転生者は平穏を望む   作:白山葵

56 / 141
第45話~来客万来です!~☆☆☆☆☆

 学園艦ヘ向かう船の中。

 行きと帰りで、色々変わっていると実感させられている。

 

 さっきから、華さんは鼻歌交じりで、俺の横に座ってるし…。

 いやね、殆ど他の客がいないないから、貸切状態というのもあるんだろうけどね?

 席、すっごい空いているんですよ? なんで…わざわざ……。

 ほんの1時間前と、状況というか、態度も含め色々あからさまに違うよね?

 

『今回色々と決まった報告なんだけど、今大丈夫かね?』

 

「…なんすか」

 

 もう一つ、電話口の向こう側で上機嫌に通話をしているハゲ頭の声が聞こえる。

 日本戦車道連盟のハゲ頭だ。

 華さんの衝撃の一言と同時に、掛かってきた電話は、こいつからだった。

 

 正直、無視をしたかった。

 こんな状況で、悠長に話す事でも無いだろうと…。

 

 だって…。

 

 

 ― どうやら私。隆史さんが、好きみたいです ―

 

 

 すっげぇ笑顔で言われた!!

 好かれていた理由も何もかも、わっかんない!!

 いやね? 嬉しいよ? 素直に嬉しいんですけどね?

 

 その一言から、俺もうまく話しかけられないので、無言の空間が続いていた。

 まほちゃんみたいに、腕組んできたりとかは、しないのですけどね…。

 常に俺の三歩後ろを、歩くようになったり…その割にベンチ座ったら、普通に零距離で横に座ったり…。

 

 もうね…始終笑顔なの…。

 憑き物が取れたような……それはもう晴々とした、いい笑顔じゃった…。

 納得したと言っていた。何に納得したか知らないけど…ここまで、変わるものなのか?

 

 ベンチに座ってカタカタ震えていた辺りで、しつこく鳴り続ける電話に仕方がないからでたら、このハゲ頭だ。

 ただ無言で座り続けるのも、ただ辛いだけだった為、電話に出ては見たのだけど…。

 電話の向こうでは、まだ嬉しそうにガハハと、笑っているのがまた腹立つ。

 正直、会話なんて半分以上聞いていない…。

 

『じゃ、撮影日は決勝戦後の3日後だからね?』

 

「……はっ! え? 何がですか?」

 

 撮影という言葉で、我に帰った。

 しまった。本当に聞いていなかった…。

 

『いやだよ君ぃ。本当に聞いていなかったのかね』

 

 っせぇ! それどころじゃないんだよ!!

 まぁ…電話に出ておいて、話を聞かない俺も失礼だけど…。

 

 

『家元達の水着撮影だよ! 決勝戦後の3日後だからね! しっかり伝えておいてくれよ!?』

 

「…自分で伝えて下さいよ」

 

『君は、もう老い先短い、こんな老人に死ねと言うのかね!?』

 

「……死ね」

 

『ひどい!!』

 

 熊本に俺一人追いやった時は、本気で殺意感じたんだけどねぇ…。

 しかもまた苦行を押し付ける気満々かよ。

 

『あぁ! 後は、各学校生徒達の撮影の件だけどねぇ』

 

「…立ち直り早いっすね…なんですか」

 

 いかん、冗談でも普段、死ねとか言わないから、華さんが何事かと、こっちをガン見しだした!!

 

『君のコスプレ案で通ったよ!!』

 

「」

 

 ちょっと待て。

 

『いやぁ~、初めは、各職業の格好してもらおうかと思ったんだけどねぇ…』

 

「待った。待って下さい。俺の案っての、やめて下さい。冗談でもなく本気で!!」

 

『下手すると、より如何わしいと言われてしまってね。ほらナースとかスッチーとか。イメクラか!! って怒られちゃってねぇ』

 

「聞けよ!! というか、あんたの趣味だろ、もうそれは!!」

 

 限定すぎる、しかもスッチーって言い方、古!!

 

『でね。なんか一部の熱狂的な押しがあって、ファンタジー路線でいくって事で、決定になったよ!!』

 

「ふぁ…? あ? ふぁんたじー?」

 

 ファンタジーってあれか? ゲームとかでよくある奴? 勇者とか戦士とか…魔法使いとか。

 

『ほらほら! 戦車1車輌のチーム これはもうパーティみたいなモノだろ? 丁度いいって事で、満場一致で可決されたよ!』

 

「……は」

 

『ん? 何かね?』

 

「その格好をウチの学校の連中にもしろと? それをまた俺に言わせる気ですよね!!」

 

『それだけじゃないよ勿論! 全員通して、パンツァージャケットと何かしらのファンタジー職の格好をしてもらってだね…、一つのパーティーとして1車輌全員一緒の撮影カードも今回は……』

 

 聞け。俺の話を聞け。

 

「……おっさん。妙に詳しいな。パーティやらなんやら」

 

『そっ!? そうかね!? 勉強なんてしてないよ!? ほらっ! これは…その、これの売上で、戦車道の行く末をだね…』

 

「……」

 

『……あんじ…て……』

 

「……」

 

『…その、無言はやめてくれんかね…』

 

「…児玉会長」

 

『な…なんだね?』

 

「…………ビキニアーマーって知ってます?」

 

『……』

 

 ブッ!

