エキシビジョンマッチ。
聞いてきた通り、この大洗町には関係ない連中が、道路脇に時たま目に入る。
まぁ、あの連中は後日だな、後日。
目的の人物は、そうそうお目に掛かれないそうだよ?
めんどくせぇなぁ。
ただでさえ、余りこんな田舎にいるのは、気が滅入ると言うのに…まぁ、ここに今日はいるという情報を掴んでいる為、仕方なし車を走らせる。
グルッと町内を3週。
それで見つかれなければ、まぁいいや。
次の機会だ。
非常に目障り。
あの男の血筋を、何年か前に聞かされた時には、怒りで体が震えたねぇ。
汚らわしい一族の分際で、人の計画を邪魔しやがって…。
母親はどうしようもない。…あんな化け物を相手にした所で、損害しか出ないしな。
何もしなければ、西住流を謳っている段階で俺に手出しはできまい。
…頬っておこう。
情け無いが、無理な物は無理。
諦めは肝心だよねぇ。
息子に危害を加えれば、また面倒だからな…逆に言えば、危害を加えなければいい。
どうとでもできる…が、最後だな。
そうそう…危害さえ加えなけりゃいいだけだ。
「…ふぁぁあ…」
流れる風景は、似たか寄ったか。
古ぼけた建物が続く商店街付近に目線を流す…。
飽きてきたなぁ…眠気だけが、襲ってくる。
「若」
「…なんだよ、内海」
運転手兼、執事の男が声を出した。
必要な事以外は喋るなと命令をしていた。
だから、これは必要な事だろう。
「…それらしき人物が、そこに」
「ん…ぉ」
路上を背の低い小娘と歩く女。
3人組み。
帽子を被り、良く顔が見えないが…まぁ、アレだろう。
チューリップ帽子というのか…バックリ、後ろ側が割れ、白い紐が交差されている。
お手製の修理でもしたんでしょうかねぇ? みっともない。
買い換えろよ、そんな安物…。
結構、簡単に見つかったね…さっすが、俺。持ってるなぁ。
「まぁいいや…んじゃ、行くか」
「若」
「んん?」
「質問をお許し頂けますか?」
「お前が? …ふ~ん。言ってみな?」
俺に対して絶対服従…と、言う訳でもないが、必要最低限の事しか口を開かないこいつが、質問?
興味があった為、答えてやる事にした。
「…尾形 隆史と直接面会といい…あの少女といい…何か意味があるのでしょうか?」
「意味?」
「尾形 隆史の転校の件も含め…態々、警戒される様な真似をするのは、どうしてでしょうか?」
「あぁ…なるほど。まぁそうだな…普通、分かるわけないよな」
転校の件、あの男の幼馴染みの件…。
直後に調べれば、すぐに分かる事を、敢えて盛大に大袈裟に言った事…だよな。
「そうだな、意味は…殆ど無いね」
「意味は無い…の、ですか?」
ゆっくりと歩く3人組に近づく車。
少し追い越し、10メートル程離れた時点で、ブレーキが掛かった為、車体が揺れた。
さて…行くか。
「内海」
「はい?」
俺の一連の…これからの行動は、ただ一つ。
あの小僧の感情を、俺に持ってくる事。
「俺…っと…。僕はね?」
感情を切り替え、一人称も切り替え…この執事に答えてやる。
暫く続きそうな…そしてすぐにでも終わりそうな目的。
「僕は、尾形 隆史に嫌われたいんだよ。それこそ……憎悪されるくらいにねぇ」
◆
「……」
取り敢えず、胸元を両手で隠し、この目の前の変質者(仮)の様子を伺う。
その上で、何故この男が、こんな場所…しかもこんな所にいるのか? と、思考を巡らす。
この野外…露天風呂は、時間で入浴時間が、男女公転するのは存じてましたが…。
まさか、変更されるまでお湯の中で隠れて待っていた…という、訳でもなさそうですしね。
明らかに同様していますし、目元を手で押さえて此方を見ないようにはしていますしね。
…なんでしょうか?
何か、大切な事を見落としている気がします。
「…アッサムさん」
「なんでしょう? 悲鳴の一つでも上げた方が、よろしいですか?」
「……」
この方の事です。どうせ、何か手違いがあったのでしょうがね?
冗談でも何でもなく、その位の事はしそうだ…と、いった顔で見下ろしていますね。
流石に冗談で言ったつもりですが、お望みならばそうしましょうか?
現在、湯船を照らす人工的なオレンジ色と、夜の暗闇のコントラストの中、お湯が動く水音だけが聞こえる程の静寂が包んでいます。
まぁ…その中で、真っ裸の男性が、目の前で青くなっていますが。
私の冗談を無視し、会話を続けてきました。
「あの…男湯の、のれん…掛かっていませんでしたか?」
「…あ」
…それだ。
尾形さんは、酔いつぶれているだろうと決めつけ、女性しかいないと頭にあったので、何もなく普通に入ってきてしまいましたね。
ふ…普段ならこの様なミスなぞ、しないのですが…まだ、アルコールが大分残っているのでしょうか?
