラー…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はいっ!! ここで、物言いが入りました!!』

『はいっ!! 当然ですね!! 先程から、どうもおかしい人物がいますから!!!』

『今、その尾形選手が、機械に向かって息を吹きかけています。飲酒の疑いが持たれました!!』

『…なんで、この学園…アルコールチェッカーが、あるのだろう…』

『ぉあ!? 尾形選手!! 機械に引っかかりません!! シラフです! シラフでした!!』

『……あいつ、素で…ついにあんな真似、出来る様になってたんか』

 

『あ? なんだよ、尾形』

『『 …… 』』

『はい、では尾形選手の言い訳です』

 

『 無だ。…余計な事を考えないで…ただ、からかわれている…そう思うだけ。だ、そうです!! 都合のいい現実逃避ですね!! 』

『西住姉妹が、不憫ですねぇ…しかし、これは案外、手強いですよぉ!? この男、何故かこういった縁が無いと、暫く思っていたそうですから!!』

『もげれば良いですね!!』

 

『そういや、尾形。お前、ゲームが始まる前に携帯ずっと弄ってたけど…なに?』

『…なにを読んで……ん? 「赤星マニュアル」? なんだこれ』

『…なんでしょうか…逸見選手が睨んでますけど…』

 

『では!! 飲酒の疑いも晴れましたので、次の相手に参りましょう!!』

 

『魅惑のホットパンツ!! サンダース・ケイ!! 選手…って、どうしました!? 中村さん!?』

『……』カタカタ

『すでに、トラウマ化してますね…』

 

「OK! ちゃっちゃと済ませるわよ!!」

 

『いやぁ…結構な常識人な彼女が、こんなトチ狂ったゲームに参加するなんて、結構意外ですね、中村さん』

『……』

『結構、オープンな彼女ですが、どうでるでしょうかねぇ? 中村さん』

『……』

『一人で喋ってるみたいで、寂しくなるから戻ってきて下さい、中村さん!!』

『…………』ハイ

 

「ふふ~ん。私は、マホやミホみたいに行かないわよ?」

 

『…振りでしょうか? 中村さん』

『振りですね』

 

「……」

 

『…ケイ選手。中村が怯えるので、真顔で見るのは、やめて下さい』

『 』

『では、まずは尾形選手への要望…』

『 』

「いいわ! 自分で言うから!!」

『え…あ、はい。お願い…します』

 

「ねぇ? タカシ」

 

「はい?」

 

『…賢者モードでしょうか? 尾形選手が、別人に見えます…』

『その例えは、遠慮して下さい。…あれは、完全にある意味で現実逃避してますね…自分が、んな対象に見られるはずがないと…』

 

「私のお願い! それはね? 質問に答えて欲しいの!」

 

「質問? …ですか?」

 

「タカシから見て、私は他の誰よりも、何かのNo.1になってるかしら?」

 

「…No.1?」

 

『む? 質問の意味が分かりかねますね?』

『……』

『中村さん?』

『……ケイさんの意図が分かりました…』

『お? その心は?』

 

「ちょっと、考えてみて!? そして私が勝ったら、それを教えてね!?」

 

「……」

 

『要は…今、尾形選手に…ケイ選手という存在を…再認識させた…』

『尾形…あれでいて結構、真面目だからな…言われた通り考えてる…あっ! そういうことか!!』

 

「司会者は、余計な事は言わないの! んじゃ行くわよ? タカシ! ちゃんと…考えてくれた?」

 

「…………ん? え…えぇ」

 

「それじゃあ! 司会者? Here we go!」

 

『はい!! では、先行はケイ選手のターン!!』

 

 

「う~ん、普通に「I LOVE YOU」じゃ、つまんないわよね…」

 

「……」

 

『ケイ選手! 開始のゴングが鳴った直後! 考え込みましたね!』

『彼女なら、すっげぇフランクに即、攻勢に出ると思っていたのですけどね』

『さぁ…両者、考え込んでおります。ん? …尾形選手…少し、落ち着きがないように見えますね』

『ブツブツと何か呟いてますねぇ…律儀にケイ選手の言葉に従って、何かを考え込んでいる様に見えます!』

『おぉと!! ケイ選手が、机に肘をつき、両手で頭を持つような体制に移った!!』

『…あぁ…あの格好って、結構卑怯ですよね…。真正面で向き合うとか…特に、ケイ選手の場合、嫌味がありません!』

 

