転生者は平穏を望む   作:白山葵

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第 2 話~続・男子会です! 聖グロリアーナの場合~

「エリカ。帰るぞ」

 

「はい」

 

お姉ちゃんが、立ち上がったまま踵を返した。

横目で、理事長を睨んでる。

 

「私はこの様な、恥知らずな真似はできない。後日、結果だけ送ってください」

 

「そうですわね。些か度が過ぎてますわね。ペコ?」

 

「…はい」

 

「私達も、流石にどうかと思うわねぇ~。ね? アリサ?」

 

「」

 

周りの皆さんも同じの様で、まばらだけど順番に立ち上がり、帰る準備を始めた。

 

「おや? 君たち…本当に見ていかないのかい?」

 

理事長の声を無視し、何も言わないで背中を向けた。

これが最後だと言わんばかりに、顔だけ半分、テレビ画面に向けた。

そのテレビ画面で、隆史君が…。

 

…ん?

 

 

 

 

『…さて』

『『『 始めるか 』』』

 

 

 

 

三人が向かい合って、手を指で組み、口も隠すように肘をついた。

なんだろ…先ほどと全然、雰囲気が違う…。

なに? この空気!?

 

「まったく…」

 

河嶋先輩も立ち上がり…というか、この後の惨状が若干、予想できるのかな?

そそくさと、帰る準備を始める。

 

……が。

 

 

 

『まず最初に』

『林田?』

 

『…尾形。西住さんとは、どこまでいった?』

 

 

 

ガタン!!

 

 

…一斉に皆、着席した…。

 

皆立ってたよね!? なんで座るの!?

なんで!? 帰ろうよ!!

 

そのまま一気に皆、隆史君達と同じ姿勢になるの!?

そうしないといけない決まりでもあるの!?

 

 

 

『なんでだよ! 今関係ないだろうが! というか、前に聞かれた時より、一週間も経ってないぞ!?』

『……』

『なんか言え!!』

『…林田。話が始まらないから、最後にしろ』

『えー』

『まったく…』

 

 

 

《  チッ!!  》

 

一斉に舌打ちが聞こえた…。

というか…。

 

「お姉ちゃん!!」

 

「なんだ? みほ」

 

「恥知らずとか、言ってなかった!?」

 

「…言ったな」

 

「じゃあなんで座り直すの? 帰ろうよ!」

 

「……みほ」

 

「なに!?」

 

「これも戦車道だ」

 

「違うよ! 絶対に違うよ!! 取り敢えず、それ言っとけば良いとか思ってない!?」

 

「……」

 

「目を逸らさないで!!」

 

ぁぁああ!! 理事長の顔が、すっごい笑顔になってる!!

 

 

 

 

 

『んじゃま、順番に行きますか。大洗との試合順でいいんじゃね?』

『あいよ、まずは…聖グロリアーナっと』

『撮影対象は…えっと、ダージリンとオペ子…じゃない、オレンジペコ。それとアッサムさん』

『というかよぉ。全高校の中で、圧倒的にリクエストが多いな…。こりゃ絞るの大変だ…』

『もうさ、尾形の趣味でいいんじゃね? この人達も、それなら文句いわねぇだろ』

『タラシ君だしな!!』

『……』

『つ…ツッコミが無い…。どうした尾形!?』

 

『 分かった 』

 

『!?』

『…随分とまぁ、あっさりと…』

『力強く頷いたな…』

『今、徹夜明けハイでな。何でもできそうだ』

『おぉ……初っ端から、壊れた尾形だ…』

『アンケート全無視ってのも何だから、集計した俺の意見で判断してくれ』

 

 

 

 

 

 

「ダージリン…オレンジペコ……」

「「アッサム」様、うるさい」」

 

「……」

 

結局…皆、そのまま動こうとしない…。

 

あ…最後にあの質問が来るから!?

その為だけに、皆残るつもり!?

 

「…でも、なんですかね?」

「ペコ?」

「今は…隆史様に、あだ名以外で呼ばれると…ちょっと寂しく感じます」

「……」

 

 

 

 

 

『でもよぉ? ファンタジーだろ? RPGみたいなのだろ? …上手く想像ができないな』

『ここに衣装一覧がある。このクオリティーで…更にオーダーメードで作成されるそうだ』

『……なんだよ、この完成度…映画撮影する訳じゃないだろうに。戦車道連盟って馬鹿じゃねぇのか?』

『俺もそう思う! 本当にそう思う!!』

『ま、いいや。それで? どうする?』

『順番に行こうか。んじゃまず、ダージリン』

『あの完璧超人か』

『…』

『林田?』

『尾形からすると、あの人ってどうなん?』

『は?』

『ほら! 人によってはさ、綺麗系とか美人系とか…可愛い系とかあるじゃんよ』

『綺麗系』

『…即答したな』

『…なんで、んな事聞いてくるんだよ』

『いやぁ…普通に興味出るだろうが。タラシ殿』

『……』

 

 

 

 

「と。いった具合に、スパイを一人送り込んだんだよぉぉ!」

 

「……」

 

随分と…嬉しそうに胸を張る理事長。

…それ、聞く意味ないよね。

意味ないよね!?

