転生者は平穏を望む   作:白山葵

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第15話~家元撮影~ 前編

華さんとの経緯を説明中!!!

 

華さんとの経緯を説明中!!

 

華さんとの経緯を説明中!

 

華さんとの経緯を説明中

 

華さんとの経緯を……「分かりました」

 

 

撮影をする、俺の宿泊部屋の横の部屋。

同じくしてプレミアムルームでの、説明と相成りました。

撮影前なのに!!

 

「はぁー!! ハァーーー!!! はぁぁああ!!!!」

 

すげぇ息が切れてます!

同じ事、何回繰り返して言ったんだろう!!

撮影スタッフの方が、隅っこで丸くなってるよ!?

いい大人なのに!!

 

流石に告白された事は、黙っていたけど…まぁ…うん。

腕を組んで直立不動のしほさん…だったけども! 漸くその腕を下ろしてくれた…。

 

こ…怖かった…。

 

「まぁ、みほの部屋にいたのでしたら、仕方がないかもしれませんね…」

 

友達を引っ越すから、ほっぽり出すわけにもいかないと、渋々納得していた。

部屋はまぁ…余っているから、仕方がない…と。

思いの外、あっさりと了承してくれたな。

 

…うん。

しほさんを知っている人なら納得する程…比較的にあっさりとね…。

 

はぁ…。

 

学校の側からすれば、男女二人。

付き合っているとはいえ、同じ屋根の下…同棲なんて許されない。

ただ、華さんが間に入れば、寮の様な…シェアハウスの様な事で…と、強引に納得させた。

 

杏会長からは、すげぇ眼で見られたよね。

柚子先輩からは、常闇と言えるくらいの眼で見られたよね!!

…目じゃなくて眼で!!

 

ただ…。

 

横で聞いていた、もう一人の家元。

千代さんの殺気が増していくばかりだった!!!

 

「あぁ、そういえばあの家って…家賃いくらなんですか? 賃貸でしょ?」

 

月の家賃。

 

華さん、仕送りを拒否してたからなぁ…。

どうやって生活するつもりか聞いた所…バイトなりなんなりする予定だと言っていた。

貯金も多少はあるそうだから、まぁ何とか、なりそうだと言っていたけど…。

…金持ちの令嬢の貯金って…どのくらいなんだろ…。

多少が怖い…。

 

「4万円ですね」

 

「……」

 

「お得でしたっ」

 

安っ!!

 

お得って!! スーパーの安売り品を、上手く買えたみたいに言わないで下さいよ!!

すげぇドヤ顔!!

 

嘘だろ!? 一戸建てだぞ!? 庭付きだぞ!?

 

「事故物件でしょ…アレ」

 

他に考えられん…。

 

「…事故物件?」

 

「……」

 

そうだ…この人も、結構な箱入り娘だ…。

千代さんもそうだし…今まで縁なんて、なかったんだろ…。

調べましょうよ! 娘を住ませる所くらい!

 

…ダメだ。

 

頭の上に ? が浮かんでいる…。

何を言っても無駄そうだ。

聞いた事くらいあるでしょ!? いい大人なんですから!!!

 

「……」

 

まぁ…いいや。慣れてるし。

なんか出たとしても、どうにかできそうだし。

 

…4万か。

 

後一人、住んでくれれば、綺麗に割れるなぁ。

人数いた方が、学校からすればいいだろ。そうすりゃ、本格的に寮になりそうだ。

…中村辺りに頼んでみるか?

