早朝…雀が鳴き始めた頃。
例の改造…というか、改悪された軽トラが、自宅の前へと到着した。
あまりに重装甲すぎて、荷台が使えないという、本末転倒過ぎた車体をなんとか元に戻してもらった車で…だ。
いや…うん、訂正。
ほぼ装甲車は変わらないけど、一般車検に通るくらいに戻してもらった車で…だな。
今は現在、朝の7時頃になるか?。
低血圧と自己紹介をしてくれた頃が、すでに懐かしく感じるその人物。
「はい、到着」
「麻子? 着いたよ?」
「……スー…」
「麻子っ! 着いたってばぁ!」
軽トラは、3人乗りというのもあるが、俺の体格とかモロモロのお陰で、ひどく狭く感じる車内。
運転席の横に座る、マコニャンを助手席側に座る、沙織さんが一生懸命揺らして起こすという、見慣れた行動をリアルタイムで体感させてもらっている。
結構激しく起こすんですね、沙織さん。
車体が少し、揺れてますよ?
「うぅ…五月蝿い…。そもそも……朝の5時…なんかに来る方が……常識外れだろうが…」
そう、本日…漸くマコニャンのお引越しの日。
朝早くから、沙織も手伝ってくれたお陰で、そうそうに済みそうだった。
…というか、済んだ。
日常雑貨や、諸々は少しずつ運んでおいて、本日大きな荷物を運び入れる事で、全ての作業が完了する。
するというのに…まだ眠そうな、というか寝てるな。
目を開ける事すらしない。
んで、取り敢え、ず夢なのか現実なのか…どちらか判断つかない沙織さんの声に答えている…と言った声だな、そりゃ。
正直、荷物を運び入れる事よりも、車へとマコニャンを乗せる方が苦労したねぇ。
ぼけ~っと、その声達をバックミュージックに、窓から我家を眺めていると、玄関が開かれた。
早朝の車のエンジン音。…その音で気がついてくれたか、みほが顔を出してくれた。
…しかしこの家。
今更だけど、大丈夫だろうか?
マコニャン…来て…。
引っ越してきた初日に、思いっきりアレ出たけど…。
風呂場の外の、小さな社は、掃除して大分綺麗にした。
綺麗にしたお陰で、特にあれから怪奇現象は起きていないし…まぁ、大丈夫か。
「んにゅ…」
「……」
…うん。
なんか…朝焼けに向けて、吠えてしまいそうな程の、破壊力のある声が聞こえたので、我に戻った…。
「ほらぁっ! 変な声出してッ! 隆史君、嬉しそうだよ!?」
沙織さんっ!?
「……にゃ…しょ…き?」
「あ、やっと反応した。そうだよぉ? 隆史君だよぉ? その彼の前で、麻子は寝てるのぉ?」
「っっ!!!」
「…無線機……漏洩……」
あの…沙織さん?
なんすか、そのセリフ。
あと、なんで最後だけ、耳打ちしたんすか?
「っっだぁぁ!! …書記っ!? 書記っっ!!」
「あ、はい。おはようございます」
強引に大声を上げ、無理やり目を覚ませた…って、感じだなコリャ。
そして目を見開き…顔を真っ赤に蒸気させ…ブンブンと顔を振り回す。
周囲を確認しているのは、何となく分かりますけどね?
なぜ、俺を睨むのでしょうか?
「…ふっ…ふっ…?」
…あの、何故…ご自分の体を確認されているのでしょうか?
一通りの確認が済んだのか、此方を見て一言。
「一度無理やり起こして、無理やり寝かしつけてないな!?」
「なんじゃそりゃ…」
だから、なぜ赤面して睨んでくるんだろう…。
「はぁ…麻子。寝ぼけてないでよ」
「ま…まったく…まだ頭がボーっとする…なんで、朝の5時なんかに…」
そこは相当恨みに思っていたのですね?
しっかりと来訪時間を覚えてらっしゃる。
…なんで? と、聞かれれば…。
「何でって…運び終わった後の事もあるだろう? 殆ど終わっているけどさ…。朝からやってしまえば、午後から必要な物とか買い出しに行けるだろ? というか、言い出しはマコニャンだろう?」
…華さんのお引越しもそうだったなぁ。
時間に余裕があるのは良い事だ。
「それは、確かに私も言ったが…だからと言って…五時って…本当に来るとか…」
「…麻子。昨日、時間は言ったでしょ? それに、隆史君は以上に早く起きてるんだから、文句言わない」
「……」
自分の事で、手伝ってくれる沙織さんや、みんなに悪いのか…午後からにしてくれと言わない辺り、ちょっと嬉しく思う。
…俺を睨む事はやめないがね…。
「まぁ、沙織さんも朝早くから、ご苦労様。助かったよ」
「いっ! いいよ…麻子の事だし。それに……流石に隆史君に見られると不味い物もあるしね」
「ぐっ…」
自分を引き合いに出さないが、同じく沙織さんも早朝から出張ってくれた。
こういう事に労を惜しまない沙織さんを、凄いとも…羨ましくとも思ってしまう。
…そういった友達がいるという事に。
「んじゃさっさと、荷物を運んじゃうかね…あまり時間無いし」
「…まだ、早朝だぞ? 時間がない?」
「ちょっと、用事があってね。でも、大丈夫だ。やる事はやるから」
「……」
「…ん? 隆史君、出かけちゃうの?」
「あぁ。でもこっち優先だよ。重いものは全てセッティング完了してから出かけるよ。…んで、悪いけど衣類とかプライベートな物は、沙織さん達に任せる」
「うん…それは、いいけど…。どこに行くとか…聞いていい? また他県?」
「どうせ、また女の所だろ」
「…………」
いや…まぁ…。
「た…他県じゃないです。…ちょっと、桃先輩からの依頼で、風紀委員さん達…というか、園さんのお手伝い」
「むっ…」
なんだ?
マコニャンの目に力が入ったな。
目が完全に覚めたか?
「…やはり女じゃないか。しかも、よりにもよって、そど子とデートか?」
「違うよ!?」
見下したかの様な目で、吐き捨てるかの様に言った!?
すぐにその顔を伏せたけどさ…。
「まっ…そうだな。書記は、そど子に凄まじく嫌われているからな」
「……ぇ…そうなの?」
き…嫌われる様な事…したっけか?
確かに余り話をした事なんてないけど…。
「沙織さんっ! 麻子さんっ! おはようございますっ!」
少し心当たりを考えてみようとしたけども、運転席側の車窓から、元気よく挨拶をする声が響いた。
「お…おはよう、みぽりん」
「おはよう…西住さん」
「はいっ!!」
そう…元気よく。
機嫌が良いと、すぐに分かるような、弾んだ声で。
まぁ、ニッコニコした顔みれば、その表情だけでもわかるほど、みぽりんは昨日の機嫌が、ここ一番で凄まじく良いです。
…うん。
正確には夜だね。
…はい。夜からです。
「隆史君、それじゃ後ろの運んじゃうよ?」
「あぁ、大丈夫だ。俺が運ぶ。みほ達は、運んだの整理してくれ」
早速と動き出し、荷台へと回ろとするみほを止める。
軍手もしないで、怪我したらどうする。
運転席を開き、外へと移動しようとすると…。
「ほらっ! 麻子っ!」
「…ぬ…ぅぅ…」
「ん? なに? どうかしたか?」
「……」
何か言い辛そうに…何かを言いたそうに俯いた。
まだ顔が赤いのは継続しているが…どうした?
