転生者は平穏を望む   作:白山葵

123 / 141
今回は、PINKルートとリンク話。
そちらの方を読まなくとも、わかるようにはしたつもりです。

初めに、どちらからの話を読むので、印象が変わると思い、どうせならと同時に掲載。
任せます。



閑話【 未来編 】~夢のつづき~ その6 ノンナ編★☆

「どういう、意味でしょう?」

 

 

 静かな空間に響く、ノンナさんの声。

 う~~む…と、駄女神の唸る声の二つしか聞こえない。

 よし、黙っていよう。

 

 今、余計な事は、絶対に言わない方が良いと思う訳です…。

 

 みほではなく、ノンナさんを選んだ世界…。

 そりゃそうだろうよ。

 結婚して、子供まで作っているのだから、最終的には、そういう事になる。

 ただ…態々、ソレを口に出したってことは…違う意味が含まれているって事だろう。

 

 ダージリンとオペ子も、それは分かっている様で、ノンナさんから発せられた疑問の回答を黙って待っている。

 

 …待って……。

 

「……」

 

 正確に言いましょう。

 

 あ、はい。まずは俺。

 我に返ったので、俺はもうオペ子から離れてます。

 感情が昂て、抱きしめてしまった。

 そのせいだろうな…。

 

「……ハァァァ……」

 

 先程出された椅子に腰掛けているオペ子は、熱に浮かされた様に、ぼ~…っと、しているな。

 たまにため息までついて…。

 

「……………………」

 

 あ、はい。ダー様からは、すっごいガン見されてます。

 横から…ティーカップを口につけた状態で、目だけ……至近距離で…。

 

 よって! …とても静かな空間です。

 

「…それに、私にとってアタリか、ハズレとは?」

 

 そんな二人を無視し、疑問の続きを口にするノンナさん。

 まぁ…先程から俺の方を、チラチラと見てきますけどね…。

 しかし…アタリ? ハズレ? …んな事も言っていたのか。

 そこまでは聞いていなかったなぁ

 

 …。

 

 しかし、質問をされた駄女神が、自分の杖の先をジッ…と眺めていた。

 目を細め…真剣な目で。

 

『 …おかしい。こんな失敗…するはずないのに… 』

 

「…言い訳か?」

 

『 そういえば、一瞬何か…ノイズの様なモノが… 』

 

 俺の声すら聞こえてないな…こりゃ。

 そんな駄女神に、しびれを切らしたのか…ノンナさんが、もう一度呼んだ。

 

「…女神さん」

 

 その言葉でやっとこさ気づき、質問の答えを話だした。

 

『 え? あ~…うん。この未来線の場合…様は、今の貴女にね? 別の現実を、見せつてしまう様なモノなのよ 』

『 あぁ…ちょっと、酷かもしれませんね 』

 

「今の…私? 別の現実?」

 

『 今の貴女の未来線。このまま行って、アレと結婚した未来…ソレも勿論あるわよ? …あんのよ、隆史 』

『 そうですね。……あるんですよぉ? 隆史さん 』

 

「………」

 

 何故俺は、二人の女神にいきなり、ジト目で見られているんだろう…。

 

「…そうですか」

 

 顔をほんのり赤らめたノンナさんが、俺を一瞬見て目を伏せました。

 会話が順調に進んでいますね? 変に横槍が入りませんから。……俺以外には。

 

 ですから、ダージリン。

 そろそろ、前を向いてくれ…。

 

『 先輩。そろそろ、お子様が召喚完了しますよ? 』

『 あ~…来る前の方が良さそうね。…そんじゃ、言うけど…アタリかハズレは、貴女が判断してね? 』

 

「はい」

 

『 …今回呼んでしまった世界線…それは 』

 

「それは?」

 

 青いのが、腕を組んだまま、突然カッ! …っと、擬音が聞こえてきそうなほどに目を見開いた。

 

『 隆史が…大洗に引っ越す前に… 』

 

 片手を腰に、もう片方の腕…というか、指をノンナさんに、突き出してハッキリと叫んだ。

 

 

 

『 もうすでに! 貴女と付き合っていた! と、いう未来線なの!! 』

 

 

 

 ……。

 

 …………。

 

 し…静かだ…。

 

 誰も言葉を発しない…。

 ノンナさん…。

 

 恐る恐る、彼女を見ると…手を握り締め、肩が震えている。

 当然、駄女神の言葉に驚いたのだろう…。目を見開き、表情が固まってしまっている。

 

 後は、格好を着けて叫んだモノの、誰も何も言ってくれないので、突き出した指をどう収めて良いか分からず、そのままの格好で硬直している駄女神。

 先程と一緒で…いやぁ…静かだね。

 

 いや? ちょっと、先程と違うな…。

 

「ノンナさん…抜けがけですか? 抜けがけですか?」

「…知りません」

 

 座っていたオペ子が、ノンナさんの横に立ち…。

 

「あの、暗黙のルールを…。あの、均衡を…」

「ですから、知りません。違う世界の私の事です」

 

 俺を横からガン見していたダージリンが、ノンナさんの横に立っている。

 

「……」ハンッ!

 

「「…………」」イラッ!

 

 そして、何故かノンナさんが、やけに嬉しそうに笑ったね…。

 ダージリンとオペ子に微笑み掛けたね?

 いやぁ…久しぶりに見るなぁ…そのくっろい笑顔。

 

 ……。

 

 取り敢えず…大洗に引っ越す前? って事は…青森にいた時の事か?

 え…いつ? あれ?

 

『 そ…そろそろ、腕下ろしてもいいかしら? 疲れてきた… 』

 

 勝手に下ろしゃ、いいだろうよ…。

 考え込んでいると、駄女神がプルプル震える腕で、静寂をが崩した。

 

 それを合図にした様に…。

 

「 なに? …此処 」

 

 一人の女の子が、俺の横に現れた。

 

 

 

 

 > ノンナの場合 <

 

 

 

 

「 尾形 アンナ! 10歳です! 」

 

 突然現れた少女は、こちらの事情を察しているかの様に、自分から自己紹介をしてくれた。

 行儀よく、深々とお辞儀する姿を、ただ呆然と見つめてしまっている。

 

 今回の遺伝子も、俺は圧倒的に劣勢だった様だ。

 似ている…めちゃくちゃノンナさんの面影が強い。

 黒く艶のある、長い三つ編み一本にまとめいる髪の毛が、とても特徴的で…見た目は、小さくなったノンナさんそのモノだった。

 

「え? ……じゅ……さ…い……?」

 

 ……。

 

 取り敢えず、オペ子の顔が絶望に染まりきる程に…10歳には見えない程、身長は高く…その…余り言いたかないが、発育が大変よろしい。

 愕然と、その子供を見て…目のハイライトさんが、ご退場したネ。

 こちらは違う意味で、呆然と両手を空中の何かを掴むように前に出され…呆然としているネ。

 どちらが歳上でしょうか? と、クイズを出されたら、まず間違いなくアンナ…と、名乗る娘を指す程にな。

 

 ただ…ノンナさんと、明らかに違う所がある。

 

「 へぇ~…お母さんっ! 若いっ!! 」

「…この年で、ソレを言われるとは夢にも思いませんでした」

 

「 お父さんも、すっごい若いねっ!! 」

「あ、はい…」

 

「 ダージリンさんも、この頃からすっごい綺麗!! 」

「あら、ありがとう」

 

「 …オペ子さんは、余りこの頃から変わらないね。ある意味、若いままってのが、すごいっ!! 」

「…………ハイ」

 

 表情が、物凄く豊かだった。

 コロコロと表情を変え、全員を見渡しながら、順に感想を言って回っている。

 なんというか…例えるなら、向日葵の様な、暖かく明るい笑顔を振りまいている。

 

 すごいな…場の雰囲気を一気に変えた。

 無邪気…その、一言に尽きる。

 その顔が、幼いノンナさんだというのが、ちょっと違和感…。

 体をダイナミックに動かしながら、何もない空間の中を、楽しそうに動き回っているな。

 …というか、ダージリンとオペ子に、将来彼女は面識があるのか。

 更に、というか? 娘さん。貴女もオペ子呼びですか。

 

 ……。

 

 

『 補足しまし「お願いします」

 

『 近っ!! 』

 

 ノンナさんの食い付きがすごい。

 駄女神との距離がほぼ、零距離ダヨ…。

 

『 わかった! 分かったから、ちょっと離れて……く…だ…さい 』

「早くしてください」

 

 ……。

 

 ありゃ、至近距離のノンナさんの眼光にやられたな…。

 言葉の最後が、段々と弱っていってるし…。

 ノンナさんが、駄女神の顔…というか、頬を両手で掴んでいる。

 …逃がさない気だな、アレは。

 

 駄女神からのヘルプにて、取り敢えずノンナさんを引っペ剥がした。

 話が進みませんからね?

 

『 まずっ!! 鬼門の…西住 みほさん。あの娘さんの世界線では、隆史との関係が、幼馴染以上に進展する事はなかったわ 』

 

「「「 っ!!!! 」」」

 

『 一応…ノンナさんと、恋人関係で大洗に引っ越した訳だしね 』

 

 ……。

 

 ま…まぁ、その関係で引っ越したのならば当然だと思うけど…。

 そうかぁ…俺、彼女とそういう関係になるって可能性があったわけか。

 

 …しかし何故、全員が驚いているのだろう。

 

「…そうですか。浮気は、しなかったのですね」

 

 ノンナさんっ!?

 

『 ア、ウンウン。ニシズミ ミホサントハ、ツキアワナカッタワ 』

 

「「「 ………… 」」」

 

 会話のキャッチボールができてないぞ、駄女神。

 その返答は誤解を生むゾ?

 

 さぁ、言い直せ。

 

 なんだ、その笑顔は。

 なんだ、その笑顔はっ!!

 

 ナンっ「 隆史さん 」

 

「はいっ!?」

 

「付き合わなかったという、事実しか、あの女神様とやらは、仰ってくれませんね?」

 

「……なぜ、その疑問を俺にいうのでしょう?」

 

「オッシャッテクレマセンネ?」

 

「駄女神ッ!! フォロー!! フォローォォ…って、なに爆笑してやがるテメェェ!!」

 

 腹を抱えて爆笑してやがるッ!!

 うんっ!! ノンナさんの息が鼻に掛かるっ!!

 

「エリス様っ!! たっけてッ!!」

 

 駄女神には、さっさと見切りをつけるっ!

 あの馬鹿、完全にこの場を引っ掻き回す気だろ!

 

『 あ~…はい。ノンナさん? 』

 

 エリス様の助け舟っ!! ノンナさんへと声を掛けてくれた!

 よしっ! 苦笑しながらだけど、あの顔は助けてくれるっ!!

 駄女神、テメェは後で覚えてろよっ!!

 

「…なんでしょう?」

 

『 大丈夫ですよ? 』

 

「……」

 

『 彼は、浮気はして………ません…?? 』

 

「…………」

 

 エリス様ッ!!??

 

 なんで、最後ちょっと言葉を濁したのっ!? そして何故、疑問文っ!!

 そして、何故顔を逸らした……あれっ!?

 

 俺にだけ見える位置で、ちょろっ……と、舌を出した…。

 

 そして、そんな彼女と目があった…。

 

「……」

 

 アンタもかぁぁぁっ!!!

 

「・・・・・」

 

 ノンナさんっ!! 目っ!! 赤いっ!!発光してますよっ!!??

 近い近い近いっ!!!

 みほの世界線での浮気を知っているから、俺に説得力はないがっ!

 流石に、今回は想像もつかないっ!

 

『 …してませんが 』

 

「…が?」

 

 あ…空気を呼んでくれた…。

 一瞬見せた茶目っ気で、この世界線で、俺は浮気はしていないと判断したが、流石に人が悪すぎますよっ!?

