転生者は平穏を望む   作:白山葵

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「お兄ちゃん以外は、みんな敵」


はい。ジャックされました。

都合によりすっげぇ短いです。







第48話~家元(笑)?~

「あの…愛里寿」

 

「なに? お兄ちゃん♪」

 

「……なんで膝の上に座るの? 今凄い普通に腰掛けたよね?」

 

 早朝の島田家。

 昨日集まった応接間に、千代さん、しほさん、亜美姉ちゃん(屍)と、昨夜遅くに到着した愛里寿が集まっている。

 昨夜の話の続きとばかりに、千代さんから招集された。

 

 取り敢えず座れと、ソファーへ促されたので座ったんだけど…。

 座った直後、愛里寿俺の右側の太股に座った。

 

「私は右側。…そうオレンジペコさんと不可侵条約を結んだ。」

 

「……」

 

 本人の意思は? え? あ…はい、無いっすね。

 んじゃ…左側は、オペ子さんってことね…。

 

 この前テントの時か…。

 

「それに昨日、一緒に寝てくれたというのに、このくらいは別になんとも無いと思うけど?」

 

「…」

 

 分かる。言いた事は分かる。

 まぁ、最初にやる事をやっておこう。

 

 

 昨日愛里寿は、到着早々眠気がMAXだった様でして、到着早々寝てしまいました。

 お手伝いさんと一緒に、愛里寿をそのまま自室に運んだです。

 

 はい。「お手伝い」さんと一緒ですよ?

 

 家元達は、飲み行っていつ帰って来るかも分からないし、俺はさっさと風呂入って客室にてご就寝。

 

 んでもって今朝かな。

 早朝。

 いつもの様に4時頃、目が覚めた。

 何か、身体に温かいモノが引っ付いてるなぁ…とか思ったら……はい。愛里寿さんでした。

 いつの間に潜り込んだのか、そのまま寝てしまったようでして…。

 起こすのもなんだしなぁ…と思って、俺自身そのまま2度寝を決め込んだ。

 

 まだ子供だし…別に変な意味は無いだろう。

 甘えたいだけだろうな、と思って特に気にはしていなかった…。

 

 

「ですから、そういう訳ですから!! 変な意味はありませんから!! その殺気を収めてください!! お願いしますから!!」

 

 

 俺のやる事。

 

 しほさんへ、命乞いである。

 

 

 

 朝っぱらから、部屋の中が薄暗いなぁ…。

 しかし、その原因であろう方に、即座に愛里寿さんが淡々とした口調で、説明しだした。

 

 …俺以外だと、なんでそんなに淡々とした喋り方なのだろうか、愛里寿は。

 

「西住流家元…。私は自身で、子供だと自覚している。だから大丈夫」

 

「…13歳と言うのは、大人と子供の中間時期です。ある意味一番危険だと思いますが?」

 

「私は子供。経験が圧倒的に足りない子供…。自覚していると、もう一度言う」

 

「……」

 

「昨晩の事も、ただお兄ちゃんに甘えたかっただけ。帰宅早々、話もしないで寝てしまったから…」

 

 …あれ?

 子供扱いしないでとかよく俺に言っていたのに。

 ここに来て何で…。

 

「後2、3年もすれば、こういう事ができなくなる。今の内に子供の権利を最大限に使っているだけ」

 

「」

 

 計算された結果でした…。

 お兄ちゃんの許容範囲は16歳から…と、ボソっと呟いた。

 

「……」

 

 最近、愛里寿にも恐怖心が芽生えてきたヨ。

 本当は、16歳もアウトなんですけどね!!

 

 

「だから、西住流家元」

 

「…なんでしょうか?」

 

「勝手に邪推して「 年増 」が、子供に嫉妬するのは、みっともないと思う」

 

「」

 

 朝っぱらから早々に、筋トレ以外でこんな汗だくになるなんて思わなかった!!

 昨日の恐怖が延長しているようじゃないか!