「す…すまん」
「ん? 何が?」
「…これから…よろしく頼む…」
あぁ…なる程。
麻子は麻子なりに、考えてここに住む事を承諾したんだろう。
その、挨拶だろうな。
「お……ぉ…」
何かを絞り出して、言葉にしようとしている。
俺に対して、こう奥手になるのは、少々珍しいな…。
そうこうしている内に、華さん…まほちゃんまで、家から出てきてくれたの見えた。
はっ…通りの奥から、優花里も…。
「おっっ!!!」
「お?」
「お邪魔…します…」
「……ふむ」
少し前にも言われたな…俺自身が。
パタパタと、相変わらず温和な笑顔で近づいてくる彼女に…華さんに。
少し俯き、やっと絞り出したのソレ。
麻子らしからぬ、俺に対して、珍しく丁寧な言葉。
だから…。
「麻子」
「まっ!?」
「まっ!?」
真面目に言う時は、真面目に呼ぶよ。
あぁ、ちゃんとな…って、突然の呼び捨てに、マコニャンが目を見開いた…のは、良くあるからいいんだけど。
…なんで沙織さんが驚いているんだろう。
あぁ、麻子って呼び捨てにするのって、彼女達の前では無かったからな?
マコニャン呼びが、ディフォルトになっていて、喜ばしい限りだな、うん。
「…俺も華さんに、一度言われてな?」
「五十鈴さん?」
「ルームシェアとはいえ、ここは麻子と俺達の家になるんだ。初めは恥ずかしいが、慣れてくると良いもんだぞ?」
「……何を…?」
「ほれ、取り敢えず、こっちに来な」
車から降りてもらい、まだ少し寝ぼけた顔をしている、彼女の手を取る。
「っ!?」
赤みがかった顔が、更に赤くなったが、今は取り敢えず目の前の事だ。
こちらを見るみほ達。
手招きをして、彼女達もこちらに呼ぶと…華さんは、すぐに気がついてくれた。
その彼女達も一緒に、その小さな手を引き…麻子を玄関先へと連れてきた。
みほ達も気がついたのだろうか? 特に何も言わないで、麻子の後ろで、静かに立っている。
「昨日までは、お客様。今日からは…麻子は、なんだ?」
「…え…? い…居候?」
……。
あ、うん。そうなんだけど、俺が言いたいのはそうじゃない。
…みほが、小さく溜息を吐いた。
遠まわしに言いすぎたか?
「麻子さん」
「西住さん?」
「隆史君は、言って欲しいのだと思います。…特に麻子さんに」
「…私に?」
「はいっ!」
…彼女の前で、話す事ではないからな。
みほと華さん。麻子が、この家に加わると決まった時から、二人とはちゃんと話し合っていた。
普段はちょっと、恥ずかしいしと思うだろうし、この変な…傍から見れば、なんて言われるか分からん状態。
でも、婆さん以外は、もうそう言った人間がいない彼女には、必要だと思った。
だから余計に、言葉にして、しっかりと言ってやりたかった。
「はいっ!」
トン…と、麻子の背中を、華さんが軽く押した。
押された彼女は、前に押され、玄関先にその足が入る。
「はい、おかえりなさい。 麻子さん」
「なっ…」
嬉しそうに言ってくれた。
後ろを振り向き、驚いた顔で華さんを見返している。
よくわからない顔をしているな…。
「ちゃんと言えば、応えてくれるぞ? 当然っ! 俺も応える」
「っ!?」
流石に、何を言いたいか分かったのだろう。
その顔が、少し狼狽えだした。
言っていいものか? と、言った顔だろうか?
確かに、この変な共同生活は、ごっこ遊びみたいな物かもしれない。
でもな?
「細かい事は、どうでもいい。要は本人達がどう思うかだ。そうだろう?」
「……」
「俺はそう思うし、みほも華さんも当然、そう思う」
一緒の釜の飯を食うんだ。当然だろう?
…俺の目を見れないのか、目を伏せ、少し恥ずかしそうに俯いた。
少し俯き、手を握り締め…そして、小さく口が動いた。
「わ…私が、「お邪魔します」とか言ったからか?」
「そうだな」
「はっ…書記は、変な所で遠まわしにしすぎだ…一瞬、なんの事かわからなかったぞ…」
「ま…まぁ。みほ達はすぐに気づいてくれから、助かったな! …フォローありがとう…すんません…」
ちょっと、格好つけた手間、アレですが…情けなく小さくお辞儀をする。
「はぁ…隆史さん、格好付けるなら最後まで…」とか、小さく嘆きが聞こえたのは無視しよう。
麻子は、…婆さんが陸で暮らしていた為に、一人暮らしだった。
小さな六畳一間の平屋建て。
それでだろうか? 心配して定期的に、沙織さんが通い妻をしていた。
料理は出来るのだろうが、この性格だから、頬っておけば作りもしなかったかもしれない。
だからだろうか? 沙織さんが置いていったと思われる、作り置きとかの料理類が、大量に冷蔵庫に入っていた。
…。
生命線が沙織さんか…そりゃ、うん…まぁ。頭が上がらないだろうな…。
納涼祭の時、攫われてしまった沙織さんに対し、物凄く取り乱した彼女を、今でも覚えている。
それでも、家に帰れば一人。
出迎えてくれる人はいない。
そんな訳で、しばらくそんな言葉を言った事は、なかっただろう。
俺もかつては、そうだった。
応えてくれない、そんな挨拶…言葉は、虚しいだけだ。
だからこそ言わせたい。
言わせてやりたい。
尚の事、彼女に。
「…書記。なんだその…絶対に、言わせてやるって顔は…」
「……」
「顔を逸らすな」
顔に出てた…。
そんな俺の顔を見て、大きく一つため息を吐いた。
それが、照れ隠しなのか、本気で呆れているのかは、分からない。
「はぁ……」
スッ…と、小さく鼻を鳴らし。
背中を向け、家の中を眺めながら…小さく。
「た……ただいま…」
少し、嬉しそうに言った。
……
…………
………………
「じゃあ、タラシ君。麻子の事、お願いね?」
「は…はい」
「出来るだけ、私も協力するからっ!!」
「お…お願いします」
「……」
「……」
「あの…ところで沙織さん?」
「…………」
「沙織さん?」
「………なぁにぃ?」
「あの…なんで、頬を膨らませてんすか?」
「べっっっつにぃぃ…?」
「いや……あの…? え?」
「はぁ…後、私だけ…私だけなんだけど?」
「…え? えっ?」
「いいなぁぁっ! 麻子はぁぁ!!」
「…な…何がで…しょう?」
「あと私? 私だけぇ!? さん付けなのにぃぃ…何時までもぉぉ!!」
「…………いや…あの…華さん…も…って、そういや、華さんも出かけるって言ってましたよね?」
「は? 今、私と話してるよね? なんで、華の事が出てくるの?」
「 」フッテオイテ…
「それに私、知ってるの。たまぁぁぁに、華の事も、呼び捨てにしてるのってっ!!」
「 」
「もういいやっ!! みぽりんの手伝いしてくるっ!」
「……いや…あの…」
……。
…………。
この後しばらく、沙織さんのこの状態が続く…のだけど、なんで!?