 

『 新たな鬼門…いえ、()()()にとって、危険人物ができます 』

 

「…この分岐された世界線では、私に障害となる人物が他にいると?」

 

『 えぇ… 』

 

「…ま。今の私には、たどり着かない世界でしょうし…それは別に知らなくとも……」

 

『 いえ。今の世界線でも、隆史さんとの未来に傾いた時、かなりの障害になりますよ? えぇ…ある意味で、西住 みほさん以上ですね 』

 

「……」

 

『 …あ、貴女方、3人に言えますよ? 』

 

 ダージリンとオペ子に顔を向けて言い切った…。

 そういや、貴女達とか言ってたたな。

 

「どなたでしょう?」

 

『 …どなたでしょうかねぇ? 』

 

 なんで二人揃って、俺を見るのだろう…。

 今回、エリス様、ちょっと意地が悪いっ!!

 

「…カチ『 違います 』…ャ

 

「西ず『 ちゃいます 』」…マ…

 

「……」

 

『 …… 』

 

 あ、はい。

 ダージリン?

 オペ子?

 なんで、顔がそこまで真剣なのでしょう?

 娘が、一人で走くりまわってるのですけど?

 

「…Представления。誰でしょう?」

 

 降参…って、あっさりと睨めっこの、負けを認めたな…。

 負け、という言葉では、少し違うかもしれんが、ちょっと悔しそうな顔なので、多分…そうなのだろう。

 

『 西 絹代さん 』

 

「……」

 

 …は?

 

『 はい、では補足を続けます。この世界では、隆史さんは「魚の目」を継いでますよ? オレンジペコさんの時と同じですねぇ 』

 

 あっさりと一言、その人物の名前を言うと、さっさと次だと話を進めだしてしまった。

 その人物の名前…って!

 

「チョッ!? えっ!? 待ってくださいっ!?」

 

『 お店を改造、改築…ノンナさんと切り盛りしております 』

 

「西さんっ!? 知波単のっ!? 俺、そんなに面識な『 ヤ カ マ シ イ デ ス ♪ 』

 

「 」ヤカ…

 

『 …私の仕事を増やすのが、貴方の仕事なんでしょうか?♪ 』

 

 え…笑顔だ…。

 すこぶる…良い笑顔だ…。

 

 あの駄女神ですら、押し黙ってしまっている…。

 

『 特にダージリンさんにとって、天敵…と、言える程でしたね 』

 

「わ…私?」

 

『 では、補足を続けますねぇぇ。ご息女が置いてきぼりですのでぇぇ 』

 

《 ………… 》

 

 …怖い。

 

 初めて、エリス様に対して、恐怖を感じた…。

 基本、見た目も何もかもが、真っ白いイメージだったのに…今は、反転して真っ黒に見える…。

 最後名前を出された、ダージリンですら質問ができないほどに…。

 

『 …と、言いますか…アンナさん? 』

 

「 え? なに? 」

 

 突然名前を呼ばれた、む…娘が、エリス様の呼びかけに反応した。

 きょとーんとした顔をしているが、この何もない空間のどこを探す? と言う程に、バタバタと縦横無尽に駆け回っていた脚を止めた。

 

『 貴女のご両親の質問に、答えてあげてください 』

 

「 質問? 」

 

「「!!??」」

 

 …いきなり振られた。

 補足を続けてくれるんじゃ…。

 

『 この方が良いと、判断しました。勿論、補助は致しますので 』

 

 俺の心を見透かされた気がする…。

 まぁ、召喚して頬って置かれても、娘も困るだろう。

 先程から置いてきぼりで、ちょっと不憫だしな。

 

 それは、ノンナさんも感じてくれたみたいで、ス…と、小さく手を上げた。

 

「 お母さん? 」

 

 まぁ聞きたい事は、あるだろう。

 エリス様の流れに、従った。

 

「あの…アン…。…ぅ…少し、気恥ずかしいものですね」

 

 自分の娘の名前を呼ぶだけなのに、緊張した顔のノンナさん。

 少し前に出した手が、宙に浮いている。

 すぐに、その手をグッと、握り締め…改めて挑戦。

 

「で…では、アンナ」

 

「 ん? なに? お母さん 」

 

「……ぅっ!」

 

 …あ、今度は耐えた。

 

「…えぇ…と、将来…私は、何をしていたのでしょう?」

 

 ……。

 

 辿たどしく、口にした自分の将来への疑問。

 

「 え? お店やってるけど? 」

 

「あ、いえ…貴女のお……お父さんと…その…」

 

「 結婚する前? 」

 

「そうですっ!」

 

「「……」」

 

 空気を読みすぎだ…娘。

 しかし、ダージリンオペ子も興味が沸いたのか、その質問を黙った聞いていた。

 変な横槍も出さないで、ただ…「 学校の先生って言ってた 」

 

 ……。

 

 女教師…。

 

 ……。

 

『なんで、アンタ嬉しそうな顔してんのよ』

 

「いや、別にっっ!!??」

 

 いかん…想像してしまった…。

 ワイシャツ、タイトスカート…教鞭…メガネ……。

 その姿の想像が、一瞬で構築できてしまった。

 

 …女教師、ノンナさん…。

 

 男子高校とかには、絶対に就職させたくないなっ!!! 絶対にだっ!!

 

「…着れば良いのですか?」

 

「」

 

「……まぁ、別に如何わしい格好ではないので、構いませんが…」

 

 …声……にぃぃ。

 如何わしいです…貴女が着ると破壊力が凄まじくなりそうです。

 あぁ…慣れてしまったのか…特に突っ込みもしないで、冷たい目線で俺を見る全員目線が痛いっ!!

 

「しかし、先生? …教師ですか?」

 

「 あ~うん。戦車道の先生! 」

 

『 正確には講師ですね 』

 

 ……。

 

『 やはり貴女達は、この道に進まれる方が多いですね…。西住 みほさんも他の世界線では、結構多かったでしょう? 』

 

「そうですか…私が、教える立場になるのですね。ん? そうすると、現行の私は…」

 

『 あ~そうね。最終的に、貴女がプラウダ高校の講師として招かれた時点で、コレとまた距離が近づくのよ 』

 

 ……。

 

「私は、高校卒業後…やはり」

『 そうですね、この世界線でも、ロシアへと留学していますよ? 』

「やはり…大きく離れてしまうのですね…」

 

 あ、はい。

 

 疎遠…とも違うけど、遠距離恋愛とやらが、しばらく続いたそうだ。

 そうだな。人生そんなモノだ。

 特に高校生同しの恋愛なんて…高校生の恋愛なんて…思い出になるのが殆どだろうよ。卒業してしまえば、殆どそれまで…というのが、多いらしい。

 男女共に、社会に出たり、大学へ進んだり…世界が大きく広がるのだ。

 新たな出会いや、学業…仕事……。自分自身の事で、ソレ所ではなくなる人も多いだろうよ。

 仕事…。

 

 まぁ…前の俺の場合………。

 

「……」

 

 いや、やめよう。

 

『(…そうね、アンタの場合、もうあまり昔の事は思い出さない方がいいと思うの)』

「…?」

 

 駄女神も、俺の心を見透かしたかの様な言葉。

 俺にだけ聞こえる様に、脳内へと語りかけてきた。

 

『(気付いてないかもしれないけど、アンタの性格って、徐々に変化しているのよ)』

「(変化…そうか?)」

『(アンタの場合、肉体が精神に追いつくのではなくて、精神が肉体に追いついているのよ。段々とそれなりに? 年相応に見られ始めたでしょう?)』

「……」

『(それで、周りの世界や社会との均衡を保ってるの。アンタの異常性をゆっくりと自然へと戻すみたいにね。まぁ経験や記憶は簡単には消せないから、面倒くさい事にもなってるんだけどねぇ)』

「(異常性って…お前…)」

『(…まぁ、大体はアンタの事ですからぁ? 卑猥で、邪な事ですけどぉ? なまじ、クソ見たいな経験があるから…別の世界線で、大暴れしてるけど)』

「(オイ)」

『(なんで刺されないか、心配になるくらいよ?)』

「…………」

 

 その言い方だと、俺が刺されるのを待っているかの様だな? オイ。

 

「隆史様は、どうなさったのですか?」

 

 オペ子の声で、我に返った…。

 ま…そうだな。この駄女神様の言うとおり、昔より今だな。現在を大事にしようか。

 

『 隆史さんは…青森に戻り、無事、高校を卒業。その後、あのお店で修行に入りました。この頃には、すでに継ぐ気になっていた様ですね 』

「あら…進学は、なさらなかったのですね」

『 はい。中途半端は宜しくないと、すぐに 』

 

 ……。

 

 あの言い方だと…俺が、青森へと戻った後に、高校を卒業していると言っているな。

 しかも、学園…という、言い方じゃなくて…高校。

 

 そうか…。

 

『(この世界線は、今の貴方では辿りつく事がない世界です。お気になさらずに)』

『(そもそも、全ての世界線の彼女達を救うとか、傲慢なのよ。神様じゃないでしょ、アンタは)』

「……」

『(あ、でもアレですよ? 西住母娘の関係は、すでに修復していましたから、その後も大丈夫ですよ?)』

『(そうそう。西住 みほさんも、熊本へと戻る事が出来てね? まぁ? アンタが、大洗に行った意味は、ちゃんとあったわよ)』

「…………」

『(…なによ、その顔)』

「(だ…駄女神に、慰められた…。今、ちょっと…救われた気がした。アリガトウ)」

『(……なんか、素直に喜べない)』

 

 クラーラさんと同じく、ノンナさんとはパソコン等通じて、連絡を取り合っていたとの事。

 俺自身、調理師免許の取得や修行とやらで、忙しかったらしく、それでもお互いに連絡を取り合っていたそうだ。

 長期休みになれば、ノンナさんから会いに来たり、俺から行ったり…なんなり…。

 

 ……。

 

 なんか…うん。

 しっかり遠距離恋愛してるな…俺。

 

『 その後、大学を卒業後…彼女…ノンナさんは、青森が拠点であり、母校であるプラウダ高校へと講師として、戻ってきた 』

「…まぁ…ノンナさんでしたら、その位は……無理をしてでもやりそうですわね」

「ロシアから、いきなり日本…しかも、ピンポイントでプラウダ…」

『 後は、もう…近場に来たのだから、分かるわよね 』

「「……」」

『 …即、入籍したわよ 』

 

「естественно」

 

 …そうですか。

 当然ですか…。

 

 ん? …待てよ?