「あっ……て。はぁ…ペパロニ……戻してけよ…」
私のたった一言の呟きに、全て察したと秤りに肩を落としましたね。
しかし…ペパロニさん?
「…先程ですが、アンツィオの連中…と、ペパロニの奴がですね…?」
「なるほど…分かりました、もう結構です。察しが付きました」
「…アッサムさんは、察しが良いので、ものすごく助かります」
「あの三人との混浴は、済ませたと…」
「違いますよ!! 分かっていて言っているでしょう!?」
はぁ…まぁ分かりますけどね。
あの姦しい、ペパロニさんの事ですからね。
どうせ、誰もいないと思って、男湯ののれんを外してしまったのでしょうね。
でも、女湯ののれんも掛かっていませんでしたけどね…ある意味で、そのおかげで尾形さんは、今この時まで無事でお過ごしでしたのでしょうね。
「あっ! あぁ…すいません」
今気がついたかの様に、私に背中を向けましたね。
全裸で私の前に、ほぼ仁王立ちでしたしね…。
「……」チッ
あぁ…違う。
いえ……しっかり見てはしまったのですが…いや? えぇっと…。
妙に顔が熱いですね。
…相手は、たった一つしか違う…しかも年下。
その、明らかに年下に見えない…とはいえ、男性の全裸というのをじっくりと見てしまった…あぁ、いや。これも違う。
なにを言っているのでしょうか?
うまく考えがまとまらない。やはり、私も動揺をしているのでしょうね。
「で…ではぁ…」
尾形さんが、背中を見せたまま、横歩きでお湯を移動し始めました。
こちらまで、小さなお湯の波が何度か訪れて来ました。
……。
エグい…とでも言うのでしょうか?
3本程…斜めに大きな線が、彼の背中にはありました。
傷…生々しい程、大きな傷。
余り古くないのか…塞がったばかりの様な…。
「俺、もう出ますから…。後で言い訳聞いてくれると助かります…。で…ですから、ゆっくりしていって…「お待ちなってください」」
「…?」
っと、いけません。
変に見入ってしまいますね。
取り敢えず、こんな状況ですが、先程少し…場違いにも思ってしまいました。
この状況。
…都合が良い。
「丁度良い機会です。そのまま、此方を向かずに座って頂けます?」
「…は? 何を言って…それに、丁度良い?」
「先程、お部屋の方で言っていた「お話」…を、するのには、丁度良いと言っているのです」
「……あぁ。でも、あの…流石に、この状況では…」
「明日もダージリン達が、貴方に構って欲しいと押しかけると思いますし…邪魔されず、二人きりの状況に、この合宿中に慣れると保証もありませんからね」
「構ってって…」
「私と湯を一緒にするのは、お嫌でしょうか?」
「んな事は、ありませんけど…」
なにをマゴマゴと…煮え切らない。
確かに、躊躇しても可笑しくは御座いませんが、女側の私が良いと、言っているので良いではないですか。
私としても、恥ずかしいのですから、さっさと座ってくださらないかしら?
「それとも何ですか? 私より先に脱衣所に行き…誰もいないのを良い事に、私の衣類…「ご一緒させて頂きます!」」
…全部言い終わる前に、勢いよく湯船につかりましたね。
最初からそうしていれば、私も変な事を言わないで済むというのに…まったく。
……。
…こんな風に考える事なんて、今までまったく無かったと言うのに…何故?
視線を自分の胸元の湯船に落とし、波を打つお湯を眺めながら、浮かぶ疑問に即座に答えを出す。
…………はい、自覚しました。
私、まだ酔っていますね。
思考回路が変です。おかしいです。
……ま、いいでしょう。
この位の方が、逆に宜しいと思いますし。
自分から異性を…その…混浴に誘ったりするのも、多分アルコールのセイですね。
「…で。なんでしょうか?」
言われた通り、此方を振り向く事もしないですね。
年頃の男の子と言うのは、思考と体は別物だと聞いていたのですが…何故でしょうか?
こんな状況下で、チラチラと見ることもなく、早く終わらせましょう? という、態度…言い方の尾形さん。
……。
……なんか、悔しいですね。
はぁ…まぁ、いいです。
「正確には、貴方に私から言っておきたい事がある…と、言う事なのですがね」
「言っておきたい事?」
……。
何故でしょうか?
