「撮影、やめますか?」
しほさんが、驚いた顔をしている…。
俺の提案が、そんなに意外…か?
今まさに、その白いガウンの下に着込んでいると思われる水着。
千代さんですら、あんな方法を取ってまでやめようとした、最後の水着の撮影…。
「え…いいのですか?」
「素直に言ってくれれば、こんな際どすぎる水着の撮影なんぞ、やめますよ?」
まったく…。
そういえば、千代さんが最後に、しほさんを煽っていたなぁ。
まぁもう勢いが、ついているからカメラを切る事には躊躇しないと思うけど…。
流石に、強引には撮影しないって。
「いえ…なんというか…拍子抜けですね…」
…しんようって、どんな漢字だっけ?
片手でガウンを掴み、何故かそんな事を言ってますね。
やはりいつもの事といえ、千代さんと張り合って、引くに引けなくなっている状況は目に見えている。
さっさと開始とばかりに、その千代さんは、二人のスタッフを引きずり気味に部屋を出て行ってしまった。
部屋に二人きりになった状況で、切り出してみたら…これだ。
「いや…しかし、千代さんが…」
珍しく歯切れが悪いなぁ…。
何か変なプライドが邪魔をしているのかなぁ?
別に最後の撮影は、人に見せる為じゃないし…というか、千代さんの惨状は見せられないなぁ…。
「いや…しかし、千代さんは撮影を済ませましたし…」
だから何、を張り合っているのだろう…。
「…西住流が、逃げるなど………」
…今、戦車道関係ないでしょ?
はぁ…。
「んじゃ、せめて水着変えます?」
「え?」
用意されていた、滑車がついたハンガーラックを引いて来てやる。
絨毯廊下みたいな床なので、上手く転がらないけど…。
はい、ズラッと並んだ色取り取りの物を、しほさんの目の前へと移動させた。
「し…しかし……」
千代さんが、そんなに気になるのか…。
その水着の並びを睨み始めた。
迷っちゃいる事はいる。
ふむ…。
「んじゃ、ちょっと千代さんに確認してきますよ」
「なっ!?」
だから…なんでそんなに、悔しそうな顔を…。
ん?
ズボンのポケットに入れてあった携帯が、振動を繰り返し始めた。
誰かからの着信…みほさんでしょうか?
……。
表示を見るのがちょっと怖い。
ま、無視するのもなんだからなぁ…。
「しほさん、ちょっと…」
「え? …あぁ」
携帯を取り出して、指を指す。
出ても良いと許可を貰ったので…って…うん。
優花里さんデシタネ。
流石に…部屋から出よう…。
あまり会話を聞かせない方が、良さそうだし。
「ちょっと、長くなりそうですので…廊下で話してきますね?」
「えぇ、どうぞ」
しほさんに背中を見守られ、退室をする。
部屋から出る時に、少ししほさんの顔が見えた。
…真剣に水着の並んだ、ハンガーラックを睨んでいた…。
部屋のドアが、しっかりとしまったのを確認すると、携帯を操作する。
どうしたんだろ…。
優花里も、今日の俺の予定は知っていたと思うのに。
……いや。
だからだろうか?
まぁいいや…。
「―はい」
『あ、隆史殿。今大丈夫ですか?』
「あぁうん。大丈夫」
至極普通…。
今朝の微振動を繰り返していた優花里さんとは、思えないほど…普通だ。
顔を見なければ大丈夫なんだろうか?
声だけだと、なんか俺の方が恥ずかしく感じるなぁ…。
『今、西住殿の引越しを、皆さんで手伝っているのですけど…』
あぁ…朝から家へ直行したのか…。
「あ~…うん、ありがとな」
『い…いえ…』
「……」
『……』
な…なんだ…。
やっぱり気まずいんじゃないか!