 

 切りやがった!!

 

 ファンタジー路線って事は、きわどい衣装も結構あるよな。

 それが、狙いか!!

 一部の熱狂的な押しって、あんただろ!!!

 

 …待て。

 

 待てよ? これも下手すると撮影許可って、各学校も全部俺がやるのか?

 ま…まさかな…、初めにも俺以外にもいるって言っていたもんな…。

 

 テント前の事も有るし…どの面下げて…。

 

「……」

 

 はっ。あのハゲ頭の事だ…。撮影許可取るのも俺になりそうだ…。

 今までの経緯からすると、絶対俺に押し付けてくるな…。

 

 乾いた笑いが、無意識に口らからでる。

 通話が切れている、黒くなった携帯画面を眺めていると、不思議そうに見つめてくる華さんの視線に気がついた。

 

「あの…大丈夫ですか? 少し顔色が優れませんが?」

 

「…はい、大丈夫ですよ」

 

 携帯をしまい、ベンチの背もたれに体を預ける。

 顔色優れないのは、貴女にも原因があるんですけどね…。

 

 …。

 

 まぁ例のチョコ菓子の件は後回しだな。

 

 先に…早いうちに華さんと決着は付けておいた方がいいだろう。

 後に伸ばすと段々と厄介な事になるのは、身を持って知ったばかりだ。

 

 言葉にして言っておいた方がいいのだろうな。

 

「あ…あの、華さん」

 

「はい? なんでしょう?」

 

 …なんだ?

 普通すぎる。顔色が読めない…。

 あれ? 先程、告白されたよな? あれ?

 なんでそんなに普通なの? ま…まぁいいや…。

 

「えっと…先ほどのお話なんですけど…」

 

「え? あぁ。私が隆史さんを好きという話ですか?」

 

「」

 

 直球…。ど…どまんなかぁぁ。

 その、昨日の晩ご飯何食べたっけ? って顔で確認してこないで…。

 …ペースに飲まれている…。いかん…。

 

「あの…お気持ちは、すごい嬉しいのですけど…」

 

「いいんですよ? 私が横恋慕しているだけですから。…言っておきたかっただけですから。気にしないでください」

 

「……」

 

「振られる為に、言った様なモノですから…」

 

「華さん……」

 

 …そういった告白というのも…あるのだろうか?

 でも、先程からの華さんの態度は、至極普通。若干恐怖を感じるけど、さっぱりしている感じだった。

 なら、だいじょ…

 

「みほさん以外だったら、諦めませんけど♪」

 

「」

 

 痛い。

 

 胃が痛い……今までで一番キテル……。

 …薄暗い何かを感じるのは、気のせいだろうか…。

 

「もう…わざわざ、その話題を振り返すなんて…。まぁ隆史さんが浮気しよう……も……の…」

 

「…な…なんですか」

 

 なんだ? いきなりまた考え込みだしたけど!?

 下向いて、口先に指をつけて本気で考え始めてた…。

 髪が邪魔で目が見えない…。

 怖い!! もう何から何まで、華さんが怖い!!

 

「……浮気相手が、私の場合は……」

 

「」

 

 こっわ!!! こっっっわ!!!

 今までと、まったく思考回路が変わってるよね!!

 俺本人目の前にして、言うセリフじゃないよ!?

 特に華さんが、そういったセリフを言うのは、違和感しか無い!!

 

「まぁそれは、それとして…」

 

 強引に話題を変えられた。

 助かった…のか? 自分で話題を降った結果、胃に痛恨の一撃をくらった。痛い…。

 

 ……なぜ俺が息切れを起こしているのだろうか。

 

「先ほどの電話での、会話の事ですけど…」

 

 華さんが、自身の携帯を操作しながら、ハゲとの会話の事を聞いてきた。

 死ねの一言に反応して、そのまま神妙な顔で横にいたものな…。

 通話内容は聞かれていは、いないだろうが…。

 

 あの…何を調べているのでしょうか?

 

 グーグル先生が見えたのですけど…

 

「びきにあーまーとは、これの事ですか?」

 

「」

 

 しっかり聞かれていた…。

 突き出された携帯画面には、見目麗しいキワどい女性の画像が並んでいた。

 

 …。

 

 その先。

 

 突き出された携帯の奥。

 ハイライトさんが不在となった、華さんの目と合う。

 

「どういった会話をすれば、この様な画像にたどり着く会話になるのでしょうか?」

 

「」

 

「…隆史さぁん? もしかして、これを私達に着ろと?」

 

「」

 

 しっかり内容バレてる!!

 生徒、撮影、各学校。

 まぁこれだけ聞けばなぁ…というか、昨日までの察しの悪い華さんは、どこへ行っちゃったの!?

 

「だ…大丈夫です」

 

「……何がですか?」

 

 近づく突き出された携帯を両の掌でガードするが、意味を成さない…。

 チカイチカイチカイ!!