 

 アンナは、10歳と言っていた…。

 って事は、ノンナさんが、24歳の時に…って、事は…。

 

 新任講師が、2年目で産休…。

 

 ……。

 

「あの…俺って、ひょっとして…ノンナさんの将来、邪魔した…のか?」

 

 少し…血の気が下がる…。

 女性が、社会に出てからの事は、よくわからんが…なんとなく、そう思ってしまった。

 夢…だったのかどうなのかは、聞いてはいないが…講師になって、これからって時に…。

 

「してません」

 

 ノンナさんが、即答してくれた。

 

「違う世界線とはいえ、私の事です。その位は分かりますよ」

 

 そして…何処か嬉しそうに、こちらを振り向いた。

 

「えぇ…分かります」

 

「……」

 

 そして、少し噛み締める様に、慰める様に言ってくれた…。

 

「…ダージリン様」

「……えぇ、ペコ」

 

 …あ、うん。

 

『 まぁ、実際、その通りよ? 』

「なに?」

『 ギリッギリまで、その子…バリバリ仕事してたわ 』

「…でしょうね。私ならそうします」

『 出産後も子育てしながら、仕事もしてたわよ? 』

「でしょうね」

 

 …それはそれで、どうなんだろう

 

「ノンナさん…」

「はい?」

「自分の体…もう少し、勞ってください…多分、未来の俺、気が気じゃなかったと思いますよ?」

「……え……ぇぇ…」

 

 …何故、心配したのに赤くなって俯いたのだろう…。

 

「…野暮……ここで、口を出すのは、野暮です…今は、ノンナさんの番んん…」

「えぇ……えぇ、ペコ。そうです。我慢しなさい。私も我慢しますから…」

 

 …あ、はい。

 

『 アンタの大好きな、西住 しほさんだって、子供二人抱いて、子守しながら、バンバン戦車乗ってたらしいし… 』

「…いや、あの人なら、すげぇ想像つくけど。それはないだろ…」

「隆史さん」

「え? あ、はい?」

「大好きな…という、部分は否定しないのですね?」

「ノンナさんっ!?」

 

『 あ、隆史 』

「…なんだよ。あ、ノンナさん? 抓るのヤメテクダサイ」

 

『 現状では、五十鈴 華さんが一番だけど… 』

「華さん? なんで今、彼女の名前が…」

『 その子…そういう関係になったら、あんたが出会った娘の中で、一番嫉妬深いから気を付けなさいね? 』

「……」

『 付き合った後だと、ぶっちぎりね。ちなみに、2番が、島田 ミカさん。3番が、西住 みほさん。4番目が五十鈴 華さんね 』

「…なんで、順番つけた…んっ!? ミカっ!? はっ!?」

『 いやぁ…ノンナさんの、ジェラシーストームはすごいわよ? 』

「聞け…な? 俺の話を聞け」

『 ちなみに、逸見 エリカさん、アンチョビさん、カチューシャさん、ダージリンさん、ペパロニさん 』

「千代美ッ!? カチューシャっ!? ペパロニっ!?」

「また、私!?」

『 この子達は、怒る…というよりも……泣くわ 』

 

「…………」

「…………」

 

『 物凄い、号泣ね… 』

 

 ……。

 

 

 エリカの場合、殺されるんじゃないかと思うほど、怒りそうだけど…。

 ペパロニも…というか。

 

 新たな人物が…。

 

「…女神さん」

『 !!?? 』

「今は、私の番です。他の女性は関係ないのでは?」

『 そ…そうねっ!! ごめんなさいっ!! 』

「…カチューシャは、許します」

『 ……あ、はい 』

 

 自然と項垂れていた頭を上げると、またノンナさんが駄女神の顔を掴んでいたな…。

 うん…胃がまた痛くなってきた…。

 

「……ん? でも、私は講師をしていたのですよね? でもアンナは今、隆史さんと一緒にお店を…」

 

「 そうだよ? おじちゃんとおばちゃんが、引退しちゃったから、人手が足らなくなったって、お父さん言ってた 」

 

「おじちゃん? おばちゃん?」

 

「あぁ…ナルホド。多分、おやっさんと女将さんだろ。また3人で、やっていたのか…あの店」

 

『 えぇ、あの店主が引退と同時に、あのお店を隆史さんへと完全に継がせた…のと、同時にノンナさんも講師を引退。お店へと入りました 』

 

「…それで、今に至ると」

 

『 そういう事ですね。ちなみに、結婚した直後…居酒屋から、大衆食堂へと変わりました 』

 

「大衆食堂?」

 

『 そうですね。店主さん達からの、心使い…見たいなモノでした。これから生まれてくるであろう子供…アンナさんの為に改築したみたいです 』

 

 そうか。

 あの店、時間が不定期…というか、朝が早すぎるからな。

 アンナの事を考えて、時間を一般人に合わせたのだろう……と、すぐに分かった。

 おやっさん…。

 

『 ちなみに、ノンナさんがお店に入ったら、客数が一気に増えましたね… 』

 

「……」

 

『 …男性客ばかり…。たまに男子生徒もチラホラ… 』

 

「………………」

 

 プラウダも…共学になってたんか。

 ニュースでもやってたけど、子供不足ってのも原因に、あるのだろうか?

 

 ……。

 

「 お父さん、若くても同じ顔してるぅ 」

 

 少し楽しそうな娘の声が聞こえた…。

 キャキャと、俺達のやり取りを先程から、見ている。

 

「同じ顔……ですか?」

 

「 うん。お母さん目当てのお客さん来ると、怒った顔する時あるよ? 」

「そうですか」

 

 だから、なんで嬉しそうなんだろう…。

 

『 これで一応、補足は大まかに終わりました。ある意味で、隆史さん好みの世界かもしれませんね 』

『 事件も何もない、平凡っちゃ、平凡な人生よね。この世界じゃ、アンタは戦車道に殆ど絡まなくなるしね 』

「…そうか」

 

 殆ど、戦車道に絡まなくなる…。

 ノンナさんが、いるので完全に切れる訳では、ないのだろうけど…何故だろう?

 …少し、寂しく感じたのは。

 

『 そーいや、隆史からは、何か娘さんに質問ないの? もう、あまり時間ないわよ? 』

 

 そうか…もう、時間か。

 半生を聞いていただけな気はするが…まぁ、俺も娘と少し話してみたい。

 

 

 んなら……。

 

「あ~…アンナ?」

 

「 …… 」

 

 頭を掻きながら、なんとなく呼んでみた…ら、ものすごい変な顔をされてしまいました。

 うぇ~って声まで聞こえそうな…。

 

「 お父さん… 」

 

「……」

 

 そうですね…あの明るい笑顔から、苦虫を噛み潰したかの様な…。

 ……マタデショウカ?

 

「 いっつも「ちゃん」付けで呼ばれてるから、いきなり呼び捨てで呼ばれると、変な感じだよ… 」

 

「あ! そうなのっ!?」

 

 あ、そっち? 

 

 そっちですか!

 

 ちゃん付け、良いんですねっ!!??

 

「…隆史様の顔が、すっごい、暗くなったと思ったら、すぐに安堵の表情に変わりましたね。というか、嬉しそう」

「そうですわね。…今の会話に何処か変な所、あったかしら?」

『 隆史、娘達に嫌われる傾向が強いからねぇ…逸見 エリカさんの娘さんに、初めて会った時、思い出したわ 』

『 あぁ…あの… 』

「そういえば、映像で見る限り…すごい言われ方、されてましたわね」

『 あ。今気づいたのだけれどっ! 隆史! それ以降、娘さんと初対面の時、ちゃん付けして呼ばなくなったわよね! 』

『 トラウマになってますね… 』

『 まぁ、キモイの一言だったしねっ!! 』

「青い女神。随分とまぁ…楽しそうに…」

「ダージリン様。この方は、こういう方です」

 

 ……。

 

 俺が娘とのファーストコンタクトの件で、なんか盛り上がってますね…。

 また、お茶飲み始めたし…。

 ま…まぁいいや。

 

「…では、アンナちゃ…ん?」

 

「 そうそう、それでいいの。それで、なに? 」

 

 …よかった…キモイと言われなかった…。

 

「 お父さん? 」

 

 …っと。

 では、まず…。

 

 

「将来の俺は、髪の毛がありますか?」

 

 

《 ・・・・・・ 》

 

 

 うるさいなっ!! 周りからの何ともいえない視線がうるさいっ!!

 重要っ!! ここ重要っ!!!

 毎回、毎回、浮気対策で頭剃らされてたまるかっ!!

 

「 髪? よく分からないけど…普通にあるよ? 」

 

 

 よしっっ!!!

 

 

「隆史様、ガッツポーズとってますね…」

「その割に何故か、哀愁が漂ってき来ますわね…」

 

 

 後は…そうそう。

 先程からの俺に対する態度で、この娘の様子じゃ大丈夫だと感じていた。

 だからの後からの質問ッ!

 

 そうっ! 何時もの質問っ!!

 

「アンナちゃん?」

 

「なぁに?」

 

 あぁ…ノンナさん似の幼い顔で、たのしそうに小首を傾げてる。

 よしっ!! 大丈夫!!

 

「アンナちゃんは……パパンの事…好き?」

 

《 ……………… 》

 

『 …また 』

『 はは…仕方ないとは思いますが… 』

「あ…そういえば…。後、基本的に男の子には聞きませんよね?」

「男親とは、娘に好かれたいモノ…らしいですわよ?」

「何故でしょう? …ちょっと、隆史様が可愛く感じました」

「そうですわねぇ………ギャップ。というモノなのでしょうか?」

『 娘に一挙一動してる熊の、どこが可愛いのよ… 』

 

 うるせぇなっ!!

 大切な事なんだよっ!!

 

 さぁっ! どうだっ!!

 

「 えっと…普通? 」

 

 ……。

 

「ふ…普通?」

 

 よしっ!!

 

 普通なら良いっ!! まだ

 

 

「 うん。普通に、嫌い 」

 

 

 

「…………………………」

 

 

《 ……………… 》

 

 

 

 あ…うん。

 

 …っと…どっこいしょっと。

 

「隆史さん…」

 

「なんでしょう? ノンナさん」

 

「…何故、急に寝転がってるのですか?」

 

「……いえ、お気になさらず」

 

「カチューシャが見ていた、マグロみたいですよ?」

 

 いや…もう、立っているだけの気力がない…。

 あの…無邪気な顔で言われた…。

 過去で一番、クル…。

 

 あー……もう…。

 

「死のう…」

 

《 ………… 》

 

「はぁ…。アンナ?」

「 なに? お母さん 」

「お父さんは、家では何もしてくれないのですか?」

「 え? よく遊んでくれるよ? 」

「…それなら…」

「 私の男友達と、本気で遊んでくれるわぁ! とか、言い出すくらい遊んでくれる 」

「……」

「 お店、休んでまで色々してくれる時もあるし… 」

「そ…それなのに、貴女は何故、お父さんが嫌いなのでしょう?」

 

 

「 え? なんとなく 」

 

 

「……」

 

 バッサリダナァ…。

 すっげぇ普通に言ったなぁ…。

 

『 なんとなくって…。し…思春期入りたての女の子、そのモノですね… 』

『 隆史から段々と、生気が抜けてくわね…日曜の疲れたお父さんみたいに、寝てるわ… 』

「…お父様。ごめんなさい……」

「…ペコ。今の隆史さん見ながら、反省するのはおやめなさい…」

 

 ほらぁ…オペ子でもそうだったんだから、仕方ないよねぇ。

 死ねばいいのかなぁ…。

 パパって、なんとなくで、嫌われる生き物なんだぁぁ…。

 

「…ちなみに、わた……お母さんはどうでしょう?」

「 だいすきぃ! 」

 

 あ…。

 ノンナさんが、カチューシャに向ける笑顔を見せてるぅ…。

 ガッツポーズとってるぅ…。

 

 

 ……。

 

 …………。

 

 俺……なんとなく嫌いだって…アハ ハ  ハ   ハ   ハ。

 

「 あ、お母さん 」

 

「なんでしょう!!??」

 

 …うん。

 

「 私のクラスの、男の子もそうなんだけど… 」

 

「はい?」

 

「 どうして男って、金髪の女性が、好きなんだろ… 」

 

「…どういう意味でしょう?」

 

「 たまに昔の知り合い…まぁ、お母さんの友達で、金髪の女の人が来るの 」

 

「 詳 し く 」

 

「 …お母さんに会いに来ているのもあるんだけど…子供目線でもお父さんにも会いに来てるみたいなの 」

 

「………」

 

「 こう…スタイル良いし…デレデッレしてるお父さん…キモイの 」

 

「………………」

 

 

 うん…子供が言うセリフじゃないね…。

 さっきまでの無邪気さが、もうないね…。

 

 女の子は子供でも、女……と、どこかで聞いたのをオモイダシタ。

 敵と判断した同性に対して、キツくなるのが、女性だよね…。

 

「 お母さんの方が、スタイルは良いと思うんだけど… 」

 

「…その女性は、背がそれなりに高いのですか?」

 

「 え? あ、うん。スラッとしてる。背が高くて…手足が長くて… 」

 

「タラシサン?」

 

「 」

 

 あ…やっぱり来た…。

 グリンッと長い髪を振り…こちらを振り向いた…。

 …だから、近い近い近いっ!!