『でっ! ですね! あの…隆史殿の荷物ですが…』
意を決したかの様な声で、会話を強引に再開させたな…。
まぁ、ここは乗っておくか。
さて、荷物ね。
みほは、華さんの私物を運ぶのを手伝っており、代わりに優花里が電話して来たと…。
あぁ…そういや、華さんの荷物って運ばれている訳ないよな。
一階に一室だけ和室があった。
俺の荷物は、そこに放り込んであったな。
『どこまで、整理をして良い物かと…』
あぁ、俺の分まで、やってくれるつもりなのか。
仕分けして出しておいてくれるだけでも、大分楽になるからな。
『プライベートな物ですし…それでも、少しでも整理をしてあげないと、いつまでも片付かないと、西住殿が仰っていまして』
「あ~…なるほどな。……あっ」
『……』
まずい…。
まずいまずいまずい!!
どれだ!? どれに入れてあったっけ!?
見られたらまずい物が、一つあった!
乙女の戦車道チョコ……カードバインダー。
しほさんのカード以外をコンプリートしてある…専用のフォルダ。
箱外しまくっていたら、当たりの印字がされた物が出ましてね…。
送付しましたら、専用のファイルが、もれなく貰えるって…結構よくある話だよね!
性格なのか…すげぇ整理しまして…ちゃんと綺麗に並べまして……。
第三者が見たら、これ見本ですか? と聞かれる程の完成度になったバインダー。
しほさんのカード部分のみ、寂しく空いているバインダー。
見つかったら絶対怒られる…というか、引かれる…。
更に、みほのカードとか…持って行かれそう!!
『……隆史殿?』
そ…そうだ!
「マ…マジックで、赤丸を付けてあるダンボールあるだろ?」
『え? え~…と。あぁ、ありますね』
「そ…それと、黒の印のダンボール以外なら、何でも好きにしてくれていいよ」
一応、どこに何を入れられたか確認はしておいた。
適当にそれに、目印を付けておいたのを思い出した!
それで済むくらいに、すげぇ綺麗に整理されて、ダンボールへとしまってくれてあったんだ。
「あと…」
マジックの色で、ダンボールの中身を仕分けしておいた事を教える。
できるだけ…普通に…。
声が上擦らない様に…。
黒は衣服。青は筆記用具とか学校関連の物。緑は…生活用品。
判断は任せる、好きにしてくれと言っておいた。
赤の印のダンボール…。
…勝手に開けて見るとかは、彼女達がするとは思えないけどな。
『・・・・』
「な…なに?」
『なぜでしょう…隆史殿が、慌てふためいている映像が浮かびました…』
「…」
『まっ。隆史殿も、男の子ですし…』
「ちっ!! 違う!! 如何わしい物じゃない!!」
『…どうだか…』
な…なんだ今の声は…。
初めて聞きましたよ!? 優花里さんのそんな声!
それに、如何わしい物は、ノートPCの中だ! ちゃんとパスワード付きの!!
…まぁ、見られたら終わるけどね。
ボクモ、オトコノコデスシ
「はぁ…包丁とか刃物…調理用具が入ってるの。特殊なのも有るし…入れ方分かってないと、危ないから触るなよ?」
『……』
ぐ…できるだけ普通に言ったつもりなのに…。
なんだ…この…無言は…。
はっ。
だが甘いな、ゆかりん。
…最後に対優花里専用の武器を使おう。
「後、無印のあるだろ?」
『…ありますね』
「それ、開けてみ『セクハラですか?』な」
「……」
即座に聞き返された…。
「…なんで、ダンボール開けさせるのがセクハラになるんでしょうか?」
『いえ? また如何わしい水着でも、出てくるんじゃないかと思いまして。タラシ殿、前科がありますし』
「…………」
信用が! 無い!!