 

「……」

 

ダージリンさんが、静かだ…。

 

「アッサム様?」

「あの理事長…撒き餌が、エグイ…」

「あ…皆さんの目の色が変わりました」

「オレンジペコ…、貴女は変わらないのね」

「私は、隆史様の癒し系ですから!♪ はっきり言われましたから!♪」

 

あ…一部で舌打ちが聞こえた…。

 

 

 

 

 

『んじゃ、その綺麗系…なんにする『姫騎士』の?』

『『 …… 』』

 

『 姫 騎 士 』

 

『…どうした尾形』

『被せてきたな…』

『これ! この下がミニスカの姫騎士。甲冑は、白と金の奴。マントは…青で。ダージリンは青!』

『…熱意がすげぇな』

『ま…まぁいいけど…その心は?』

 

『くっ殺』

 

『即答かよ…』

『…そう言われてみると、異常に似合うなこの人…』

『さすが尾形(壊)』

 

 

 

 

隆史君が選んだであろう衣装が、テレビ画面横に、テロップの様に表示された。

白の甲冑に、装飾が金色。ピカピカに光っている。

…なんでコレなんだろ。

 

というか、クッコロってなんだろ?

 

「隆史さんは、随分とまぁ…私に勇ましい衣装を選びましたわね」

「でも、ダージリン様? クッコロってなんでしょう?」

「さぁ? アッサムは知っていて?」

「……」

「アッサム?」

「……知らないわ」

「「 ??? 」」

 

 

「エリカ? どうした? 顔が赤いぞ? というか、何を怒っている」

「…いえ、なんでもありません」バカジャナイノ? アノオトコ、バカジャナイノ!?

「ところでエリカは、知っているか? クッコロとやらを」

「知りません!! 知ったこっちゃありません!!」

「?」

 

……。

 

一部の人が、顔を赤くしているなぁ。

 

うん! 絶対にエッチな事だ!

うん!! 後で問い詰めよう!!

うん!!! 理事長が爆笑してるね!!!

 

 

 

 

 

『んじゃ、次は尾形のお気に入りの人だな。オレンジペ『ヒーラー』』

『だから早ぇよ!! 俺らにも少し選考させろよ!!』

『んじゃ、ヒーラーかプリーストか。どちらか選べ』

『2択じゃねぇか!!』

『……』

『尾形?』

『…オペ子は癒し系。それ以外は認めん。癒されたい…今俺は、とても癒されたい…』

『『 …… 』』

『…疲れた。ここ最近、特に心労が酷い…、胃が…死ぬ…』

『まぁ。うん、決勝戦お前頑張ったよな。動画で見たぞ? お前にテントで、置き去りにされた時には、正直殺意が沸いたが、あれで許せた』

『肉体的には、まだ大丈夫なんだけどなぁ…』(華さんの家に行った辺りから、胃が酷使され始めたな)

『…尾形! 大丈夫! お前頑張ってるよ!! だからその虚ろな目はやめろ! 怖い!』

『あぁ…オペ子に癒されたい…また、お茶入れてくれないかなぁ…』

 

 

 

 

「ハゲ! 隆史様、どこにいらっしゃるんですか!!!?」

「ハゲ!?」

「おやめなさい、ペコ。…お茶のセットを持って行こうとしないで」

「隠すと為になりませんよ!!」

「…オレンジペコ。多分今持って行っても、ロクなことにならないから、後になさい」

「うぅぅぅうう!!!」

 

 

 

 

『あ、衣装はこれだな。白ベースの生地。装飾が…赤もいいけど』

『グロリアーナでセットにするなら、青か金だな』

『金でいいだろ。…っていうか、強制的にヒーラーで採用になってるじゃねぇかよ』

『まぁ、これもまた異様に似合うから良いけど…』

『笑顔で回復魔法、使ってくれそうだろ!? 使ってくれるんだよ!!』

『…お前、コレ終わったら、もう休め』

 