 

「クラーラですか? クラーラですね? クラーラでしょう!!??」

 

「まっ!! ちょっと、まってっ!!」

 

 尻餅着いた見たいな格好になって、後ずさりするしか俺に手がないっ!!

 寝転がってしまったのが、痛いっ!!

 更に視線を逸らさせない為だろう…両手で顔を挟まれて固定されてしまった…。

 冷静に考えれば、未来の事なのだから、俺が知るわけがない。訳がないが…。

 

「…この前の戦車道カードの時も、思いましたが…詳しく、貴方から聞かねばならない事が、更にできました」

 

「ちょっと待ってっ!! 乗らないでくださいッ!!」

 

 そうだよね…。ノンナさんって以外に、嫉妬深いんだよね…。

 冷静な判断ができないのだろう…が、冷静な行動はしてきた!

 

 逃がさない為だろう…腹の上に馬乗りで、体の動きを抑えられ…ストーンと落ちてきたっ!!

 腹に掛かる衝撃がっっ!!

 

「おっもっ!!」

 

「………………重?」

 

「いやいやいやっ!! 変な声が出ただけですッ!! 重くないですっっ!! 鍛えてま…」

 

「そうですか…鍛えてないと、私は重いですか…そうですか…」

 

 痛だだだぁあっ!! 爪を立てないでっ!!

 ギリギリと聞こえそうなほどに、両手に力が入ってますよっ!!

 

「…ま。事実、私は? 一般女性に比べれば、肉付きが良いので…それなりの体重ですが…」

 

「……………………」

 

 …あぁ、納得………ぅぃぃいいい痛い痛い痛いっ!!

 目線でバレた…。

 

『 あ~…そろそろ、まずいわね。時間をかけ過ぎた 』

『 今回、特殊でしたからねぇ…色々と、混じり始めましたね… 』

 

 なんだろうっ!! すっごい、デジャブっ!!

 

「 クラーラさん? 違うよ? 」

 

「…違う? では何処の…アッサムさん…? カルパッ…」

 

 アンナのノンナさんの予想を否定した声が響いた…。

 今の若い、お父さんとお母さんのやり取りを、少し慣れた目線で見ている娘が、少し悲しい…。

 

 ……が、クラーラさんを否定して、出したその人物の名前…。

 

 

「 カチューシャさん 」

 

 

「カッ!!??」

 

「…んぁ? カチューシャ?」

 

「 うん 」

 

 アレ? ノンナさんの動きが…止まった。

 段々と、小刻みに振動してはじめ…絶望の表情で、顔だけ娘に向け始めた…。

 

「た…確か、背が高くて…それなりにスタイルが良いと…」

 

「 あ、うん 」

 

「手足が長く…スラッとしてるとも…」

 

「 そうだね。モデルみたいな人だったよ? 」

 

「   」

 

「 だから余計に…って、お母さん? 」

 

 今まで、み…見たことが無い程に、青い顔を…というか…ノンナさんの絶望顔とヤラを初めて拝見しました…。

 めちゃくちゃ至近距離から…。

 そして、自身に言い聞かせる様に、呟き始めた…。

 

「う…嘘…です。あの愛らしいカチューシャがががが…」

 

『 ん? カチューシャさん? なんか、留学先で一気に背が伸びたみたよ? 』

『 あ、そういえばそうですね。成長痛の痛みが、非常に嬉しそうでしたね 』

 

「  」

 

 いや…まぁ、遅い成長期…とやらだろうか?

 小刻みに震え初め…カタカタと歯を鳴らしている…。

 そこまで、ショックを受けなくとも…。

 

「そ…そういえば、アンナちゃんは、カチューシャ以外にも…ク…クラーラさんも知っていたんだな」

 

「 うん。昔、お母さんが、先生辞めた後も、たまにスカウト? に、来てたんだって 」

 

「スカウト?」

 

『 補足するわ 』

 

 あ…やっと、駄女神が仕事を始めた。

 咳払いを一つ、指を振りながら別の二人の将来を語り始めた。

 

『 カチューシャさんと、クラーラさんは、ロシア戦車道のプロ団体って奴を設立してるのよ 』

『 そこで、引退したとはいえ、ノンナさんを選手補佐として、スカウトに何度か、隆史さんのお店を訪れていたみたいですね 』

 

「…プロ団体」

 

 プロリーグとやらは、結局発足されていたのか。

 

『 講師になった時は、何度か選手としてもスカウトしに来ていたみたいだけどね 』

『 結局、隆史さんとの道を選んだみたいですけどね… 』

 

「…………」

 

 嬉しいと思う反面…やはり…。

 ノンナさんにとっての戦車道というのを、取り上げてしまったのではないだろうか?

 

「そこら辺は、もういいですっ!! カチューシャッ! カチューシャはその頃にはもう、成長してしまったのでしょうか!?」

 

 あ、復活した…その辺って…。

 

「私が戦車道の講師になっている時点で、両方を手に入れた様なモノですから、そちらの人生に悔いはありませんっ!!」

 

 …両方って…。

 いや…ノンナさんが良いなら、良いのですが…けど、気になるのそっちですか…。

 成長してしまった…とか…。

 

『 え…えぇ、大学卒業する頃には…今のダージリンさん位の背にはなって… 』

 

「あああぁぁぁぁぁ!!」

 

 …俺の上で打ち拉がれるのは、やめてください…。

 

 [ 隆史さんは、それで良いのですかっ!? カチューシャがっ!! あのカチューシャがっ!! ]

 

「…いや、まぁ…本人も大きくなりたいみたいですし…」

 

 [ 肩車できませんよっ!? ]

 

「そっちですかっ!? というか、なんでいきなりロシア語で嘆きだしたんですか!!」

 

 [ 娘に聞かせられませんっ!! ]

 

「変な所、冷静ですね!!」

 

 この格好を見せている方が、どうかと思う…。

 

「 ……… 」

 

「…お?」

 

 気がついたら、娘が横に立っていた。

 少し、眠そうな顔で、こんな状態の両親を見下ろしている…。

 

「 お父さん… 」

 

「…な…何?」

 

「 ロシア語で、話すのやめて 」

 

「……」

 

「 日本語で話してよ 」

 

「…あ、はい」

 

 将来の事だから、なんとも言えんが…両親が分からない言葉で言い合いしてたら、そりゃ怖いだろうな…。

 いや…大体、怒られるのは俺だろうなぁ…。

 それよりも、ノンナさんの事だから、娘にロシア語教えてそうなんだけど…わからないのか。

 

「 …… 」

 

 涙目の……って、涙目になってんのかい。

 そのノンナさんと俺を交互に見始めた。

 そして、一言。

 

 

「 飽 き た 」

 

 

「「 ………… 」」

 

 

「 お父さんと、お母さん…若くても余り変わらないし、つまんなーい 」

 

 いや…本当に感情豊かだな…この娘。

 先程とは打って変わって、今度は心底つまらなそうに言い捨てたよ…。

 というか、変わらないのね? 将来も…こんな感じですか。

 

 はぁ…とため息を一つ…吐き…口を開いた。

 

「 ちなみにね? お父さん倒れたのって、お母さん知らないの 」

 

「…なに?」

「え… 」

 

 知らない? どういう事だ?

 

「 お母さんが、カチューシャさん達の団体を見に、ロシアに行っちゃってる時に、お父さん倒れたの 」

 

「…そ…それは」

「 …… 」

 

『 あ~…うん。そうね 』

 

 また補足が入る。

 

 結局スカウト自体は、カチューシャ達もすでに諦めていたらしい。

 ただ、それでも。

 その時のカチューシャ達が、作り上げ、鍛え上げた戦車道チームを、実際に見てもらいたかった。

 …大体いつも、一緒だったからな。

 それが大学を卒業後、各々別の道を行き……そして、将来、始まりの場所でもう一度集まった。

 …

 ノンナさんには…特に見てもらいたかっただろうさ。あの、カチューシャなら…な。

 

 当然、俺も誘われたが、店もあるのでお留守番…その夜に倒れたそうだ。

 おやっさん達が、その場にいたので、その場はなんとか収まったそうだけど…そのノンナさんは、夜に出立したので、その時は飛行機の中…。

 完全に連絡がつかない状態らしい。

 

 ……。

 

 うっわ…最悪のタイミングだ…。

 

 これで、俺が死んだら…ノンナさんだけじゃない…。

 連れ出したカチューシャ達も…。

 

 ……。

 

「 だからさ、お母さんと連絡着いた時に、大丈夫って言って上げたいって思ったの 」

 

「……」

「 …… 」

 

「 車に跳ねられて無事でも、病気は別でしょ? 」

 

 そう言って、両手を上げてきた。

 目の前に差し出される、その小さ……くもないな。

 成長がノンナさん似で早いのか…もう、立派な手だ。

 

「はっ……そっちは、共通してんのかよ…」

 

 苦笑して、片手を上げる。

 

「……」

 

 想像……でも、してしまったのだろうか?

 顔が蒼白なっている。

 …聞いていただけで、俄かに信じていなかったのかもしれない。

 将来…俺が死ぬと。

 

 救済の為に現れた子供……娘。

 

 少し、震える手でノンナさんも、その手を取った。

 素早く…すがり付くように。

 

 掴まれる両手…。

 

 光り始める体。

 

 

「 あ、そうそう。お父さん 」

 

 体が光に包まれ始める中、最後に…と、娘に呼ばれた。

 

「 面と向かって、本人に好きとか聞く方が、頭おかしいと思うの 」

 

 頭おかしいって…。

 

 

「 私、お父さんと同じで、嘘つきなの 」

 

 

 そして笑う。

 

 

「 だから、きら~い。お父さんきら~い 」

 

 

 最後だろうに、笑った。

 

 …将来だろうか?

 

 もう判断がつかないが、いつか聞いた事。

 ノンナさんが好きだと言っていた…その花を思わせる様な。

 

 …ひまわり見たいな笑顔で。

 

 

 

「 ばいばーーい 」

 

 

 

 

 消えていった。

 

 

 

 

 

 

 ▼

 

 

 

「…いつまで、そうしているつもりですの?」

 

 ダージリンの、ちょっと拗ねた様な声が聞こえた。

 イライラしている…と言うよりかは、そうだ…拗ねた様な声。

 そうだなぁ…。流石にこの格好は、まずい…。

 

 俺の腹の上。

 

 ノンナさんは、まだ馬に乗る様に跨ってます。

 

「気持ちは、わかりますが…もう終わりましたよ? …私も今回はあまり強く言えませんが…」

 

 オペ子もまた、少し拗ねた様な声。

 強く言えない…ね。

 確かに…いや、でもオペ子の場合…俺からだったし…。

 はぁ…。

 

『 これで、一通り終わりましたね 』

『 はぁ…疲れた… 』

 

 女神達は、特にこちらを気にする様子もなく一息ついていた。

 

 ……。

 

 なんだろう…。

 

 本来、因子譲渡後に、子供一緒に帰還する…という、セオリーが今回はない。

 3人ともまだ残っている状態。

 コレ…が、理由だろうか?

 

 先程から、少し違和感を感じる。

 腹の上から降りてくれないノンナさんは、降りてくれない所か、動かない。

 微動だにしないで…顔を俯かせている。

 

 …ん?

 

 違和感は、コレだろうか?

 ノンナさんの…

 

『 隆史さん 』

「あ、はい? なんすか?」

 

 …っと。

 違和感を散策中、エリス様が声を掛けてきてくれた。

 そういえば…分岐点…いや、運命がどうの言っていたな。

 

『 一息ついた所、申し訳ないのですが… 』

「えぇ」

『  』

『 …次です 』

 

 …ん? あれ?

 深刻そうなお話では、なさそうだ…。

 だって…完全に目が笑ってねぇ…。

 あ…この目知ってる…。

 

 生前、会社勤めしていた時の俺の目と同じだァ。

 

「つ…次?」

 

 

 えー…と。

 

 え?