▼
「…と、言うことがあったのですが…なんで怒ってるのか、分かるか? 中村」
「死ね」
「……林田は?」
「苦しんで死ね」
「……」
時間通りに待ち合わせ場所へと行けば、その待ち人…桃先輩は居らず、今回俺がお手伝いをする園さんしかいなかった。
依頼の張本人がいないって…どうなんだろう。
電話で確認を取ると…「詳しい事は、本人へ聞けっ!!」と…丸投げ…。
まぁ、伝言ゲームをするよか、マシだけれどもさ…。
「…よろしく頼むわ」
ぶっちょう面・園さんの感情が篭っていない一言。
あ、園先輩か…。
…そうそう。忘れる事が多いけど、この方先輩です。
背の低さも相まり、年相応に見てあげられな時がある。
いつも一緒の他の二人は、場所が場所な為、どうにも心配だった様で、今回は個人で行くつもりだったらしい。
まぁ…桃先輩からすると、一人で行かせる方が余程心配だろう…んな訳で、俺参上。
……。
あ、うん。
それと中村と林田。
今回の探索に手伝ってもらう話になっていた。
まずは林田。このツアーに同行すると言って聞かなかった。
理由は知らんが、ちょっと危ないかも知れないぞ? と、言っても着いて行くと言って、結局それを許した。
もう一人の同行者。中村は、学園艦の内部…しかも、一般的に入れない所も見れるという事で、連れて行けという嘆願された。
これも林田と、同じくして引かなかったから、すぐに諦めた。
…まぁ、人数はある程度いた方が良さそうな場所だから、正直助かるがね。
初め、園さんは、二人の同行者に驚いてはいたが、すぐに同行を許可してくれた。
これから向かう先が、怖い…とかではなく、すでに俺を含め、数に入れていない様な感じだった。
今更、一人増えようが、二人増えようが一緒だと…そんな感じ…。
いや…マジで、俺って彼女に嫌われてるなぁ…。
プラウダ戦の時に話した時と、イメージが違う…。
まぁ…いいや。悪意…とも違うしな。
慣れてる。
「しっかし…地下が、そんなに珍しいかね? 結構、俺来るけど…」
「…そりゃ、お前が生徒会役員だからだろ」
「普通だったら、別学部とかへは、許可がないと入れないからな」
鉄の梯子を、並んで仲良く降りていく。
「…所でよ」
「なんだよ」
学園艦内部は、機関室やら何やらの他に、自給自足の為に養殖場等の設備も兼ね備えられている。
主に普通の学生は、入れない場所。
まぁ、そりゃ一般公開している状態で、変な事されれば、大惨事になりそうな場所もあるしな。
今も、鉄の廊下の下。
大きな円状の生簀の中を、グルグルと…ありゃカツオか? その魚が元気よく泳ぎ回っている。
「…ここってよ、水産科の縄張りだよな?」
「縄張りって…」
「尾形…こんな所の子にも、お前…手を出してたのか?」
「出してねぇよ!!」
「じゃあ、なんで、あの子。お前に手を振ってんだ?」
「……」
その水槽の前…ゴムエプロン姿の子が、俺に向かって大きく手を振っていた。
無視するのもなんだから…こちらも手を振る…。
まぁ、役3名の視線があるから、出来うる限り、小さく…で、だけど。
「なに、あの日焼けが眩い子」
「す…水産科の…」
「お前、ポニーテールとか、好きだったよな」
「…ま…まぁ」
「また浮気かな?」
「また浮気だな!」
「またとか言うなよッ!!」
「…あのな? 他の科の子となんて普通、そんなに接点ねぇだろ」
「なのに、あの笑顔…」
「いやな? 魚って、市場に出回る前の方が、遥かに安いんだよ。…ある程度まとめ買いは、必要だけどな?」
「…何言ってんだ?」
「だから、水産科に直接買いに来てんだよ」
「「 …… 」」
「まぁ、結構交渉とかモロモロ必要だけどな? 杏会長に口利きする条件で、売ってもらってる」
「あの会長に口利きって…」
「同じく、同条件で農業科にも…」
「「 …… 」」
「農業科からは、ピーマン一箱、安く売ってもらった」
「「 …… 」」
「まぁ口利きって言っても、大した事じゃないけどな。結構、現場の意見ってのは、お上には伝わらない様でな? 作物とか育てる上での細かい事…って、なんだその顔」
二人揃って、苦虫を噛んだような顔しだしたな。
別に変な事を言っている訳ではないのだけど…。
「…お前、職権乱用って言葉、知ってるか?」
「乱用って…してねえよ。例えば…店を持ってる人達って、お得意さんの業者とか個人で人脈持ってるから…それと同じだ。不正は一切してない」
「……」
「その場合、物品、金品等をタダでもらえばアレだけどな? 市場に個人的に参入させて貰ってるって感じだ。ちゃんと金を払って買ってるぞ?」
言い訳ではない、ちゃんとした訳を説明しながらも、先行して歩く園さんに着いて行く。
というか、ほぼ迷路の様な、この地下。
一回、沙織さんと一年連中が、迷子になった事を思い出してしまった。
段々と、通路も狭く薄暗くなっていく。
それでも、ただ黙って歩くのが嫌なのか、中村達は会話を続けたいようだ。
「…とは言ってもな…そこまで食費に困ってるのかよ…」
「はぁ…お前ら……」
「んだよ」
「…華さんいるんだぞ」
「「 ………… 」」
「…朝から、すげぇ食うんだ……あの人」
「「 ………… 」」
「…その栄養が全て、あの胸に行くと考えると、非常に納得が行く程の…」
「なら仕方ないなっ!!」
「頑張れ、尾形っっ!!」
お前ら…。
最近、中村もノリが軽くなってきたなぁ。
「まぁ、食費もあるが、時間が立つ前の食材を、直接購入出来るからな。味もいいしな。中村、これ終わったら飯、食いに来るんだろ? 違いを教えてやる…」
「…お…おぉ。男の手料理を食いにお邪魔するってのは、正直思う所があるが…」
「あぁ、そういや、ホテルで言ってたな。ついでにダー様のカードか?」
「そうだッ!! 念願のっっ!!」
「 うっさいわねっ!! 」
お…おー……。
園さんが、怒鳴った…。
いつものノリで、中村達と話し込んでしまって、彼女の事を頬っておいてしまった。
「…そろそろ、つくわよ」
此方に半分顔を向け、立ち止まった。
覚悟しろと言いたげな、雰囲気
ここから先の通路は、色々とカラフルになっていくのが、見えるね。
何もなければ、普通の壁。
そう…何もなければ…。
その左右の壁は、禍々しい七色の絵の具で描かれている現代アート仕様だった。
まぁ…アメーリカのスラム街とかで、よく見かける現代アートだ。
「ここが、大洗のヨハネスブルグ…ねぇ…」
まぁ、一応…普通とは少し違う場所だ。
同行する旨を言われた際に、二人には多少、誇張してどんな場所か伝えてあった。