今更になって…躊躇が出てきてしまった。
しかし…頭の中が、少し…熱い。
「ひ…昼間の事ですが」
「昼?」
「我が校のOGが、来訪された時の事です」
「あぁ…はい」
「ありがとうございました」
「いえ…どういたしまして。え? そのこと?」
私のお礼に素直に返す。
特に吃ったり、動揺は感じられない。
いきなり切り出した内容ですが、まぁ普通の反応。
「…助けてください…と、言った手前も御座いますが…いつもああなのですか?」
「ああ?」
「助けを求められたら、誰でも出しゃばるのですか? と、言う意味です。カチューシャさんに助言を頂きまして…それで、貴方に救助を願いました」
「あー…はっはー…言い方、ちょっとキッツイっすねぇ…」
「…そうですね。ごめんなさい」
確かに少々…嫌な言い方でしたね。
笑ってはいますが、素直に謝りましょう。
「…別に、誰でもって訳では、ないですよ?」
「…そうなのですか? あぁやって、女性を口説いて回っているのではないのですか?」
「はっはー…きっつ…」
「今日の事で、ダージリンもまた更に…ですから、先程の様な行動に出たのですよ?」
「えっと…何がですか?」
「…言っていましたでしょう? 女性としてどうの…」
「あー…言ってましたね。なんであんな事、言ってきたか分かりませんけど」
…この男。
ですが、ここです。
…私が言いたかった事。
ダージリンは、男性慣れしていないのもありますが、彼との青森での生活で変わっていった。
…それは、彼女の格言好きにも、少し変化が出た。
色恋、恋愛…その関係の格言の本が、まぁ…増えたこと。
オレンジペコは、何となく分かりますが、ダージリンが何故? という、疑問が強かった。
何故、彼に惹かれているのか…。
彼が鈍感なのは、十二分に知ってはいますが…でしたら、彼なりに彼女への気持ちをハッキリさせ、ダージリンにもハッキリと言って欲しいと思いました。
大きなお世話かもしれません……が、色恋などで余りフラフラと隊長様にしていて貰っては、困るのですよ。
そう、彼女は聖グロリアーナの隊長なのですから。
「まぁ…ちゃんと女性と見てると言いましたし…それは、もういいでしょう」
「…本当ですか?」
「いやいや! アッサムさんもいたでしょう? あの場に!」
「…いえ、私が疑問に思っているのは、ソコではありません。本当に彼女を…ダージリンを女性と見ているのですか?」
「はい?」
では…どうせです。
アルコールに任せ……本音で言いましょう。
どうにも先程から、この人に対してはスラスラと言えますね。
若干、快感にも似たモノを感じ始めましたし。
「…言い方を変えましょう。ダージリンを、恋愛対象として見ていらっしゃるのでしょうか?」
「……」
「……」
余計な事は言いません。
ストレートに聞いておきましょう。返答によっては…。
「アッサムさんの顔を見ていないので、わかりませんが…結構、真剣に聞いてます?」
「はい、至極真剣にお聞きしてます」
目線を彼に動かすと、そのまま太い腕を上げ、頭をバリバリと音が出るほど掻いていました。
さて…。
「では…真面目に答えましょう」
「……」
「分かりません」
「…は?」
「女性としては、ちゃんと意識してますよ? 失礼ですしね。ですけど、だからと言って、それが恋愛対象かどうか何て…別問題では? とも思います」
「そうですか?」
「そうですよ」
……。
変な言い回しは無しで。
彼はハッキリと言わないと、分からないでしょうしね…かなり酷い事を、強めに言う位が、丁度良いでしょう。
…例え本心ではないとしても。
えぇ…これはダージリンの為…。
「私は…はっきりと申し上げますと…」
「はい?」
…ぐっ。
また、普通に…。
「わ…私は貴方が、邪魔です」
「お…おー…」
……。
「ダージリンは、貴方と会って、完全に変わりました。えぇ…それはもう…見事な程に」
「そうなんですか?」
私から、あの様な事を言われても…特に彼は態度を崩さない。
「…ですから、本気では無いのでしたら、ハッキリとそれをダージリンへと伝え…彼女をかき乱す様な真似は、やめて欲しいのです」
「……ふむ」
「あ…貴方は、彼女を不安定に…させる…」
体が熱い…。
湯の温度が、上がった気がした。
段々と頭も…。
…慣れない事を、するモノではありませんね。
人を傷つける為だけの言葉を吐くというのは、存外……キツイ。
気づけば頭を垂れ…目線はまた、湯船の波を見つめていた…。
「アッサムさん」
「…はい!?」
「では、正直に言いましょう」
「正直に?」
…今更、何を?
先程の事でしょうか? 分からないと仰った…。
「俺には…恋愛が分からない」
「は?」
「恋…とか、小っ恥ずかしいですが…愛とかが、一切理解ができない」
「……」
「まぁ…その…それに、ダージリンが俺なんかに、恋愛感情なんぞ持ち合わせているとは、到底思えないのですけど…」
は?
はぁー!?
あそこまで、あからさまなのにですか!?
馬鹿なんですか!? 馬鹿なんですね!?