 

「その…どちらかといえば……」

 

「…はい?」

 

 

「華さんは、俺から見れば魔法使い枠なんで……」

 

「……は?」

 

 

 

 

 

 ----------

 ------

 ---

 

 

 

 

 

「ねぇタカーシャ?」

 

「…はい」

 

 カチューシャの怒る前に出す、猫なで声で問われる。

 

「……なんで増えてんの?」

 

「…な…なんの事でしょうか?」

 

 もはや、俺の部屋に俺の居場所が無い。

 朝の食卓。台所で立ちながら食っている、俺の背中にそんな言葉がぶつかる。

 

 食卓はもう、女性に陣取られている。

 

 

「私は、昨日みほさんのお宅に宿泊させて頂きまして…その流れでしょうかね?」

 

「…じゃぁ、ミホーシャの家で食べればいいじゃない!」

 

「あら? お邪魔だったでしょうか?」

 

「…そ、そうね! 邪魔ね!」

 

 

 そうです。結局、昨日自宅前に着く頃、みぽりんがお出迎えをしてくれました。

 仁王立ちで…。

 

 予め、メールで事情を説明しておいて良かった…。

 割とスムーズに事は進んだ。

 ふっ。面倒な誤解イベントなんてもういらない!!

 ホウ、レン、ソウは大事だよね! 社会人の基本だよね!!

 みほも色々と、複雑なんだろうね。仁王立ちでお出迎え以外は何も言われなかったし、聞かれなかった。

 ありがたいとは思うのだけど、また? 見たいな目はお辞めください。お願いします。

 

 ……はぁ。

 

 結局その日は、みほの家にお泊り。

 着替えやら何やらは、みほが貸すという事だったのだけど…夜中、やはり着替えだけは取りに行くという事で、車を出してやった。

「格差って、酷いよね…」とか何とか言っていたな。

 あぁ!! みほの胸のサイズの下着じゃあ、華さんには…辺りで記憶が少し飛んでいる。

 ……デリカシーが無いのは、分かっている。分かっていはいるが、言っておかないと、なんか男して負けた気分になるから言っておいた。

 間違っていただろうか…。

 

 で、結局早朝。

 

 …朝飯は俺ん家で、と伝えてあったので、みほと華さんが二人して我が店へ来店してくれましたと。

 まぁ、あの華さんの朝食だ。

 正直どのくらい召し上がるのか興味があった。

 普段の4倍の米を炊き、待機していると…まさかの連日来店…。

 

「来たわ!!」

 

 ちびっこ隊長達来店。

 というか、今日平日!! 大丈夫なのか…。

 

 

「あら? でも私は少なくとも大洗の生徒ですし……他校の方に、邪魔扱いされる謂れはありませんけど?」

 

「ぐっ!」

 

 なんだろうか? 開き直った…と言えるような華さんは…凄かった。

 前から結構はっきりと物事を言うタイプだったのに、それらに拍車がかかったというか何というか…。

 

「ほっ、ほら! カチューシャさんも、本気で言ってる訳じゃ無いでしょうし、早く食べちゃいましょ?」

 

 みぽりんが、フォローを入れとる…。

 ノンナさんは、終始無言…というわけでも無く、みほに合わせて食卓の用意を手伝っている。

 珍しい…みほとノンナさんがペアを組んでいるよ。

 

 はい。今回は、ゴリッゴリの和食デス。超基本和食の朝食です。

 良くある、焼鮭と味噌汁とお新香と……。

 あ。今回ピーマン入れるの忘れた。…チッ

 

 いやぁ…しっかし良く食うなぁ……華さん。

 

 何合食ったんだろって感想しか沸かない。

 漫画見たいな山盛りにして見たものの、普通に完食・おかわりだ。

 何故か、始め険悪ムードなカチューシャも、その食いっぷりに度肝を抜かれ、最終的には爆笑していた。

 なぜアレで仲良くなれる。…まぁ仲良くなった事は良い事だけど…。

 完全に今回、気が付いたら俺だけ蚊帳の外だった。

 女子トークに花を咲かせている4名様。

 

 まぁ、邪魔するのもなんだし、大人しく洗い物でもしようかね。

 食器はその日のその場で、洗って片付ける派だ。…放っておくと、溜まる一方だからね。

 

 あ~…しっかし、例の撮影の件どうしよう…。

 目の前に、その代表である隊長が二人いるけど…改めて言った方がいいよなぁ…。

 

「あ、ごめんね隆史君、私も手伝うよ」

 

 みほが、見かねて手伝いを申し入れてきた。

 これをただ断るのも、みほに悪いのでいつもの様に無言で受け入れた。

 いつもの様に、食器を洗う、拭くの作業分担で黙々と作業を開始した。

 

 なんだろうか…もうこれが普通になってしまっているな。

 自然と小さく吹き出してしまう。

 

「……」

 

「……」

 

「…な……なんでしょうか?」

 

 気が付いたらすっごい見られていた。

 カチューシャとノンナさんと華さんに。

 心無しか、怒ってらっしゃる?

 

 ギリギリ音が出てしまいそうな感じで首を動かし、一応みほの顔も確認してみた。

 

 …笑ってる。

 

 勝ち誇った顔で笑ってる!?