後で、みほに相談しよう。

 

「 隆 史 君 」 

 

「…はい」

 

今度は非常に、にこやかに…すげぇ笑顔だな…。

その笑顔の千代さんから、話しかけられた…。

 

怖い…。

 

「しほさんに、随分と…色々買ってもらったそうですね」

 

「い…いえ、そう言った訳では…」

 

そう。

全ての生活用品が、備え付けだったアパートとは違い、今回は一軒家。

冷蔵庫やら洗濯機やら何やら一式が、あの家についた時には、全て用意されていた。

それこそ、その日から住めるくらいに。

だから引越しと言っても…俺達がやる事は、自身の私物の整理くらいだ。

 

全て最新式だった…。

いくら掛かったんだろ…。

 

後の祭り。

 

もう断りようがなかった…。

 

しほさん曰く、みほの為ですとか言っていたけど…めちゃくちゃ甘やかしてるよ…この人。

…ただ。

なんで、家電の色や機能が、俺好みだったんだろ。

いや…炊飯器とか…冷蔵庫とか…。

 

「……」

 

「……」

 

な…なんで睨み合っているんだろう…。

何故か勝ち誇ったしほさん…。

 

 

「あ…あの~…そろそろ始めたいのだけど…」

 

 

カメラマンの女性から、声をかけられた。

ひどく…憔悴した顔…。

なんで俺に声かけたんだ?

 

「あの二人に言ってもらえますか?」

「無理よ!!」

 

かぶせ気味に即答された。

助けてっ! というような顔…。

まぁそうだろうだな。無理だろう。あの二人の間に割って入るの…。

仕方ない…。

俺が言うしかないだろう…

 

「あの…時間ですので、そろそろ開始しますね…」

 

「…そうですか。分かりました」

「 チッ 」

 

舌打ちは聞かなかった事にしよう。うん。

 

では早速と、部屋の隅にある水着達を指さした。

一応サイズもあるので、二つ並べられている。

無言で、その水着達へ近づく二人。

 

ひどく不機嫌そうに、各々水着が掛けられたハンガーを持ち上げていた。

両手に持った水着達を、交互に見比べながら…。

 

こ…怖い…。

 

というか、今更ながらスゲェ現場に立ち会ってるな俺。

 

一応、水着は3種類の撮影となる。

優花里の時と一緒だな。

 

はぁ…。

 

カチャカチャと、水着を手に取り…戻す…その作業の音だけが、部屋に響いている。

こんなんで、うまくいくのかなぁ…。

仏頂面の写真とか…嫌すぎるぞ…。

 

 

「!?」

 

「!?」

 

 

なんだ?

急に家元達の腕が止まった。

ん…今気がついた。

昨日の優花里の時の水着と似ているな…。

 

まさか…。

 

 

「隆史君」

 

「はい!?」

 

少し赤みが差した様な顔で…しほさんが弱冠怒気を含んだ声で俺を呼んだ。

うん…なんとなくソレで分かった。

千代さんが、ちょっと嬉しそうに…。

 

「この水着らは…隆史君の趣味ですか?」

 

んな事、聞いてきた!!!!

 

「違います!! ハゲです! あのハゲが用意しました!!」

 

見なくとも分かる!

それは…アレだ!!

 

「そうですよねぇ…しほさんには、ちょっと無理ですよねぇ?」

 

「あ?」

 

なんでそこで喧嘩腰!?

そして二人の家元が手にしている水着…それは!

 

 

スリングショット

 

 

「……」

 

まじか! あのハゲ!!

 

しほさん…黒…。

千代さん……赤……。

 

その気持ちは分るけど!!

 

あぁ! 本当に…痛いほど分かるがな!!

 

あの二人に対して、攻め過ぎだろ!!

命が惜しくないのかな!?

 

「いいですよ!? そんな紐なんて、着なくて!!」

 

「…む。まぁ確かに紐みたいですしね…これ、本当に水着ですか?」

 

「千代さんも!! やめてくださいね!!」

 

「あら? 私は別に構わないわよ?」

 

「常識ある女性が、着る水着じゃないですよ!!」

 

流石にアレだ! 止めておこう!

挑発している千代さんに対抗して、本当に着ると言いかねない!!

見たいけど!! すげぇ見たいけどな!!

 

「…ま…流石に…」

 

俺の言葉を聞いて、ちょっと冷静になったのか。

しほさんが、眉間に皺を寄せながら目を閉じ、水着を元ある場所に戻そうとす…

 

「あの子…昨日と雰囲気が、全然違うわねぇ」

「昨日の子には、喜々として勧めて着せたのに…」

 

 

「」

 

 

あんたー!!!

