転生者は平穏を望む   作:白山葵

3 / 141
はじめに。
熊本県民の方御免なさい。
方言は翻訳サイト使ったんで違っている場合はすみません。

過去編 中編
この頃のオリ主は、まだ前世を色濃く引きずっています。

次回 過去編終了です。



第02話~西住姉妹ファーストコンタクトです!~ 中編

やってしまった。

 

あぁまたか。平穏無事はどうした?クソ野郎。

 

また人生台無しにするのか。初めが肝心という言葉知らんのか? このクズめ。

 

……腹括るしかないかぁ。961社の飛び込み営業に比べりゃましか。

何回か殴られりゃ気が済むだろ。あくまで被害者でいれば、後々楽だしな。

よしよし営業スマイルだ。変にテンション上がってきた!

 

女の子が二人いる。

遊んでいる途中、捨て犬でも見つけたのか、小汚い子犬を抱っこしている。

 

えっと、大人しそうな…それでも鋭い眼付の女の子が一人。

その後ろで、突然の乱入者である俺を、絶賛警戒中の明るい髪の毛の女の子。あら活発そうなお顔。

すっげー睨まれてるなぁ……

 

違うよぉ? おっちゃん敵じゃないよぅ。

 

「何だ!? ぬしゃ!」

 

リーダーっぽい男の子からのお問い合わせ。

軽く挑発してみようか。

 

「ぬしゃ?・・・あぁ主。『お前は?』ね。標準語でお願いできますか? センパイ?」

 

 チッ

 

「傍から見たら、中学生が小学生の…しかも女の子を取り囲んでいれば、何事かと普通思いますよね? センパイ?」

 

 チッ

 

・・・舌打ちしかできんのかコイツ。

 

「ぬしには、関係ないだろぅが!!」

 

一々でかい声出すな。うっせぇな。でかい声出せば、ビビるとでも思ってんのかね。この中坊は。

こちとら、961プロでヤクザ相手のお客様に、長々と土下座の経験もあんだよ。

 

話しながらロリッ娘の前に移動して、庇うように前に立ち塞がる。このリーダーっぽい中坊は無視しよう。無視だ無視。

まぁ、んなことしてれば当然話し掛けられる。最初は、目のきっつい娘に。

 

「何? 君」

 

……あぁ。わかった。こっちの娘はわかりやす。

どこかで見たことあると思ったら、先程見たばかりだ。

 

あの美人さんの面影が強くある。そっくりだ。

 

「・・・君。西住まほ…ちゃん?」

 

日本家屋…西住家を出る前、お手伝いさん?家政婦さん?から聞いた情報と母親似の顔で分かった。

 

「!?」

 

おーおー警戒してるよ。「そうだけど」って思わず言わないのはしっかりしているのかねぇ。

 

「僕、尾形って言うんだけど、今日そちら様のお宅にお邪魔させて頂く…いや違う。西住さん家、君の家に行くことになっていたんだけど、お母さんから聞いてないかな?」

 

ダメだ。ちょっと営業会話になりそうな口調を途中で修正修正。

 

思い出しているのか、ひと呼吸置かれて返事が来た。

 

「…あぁ」

 

思い出してくれたようで、少し警戒を解いてくれたよ。

 

「後ろの君は、みほちゃんかな?」

 

「何だお前!?」

 

……絶賛警戒態勢継続中。

 

「おい!!!」

 

うるせぇな。わかってるよ。ちゃんと相手してやるよ。こうなったらな。

そもそもなんだよ、その学生服。今夏休みだろうが。なんで学ランやねん。

そして赤T。他の奴みんな私服やぞ。

 

「はい。なんでしょう? いきなり大人を連れて来なかったんだから、其処ら辺は察してくれませんかね?」

 

周りの取り巻き共が、ニヤニヤして気色悪い。

その中で、勘違いした様な化粧の萌ないJCが発言。

 

「そん子達が、うち達が見つけた、そいつば横取りしようとしたから、ちょっとお仕置きしとったんばいぉ?」

 

「そうだ。俺達ん獲物ば横取りしたんや! 分かったらどこか行けや。クソガキ」

 

マジか。……マジなのか? 笑いしか込み上げて来ねぇよ!

 

「えwwwもwwwの? おwwwwしwwwwおwwwwきwwwwwwww」草しか生えねぇ

 

お前ら本当に中学生か!?

 

「何笑うてんだ!?」

 

ヒーヒー言ってるのが気に食わないのか、怒られた。

 

「嘘だ! この子を見つけたのは私達が最初だもん! 後から来て、この子を苛めようとしてるだけな…『うるせぇ!!』」

 

みほちゃんの発言を奪うな。この学ラン赤Tが。

こいつとのやり取りは、正直疲れる。

俺もガキの時はこうだったのか?と疑問に持つ程、たまに会話にならなかった。

 

 

 

「ハァ…。いいかげん疲れたわ。この茶番。要は、虐待しようとした…って事だよね? センパイ?」

 

さっさと殴られて、終わりにしよう。

どうも、この姉妹の戦車の前に中坊共が陣取っている為、彼女達は逃げるに逃げれない訳だ。

まほちゃんは睨みながら警戒。みほちゃんは、攻撃の機会を伺っている…様に見える。

勇ましいねぇ。でも危ないなぁ。

 