…こ…言葉を飲み込む。
これを私が言ってはいけない…。
彼女の気持ちを、暴露する様なモノです。
「い…いやね? 好きや、嫌い…といった感情は、流石に分かるのですけど……」
「…はい? 西住姉妹と交流をしてきたと言うのに…ですか? その歳で? え?」
「えっと…あの二人が何故、今出てくるのだろうか…」
「…やはり、貴方は馬鹿ですか?」
「 」
彼から聞いていた、二人の話を聞いた所…殆ど惚気にも似た感じでしたのに…。
まぁ…また、そこから役何名は、暫く機嫌が悪くなる…といった、お約束でしたね。
「はぁ…尾形さん」
「な…なんでしょう?」
「はぁ…貴方、人を本当に好きになった事がないのですか?」
「…………」
ん?
ため息混じりで、愚痴っぽく言った言葉に、尾形さんが固まってしまった。
後頭部しか見えないのですが、完全に肩が硬直…。
言い訳すらしなくなってしまいましたね。
…。
「私も正直に言いますと、貴方がダージリン達を、女性として意識しているかどうかも、まだ疑問なんです」
「……」
「今もそうでしょう? なんですか、その落ち着いた態度は」
「………」
「ダージリンやノンナさん達が、貴方に密着すれば、確かに貴方は動揺する。動揺しますが、それも一時だけ。すぐにその状況を受け入れてしまう!」
「そ…そんな事は、ないと…」
状況を変えようとしたのですが、今度は私の語尾が段々と荒くなっていく。
それに合わせ、尾形さんの態度が、徐々に戻ってきました。
「ですから、今もそうでしょう!? 私…近しい年代の女性と裸でお風呂に一緒に入っている…という状況だと言うに!」
「アッサムさん!?」
何故…私は怒りを感じているのでしょうか?
「貴方の態度からは、幼児…年端もいかぬ、子供といるみたいに感じます!! 犯罪者ですか!?」
「アッサムさん!!??」
「それはダージリン達も、焦るでしょうよ! 端から相手にすらされていない様な…そんな不安感しか感じられない!」
「……」
「確かに異性としては、感じているのかもしれませんが、貴方の態度では…彼女達が可哀想ですよ…」
「そ…そうです…か」
いつの間にか立ち上がり、彼を見下ろしていた。
彼は……たまに見せる、困った様な顔を私を見上げている。
もう、訳が分からない…。
「「 はっ!! 」」
少々熱くなってしまった…。
勢いよく湯船に体を隠すと、そのまま彼に背中を向ける。
彼もまた、後ろを振り向いたのでしょう…湯船がまた揺れる…。
……。
…………。
どの位、時間が経ったのでしょうか?
そろそろ上せてしまうと、感じる位には時間が経過したのでしょうか?
…尾形さんから口を開いた。
「アッサムさん」
「な…なんでしょう?」
「それを含めて…ですか?」
「はい?」
「あのOGの方が来られた時…助けてくださいと、俺に言ってきた時…かなりアッサムさん、参っていた感じがしましたから」
「…何を……」
参っていた?
予測と違う事を言われてしまいました。
確かに、アレのせいで疲労は溜まっていましたが、表に出すような事は絶対にしません。
しかし…なぜそれを…。
「OG会の事と、今の事。複合してアッサムさんの心労になっていたとしたら、すいませんでした」
「ちょっと待ってください!? ち…ちがっ」
「じゃぁ……俺の事は、さっさと終わらせます。明日にでもダージリンには、今の事を言っておきますね?」
「今の事!?」
「いや…ダージリンを恋愛対象として見れるか、よくわからんと…」
「馬鹿ですか!?」
「えー…」
あ…いえ…。
それで、正解…? そう、正解です。当初の目的です。
そうです…それで、彼女に落ち着きが戻れば……でも、それでは、あまりに…
???
うまく考えが、纏まりません…どうして…。
彼と話していたのが、原因なのか…それとも、時間の経過で冷静になれたのか…。
別の疑問が頭に浮かぶ…。
痛い…。
頭痛が…。
どうして、私は…そんな人の恋路を邪魔する様な事を思いついたのでしょう?
いえ…聖グロリアーナの為…。
しかし…それは…え?
厄介です……アルコールというのは、厄介です!
じ…時間を…。
考えをまとめる時間を…。
「少し待ってください…いきなりすぎます。そもそも、ダージリンを助けて上げた直後になんて…」
「ダージリンを? はい? そういえば先程も言ってましたけど、俺は別にダージリンは助けてませんよね?」
「…はい?」
「今回の事は、俺は初め、何もする気はなかったんです。それこそダージリンから言われても」
「……え」
「そもそも、あの場に俺が出て行かなくとも、ダージリンなら自力でなんとかできたでしょうよ。あの話を間近で聞いていたら余計にそう思いました。あれは端から、脚本が出来ていた流れでしたよ?」
…頭痛が段々と…。
「俺が助けてやりたいと思ったのは、アッサムさんですよ?」
「…………」
痛みがリズミカルに…襲ってきました。
これは…警報?