「い…いいから開けて見てください…」
『・・・・』
ダンボールを開ける作業をする音が聞こえてきた。
半信半疑なのか…無言ですね…。
『さて…本当にセクシャル・ハラスメントじゃありませんね?』
「……違います。ま、中身はあれだ…。好きなの持ってきな」
『好きなの?』
「完成品で、良けりゃーな」
『…完成品……あっ!!』
はい。
無印は、娯楽用品です。
前に趣味で、作った事あるって言っていた物です。
戦車のぉ、プラモデルゥ。
…ふっ。
優花里への、何かあった時の交渉用に青森の実家から、昔作ったの取り寄せておいて良かった…。
姉さんに説明するの大変だったけど…。
『タイガーI型! ティーガー! T-34/85 …ぁ…筆ですか!? これ筆塗りですか!?』
ガサガサと、次々に何かを漁る音が聞こえてきますね。
いやぁ…みほ同様、優花里も分かりやすい。
餌が楽だねぇ。
…手間は、掛かるけど。
先程とは打って変わり、興奮した声に変わった。
ぶっちゃけ、名前言われても分かんねぇけどね!
店で適当に選んだプラモだけどね!!
「ウェザリングだけ筆塗りだな。んで、まだ組み立ててないけど…それでいいなら上げ…『 ありがとうございます!! 』」
はぇぇな…。
『でも! いいんですか!?』
「あぁ、作っちゃったら後は、しまっておくだけ…だ……し…」
……。
『隆史殿!?』
テンション高く、明るい声が、携帯を通して聞こえてくる。
機嫌を良くしてもらって良かった…。
うん…本当に良かった…。
隣の人とは全く違って…明るくなってるのが分かるから……。
「…何してるんですか? 隆史君…」
ち…千代さん。
隣の俺が宿泊した部屋。
強烈な視線を感じました…。
その部屋のドアを半身程開き…こちらを覗き見していますね…。
ドア自体が隣り合わせの様に並んでいるからね…。
「30分経ちましたけど? 廊下で何を……まさか…」
「え…あっ!!」
しまった…優花里との話に夢中になってた…。
通話中の携帯電話の画面。
そのデジタル画面を確認すると…うん。
そういえば、部屋の中の時計にアラームすら設定してないよ…。
「……」
う…すげぇ、恨みがましい目で見てくる…。
『ん? どうしました? 隆史殿?』
「い…いや…ごめん、仕事に戻るわ…」
『え? あぁ! まだ途中だったんですね! すみませんでした!』
あぁ…なんだ、この温度差…。
『ではっ! 頑張って下さい!! ………………水着撮影』
「」
ブツッ
先方から電話を切られました。
さ…最後だけ、非常に冷たい声でしたね、ゆかりん…。
呆然と、すでにメイン画面に戻った、携帯の画面を見下ろしていると…。
「……隆史君」
ち…千代さん。
目…見開いちゃってますけど…。
「いえ…あの、しほさんの…水着の件で、千代さんにお伺いしたく…」
「は?」
あ…いかん……こりゃ変更も中止もできそうにないな…。
まぁ…千代さんには無茶したし…う~ん…。
「あ…でも、撮影時間が…」
「え? 私にあれだけの事をして…しほさんは、免除するんですか? え?」
「」
「はい、スタッフさーん。延長お願いしますねぇ?♪」
「」
振り向き、後方に向けて、なにか嬉しそうに声を上げた。
部屋の中で、なにか言っている声が聞こえた気がする…が。
うん…千代さんの、怒りの混じった機嫌良い声が全てをかき消す…。
これもある意味、自業自得だろうか…。
カチャッと、また目の前で音がした。
半身程に開かれたドアが、千代さんの顔半分程の隙間に閉じられていた。
顔はこちらを向き…すごく楽しそうに顔を綻ばしている…。
うん…今なら分かる。
怒りのピークが過ぎ、千代さんにえらい事しちゃったなぁと…実感できる程には…冷静になってるしね。
「先程は、流石に私も悪かったと思いますが…だとしても隆史君は、随分としほさんには、優しいですねぇ…」
「そ…そんな事は…無いです…よ?」
「……私は反省しましたし、ちゃんと恥ずかしい写真も撮られました」
「やめて下さい! 人が聞いたら誤解されます!」
「 事実デス 」
「」
こ…。
怖い!!!