 

 

「あの…前回と含めて…今回で12人、終わりましたよね? 流石にもう…」

 

『 はい、終わりましたねぇ。今回! …の、解析終了分は… 』

 

「…………」

 

『 まだまだ、反応があるんですよぉ? 』

 

「………………」

 

『 次は……アンツィオ高校の皆さんですね 』

 

「アン…っ!? は? え!? 皆さん!?」

 

『 はい、皆さんです。また複数ですねぇ…文字通り、尻に敷かれた タラシさん? 』

 

「  」

 

『 はぁ…次回、また3人ですかぁ…9人呼んだ時に比べれば、いくらかマシですけどね 』

 

「あの…エリス様?」

 

『 …なんですか? 』

 

「…………」

 

 あ…。

 

 エリス様は、ニコヤカな笑顔とは裏腹に…やはり、目だけは笑っていません。

 にこやかに責めるような目線の…エリス様…。

 

 ……。

 

「…アンチョビさんと、カルパッチョさん…それに、ペパロニさん…」

 

 オペ子さん? 指折り数えるのやめてもらえますか?

 と言いますか、俺…本当に節操無しですか…?

 

 しかし…。

 

「隆史さん、なんでしょうか? その顔は…」

 

「い…いえ」

 

「信じられない…と言った、お顔ですわね」

 

「……」

 

 いや…まぁ。

 カルパッチョさんは、熱烈に好意を頂いておりますので、それに応えた…というのは、なんとなく想像つくのですがね。

 後の二人は…。

 いや、ペパロニはアンツィオで…あれ?

 千代美も? え?

 

「……はぁ」

 

「……はぁ」

 

 ため息!?

 

『(隆史さん)』

 

 スッ…と、エリス様の顔が引き締まり、脳内へと直接言葉が響いた。

 アレだ…。ダージリン達には聞かせられない話…まさか。

 

「(ふぁい)」

『 …… 』

「…なんれぇふぅふぁ?」

『(…なんで、両の頬を引っ張られてるのですか?)』

「……」

『(…まぁ、いいです。そのまま聞いてください)』

「ッ?」

 

『 最大の分岐点…その事なのですけどね? 』

 

 ……。

 

 え~…。

 

 まさかとは思ったけど…この状態なのに今、ソレを話すの?

 

 最初、結構深刻そうに言ってなかったか?

 左右から頬を抓られてる…という、結構特殊な状況なんですけど…俺。

 ノンナさんは動かないし…オペ子は怖いし…ダージリンは、新たな一面を見せるしで…ちょっと、色々と余裕がない。

 こんな間抜けな絵面だけども、エリス様…真面目な口調を崩さないし…。

 

『(エキシビジョンマッチ)』

 

「(はい?)」

 

 急に無言になり、エリス様と向き合いだした為に、察してくれたのか、顔の違和感が消えた。

 あ…やっと頬っぺたを離してくれた…。

 これで少しは話に集中できる。

 

『(その試合終了後が、最大の分岐点…そう、確信していたのですが…)』

「(ですが?)」

『(様子が少々おかしいです)』

「(おかしい?)」

『(ノンナさんの、今現在の世界線とは別の未来が、先程現れました)』

「(え…えぇ。アンナの事ですよね)」

『(そうです。過去の分岐点の未来なんて、そうそう引っ張ってこれるモノではないのですから。先程のは貴方の世界線…というよりかは、ノンナさんの世界線でした)』

「(……)」

『(それに本来、召喚失敗など、先輩なら普通にしてしまいそうですが…。偶然とはいえ、それが出来てしまった 』

『 オイ、パット 』

『(こんな事…普通、意識して強引にでもしないとできない…。もしくは、横槍が…エラーの原因も完全には解析出来てないと言うのに…)』

 

 

 

 話の最中。

 

 突然…カランッと、音が響いた。

 何か、金属辺でも地面に落ちたような音。

 

「ぁ……ぁぁ……」

 

 小さく聞こえる、駄女神の声。

 何か…嘆きの様な……。

 

 また何か、失敗したのか?

 

「ぁぁぁぁああああああっっ!!! 取れちゃったァァァ!!」

 

 項垂れている、声の主が目に入る。

 ペタンと、尻餅をつきながら…ピンク色の小さな板の様な物を摘んでいた。

 

『 たがぁぁしぃぃぃぃ!!!! 』

 

「っっ!!??」

 

 なんだっ!? なんだっ!?

 

 肩を掴まれ、ノンナさんごと、強引に体を起こされた。

 そのままガックンガックンと、体を揺らされる…。

 

「っさいなっ!! なんだよっ!!! ありがとうっ!!」

 

『 何言ってんのっ!? 』

 

 ……。

 

 いや、硬直状態になり、左右の二人と腹の上の一人の空気を、どうにかしてくれたので、反射的にお礼を言ってしまいました。

 

 ありがとう。

 

 お前の空気の読めなさは、ある意味素晴らしいと、最近思い始めた。

 

『 これっ!! 見てぇぇ!!! 』

 

「あん?」

 

 突き出された、駄女神ハンド。

 その指には、先程まで持っていた杖…の、先に咲いていた蓮。

 

 ……の、花びら。

 

『 壊れたァァ!! 私のっ! 取れちゃったぁぁあ!! 』

 

 おー…見事に、花びらだと分かるほどに、根元から逝ってるな…。

 ピンク色の一枚の蓮の花びら。

 

『 わ…わたしのぉぉ… 』

 

 ふむ…。

 泣きながら、杖と取れてまった部分を見つめているな。

 まぁ…あの程度の造形なら…。

 

「いいか? 駄女神。まずはヤスリ掛けだ。できるだけ隙間が出来ないように、頑張れ」

 

『 …は? 』

 

 スンスンと泣き始めた駄女神に、アドバイスを送る。

 

「後は瞬間接着剤とパテを買ってきてだな…あぁ、先に周りのホコリや小さなゴミを取る意味も込めて、しっかり接着面を洗浄しろよ? 手の油分とかも敵だぞ?」

 

『 …… 』

 

「接着が完了して完全に乾いたら、パテで表面を整えて…これも完全に乾いたら、その後にペーパー。3000番くらいがいいだろ。んでもって次に、サーフェーサーを掛けてだな……あぁ、その時に何回かに分けて…」

 

『 なにを言ってんのよっ!! 』

 

「……あ、いや。駄女神じゃ多分、できそうにないな…そうだ。米粒でも着けて…」

 

『 いきなり、適当になった!? 』 

 

 …しかし…座り込んで、その膝の上で、小さくなっているノンナさん。

 相変わらず、なんか…俺の体にシナダレカカッテマスネ。

 

 …なんだろう…ノンナさんが、大人しい…というか、後、今度は耳が痛い…。

 古典的な方法を知ってますね、聖グロさん。

 耳たぶが痛いですよ?

 

『 ぅぅ…修理に出さないと… 』

『 ………… 』

 

 修理する所あるんかい。

 嘆き苦しんでいる駄女神の杖を、エリス様が黙って…睨んでる?

 

『 お…おかしい。神器が壊れるなんて…通常ありえないのに… 』

『 ぅぅ…今回の件…これが原因……? 』

『 原因不明…エラー… 』

 

 ボソボソと、呟き合う女神達…。不安になるからやめてほしいんだけど…。

 

『 あっ! 葉っぱも折れてるッ!? あぁ…どうしよう 』

『 …コレハ…デモ… 』

 

 二人揃って、考え込むような独り言を、ブツブツと繰り返している。

 ボケーとそれを、耳を引っ張ってくる2人と眺めていると、エリス様が、パッと顔を上げた。

 脳内音声へと、今度は隠すことなく口にだした。

 

『 申し訳ありませんが、ちゃんとした報告は、もうしばらく待ってください 』

 

 ま…まぁ、気にはなっていたが、未来を知る事なんて…例えヒントだとしても、できないのが普通だ。

 記憶が無くなろうが…残ろうが…な。

 ワガママは言わない。

 

 ……言わないから、そろそろ耳を引っ張るのをやめてほしいのだけれど?

 

『 では、最後に…先輩? 』

『 …… 』

 

 あれ? 嘆いていた駄女神が、真面目な顔して、俺の脚の中で座っているノンナさんを見つめている。

 しかし…この状態。

 ある意味でハーレム状態なのに、微塵も嬉しいと感じないのは何故でしょう?

 

『 …ねぇ、エリス 』

『 なんですか? 』

『 この子達見てきて思うけど…なんで、こんな男が良いのかしら? 』

『 …先輩 』

 

 うるせぇな。真面目な顔して、考えてるのがソレかよ。

 んな事、俺が一番知りたいわ。

 

『 …あ~…。ちょっと、まずいかも 』

 

 そのノンナさんの顔を、しゃがみこみ覗き込み、んな不安になる一言を吐いた。

 

『 コレ…別の世界線の映像見てない? 目に魔法陣が写ってるけど… 』

『 あっ!! 』

 

 魔法陣?

 そっと、俺の首を曲げ、彼女の顔を覗き込むと、虚ろな目の奥…。

 漫画とかでよく見る、魔法陣とやらが、光って写っていた。

 

『 まぁ、現世に影響はないけど…大丈夫かしら? 』

『 先程のお子様との接触で発動したのでしょうか…? 大人しいと思ったら… 』

「…まずいって、どういう事だ?」

『 ちょっと、待って 』

 

 駄女神が俺の質問を無視し、ノンナさんのオデコに熱を計るかの様に、手を当てた。

 う~ん…と、唸りながら、目を閉じると…すぐにパッと目を開けた。

 

『 …彼女が、成功した起点を見てる… 』

 

「え…」

 

『 えっ!? 』

 

『 この世界で言えば、もしもの…ifルートって奴ね。夢と現…判断が出来てな……あ 』

 

 一瞬…ノンナさんの背筋が、ビクンと大きく波打った。

 

 

「……ぁ……な…っ!?」

 

 そして…。

 

 …………カタッ

 

 ……カタカタッ

 

 …カタカタカタカタッ!!

 

 

「……なぁっ!! あっぁああいっ!?」

 

 

「ノンナさんっ!?」

 

 

 いつもと違い、瞬間湯沸かし器の如く…一気に顔が真紅…というか、やべぇと思える程に真っ赤に茹で上がった。

 両手を頬で覆い…体を俺から離し…一定の距離で、真っ直ぐ…じーーーー…と見てくる。

 

「こっ…こくっ…はっ!!! 私からッ!? 私からですかっ!?」

 

 ……はい?

 今度は、声高く叫んだ。

 何が…え?

 

「なっ…ッ!? えっ!? いくら、隆史さんが、朴念仁でも…いくら時間が……なっ……でっもぉっ!!??」

 

 あの…。

 

「ひぅ!!??」

 

 あ…自分の体を抱きしめちゃった…。

 見たこともない聞いたことも…って姿を、今日はよく見るなぁ…。

 

『 …… 』

 

 なんか…すっごい熱っぽい目に変わっていくのですが…。

 体をクネラセ…硬直しているというのに、小刻みに振動している…様にも見える。

 ど…どうしたんだろ…。

 

『 どうしよう、エリス…。彼女…1日目の夜と、3日目まで、一気に見ちゃったっぽい 』

『 なぁっ!? 』

『 いや…まぁ! ほらっ!! 大丈夫よっ! 自然な事でしょう!? それに、ほ…ほらっ! この世界線の隆史、まだ比較的にまともでしょっ!? 』

『 今の彼女には、刺激が強すぎますっ!! 』

 

「「 ………… 」」

 

 急になんだ?