その二つ名で呼ばれる場所に、いつの間にか到着していた。
「さて、改めて聞くけど…いいのか? 危険かもしれんぞ?」
「はぁ…まぁ? 事情聞いてしまったらよ。その先輩を一人で行かせる訳にもいかんだろうよ…お前もそうだろ?」
「まぁな」
中村は淡々と、答える。
こいつ、別に園さんと面識がある訳でもないのにな。
「林田は?」
「……」
「林田?」
「…俺は…出会いが欲しい…」
「「「 ………… 」」」
「あぁっ!! 少しヤンキー娘でっ!! ある意味でツッパてる、巨乳の彼女が欲しいっっ!!!」
「……」
「…お前…すげぇわ。素直に感心する…」
何かを決意している目をしてるな…。
「徐々に更正させて行く上での、体と共に発展していくロマンスを「Okブレーキ、林田。話が進まん」」
動機はアレですけど、こいつは自分に素直なだけだな…。
ポジティブすぎる思考が、本気で羨ましく思う。
ある意味で、これはコレで、こいつの魅力であり、武器なのだろう…。
モテるかどうかは、別として。
さて、虫を見る目をしている彼女に、一応聞いておこうか。
「園さん」
「なによ」
「ここの連中を取り締まるって名目で来たけど…何か策でもあるの?」
「片っ端から、取り締まってッ!! 更生を促すわっ!!!」
無い胸を張って、得意げに言い切った。
要は…無策ですね。
でもなぁ…この手の連中って、頭から押さえつける様に言っても反発するだけ…
「貴方達と、まとめてねっ!!」
「「「 …… 」」」
うっわ…達って、言ったな。
「丁度良い機会よっ!! 反省させて、猛省させてっ! 更生させてあげるわっ! 風紀委員の名に掛けてっ!!」
「「「 …… 」」」
「まず、貴方っ! 林田 優っ!!」
「え…俺っすか?」
「見る限り…成績は良いみたいね」
どこからか取り出した、アイパッド? かな? を、操作し始めた。
アレの中には、在校生のデータが全て入っているらしいね…。
「…遅刻も無い。特に特出して、悪行もないみたいだけど…」
「悪行って…。あぁ、そういや林田って、在校男子生徒の中では、成績1位だっけか」
「全然そうは、見えないのにな。人は見かけによらないな」
「お前ら、酷くないか!?」
「 ただ、女生徒からの苦情が酷い 」
「 」
「セクハラは犯罪よ? 主に視線がいやらしい…って、苦情が最多数ね」
「 」
「次に、中村 孝」
「…俺っすか?」
「…同じく、特に学園生活に置いては、問題ないけど…出席日数が、そろそろ危ないわ」
「あ…あぁ…」
「お前、いい加減に学校サボってまで、戦車試合見に行くのやめておけよ…?」
「まぁ、大洗学園にも戦車道できたし…まぁうん…自重するか…」
「後…痴情の縺れの相談がすっごいわ」
「「「 ………… 」」」
「遊ばれて捨てられただの、なんだの…その手の話を良く相談されるわ。その内に刺されるわよ」
「…お前、人の事言えないだろ…」
「ちっ…ちがっ!! 俺、今付き合ってる彼女いねぇっ!!」
「…今……」
「あ、林田がアップを始めた」
「…まぁ正直、ちょっと目が怖い子が多かったし…本気で生活改めなさい? その内に刺されるわよ?」
「2回言われたっ!?」
「なぁ、林田」
「あぁっ!?」
「怒るなよ。まぁアレだ…今度、中村にそれとなく聞いてみよう」
「何がだよっ!!」
「中村…よく私物がなくなるって言ってたろ?」
「お…? おぉ、なんか家でも封開けたばかりの物がどうの、言ってたな」
「…多分その、風紀委員相談相手って…ストーカーか、何かだろ」
「……」
「あの手の男に多いんだよな…」
「……」
「そして、特に貴方っ!! 尾形 隆史っっ!!!」
「え…俺っ!?」
俺に向かって、目を細めて、睨みつけてきた…。
「…風紀を乱す元凶……」
「……」
「人前で…キッ……キキキキキ……スとかっぁぁあああっっ!!!!」
あ~…プラウダの…ノンナさんの…いたっけ…そういや、この人。
顔真っ赤にする位なら、濁して言えば良いのに…。
「いや…あれは…」
「…女性関係? 不純異性交遊っ!? がぁぁぁぁっっ!!!!」
あ…壊れた。
「なにこの人数っ!? 何股かけてるのっ!? 女の敵っっ!!!」
「……」
あ…うん。なんだろう…ちょっと、その意見が久しぶりで、ほっこりしております。
懐かしいなぁ…。
「なに笑ってんのよっっ!! 粛清よっ! 粛清っ!!」
更生じゃなかったのかよ…。
カチューシャみたいな事言い出したな…。
中村と林田が、一歩下がった…。
こいつら、俺をそど子の火の粉の盾にする気かっ!
…言いえて妙だが。
「会長も何を考えているのかぁぁ…こんな、男を生徒会に…更には役職までぇぇ…」
あ~…なるほど、なるほど。
こんな感じで、この人に俺、嫌われていたのか。
「生活指導…生活…コレを矯正…更生……」
……。
あ、目がちょっとやばくなってきた。
なら出来るだけ、普通の態度で…。
「でも、それって今、ここでする事ですかね? 目の前の汚れ切った廊下を見て思う…取り敢えず、先に行きませんか?」
「はんっ! そう言って逃がすわけには行かないのよっ!!」
でもなぁ…。
「奥で、髪型がとても奇抜な娘達が、こちらを見てますけど…」
「……」
「後、片っ端からってのは、やめときましょう?」
「はっ!? なんでよっ!!」
よし、食いついた。
「あの手の連中って、大体リーダーというか、そういったまとめ役がいるもんです、そちらをまず、納得させた方が早いっすよ?」
「……」
「こういった事は、一朝一夕に出来ないでしょう? 時間を掛けて徐々にって、事で…また、後日様子を見にこれば良いじゃないですか」
「………」
俺の話を、頭から否定すると思ったけど、しっかりと聞いてくれているみたいだ。
目が少し右斜め下を向き、何かブツブツと呟いて…まぁ、脳内で会議してくれているのだろう。
ふむ…なんだかんだ、結構冷静なのか?
感情的な性格だと、感じていたけど、人の話をしっかりと聞ける人だな、この娘は。
「…そうね。貴方に言われるのは癪だけど…身近に模範となる人物がいた方が…」
「そうそう…まぁ、面会は難しいかもしれませんが、小さな事からコツコツと…ある意味で初対面同士、どんな生活をしてるかも分からないでしょう?」
「まぁいいわ。手始めにそれで行きましょう。まずは、あの子達のリーダーに会いましょう……そこから生活指導の幕開けね…ふ…ふふっ…」
そこまで言い切ると、我先に…と、そのヨハネスブルグに脚を踏み入れた。
着いてこい…って、背中で語ってますね? 園さん。
その年で背中で語れるのって、結構凄いと思いますよ?
