転生者は平穏を望む   作:白山葵

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時系列は、全開の話の夜。
泥酔状態で寝てしまったタラシ殿のお話。

戦車道チョコぶりの完全閑話。
お嫌いな方はスルーしてください。

ちょっとクロスオーバー。

本編まだあんまり絡んでいませんが、ちょっと最後に予告っぽい内容デス。
戦車道チョコと同じく、好評でしたらまたなんか考えます。

ちょっと正直、続き書こうかとも思ったんですけど…イロイロあってちょっとメンタル補修のつもりですので、お付き合いください。

ネタ全開! 本編にあまり絡んでません!


閑話【 トチ狂イ編 】~魔法少女 まじかる・パンツァー~

「……なんだここ」

 

 目が覚める…とも違う。

 意識を取り戻した、自我が戻った…とでも言うのか。

 

 気がついた時には、ここにいた。

 

どこかの街。

 

 どこかの広場なのか…それとも公園か。

 

 少し離れた場所に、高層ビル郡が立ち並んでいるのが見える。

 空は黒い…所々雲の間から、赤い空が見えるくらいか…。

 

 ただ、公園らしき芝生の広場には、所々にコンクリートの塊が並んでいる。

 壊れた建物か…。

 

 妙に冷静な自分がいる。

 

「……」

 

 俺の格好も奇妙だった。

 というか、前に着たなぁ…この白いスーツ。

 今回は、ご丁寧に白いベストも着ていてるようで、ワイシャツは黒。

 帽子まで被っている。

 

 何俺。というか、なにこの状況。

 遠くの方から、爆発音や何やら聞こえてくる。

 

 …あ。

 

 あ~…うん、なるほどね。

 

 コレ多分、夢だぁ。

 

 この街知らないし。うん。

 大都市みたいだけど、東京とは違うみたいだしね。

 …昔。

 

 遥か昔、俺が住んでいた街と少し似ているのが気になるけど。

 

「せんぱーい、尾形せんぱーい」

 

 声がした。

 というか、呼ばれた。センパイ?

 

 声がした方向に振り向いて見る。

 少し離れた場所から、俺の名前を呼びながら駆けてくる影が6つ。

 

「……」

 

 何あの格好。

 

 走って来た6人は、ピンクの全身タイツ。

 頭には、長いうさぎの耳が付いた帽子を被っている。

 

 ……何故か両手に包丁。

 

 うん、確かに夢だなうん。

 誰の夢だ? 俺か? いやいやいやいや。

 俺そんなに欲求不満だったか?

 いやいや俺、女の子の全身タイツの趣向はアリマセンヨ。

 

 どうせなら、バニーガールの格好してもらうヨ。

 …みほには、言えないけど。

 

「やりました! 尾形先輩!!」

 

「あゆみ、違うよ! 仕事中はちゃんして!!」

 

「あ、そうか! 指令! ちゃんと仕事してきました!! 今回はビル5棟程、破壊しました!!」

 

 ……。

 

 …………うん、やっぱりな。

 

 はっはー、確定した。…夢だこれ。

 

「パパ! 紗希頑張った! 撫でて!! 頭撫でて!!」

 

 …丸山さんが、めっちゃ喋っとる…。

 というか、すっげぇ性格違う…。

 言われた通り、頭を撫でてやると、ひゃぁあ~とか、よくわからない声で鳴いていた。

 

 ……というか、パパはやめなさい。

 

「今の先輩の格好だと、パパって呼び方、すっごい怪しいぃ~」

 

 …宇津木さんの嫌いな食べ物ってなんだろう…。今度、死ぬほど食わせてやろう。

 この娘は、あまり変わっていないなぁ…。

 

「今回は、メガネは無事でしたぁ!! 嘘です! ダメでした!!」

 

 こっちの世界でも、大野さんのメガネは防御力1か?

 あははー! って笑って言ってるけど…。

 

 …正直、話にツイテイケナイ。

 

 何? ビル破壊して回ってる、ちょっと頭が可哀想な組織か何かなの? 俺の設定。

 しかもボスって…。

 

 ……。

 

「…良くわからないけど…、何? なんでそんなキラッキラした目で見てるの? 阪口さん」

 

 ヒャーヒャー言って、顔の前でガッツポーズを取っている阪口さん。

 握った拳の端から、包丁が出ているので、普通に怖い。

 

「桂利奈? どうしたの?」

 

 澤さんは、ここでも6人のリーダー的役割なのだろうか?

 そうだよなあ…なぜか、うさ耳の中心に角があるし。

 まぁ…うん、いっ○く兎にしか見えないなぁ…。

 

「先輩!! 今日の服装すっごいですね!! 格好いいですね!!!」

 

 …え?