 

 しほさんの殺気が2割増しにぃぃ!

 目を見開いちゃってるじゃないか!!

 

 涼しい顔をして、普通にしほさんに視線を向けている愛里寿も凄いよ!?

 

「…失礼。言いすぎた」

 

 直後すぐに、謝罪を入れてきた愛里寿さん。

 流石天才少女!! 空気を読んだ!!

 貴女のお母様は、空気読まずに爆笑してますよ!!

 

「小母さんが子供に嫉妬するのは、みっともないと思う」

 

「」

 

 ふぉろー!! フォローを入れないとぉ!!

 もう、しほさんの方向が見れない!!

 

「あ…愛里寿!」

 

「なに? お兄ちゃん♪」

 

「……」

 

 すっごい輝く笑顔で聞き返してきた…。

 

「あまり…その…人を挑発するような言い方は、良くないぞ?」

 

「挑発? してないよ? 事実なだけ」

 

 …。

 

 あかん。ゴの片仮名文字が、しほさん方向から連続して聞こえてくるようだ。

 

「愛里寿」

 

「……」

 

 

 名前だけを呼んで、もう一度戒める。

 頭がいいこの子だ。流石に分かっての発言だろう。

 喧嘩を振りまくスタイルは、良くない。

 というか、俺の胃がヤベェ。

 しほさんと張り合えるのって、千代さんだけかと思ったのに…。

 

「分かった」

 

 俺が困っているのが、当然分かるだろう。

 謝罪する意味を込めての発言。

 

「失礼、謝罪する」

 

 まぁ言い方は、ぶっきらぼうだけど、あやま「ごめんなさい…お姉さん」

 

「」

 

 

 本題にハイレナイ…。

 

 

「もういいですか? しほさん?」

 

「あぁ!?」

 

 千代さんが、涙目になりながらしほさんを静止した。

 笑いすぎた涙ですよね…。

 

「いい加減、本題に入りたいのですが?」

 

「…貴女の娘に言いなさい!!」

 

 口調が崩れているって事は、うん。

 

 ……うん。

 

「しょうがないわね。……愛里寿。しほさんで遊ぶのは、そろそろやめなさい? 本題に入れません」

 

 流石にそんなしほさんを見て、ちょっとまずいと思ったのか、ここに来てやっと愛里寿を止めてくれた。

 …輝く様な笑顔だったけど。

 

 そんな愛里寿は…あれ?

 

 何でテント前の時みたいに、俺にしがみついたの?

 

「…分かりました。母」

 

「……」

 

 千代さんの笑顔が引き吊った。

 少し頭を掲げて…あぁ…顔が少し青くなってる。

 

「なんですか? 母」

 

「…その…愛里寿? なんで……え?」

 

「…は?」

 

 何かを感じ取ったのか、段々と青ざめた顔が、白く変わってく千代さん。

 

 …あ。

 

 分かった。

 

「……今は、関係者しかいませんから…お母様でいいのよ?」

 

「結構です、母」

 

 愛里寿の喋り方が、他人と話す感じになってる…。

 今まで千代さんと話す時は、ある程度家族っぽく感情がある喋り方をしていたのに。

 

 ガタガタと小刻みに震えだした、千代さん。

 笑顔が完全に引き吊って、固まってしまっている。

 

 試してみよう……か?

 

「えっと、愛里寿?」

 

「なに? お兄ちゃん♪」

 

 ……。

 

 千代さんの顔が絶望に染まった。

 

 涙目になった目で、俺にアイコンタクトを送ってきた。

 すっげぇ必死になってるなぁ…。

 

「どうしたの? 千代さんに…その……」

 

 露骨に聞いてい良いのかなぁ?

 たしか、愛里寿って「母上」と「お母様」を状況で分けて呼んでいたよな?