「…話をすり替えたな、尾形」
「いや、あの先輩もチョロすぎだろ…」
「数多の修羅場を潜り抜けて来たからの余裕か? 尾形」
「冷静に対処対応してたな…」
「本来の目的に戻しただけですわよ? 他意は御座いませんわ」
「オネエ言葉のお前は、背筋に悪寒が走るからヤメロ」
「下手すっと本職に見える…」
「……」
ダージリンの真似は、今後控えよう…。
▼
…歩き、進むに連れて、足元のゴミ…壁の現代アートが段々と酷くなっていく。
通路に座り込んでいる生徒とかも、段々と増えていき…。
ゴミも、なんか割れた瓶とか散乱してるし…危ないなぁ…。
現代アートも上塗りされすぎて、壁が真っ黒になっている。
お陰で、薄暗い通路…というか、廊下が更に薄暗くなっているな…。
掃除したい…白一色にしたい…。
進んでいく内に、通路の様子が変わってきた。
ただの壁から、ポッカリと穴が…というか、空洞が出来ている。
教室…なのか?
窓ガラスが割られている為にできた空洞。
…その向こう側から、何名かの生徒に、めっちゃ見られてる。
というか、ガン飛ばされてるなぁ…。
「ほら、林田。好きな子選べ」
「……」
「あ…こいつ、マジで物色しはじめたな…」
中村と林田。
意外と余裕だな。
しかし…女生徒しかいない。
こじらせた男子生徒も、何名かいるって聞いていたのな。
あ、男女比率が違いすぎて、逆に女生徒に淘汰されたのだろうか?
「しっかし…奇抜なデザインというか、何というか…」
「海賊っぽい髑髏の落書きが多いな、流石、船舶科」
んぁ? そういや、そうだな。
船舶科のハングレは、海賊…ね……。
……。
「…どうした、尾形。青い顔して」
先行して歩く、園さんを追い掛ける様に、どんどんと奥へと進んでいるけど…。
その壁。
中村と林田の会話に釣られ、何となく現代アートを眺めていたら…えらくファンシーな落書きを見かけた…というか、見つけた。
大体は、小さく書かれているのだけど、真新しい落書き。
しかも、結構な数…。
「なんで…ベコが…」
そう、小さく黄色く…簡単に書かれている。
特にこんな場所に、縁なんてないだろうに…。
「ちょっと、待ちな」
ん…園さんが、立ち止まった。
危うくぶつかってしまいそうになる程の急ブレーキ…。
俺達が進む通路を、二人の生徒に遮られていた。
なんか…まぁ、なんだろう…すごい髪型…というか、色。
真っ赤な原色を使った、ストレートの髪の女生徒と、真っ青な原色を使った、オールバックの女生徒。
…セット…コンビかな?
「アンタらさぁ…誰に断て、ここ通ってんの?」
「………」
おーおー…めっちゃ威嚇してきてるなぁ…。
周りの他の女生徒達も、ニヤニヤと此方を眺めてるな。
「ここは学校よっ! 誰に許可を取れって言うのよっ! 通行は自由よっ!!」
…怯まない。
寧ろ喧嘩腰で、相手を睨み返したなぁ…園さん。
あ~…やっぱり血の気が多い…。
「アンタ達っ! 何その髪の毛っ! 校則違反よっ!!」
まぁ…うん。いきなりカヨ。
でもな?
そういった髪の毛…しかも結構、見かけよらずに手入れをしているタイプのヤンキー姉ちゃんに、その言葉はちょっとまずいぞ?
特に真っ赤な髪の子。
見事なほどに真っ赤だけど、綺麗と思える程に髪の艶が素晴らしい。
あんだけ長いと大変だろうに…色も何もかも維持するのって。
「あっ? 髪?」
あ、ほら…食いついた。
「そうよっ! それにスカートが長いっ!! 後、この辺、ゴミだらけじゃないっ!! しっかり掃除しなさいっっ!!」
「「……」」
体全体でダイナミックな動きをしながら、捲し立てる園さん。
それは朝の校門前と同じで、ある意味で皆に公平だとも言える。
…けど、この場所では些かどうかと思う。
その赤髪の女生徒。
髪を指摘された時、明らかに不機嫌になった。
ジャラッと、腰からスカートのポケットに繋がれていた、チェーンが動く音がした。
体を前屈みして、目を見開いたまま…すげぇ園さんにガン付け始めた。
しかし、一切怯まない園さん。
腰に手を当てて、まっすぐその目を見返している。
…ふむ。ちょっと流石にマズイな。
おや、中村と林田。
流石に気がついたか? ちょっと真剣な顔つきになったな。
まぁ、頭数がないと、こういった場所だと特に舐められるからな。ある意味で、無理して来てもらってる様な感じだし、彼らを動かせる訳にもいかんだろ。
しかし中村も林田も、こういう時に、怯まないなぁ…ちょっと意外だ。
「…ケイさんに比べれば、可愛いもんだよ」
「…オレンジペコさんに比べれば、そよ風の如し」
あ…うん。鍛えられたなぁ…。
「はいはい、ちょっとスイマセンね?」
「ちょっとっ!!」
園さんと、その赤髪の子の間に割って入る。
俺の背中から、園さんのクレームが聞こえてくるね。
それよりも…だ。
男が急に出てきた為か、横に居た青い髪の女生徒も、体を少し構えた。
そして俺の顔を、下から覗き込む様に嬉しくない、上目使いでガンを飛ばしてくる。
「……」
ちょっと、ピリッとした空気になったが…俺はそんな事もお構いなく、ある一点に視線を集中させていた。
先程から、一切喋らない、青い髪の女生徒もそうだ。
腰からスカートのポケットにチェーンが伸びている。
時代錯誤っぽいとか、そういったのはどうでもいい。
その根元…キーホルダーが見えた。
二人共…そろって黄色いのが。
……。
いや…見なかった事にしよう。
「悪いね、別に君達に喧嘩売る気はないんだ。君らが言う、許可とやらが欲しいからさ、君らの代表に会わせてくれないか?」
「ちょっっとっ!! ムグッ!?」
勝手に話を進めようとしたのが気に食わないのか、園さんが抗議の声を上げようとした。
が、その後ろから中村に口元を押さえつけられ、後ろに下がらされいる。
よしよし、流石に分かってくれたか。
にこやかに話し掛けて見ているので、この二人も、出かかっている矛を収めてくれないかなぁ…。
この場所のルールとやらもあるだろう。
それらを無視し、一方的に上から目線で話す、園さんにはもう話させない方が、良さそうだ。
「アッ!? …あ?」
一瞬、胡散臭い…って、目で眉を曲げたね…。
そりゃ、取り巻きの様に後ろに控えていた俺が、いきなり出てこれば、そうなるだろ。
…う~ん…。
しかし、威嚇の様な「あ」の後に、別の意味のニュアンスに感じる「あ」に変わったな。
「…あっ!?」
今度は、何かに気がついた様な「あ」に変わったぞ…。
嫌な予感しかしねぇ…。
……。
あ~…今度は、スマホを取り出したな…。
……。
会長…杏会長?
………帰ったら問いただしマスネ?