『まだ、この後仕事残ってる…』

『…何すんだよ。内容によっては手伝ってやるぞ?』

『このまま、このホテルでこの後、祝勝会すんだよ。…その準備』

『……女に囲まれて宴会すんのか?』

『その言い方やめて!! 胃がまた痛む!!』

『はい、次~』

 

 

 

 

 

「河嶋先輩…」

「…分かった。皆まで言うな。ちょっと尾形書記は休ませる」

「そうして上げてください」

 

祝勝会の開催と、それが終わったら、そのままこのホテルに宿泊すると、全員にメールで通達があった。

合計すると、結構な金額になると思うのだけど…会長が出してくれると言っていた。

すごいなぁ。

 

 

 

 

『んじゃ、ラストだな。アッサムさん』

『すっごい、いいとこのお嬢様オーラ全開の人だな。この人は?』

『…美人系』

『で、衣装は…なんだこれ。アンケート結果がぶっちぎりで、魔法使いになっとる』

『…それで良いと思う』

『なんだろうなぁ。水魔法とかぶっ放しそうな感じだなぁ…って』

『なんだ尾形、今回はあんまり乗り気にじゃなさそうだな』

『どうした? 尾形』

『あ、いや。…ちょっと青森で合同合宿した時の事、思い出した』

『あー言ってたなそういや。プラウダとアンツィオとだっけ?』

『そうそう。なんでか知らんが、俺も連れて行かれた』

『…お前は、拉致られるのが仕事なのか?』

『……』

 

 

 

 

 

「」

 

「アッサム!?」

「アッサム様!?」

 

涼しい顔して聞いていたアッサムさん。

熱くなっていたダージリンさんと、オレンジペコさんを止めていたのに…。

 

…なんで、顔を赤くしてるんだろう。

……なんで、紅茶を持つ手が震えているんだろ!

この人は違うと思っていたのに!!

思っていたのに!!!

 

 

 

 

『…今でこそ思う。すごい顔ぶれの合宿だよな』

『モゲレバイイノニ』

『…林田』

『んぁ…まぁ人に言うことじゃないな』

『……』

『あれか? 浮気か?』

『その頃はまだ付き合ってないんだから、浮気じゃねぇだろ!?』

 

『……はっ。ボロが出たな』

『つまりは、類似したことか』

『違うわ!!』

『少なくとも、西住さんにバレると怒られる事か?』

『ち…違う…と、思う。…思いたい』

『イケメン君にキイタラドウカナァ?』

『林田。なんだ、その笑顔は』

『判断してやろう。さぁ聞こうじゃないか?』

『……』

 

 

 

 

 

「ハゲッ! 隆史さんは、どこですか!!」

「また言われた!?」

 

 

「…アッサム?」

「アッサム様?」

 

「なっなに!?」

「なにか…聞かれるとマズイ事かしら?」

「…べ…別に!?」

「なら、大人しく聞いていましょうか?」

「」

 

「それに…」

「オレンジペコ!?」

「アッサム様。隆史様の事、今まで苗字で呼んでいませんでしたか?」

「あっ!!」

「……「あ」?」

 

なるほど、アレがブペ子さんかぁ…。

私に怒ってきた時は、素だったんだぁ…。

それが分かるくらいに変わるものだなぁ…。

 

そっか。

 

これは、あれだ。

 

隆史君が、順番に各高校の選手達との事も、暴露させようという…理事長の企みかぁ…。

 

ウフフフフ。

 

 

 

「み…みほ?」

 

「ナァニ? オネエチャン」

 

「…いや、なんでもない」

 

 

 

 

 

『合宿自体は、隣の北海道でやったんだけどさ。土地広いし』

『……』

『…温泉街に、宿泊したんだよ』

『なんだろ、その時点でアウトな気がするぞ…』

『まぁ北海道って、温泉街多いしな。で?』

『……その旅館ってさ。時間で風呂が、男湯と女湯が変わるんだ』

『アウトだろ』

『アウトだな』

『…まだ、何も言ってないけど』

 

 

 

 

「」

 

「あの時かァァァ!!」

 

あ。

横でアンチョビさんが、叫んだ。

 

「ダージリン! そのウサ耳リボンを引き渡しなさい!!」

「カチューシャ。少しお待ちなさい。まだ全部聞いていないでしょう?」

「そうですよ? ノンナさんもちょっと、落ち着いてください。全部聞いてから判断しましょう?」

 

「」

 

「ミホーシャ!!」

 

「え? あ、はい?」

 

「何をボケーとしてるのよ!!」

 

「いえ、まだ話し始めたばかりですし…」

 

うん。ハンダンハ、ソノアト。

 