だから、呟きは聞こえるように言っちゃダメなんだよ!!

スタッフの方々は、昨日の俺が標準だと思ったのか…白面の現在俺との違いに驚いている。

 

が!!

 

「…昨日の子?」

 

「あら? 他に水着撮影をした方が、いるのかしら? …隆史君同席で?」

 

「  」

 

 

変な音を出しながら…スタッフに顔を向ける…。

 

くっそ!! 

逸らすなよ!!

俺の目を見ろ!!

 

一瞬…「あっヤベッ」って顔したの、見逃してねぇぞ!

 

「…後、着せたって…言いましたね?」

 

「」

 

「はい~。そこの貴女達も、ちょっとこちらにお越しなさい?」

 

 

「「 」」

 

 

 

 

---------

------

---

 

 

 

 

―はい。

 

白状しました。

 

無理ですよ無理。

ほぼ拷問ですよ。

 

素直に全て吐きました。

 

スタッフ!! すげぇ早口で、詳細に説明しやがって!!

そんなに自分が可愛いかぁ!!

 

「……」

 

「…ふむ。なるほど」

 

 

一応、戦車道チョコでの優花里との会話も説明しました。

はい。吐きました。

 

優花里さん! みほに憧れてる!

戦車道チョコ! 前回のみほのカード!

はい、同じ格好シタカッタミタイデス!!

 

うん! オラ、ウソ、イッテナイ!

 

イカガワシクナイ!

 

 

「…それで…ですか」

 

なにか、しほさんが納得する様な顔をした。

怒ってない! 怒ってないよ!! 良かった!!

よしよし! そうだよ! 健全な撮影会だったよね!!

着替える時とか、俺外に行っていたしね!!

 

如何わしくないよ!!

 

「大洗の生徒ですからね…その残りでしょうかね?」

 

「な…なんの事ですか?」

 

なんか…違う。

話題がずれてる?

しほさんが、どこか安心した顔をしながら、そんな事を言っていた。

 

 

「いえ…大洗学園の制服も掛かっていたので…」

 

「」

 

「まさかコレを着ろと? と思いましてね。その時の物でしたか…」

 

「   」

 

 

ヨシ!

 

ハゲ!!!

 

今度、本気でぶん殴る!!!

 

「あら? でもしほさん。私の所にもありましたけど…これは隆史君の趣味ですか?」

 

「んな趣味ないです!!」

 

無えよ!! そんな趣味は無い!!!!

 

…とは、言い切れないけど!!!!

 

「…ふふっ。そうですよねぇ…先ほどの水着も、()()()()には無理ですよねぇ。やはり誤解でしたかぁ」

 

「は? 私は大丈夫ですけど? 千代さんこそ大丈夫ですか? …露骨に若作りだと思われませんかぁ?」

 

「…随分と面白い事をいいますねぇシホサン。そのままお言葉お返しシマショウカァ!?」

 

「いえいえ、大丈夫デスヨォ? ナンナラ、もう一つ隆史君が選んだ水着も、ダイジョウブデスヨォ? まぁぁあ!? 千代さんには不可能デショウケドネェェ!?」

 

「……」

 

「……」

 

 

カタカタカタ…

 

 

(どうするんですか! この状況! 貴女方が余計なこと言うから!!)

(こんな事になるなんて思ってないわよ!! 君は一体何者なのよ!!)

(…女のプライドに火が付いたわね、家元達…)

 

 

「しほさん? 知っているんですよぉ? 撮影が決まってから、ジムに通いだしたのぉぉ!」

 

「それは千代さんも同じなのではァァァ!?」

 

「さぁぁぁ!? どうでしょうねぇぇぇ!?」

 

 

いかん…本格的になってきた。

ここまで、露骨に言い合うのって…なに気に始めてじゃないだろうか?

すげぇ至近距離でにらみ合ってる…。

ほら…貴女達…胸で押し合ってちゃダメでしょ…。

 

「…」

 

 

 

…あそこに入りてぇ。

 

 

 

(君! 現実逃避しないで!)