 

「隆史さん」

 

「な…なんでしょうか?」

 

「私も手伝いましょうか?」

 

 ノンナさんが、みほにでは無く俺に直接聞いてきた。

 目が…鋭い光を帯びている…。なんで!?

 

「あ、もう終わりますので…大丈夫ですよ? ありがとうござ…い……マス」

 

「そうですよ? ノンナさんは「お客様」ですから、お気遣い無く座っていて下さい」

 

 みほさん!?

 

「…ソウデスカ?」

 

「ソウデスヨ♪」

 

 ウフフと、向かい合って笑いだした二人。

 

 …あの、みぽりんもお客さんですよ?って言おう物なら何言われるか分からないから、黙っておこう。

 うん。怖いもの。

 

 最近、みほさんのスイッチが、どこで入るか分からない…。

 それは、ノンナさんも同じらしくカチューシャが、若干青くなって困っている。

 これは、牽制しあっているというのは、俺でも分かりますけど…。

 

 どうしてこうなった。

 

「なるべくしてなった。と、しか言いようがありませんね」

 

 何故か、笑顔の華さんに突っ込まれた…。

 あぁ…カチューシャがプレッシャーに負けたのか、俺の足にしがみつきに来た。

 よしよし…好きなだけいなさい…、正直これは俺も怖い…。

 

 何故だろうか。険悪な雰囲気というのが無い…のが怖い。

 この睨み合いならぬ微笑み合いは、カチューシャ達が帰るまで続いた…。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

「次はいよいよ決勝戦だ!」

 

 河嶋先輩の挨拶が始まった。

 いつもの練習前の挨拶。

 私達の目の前に、会長達3人が並んでいる。

 はぁ…今朝、一緒に登校したというのに、また隆史君がいない。

 

「相手は、黒森峰女学園」

 

 黒森峰…お姉ちゃんの学校。

 私の通っていた学校。

 

 自然とお姉ちゃんの顔を思い出し、顔が引き締まる……のだけど、昨日のテント前の惨状も一緒に思い出してしまった。

 

「……」

 

 うん。そこには触れないでおいてあげよう…。

 ちょっとイメージが崩れる…。

 

「全校の期待が掛かってるから頑張ってよぉ~!」

 

「本日は全員、戦車の整備にあたれ!」

 

 《 はい!! 》

 

 全員の返事の後に、おずおずと沙織さんが手を上げた。

 

「…あのぉ」

 

「なんだ?」

 

「隆史君はどうしたんですか? 今朝から見えないようですけど…」

 

「ヒィ!!」

 

 あれ? バレー部の…河西さんが、声にならない悲鳴の様な物を上げた…。

 顔真っ赤だ…しかも小刻みに震えてるし…。

 あ…近藤さんもだ。

 

 ……そうか。彼女達も隆史君の「あの状態」の被害者だったよね。

 

「尾形書記は今、来客対応中だ」

 

「来客?」

 

「う~ん。何かね。朝一でまた、日本戦車道連盟の人が、訪ねてきたんだよ」

 

 「「「……」」」

 

 大学に続いて、今度は日本戦車道連盟って…隆史君。裏で何かやってるのかなぁ…。

 

「…大丈夫なのか? 書記の奴、毎回毎回、連盟が付く連中に拉致られてないか?」

 

「そうなの…この前も…なんかヤクザみたいな人が、わざわざ家に素性を調べに来たし……何やってるんだろ、隆史君」

 

 …小山先輩が心配してくれているのは、分かったんだけど…目に若干生気が無い…。

 私も私もと、周りから同じような声が上がる。

 少し話は聞いていたけど、一体何件廻ったんだろ…。私の所には来なかったなぁ。

 

「……すみません…それ、私の父です…」

 

「え!? 五十鈴さんの!?」

 

 申し訳なさそうに、手を挙げる華さん。

 大まかな経緯を説明している。

 昨日の夜、私の家に泊まった時と同じ事を繰り返し、話している。

 

 …その件は、びっくりしたけど困っていた様だったから、二つ返事で了承した。

 断る気は全く無かったけど、もし断ったら最悪、自分の部屋に泊めてしまいそうだしね…隆史君の場合。

 

「…西住ちゃん」

 

「わぁ!?」

 

 いきなり会長に肩を組まれた。

 少し前屈みになるように体重を乗せられて。

 びっくりさせないでください…。

 

「……五十鈴ちゃんの家出の件…聞いたよね?」

 

「…はい。聞きました」

 

「今朝、隆史ちゃんから相談されてさ。五十鈴ちゃんの住む所、大至急用意するから」

 

「……」

 

「…なんなら、私んトコの寮の空き部屋でもいいし……それに最悪、決まらなかったら…泊めるよね、あの男は」

 

「…泊めますね。どうせ寝る時は自分だけ、外の車にでも寝泊りすれば良い…程度に考えていると思います」

 

「……だよね」

 

「……はい」

 

 はぁ…と会長と溜息が被る。

 

 いや…隆史君のいい所でも有るのだけど、正直私の事はどの程度考えてくれているか…ちょっと不安になってくる。

 彼女…わ…私だけど。

 その彼女が住んでいる部屋の下で、居候というか……他の女の子泊めるとか…本気でしそうで、怖い。

 

 お人好し…聞こえは、少し良いかも知れないけど、私からするとちょっと気が気で無いのだけど…。

 

「五十鈴ちゃんも頑固だねぇ…」

 

「ま、まぁ、意思の強いのは、華さんのいい所でもありますし…」

 

 今の華さんの状況が、もし私なら…彼女の様に、笑っていられるだろうか?