一体、ベコをどうしたんだと…商品開発してんじゃないよ…。
…その赤髪の娘のスマホは、黄色い見慣れた熊のケースだった。
うん…ヤンキーっぽい娘だけど、遠目で見れば、ファンシーな見た目。
年頃の女の子だと、実感させてくれる。
何かに焦っているのだろうか? いそいそ、スマホを操作している彼女。
その指の爪が当たるのが聞こえてくる…。
何をしているんだろう…。
そんな様子を、他の生徒達は、まだ俺達から距離を取って、見守てっている。
「なぁ、尾形。アレ…あの子のスマホケースって、ベコだろ?」
「…多分、そうだな」
「……」
「…………」
「まっ、ガンバレ尾形」
「諦めた顔で、言うなよっ!!」
「島田流がスポンサーに着いた時点で、諦めろ」
「………」
ま…まぁ、商売しちゃいけないって訳じゃないけどさ…。
幾らなんでも、流通が早すぎる…。
いつから…あ、もしかして…ベコの着ぐるみを愛里寿に預けた時辺りからか!?
それでも生産ラインの確保とかさぁっ!! 色々あるだろう!?
「こっ…これっ!!」
ん?
操作が終わったのか…スマホの画面を、俺につき出してきた。
あら綺麗な画面。バッキバキに割れていそうだとうか、ちょっと失礼な事を思っとりました。
……。
あ…うん。
そこには、小さな男の子がおりました。
「これっ! 私の弟ですっ!!」
敬語になったね…。
何故かその顔は…キラッキラに輝いてますね。
「覚えてますかっ!?」
「…あ~…はい」
見慣れた着ぐるみも写っていた。
小さな男の子が、その見慣れた毛玉に抱っこされていた。
そのツーショットの写真。
…これ、初期のベコだ。
この子も覚えている。
沙織さんを救出後、テントへと戻る最中、一度だけ子供に抱っこを要求されたから。
一度だけだったから、覚えている…。
その時の子供に負けない位の輝く目で、俺を見上げて来る赤髪の娘。
「あの…中身が、俺って事を…知っていて言ってますよね…今」
「はいっ!!」
またスマホの操作操作を始め…もう一度画面をつき出してきた。
バッ! っとね…。
目の前の画面の中には…。
「半裸の俺がいる…って、なにこの写真ッ!? あっ! 納涼祭の時のかっ!!」
そこに映っていたのは、倒れたベコから、体を引きずり出された後の写真…なんだろう。
…ベコに俺が喰われていた見たいな言い方しちゃったけど…何人かの手で、俺の着ていたインナーを脱がされている時の写真だった。
結構な野次馬いたし…おっさんの手だけど、しぼんだベコと一緒に、画面端に写ってるから間違いないだろう。
…意識あんまし無かったし。
これが撮れているって事は、あの場にこの子もいたの!?
こんな派手な髪の毛してるなら、印象に残らないはずないのだけど…。
あの子供を抱っこした時も…黒髪の…あ。
「あの時、私…弟の前でしたし…良いお姉ちゃんで通していたんで…髪黒くしてたんです」
「あ…はい。なる程…」
「あの時、車での…女一人、数人で攫うような…ゲス野郎共……をっ! ぶっ殺してくれた時の動画も! ちゃんと撮りましたっ!!」
「…殺しちゃいないけどね…というか、動画撮ったのね…」
スマホ世代…。
ちょっと怖いな…。
「すげぇ~なぁ…すげぇ気合入っってんなぁ…とか、思いましてっ♪ どんな人なんだろう…とか、気になってぇ~」
「……」
気合とか…気になるとか…言い方と、ニュアンスに彼女の人となりが現れてるなぁ…。
しかもあの場に、俺を追っかけて来るとか…中身バレてるし…。
「その時の動画っ! ネットに上げて見たら、再生数すっげー事になりましてっ!!」
「!!??」
「あ、大丈夫ですよ? あのゲス共を、抱き潰してくれた時のしか上げてませんからっ! 肖像権の侵害になっちゃいますぅ!!」
「………………」
わっかんない…。
この赤髪の娘の性格が、よくわっかんない。
肖像権とか普通に言ったね…まぁ動画をネットに上げる位だから、最低限の知識はあると思うけど…。
というか!! ネットにベコの動画上げたの、この娘かよっ!!!
…ちょっと待て。
周りがザワザワ言い出したぞ…。
ここにいる全員が…まさか…。
「最新の動画も見ましたっ!! アレ、マジっすよねっ!?」
「あ…はい。マジっす…」
決勝戦の時の…か…。
先程から、一切しゃべらない青髪の子も、目を輝かせてるし…。
「ファンっす!! 握手してくださいっ!!!」
お辞儀して、手をつき出してきた…。
えー…。
「あ~…うん。どうも…」
仕方がないから手を握ると、ブンブンとそのまま上下へと振られた。
いつの間にか、両手で握られ、青髪の子が、赤髪の子の後ろへと…あ、これ、並んでいるつもりか?
まさか、この子も!?
マジカァ~…えー…。
知波単の西さんもそうだけど、何がそんなに良いの? この毛玉。
「ありがっとしたっ!!」
あ…はい。
嬉しそうに手を離した赤髪の子は、スッとそのまま青髪の子へと場所を譲った。
すでにこの青髪の子の行動が分かっている見たいに…。
待て…まってっ!! なんで、ゾロゾロその後ろに並んでんのッ!?
どこから…あぁっ!? ギャラリーがこっちに移動してきてるっ!!
「あの…ファンです……デザインは、初期の方が、好きです…」
「……」
な…なんつー…声。
初めて口を開いたと、思ったら…見た目と違い、思いっきり綺麗で透き通る様な声…。
ヤンキーっぽいから、この声自体が、コンプレックス…と、見た。
だから、一切喋らなかったんだろうなぁ…。
…と、いうか初期って…。
「え~…2番目の方が、カッケーだろ。マントとか、少しボロい所がワイルドでよぉ。3番目はないな」
「確かに3番目のモヒカンは、どうかと思うけどよぉ。あれは別の人が入ってんだろ?」
「あたしは、シンプルに初期だな!」
…後ろでベコ談義が始まった…。
というか、この子達全員が、握手待ちかっ!? はぁ!?
「あ~…中村」
「知らん」
「助けてくれ…」
「だから知らん」
助けを求めて後ろを振り向くと、諦めろとばかりに視線を投げられた。
…見捨てられた…。
園さんは、林田に押さえられて、まだ暴れてるけど…う~ん…。
その後、何故か握手会に発展し…その際に一人一人、ベコについて熱く語ってくれました。
ここの船底で、なんか流行ってるらしく…というか、動画を赤髪の子が見せて、そこから布教。
あっと言う間に、船内へと広がっていった様だ。
うん…男気がどうのとかも、言われたけど…特に気にした事もないんだけど…。
ベコグッズは、船内の売店で売ってる? あ…そう…。
……。
会長っっ!!!!!