 

 千代さんの趣味全開の服装が、褒められた…嘘だろ?

 

「桂利奈!? 本当にどうしたの!? 男性の服装を褒めるなんて!! さっきどこか頭打った!? せ…指令の格好、ただのマフィアだよ!?」

 

 うん、澤さんや。何となく気持ちは分かるけど、声に出しちゃダメだよね?

 阪口さんに対してもだけど、俺に対してもね!

 

「かっこいい!! 帽子もかっこいい!! すっごいかっこいい!!」

 

「…あ…ありがとう……?」

 

 疑問系のお礼が、反射的に出てしまった。

 あれ? 澤さん…や? なんで頬を膨らませてるの?

 いや、可愛いけど…。

 

「ドクロのラ○ダーに変身しそう!!」

 

「……」

 

 そっちかよ。

 

 いや…変身って…、なんの事か、分からないけど多分…アニメか特撮だろうなぁ…。

 確かに、ベルトが妙にデカくてごっついけど。

 この娘は、ある意味ブレないなぁ…。

 

 丸山さんは、どうにも腕にしがみついて離れないし…なに? この状況。

 

 若干性格が改変されている…のだろうけど、特に俺の願望とかそういった物は含まれていないし…。

 なんだろうか、この夢。

 

 

 ピピー! ピピー!!

 

 

 突然。スーツの上着の内ポケットから、電子音がした。

 手を入れてまさぐってみると、俺の携帯電話があった。

 こんな着信音にしてないのだけれど…というか、購入から何も変えてないしなぁ。

 

 スマホの画面を見てみると、「総帥S」と表示さている。

 

 総帥Sって…。

 

 着信のボタンを押すと、会話…では無く、スマホ画面からホログラムの様に立体映像が出てきた。

 といっても長方形のカンペ見たいな一色の色に、「総帥S SOUND ONLY」としか表記されていいない。

 …本当に誰だよ…。

 

『どうですか? 上手くいきましたか? 例の人物は見つけられましたか?』

 

「……」

 

 し…しほさん…。

 

 しほさんが、総帥!? え!? 一体なんの組織!!??

 

 気が付くと、他のうさぎさんチームは、全員片膝をついて頭を垂れている。

 え? あれ? 俺もそうした方がいいの!?

 

『隆史君?』

 

「え!? は、はい! 特に問題もなく……ビルを…5棟程崩しましたけど…。例の人物とやらは見つけ……て無いですね」

 

 確かそう言っていたな。まぁ俺何もしてないけど…突っ立っていただけだけど…。

 例の人物の所で、首を振る澤さんに合わせて返事をしておいた。

 

『そうですか…。まずまずですね。で?』

 

「え?」

 

『……怪我はありませんか?』

 

「え…はい。みんな無事…ですね。何も問題ありません…よ?」

 

『…隆史君に怪我はあるかとお聞きしているのです』

 

「……ぶ、無事です。何もありません。無傷です…」

 

 え? なに!? なんか怖い!!

 

『ふむ、なら良いです。貴方を前線に出しているだけでも、気苦労が絶えないというのに…少しは私の気持ちも考えてください』

 

「」

 

 

 ・・・・

 

 

 え!? なに!!??

 

 なにそのセリフ!!??

 

 どういう事!? どういった関係なの!!??

 

 なにこの世界!!

 

『では、次の指令が下るまでゆっくりと休んでください。……部下とあまり遊んでいないように』

 

 ブッっと通信が切れた。

 

「……」

 

 ビビー! ビビー!!

 

「………………」

 

 怖い。

 

 通信が切れた瞬間、新たに着信が入ったのが更に怖い。。

 今のしほさんとの会話を振り返って、恐怖する時間も与えてくれなかった…。

 

 今度は、「総帥T」って表記されている。

 

「……」

 

 出たくない。

 

 もういい。流れなんか分かった。

 

 ワカッチャイマシタ。

 

 でもなぁ…出ないと更に、めんどくさくなりそう…。

 

 ピッ

 

 

『総帥T SOUND ONLY』

 

「…こんにちは、千代さん」

 

『……年増の着信には、すぐ出るのに私のは出てくれないのですね?』

 

 怖いよ!! なにこの世界の俺!! なにやってるの!?

 

『…怪我したら、いつでも言ってくださいね? 労災ならいくらでも出ますから?』

 

 労災でるのかよ…。

 

『なんなら、私のポケットマネーで囲っても―』  ブッ!

 

 通信が切れた。

 

 

 

「………………」

 

 

 多分横に、しほさんが、いるんだろうなぁ…。

 

 よし! どうしよう!! どうしたら、この夢から覚めるんだろう!!