「あの時のタカーシャ!! すっごい、酔ってたわよ!!」

 

 

「……」

 

 

「み…ミホーシャ?」

 

 

ふーん。

 

 

「カチューシャ。余り、叫ばないでくださいな。音が聞こえませんわ」

「…」

「そもそも、あの合宿の時もそうだけど…。あんた達! 青森から去って、1週間で戻ってくるとは思わなかったわよ!!」

「アンツィオを連れてくるとは、思いませんでしたね」

「あれは例のドウーチェさん達が、私達の船で許可も無く、勝手に商売をしていただけです」

「…密航じゃないの。どうりで合宿なのに、あいつらだけ戦車持ってなかった訳ね…」

「あ、話しますよ!?」

 

 

 

 

 

 

『いやな、殆ど貸切みたいなモノでな。その宿で男って、俺だけだったんだよ』

『死ね!!…と言いたいが…それは……』

『ほぼ強制的に連れてこられてソレか…』

『俺の事、知らない生徒もいたからさ。なにこいつ? って、目ですっげぇ見られる訳なのサ』

『……』

『想像してみろ。例えば女子高の修学旅行。夜のプライベート時間に、その宿泊旅館に男が一人だけ参加させられるとか』

『…地獄だな』

『部屋から…出れなかった…飯も部屋で食ってた』

『…大変だったな』

『まぁ…ノンナさんとか、ダージリンとか来てくれたからまぁ…うん』

『…』ヤッパリモゲロ

『…なんか、大量の飲み物持参して来てたな』

『…………』

『中村?』

『いや…いい。それで?』

『ん? まぁいいや。んで、非常に歩きづらいからさ。男湯の時間ってのを夜の遅くにしてもらって…』

『まぁ…そうだな。最後の方がいいよな』

『んで、夜の…1時頃かなぁ…。他の生徒が寝静まった後にしか、行動できなくてなぁ』

『行動が、完全に不審者だな』

『んで、風呂…温泉に入ってたらさ』

『おぉ』

 

『チヨミン達が、入ってきた』

 

『『  』』

 

『夜中とか、人がいない時に温泉に入りたいという気持ちは、分かるんだけどさぁ』

 

『『  』』

 

『男が俺しかいないの。分かってるしな。時間も時間だからって、男湯ののれんをペパロニが外しやがってよぉ』

 

『『  』』

 

『まぁ…そん時は、逃げるように3人とも出てったんだけど…』

 

『『  』』

 

『その後に、アッサムさんが入ってきた』

 

『『  』』

 

『どうにもペパロニが、のれんを戻して行かなかったようでな。…入ってきた』

 

『後な』

『……なんだよ』

『…記憶が、それ以上無いんだ』

『どういう事?』

『気がついたら、脱衣所で寝てた』

『……』

『ちょっとダージリン達の事で、湯船で話してな。その後…のぼせたのか、記憶が無い』

『…チャッカリ混浴してるし』

『いや…な、真剣な顔で…まぁコレは人に話すことじゃないな』

『……』

『ただ、ちょっと怖いのがなぁ…』

『んだよ』

『たまにアッサムさんに、名前で呼ばれるんだよ』

『…………』

『普段、大体苗字で呼ばれるてるからさぁ。結構驚く』

『…それってよぉ、尾形』

『んぁ?』

『……周りに人が、いない時だろ』

『えっと…ん~…あぁ、そういえばそうだな』

『……』

『んで、どうだろうか? 殆ど事故の様なもんだけど…』

 

 

『『 アウトだ 』』

 

『……』

 

 

 

 

 

「アッサム、後でお話があります」

 

「」

 

「アンツィオの方々も、ちょっとこちらにおこしなさい?」

 

「」

 

会場内が殺伐としてきた…。

 

 

 

 

 

 

 

『さてと、これで一応、グロリアーナは終わったな』

『すげぇ、話が脱線したけどな』

『姫騎士と、ヒーラーと、魔法使い』

 

『…尾形』

『あぁ。…自分で決めといてなんだけど』

『すげぇテンプレになったな』

『…くっ殺』

『……』

『……』

 

『素晴らしいよな!!』

『素晴らしいな!!』

 

『よし! 尾形! 壊れたまんまだな!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、河嶋先輩」

 

「な…なんだ?」

 

「あまり貧乏ゆすりは、しない方が…」

 

「」チ…チガ…タスケテ、ユズチャン!

 

 

 

うん。

 

コレは…私も最後まで聞いていこう。

 

次はサンダースかぁ…ケイさんだね!

 

タ ノ シ ミ ダ ナ ァ

 

 




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