「顔が明らかに、考えすぎて袋小路に入ってる感じでしたしね。」
「待って…」
「あ~…こりゃ、完全に参ってるなぁ…って、感じでしたし。俺が少し入る位で、楽になるならって思いまして…」
「待ってください! 私は…確かに疲労は溜まってはいましたが…それを表に出すような事なんて絶対に…」
「そうですね。隠してましたねぇ…ダー様とオペ子は、まったく気がついてませんでしたけどね。アッサムさんに、甘えすぎだなぁ…あの二人」
「な…なんですか…貴方は、わかっていたという、言い方ですね」
「え? あ、はい。魚の目の前で、会った時に、すぐに気がつきましたよ? 小さく、眉間に眉寄せたりしてたし…」
「なっ!?」
「え…おかしいですか?」
おかしい……おかしい…何かがオカシイ…。
気づいては、いけない…。
いけない? 何に?
頭の中で警報が、物凄い勢いで鳴っている。
確かに、青森での生活でも…いえ……あの…。
「お…おかしいですよ! なぜ、ダージリン達にすら、気取られなかったのに…よりによって…」
「そりゃ、分かりますよ」
「何でですか!!」
「何でって…」
ダージリンとオレンジペコに、気を使い…できるだけ彼と接点を持たせてきた…。
お茶会然り、午後のティータイム…。
期間限定だと思い、特にオレンジペコにできるだけ時間をと思い……あ…?
毎日毎日…学園艦から離れるのも、裏工作もしてきた…け…ど…。
ボー…とする…。
頭に力が…意識がはいらない…。
しかし、頭痛の痛みだけは、はっきりと分かる……。
「俺は、俺なりに…アッサムさんを見てきたつもりですよ?」
「見て…」
見てきたって……そういえば…結構、彼にはできるだけ、冷たく接する様にしていましたね…。
私を構うくらいなら…彼女達と…と、思って…。
……
何故…だったんでしょうか?
「いつも大体…無茶させらるのって、アッサムさんでしたよね? …一度、言いませんでしたっけ?」
「な…にを…」
「もう少し、周りを頼ったらどうですか? って…その時と同じ顔してたんですよ」
「…………」
鳴る。
…大音量で、脳内に響く警報。
……わかっていた。
結局、毎回毎回…気がついてくれたのは、彼だけだったから。
──だから、理解はする。
何かすれば、なぜ気がつくのか? と、思えるほどの細かい事まで労ってくれた。
──理解はするが、容認ができない。
だから反対だった…この合宿は…久しぶりに会って…話してしまえば、完全に意識してしまうと分かっていたか…ら…。
──気がつくな。
思い出す…。
──そうだ、ダメだ。
数ヶ月前から…今までの事…。
──ダージリンがいる…オレンジペコがいる…。
港…潮が香る場所での……お茶会。
──だから、ダメだ。
毎回、冷たくあしらっても、声を掛けてくる彼を…結局、待ちどうしかった…自分を。
「ブラック企業で頑張る方の味方ですよ? 俺は。アッサムさん…自分にも厳しいから、特に気がかりでしたしね…」
「………………」
警報が……アラームが……。
おかげで周りの音が良く聞こえない…。
ブラッ…? え?
顔を湯船に当てる…顔全体を熱が覆うと…少し冷静に…。
「……そうですか。私も結局…毒されていたんですね…ダージリン達と同じく…」
湯船から少し…顔を出して口を開く。
ポタポタと顔を伝って、落ちてゆく…お湯の水粒。
はっ……はは……は…。
どこかで、白旗が見えた気がしました…幻覚だろうが、なんでも良い。
…意識してしまえば……頭痛が収まっていました。
……。
「なんですか…急に…」
「数ヶ月に及び…ゆっくりと日常の中で……いや…あの日常こそが毒…」
「怖いこと言い出した…」
冷静になったら、警報が一気に止まった。
逆に周りの音が、非常にクリアに聞こえます…。
あの二人がいるというのに…。
いや…理解はした。
認識もしました。
後はそれをまた…潰すだけ…。
「…尾形さん」
「な…なんでしょうか?」
「…もう…なんでも良いです…当初の目的……」
「目的?」
「言い方を変えましょう。ダージリン…彼女は、貴方の好みの女性ですか?」
もう…ここだけでいい。
見目麗しい彼女です…嫌う男性は少ないでしょう。
彼の彼女に対する態度は…それとは、違う…。
「アッサムさん。俺には…ですね? 女性の好みのタイプとか言うのが、殆ど無いんですよ」
「……」
「そりゃ、見た目とかそういったのは、細かく言えば…まぁ無い事は、無いんですがね?」
「…何が言いたいのですか?」
苦笑…したように感じました。
「俺は、俺を好きになってくれた人が、好きなんですよ」
「…………は?」
「まぁ、その…場合、な…んで俺を? 俺の…どこが? とか…あります…けど…」
「それは遠まわしに、誰でも良いって事じゃないんですか?」
「違いますよ!?」
「まぁいいです…で?」
「あ、でも…それって…ダージリ…ンへ、言った方が…良い……ですかね?」
「 ダメです 」
……。
…………あ。
「え……ダメ…ですか? ま…まぁ、ありえないから…? 良い…ですけど…」
「な…なんですか!? その好みのタイプの理由は!!! では…」
即答で拒否してしまった。
もはや、私は…何がしたいのだろう?