 もし、私が勘当されてしまっていたら…私は笑っていられるのだろうか?

 

「後、今回の来客の件は、多分大丈夫だよ?」

 

「ふぇ?」

 

 また考え込んでしまっていたのか、間の抜けた返事をしちゃった。

 

「…誰に呼ばれたか分かった時の、隆史ちゃんの眼がね…死んだ魚の目をしてたから……」

 

「……それは本当に大丈夫なんですか?」

 

「真面目な話じゃ無いから、適当に相手するって言ってたし…多分大丈夫っしょ」

 

 会長からも、乾いた笑いが聞こえた。

 もう…、本当になにをやってるのかなぁ…。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 案の定だよ、くっそ!!

 何が、要請班の責任者に任命されたから、その任命書を持ってきた…だ!!

 このハゲ親父!

 

「全国戦車道の男子学生の代表だよ!? 誇っていいんだよ!?」

 

「ふざけないでくださいよ? 要は汚れ役でしょうが! ただでさえ最近俺、風当たり強いのに!!」

 

「そ…そかね?」

 

「女子高生達に、コスプレして下さいね? えぇ全国に出回る写真撮影です。あぁ強制ですからね?って言ってまわるのが仕事だろ!? 死ぬわ!!」

 

「いやぁ…君の場合、各校の女生徒からの評判が、極端なんだよねぇ…だからまぁ…今更一緒かなって」

 

「……」

 

「他の商品開発部の大人達も、あの家元二人に、水着撮影の約束を取り付けたって事で、誰からも文句は出てないから…。家元二人を脱がす事に成功したって事で、君の評価がすごく高くてね」

 

 さ…最悪な評価だ…。

 

「まぁそんな事で、宜しく頼むよ」

 

「……嫌です」

 

 んな暇あるかよ! というか、次負けたら廃校なんだから、俺が関わるのはおかしくないか?

 もっと安定した奴に任せろよ!

 

「まぁまぁ、あ。一枚だけ有る、男性撮影枠に君を押しておくから!!」

 

「……」

 

 

 さて。どこかに鈍器は無かったかな?

 

 

「まて!! 待ってくれ!! 本気の殺意を向けないで!!」

 

「……それだけは、絶対に嫌です」

 

「えー…でも…」

 

「百歩譲って、俺がその責任者とやらをやるのならば、俺の名前が絶対に出ないようにして下さい」

 

「え~…一応、製作者側の名前を出すのが……」

 

「……もし俺の名前が出るような事があれば、両家元に児玉会長から、取引を持ちかけられたと暴露します」

 

「なぁ!?」

 

「取引材料の写真の件で、俺も無事ではすまないでしょうが……はっはー!! 死なば諸共だ!!」

 

「」

 

 おかしな笑い声が出ているな…。

 少なくとも俺がカードなんぞに、なろう物なら間違いなく死ぬ。

 全国のヘイトを一身に受け、俺の周りは生霊だらけになりそうだ。

 

 冗談じゃねぇ…俺は静かに暮らしたいんだよ!

 

 マジな殺意を持って、立ち上がりハゲ頭を見下ろす。

 ただ、コクコクと黙って頷く光る頭を目で追い、俺の条件を飲む事を前提に…仕方ないから責任者を引き受けた…。

 

 後は、逃げるように帰っていったハゲ頭。

 俺本人に了承を取る為だけに来たようだった。

 暇なの? あんた一応最高責任者だろう?

 

 …本当に走って逃げていったな…。

 

 ……。

 

 ……どうしよう。

 

 結構時間掛かっちゃったな。

 まぁいい、どうせ俺に出来る事もあまり残されていないだろうし。

 

 帰りがてら生徒会室に寄ってみた。

 生徒会役員が不在ながら、お役所の様に何人かが書類処理に追われている。

 

 未整備な書類が……なんでこんなにタワー型に積まれてるの?

 

 ……桃先輩の机に。

 

 呆然とその白い塔を見つめていると、他の生徒会員から泣きそうな目で見つめられた…。

 

「……」

 

 仕方ない。

 

 やるか。

 

 

 

 ----------

 ------

 ---

 

 

 か…かなり時間がかかった。

 会計報告、会計処理…なんで、あんなに貯めることができるんだろう…。

 ある程度貯まれば、焦って少しは処理に取り掛かると思うのだけど…。

 結局昼休みを跨ぎ、午後になってから戦車倉庫へ到着することになってしまった。

 

 その戦車倉庫へ戻るなり、優花里の興奮気味な声が聞こえた。

 なんだ?

 

「マークIVスペシャルだぁ~!!」

 

 あんこうチームのⅣ号戦車が、茶色に塗装が変更され、横になんか鉄板が取り付けられていた。

 盾……の様な物だけど…なんだろこれ。

 

「カッコいいですねぇ!!」

 

 あ~…俺に気がついてねぇな。こりゃ。

 気がつくまで待って…んぁ?