ドアから指が出て…その黒い隙間から…爛々と輝く…瞳がぁ…。
「…30分後……」
「!?」
「……次に何もしてなかったら…流石にぃ…」
スゥゥゥ…と、ゆっくりと閉じていく扉…。
幸いにして、この人が通り掛からないのが良かった!!
知らない人が見たらなんて思うか!
「 本気で怒りますから 」
パッタン
「……」
うん…。
撮ろう…。
俺も命は惜しい…。
---------
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戦車道大会が開始され…あの二人も頻繁に顔を合わせる様になった。
ある意味で、今までこんなに長時間、あの家元同士が行動を共にする…という事は、なかったみたいだ。
まぁ…俺が絡んでいるってのが、比較的に大きかったようだけど…。
んで、思った。
千代さん…結構、はしゃぐと子供っぽい。
まぁそれも彼女の可愛い所でもあると思うけども、どうにもソレが、しほさんと絡むと暴走しやすくなる様だ。
…その間に、俺を挟むのはやめてほしいですけどね。
はぁ…しほさん褒めると、千代さんが怒り…千代さん褒めると、しほさんがキレそうになる…。
昔から、あぁなのだろうか?
高校生くらいの二人を見てみたくもある。
…やはり、ライバル同士だったのだろうか?
何だかんだで、いい関係だと…思うのだけど。
みほとまほちゃん。そのどちらか…もしくは両方が、愛里寿ともそんな関係に将来的になっていくのだろうか?
それはそれで、見てみたい気もする。
ま…今は、目の前の事だ…。
電話に夢中になって、しほさん待ちぼうけさせてしまっているし…。
結局、水着撮影続行だし…。
怒られそうだなぁ…。
部屋に戻ろうと、ドアノブを捻る。
ゆっくりとドアを開けて、また撮影現場となる部屋に入室する。
絨毯廊下みたいな物だから、足音がしない。
「 ……………… 」
別に、忍び入ったって、訳では無いのだけど…。
別に、バレない様に入ったって、訳でも無いのだけど……。
入室して真正面に見えた…。
短い廊下……。
入室すれば、すぐに見える…その先の室内……。
「 」
誰?
アレ?
長い黒髪を、一本の長い三つ編みにし…。
全体像を映し出す、縦長の置き鏡に向かい……。
自身を写して……腰を左右に捻りながら…………。
とても……それは、とてもとても……楽しそうになされた………。
大洗学園の制服をお召になった……大魔王様が、いらっしゃいました…。
「ちゃんと着れるモノですね…サイズは…よし…ジムに通った甲斐がありましたね♪」
「 」ウェスト、キニシテル…
「しかし…思いの外、スカートが短い…。みほに少し、気をつける様、言い聞かせた方が良いでしょうか?♪」
「 」スカート、ツマンテル…
「なるほど…。少し、若返った気になるものですねぇ♪」
「 」スゲェ、タノシソウダ…
「まぁ、何故この様な服が置かれていたか、分かりませんが…たまには良いものですね♪」
「 」キャピキャピ、ハシャイデル…
「ふむ…私も、まだまだイケそう……で……」
「 」ドウシタライイノダロウ?
