はい。ジャックされました。
都合によりすっげぇ短いです。
「あの…愛里寿」
「なに? お兄ちゃん♪」
「……なんで膝の上に座るの? 今凄い普通に腰掛けたよね?」
早朝の島田家。
昨日集まった応接間に、千代さん、しほさん、亜美姉ちゃん(屍)と、昨夜遅くに到着した愛里寿が集まっている。
昨夜の話の続きとばかりに、千代さんから招集された。
取り敢えず座れと、ソファーへ促されたので座ったんだけど…。
座った直後、愛里寿俺の右側の太股に座った。
「私は右側。…そうオレンジペコさんと不可侵条約を結んだ。」
「……」
本人の意思は? え? あ…はい、無いっすね。
んじゃ…左側は、オペ子さんってことね…。
この前テントの時か…。
「それに昨日、一緒に寝てくれたというのに、このくらいは別になんとも無いと思うけど?」
「…」
分かる。言いた事は分かる。
まぁ、最初にやる事をやっておこう。
昨日愛里寿は、到着早々眠気がMAXだった様でして、到着早々寝てしまいました。
お手伝いさんと一緒に、愛里寿をそのまま自室に運んだです。
はい。「お手伝い」さんと一緒ですよ?
家元達は、飲み行っていつ帰って来るかも分からないし、俺はさっさと風呂入って客室にてご就寝。
んでもって今朝かな。
早朝。
いつもの様に4時頃、目が覚めた。
何か、身体に温かいモノが引っ付いてるなぁ…とか思ったら……はい。愛里寿さんでした。
いつの間に潜り込んだのか、そのまま寝てしまったようでして…。
起こすのもなんだしなぁ…と思って、俺自身そのまま2度寝を決め込んだ。
まだ子供だし…別に変な意味は無いだろう。
甘えたいだけだろうな、と思って特に気にはしていなかった…。
「ですから、そういう訳ですから!! 変な意味はありませんから!! その殺気を収めてください!! お願いしますから!!」
俺のやる事。
しほさんへ、命乞いである。
朝っぱらから、部屋の中が薄暗いなぁ…。
しかし、その原因であろう方に、即座に愛里寿さんが淡々とした口調で、説明しだした。
…俺以外だと、なんでそんなに淡々とした喋り方なのだろうか、愛里寿は。
「西住流家元…。私は自身で、子供だと自覚している。だから大丈夫」
「…13歳と言うのは、大人と子供の中間時期です。ある意味一番危険だと思いますが?」
「私は子供。経験が圧倒的に足りない子供…。自覚していると、もう一度言う」
「……」
「昨晩の事も、ただお兄ちゃんに甘えたかっただけ。帰宅早々、話もしないで寝てしまったから…」
…あれ?
子供扱いしないでとかよく俺に言っていたのに。
ここに来て何で…。
「後2、3年もすれば、こういう事ができなくなる。今の内に子供の権利を最大限に使っているだけ」
「」
計算された結果でした…。
お兄ちゃんの許容範囲は16歳から…と、ボソっと呟いた。
「……」
最近、愛里寿にも恐怖心が芽生えてきたヨ。
本当は、16歳もアウトなんですけどね!!
「だから、西住流家元」
「…なんでしょうか?」
「勝手に邪推して「 年増 」が、子供に嫉妬するのは、みっともないと思う」
「」
朝っぱらから早々に、筋トレ以外でこんな汗だくになるなんて思わなかった!!
昨日の恐怖が延長しているようじゃないか!
しほさんの殺気が2割増しにぃぃ!
目を見開いちゃってるじゃないか!!
涼しい顔をして、普通にしほさんに視線を向けている愛里寿も凄いよ!?
「…失礼。言いすぎた」
直後すぐに、謝罪を入れてきた愛里寿さん。
流石天才少女!! 空気を読んだ!!
貴女のお母様は、空気読まずに爆笑してますよ!!
「小母さんが子供に嫉妬するのは、みっともないと思う」
「」
ふぉろー!! フォローを入れないとぉ!!
もう、しほさんの方向が見れない!!
「あ…愛里寿!」
「なに? お兄ちゃん♪」
「……」
すっごい輝く笑顔で聞き返してきた…。
「あまり…その…人を挑発するような言い方は、良くないぞ?」
「挑発? してないよ? 事実なだけ」
…。
あかん。ゴの片仮名文字が、しほさん方向から連続して聞こえてくるようだ。
「愛里寿」
「……」
名前だけを呼んで、もう一度戒める。
頭がいいこの子だ。流石に分かっての発言だろう。
喧嘩を振りまくスタイルは、良くない。
というか、俺の胃がヤベェ。
しほさんと張り合えるのって、千代さんだけかと思ったのに…。
「分かった」
俺が困っているのが、当然分かるだろう。
謝罪する意味を込めての発言。
「失礼、謝罪する」
まぁ言い方は、ぶっきらぼうだけど、あやま「ごめんなさい…お姉さん」
「」
本題にハイレナイ…。
「もういいですか? しほさん?」
「あぁ!?」
千代さんが、涙目になりながらしほさんを静止した。
笑いすぎた涙ですよね…。
「いい加減、本題に入りたいのですが?」
「…貴女の娘に言いなさい!!」
口調が崩れているって事は、うん。
……うん。
「しょうがないわね。……愛里寿。しほさんで遊ぶのは、そろそろやめなさい? 本題に入れません」
流石にそんなしほさんを見て、ちょっとまずいと思ったのか、ここに来てやっと愛里寿を止めてくれた。
…輝く様な笑顔だったけど。
そんな愛里寿は…あれ?