 

「青い女神様?」

 

『 は…はい 』

 

「あの冷静な彼女がアソコまで…。彼女は…一体、何を見たのですか?」

 

『 いやぁ…彼女の成功例…。アレと彼女が、付き合うきっかけの所を… 』

 

 アレって言うなや。

 

『 ちなみに、彼女から告白して、ソレをアレがあっさりと了承した未来ね 』

 

「「 はいぃぃ!!?? 」」

 

『 いやぁ…現行じゃ、アレだけ西住 みほさんとの事をこんがらかせたのに… 』

「……あ…あっさり? え?」

『 えぇ。あっさり。ほぼ、即おっけー! 出したわね 』

「  」

「し…しかし…それを…アソコまで取り乱すものです…かぁ?」

『 えっ!?  えっ!? なんで、近づくのッ!? 』

「いえ? ただ、どの様な内容か、知りたいだけですわ?」

 

 オペ子…。

 

「 今回、私悪くないわよね!? なんで捕獲されるように持たれてるの!? 」

 

 …ノンナさんが、あのノンナさんが…。

 

 心配して近づいた俺の胸に、頭を打ち付ける様にぶつかって…顔を隠した…。

 駄女神達の事になんて、目にも入らない…そんな様子で。

 

 あの…傍から見れば、抱きつかれてるようにしか見えないのですが?

 なんで、腰に手を回すのでしょう!?

 黒髪から除く…耳タブが…すげぇ…林檎の様になってる…。

 取り敢えず、肩に手を置いてやる事くらいしかできない。

 

「ぅぅ……」

 

 カチューシャが泣いた時みたいな、唸り声を出し始めたし…。

 ノンナさんと付き合う起点…とか、言ってたな…。

 ふむ。

 

「なぁ、駄女神」

 

『 なにっ!? 助けてくれるの!? 』

 

 ……。

 

 完全にダージリンとオペ子に詰め寄られて、青い風貌が、更に青くなっている駄女神…。

 いきなり助けって…。

 

「その時の記憶って、俺も見れるのか? どうせ忘れるってなら、一度見てみたい」

 

「っっ!!??」

 

 なんだ? 俺の言葉に反応するかの様に、ノンナさんの体が大きく脈打った。

 

『 ……え? まぁ、アンタ視点でなら見せられるけど… 』

 

「んなら、見せてくれ」

 

『 助けてくれるなら、別に良いけ「  Заткнись!!  」』

 

『 ひっぃ!!! 』

 

 あ…ノンナさんが、俺の腹の上から、瞬間移動した…。

 ついに今回、呼ばれた3人が、一人の女神の元に集結…。

 ノンナさんが、一言…「黙れ」って…。

 

 一気に現実に引き戻らされた、という顔をしてますね。

 寝ぼけているのに、強引に意識を取り戻そうとしているというか、なんというか。

 

「見せるっ!? アレを、今の隆史さんに見せるつもりですかッ!!??」

 

『  』

 

「許しません。えぇ…見せたら……分かってますね…。例え女神だろうが、何だろうが…絶対にユルシマセン」

『 隆史っ!! 隆史ぃぃ!! 』

 

 いやぁ…まぁ、アソコまでノンナさんを、取り乱させる内容ってのが、気になるには気になるが…。

 本人があそこまで強く拒否してるからなぁ。無理には見ようとはしまい。

 …うむ、諦めよう。

 と、言いますか? 多分…見たら絶対にイベントが発生してしまうと、確信が持てる。うん。

 

『 見せないっ!! 見せないからぁっ!! って、隆史っ!! 助けなさいよっ!! 』

 

 と、駄女神が、俺の名前を呼んだ時、ノンナさんは釣られて、こちらを見てしまったのだろう。

 髪を振り乱して、ハァハァと荒い息を吐き、眼光が残像となって流れて見える…。

 その目が、俺の目が合った瞬間…。

 

「ふっっ!!!」

 

 ……。

 

 思いっきり目を見開き…バッと両手で顔を隠した。

 両手を顔に添えたまま、更には後ろを向いて俺から顔を見せまいと隠すようにしてしまった。

 そのままストーーンと、脚を曲げ…しゃがんでしまいました…。

 

 ……。

 

 何があった……その時の俺…。

 彼女がアソコまで…。

 

「なっ!?」

 

 その様子をダージリンが、まさに驚愕…といった表情で、見ている…。

 あ…? 何故か彼女の顔も真っ赤になっていった。

 どうした? 何かに勘付いたみたいだけど…?

 

「私にも、そういった未来はあるのですかっ!?」

『 ダージリンさんっ!!?? あるっ!! ちゃんとあるからっ!! 怖い怖いっ!! 』

「……私のは」

『 オレン…ッ!? だから、あるって言ってるじゃないっ!! 揺さぶらないでっっ!!! 』

 

 

「…………」

 

 

 今…気づいた。

 毎回毎回、因子譲渡後に、母子共に帰還させていたのって…エリス様の気遣いではないだろうか?

 ほら…現状、残っていられるという、選択肢もある訳だし…。

 もみくちゃにされている、駄女神様を、哀愁漂う目で眺めていると、そんな事を思った…。

 

 だって、これ…どうやって収集つけんだよ…。

 

 ……。

 

 

 …………あぁ、力技か。

 

「…………」

 

 さっっ!! 全員が、漸く終了したなっ!!

 

 ノンナさんとは、また後で娘の…アンナの感想を、聞いてみよう。

 

 次回は…まぁ…うん。

 

 その時に考えよう…。

 

 

『 たかじぃぃぃぃ!!!! 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……。

 

 ………。

 

 えぇ…一時の夢…。

 

 その程度だと、思っておきます。

 

 今はもう、辿りつかない未来。

 

 だとしても、少しでも…。

 

 はい、少しでも…そんな未来が存在すると…。

 

 私を受け入れてくれる…そんな貴方がいたと…。

 

 ただ…。

 

 はい…ただ、それが嬉しい…。

 

 アタリかハズレ。

 

 そう、あの女神は仰っていました。

 

 即答できますよ。

 

 えぇ、断言もできます。

 

 …アタリです。

 

 今の世界が、ハズレだとは思っていません。

 

 全てが、アタリのクジを引いた。

 

 貴方と会えた…ただ、それだけで…全てが……。

 

 その一つの可能性を見せてもらえただけ…えぇ。

 

 それだけです。

 

 …………。

 

 

 ……。

 

 

 また、この世界に呼んで欲しいモノです。

 

 この世界でだけ…その未来を思い出せる…。

 

 …。

 

 それは、懐かしむ事でもなく、後悔する為でもなく…。

 

 ましてや、幸せだと思える世界を繰り返し、繰り返し…。

 

 ソレだけを見たい訳でもない。

 

 …。

 

 …………。

 

 えぇ…頑張ります。

 

 頑張りましょう。

 

 これは、活力。

 

 それは、希望…。

 

 

 

 

 ……。

 

 

 ふふ…それに…ですね?

 

 私は、存外…自分でも信じられないほど…嫉妬という感情が、強いみたいです。

 

 その世界も…

 

 今も…

 

 未来も。

 

 ですから…。

 

 

「 これからです 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……。

 

 …………。

 

 ………………。

 

 

 

 

 

 

 

「……あの」

『 はぁ…漸く皆、落ち着いてくれたわ…隆史にどう責任とってもらおうかしら? 』

「…あの」

『 え? あぁごめんなさい。 なにかしら? オレンジペコさん 』

「何故、私達…誰一人帰らないで、ここに居るのでしょう?」

『 何が? 』

「何故…」

『 ん? 』

 

「何故、見慣れたソファーが、用意されてるのですかっ!!」

 

『 え? 』

 

『 ………… 』

 

「そして…。私達は何故ここに、座らさせられているのでしょう!?」

 

『 あぁ、そういう事。 いやねぇ? オレンジペコさんいるし…丁度いいかなぁって思ってね? 』

 

「丁度いいって、何がですかっ!!」

 

「あの…オペ子? 俺は…椅子見た瞬間、記憶とか色々とまぁ…分かったから…。取り敢えず、落ち着け。な?」

 

「あ あ あ ああぁぁぁぁ!!!!」

 

『 わ…私は、反対しましたよ? 』

『 あっ!! ずるっ!! さすがパット神は、その心もパット付きねッ!! ズルいっ!! 卑怯! あっさりと裏切ったっ!! 見てくれ騙してる分、嘘はお上手ねっ!! 』

『 パッ!? パッドじゃないですっ!!! 』

『 …隆史? 』

「紛う事なき追加装甲だ。寄せて上げて、更にはプラスだ」

『  』

『 ほれ、見たことかぁぁ!!! この…「 それはソレで、いじらしくて素晴らしいと思うッ!! 」 』

 

『『 …… 』』

「「「 …… 」」」

 

『 良かったわね。コノ変態には、大絶賛みたいよ? 』

 

『 ………… 』

 

 

 

 

 

 

 > オペ子のお茶会【 出張版 】<

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

「…結局、これは一体何なのでしょう?」

「さぁ? 取り敢えず、ここに座っていろとの事ですが?」

「……あ、そうか。二人は、初めてか…」

 

「…………」

 

「隆史さんは、ご存知なのですね?」

「え…えぇまぁ…何度か…」

「それにしても…ペコの顔色が優れませんね」

 

 

「……はぁぁぁ………」

「…長いため息ですわね」

「目に生気が、感じられませんね」

 

『 ほらっ! 早く、早くっ! 何時もの挨拶! 』

「…いつもなら散々、渋っているのに…なんでまた今回は、そんなにノリ気なんですか? 今回、何も用意してませんから、私には何もできませんよ?」

『 いやね? 自分のコーナー持てたってのが、こんなに良いとは思わなかったのよぉ 』

「……前回、私達がいなくなった後の…西住流家元の…」

『 そうそうっ!! 結構なストレス発散になるのねっ!! 待ち遠しかったのよ 』

「最後、アレだけ焦っていたくせに…。要は、ご自身のコーナーをやりたいってだけですか…」

 

『 そうねっ!! 』

 

「隆史様。次回のゲストが、決定しました。いえ、確定しました」

「あ、うん。アレを呼ぶのは構わないが、俺は次回辞退するから頼むな?」

「はい」

 

『 ………… 』

 

「オペ子…まぁ、アレだ。無理してやるこたぁないだろ」

「そうですね…。アレって結構…初めからテンションを無理に上げないと、恥ずかしくて無理です」

『 えー! せっかく、用意したのにっ! 』

「んっとに、やかましいなお前は…。エリス様を少しは見習え。さっきから物凄く…」

『 なんで、私がパット入れなきゃ自我を保てないような、豆腐メンタル女神を……って、どうしたのよ隆史。顔が青いわよ? 』

「……」

「…隆史様? あの…本当に顔色優れませんが…?」

 

「…い、いくらエリス様だとしても…静かすぎる…。この静けさは、ロクな事が起こるとは思えない…」

『 失礼ですね 』

「白い女神様?」

『 いいですか? オレンジペコさん 』

「はい?」

『 私達のコーナーは、あくまでも隆史さんに対するお詫びです 』

「はぁ…それが…」

「……まずい。目が…笑ってない…」

 

『 つまりは隆史さんの欲望を「女神ぱわー」全開で、叶えるコーナーとも言えます 』

「……」

「エリス様!?」

 

『 オレンジペコさんは、知りたくありません? 』

「…なにを…ですか?」

「エリス様、反対してたんですよね!? していたんですよねぇ!!??」

『 …隆史さんが、異性に望む事と言うのを 』

 

 

 

「 はぁぁい!! 司会のオレンジペコですっ!! 」

 

 

 

「オペ子ッ!?」

「ペコ!?」

「…黙って、成り行きを見守っていたのですが…何なのでしょうか…?」

 

 

「今回、出張版と言う事で、愛里寿さんはおやすみです…ですので! 短い時間だと思いますが、お付き合いお願いしますっ!!」

 

「……」

「ペコが…あのペコが、あんなテンション見せるなんて…」

「元気が大変よろしい様で」

 

「取り敢えず、隆史様!?」

「あ…はい。なんでしょう?」

「…ノンナさんと、お付き合いされた未来が、ございましたね?」

 