「まっ! いっか!! 私らしく行きましょ! Hey!タカシ!」

 

「ぇ? あっ、はい」

 

「…タカシ」

 

 

『……』

『……』

 

 

「 私は、貴方を愛してます 」

 

 

「……」

 

 

『…散々、フランクに話しかけて…私らしく行くと、宣言しておいて…』

『スッと、背筋を伸ばして…すっごい、真面目に言い放ちましたね…』

『ギャップという名の武器を、最大限使ってきましたね!』

『…いやぁ…すごいですねぇ…彼女。毎回毎回、尾形と会う度に、進化していく感じがします』

『そういえば、「彼女は自分をしっかりと理解している」…と、尾形選手は言っておりました!』

『さぁ…その尾形選手は!? 一言か!? 無言か!?』

 

 

「………」

 

「…………」

 

「……ぐっ……」

 

 

『デレたぁぁぁ!! ここに来て、初めて尾形選手! 顔を背けましたぁ!!!』

『熊が赤くなっても、キメェだけですね!! 誰得だっって、話です!!』

 

『……』

『……』

 

『…あいつ、マジで照れてるな…。俺、ぶっちゃけ尾形無双にでもなると思ってたのに…』

『こういったゲームは、朴念仁がある意味で、無敵だからな…しかし……きめぇ』

『目元抑えて、横向いてしまったな…』

 

「HAHAHA!! 私の勝ちね!!!」

 

『はい! 尾形選手、戦闘不能とみなし、サンダース・ケイ姐さんの勝利!!』

『仁王立ちで、勝利のポーズですね! でかいです!! 揺れまっ…あ、すいません…』

『今回は、ケイ選手が初手に言った、考えて見て? の、言葉が、決定打ですねぇ…試合前から、先制攻撃を仕掛けていました』

『そうですね、中村さん。私でも分かりました。あれは…現実逃避中の尾形選手を、思考させる事によって、現実に引き戻したのですね?』

『そうです! いやぁ…………女って怖い…そこまで考えての行動ですね……アレ』

 

「ん? でも、私の勝ちって事は…タカシの…」

 

『え? あ、はい。そうです。尾形選手の攻撃はございませんね』

『これで試合、終了となります』

 

「えーーーー!! んじゃ、私はタカシからは何も言われないのぉ!?」

 

『言われません。その代わりの勝利者権限ですから』

 

「…そう。それは……残念ね……うん……残念……」

 

『……』

『ケイ選手、マジで落ち込んでますね…』

 

「まっ!! 良いわ!! でっ!? タカシ!! お願い聞いてくれるかしら!!??」

 

「……ぅぐ…」

 

『まだ、復活してませんね。…あの熊』

『尾形選手! 後がつかえてます! さっさと、勝利者様にお答えしろ!』

 

「……くっそ、お前ら…」

 

「はやく! はやく!!」

 

「……」

 

「…………」

 

「ケ…ケイさんは…」

 

「!!」

 

「なんだろう…ぶっちゃけ、恥ずかしいのですけど…ここで言わないと…」

 

「そうね! 言って! 今、言って!!! 私、うぃなぁ~!」

 

「……ぐっ…」

 

『なんだろうな…。最終的に、尾形が一番、頭が上がらない相手って、ケイさんじゃなかろうか…』

『尾形選手の中での、ケイさんのポジションって奴が、イマイチわからんな』

 

 

「…ケイさんは、俺の中で…マジで結構……一番、甘えたくなる人…? とでも言うのだろうか…そんな……人……」

 

「・・・・・」

 

『…林田さん』

『…はい、中村さん』

 

「なんていうのか……姉ポジション? 違うな……アレと同じにしてしまっても失礼だし……。うまく言えないけど…」

 

「・・・・・・・・」

 

『林田さん!』

『はい! 中村さん!』

 

「俺、結構…甘えたいとか…人に対して、そんな感情は、滅多に持たないのですけど…初戦の時から…今までの事で……うん。そうですね。やはり、単純に言いましょう!」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「ケイさんは、俺が甘えたい人、No.1ですね!」

 

「            」

 