「……す……」
スカートの端を両指で掴んで、少し前屈みに体を倒されながら、硬直されましたね。
はい、俺も暫く前から硬直しています。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
…カシャ
「まぁぁぁぁぁって下さい!!!! なんで今、撮ったんですか!!!??」
「あ…いえ……私は、これで…」
「いつからですかぁ!!?? いつからいましたかぁ!!!???」
涙目ですね。
顔真っ赤ですね。
そんな貴女、初めて見ました。
大人の女性ってなんだろうな? と思いました。
え、あ、はい。
「あ…お構いなく……」
「構います!! 構いますよ!!!」
やめて下さい。
死んでしまいます。
肩を掴まないで下さい。
「何、普通に退室しようと、してるんですかぁ!!??」
「……」
「消して下さい!! 消してください!!! 消してください!!!!」
「いえ…ダイジョウブデス。忘れますので…」
「嫌な気の使い方しないでください!! 貴方が忘れても、写真が残ってますよね!!??」
俺の両肩を掴み、前後に振り回してますね。
連動されて頭も前後にガックンガックン動いてますね。
やめて下さい。
そんな事されても何もでませんよ? 俺の魂くらいです。
…カシャ
「!?」
あぁ、そんなに振り回すから…。
カメラに添えてあった指が、シャッターを切ってしまった。
まぁ、こんなに接近されているから、至近距離の写真だと思うけどね。
「ぅぅぅう……」
そのカメラから発せられた音に、少し冷静になったのか…。
そのまま項垂れるように、しほさんが停止されました。
…よかった。
色々な意味で死ぬかと思った。
「こ…こんな姿を、見られたからには……」
あ…今度は小刻みに震えだした…。
あ……まだこりゃ安心できない…。
「隆史君を殺して、私も死ぬ…」
俯いていた顔を上げた。
うん…真っ赤だね。
うん…涙目だね。
ここまで赤面したしほさんは、初めて見るね。
殺気がパナイね……。
「あの…しほさん」
「なんですか!? 遺言ですか!?」
うん…眼がマジだね…。
段々と冷静になってきた。
あまりのショックで、上手く思考が働かなくなっていたけど…まぁそれは、しほさんも同じだろう。
いや…貴女アレですよ? いくら俺がアレでも…セーラー服は…ちょっと…。
だから大丈夫。
もう冷静です。
はい、まだ死にたくありません、
「というか! 隆史君は、なんでそんなに真顔なんですか!!」
いや…だって…
「いえ…こんな時、どんな顔すればいいのか分からないんです」
そうだよ。ある意味、選択肢なんて無いだろ…。
「笑えばいいじゃないですか!! 嘲笑でもしたらいいでしょ!? むしろそっちの方が、気が楽ですよ!!!」
あ~…うん。
部屋に戻ったら一番最初に目に飛び込んで来たのが、大魔王様が、娘の学校の制服着て、キャピキャピはしゃいでいらっしゃったんですよ?
笑えるわけねえでしょう…。
「ぅぅ…ババァ無理すんなとか、言えばいいでしょぉ……」
「なんで、そんな定型文…知ってるんですか…」
また項垂れてしまいましたね。
さて…。
「千代さんの説得が失敗しました! 仕方ありませんから、水着撮影しましょうか!!」
「あからさまに、話題を逸らさないで下さい!!」
どうしろと…。
「…じゃあ、ソレを着た経緯とか聞いて良いのですか?」
「……」
顔を逸らしましたね…。
だから、どうしろというのだろう…俺が死ねばいいのか?
まぁ、確かにあのハンガーラックの水着が並んでいる中。
一着、異彩を放っていましたが…。
あ…
「もしかして…」
ビクッ!
そういえば、スルーすれば良いのに、態々それを話題に出して来たのって…しほさん…。
「着てみたかったんですか?」
「……」
あぁ…そろそろ、顔が溶けるんじゃないかと思うほど真っ赤だなぁ…。
女性というのは、いくつになっても、こういうモノを着たいものなんでしょうか?
見た目がいくらキツイと言っても…人がいない時ならば、着てみたかったのかなぁ…。
「く…黒森峰では…昔から制服が変わっていないのですよ……」
と…遠まわしに肯定した…。
確かに黒森峰の制服って、なんとも言えないけど…。
あぁ…そういえば、セーラー服って大洗学園だけだな。
色は兎も角、こういうテンプレな制服ってのは、憧れるものなんだろうか?
…それは、まほちゃんもだろうか?
-------
-----
---
取り敢えず、部屋の奥にしほさんを誘導した。
もしいきなり、千代さん達が入ってきたら…って言ったら、光速すら超えそうな勢いで動き出したな…。
今はベットの上に腰掛けた…。
それでも制服を脱がない…。
あ、脱げないのか?
俺、もう一度外にでも出ようか?