「…………」

「………ふっ」ポッ

 

「…ノンナさん?」イラッ

「…ノンナさん?」イラッ

 

「い…いや、それはね? ほら…結婚した未来があるのだから、特段不思議じゃ…」

 

「それは、話が少し違いますわ」

「ダージリン!?」

「そうです。…西住 みほさんと付き合わない世界…の事です」

「お…オペ子…」

「…しかも、告白してあっさりそれを……とぉ…かぁぁ…」

「……」

「ふむ。あっさりと言われると、確かに少し…思う所がありますね」

「ノンナさん!?」

「確かに、即断してからね。…記憶として見る限りでは。あの現場でのアレは…まぁ? 私も感極まってしまっていましたが…」

「…俺、一体何をしたんだ…というか、どんな返事をし…ノンナさん?」

 

「………………」

 

「あの…なんで、ソファー裏に隠れたんですか? なんで、しゃがんで顔隠してるんですか?」

 

「……」

「……」

「…」

 

「ダージリンもオペ子も、なんで急に真顔に…。んでもって、ノンナさん……。ソファーから頭半分出して、見ないで下さいよ…」

「…お構いなく」

「……」

 

『 そうねっ!! そろそろ、いいかしら!?』

 

「今、ちょっと良い所なの。…少し、黙ってて頂けます?」

『 そうは、いかないわ! 流石に、まだ別世界線の話を続けられると影響が出そうだし 』

「お? 駄女神が、ダージリンの眼光にビビら……あぁ、ビビってるな。膝が震えてる…」

『 あの頃の隆史さん。誰も良い…と、言う訳ではないのですが…。そうですね…。 ノンナさんの好意に、全力で応えた…だけ…という、お話ですよ? 』

『 エリス? 』

『 先輩。話が進みませんし、気にするなと言う方が無理ですよ。影響が出ない程度で、補足して上げたほうが良いと思いますよ? 』

『 そりゃ、そうだろうけど…。んなら…ノンナさん 』

「…はい?」

『 あの時の状況なら、コレの性格上…納得行くんじゃない? 状況、場所。更には時間。ある意味で、一番良いタイミングで、会心の一撃ってのを、貴女が放ったのよ。……物理的にも 』

「……」

「物理的にもって、俺は何をされた」

 

『 似た様なタイミングで、ダージリンさんとオレンジペコさんも、コレに告白していたら、成功していたと思うわよ? 別れ際ってのは、ある意味でずるいわよねぇ 』

「「  」」

『 …まぁ、別の世界線の…しかも、過去のお話ですがね 』

『 隆史って、他人への感情の切り替えが、どこかロボットみたいに、冷たいわよね。ある意味で残酷。だから逆に、一度型にハマってしまうと…まぁ、うん。ノンナさんの表情見れば分かるわよねぇ? 』

『 特にこの頃は、他人からの好意を基本、疑っていましたからね。ですから、その好意をハッキリと認識すると…と、言うことです 』

 

「「 ………… 」」

 

『 …過去に一度も、そういった経験がありませんでしたからね…まぁ、はい。取り敢えず、この世界線では浮気は一度もありませんでしたよ? 』

「…この世界線では…ねぇ」

「……西住 みほさんの世界線」

「  」

 

『 いやいや。コレ、長い事アレで、アレだったから? 色々とこじらせていてね? しっかも、長い事、我慢していたみたいだから…一度ソレが開放された後とか引くわよ? あ、でもまぁ…それが今の現状よねぇ? 』

「おまっ!!??」

 

「……開放…されてるんですね。なる程」

「……」

「ッ!?」

 

「今度、みほさんを問い詰めてみましょう」

「そうですね」

「お手伝いします」

 

『 ………… 』

 

「駄女神……お前…」

 

 

 

『 さっ!! そんな訳で! 現状、今のコイツには、色仕掛けは、かなり有効よっ!! 』

「おい」

 

「「「 …なる程 」」」

「!?」

 

『 さて、漸く私のコーナよっ!! さぁ…アンタの歪んだ欲望を晒して上げるわっ!! 』

「…ゴッドキラー。因子いらねぇから、すぐに寄越せ」

 

 

 

 

【 女神達の戯れ 】

 

 

 

『 はいっ! では、第二回目!! 』

 

『 …と、言っても…ロッドが壊れちゃったから…全力じゃできない… 』

『 今回は、時間がもう殆ど残っていないので…。前回と同じく、衣装を変える程度でどうでしょう? …隆史さん、お好きみたいですし? 』

「……」

 

『 …アンタも、すでにノリノリじゃない 』

『 そんな事ないですよ? 』

『 …… 』

『 憂さ晴らしとか、ガス抜きとか…一切考えてません♪ 』

「エリス様!? 闇堕ちとかしてませんか!?」

『 してませ~ん♪ 』

『 …いや、まぁ…良いけど…。堕天とかしないでよ? 』

『 しませんよぉ。私、天使じゃありませんから 』

「……」

『 ………… 』

 

「ん? 衣装…ですか? あぁ、ナルホド。……前回、すごかったですね…隆史様?」

「…いや…あれは、俺が望んだ事じゃ…」

「前回? …それは知りませんわね、何をサレタのでしょう?」

「そうですね。その映像は拝見してないですね。何をシタのでしょう?」

 

「…い…いや、特に…」

 

『 17歳に若返った西住 しほさんと、西住姉妹をコスプレさせて、ハァハァ言ってたわ 』

「 」

「「 ………… 」」

 

「(…エリス様。もういいから、ゴッドキラーのスキルください。アレ、ぶっ殺しますから)」

『( はは…。スミマセン…… )』

 

『 んなら、アレね。同じ衣装とか行ってみる? バニー? 』

「やめろっ!! 如何わしいの前提で来るなっ!!!」

『 んなら、何がいいのよ? 競泳水着とか? 』

「なんでだよっ!!」

『 え? 何? 童貞を殺す服とか? これなら三人三様で… 』

「駄女神……お前、なんでそんなにピンポインで、マニアックなチョイスすんだよ……」

『 ノンナさんは、胸開きタートルね。ダージリンさんもサイド開きとかの、セーター系が似合うと思うの! オレンジペコさんは、ゴスロリ風のチュールスカート… 』

「ナルホド、テンプレ。分かってるな、駄女神…じゃないっ!! 童貞殺戮マシーン、三体も製造してどうすんだっ!!」

『 え~…んじゃ、裸エプロンとか? あんた…いくらなんでも、うら若き乙女達に対して、女神に何をさせる気なのよ 』

「何も言ってねぇよっ!!!」

 

「一切合切、分かりませんわ。なんですの? どうて……」

「…ダージリン様。それは、口に出しては駄目な言葉です」

「……胸開き……隆史さんの秘蔵フォルダに入っていましたね」

 

「なっ!? えッ!? ノンナさん!? フォルダって、言いましたか!?」

「えぇ、別世界線で拝見させて頂いております」

 

「  」

 

「隆史さん…」

「…………ひゃい」

 

「……」

 

「…………」

 

 

「…えっち」

 

「んがぁぁぁぁ!!!!」

 

『 あ~…そっか。まだ、あの時の記憶、残ってるからねぇ… 』

「ロシア語でもない端的な一言がぁぁぁ!!!」

『 あっはっはっは!! 』

「笑ってんじゃねぇ!! そもそも、どこで仕入れた、んな知識っ!! またググったか!?」

 

 

『 いや、アンタの世界線見てたら、自然と覚えた 』

 

 

「………………」

 

 

『 あの…先輩。時間が…後、もうちょっとソフトに… 』

『 んあ? まぁ、そうね。実際、あの子達、着させられる世界線もある訳だし…どうせなら、定番の制服とか行きましょうか? 』

 

 

「…隆史さん」

「…隆史様」

「…隆史さん」

 

「………………」

 

『 …隆史、なに面白い顔してんのよ 』

 

「………………ハッ。はは……はっ……」

 

『 え? 何? はっきり言ってよ 』

 

「はっ! よし分かった!! 乗ってやる! 乗ってやらァ!!」

 

『 ……あ 』

『 …黒いのが、入っちゃいましたね 』

 

「んじゃ…。行け、駄女神」

 

『 …わ…わかったわよ…それじゃ…行くわよっ!!! 』

『 ……あ、コレ…コノ流れ…… 』

 

『 まとめていったらぁぁぁ!! 』

 

『 先輩ッ!! 私は、やめてくださっ……あぁ!! 』

 

 

 

 

 

 

 ▼

 

 

 

 

 

 

「ダージリン。黒森峰のパンツァージャケットが…何故にそんなに似合うのだろうか…」

「…あ…ありがとうございます。でも…ですね?」

「キリッとした感じが良いよなっ!!」

「あの…いえ、それよりも…」

 

「ノンナさんは、アンツィオの制服! 良いっ!! 白タイツっ!!! 可愛いっ!!!」

「そ…そうですか?」

「……ノンナさんも、以外に白が似合う……ナルホド…」

「いえ…それよりもですね…」

 

「オペ子は、継続っ!! ジャージッ!!」

「………」

「なんだろうな…この異様なハマり具合…というか、安心感…安定感…」

「…………」

 

『  』

「あ、エリス様も大変宜しかったです! 聖グロ制服エリス様っ!!」

『  』

 

『 あははははっ!! 聞いちゃいないわっ!! 』

「……」

 

「「「 …… 」」」

『 』

 

「……」

 

「えっとな…? 流石に、リクエストで着させる勇気は…俺には、ありませんの事よ?」

『 何言ってんのよ。アンタ、執拗に話題へ、出してたじゃない 』

「…思っても、言えないよ? な? 俺を引き合いに出すのやめてくれ」

『 アンタの欲望の元に、衣装が生成されんだからアンタのセイよ 』

「違っ!!??」

 

『 何が違うのよ。あんた、若い家元にもリク出してたじゃない。この…… 』

「……」

 

 

 

『 青 師 団 高 校 の 制 服 』

 

 

 

「………くっ」

『 …表情と、そのガッツポーズが合ってないわ 』

「……」

 

「あら…案外、動きやすい…」

「ですが人前で、これは流石に…」

【挿絵表示】

 

「…………」

 

「…オペ子の手が、虚空を彷徨っている」

 

「……影が…できせん…」

 

「……」

『…………』

「どうすんだよ…駄女神…」

 

『 で、でもっ!? それに、さっきから…ダージリンさんとノンナさん。アンタ見て、モジモジしてるわよね? 』

「誤魔化すな。はぁ…そりゃ、恥ずかしいからだろ? あの制服って、ただワイシャツ着て、前をはだけているだ…け…」

『 …それと良い事、教えて上げましょうかぁ? 』

「は?」

『 あの服ってさぁ、前を開くのが制服として正解みたいなの。だからね? 』

「……まさか」

『 構造上、着けるのが………無理なのよ 』

「っっ!!!!」

 

『 おー…一発で理解した。しかも、思いっきり顔を逸らしたわね 』

「見れるかっ!! …くっそ、どうりでいつもより…ゆ……」

『 何よ。しっかり見てるじゃない。スケベ 』

「……くっ!!」

 

『 もっと、マジマジと見たらァ? 彼女達も、それなりに嫌がってないし、許容範囲なんじゃない? 』

「……」

『 あーら、なにをマジで顔を逸らしてんのよ。今の内だけよぉ? 』

「……」

 

「…背中向けてますね」

「…そうですわね」

 

『 アンタ、散々男同士で、あの制服での話で、盛り上がってたじゃない。今まさに実現してるのだから、しっかりと見とけば? 』

「男同士の会話のノリを持ち込めるかっ! ただの制服ってだけなら兎も角…見ないっ!!」

 

「……」イラッ

「……」イラッ

 