手助けをしたいのか? それとも……邪魔をしたいのか…。
まくし立てる様に、質問をして……ごまかす…。
自分を。
「 私が貴方を好きだと言ったら、どうするんですか!? 付き合いますか!? 」
……。
…………。
「アッ…サムさん…が? 俺を?」
「そうですよ!! 例えばの話!! ……ですけど!!??」
何を言っているのだろう……私は。
…怒ったように言った所で、結果は……
「 アッサムさん…が、良ければ… 」
……。
…………。
頭が……真っ白に…。
思考……って……なんでしたっけ? え?
「元々、アッサムさんの…事は…好きですし」
「すぅ!!??」
か…彼は、ハッキリと……こういう事を言う……タイ……プ……。
鵜呑みに…なんて…。
「に…西住……姉妹は……」
「み…ほ……と……まほ……ち……」
ボチャ…と、音がしました。
後方からですね…。
私の問いかけに…結局、彼は答えてくれませんでした。
そうでした。
口調が流暢だったというのもあり…彼もまた…アルコールを摂取していたのを忘れていました。
しかも長時間の温泉に浸かっていたと言うのもありましたしね。
つまりは…。
◆
「尾形 隆史く~~ん」
「……」
店内に響くBGMを聞くのに忙しいので、後にしてくれませんか? アールグレイさん。
淡々と話していたアッサムさんは、既に紅茶を飲み干したのか…シレッとした顔で、此方をガン見…。
…。
「君はアレだね!! 馬鹿だね!! 紛う事なき大馬鹿者だね!!!」
「…じ…自覚は、最近しました…」
「自覚はあるのかい!? それでも、最近かい!!!」
…いやね? ツッコミはいらねぇ。
「温泉…あの夜に、そんな大きなイベントが…同じ屋根の下で行われているとは!!!」
「まぁ、貴女、あの時は人の部屋で、イビキして寝てましたからね」
「嘘はよくない!! イビキはしてない!!」
「あぁ…歯ぎしり…」
「怒るよ!?」
はぁ…でもなぁ…。
そこまでは、俺も覚えているんだよ。
俺が聞きたいのは、その後の事。
湯にたはずの俺が、何で脱衣所に…。
詩織ちゃんは、高校生ってすごい…って、さっきから呟いているし…。
ごめんね? これは例外中の例外なんすよ?
「…で? 隆史さん、どうです?」
「え?」
アッサムさんが、瞬きもしない目で、此方に声を掛けてくれましたね!!
「記憶は?」
「あ…あぁ、此処まではあります」
「そうですか…結局、その後…隆史さんは上せて、意識を失くされました」
「あ…やっぱり。酒入ってる状態で、お風呂はまずかったなぁ…」
「えぇ、まったく。おかげで私も、思考がおかしな方向へと飛び回りましたから。…肯定と否定の繰り返しでしたわ」
「……じゃあ…この後か…」
そう…この後だ。
アルコールが微量でも入っている状態の俺が…何をしたか……だなぁ…。
「はい、この後です。ですから…」
「ですから?」
「この話は、ここ迄です」
「「「 !!?? 」」」
「…隆史さんだけでしたら、お話をしますが…部外者はご退場する気は無いのでしょう?」
……。
目を伏せ、ハッキリと申しました…。
二人の前では話せないと…。え?
「何だい!? 私達には内緒!?」
「それは消化不良ですよ!!」
「はい、内緒です。無理な物は無理です」
……聞かない方が、良い気がしてきた…。
「なぁんだい!? エロいお話かな!?」
「…ご想像にお任せします」
否定しない!?
「隆史さん、本当に続きを聞きたいのでしたら…路傍の石達が、踏み潰され、粉々の砂に変わった後にでも…夜中まで掛かっても構いませんわよ?」
「「「 …… 」」」
シレッとした顔で申してますけど…あの…。
「アッサムさん…」
「は?」
「…アッちゃん」
「……なんでしょう?」
あ…コレは良いんだ。
「あの…結構、怒ってます?」
「えぇ、怒ってます。大激怒です。隆史さんとの喫茶店デートを邪魔されて、頗る機嫌が斜めです」
「「「 …… 」」」
なんか…もう…。
しかしなぁ…本当になにしたんだろ。
そんな状態じゃ、例え酔っていたとして…俺がアッサムさんに何かしたとは思えないんだけどなぁ。
暴走状態だとしても、状況的に…。
アッサムさん、もう喋る気はないのか、完全に口を紡いじゃったし…。
そんな彼女に、体を乗り出してブツブツ言っている二人。
バン!!!!!!!