(……)

(…なに考えてんのかしらこの子。本当に昨日と雰囲気違うわね…)

 

 

「ではぁ、テストも兼ねてぇ!? 昨日! 隆史君が選んだ! 水着にしましょうかぁ!!??」

 

「いいでしょう!!」

 

 

((( え゛!!?? )))

 

 

着るの!? 本気で!!??

 

「はぁはぁ…そういった訳で、隆史君!」

 

「はい!?」

 

飛び火!?

二人の顔が、揃ってこちらを向いた。

弱冠顔が赤くなってる…これはアレだ…。

羞恥の赤面とかじゃないな…うん。

 

 

「一つはこれで決定しましたね!」

 

え゛……

 

「まぁこれは、最後でしょう。まず最初のを選んでください!」

 

着るの!?

 

スリン…マジデ!?

 

というか、俺が選ぶ事が確定してる!?

う…うわぁ…断れる雰囲気じゃない…。

まさか断る気じゃないでしょうね? という眼光が…。

 

 

……。

 

 

……こうなりゃ、やけだ。

 

 

 

 

---------

-----

---

 

 

 

 

「もういいわよ?」

 

隣の部屋。

そこで待機していた俺に、スタッフの人からお呼びが掛かった。

軽く返事を返し、撮影用の部屋へ移動する。

足取りは…重い!!

 

数に際限がないと、いつまでも終わりそうになかった為に、優花里と同じく全部で3着。

はっ…。

 

選んだ…選んださ…。

 

もう…何を選んでも、角が立つのが目に見えていたから、どうせならと開き直ったさ。

改めて自分で、ハンガーに掛かっている水着郡を見てみたら…もう…酷かったな…。

 

水着…並べられたソレらは…。

 

まともな物が、何一つ無かった!!!

 

きわどいのばっかりだよ!! 

ぶっちゃけスリングショットすら、まともに見えると思える程のあったよ!!

マイクロビキニすら霞むわ!!

 

何考えてんだよ、あのハゲ!!!

 

くっそ!!

 

 

 

「はい! では、撮影を開始しまーす」

 

スタッフの方々も、半分ヤケになっている感が凄まじい…。

なんでもこうなりゃ、撮ってやるってな感じだ。

部屋に入ると、白いガウンを羽織った家元二人。

 

……。

 

いや…その格好も、なに気にすげぇエロいんですけど…。

 

では最初は、しほさん。

 

「…」

 

ガウンをゆっくりと脱ぐ。

 

……うん、エロい。

 

じゃない!!

 

「はぁ…これが、隆史君の趣味ですか…いい趣味してますね…」

 

「ちっ違います!! わかってるでしょ!!?? まともなの選ぶの大変だったっんすよ!?」

 

「…しかし…ですねぇ」

 

ガウンを脱ぎ終え、水着姿になったしほさん。

 

……。

 

ぶっちゃけ、これ一発目で、カード採用を確定させようと、コレを選んだ。

が…これもスゲェ水着だけど…。

 

はい。いわゆるホルターネックの水着。

色彩は黒でございます。

 

下は左右を紐で止めるビキニタイプの仕様。

確かに、弱冠セクシーだけど、問題は上だ…。

 

首から巻かれる様に伸びた、二つの三角形の布。

外側には、背中へ回っている紐がある。

しかし、前を止めるために固定する物が、少々特徴的ですね。

 

少ない数のクロスされた紐。

 

ですから! 

 

胸元が!! 

 

谷間が!!!

 

首元から、一気にお腹までバックり開いている仕様になります!!

狙ったのか定かではないが! 多分サイズが少し小さいのだろう!!

 

溢れそうだ!!!

 

ひゃっほー!! 西住殿は最高だぜーー!!

 

 

 

「……俺の趣味じゃありません」

 

「…なぜ顔を逸らしたのですか?」

 

 

はい、次!! 千代さん!!