 

「せ…先輩…違った、指令~」

 

「…なんでしょうか? 澤さんや」

 

 頭を抱えるいる俺の横から、スーツの裾を引張てきた。

 すでに、皆立ち上がり、俺を囲んで見上げていた…。

 なんでハッキリ意識を保っているんだろうか、俺は…。

 

「総帥の前で、堂々とできるの指令だけですよね…。普通皆、恐怖で動けなくなるのに…」

 

「……」

 

 あ、あれ怖がってたってのもあったのか…。

 この世界の俺の立場が本当に分からないよ…。

 

「一度、基地指令局へ帰りましょう?」

 

 そんなのまで、あるのかよ…。

 例の人物とやらも、気になるっちゃ気になるけどね。

 この娘達に、それも含め、聞きたい事はあるのだけど、正直この世界に関わりたくない…。

 さっさと朝になんねぇかなぁ…。

 

 

 

 

 

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「お待ちなさい!!」

 

 さてと、帰る場所があるなら帰ってみるか。

 昨日、事故とはいえ酒なんて飲んじゃったから、こんな夢みるのかなぁ?

 

「先輩、今日は後どうするんです?」

 

「…まぁ、なんでか知らんが、空腹感があるからなぁ。…飯でも作るか」

 

「わーい! 指令のご飯だァ!!」

 

 ワイワイと、7人いれば結構な大所帯。

 ゾロゾロと歩いて指令所とやらが、ある方向に歩き始める。

 というか、徒歩かよ。

 

「お、お待ちなさぁい!!」

 

 丸山さんは、腕を離してくれないし…。

 あれ? この子ってたまに、戦車倉庫で俺の横に座ってただけ…なんだけど…。

 無口だから話したことあまりないし…というか、なんでパパなんだろ…。

 

「まって!! ホントに待ってよぉ!!」

 

 チッ。

 

 後ろの声に、泣きが入った。

 

 無視してれば、やり過ごせるって思ったのに…。

 平和に終わりたかったのに…。

 

 まぁ若干聞き覚えがある声だしなぁ…仕方ない。

 

 振り向いた先、崩れた瓦礫のコンクリートの上に立つ、制服姿の4人。

 

 うん。まぁ…予想はしていた。

 なんで態々、高い所に登るかなぁ…。

 

 

「この街をこんなにしたのは、貴方達ですね!!」

 

「……」

 

「このまま黙って、見過ごす事なんてできないです!」

 

「……」

 

「ほら! ちょっと麻子! 起きてよ!」

 

「……」

 

「………………お前ら…。セリフ何だっけか? ま、いいや。…眠い」マコォ!

 

「……」

 

 ブレないなぁ…。

 しかしなぁ…。

 

「私達は、貴方達を!『 …なぁ、みほ 』…なに? セリフの途中で声かけないでよ」

 

 …なんだろう、この演劇感。

 うん、まぁなんだ。

 あんこうチームだ。うん、右側から、みほ、優花里、沙織さんにマコニャン。

 

 なんだろうなぁ…。

 

 顔を横に背けておこう。

 アニメや、特撮じゃないんだ。カメラワークなんて知らんだろうし。

 高い所になんか、登るから…。

 

「…若い娘が、そんな所に考え無しに登るんじゃありません」

 

「隆史君…たまに言い方、オジサン臭いよね…ちっ違う! 無視しようとするし、今は明後日の方向見てるし! ちゃんとしてよ!」

 

 ……設定が本当に分からん。何をどう、ちゃんとしろ言うのだろうか?

 みほは、俺って認識してそうだし、本当にどうしたらいいんだろうか…。

 

「はぁ…分かった。分かったから、そこからまず降りろ。な? 悪い事、言わないから」

 

「ふん!! 隆史殿!! 戦略の基本は高所を取る所にあります! ここから降ろそうとしてもそうはいきません!」

 

 おぉー…嬉しそうに言ってるなぁ…。

 

「じゃあ、このままでもいいんだな?」

 

「当然であります!」

 

「分かった」

 

 んじゃまぁ、夢だろうし堂々としておくか。

 忠告はしたからな?