何でテント前の時みたいに、俺にしがみついたの?
「…分かりました。母」
「……」
千代さんの笑顔が引き吊った。
少し頭を掲げて…あぁ…顔が少し青くなってる。
「なんですか? 母」
「…その…愛里寿? なんで……え?」
「…は?」
何かを感じ取ったのか、段々と青ざめた顔が、白く変わってく千代さん。
…あ。
分かった。
「……今は、関係者しかいませんから…お母様でいいのよ?」
「結構です、母」
愛里寿の喋り方が、他人と話す感じになってる…。
今まで千代さんと話す時は、ある程度家族っぽく感情がある喋り方をしていたのに。
ガタガタと小刻みに震えだした、千代さん。
笑顔が完全に引き吊って、固まってしまっている。
試してみよう……か?
「えっと、愛里寿?」
「なに? お兄ちゃん♪」
……。
千代さんの顔が絶望に染まった。
涙目になった目で、俺にアイコンタクトを送ってきた。
すっげぇ必死になってるなぁ…。
「どうしたの? 千代さんに…その……」
露骨に聞いてい良いのかなぁ?
たしか、愛里寿って「母上」と「お母様」を状況で分けて呼んでいたよな?
…母って。
「ど…どどどうしたの!? 愛里寿!? え!? 母!? え!?」
あぁ、立ち上がって錯乱気味に叫び出しちゃったヨ。
「……母。いいですか?」
一つため息をして、仕方が無いとばかりに千代さんを見…え? ちょっと睨んでる?
「大洗学園の準決勝戦。そこから帰った母は、変わってしまいました」
「え!?」
あ…今度は何か蔑んだ様な目をしている!?
「母…いえ。お母様の、お兄ちゃんを見る目がおかしい」
「」
え!?
「お母様は、私の「敵」です」
「」
白目剥いちゃった…。
「……お父様に報告しないのは、せめてもの慈悲です」
「」
なんの話だろう…?
千代さんは、何か心当たりがあるのか、顔色が七色に変色しはじめたし…。
「あぁ…後、西住流家元」
ビクッ! っと、しほさんまで何か…その怯えだした。
「「西住 まほ」さんに、貴女の変化も通達しておいた」
「」
あ、しほさんまで、白目を剥いちゃった。
先程までの漆黒のオーラが消し飛んだ…。
メアド、交換済み! っとばかりに俺に携帯を見せてきた…。
「…既婚者の二人共」
「「 」」
「 恥 を 知 り な さ い 」
何故だろうか…少し、浮かれていた…そんな微量な家元ズの雰囲気が吹き飛んだ気がした…。
いやぁ~…膝から崩れ落ちた二人を見るのは…2回目かな?
あの…本題に入れない…。
……いや、それよりも…。
なんだろう……「ラスボス」ってフレーズが頭に浮かんだ…。
「…お兄ちゃん」
「………………はっ!?」
ちょっと意識が飛んでいた……。
「年増二人は後からでいいから…、その箱何?」
……貴女、自身の母親に……。
愛里寿は、俺の大洗から担いできた箱に興味を持ったようだ。
まぁ…こんなに真っ黄色の箱なんて、目立つだけだからな。
これが黄色じゃなくて、金色なら多分俺は聖闘士って奴だ…って位の大きさだからなぁ…。
……うん。金がいい…銅は遠慮する。
横目で家元達を見ると、下に俯きブツブツ言っているからなぁ…こりゃしばらく時間かかりそうだ。
まぁ…うん。後でいいか。
問題は後回しでいいんだよ。多分どの道、俺がひどい目に遭うのは変わらないから!
「…見てみるか?」
「いいの?」
昨日から、この部屋に放置してあった。
止具を外し、箱の天井部分を外す。
単純な構造だし、まぁ家元達が復活するまではいいかな。
「……」
あ…あれ?
箱の中身を見た、愛里寿の表情が固まった。
なんだろうか? 若干…その…怒ってるみたいなんだけど?
「……でも、これなら決勝会場でお兄ちゃんに使えるかな?」
ブツブツ今度は呟きだした。
あれ? ある意味年が若い子には、それなりにウケがいいんだけど…?
しばらくブツブツとつぶやいていたけど…。
「お兄ちゃん。まだ母から、話は聞いていないよね?」
「え?…話って、何も聞いてな「じゃあ、これ一日貸して。明日までには返すから」
即答だった。
焦っている…という訳でも無いのだろうけど、どうしたんだろう。いきなり。
「…私は、お兄ちゃんの味方」
箱の中身の赤い布を弄びながら、一言呟いた。
俺の味方って、なんで今言ったんだ?
「お兄ちゃんの為に……私は動く」
はい、閲覧ありがとうございました。
諸事情により、また愛里寿は短い…。
亜美姉ちゃん? え? あぁいますね、この場に。