「なんや?じゃあぬしが、こん犬ん変わりに『それでいいです。クソ野郎。』」

 

 

ガツンと。余程イライラしていたのか、被せて言って見たら即座に拳が飛んできた。

顔、腹と何発かもらった。

 

殴られた所で痛い事は痛いが、正直感覚が麻痺しているのかね? なんの感慨もわかない。

体を鍛えた始めた所で、所詮小学生の体。何もできやしない。

あぁ…またこの感じか。あきらめるだけ。その方が楽だった。また楽な方に逃げるのかね?俺は。

 

 

「みほ! 大人の人達、呼んできて!」

 

まほが叫んだ。犬を抱えているみほを、そのまま安全圏へと逃がそうと救援の要望指示を出す。

指示を出したと同時に、一方的に殴っている学ラン赤Tに止めようと足元にしがみつく。

 

無茶すんなぁ…。

 

「でも…で『早く!!!』」

 

躊躇する妹に激を飛ばす姉。

中坊仲間がその言葉で焦り出し、みほを捕獲しようと走り出す。が、距離がある。

中々にすばしっこい彼女を捕獲するのが骨なのか、一人の中坊が叫ぶ。

 

 

「ぬし一人逃げ出すんか!?こいつら見殺しか!?」

 

 

みほの動きが止まる。目が見開いた状態で、こちらを見ている。「いいからぁ!」と叫ぶまほを、学ラン赤Tが突き飛ばす。

立ち竦んでしまったみほに、走って近づこうとする中坊。

 

小学生じゃキッツイ場面なのかもね。生の暴力は。

ショックは、結構な大きさかと思うよ?

知らない男の子が、ボッコボコにされる横で、姉も突き飛ばされてしまってはねぇ。普通ショックは、でかいよね?

 

 

「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

初めて怒鳴った。

 

ここまで大きな声を出したのは、生まれ変わて産声を上げた時以来だ。いや? 先程も突っ込む時に出したから2度目かな?

まぁいいや。

目標は、学ラン赤T。

 

「なんだよ・・・おまえッ!」

 

「俺が…変わる…ッて。言っただろうがぁぁッ!!」

 

「何、俺以外殴ってんだよ。」

 

「何、小学生の女の子……追い回してんだよォォォ!!!!!」

 

腹の底から声がでた。

一切こちらからは、手を出さなかった。

喋りながら詰め寄るの大変だよね。何度か殴られたよ。

 

おかげで、口の中切れまくって血が結構すごいよ。

殴られて、ぶっとばされても諦めなかった。何度でも立ち上がって、しがみついてやろうと思った。

 

何故だろう。何の疑問もわかない。

 

この二人は死んでも守らなくてはいけないと、ただ思った。

 

 

まほ は、そんな光景を見てどう思っただろうか。

 

みほ は、そんな光景を見てどう思っただろうか。

 

「!」

 

それでも止めようとするのか、まほが学ラン赤Tにしがみつこうとする。…妹を逃がそうとする。

 

「何なんだよ!!」

 

ただ必死になる小学生の子供3名。……まぁ俺はちょっと違うが。

遊び半分の輩に、本気の…年下とはいえ鬼気迫る人間に気圧されたのか、叫ぶ学ラン赤T。

 

そこに取り出したる、一本の棒。

 

あぁ・・・。厨二病全開のヤンキー漫画に憧れる奴が、それよく持ってたよ。ナイフは危ないからって、それに妥協してる奴。

いたいた。前世の中学時代に持ってる奴いたわ。それ。

 

特殊警棒

 

目の前の俺より、近くにいたまほに対して振り上げる。

 

体を通して、鈍い音がした。

 

まほとの間に割って入るのは、簡単だった。

 

ただ頭で受けてしまえば、下手したら死んでしまう。冷静にそんな事考えている暇も無く、防衛本能のだろうか?両腕で防御しながら割って入る。

 

もう一度言う。鈍い音がした。

 

 

「ヴァァァァァアアアアアアアアア!!!」

 

 

マジか、こいつ。躊躇しないで、本気で殴りやがった。

こんなの小学生の頭に打ち込めば、間違いなく死ぬだろうが!

 

腕で防御したからよかったが…間違いなくこれは折れた。

 

痛いとかじゃない。痛みよりも苦しい。

 

目がチカチカする。吐き気がすごい。前世でもここまでダイレクトに折られた事は無かったなぁ。

 

あまりの絶叫に、俺以外が硬直する。初対面の人間が、身を挺してここまでするのは、さすがに引かれるかなぁ…。

ごめんよ、西住姉妹。ごめんよ、怖がらせて。

 

まほ は、泣いちゃってるよ。

みほ は、…大丈夫か? 涙目で硬直して…軽く震えてないかアレ。

 

殴った本人は、なんかブツブツ言ってるな。やった後に後悔して、怖がるくらいなら最初からやんなや。

 

今の大声で、大人達もさすがに気がつくよね?

 

あーダメだ。意識が……


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。