 

「では……私達は、貴方達を絶対に…『なぁ、みほ』」

 

「もう! なに!? 邪魔しないでよ! セリフ忘れちゃうよ!!」

 

 セリフって…。

 

「綺麗に言い直している所、悪いんだけどな。一言いいか?」

 

「…な、なに?」

 

 ため息しながら、こういう言い方をする俺は、大体何かしらあると、みほは知っている。

 だからだろうか? 少し警戒気味に、俺の発言を了承してくれた。

 

「…黒は、やめなさい。まだ早い」

「え…」

 

「優花里は…ある意味妥当といえば妥当だろうかね? というか、縞柄なんて本当に売ってんのかよ」

「……え…なんの事でありますか?」

 

「沙織さん…………ベージュかぁ…」

「!!!」

 

「よし!! マコニャンは、相変わらずマコニャンだな!」

「……………………よし。殺す」

 

 はい。お分かり頂いたのは、後半2名だけでしたね。

 はい。○三重ですね。

 県境でしょうか? 良く見えますね。

 

 「「「「 …… 」」」」

 

 沙織さんが、みほと優花里にコソコソ忠告してお分かり頂いたようでしたね。

 はい、夢の中でも赤くなる事あるまいに。

 

「はい、分かったら降りて来い。横向いていてやるから」

 

 「「「「 …… 」」」」

 

 横を向いていると、後ろで騒ぎながらでも、瓦礫から降りる音がする。

 もう一度言う。忠告はしました。

 

「…忠告したよ? 君らも聞いていたよね?」

 

「……先輩、最低です」

 

「もうちょっと言い方あったと思いますよぉ?」

 

「……エッチなのはいけないと思います」

 

 最後は、どっかで聞いたセリフだなぁ…。

 ケイさん辺りに言われたいなぁ…。

 

「た…隆史君、もういいよ?」

 

 はい、OKが出ましたので振り向きますね?

 先程まで立っていた瓦礫の前に、4人仲良く並んでいる。

 ん?

 

「あれ? そういえば華さんは?」

 

「……なに? 隆史君、華さんのも見たかったの?」

 

 んな事…言ってねぇだろ。

 態々制服のスカート抑えて、上目遣いで睨まないで下さい。

 でもなぁ…黒は早いよ、みぽりん。

 

「私達が気がついた時は、五十鈴殿はいなかったですよ?」

 

「ふーん」

 

 なんか…なんだろ……嫌な予感しかしないなぁ…。

 まぁいいや。

 どうせ夢だし。

 

「で? なに? 俺になんか用? 俺達を絶対に許さないのは分かったから、どうするの?」

 

「ひっ、ひどい!! 先に言わないでよぉ」

 

 みほさん貴女、普段恥ずかしがって、そんなセリフ逆に言いたがらないでしょう?

 言いたい事を先に言われて、マゴマゴしだしたみぽりん。

 どうするの? この空気。

 

 

「た、隆史君! またそんな格好して!」

 

 あ、服装に突っ込まれた。

 というか、強引に話題を逸らしたな。

 

「…阪口さんには、カッコイイって言われましたけど?」

 

「……おっきい人の次は、ちっちゃい子?」

 

「……」

 

「もうちょっと、見境つけて欲しいかなぁ…」

 

「……今日のみほさん、俺に対して結構強気で、攻めますね」

 

「ここの所、色々我慢してたから…ほら、これ夢だし! 言いたい事、言えるかなぁ…って」

 

 ん?

 

 夢って認識してる?

 あれ? 優花里もさっき、気がついた時にはって言っていたな。

 あれ?

 

「そんな格好までして、恥ずかしくないの!?」

 

 カチンッ

 

 …はい。なんだろう。

 

 ちょっとイラッっとキました。

 まぁ…普段なら、流せるのになぁ…なんでだろう。

 

 うん。

 

 まぁいいや。

 

 おもむろに携帯を取り出す。

 

 多分、携帯のデータはそのままだろう。

 

「な…何?」

 

 携帯をいじり、一つの動画を選択する。

 再生ボタンを押して、みほ達にスマホの画面を突き出す。

 

「」

 

 動画の中では、某女子高生達が、ピンクの全身タイツを着て踊ってますね。

 

「」

 

 はい。聖グロリアーナ練習試合後の罰ゲームの時ですね。はい。

 

「俺の格好が、なんだって? もう一度言って? ん?」

 

「なっ! なんで!? これ生徒会が、不思議な力でネット上から抹消したはずなのにぃ!!」

 

 生徒会の不思議な力ってなんだ?

 

「……杏会長から、頂きました」

 

「」

 

「いやぁ…みほちゃん」

 

「」

 

 動画では、上下運動で踊っているみほが、アップになっていた。

 うん。

 

「大人になったね♪」

 

「!!!」

 

 あっ! 痛い! ペチペチ頭叩かないで!!

