転生者は平穏を望む   作:白山葵

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第28話~話し合いです!~

「なんだ? 嫌か?」

 

「……」

 

 沙織さんが、目の前で似てない俺のモノマネをしている。

 ストローをタバコに見立ててスパーッっとかしてるけど、俺吸ってないですし。

 うわぁー…しかし、似てねぇ。

 

「じゃなーい! 何! その上から目線!」

 

「あの、普通にいこうかなぁって思いましてね?」

 

「ソレはソレで、あまりにも普通すぎるでしょ!! もうちょとこう…何かあるでしょ!? 場所とかも!」

 

「場所ですか?」

 

「そうよ! しかもみんなの前で!……あ、それは別にいいか。皆の前で、公開告白されるのってちょっと憧れる……」

 

「そ…そういうものですか……」

 

「それでも、隆史君! 振られちゃったかもしれないのに、もう…こう、落ち込んだりしないの!? なんでそう普通なの!?」

 

「んぁー、まぁショックといえばショックだけどねぇ。結構振られるの前提で、話したからなぁ…」

 

「こ…この男は……」

 

 まぁ結局の所、みほからの好意は感じていたところ、恋人関係になるとするとまた話が別だ。

 …恋人関係ってはっきり言うと、照れくさいというか、違和感しかないや…。

 

 

 結局、付き合うかどうかの返事は、頂いておりません。

 みほは、どうも反射的に「嫌」と言ってしまったようで、最終的に「考えさせて」というお返事を頂きました。

 

 戦車で学園艦に戻る際、車内では何も喋らなかったそうだ。

 学校に到着後、「先に帰るね」と一言だけ言って、フラフラと一人で家路についた。

 

 はい。残された俺は、みほを除いたあんこうチームの皆様方に、ファミレスに連行された。

 

 ズゾゾゾと音を立てて、ドリンクバーから持って来た、各自飲み物をストローですっていますね。

 女の子が、それはないんじゃないかなぁ~…

 

「あれじゃ、みほが可愛そうだよ!」

 

「沙織さん。最終的には、隆史さんと、みほさんの問題ですので…」

 

「でも華! あの告白は、無かったと思うの!」

 

「それはそうですけど…隆史さんですよ?」

 

「そうだぞ沙織。書記だぞ? この男に女心を理解しろなんぞ、土台無理な話だ」

 

「そうですよ。隆史殿ですよ?」

 

「ぐっ!」

 

 反論して…そこは反論してください。

 反論できないって顔で、悔しがらないでください。

 ……まぁ確かに女心なんてわっかんないけど。

 

 

 

 しかし…オペ子がねぇ。

 

 大体のあらましは聞いたけど、ちょっと信じられない。

 随分と怒ったそうだけど、ぜんっぜん想像がつかないな。

 プリプリ怒ってるは見たことあるけど、マジギレだったそうだし…。

 

「で? どうするの? 隆史君」

 

「なにが?」

 

「みほの事。…一応、返事は保留だけど」

 

「あー、今日帰ったら話してみるよ」

 

「え!?」

 

「いえ…あの、隆史さん。みほさん、考えさせてって仰っていたじゃありませんか」

 

「言っていたな。まぁ、この現状じゃ聞く気は無いけど」

 

「え…あの、隆史殿。それはいくらなんでも酷いと思いますよ? 西住殿、混乱していると思いますよ? 可愛そうですよ!」

 

「…書記」

 

 睨まれてるなぁ…。

 

「みほは多分、このままだと、考えすぎてダメになる。また自分に閉じこもる可能性があるからな」

 

「え?」

 

「俺の転校前の…「人間関係」とやらに負い目を感じているんだろ?……女性問題しかり」

 

「え…隆史君、理解してるの? 女性問題を? 本当に!?」

 

 ……まぁオペ子もそうだろ。

 お茶会の後から、俺の呼び方も変わったしなぁ。

 客観的に見るとそうなんだろうな。

 ……実感全然無いけど。

 

「だから、まぁ…ちゃんと話してくるよ。ろくに俺と話もしないで、何を考える事があるんだって話だよ」

 

 そこまで言って、荷物を手に取り立ち上がる。

 さて、このままいても責められるだけだろうし、意味を成さない。

 とっとと、みほと話に行くか。

 

 俺が、帰る意思を見せたのと同時に、ここでお開きだという空気がみんなに伝わったのか、各自荷物を手に取る。

 しっかしまぁ、それでも怪訝な顔で見られてるなぁ…

 

「なに? 沙織さん」

 

 沙織さんが俺の顔をジッと見ている。

 睨んでいるとは違うな。なんだ?