…と、突然俺達の席の大きなガラスが揺れた。
両手、顔…というか、額をベタァ…と、つけ…俺を見る顔。
また…知り合い…。
熱くないのかな? ガラスも熱を吸って、結構な温度だと思うのだけど…。
はぁ…何故か、今日は知り合いがやたらと襲来す…る………。
…………。
……。
「アッサム」
「え? あ、はい」
特に何もない。
普通に声を出したつもりだった…が、何故か顔が少し、不安気な色に変わっていた。
だから、少し明るい声で、喋りだそう。
「一応、金を渡しておくよ。帰ってくるつもりではあるけどな、もし待ちきれなかったら、これで支払っておいてくれ」
財布から一万円札を取り出して、彼女に渡す。
高校生が、万札…まぁ、お嬢様のアッサムさんなら、特に疑問に思う事もないから大丈夫だろうよ。
「ごめんな? 詩織ちゃん」
「え……えぇ! 大丈夫で…す」
「RGさんも」
「どこぞのプラモデルみたいな略し方は! …まぁいいや」
どうした? 変に…いや、それこそまぁいい。
席を立ち、店の玄関を再度開く。
ドアに着けられたベルの音が響くと同時に、周りを見渡す。
俺が出てくるのを、分かっていたの様に、すぐに俺の元に駆け寄ってくる。
その表情は、相方の役目だろう?
その襲来者の頭を撫でつつ、何時もと顔色が全然違う、彼女に問う。
「 何があった、ミッコ 」
◆
「やぁ! 久しぶりだね」
こんな生活をしていると、たまにこんな人から、声を掛けられる。
何を思ったのか、大体は興味本位…。
特に、スタイルも容姿も良いミカの場合に多いんだよね。
ただ、隆史さんを探して、ご飯ご馳走してくれないかなぁ…って、徘徊していただけなんだけどね。
私以外は!!
…ただ今回は、少し様子が違った。
ミカの知り合いなのかな? って、思わせる程、妙に馴れ馴れしく、昔の知り合いの様に手を上げて…。
「ん? 知らないね。申し訳ないのだけれど、人違いじゃないかな?」
いつもの様に3人…町を歩いていたら、車から降りてきた男性に声を掛けられた。
そんな男性に、ミカはいつも通りに足らう…。
「何を言っているんだい? まぁもっと小さな時に会った…まぁ、話した事は無かったけど、顔は合わせているよ?」
「そうかい? でも、申し訳ないのだけれど、私は貴方の事は、記憶に無いんだ」
たまにいる…知り合いを装ったナンパ。
ミカの場合、特に多い…。
3人一緒の時は、余り無いのだけどね。ミカ以外…要は、私とミッコ狙いのナンパっぽい人の場合、犯罪者? って言うと、大体逃げていくのにね。
…悲しいけど……。
でも…この人…すっごい、臭い…。
香水なのか、なんなのかは知らないけど…すっごいヤダ。
「悪いけど、他を当たってくれないかな?」
拒否。
やんわりと断るのは、ミカは得意だ。
大体の人は、本当に興味…意識すら向けられていないのを、自覚させられるのか、大体はすぐに諦めるんだけど…。
ただ…この人は、違った。
避けて通ろうとすると、立ちふさがってきた。
いつもの事か…と、流して見ていたミッコも、その行動に反応を示した。
「お前…うっざいなぁ…」
殴り掛かりそうなくらいの、意識をこの人に向ける。
それこそ睨みつけているのだけど、それこそ気にも止めないで、会話を続けている。
「いやぁ…尾形 隆史君の知り合いと、出会う事を目的にしていたんだけどね…」
…。
隆史さんの名前を、掲げるように出した。
思わず反応してしまった私達を、嬉しそうに見てくる…。
ヤダ…この人……気持ち悪い。
「まぁいいや。で? どうだろう、ミカさん」
……。
知っている。
この人は、ミカを知っていて声を掛けてきた。
ただのナンパでは無かった。
隆史さんの知り合い…でもなさそう。
「ミカ? 私の名前とは、違うよ。 やはり人違いのようだね」
「違う?」
咄嗟に…というか、普通に嘘をついたなぁ…ミカ。
まぁ、素直に名乗るのも嫌だろうけど…。
(ミッコ)
(…んだよ)
(さっき曲がった角の喫茶店に、隆史さんがいた)
(はっ!? 見つけてたのかよ!!)
うん。
迷惑にならないように、分かっていたけど黙っていたんだよ。
…だって、これ以上は変にお世話になるのも、悪いし…でも。
(…この人、ちょっと変だし…呼んできてくれる?)
(タカシをか?)