 いやぁ…真っ赤になってるみほは、見ていてい飽きないなぁ。

 

「フーー!! フィーーーーーー!!!」

 

 ニヤケながら、頭を両腕で庇っていると。今度は真正面に沙織さんが立っていた。

 フーフー唸っているみほは、まだペチペチと叩き続けている。うん、痛くない。

 

「な…何? どうしたの?」ペチペチ

 

「あ…あの、隆史君!」

 

「なに?」ペチペチペチペチ

 

「ち…違う…違うから!」

 

「ン? なにが?」ペチペチペチペチペチペチッ

 

「ふ、普段はこう…もっと可愛いのだから!!」

 

「…え?」ペチペチペチペチペチペチペチペチ

 

「もっとあるから! もっと可愛いの!!」

 

「…………」ペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ

 

 赤くなって、パタパタとマコニャンの傍に戻っていった。

 えー…と。うん、反応に困るなぁ…。

 

 ペチペチ

 

 

 

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「もういいよ!! 皆! 変身して一気に、タラシ君を始末するよ!!」

 

「わっかりました!」

 

「…始末って。それはちょっと困るなぁ」

 

「分かった。了解だ」

 

 物騒な事言い出したなぁ…。

 そもそも変身ってなんだよ…。あ。

 

 あぁ、なるほど。悪の組織ってのが、俺らで…、みほ達は、何かしらに変身して戦うって設定か。

 

 なるほどね。

 

 というか、みほ達は夢だと認識していて、なんで設定を理解しているのだろうか?

 わしゃ何も知らぬというのに…。

 まぁいいや。

 

 ちょっと興味あるし。さて変身してもらいましょうかね。

 多分これ、悪役として倒されてしまえば夢から覚めるってパターンだろうな、うん。

 

 「「「「装填!! パンツァーフォーム!!」」」」

 

 英語か、ドイツ語かハッキリしなさい。

 

 腕のブレスレッドっぽい何かに、小さな色がついた砲弾…かな?

 

 それを装填。

 

 掛け声と共に、みほ達の体が光だし、制服が光輝き霧散する。

 一瞬、素っ裸になるのだけど、不思議な光が邪魔をする…。

 

 霧散した光が、再び集合し、各パーツ事に形をなす。

 

 うー…ん。

 

 さっきから、この流れる明るいBGMは何だろう…。

 もうなんか突っ込み疲れた…。

 

 きゅらーん! とか、きゅぴーん!! とか音が鳴りながら、完全にお着替えが完了したようだ。

 いや…まぁ……すっげーフリッフリの…地下アイドルとかが、着ていそうな衣装になった。

 えっと、みほは赤。優花里は緑。沙織さんが黄色。マコニャンが青って感じのパーソナルカラーだろうかね?

 

「リリカル・みぽりん!!」

 

「リリカル・ゆかりん!!」

 

「リリカル・さおりん!!」

 

「リリカル・まこりん……」

 

 ……みほは、ステッキが武器かぁ…。ボコの生首に棒がついてら。首元から、天使の羽っぽいのが、両脇についている。

 ゆかりんは…素手かよ…。肉弾戦かぁ…。いやぁ…違う。アクセサリーっぽいのが、全てパイナップルだ。

 沙織さん……包丁は怖いよ…。むき出しはやめよ?

 マコニャン…枕は武器じゃねぇ。

 変身とやらが、終わったのだろう。

 ポーズをつけて一斉に叫んだ。

 

 「「「「 魔法少女! まじかるパンツァー!! 」」」」

 

「……」

 

 パチパチパチ

 

「なにが目的かは、分かりませんが!! 街をメチャクチャにした、貴方達を許せません!」

 

 パチパチパチパチパチパチ

 

「この皆の力と、ボコステッキで……」

 

 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

 

「…こ…この……ステッキで……」

 

 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

 

「やっ…! やめて!! 無言で拍手しないで!!」

 

「?」

 

「不思議そうな顔で見ないで!! やめてよぉ!!」

 

 ……やめます。

 

「……」

 

「……」

 

 

「なっ…なんで、微笑ましい顔で見てるの!?」

 

 顔を真っ赤にして両腕をブンブン振り回してる。

 うん。

 

「みほ? 俺の格好がなんだって? もう一度言って?」

 

「……ウゥ」

 

 …まったく。

 すっげぇ楽しくなってきた!!

 

 

『…本当に。一体何をやっているのですか?』

 

 

「え…!?」

 

 どこからか、声が聞こえた。

 瞬時目の前に黒い……黒い花の蕾が地中から現れた…。まさか…。

 キラキラキラ~って効果音が出そうなくらいの光と共に……蕾が開く。

 

「」

 

 「「「「 !? 」」」」

 

 開いた蕾の中より…華さんが現れた。

 

 その…黒いボンテージ姿で…。

 

 うっわ!! えっろ!! というか、……すっげぇ違和感が無ぇぇぇ。

 そもそも何で、その格好!?