 

「…隆史君が、ちょっと嬉しそうにしている顔が、何か納得できない。何考えてるの?」

 

 そんな顔してるか。特にニヤけてもいないんだけどなぁ…多分。

 …まぁ。そうかもなぁ。

 正直、みほを心配しているのが分かるから、嬉しいという感情しかわかないな。

 それが顔に出ていたかもしれないな。

 黒森峰の時にも、こういった友達いたのかなぁ…。

 

 彼女達には感謝している。

 なんか保護者目線で申し訳ないけど、できるだけ みほは俺といるだけじゃなく、彼女達との時間を過ごして欲しかった。

 だから、学校から下校する時なんかは、一切関与しなかった。

 …昨日はその関係で、ピーマン食わせ損ねたけど…。

 

 まぁ、良好な関係を築いているようだ。よかった。

 

 だけどなぁ…感謝の言葉なんて、照れくさくて口に出して言えないしなぁ。

 だから。

 

「……ないしょ」

 

 いつもの様にお茶を濁そう。

 

 

 

 

 

 ----------

 ------

 ---

 

 

 

 

 

「と、いう事がありましたとさ」

 

『……』

 

 夜の21時頃。

 みほのアパートの部屋、そのドアの前で、何回かインターフォンを連打。

 普通にただの嫌がらせですな。

 

 ドア越しに、みほの気配はする。

 一応は玄関まで来てはくれているのだろう。

 ドアから軽く音がしたから、多分ドアに背中を預けているのだろうな。

 

 無言の時間が暫く続いていた。

 

「一応、話をしに来たのだけど。玄関くらいは入れてくれんかね?」

 

『……』

 

「俺、このままだと女の子の部屋の前に鎮座している、ただの不審者なんですけどー?」

 

『……』

 

「みほ~」

 

『……なら、帰ったらどう? 考えさせてって言ったよね?』

 

 やっと声が聞こえた。

 

「返事はな。ただ、俺から何も話をしてもいないじゃないか」

 

『……』

 

 

 

 また、だんまりか。

 さて、どうしたもんかね。

 

 明日は早朝から動く事になるし、何より時間を置くと後々またおかしな話になりそうだ。

 青森での心配性な俺を、知られたということは…どうせ、ペコに悪いとか自分が悪かったとか思い込んでいるんだろうな。

 ……まったく。

 

「ちょっと君いいかね?」

 

「ハイ? 俺ですか?」

 

 いきなり横から、二人組の男性に声をかけられた。

 考え込んでいた為、接近に気付かなかったヨ。

 

 声をかけてきたのは、独特の制服。

 夏場だからワイシャツを着ているけど、一発で職種が判明する独特な制服。

 

 はい、こんばんわお巡りさん。

 

 

 ……通報されてた。

 

「…若い女性の部屋の前で、大男が長時間ウロウロしていると通報があってね。ちょっと話聞かせてもらえる?」

 

「」

 

 本当に不審者になってた…。

 

「……はい。一応、知り合いに会いに来ただけなんですけど……。交番まで行ったほうがいいですか?」

 

 事情を説明した所で、信じてはもらえまい。

 任意の職務質問だろうけど、下手に拒否するより素直に応じよう……まいったなぁ……。

 

 俺が答えた直後、ドアの鍵が開く音がした。

 ゆっくりとドアが開いた。

 その部屋の中から、目が真っ赤になったみほさんが、出てきてくれた。

 

「あの…すいません。彼は、私の知人です…大丈夫です」

 

 

 

 ……結局、痴話喧嘩みたいなモノという事で納得し、警官は帰っていった。

 一応身分証は見せておいたけどね…。

 人騒がせだと、軽く説教くらっちゃった……。

 

 まぁ結果オーライだ。

 一応、また通報されたら堪らないと、みほの部屋の中には、入れてもらえた。

 さて、後は話を聞いてもらえるかどうかだな。

 