 

「…おい書記」

 

「あらマコニャン。なにかね?」

 

 遠目で見ていたら、後ろから声をかけられた。

 首に風呂敷を巻いたマコニャン。

 

 あら可愛い。

 

「…………お前、おばあと連絡取り合っているのか?」

 

 マコニャン呼びの突っ込みが無い。

 チッ、寂しいじゃないか。

 でもいくら何でも、いきなりだなぁ…。単刀直入すぎると思うけど…。

 

 まぁ。

 

「あ~。うん、一回だけ入院している病院の近く通ったものだからね、見舞いに顔出したことあるよ?」

 

「…それはすまなかったな。じゃない! その時か? その時なのか!?」

 

 なにを焦っているのだろうか。

 

「いや…携帯の操作を教えて欲しいって頼まれて…、携帯操作の練習に付き合っていたくらいだなぁ。まぁそれで俺の携帯教えたけど…」

 

 マコニャンの顔が青くなった。

 ガクンと両肩を落とし、腕をブラブラし始めた。

 

「それで…それでか……最近やたらとメールやらラインが、来るようになったのは…。しかも絵文字付きになったのは……流暢に携帯操作するおばぁが、気持ち悪いと思っていたのだが」

 

「まぁマコニャンの近状を、たまに連絡したくらいだけど…どした?」

 

「……今日おばぁが退院したんだけどな…」

 

「あ! そうか、今日だったか!」

 

「なっ!? それも知っていたのか!?」

 

「退院する事はね。マコニャンだけじゃ大変だろうから、車でも出しましょうか?って返したら、余計なお世話だと怒られた。…それでかな? 退院日までは教えてくれなんだなぁ」

 

「……」

 

「だから、特段変な事は……おわぁ!?」

 

 いきなり制服のネクタイを掴まれて、前屈みさせられた。

 普通に苦しいのだけど?

 周りに聞こえないようにだろうか、小声で話しだした。

 

 

「書記!! お前、おばぁに何言ったんだ!!」

「何って…いや、普通の会話していただけだけど…」

 

「お前の普通は、非常識な事の方が多いだろうが!!」

「あら、ひどい。…でもなぁ、特段変わった事言ってないよ? ほぼ、携帯操作とマコニャンの事だけ……あっ」

「あってなんだ!? あって!!」

 

「いや…なんか最近、やたらとマコニャンの事を聞かれる様になったなぁ…と思って」

「な…なんだ、私の事って」

「マコニャンの近状を説明するとね、最後に大体…俺から見てどうなのか?って聞かれる」

「…なっ!?」

 

「今日も寝坊しました。今日も遅刻ギリギリでした。たまに寝ぼけて、俺の膝を枕にしますとか?」

「よっ! 余計な事を!!」

 

「大体最後に、お前さんからどう見える?とか、どう思う?とか聞かれるねぇ…なんでだろうな?」

 

「」

 

 あれ? マコニャンの顔が七色に変わったよ?

 

「……お前、それでどう答えたんだ…」

「……」

 

「おいっ!」

「……内緒」

 

「ふっ! ふざけるな!! 本当に何言ったんだ!?」

「あら、やんだ。プライベートですわよ?」

 

「殺すぞ!! なんで私が、おばぁにあんな事、言われないといけないんだ!?」

「だから、殺す殺す言わないの…って、何言われたの」

 

「何? 何って……」

「マコニャン?」

 

「 」

 

 何かを思い出したのだろう…、本当になにを言われたのだろう?

 俺は、毎回猫みたいだの、根は真面目だの…一応当たり障りの無いことを答えていた。

 容姿を聞かれりゃカワイイと思いますよ?とか、普通に…。

 

「書記! お前、西住さんと付き合ってるのも言っているのか?」

「……なんか聞かれたな。いい人いるのかって。…一応、答えておいたけど」

 

「そ れ で かぁぁぁ…」

 

 あら、完全に崩れ落ちた。

 

 本当になにを言われたのだろう…。

 耳は……赤い!

 

「あっ! 隆史君…と、麻子!? 二人共どこ行って……たノォ…」

 

 沙織さんが、このやり取りで俺達に気がついた。

 が、相変わらず沙織さんは、目が俺と合うと声のボリュームが下がっていく…。

 俺なんか嫌われる事したかなぁ…。

 

 あ、うん。今日も良い眼鏡ですね!!