 

「いい加減、帰りが遅いので迎えに来てしまいましたわ」

 

「あ、副指令だ」

 

「ふくしれーい!!」

 

「はいはい。ウフフ」

 

 うさぎさんチームに取り囲まれて、微笑みながら対応している。

 なにこの人望…。

 

「え!? 華さん!?」

 

「なに!? 華、そっち側!!??」

 

「はい~。今回私、隆史さんの女ですよ?」

 

 

 

 ……………………。

 

 時が……止まった。

 

 

 

「あ、違いました。部下ですね。はい、副司令です」

 

「はぁぁなさーーん!!!」

 

 勘弁して!! どうしてそうい事言うの!? え!!!??

 

「そもそもこの格好も、上司である隆史さんの趣味でしょう?」

 

「ちっ! 違う!! 違いますよ!! ラバー趣味は無いですよ!!!」

 

「らばーしゅみ? 意味が良く分かりませんね」

 

「首に手を回さないで下さい!! 抱きつかないで!! さっき、しほさんが言ってたのって華さんの事かよ!!!」

 

 怖い! この世界の俺こっわい!!

 

「隆史さんには、色々と責任を取ってもらう義務がありますし…」

 

「なに!? どうしたの!? 貴女、性格がぜんっぜん違うよ!? 責任!? なんの!?」

 

「えぇ? でもこちらの方が、悪の組織?っぽいですよね?」

 

「知らねぇよ!! 普段の性格に戻して!! 助けて!!!」

 

「そもそも…私、みほさん側ですと、「リリカル・はなりん」ですし……語呂が合いませんでしょう?」

 

「それ理由!?」

 

 

 

 

 ― 隆史君

 

 

 

 ゾクッ!!

 

「み…みほ!?」

 

 ボコの杖の先が、こちらに向いている。

 あ…久し振りに見た…。

 

 みぽりんマジギレだ…。

 ハイライトさんが蒸発している…。

 

 まほちゃんに、しほさんより怖いと云わしめたマジギレだ……。

 

 

「ボコ。次弾装填。アルティメットフォーム」

 

 

 いきなり!!??

 

 感情がこもらない、みほの呼びかけに反応して、ガチャンとブレスレットがスライドし、みほの姿が変わる…。

 いや……あの…なに、そのラスボス戦感漂う衣装……。

 

 なにその、でっかい羽!!??

 

 し…死ぬ……。

 死んでしまう…。

 

 ステッキの周りに光が集中する…。

 

「先輩!」

 

 阪口さん!?

 

「そんな格好なら、多分先輩も変身できます! 変身してください!!」

 

 えー…この年で?

 

「なにか…スティックメモリー見たいなの持ってませんか!?」

 

「え? えーと……」

 

 内ポケットをまさぐると、3本程でっかいスティックメモリーがあった。

 

「なんかアルファベットが書いてあるな。「S」と「T」と「B」?」

 

 それを片手で見せると、パァァァっと阪口さんの顔が輝いた。

 

「それ!! それです!! そのボタン押して!! 生変身見せてください!!」

 

 ……生変身って…。

 ぶっちゃけやだなぁ…。

 ある意味、このまま死んでしまったほうが楽だと思うんですけど…。

 

 ……まぁ、押すだけ押してみるか。

 えっと「S」? スペシャルか何かか?

 

 その黒いスティックメモリーの側面についているであろうボタンを押してみると、機械音声が流れた。

 

 

 \ ス ケ コ マ シ ♪/

 

 

「……」

 

「あぁ!! ダメですよ! 貴重な物なんですから!! 瓦礫に叩きつけちゃ!!」

 

 くっそ!! 壊れねぇ!! 本気で叩きつけたのに!!

 なにが「S」だ!! 日本語じゃねぇか!!

 

 タラシやらスケコマシやら!! 終いには泣くぞ!!

 

「つ…次です次!! 次は多分大丈夫ですよ!!」

 

 次って「T」だろ!? もう予想がつくわ!!

 

 \ タ ラ シィ~♪/

 

「……」

 

 「「「「「「  」」」」」」

 

 \タラ…タタタタタタタタタタ/

 

「……」

 

 

 \タタタタタタタタタタタタタタタタタタ/

 

「せ…先輩!?」

 

 

 \タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ/

 

 連打。連打する。最後に離す。

 

 

 \タタタタタタタタカシィ~♪/

 

「さっきと違うじゃねぇか!!」

 

「ダメです先輩!! 捨てちゃダメですって!!」

 

 …くっそ。

 なんだよ…。

 

 今回…なんか俺やったか?