 

「はいはい…」

 

同じくガウンを…って。

 

この人のガウン姿って…18禁だろ…。

卑猥だぞ…普通に…。

後ろ姿で、こちらに目線を送りながら、肩から脱ぎだした。

 

…。

 

 

「…年考えろ」

 

はい! しほさんが怖い!!

 

「あら、人の事が言えて?」

 

「少なくとも私は、貴女の様に子供相手に色目は使いません」

 

「色目…って。それに子供…ねぇ」

 

あ…あれ!?

また喧嘩になると思っていたのに…。

なんか、千代さんに余裕がある。

 

「ま、取り敢えず…」

 

ガウンを脱ぎ終えた千代さん。

 

 

はい。もういっちょホルターネックの水着。

本人達は、どうもセットで見られるのは嫌うが、どう考えても貴女達って、コンビですよ。

うん…。

ですから、対になるモノ。

 

しかし!

 

千代さんの場合は、そのスレンダーな体の線が武器!! 腰とかすげぇエロい!!

ビキニタイプより、ワンピースタイプ側だろ!! と、言う事でこっちはサブ案。

 

いや…今更だけど…ホルターネックとは少し違うのか。

下は、しほさんの水着と殆ど一緒だけど、上の! 胸部の使用が全く違いますね!

 

あぁ…あれだ。

これは、チューブトップ水着という奴だ。

 

胸の間は、リングで固定。

 

色は、黒。

布周りの外郭というか、紐部分はワインレッド!

リングもメタルレッドという仕様になります!!

 

そのリングの真ん中からは、深い谷が見えますね! 

 

落ちたら死にます!

 

リングの上部から、首に回る紐が伸びており、ずり落ちない様にと固定されていますね!

 

千代さんも黒って異様に合うな!!

 

うん!! 水着ってなんだろう!!

 

 

「……俺の趣味じゃありません」

 

「…何も聞いてませんよ?」

 

 

先走った!!

 

 

「はい。西住さんは、こちらに来てくださ~い」

 

「あ、島田さんは、こちらへ」

 

 

撮影準備が終わり、早速撮影が開始になりますね!

はい! 変な事、勘ぐってないでお仕事しましょ!!

 

「しっかし、あの子…初回から攻めるわね…」

 

はい!! スタッフ! 仕事しろ!!

 

 

 

 

----------

------

---

 

 

 

 

漸く撮影が開始された。

ここにきて始めて、このスタッフ達がプロであると確信しました。

撮影開始時、めちゃくちゃ雰囲気が殺伐としていた…。

 

撮る側も、それではダメだと、二人をリラックスさせる為か…色々と話をしながらの撮影だった。

バッシャバッシャと、シャッターを切る音が響く中、独特の会話術で…あの状態の家元達を落ち着かせていった…。

 

ふむ…。

 

勉強になるな。

 

「…隆史君が、また何か…インプット…みたいな顔してますね…」

 

「……」

 

なんだ? え? なんでいきなり睨まれたの!?

 

ま…まぁいいや…。

 

しかし…。

 

この二人の水着…。

 

前屈みになった時の姿勢が、凄まじい…。

破壊力が凄まじい!

視界の暴力だ!!

 

あ…部屋から追い出された…。

 

どうにも男の目線ってのが、この撮影には不要なようで…

必要がある撮影とやらもあるそうだけど、今回は邪魔になるとの事。

 

……。

 

まぁ…写真の画像データを貰うことが、この仕事の条件だし…。

後で、もらえると思うけど…。

 

……。

 

なんだろう…すげぇ……悲しい…。

 

いや…うん。

 

ちょっと場の雰囲気に飲まれてきたのだろう。

 

……大人しく待ってよ…。

 

 

 

 

はい、呼ばれました。

 

 

 

2着目の水着の出番です。

はい。

 

しほさんは、白ですね。白。

異論は認めません。

 

白いモノキニ水着。

はい、ワンピースタイプですね。

 

……。

 

すげぇ無難なのがあった。

普通の…超標準…。

 

 

…んな訳ねぇ!!

 

 

胸元バックリ、開いている。

腹部分を隠し! 敢えて胸元だけ強調するかの様な仕様!!