「…隆史君」
「ひゃい!?」
まごまごしていたら、突然声をかけられた。
怖い!
今、何聞かれても怖い!
「本当に隆史君は、こんな私を見ても何も言わないのですねぇ…」
自分自身を、あざけ笑うかの様に笑ってるなぁ。
いやぁ…マジで何をトチ狂ったのだろうか…?
「ここ最近、若い娘達と一緒になる事が多かったせいでしょうか?」
……まぁ…うん。
「あ、俺ですか? 大丈夫ですよ? そういった趣向にも理解はデキマスノデ」
「趣向とか言わないでください!!」
あ~…うん。
正直に言ってしまえば、しほさんのセーラー服姿は、希少価値すらでるだろう思うけど…。
…キツイ。
いくら、しほさん推しの我でも、これはキツイ。
「はっ…」
あー…力のない笑いだなぁ…。
水着もそうだけど、もしこの姿を、まほちゃんとみほが見たら…。
「……」
目のハイライトさんが消え失せ、茫然自失とする、みほ…。
静かにマジ泣きしそうな、まほちゃん…。
……。
「あの…着替えるなら、外にもう一度出てましょうか?」
「着替える?」
「いえ…結局、水着撮影しないと、千代さんがマジギレしそうでしたし…」
「あぁ…ダメだったとか言っていましたね…。ま、大丈夫ですよ?」
「大丈夫?」
「はっ…おかしなものですねぇ…。露出の大きい、あの水着より、この姿の方が恥ずかしいとか…」
いや…まぁ、そりゃそうだろうけど…。
「それに、水着の上から着ましたら…あぁ…そうでした。いつまで、こんな恥さらしの格好を…」
水着の上からね…。
どうにも、俺がいつまでも戻って来なかった為に、撮影中止が濃厚と思ったらしく…。
部屋に入ってくる時は、ノックでもするだろうからと、躊躇はしたが試しに着てみたとの事。
その為、すぐにでも脱げるように水着の上から、そのまま着てみたらしい…。
しっかし、思い切ったな…ソレをよりにもよって着ますか…。
「では…さっさと済ませてしまいましょう…」
「!?」
いや! ちょっと待って!!
おもむろに制服を捲くりあげた!?
羞恥心が、完全に麻痺したのか、普通に捲くりあげた。
制服の下の水着も、アレなんですよ!? アレ!!
いや…。
黒いスリングショット…。
制服の下から現れたソレは…その…。
その現状の出で立ちから…余りにもアレで…。
エロい下着を着けている様にしか見えねぇ!!
…カシャ
あ…
「……隆史君」
「…はい」
「確かにすでに半分は、水着ですが…何故今、撮ったのでしょう?」
む…無意識に指が動いてた…。
思いっきり顔を背けちゃったよ!!
捲くり上げている途中だった為に、一度その手を止めた。
胸の上で、少し畳まれた様に…制服が止まっていた…。
「はぁ…ま、時間も無いでしょうし……いいですけど…」
え!!??
いいの!?
多分、自分の姿を第三者目線から見れないのだろうけど…。
しほさん、すげぇ格好してますよ!? 今!!!
スカートのウエスト部分に挟まれた水着が、上半身部分の水着を引っ張っている様になっている。
だからだろう!
グニッ! って擬音が絶対に発生すると確信できるほどに、制服を脱ごうと腕をあげた瞬間…。
両方のでっかいのに、M字の谷が作成されていた!!
撮るよ!!
ボクも男の子だもん!!
無意識にシャッター切っちゃったよ!!
……。
……いや、ホント…何やってんだ俺…。
まっ! いいや!!
撮っていいって言ってくれましたから、その状態のを連続で撮影する!
カシャカシャと連写する音が、手元から響く。
いやぁ…無意識って怖いわぁ…。
うん、無意識。
「……」
何を思ったのか、捲くりあげた状態で、動かなくなったしほさん。
どうしたんだろ…ま!! 捗るからいいけどね!!