 

 夢の中までこんなかよ…。

 華さんの事も、俺が悪いのか?

 

 ……なんか。

 

 …………もう。

 

 ブチッ

 

 

 

「やってられっかーーー!!!!!」

 

「あぁ!? 先輩がキレたぁ!?」

 

 残った「B」のスティックメモリーを見る。

 これ絶対に「ベアー」だ!! 

 くっそ!! もういい!! 夢中でくらい自由でいてやるよクッソ!!

 

「阪口さん! いいよもう!! なんでもやってやるよ! どうしたらいいんだ!?」

 

「本当ですか!? やったー!! 生変身~~!!」

 

 ベルトのバックルが、専用の物だったらしい。

 阪口さんの嬉しそうな説明を聞き、とっと行動に移す。

 

「B」のスティックメモリーのボタンを押す。

 

 \ベコォォ♪/

 

 ベコかよ!! もういいよ!! こうなったら俺も好き勝手やってやる!!

 

「ちゃんと言って!! 変身って言ってください!!」

 

 ガチャンとメモリーをごっついバックルに差し込む。

 

 \ベコォォ♪/

 

 それを外側に倒す…。

 

「変身」

 

 ……体の周りから、黒い炎が湧き上がり、消えてゆく。

 視界が戻った頃。体が変わっていた。

 

 鉄の体。鋼の心。

 

 黒い金属の体。

 

 ……。

 

「着ぐるみじゃ無ぇー!! 空気読んでよ!! ここは! 着ぐるみだろうが!!」

 

 もう突っ込み疲れて来た…。

 多分モチーフは、ベコ。ただ…普通にヒーローっぽい身体になっていた。

 いやもう…これ、黒いし多分、ブラックベコだ。

 ブペ子じゃないよ? ブベコだよ?

 

「か…桂利奈!?」

 

 阪口さんは…なんか……泣いてる…。感動して泣いている……。

 

「……皆さん、フルチャージにはもう少し時間がかかります。隆史君を足止めしてください」

 

「りょっ了解であります!」

 

「わ…わかったけど……でもなぁ……あれ隆史君が悪いのかなぁ?」

 

「……了解」

 

 ……どうも、この世界だと怒りっぽいな俺。夢だからだろうか?

 はっ! もうどうでもいいや!! 皆好き勝手やって、好き勝手言ってるなら、同じようにしてやる!

 

 

「まずは、マコニャン!!」

 

「!?」

 

「いい加減、どこでも寝る癖を直しなさい!!」

 

「…お、大きなお世話だ!!」

 

「マコニャンさぁ…一体何回俺が、マコニャンに膝枕したと思ってるんだよ」

 

「な!?」

 

 「「「「「「「 !? 」」」」」」」」

 

「夜はちゃんと寝なさい!!」

 

「」

 

 そしてマコニャンは、白目を向いた。

 次!

 

「優花里!」

 

「わ、私でありますか!?」

 

「優花里は、無防備すぎる!! 一番、見えてるぞ! 目のやり場に困るんだよ!!」

 

「」

 

 よし! 二人目無力化!

 

 ここで…。

 

 \タラシィ♪ マキシ○ムドライブ♪/

 

「!?」

 

「沙織さん!」

 

「ひゃい!?」

 

「…………もうこっち来なさい。もういいから、な? もう十分頑張ったよ、うん」

 

「え!?」

 

 ここで、顔だけ生身に戻す。

 うん。

 

「俺の所に来い」

 

「 」

 

「返事は?」

 

「は…ハァイ……」

 

 よし! 腕を伸ばして手を出すと、フラフラと近づいて来た。

 懐柔成功。戦力増強。

 

 目の奥がちょっとピンク色だったのが、気になるけど…まぁよし!!

 ……あれ。こちら側に来たら、衣装の白い部分が黒くなった…。

 

 …あの、しな垂れ掛からなくてもいいですよ? え?

 

 まぁ……いいや。

 

 

「んでもって、みほ!」

 

「……………………なに?」

 

 怒りが、絶頂を迎えているって感じの目をしてますね。はい。

 でももう知らなーい。知ったこっちゃない~。

 

「…少しは、俺の気持ちも考えてくれ」

 

「……女の子、節操なく口説く気持ちなんて知らない。考えたくも無い」

 

 おーう。メチャクチャ冷たい言い方された……。

 杖の先がウォンウォン鳴ってる。

 

「あのな。付き合いだしてね。まだイチャイチャした事ないの」

 

「……」

 

「今まで、幼馴染の関係だったから、ちょっと背徳感が合ってイチャイチャするの楽しみだったのに!!」

 

「!?」

 

「エロい事したい気持ちだって、あるに決まってるだろう!!」

 