 

後ろ!! 背中に布面積が皆無!!

紐しかない!!

 

次!! 千代さん!!

 

これもシンプル!!

 

連体式水着のワンピースタイプ!

首元からヘソまで、ザックリと割れているけどな!!

お腹の部分に紐が幾つもクロスされています!!

 

ただこっちが本命の千代さんには、小道具!!

パレオ! 腰に巻いてもらいました!!!

 

露出が減る?

 

露出が多けりゃ良いってもんじゃない!!

 

千代さんって、パレオが異常に似合うんだよ!

 

色!?

 

濃いワインレッドっとに決まってんだろ!!

 

なんだろうか!

 

誰と会話してんだろ! 俺!!

 

 

「いえ…本当に誰と会話しているんですか?」

 

「」

 

声に…出てた……。

 

「…あ、いえ、本当に俺の趣味じゃありません」

 

「だから、何も聞いてませんけど…」

 

 

はい…つつがなく……2回目の撮影が終了しました…。

 

俺が部屋を追い出された後に…。

 

なんだろう…この虚無感は…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、お疲れ様でした~」

 

カメラを持った女性の、終了の声。

…しかし…勢いとはいえ…大変な事になりましたね…。

いえ…今更ですけど…。

 

今の2回の撮影の内、どちらかが採用でしょうね。

先ほどの紐みたいな水着は、流石にちょっと…。

 

……。

 

「あの…千代さん?」

 

「なんでしょう?」

 

同じくして撮影が終わり、ガウンをまた羽織った千代さんへ声を掛ける。

先程とは違い…幾分冷静になりました。

 

次の水着を見てオモウ。

 

「やめませんか? 流石にこの水着は…」

 

「……」

 

握り拳程しかない布面積…。

なんなのだろう…この水着は…。

 

広げて見ると、その布面積が紐状になっているだけ…。

 

……。

 

その場の勢いで、着ると言ってしまいましたが…う~ん…。

同じ気持ちなのか…少し冷や汗でも出したかの様な、変な顔色の千代さん。

 

「あの…家元……」

 

「…はい?」

 

スタッフの方に声を掛けられた。

着替えの催促だろうか?

家元と呼ばれたので、私達二人に声を掛けたつもりでしょうか?

では、一応…返事は貰っていませんが…私から折れれば、千代さんも納得するでしょう。

…やめておくと言ってみましょうか。

 

「あの…男の子。尾形君でしたっけ?」

 

「え? えぇ…」

 

隆史君?

意外な質問…。

 

「子供に見えないけど…あの子から頼まれたから、水着撮影なんて許可したんですよね?」

 

「えぇ…まぁ」

「そうですね」

 

「…ここだけの話……」

 

おずおずと…少し興奮した様な顔で、訪ねてきた。

 

 

「 どんな関係なんですか? 」

 

 

ゴトンと…もう一人のスタッフが、手に持っていた機材を落とした。

顔が…なんとも言えない顔で。

即座に聞いてきたスタッフの首を掴み、引っ張っていった。

 

(あんた! 死にたいの!?)

(え~…だって、あんな水着まで着る事許したのよの? あの西住流の家元が! 気になるじゃない!)

(そりゃ、そうだけど…。世の中には、知らない方が良い事もあるでしょ!?)

 

聞こえてますよ…。

島田流の名前が出なかった事で、一瞬千代さんの眉が反応しましたね。

まぁ、今の言い方ですと…まぁ着そうですよね。千代さんなら。

 

(あのお堅い、西住流よ!? ここまで肌を晒す相手が、あの子なのよ!?)

(…言い方…。まぁ分からないでもないけど…スキャンダルだったらどうすんのよ!!)

 

スキャンダルって…。

 

……。

 

 

(でも、島田流家元なら兎も角、あのくっそ真面目な西住流家元よ!! 本当に若い子囲ってたらさ!!)

(…あんた、地雷原を散歩する趣味でもあったの?)

 

 

島田流家元なら兎も角…。

 

 

(しかも! あの家元達、どうにもあの子の前だと、張り合うみたいじゃない!)