 

 …母って。

 

「ど…どどどうしたの!? 愛里寿!? え!? 母!? え!?」

 

 あぁ、立ち上がって錯乱気味に叫び出しちゃったヨ。

 

「……母。いいですか?」

 

 一つため息をして、仕方が無いとばかりに千代さんを見…え? ちょっと睨んでる?

 

「大洗学園の準決勝戦。そこから帰った母は、変わってしまいました」

 

「え!?」

 

 あ…今度は何か蔑んだ様な目をしている!?

 

 

「母…いえ。お母様の、お兄ちゃんを見る目がおかしい」

 

 

 

「」

 

 

 え!?

 

 

「お母様は、私の「敵」です」

 

「」

 

 白目剥いちゃった…。

 

「……お父様に報告しないのは、せめてもの慈悲です」

 

「」

 

 なんの話だろう…?

 千代さんは、何か心当たりがあるのか、顔色が七色に変色しはじめたし…。

 

「あぁ…後、西住流家元」

 

 ビクッ! っと、しほさんまで何か…その怯えだした。

 

「「西住 まほ」さんに、貴女の変化も通達しておいた」

 

「」

 

 あ、しほさんまで、白目を剥いちゃった。

 先程までの漆黒のオーラが消し飛んだ…。

 

 メアド、交換済み! っとばかりに俺に携帯を見せてきた…。

 

「…既婚者の二人共」

 

 

 「「 」」

 

 

 

「 恥 を 知 り な さ い 」

 

 

 

 何故だろうか…少し、浮かれていた…そんな微量な家元ズの雰囲気が吹き飛んだ気がした…。

 いやぁ~…膝から崩れ落ちた二人を見るのは…2回目かな?

 

 あの…本題に入れない…。

 

……いや、それよりも…。

 

なんだろう……「ラスボス」ってフレーズが頭に浮かんだ…。

 

 

「…お兄ちゃん」

 

「………………はっ!?」

 

 ちょっと意識が飛んでいた……。

 

「年増二人は後からでいいから…、その箱何?」

 

 ……貴女、自身の母親に……。

 

 愛里寿は、俺の大洗から担いできた箱に興味を持ったようだ。

 まぁ…こんなに真っ黄色の箱なんて、目立つだけだからな。

 これが黄色じゃなくて、金色なら多分俺は聖闘士って奴だ…って位の大きさだからなぁ…。

 ……うん。金がいい…銅は遠慮する。

 

 横目で家元達を見ると、下に俯きブツブツ言っているからなぁ…こりゃしばらく時間かかりそうだ。

 

 まぁ…うん。後でいいか。

 問題は後回しでいいんだよ。多分どの道、俺がひどい目に遭うのは変わらないから!

 

 

「…見てみるか?」

 

「いいの?」

 

 昨日から、この部屋に放置してあった。

 止具を外し、箱の天井部分を外す。

 単純な構造だし、まぁ家元達が復活するまではいいかな。

 

「……」

 

 あ…あれ?

 

 箱の中身を見た、愛里寿の表情が固まった。

 なんだろうか? 若干…その…怒ってるみたいなんだけど?

 

「……でも、これなら決勝会場でお兄ちゃんに使えるかな?」

 

 ブツブツ今度は呟きだした。

 あれ? ある意味年が若い子には、それなりにウケがいいんだけど…?

 

 しばらくブツブツとつぶやいていたけど…。

 

「お兄ちゃん。まだ母から、話は聞いていないよね?」

 

「え?…話って、何も聞いてな「じゃあ、これ一日貸して。明日までには返すから」

 

 即答だった。

 焦っている…という訳でも無いのだろうけど、どうしたんだろう。いきなり。

 

「…私は、お兄ちゃんの味方」

 

 箱の中身の赤い布を弄びながら、一言呟いた。

 俺の味方って、なんで今言ったんだ?

 

 

 

 

「お兄ちゃんの為に……私は動く」

 

 

 




はい、閲覧ありがとうございました。

諸事情により、また愛里寿は短い…。

亜美姉ちゃん? え? あぁいますね、この場に。

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