「…あれ? ケイさん?」

 

 

『尾形ぁぁ!! てめぇ、んな事をサラッと言うなって、毎回毎回言ってるだろうが!!!』

「!? なんだよ、いきなり! なにキレてんだよ!!」

『やっぱり、一回刺されろ!! 小山先輩と西住選手が、すっげぇドス黒いオーラ放ってるぞ!!??』

『そりゃ、ケイさんって姐御肌気質だけどよ!! それを…甘えたいとか……言うか!? 普通!! んな。はっきり!!』

「…いや、罰ゲーム…」

『そうだけど!! 濁せよ!! せめてもう少し、言葉を濁せ!! とばっちりは、もうゴメンだ!!!』

 

ガタッ!

 

ガタガタッ! 

 

『『「 ………… 」』』

 

『…ケイさん。部屋…飛び出して行っちゃったぞ…』

「……」

『なんで、敗者のお前が普通で…勝者の彼女が、瀕死なんだよ……』

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁぁい!! 続いての挑戦者ぁ!! 観光組合所! アンツィ…………あれ?』

「……」

『席に、ついておりませんね…どうしました? アンチョビさん?』

 

「私は、参加しない!!」

 

『おや…』

 

「隆史に、正直勝てる気がしない!! そもそも罰ゲームが怖い!! バニーガールなんて、恥ずかしい格好したくない!!」

 

『……まぁ…ちなみに、尾形選手。彼女に着せるなら…?』

 

「黒だな」

 

『即答…』

 

「そもそもな!」

 

『え? あ、はい』

 

「あっ……あぁああ愛してるとか! 恥ずかしくて言えるかぁ!! それにそんな大事な言葉! もっとこう…夜景とか前に…」

 

『『 …… 』』

 

「大事な時に、言ってほしいんだ! こんなゲームなんかで…言われたくない!!」

 

『うっわ…ドゥーチェ…すっげぇ可愛い事、言い出しましたね? 林田さん』

『結局、尾形に言って欲しいのですね…もげろ……』

 

「ちっ!! 違っ!!」

 

「私も遠慮するよ?」

 

『あ、るろうに盗賊のミカさん』

『でも、貴女達もゲームの為に呼ばれたんですよね?』

 

「違うわ!! 私は、戦車道の会議と聞いていたぞ!? こんないかがわしいゲームをするとは、思わなかった!!」

「そうだね。私も知らなかった。タカシがどんな愛を囁いてくれるか…それは興味がある。あるが…こんなゲームに、意味があるとは思えない」

「そうね…癪だけど、その泥棒の意見には賛成よ」

 

『あれ…カチューシャ選手。貴女も不参加ですか?』

 

「当然よ! 意味が分からないもの! ノンナはやるみたいだけど…」

 

『『 ・・・・ 』』

 

『隊長枠が、一気に減りましたね、林田さん』

『そうですね、中村さん。何しに来たんでしょう? この人達』

 

「騙されたと言っとろーが!!」

「私はちがうよ? 私はただ…風「アンタはどうせ、食料に惹かれたんでしょ?」」

「…」

 

「わっ! 私は参加した方が、宜しいでしょうか!!??」

 

『知波単学園の…あ……』

 

「…やめとけば?」

「やめておけ!」

「お勧めはしないね」

「やめておいた方が賢明です!」

「やめておいた方が、当然…良いですわね」

「 や め ろ 」

 

『…各学校の隊長達が、一斉砲撃を始めましたね……』

『まぁ……なんでしょう。火を見るより明らかですからね…ベコファンでしたしね』

『これ以上は、いらないのでしょう!』

 

「では、インターバルもこの辺で…最後、私ですわね」

 

『あぁ…そうですね。では、席について下さい』

『隊長枠ですが、珍しく…いや、本当に珍しく最後を飾るのは、この方になりました』

『なぜでしょう…気合の入り方が、他の方達とは、ぜんっぜん違いますね! そう! 目の色まで違う!!』

 

『ポンコツ完璧超人! 聖グロ隊長…ダージリン選手!』

『さぁ! 彼女は、何色のバニーへ強制換装されるのでしょうか!? 青か!? 白か!?』

 

「……」

 

 

 

『ではっ! 選手、入場…もとい、着席です!!』

 

 

 

 




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