(……)

 

はぁ…まったく。

 

 

「彼は…私の娘達の幼馴染みですね」

 

 

変な噂でも流されたら堪りません。

さっさと説明しておきましょうか。

 

「あと…島田 弥生の息子です」

 

「「 」」

 

そう…。

先輩は、別の意味で有名ですからね。

態々、旧姓で彼の母親も紹介しておきましょうか?

 

…それが分かれば、変な噂も流さないでしょう。

 

物理的に命の危険性を感じるでしょ。

 

「……あぁ…それで」

 

有名ですからね。

大体の予測もつくでしょう。

 

「そうですね。その為、彼は島田流とも交流がありました」

 

そういえば、先程から千代さんが大人しい…。

 

「分かりましたか? 何か邪推しているみたいですが…変な噂を流さないように」

 

釘を刺しておきましょうか。

まぁ先輩の名前も出しておきましたら、心配は…

 

「それと西住家ご息女と、お付き合いされているのよね?」

 

「「 はぁ!? 」」

 

なぜ…それを今…。

なぜ、その言い方…。

 

「本当ですか!?」

 

「え…えぇ、まぁ……」

 

凄い勢いで、初めに聞いてきたスタッフが、詰め寄って来た…。

なにがそんなに…。

しかし、またすぐにもう一人のスタッフに首に手を回されて、連れて行かれた。

 

(ほら!! 聞いちゃダメな事出てきた!!)

(じ…自分の娘の彼氏…。いくら、頼まれたからって……)

(変な想像しない! あの子!! 彼女の母親に水着…っ!! どう考えても、頼む方もどうかしてんのよ!? 忘れなさい! この事は聞かなかった事にするの!!)

(あっ)

(なに!? なんなの今度は!!)

 

「島田さん…」

 

「あら、何かしら?」

 

「この前、公表した…ご息女の偽装婚約の件って…まさか」

 

「えぇ、相手は彼よ」

 

「「   」」

 

 

(なに!! なんなのあの子! 関係性が、ものすごいじゃない!!)

(なにを面白いもの見つけた! って顔してんの!!)

(そ…そうか…それで、家元達のあの態度…今回の件…あの水着……)

(やめなさい! 思考を止めなさい!! もう私、逃げるわよ!!??)

 

 

「おい、ちよきち」

 

「あら、何かしら? しぽりん」

 

「…どういう、つもりでしょうか?」

 

「いぃえぇ…? べっっつにぃぃ?」

 

「その喋り方は、やめろと言ったはずですがねぇ!?」

 

ん?

 

ガチャガチャと、初めに聞いてきたスタッフが、機材を準備し始めましたね。

何か…もう一つのカメラを取り出したみたいですね。

なぜ?

 

「家元!!」

 

「…なんですか」

 

先程と同じくして、興奮気味な顔…。

喜々として…叫んだ。

 

「次の水着!! 彼に撮ってもらいましょう!!!」

 

「「 え? 」」

 

「 タ ギ ッ テ キ タ ァ ァ ! 」

 

…なっ……。

 

「では…」

 

…静かに腰を上げた千代さん。

まさか…。

 

「私は着替えてきましょうか」

 

「…え。着るのですか? あんな水着、隆史君の前で着るのですか!?」

 

「あら? やめます? べっつにぃ? 私は構わないですけどねぇ?」

 

「……」

 

「初めは着るって言ってませんでしたかぁ? 怖気づいたのでしたら、構いませんけどぉ?」

 

 

「…………は?」

 

何故か挑戦的な目。

なにを思っての先程の発言か、分かりませんが…。

 

…この女…。

 

 

 

「しほさん? どうしますぅ?」

 




閲覧ありがとうございました
タラシ殿を絡ませる、絡ませないで全後半に分けました!

ノリと勢いに流されていきますね! はい!

最初タイトルを「人妻撮影」にしようかと思ったんですけど、完全にPINK事案でしたのでやめました。
中身は健全です。思いの外…次回は…健全かどうかは知らない!!

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