 

「こ…これ、おばぁから…差し入れのオハギ…」

 

 よろよろと立ち上がると、肩の風呂敷を皆に差し出した。

 顔はまだ赤い…のか、青いのか…。

 

「退院されたんですかぁー!」

 

「うん、皆によろしくって…何故か、書記にも」

 

 何故かって…。

 

「よかったぁ~」

 

「決勝戦は見に来るって」

 

 …基本無表情の彼女だけど、目に見えて嬉しそうに報告をしてくれている。

 この娘、沙織さんが誘拐された時もそうだけど、人一倍人情に厚いのだと分かる。

 それが肉親ならなおさらか…。

 

 ま、身体を張った甲斐があったと、今更ながらに実感した。

 

 ガタンッと、今度は真横で音がした。

 なんだろう。見覚えが無い子達だな。

 

「お…」

 

「はい?」

 

「尾形 隆史……」

 

 誰だ? いきなりフルネームで呼ばれたけど…。

 随分と髪の毛が長い娘が、手荷物を地面に落とし、俺を見て硬直していた。

 いや…すげぇ眼鏡だな……。

 

「こ…これが、戦車道界で有名な……」

 

「……」

 

 碌な事で有名じゃねぇな。この反応は。

 

「あ、隆史君。彼女は、今日から新しく戦車道に入ってくれた、猫田さん」

 

 みほが、横から助け舟をだしてくれた。

 彼女の紹介…なのだろうけど…この反応は…。

 まぁ一応挨拶しないと。

 

「あぁ…なるほど…。よ、宜しく…」

 

「ヒィ!!」

 

 ……

 

「あの…猫田さん?」

 

「あ…すみません…。多分噂だと思うのですけど…彼、ネットで…その……」

 

「……」

 

 ハハッっと乾いた笑いが、みぽりんの口から聞こえますね。

 はい、大体察しが尽きましたけどね!!

 

「…一応教えて。俺、なんて言われてるの?」

 

「え~…あの…怒りませんか?」

 

 消え去りそうな声で、モロ警戒しながら言われても……怒るに怒れんよ。

 

「その……触ると妊娠するとか……」

 

「……」

 

「戦車道乙女の敵だとか……」

 

「……」

 

「挙句、高校生すら飛び越えて、下は小中学生から、上は人妻まで幅広く網羅しているとか……」

 

 ガタンと音をだして、久し振りに崩れ落ちた。

 なんで? え? なんで? ある程度予想はしていたけどさ!!

 

「その片鱗は中学から見せていた様で……」

 

 「「!?」」

 

 みほもびっくりしている。

 ……なんで、そんな昔の事まで…。

 

「『西住キラー』の二つ名で、幅をきかせていたって……」

 

「誰だー!! んな事まで言ってる奴は!!」

 

「ヒィィ!! ネットです!! ネットの掲示板の話です!!」

 

 なんだよ、西住キラーって!! 初めて聞いたわ!!

 なんでそんなに、限定的な字名を!?

 

「なぁ…みほ。なぜ目を背ける」

 

「……」

 

 こりゃ、みほは知ってたな…。

 

「毎回、『れっど・すたー』ってハンドルネームの方が、詳しく情報提供してくれるみたいでして……気が付けばまとめサイトも…」

 

「……」

 

 やめよう…忘れよう…。

 多分……死ぬ。俺の悪評を態々見る事ない…。

 

「ちなみにこの方、西住さんの大ファンらしくて、最近ファンサイトまで立ち上げてます」

 

「ふぇ!?」

 

「……」

 

 あぁ…なるほど。

 それで、みほと付き合ってる俺が、攻撃されてる訳か…。

 

 しかし、みほのファンサイトか。

 

「……ヨシ」

 

「よしってなに!? 見ないでね? 隆史君は絶対見ないでよね!?」

 

「ハッハー。ミナイヨ? ホンニンガ、メノマエニオリマスシネ?」

 

「見る気だ…。絶対見る気だ!! 見ちゃダメだからね!!」

 

 ……真っ赤になっている、みほを尻目に、見える…。

 

 遠くで早速、携帯からネット検索しているであろう、優花里はスルーして置いてやった方がいいだろうな。

 うん。目が輝いているからね。

 他の2名…桃川さんと、ぴよたんさん。

 ぴよたんって…本名不明かよ…。

 

「猫田さん、桃川さんと、ぴよたんさん…頼むから鵜呑みにしないで……まぁ宜しく」

 

 「「「 宜しくお願いします… 」」」

 

 微妙な返事と、まだ警戒を解いてくれない3人。

 これも自業自得なのでしょうか?

 

「おー尾形君、ようやくお出ましだねぇ」

 

 この騒ぎを見ていたのか、今度は自動車部がゾロゾロと集まってきた。

 あぁ今回から参加するって言っていたっけ。

 

「自動車部の方々には、ポルシェティーガーで参加してもらう事になった…ってこれは隆史君、知っていたっけ?」

 

「まぁ。一応生徒会だしね。予め聞いていたけど…」

 

 いつもの通り、オレンジのツナギ姿。

 

 で……だ。

 

「それじゃあ、尾形くん」

 

 中島さんが、ほいっと軍手をした手を出してきた。

 

「あーはい。宜しくどうぞ」

 

 そう言って、車の鍵を渡す。

 やったーと、後ろで騒いではいるのだけど、なんだろう…立場が違う気がする…。

 

「…みほ。変な目で見ないでください」

 

「今の、隆史君の車の鍵だよね? どうしたの?」

 

 みほの趣味…趣味だな! 