「…こんな時間に、女の子の部屋に普通来る? だから不審者に間違えられるんだよ」

 

「……もっと遅い時間に、泊めてと言って、一人暮らしの若い男の部屋に現れた珍客に言われたくない」

 

「ぐ…」

 

 一応、玄関先から中には上がろうとはしなかった。…さすがにねぇ。

 

 玄関先の廊下の壁に背中を預け、体育座りでいるみほを見下ろしている。

 目が赤くなっているのを見られたく無いのか、顔を膝で隠している。

 

「まったく。…何を泣くことがあるんだ」

 

「……いいから。言いたい事があるなら、聞いてあげるから言って。それで早く帰って」

 

「あら、冷たい。昨晩怖がって、抱きついてきた子の言葉とは思えないな」

 

「……」

 

 ふっ。耳が赤くなってましてよ?

 

「さて…まず。何か聞きたい事あるか? 多分それが、みほに言いたい事になる」

 

「……」

 

「……」

 

 暫く無言が続いた。

 

 たまにピクピク、体が動くのが見て分かったから、言い出そうとしているのは分かる。

 俺から言ってもいいけど、敢えてみほに言わせる。それがある程度心の整理にもなるだろう。

 

「……他の娘どうするの?」

 

「他の娘?」

 

「…オレンジペコさんとか、ダージリンさんとか、会ち…プラウダ高校の人とか、…………お姉ちゃんとか」

 

「かいち?」

 

「それはいいの」

 

「?」

 

 かいち何て知り合いはいないけど…まぁいいや。

 

「みほ」

 

「なに?」

 

「他人は、この際どうでもいい」

 

 

「……え?」

 

「そこで、なんで周りに気を遣う? 結局お前が、どうなりたいかだ」

 

「どう?」

 

「もしお前が、周りに気を使っただけの理由で、俺を拒否するなら俺の気持ちはどうなる? 他に代わりになる娘が、いるからいいって事か?」

 

「…そうは言って無いよ」

 

 無視です。聞いてやりません。

 

「ここの所、俺の様子がおかしかっただろ?」

 

「…うん」

 

「コノ事をずっと、考え込んでいたんだ。…考え抜いて、出した答えがコレだ。」

 

「……」

 

「まぁ…ぶっちゃけよう。メチャクチャ悩んだ。…特にまほちゃんの事が」

 

「……」

 

「最終的には…吐いたなぁ。胃液しか出なくなって、胃自体が出てくるんじゃないかってくらい」

 

 はい。それで合流が遅れました。

 

「俺自身、ある程度の好意は、みほとまほちゃん位しか分からなかったからなぁ…」

 

「え!?」

 

 みほが、漸く顔を上げてこちらを見た。

 目と合わせて、顔まで赤くなっている為……なんかもう心配になるくらい顔色が赤い。

 

「まぁ…もちろん恋愛感情かどうかまでは、分からなかったけどな」

 

「……隆史君だしね」

 

「……」

 

 みんなしてひどい…

 

 

「まぁ最終的に…だ」

 

「……うん」

 

「俺が、みほを選んだんだ。みほが、よかったんだ」

 

「……」

 

「まぁ端的に言えば……」

 

「……言えば?」

 

「みほが、一番好きだったんだよ」

 

「  」

 

「だから、返事は後でもいい。他人は気にするな。みほ自身の気持ちで返事くれ…以上!」

 

 我ながら偉そうな事言ってるな。自分自身は他人を気にしまくっていた癖に…。

 というか、この状態…恋愛自体が、良く分からないので非常に辛い。

 みほは、まだ体育座りだし……まぁなんか、小刻み震えているけど。

 

「……隆史君」

 

「ん?」

 

「私、隆史君にもう甘えないって決めていたんだ…」

 

「他の娘に負けないって決心してたんだ……」

 

「……」

 

「でも今日、オレンジペコさんに言われて思い知っちゃったんだ…私ただ……」

 

「なに?」

 

「……いい。隆史君にいう事じゃなかった」

 

 言いかけで辞めるのってすっごい気になるのですけど…

 

「大丈夫…ちゃんと答え決めるから。…決めたから」

 

「…はいよ」

 

「ごめんね…いろいろと。…今日はもう帰って」

 

「…了解」

 

 後ろを向き、ドアに手をやり、退室する。

 …一つ言い忘れた。

 まぁ大事な事かな? 