「いや…あの、隆史君…」
「なんすか!!!」
「…元気いいですね」
おっといけない…。
色々と流され始めていた。
それでも一応、カメラを構えた状態を崩さない。
「や…やはり、ちょっと待ってください」
「え?」
「…これは…ちょっと思いの外、恥ずかしいですね…」
チッ!!
現状、下手に水着だけを着ているより、エロい状態だというのに、気づきやがっ……。
もとい。
やっと気がついてくれましたね。
「あと…カメラで撮られるというのも…というか、カメラを向けられるだけでも、結構恥ずかしいですね…」
カメラを遮る様に…恥ずかしそうに、腕を上げて…。
…カシャ
「!!??」
「な…なんですか?」
反射的に撮ってしまったけど…。
すぐにカメラを下に下ろした。
「そのポーズは、やめて下さい! シャレにならない!!」
「え? え?」
なにが何だか、分からない顔をしている。
分からなくて結構!!
でもね! 今のその状態…というか、格好で!!
その
マジで、まほちゃんとみほが泣く!!!
「と…取り敢えず、少し離れてますから…水着に早くなってください…」
「???」
本格的に首を傾げている、しほさん。
いきなり俺が、空気をぶった切って真顔になったからってのもあるけど…。
言った通り、少し離れてた。
それを見て、しほさんは立ち上がり…それこそ普通に制服を脱ぎ始めた。
というか、その姿を俺に見られるのは、もう良いのでしょうか?
ま! その水着姿になる時も、ファインダーに収めたかったが…。
今は、それどころじゃない!!
…。
いや、うん…本当に撮りたかった…。
ゴソゴソと動いているしほさんを他所に…カメラの画像…写真を確認する。
一番新しい写真になるので、すぐに出てきた…。
これは…消さないと…。
今の空気や流れに身を任せていた俺にも、一気に冷静にさせる破壊力…。
ベットに腰掛けて、大洗の制服を着て…前をはだけさせ…キワどい水着がそこから覗いている。
その姿だけでも、結構危ないのに…。
しほさんは、カメラを遮るポーズ。
正確には、カメラからの視線を隠すように、自分の目を隠した。
手の平を表に返し…顔の目の前で…。
……。
これ……すげぇ…。
ブレもなく…すっごいバランス良く撮れてる…。
……。
オレ…本当に何やってんだろ…。
ま…まぁいい…消そう……今の内に消しておこう…。
……。
手…というか……指が動かん……。
後は、削除…する…だ……け……。
指がつった…。
「さ、用意ができました」
「!!」
いろんなモノと戦っているうちに、しほさんの用意ができてしまった様だ。
消せず終い…。
昨日から、何かオレの良心が弱い…欲望がブーストされている様だ。
……誰のせいだろう…。
「どうしました?」
「い…いえ…」
千代さんの時といい…俺…自分で自分を追い詰めてないか?
しかしっ!
これ!! 消さないと!!
いつまでもカメラと睨めっこしている訳にもいかない…。
「……」
うんっ!! 後にしよう!!
後でいいや! 後で!!
「では、どうしたらいいですか?」
「あ…はい、では……」
顔を上げると…。
窓からの逆光を受け、モデル立ちしている…黒いスリングショット姿のしほさんが、目の前に広がった…。
「 」
「…な…なんですか?」
広がったんだよ!!
日本語がおかしい?
知るかぁ!!!
恥ずかしいのだろう!!
完全に水着姿だ!!!
すげぇV字!!
なんか……もう!!!
それでも、冷静になろうと取り繕ってる、しほさん可愛い!!!
「かッ……かわっ!?」
声に出てた?
シラネェ!! シッタコトカ!!
はい。
ここから本当に無意識です。
無意識にシャッターを切りました。
「…しほさん」
「な…なんでしょう?」
「 腹 筋 が 素 晴 ら し い !!」
「……」
千代さんもそうだけど、30代後半の身体じゃねぇよ!!
テンションが、一気に最高潮にまで引き上がらされた!!!