(うん…なんか、ミカ…様子が変なんだもん)
(あぁ…そうだなぁ。ちょっと変だよな。こういった輩、あしらうの得意なのにな)
そう…変に、ミカの表情が変わらない。
何時もの様に微笑を浮かべてはいるのだけど、緊張しているというか…警戒しているというか…。
「んん!? そうかい!?」
「…そうだね」
「僕の事も知らないのかい?」
「知らないね」
そこまで言った直後…。
「嘘は良くないなぁ。交流試合に時…何度か顔を合わせているよ…ねっ!」
「!!」
体を回しながら、躍けながら…。
ミカの帽子を、素早く奪った。
「…ほら。見知った顔だ」
「……」
特に帽子は、顔を隠す為ではない…為ではないけど…この人。
躊躇する事もなく、こんな行為。
まぁ、いつもの様に、ミカも適当に流してノラリクラリ交わすだろうけど…。
「何度か、お会いしてるよねぇぇ!?」
……。
「思春期真っ盛りだね! 中学生の時に、家出とかさぁ!? なに!? 隠してるの!?」
「……」
奪った帽子を指先に掛け、くるくると回して弄んでいる。
「いいよっ! いいよぉ!! 別段それは構わない!! そんな君に提案なんだけど…」
「……」
ミカが、固まった…。
違う……変わった!?
目を見開き、手を握っている。
小刻みに震えながら…睨む訳も無く、ただ…。
(っっ!?)
(ミカっ!?)
(…ミッコ)
(お…おぅ!?)
「どうだろう!? 君を! 特に君を、実は探していたんだァ!! 提案が会ってねぇ!!」
見た事が無い…こんな……ミカの顔…。
目の下にシワが寄っている。
いつもだったら、こんな事をされても、アッサリと何とか何とかしてしまうのが、ミカだった。
ただ、今回……うん、今回だけは違った。
何ていうのか…余裕がない…。
「どうだろう!? あの、隆史君!? 欲しくないかなぁ!?」
「……ナ」
「女としてぇ!? 欲しくなぁぁい!? 分かっているんだよぉぉ!? 調べたからねぇ!!」
まずい…。
此処までのミカは、見た事がない。
なんで一瞬で?
(わ…私が行くより、ミッコの方が走るの速いでしょ!? 行ってきてよ!!)
(で…でもさ)
嫌な予感しかしない。
隆史さんがいないと…ダメな気がする…。
ミカが、違う人になっちゃう気がする!!
「僕に協力してくれないかなぁ…」
「……ルナ」
腕を出し、帽子を取り返そうとする。
しかし、それもアッサリと避けられてしまった。
脚を広げ、本格的に…ミカが…。
「んっんー!? 聞いてるかなぁ!?」
ミカの帽子…。
パックリと割れた、帽子を繋ぎ留める、編むように並んだ紐に指が掛かった。
掛かった瞬間。
「お前が…っ!! 私の帽子に触るな!!!!!」
知らないミカが、目の前にいた。
知らない。
此処まで感情をむき出しにする、ミカは…知らない。
そんなミカを、嘲笑うかの様な…この男性…。
(ミッコ!!!)
(わっ…わかった!!)
あまりのミカの変わり様に、ミッコも焦った様に走り出してくれた。
その姿を目にも止めないで…そのミカの恫喝すら無視し、勝手に話を進めていく。
初めから、私達の意見なんて聞く気も無いように。
「妹さんからは、遠まわしに断られちゃってさぁ…お姉ちゃんはどうだろう?」
…妹?
ミカには、姉妹なんていないって聞いていたけど…なんだろう…この人。
「…返せ……」
「っっと、ダメだよぉ…。身長が違うし、僕の話を聞いたら返して上げる。…寧ろ、もっと良いのを買ってあげようかぁ?」
「返せっ!」
本気で、ミカが飛びかかっている。
フラフラと、それを交わしながら、ミカを馬鹿にしたかの様に、うすら笑いを浮かべている男性。
「あ…貴方は、何なんですか!?」
私の声で、少しでも動きを止めたら…と、思ったのだけど…。
「あぁ…雑草に興味ないんだ。黙っててくれる?」
意にも止めない…。
雑草って…この人…。
「なら、この帽子は返そうか? こんな安物、何がそこまで、必死になるか、分からないけどぉ!!」
「っっ!!」
「あぁ! 何か…あの男との思い出の品だったのかなっ!?」
「このっ…!!」
「島田家同士、仲が良いねぇ!!」
……。
…………。
何か…言った。
「 何してる 」
見慣れた大きな影が、男の人の手首を、後ろから掴んで止めた。
その人は、大きく息を切らして…走って? 急いでくれたんだ…。
「…ちょっと、遊んでいただけだよぉ?」
腕を固定され、動き回れなくなったのか…漸く、動きを止めた。
それでも、楽しそうに…何かをばらす様に…大声で言い切った。
そこで、これも初めてだった…。
あんな……ミカの顔。
うん…初めて見た。
…泣きそうな程に、顔を歪ませるたミカを。
「この逃げた、島田流…時期家元とさぁああ!!!」
閲覧ありがとうございました
はぁい。次回は更新遅くなりそうです。
久しぶりに挿絵を描くつもりです。
あと描きではなくて、ちゃんとセットで。
できるだけ早く更新はしたいと思います
ありがとうございました