 

 この世界に生まれて、全身全霊で押さえつけていた、ある化物がいた事があったのを、一つ言い忘れていた。

 苦節17年以上だ。

 俺は、この化物と日々戦い続けている事を言っておこう。

 

「あ、みほ、一つ重要な事を言い忘れていた」

 

「…なに?」

 

「俺と付き合う条件…とも違うな? なんだろう…宣言というか……」

 

「なんなの?」

 

 もう、なんか迷いは無くなった! みたいな顔してるけど……ゴメン。

 これは多分、言わないと後々めんどうだ。

 

「まず質問。みほが、寝言でも言っていたんだけどな?」

 

「寝言!? え!? 隆史君昨日、私寝た後も起きていたの!?」

 

「ん? あぁ寝れなかった。 ゴメン。寝顔もしっかり見た。というか、写真撮った」

 

「!!」

 

「あ、消さないよ? でな、そん時に寝言で言っていたんだけど」

 

「!!!!」

 

 唖然と何か言いたそうな顔をしているけど無視だな。

 

「『隆史君の変態ぃ』って言っていたんだけど、俺ってそんな認識なの?」

 

「けっ!消して!!! そんな事してるから、そんな寝言言ったんだよ!!」

 

「うん、それはある程度正解なんだわ。結構俺、性癖ひん曲がってるから」

 

「せーへき…?」

 

 あ、分からなかったか。んじゃまぁ……

 

「つまりな? 俺とみほが、付き合ったとして…」

 

「あ、おねが…じゃない、何!?」

 

「まず。プラトニックな関係は、まず無理だと思うんだ」

 

「ェ……え!?」

 

「こういう事は、結構大事な事だと思うんですよ。うん」

 

「なに!?」

 

「多分、遠慮なし。全力全開になると思うんですよ。はい」

 

「なにが!?」

 

「じゃ、明日早いから帰るな? お休み~」

 

「だから、なにがぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■▼▲▼▲■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前今なんて言った!? なに考えているんだ!?』

 

「そんな大げさなことかねぇ? ただ、僕もみにいきた~いって言っているだけだよぉ?」

 

『あの女達に、接近禁止の処分を受けているだろ!』

 

「あぁ、半径…なんめーとるだっけ? 忘れた」

 

『お前…今目立つと後々、動き辛くなるぞ!?』

 

「だいじょうぶ、だいじょうぶ。何もする気はねぇよ。ただ目立たないように見ているだけだよ?」

 

 多分な…。

 

『……3名雇った。一応、人に見られないようにと指示は、出しておいたが』

 

「あぁそれな。逆だ。できるだけ目立つよにしろって、馬鹿共に言っといて」

 

『な!?』

 

「新しい資料が届いてなぁ…ちょ~と、良い事思いついたんだぁ。ただ俺らとの関係は、一切バレないよにしとけよ?」

 

『当たり前だ! 今の生活もある。だからお前も無茶なことはやめておけよ?』

 

「わかってるワカッテマァス。…馬鹿共にはな、できるだけ「西住 みほ」や、人目に付く所で攫えって、言っておいてくれますぅ?」

 

『わざわざか?』

 

「わざわざだねぇ。ちょうど、イベントっぽいのもやってるしねぇ…」

 

 交通規制もかかるしな。

 失敗したら失敗したで、別の意味でダメージになってくれると思うよぉ?

 

「学園艦も来たしなぁ」

 

『お前今、大洗にいるのか?』

 

「そうだな。 あぁ大丈夫、心配すんな。目立つことはしないよぉ」

 

『……分かった。指示を出しておく』

 

 ふっふ~ん

 

 見えた。学園艦。

 

 夜に着港するものだから、ライトが綺麗だなぁ。

 

 なに色かは、わからないけどぉ……赤しか分からないやぁ。

 

 明日だなぁ。明日だねぇ。

 

 楽しみで今日寝られるかなぁ?

 

 遠足の前日って感じがするよぉ?

 

 ……

 

「いやぁ…タノシミダネェ」

 

 

 

 

 




はい、閲覧ありがとうございました

今回ちょっと短いです。
はい。次回話オリジナルの展開となります
ありがとうございました
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