『 アレ? この世界の影響下での結構、マジな反応…。この変態、ああぁいったの趣味じゃなかったかしら… 』

「普段、露出が少ない服装の二人が、あの様に普段絶対に着ないような、大胆な服を着て、恥ずかしがる姿は、大変好みです」

『 …あらそ? じゃあ、何がいけないのかしら 』

「…」マタ…

『 …隆史の趣向に慣れてしまったのか…ツッコミすら出来なかったじゃない…チッ!! 何、まだ顔を背けてんのよっ!』

 

「……」

「……」

 

『 ほらほらっ! この徳高い女神様が、ここまでアンタの為にサービスしてんだから、しっかり見なさいよ!! 』

「くっそっ!! 俺にはお前が、悪魔にしか見えねぇよ!」

『 はぁ!? あんな人のマイナス感情餌にしないと生息すら困難な、寄生虫と一緒にしないでっ!! 』

「今のお前と、どう違うか答えろ」

『 …あぁ!! ナルホド、ナルホド。この世界線のアンタ… 』

「んだよっ! 掴むなっ! 顔を掴むなっ!!」

『 た・と・え・ば…例えばよ? あの制服を着たのが… 』

「は?」

 

 

 

『 西住 みほさんだったら? 』

 

「 ガン見だな 」

 

「…………」

「…………」

 

『 即答したわね 』

「あっ!! しまったっ!!」

 

「「……」」

 

『 なによ。結局、見たいんじゃない 』

「い…いや、流石にな? 彼女相手ならある程度は許されると思うのだよ。な? そうでもない女性の、通常装備がない姿を見るなんてのは、流石にどうかと…」

『 言い訳が長い 』

「……」

『 はぁ…相変わらず、変な所…律儀ね。そして、ある意味で、彼女様とやらには容赦ないわね… 』

「 … 」

『 んでもって…馬鹿ね! 』

 

「殿方に、大変な人気だと言うのは知っていましたが…」

「……実際に着てしまうとは、夢にも思いもしませんでした」

「…………」

 

「そもそも…露出が高いと言われますが、前を閉めてしまえば、普通のワイシャツでしょう?」

「そうですね。態々、開けている理由がありません。このサスペンダーも、何か意味があるのでしょうか?」

「……」

『 …… 』

 

『 …ほら。彼女達、変な対抗意識持ち出したじゃない 』

「……」

 

「…そうおっしゃる割には、前を閉めませんのね? ……ノンナさん」

「え? …先程から隆史さんが、チラチラと横目で、熱心に見てきますからね。…それを実感している最中ですので」

「…………」

『 …… 』

 

『 …というか、オレンジペコさんとエリス。さっきから一言も口開かないわね 』

「…胸……摩ってるな…」

 

「あら、変に誤魔化しませんのね。…まぁ…そうですわね。私も正直言いますと…………悪い気はしませんわ」

「…隆史さんは、見て欲しい時に見てくれない。見られたくない時に熱心に見てくる…など。今はそれなりに…」

「……」

『 …… 』

 

『 …はっ 』

「なんだその目は!! ぐっ…仕方ないだろ!? くっそ、本能がっ! 本能がっ!!」

『 男って基本馬鹿よね 』

「あぁ…もう…体が勝手に…。あぁ…もう…動く度に…」

『 …彼女達、すっごい流し目で、しかも良い笑顔してるわね 』

「…………」

 

「隆史様」

「はいっ!?」

「………」

「……はい?」

「…………」

「なんか、言って!?」

「…………」

「はぁ…オペ子」

「…はい、なんでしょう?」

「あ~…はい。そういった制服は…取り敢えず、前のボタンを締めて」

「っっっ!!」

「…忘れてたな」

「……ぅぅ…」

 

「……」

「ぅ…?」

『 …隆史、なんで露出が少ない彼女を、マジマジと見てんのよ 』

「み…見てないっ!!」

「…」

『 あぁ…そうか。アンタ変態だったもんね 』

「なんで、ソコに至った!?」

『 …羞恥に染まり、真っ赤になって…速攻で前を隠した彼女をどう思う? 』

「素晴らしく可愛いと思う」

 

《 ………… 》

 

「あっ!!!」

『 即答… 』

「…この世界……やっぱり、俺と相性が最悪だ…」

『 素晴らしいわね! 』

 

「ぐっ…エ…エリス様も…」

『 ぁ…はい… 』

「まぁ…き…気にする必要は、ないと思いますよ…というか、なんで駄女神。エリス様まで巻き込んだ」

『 意味なんてないわっ!! 』

「……お前、意味ない事をやりすぎだ…」

 

 

 

 

『 さぁて、そろそろ、まとめたいと思うの 』

「…この流れで、どうまとめるんだよ」

『 あの二人…先程のオレンジペコさんで、また対抗意識を燃やし始めたわね。もう、時間だから終わりたいんだけど? 』

「……」

『 チラッチラ、あんたを見てるわね 』

「…………」

 

「…存外…動きやすですわね」

 

「…流石に、公衆面前での着用は、遠慮しますけどね」

 

「……」

 

『 …ドンマイ! …としか言えないわね… 』

「しかし…。あの二人を見て、オペ子が、見た事がない顔をしてる…」

 

『 あっ! 隆史っ! 』

「…なんだよ」

『 知ってる! 私、知ってるわ!! こういうのって確か! 』

「だから、なんだよ…なんで、3人を見比べてんだよ」

 

 

『 格差って、言うのよね 』

 

 

「こ……この馬鹿…」

 

 

『 隆史さん 』

「ひぃっ!?」

『 …「ゴッドキラー」が、欲しいと仰ってましたね… 』

「エリス様!?」

『 えぇ…与えましょう……更には…女神の加護も強制的に差し上げます 』

「  」

『 後は……神殺しの剣も差し上げましょう。最上級なの差し上げます… 』

「え…遠慮しときます…」

 

『 はっ! 本人嫌がってるのに? まぁた、スキルを強制的に上げるの? エリス。まぁた、めんどくさい事になるわよぉ? 』

『 ……ふ……ふふ…全開、差し上げたの……先輩じゃないですかぁ… 』

「やめろ…駄女が……いや、アクア。やめておけ。マジだ…これは色々……本気でまずい目をしてる…」

『 は? 何がよ。パッド神の嘘を暴いて… 』

 

「彼女は今、全開のカルパッチョさんと…同じ目をしている」

『 …… 』

「よし、理解したな」

 

「白い女神様…」

『 はい 』

「次回のゲスト…もう一人が確定しましたね」

『 そうですねぇ。正直、呼ぶのは、避けていたのですが…致方ありませんね 』

 

「…ほら、次回カルパッチョさん呼ぶってよ」

『 ………… 』

 

「…大人枠、どうしましょう?」

『 島田 千代さん辺り、どうでしょう? 事情を説明すれば… 』

「愛里寿さん、ごめんなさい」

『 …前回の西住 しほさんの事も、話しておきますか? 』

「そうしましょう」

 

『  』カタカタカタカタッ!

「…自業自得だ」

 

『   』ガタガタガタガタッ!

 

 

「はい…では、後は終わらせるだけですね…」

『 では、最後にどうぞ 』

 

「ちょっと、お待ちになって。…私、この格好の感想を、まだ隆史さんより頂いておりません」

「そうですね。ここまでしたのですから、しっかりと…」

「やめてくださいっ!! この世界で聞かれると、自白剤を常時飲んでる状態みたいで…」

「好都合ですわね」

「好都合です」

「 」

 

「ではまず……ワタクシカラ…」

「あ、いや。ダージリンは、普段の時と違って… 」

「本当に、あっさり喋り始めましたわね…これならっ!」

「……」ワクワク

「…ノンナさん」

 

「…ワクワク目を輝かせているノンナさんといい…。ソファーの裏に隠れるノンナさんといい…。この世界のノンナさんは、どうしてこう…可愛いと思えるのか…」

「っっ!!!」

「あっ!ノンナさん、横取りは、ずるいですわ」

 

「 はぁぁいっ!! では、オペ子のお茶会【 出張版 】!!! 」

 

「ッ!?」

「っ!?」

 

「 お相手は、隆史様の癒し系…オレンジペコとっ!! 」

 

「あ、ペコ! もうちょ…」

 

『 幸運の女神、エリスと… 』

『  』ガタガタガタ…

 

『 …でした♪ 』

「……」

「隆史さん?」

 

「エリス様が、濁っていく…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……エラー。

 

 青い女神も、白い女神も、そう私を呼ぶ。

 

 世界線…完全では、ないけど…多少? 分かった。

 

 相互空間に干渉、刺激する。

 

 はじめの9人。

 

 特に、逸見 エリカ…いや。

 

 尾形 エリ…ナ。

 

 あの子が、初回に世界線に干渉してくれたお陰で、偶然だけど…現れた。

 

 訳の分からない夢のお陰で…ね。

 

 そして、今では私も…一定のタイミングで会える。

 

「 お母様 」

「 お母様 」

 

 二人の子供…。

 

 男の子と女の子。

 

 小さな手を、両手を広げて結び合う。

 

 子供…。

 

 …私の子供。

 

 二人に会える。

 

 …不思議な気分。

 

 母性…と、世間ではいうのだろうか?

 それを今、感じている。

 手をつなぐ子供達は、甘えるように私の手を強く握り…少し恥ずかしそうに私を見上げている。

 

 ……。

 

 そうだ。

 

 女神達は、エラーを特定できないと言っていた。

 

 わからないと、なんども、なんかいも……。

 

 無能が。

 

 分からない? 解らない? 

 

 何故、分からない。なんで、解らない。

 

 自分達で招いた癖に。

 

 蒔いた癖に。

 

 

 

 ……ま。

 

 私自ら、どうこうしようとは思わない。

 

 今は「西住 みほ」を…。

 

 あの男が言っていた。

 

 それが真実かどうか何て、すぐに分かった。

 

 ……。

 

 過去の事件…犯人の証言。

 

 ……。

 

 クダラナイ。

 

 本当に、クダラナクテ、ワラッテシマッタ。

 

 ソレが……あんな事、真相か? 西住流。

 

 運だ。

 

 本当に運だけだった。

 

 なんだあの女は。

 

 

「……」

 

 この世界でだけ、私のこの記憶……思考は蘇る。

 

 私の…子供達も姿を現す。

 

 ……。

 

 本来、こんな場所を知る事も…ましてや、来る事なんてありはしない。

 

 所詮は、自分達が蒔いた種だ。

 

 自業自得…。

 

 それ以外に、言葉は見つからない。

 

 私に責任はない…と、判断。

 

「……」

 

 何も無い空間。

 

 二人の子供がいるだけ。

 

 二人の名前を呼び、頭を撫でる。

 

 …。

 

 

 昔…お母様が私にしてくれた様に。

 

 

 ……。

 

 

 あの二人が、未来の…いや、別の世界の可能性を呼び出す度に、ワタシが濃くなってゆく。

 お陰で、意識を…意志を持つ時間が、長くなっていく。

 それでも、今回はもう終わりそう…。

 薄れゆく意識の中で…前提条件が、この世界に滞在する事。

 

 柔らかい髪が、掌を滑る。

 

 そして、聞く。

 

 この子達は、やはり少し特別。

 

 違う、世界線だと言うのに、共存している。

 いや、同時に存在できている。

 

 …そして、私が知らない事を知っている。

 

「梨里寿」

 

「 なに? お母様 」

 

 …何が「エラー」だ。

 

「 威里寿 」

 

「 お母様、何? 」

 

「ERROR」は、貴女達。

 

 そう…女神達。

 

 特に…青い女神。

 

「…次に、お兄ちゃ…いえ……違う」

 

 そうだ。

 

 違う…この子達にとっては、違う。

 

 

 

 

「 次にお父様は……何時現れる? 」

 

 

 

 




閲覧ありがとうございました

はぁ…バランスや辻褄合わせで、調整に時間がかなり掛かってしまいました。
二度とやりたくないリンク話…。

ありがとうございました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。