「ふぇ!?」

 

 

「あら~…隆史さん、結構……凄い事叫んでますね……」

「ほ…本音すぎるであります。というか、隆史殿まだお酒残ってるんじゃ?」

「ウフフフフフフ…」

「………………膝……ま……ァァァァ!」

 

 

 ギャラリーがうるさい…。

 

「はぁ……なんかもう疲れた…もう怒りも沸かない……もういいから、みほもこっち来い」

 

 杖の前に、集中していた光の強さが、徐々に弱まっていく。

 ダメ押しに、何回か押しとくか。

 

 \タラシィ♪ マキシ○ムドライブ♪/\タラシィ♪ マキシ○ムドライブ♪/\ニシズミキラー♪ マキシ○ムドライブ♪/

 

 あれ? 最後ちょっと違ったぞ?

 

「な…なんで、私が……そっちに……」

 

「みほは、もう俺のだろ? つべこべ言わないで、俺の所に来なさい」

 

「」

 

 戦車道チョコの時と同じこと言ってみた。

 まぁ……今回は意味合い違うけど。

 

 ……そして、みほの衣装も黒くなった。

 

 

 

 

 --------

 -----

 ---

 

 

 

 

「あの…指令?」

 

「なに? 澤さん」

 

「いきなり正義側…らしき方、懐柔しちゃいましたけど……いいんでしょうか?」

 

「いいんじゃない? 特に俺、破壊活動とか興味ないし」

 

「……冷泉先輩と秋山先輩は、逃げちゃいましたけど…」

 

「まぁ…そのうち懐柔するから…というか、そろそろ目が冷めないだろうか……」

 

「あー……西住隊長と武部先輩……目が完全にハートだ……」

 

「……」

 

「…………五十鈴先輩は、終始笑ってるし…」

 

「あ…そういえば、最初に誰かを探しているって言っていたけど…誰探してたの?」

 

「話題から逃げてません?」

 

「そんな事ナイヨ? うん、そんな事ないない。…で? 誰を探してたの?」

 

「…まぁいいですけど。というかなんで指令が知らないのですか?」

 

「……誰でしょう?」

 

「はぁ~…。魔法の力で、時空間を移動してきた人物です。まぁタイムスリップ見たいな事ですかね? すごい魔力保持者らしいです」

 

「ふ…ふ~ん! そっかぁ~!」

 

「まるで他人事みたいな返事ですね!」

 

「まぁ…似たようなものじゃない?」

 

「……本当に何言ってるんですか?」

 

「え……」

 

「その人物って…」

 

「はぁ…」

 

 

「未来の先輩の、子供ですよ!?」

 

 

 

 

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 後日談

 

 ……どうやら、なんて言うのだろうか? 同時に同じ夢を見ていたようだ。

 

 初めは驚いた……。

 

 しかし気味が悪かった。

 

 何より……あの夢にいたと思われる人物達が、学校に来なくなった。

 ずっと家で寝ていたそうだ。

 

 体調でも崩したのかと聞くと、なぜか全員決まって気まずそうにしていた。

 

 やはり変な夢を見ると疲れが出るのだろうか?

 

 まぁ…ちょっと今、俺は決勝前というのだけど、例の如く大洗学園艦にはいない。

 

 フラフラしてると小言をメールと電話でも言われた。……まぁみほにだけど。

 

 ちょっと…まぁ、大変な事になってるのだけど…うん。内緒だ。黙っている。

 

 それともう一つ内緒な事がある。

 

 あるんだ。

 

 手元に残っていたんだ。

 

 一つだけ。

 

 なぜかは分からない。

 

 知らない。

 

 でも何なのだろうか? 気味が悪い。

 

 またあの…夢でも見てしまうのだろうか?

 

 夢の続きなんて、そうそう見れるモノでは無いのだけど…。

 

 でも何であるのだろうか? 呼び知識も無いのに…阪口さんに聞いてみようか?

 市販されている、おもちゃなのかと。

 

 残った一つの物。

 

 黄色い色のスティックメモリー。

 

「B」の一文字が記入されている。

 

 ヘリで海上を移動中。

 

 …海に投げ捨てた。

 

 気味が悪い。

 

 …………しかしまだ、手元にある。

 

 




はい。閲覧ありがとうございました。

ある程度好評でしたらまた書こうかと思います。
二人は副会長! とか。
りりかる・マポリン、りりかる・エリリンとか…。
あ、田尻さんは隆史側でしょうね。

……ちょっとマジでクロスオーバー考えてます。
今回と違い、本編からんでるクロスオーバーです。
まぁ、お祭り編見たいな感じですけど。

ありがとうございました。



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