「あ…あの、赤い髪の…えっと…」
「はいっ! 鬼怒沼! 鬼怒沼 真希って言いますっ!!」
「あ、はい…鬼怒沼さん…いくつか聞いていいですか?」
「真希でいいですっ!!」
……。
「赤鬼が…名前呼びを許可した……」
…………。
なんか、ベリーショートの子が、驚いた様に、呟いた。
赤鬼って…。
「あの…んじゃ、真希さん…」
「呼び捨ててくれて「真希さん?」」
「あ、はい!」
……。
無理…初対面の娘を呼び捨てとか、無理。
拒否るすかの様に、被せて呼んでみたら、思いの他に素直に返事をくれた。
「…ここって、男子生徒もいるって聞いていたんだけど…」
「あー…ボコッて、追い出しましたッ!」
「……」
「女相手だって、舐めやがりましてね? 女だと思って、好き勝手できるとでも思ったんじゃないんすか? ちゃんと絞めときました」
……。
あ、うん、まぁ…いるね。
そういった輩は…。
その事に関しては話したくないのか、それとも思い出したのか…すっごく嫌そうな顔で返された…。
「見た目ばっかりの、モヤシ野郎ばっかりでしてね…はっ!」
…周りの全員が頷いてるな。
どんな奴らだったんだろう…ちょっと気になる…。
…。
「んじゃ…次。取り敢えず、やっぱり掃除は必要だと思うんだ」
「…そっすか?」
一応、園さんの意見を言ってみた。
周りを見渡しながら、足で転がっている便をコツいて言ってみる。
あからさまに、嫌な顔をしたな…感情に素直なんだろう。
ダリィ~って、顔からして言っているな。
「特にこのビン類は不味い。割れているのもあるじゃないか。…釘とか…」
「……」
説教ぽく言ってしまうとまずい。
…白けるというのだろうか? すでにちょっと、退屈といった様子が伺えた。
だから…。
「…怪我したらどうする。特にガラスとかで切った場合とか…後々傷に残ってしまうんだぞ? 女の子だろう?」
「お…」
「木の枝とかでもそうなんだ。刃物見たいな物じゃなくて…こういった物での傷は、ふさがりにくいんだ。見ろ」
一応、例として、腕を捲って見せてみる。
昔、ミカと遭難した際、裸のまま戦車から体を出して、森の中を疾走するというバカみたいな行為をした事があった。
その時に出来た傷を、余り見せたくないが、見せて説明してみる。
傷を肉で無理矢理塞いだような、そんな傷を…。
「…な? 汚いだろ? だからせめて、怪我しない様にゴミを…だな……ン?」
あの…青髪の子が、腕をさすりだしたんすけど…。
なんか、うっとりしてるんですけど…。
「いや…心配してくれるのは、嬉しんっすけど…ここまでの量だと…」
「あぁなる程。方法か…そうだな。汚し過ぎてしまった場合、取り掛かりがわからんか。なら良し。俺も手伝おう」
「マジっすかっ!?」
……
「言った手前、責任は取るよ。…どうせなら全て掃除しよう。そうしよう。清潔という名の暴力を見せてやる」
「意味わっかんないっすけど、マジっすかッ!? ベコ様、また来てくれるんっすかっ!?」
…………
「あ…あぁ。君らがよかったら…だけどな。後…様…いや、ベコ呼びは、やめて下さい…本気で」
「でもなぁ…掃除かぁ…」
やはり面倒臭いのか、明らかにやる気を感じない。
でも、普通に危ないし、白くしたいしで…。
「あ、もしかして、心配してくれてんすか?」
「…は? 当たり前だろう。年頃の娘なんだから、特にこういった…なに?」
なんだ…目がまた輝き始めた?
おっさん臭い言い方って、ボソッと後ろで聞こえたけど、無視だ無視。
………………うん。
「あの…ところで、この子…なんで俺の二頭筋を摩ってんの?」
「あ、そいつ腕筋フェチなんっす」
「……」
どうしよう。
なぜか、先程から脳内アラームが止まらない…。
現状が完全に膠着してしまいそうだから、さっさと本題へと移行しよう…。
うん…逃げたほうが良さそうだ。
「じゃ…じゃあ、君らの代表へ会わせてくれないか?」
「ベコ様なら、ぜんっぜん良っすよ! あ~…でも、親分……今の時間、いるかなぁ…」
…親分?
▼
…思いの外に……あぁ、本当に心外な打ち解け方をしてしまった。
素直に良かったとは思うし、掃除をするという約束も取り付けた。
何名かは、どこか不満気だったが、特に本気で嫌がっているとも思えなかった。
そりゃ誰だって、綺麗な方がいいだろうよ。
部外者に言われてするのは、やはり不満なのか…後はただ、面倒なだけだろうよ。
ここの代表に取り付いで、上から言えば、多分ありゃ従うな。
上下関係が、結構ハッキリとしていたし。
赤髪の娘と、青髪の娘。
彼女達二人は、現場監督…見たいな役所だったらしい。
周りの生徒へと、一声掛けると素直にそれに従った。
髪を逆立てている女生徒と、ベリーショートの髪型をした女生徒だけは、妙に犯行的だったけど、最終的には素直にソレに従った。
…そして今。
その赤髪…鬼怒沼さんに案内され、言われるがままに、通路を進んだ。
どんどんと、薄暗くなる通路。
何故か、登ったり下ったり。まぁそういう作りなのだろうが、よくわからない進み方をされてしまたった。
最終的には、ポッカリと口を開いた奈落へ続くと思わせる空洞。
その中心に設定されていた、ポールに捕まって降りろって言われたけど…。
他の3人も、すでにイベント盛りだくさんだった為に、疲れてしまったのか…考えるのを諦めたとでも言うのか。
特に何も疑問を口にしないで、すべて案内されるがままに従った…結果。
石壁に囲まれた部屋に、俺達は到着した。
「…」
「………」
「あからさまに怪しいな」
石の壁の何も無い部屋。
その壁の中心…ここが入口ですよと、言わんばかりに通路が開かれている。
ただ工事中なのか、その入口横に、何か資材が積まれている。
「まぁ…進むしかないな」
鬼怒沼さんは、そこまでは着いて来なかった。
何か理由があるのだろうが、後は道なりに進めばok~っと、キャラちゃうやろアンタって、感じで見送りの言葉をくれました。
さて…この先に、ここの代表者様がいるのかね。
…廊下の先、少し明かりが見える。
「…はぁ…なんか…疲れた」
「林田。園さんは、まだまだ元気そうだぞ?」
「…なによ」
腰に手を置き、さっさと行きたいとばかりに、俺の顔を見上げている。
先程の事もあり、ちょっと強めに叱ってみたのが、効果があったのか…一人で突っ込む様な真似を控えてくれている。
そりゃなぁ…幾らなんでも、いきなり喧嘩腰は良くない。
その後に考えうる展開を、何パターンか提示し、対応を聞いてみた。
暴力を振るわれたらとか、後方にいた、同行者を背後からいつの間にか拉致られたらどうすんのか…とか?
はぁい。…大体、力技の回答を頂きました。
一人では対応出来ない事態を考えて、行動してくださいな。
ツッコミどころ満載でしたので、全ての彼女からの案を、口で潰した。
…ちょっと涙目にしてしまったのは、悪かったと思っている。
はぁ…この子って…見た目通り融通が利かないというか、自身が正しいと信じ込んでいるから、ちょっとタチが悪い。
というか、危ない。
…桃先輩の言う通り、一人で来させなくて本当に良かった。
鬼怒沼さん達は、多分…大丈夫だと思うが、普通に裏路地とか本当に危ない場所、連中の前であんな事してしまったとしたら?