 その趣味の為、車の鍵にはボコのキーホルダーがしてあった為に、すぐにバレた。

 

「今さ、俺の軽トラの調子が悪いんだよ…」

 

「あ、うん」

 

「自動車部に修理を頼もうかと思っただけ…だよ」

 

 最近、エンジンのかかりが悪いのと、ブレーキ音がちょっと酷かったので、その事だけ相談してみた。

 そうしたら、悪いところよりも、まずどこをいじっていいかを聞かれる。

 はい。会話のキャッチボールができませんでした。

 よって。車検が通る範囲なら好きにいじっていいよと、返答した。

 

「……」

 

「でも、あれだろ?」

 

 後ろで、ハァハァ言いながら俺の車をどうするか相談を始めている。

 

「好きにイジって良いって言ったら、テンションが爆上がりでさ…すげぇ不安で…」

 

「あぁ…なるほど…」

 

 二人して、遠い目をして眺めている。

 何故だろう。キラッキラして楽しそうに相談をしているのは良いのだけど、不安感がいっぱい。

 別の車になって返ってきそう…。

 

「隆史ちゃーん」

 

 今度は会長から「モウイチド」……杏会長から、お呼び出し。

 ……

 某、アンツィオの副隊長といい、頭の中で呼んでいる名称にまで、ツッコミを入れないで…。

 

「うん、あのさ…また隆史ちゃんにお客さんなんだけど……」

 

「また!?」

 

 なんだか今日は、千客万来だな…。

 

 戦車倉庫の入口。

 開きっぱなしの入口に、腕を組んで仁王立ちの人物が、こちらの対応を待っていた。

 

「……」

 

 まっ…て…。

 ホントに本気で待ってくれ…。

 

 外の光を逆光に、顔は影で見えないが、すぐに誰か分かった。

 

 やめてくれ…。

 

 今度は、なんだよ…。 

 

 俺と目が合った。

 気がついたとバレたのか、組んでいる腕を解き、ブンブンと手を腕ごと降ってきた。

 

 やめて…ほんとやめて。

 このメンツの中に顔出さないで…。

 

「隆史ちゃん? 知り合い?って顔真っ青だけど、大丈夫かい!?」

 

「……」

 

 知り合い。

 

 確かに知り合い…。

 

「いいですか、杏会長…」

 

「な…何?」

 

「アレの標準基準は、亜美姉ちゃんの3倍だと思ってください」

 

「は? え!? 3倍!?」

 

 シリアスモードじゃないアレは、俺の中では悪魔を通り過ぎ、魔王だ。

 

 魔王…あぁそうだなぁ。例のチョコ菓子の写真…。

 ファンタジー路線だったか……。

 このままだと、あんこうチームは全員撮影だよねぇ…。

 あれだ…みほは……普段なら僧侶かなんかだけど…、隊長だし…勇者あたりか?

 優花里はシーフで、沙織さんが今回、僧侶とかヒーラーで…華さんが魔法使い。

 んで、マコニャンは…踊り子だな。うん、敢えての踊り子。

 

 はっはー。前衛の戦士が不在だぁ…。

 

「……」

 

 現実逃避を試みたが、やはりダメだった。

 あの存在感に強引に意識を持っていかれる。

 

 腕を振り疲れたのか、そのまま手を腰にやり、相変わらず豪快に大きな声で俺を呼ぶ。

 

 

「よぉ! 馬鹿息子!!」

 

「あれ!? 叔母さん!?」

 

 

 当然みほは、面識がある…。

 やめて! 母親がこんな所に来ないで!! 思春期通り越したとしても、母親が学校でのパーソナルスペースに入ってくるのって堪えるの!!

 

「んやぁ! みほちゃん、おっきくなったねぇ! 久しぶり!! んや? この場合綺麗になったって言ったほうか好感度上がるかなぁ!?」

 

「え…えぇ…お久しぶりです」

 

 みほが引いている…。

 まぁ…みほは、過去のイロイロ俺にやらかした件を知っているので、この場に来る不自然さに困惑しているのだろう。

 

 ……周りは、唖然としている。

 まぁそうだろうな…。

 

「今日は…どうしたんですか? こんな所にまで…」

 

 そうだよ!! 本気で何しに来やがった!!

 

「いやねぇ…散々派手にやっている、この馬鹿の相手を…ちょっと見に来たんだよね!」

 

「相手って…!? あれ!?」

 

 豪快に笑って…なんで走ってくるの? それ助走だよな!? 来んな! こっちくんブッ!?

 

「隆史君!?」

 

 …ローリングソバットされた。

 全力全開だったのだろう、派手な音を起てて吹っ飛んだ。

 …俺が。

 

「この馬鹿息子が、責任を取る相手だね!」

 

「……え?」

 

 吹っ飛んだ俺に一瞥もせずに、嬉しそうに宣言した…。

 

 

「将来の嫁候補!!」

 

 

 

 




はい、閲覧ありがとうございました。

戦車道チョコ前進。
各職業で行こうとも思ったのですけど、イメクラ感が強いのでやめました。
まぁ転生物ですし? ファンタジー欲しいですし? まぁこれかなぁって!?
……まぁ、職業は人それぞれですけどね! なんか意見あったらどうぞ!!

はい。本編、ママン登場。
はい。次回、シリアス編入っていきます。
できるだけ、シリアスに偏らない様に行きたいと思います。

ありがとうございました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。