しかも一人だけなら、即、袋叩きにされていてもおかしくないぞ…。
「だから、なによっ! 貴方の言うことに従ってやってるんだから、文句ないでしょ!?」
…う~ん。
やっぱり睨まれるな…。
ま、嫌われてもこの際、仕方がない。
彼女の安否が第一だ。
「そういや…この先に待ち受ける、ラスボスを前にちょい良いか?」
「林田…ラスボス前って…死亡フラグ…」
「……」
「まぁいいや。んで?」
「俺よぉ。この後、すぐに実家に戻んないといけないんだよ。バタバタしそうだし、今聞いとく」
「バタバタしそう?」
「…顔合わせするんだと」
「顔合わせ?」
「兄貴がよぉ…今度、結婚すんだよ」
結婚…。
その少し困った顔をした表情を見て、園さんが反応した。
「なによ。おめでたい話じゃない」
「え? …あ~そうなんですけど…」
彼女も女の子だ。結婚という二文字に憧れでもあるのかね。
ちょっと、興味を持ったようだ。
「兄貴…あぁ、真ん中の兄貴なんすけど、真面目な性格すぎて役所に就職して……お陰で、今まで女っ気が皆無だったのに…。いきなりってのが、気になりましてねぇ」
「別に良いじゃない。就職先も安定してるし…真面目なのは良い事よ?」
「まぁ…う~ん…」
なんだ? いきなり、んな話…。
「ん? 林田。お前の実家って、酒蔵だったよな?」
「あぁ、3人兄弟なんだよ。一番上の兄貴が、家を継いでる。んで、俺も最終的には兄貴手伝うつもり」
「…就職先、決まってんのかよ」
「まぁ嫌いじゃないし…って、それは別にいいんだよ!」
本当に、何が言いたいんだ?
「んで、本題。…尾形」
「なんだよ」
ここで、林田が妙な顔して、一呼吸置き…。
「尾形」
「だから、なんだよ」
「尾形なんだよ」
「だから、なん…」
「相手の姓が、尾形だ」
「「「……」」」
…血の気が引く。
「フルネームは、まだ聞いてないんだけどな? お前、姉ちゃんとか、いねぇ?」
「……いる」
「親御さんは…戦車道の師範してるって聞いてよ…。まさかって思って」
「……俺の姉さんも、今度…結婚する…」
「…………」
「…………」
「……んじゃ…行こうか…」
「そ…そうだな。さっさと済まそう…」
「なんだ、この妙な雰囲気…」
色々な事を、後回しにする事を、俺は林田と決めた…。
アイコンタクトって、本当にできるんだな…。
さぁっ!! あの海賊旗を掲げる先に…今は……い……。
「…なぁ、林田」
「…なんだよ」
「もし…相手が俺の姉さんならな? 胸の事には、絶対に触れるな」
「…は?」
「死ぬぞ?」
「………はい?」
「……死ぬからな?」
「…………」
ため息しか出ねぇ…。
▼▲▼▲▼▲▼▲
オモシロイコトヲ、オモイツイタ
そうだねぇ。
別にアレらに義理立てする気も無いし、別に悪いとも思っちゃいねぇ。
俺としては、両方が共倒れになってくれる事が、一番良い事だしぃ。
餌は、たぁくさぁぁん…あるしねぇ…。
優先順位は、あのお坊ちゃまが、一番。
アレが、一番、オカシクなる方法…。
オモシロイコトヲ、オモイツイタ
俺専用のVIPルームに運ばれてきた、スチール製の飯の器。
その端を指で弾く。
小気味良い音と共に、色々とオモイツイタ。
まずは、どうコンタクトを取るか…。
思いの外早く、尾形 隆史との面会が叶った。
今、どんな面してるか、一度見ておきたかった…って、淡い恋心だったのにねぇ。
…かっ。
同じ方法でいけるか…。
さぁ、誰にしよう。
家元のババァじゃ、面白くない。
そうそう…。
尾形 隆史。
アレにも、知られていない…情報。
ソレを誰に。
アレをどの様に。
ソレを教えるか。
「……ヒッ」
味のしない飯を、口へと掻き込み、その飯をゆっくりと噛み砕く。
何を口に入れたかは、興味が無いし知った事ではない。
ただ…うまい。
そう感じた。
噛めば、噛むほど…面白い事に成りそうな予感に、心が躍る。
ただ、噛むだけで、こんなにうまいと感じる事が、出来るようしてくれたねぇ。
こんな場所で、こんな気持ちになるなんてぇ…ありがとぉぉね? お坊ちゃま。
カッ……。
何をどうしても、鑑別所にいる俺には手出しできねぇだろう。
圧力や金を使えばどうにかなるかもしれんが、直接的には手が出せない。
上手くいけば、その内に飛んでくるだろうけどよぉ。
だから好き勝手やらせてもらおう。
どんな顔を見せてくれるかなぁ?
…さて、あのお坊ちゃまと面会している時にいた警官。
あれに言えば、言うことを聞いてくれるよねぇ。
いっぱいお金貰ったらしいし? 僕の希望も聞いてくれるだろうよぉ。
あのお坊ちゃまも、ソレを内部にいる俺に教えるとか、馬鹿じゃねぇ?
んじゃ、ありがたく、その警官様に、面会の希望…名指しでお願いしますかぁ。
それに全てを話す…と言えば、結構あっさりと連れてきてくれるかもねぇ。
文字通り…すべて。
二人。
そうそう、二人。
島田 愛里寿。
そして…西住 みほ。
あの二人に教えて差し上げるのが、一番…面白い。
西住 まほは、ダメだね。
ショックは受けるだろうが、面白みに掛ける。
だから、あの二人。
島田 愛里寿は、尾形 隆史に対してだけは、面白いほどに暴走してくれる。
お電話で会話した時に、強く思ったねっ!
あぁ。こりゃおもしれぇって、本気でモット、お付き合いしたかったねっ!!
うふっ…どう、暴走してくれっかなぁ。
西住 みほは…どうだろう?
ガキの頃に助けてくれた、王子様。
本当は、何もしなければ、誰も怪我なんてしなくてすんだ。
実際は、その王子様が、俺の前に、勝手に立った…それだけだ。
だけどねぇ? あのお優しい、みほちゃんが、そう…結論付けられるでしょうかぁ? って話だねぇ。
物は言い様だぁ。
だから、そう思い込ませりゃいい。
あぁ…そうだ…。
島田 愛里寿にも…道案内をしてやろう。
焚きつけてやろう。
引き金を引いてやろう。
ここには、一人で来るようにしてやれば、誰にも邪魔はされないしねぇ。
前回の様に、尾形 隆史も出てこれない。
みほちゃんにも教えてあげよう。
誰が悪かったのか…。
結局はお前らが、狙われたのが悪い。
家が悪い。
西住が悪い。
誰が悪い?
お前が悪い。
お前達姉妹が悪い。
って、ねぇ…。
俺が一番、悪いに決まってんだけどさぁぁ!!
ふぅ…さて。
どんな顔をするだろう?
どんな表情を見せてくれるだろう?
怒るかなぁ?
泣くかなぁ?
…壊れるかなぁ?
納涼祭回の追伸通り
ベコ・ブーム到来