こんなの見せられて、テンションが上がらねぇ男はいねぇ!
上がらねぇ何て言う奴がいたら連れてこい!!
ハグしてやる!!
「ふ…腹筋を褒められても…微妙ですね」
「しほさん、ジム通いだしたって言ってましたよね!?」
「え…えぇまぁ…」
「その身体付きなら、筋トレもしましたよね!!」
「えぇ……インナーマッスルを鍛えようと…」
「 素 晴 ら し い 」
走るだけでも、いいのだけど中から鍛えようとすると、効率は上がる。
だからか!!
しほさん、体つきがバランスがいい!!
「外腹斜筋が締まっているいるから、ウエストの引き締まりが良く見えるし!!」
「」
「後ろ!! 後ろ向いてください!!」
「え? えぇ…」
「広背筋…あぁ…だから筋も綺麗に見えるのか……」
「あの…隆史君!? ちょっと隆史君が怖いのだけど!?」
「女性で、ここまで引き締める何て…あ、上腕二頭筋も素晴らしい……ここまでタルミが無いって、やはり筋肉が…」
「あ…あの…なんか、一心不乱に写真撮ってますけど…」
「しほさん!!」
「え? あ、はい」
「ナイスバルク!!」
「…ぁ? え? あの…意味が……」
「腹筋とか、すっごい切れてますよ!!」
「はぁ……え……褒められてるんですよね?」
すげぇ…出るとこ出て、引き締まってる所がまた…。
あぁ!! 千代さんもしっかり……くそぉぉ!!
…千代さんも、怒りに任せないで、ちゃんと見てれば…
「……」
しほさん、すげぇ綺麗な写真になりそうなのに…千代さん、ただエロいだけの写真になっちゃったし…
「…………」
…ん?
「 隆史君 」
「なんすか!?」
「…なんで、そんなに輝く瞳で……ま…まぁいいです」
「?」
「ちなみに、千代さんはどの様にして撮影を?」
「え? 水かけました」
「……」
「?」
「なるほど…それで湿って…。ま…まぁ、その位なら…そういった趣向もあると、聞きましたし…」
趣向って…なんの話だろう…
「では! それで私も撮影してみますか?」
「…え」
「千代さんは、ソレで撮影されてたのでしょう? まぁ水着ですし…そんなに不自然ではないでしょうし?」
な…何をいきなり張り合い出したんだろう…。
いや…でも、アレすんの?
いきなりの事で、呆然としていると…しびれを切らしたのか、なんか怒り出されました。
「嫌なんですか!? 千代さんには、できて私は嫌なんですか!?」
「い…いえ、良いというなら、しますけど…怒りません?」
「怒りません!!」
だから、なんで張り合ってんだろ…。
腕を組んで、見下ろす様に睨んできた。
まぁ…その姿も一応撮るけど…。
組まれた腕の中が、凄い事になってたし…これはエロい。
んじゃ、まぁ…。
取り敢えず、ベットの上に、投げ出されていた霧吹きを拾い上げる。
さて…まだ、あったな。
「……ん? 隆史君?」
「なんすか?」
「あ…あの……なんで冷蔵庫に向かうのでしょう?」
「え…同じ事っておっしゃいましたので?」
「え?」
冷蔵庫から、冷えたミネラルウォーターを取り出すと、温くなったペットボトルと交換する。
流石に千代さんに使っていたモノは、もう普通に常温に近い。
さて。
後、時間は、どのくらい残されているのだろう。
まぁ、ヤレとおっしゃいましたのでやるけど…。
しほさんには、特に怒る事もないのに…ま、いいや。
「た…隆史君? なんでそんなに笑顔なんですか!?」
いやぁ…。
僕もツライ
「た…隆史君!? たかっ!?」
いやぁ…。
「っああ!!」
ノリと勢いって怖いなぁ…。
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「…はい…では、撮影が全て終了しました……」
最初のテンションは何処へやら。
消耗しきったみたいな顔のカメラマンさん。
あの後、しほさんの撮影時間は、5分程しか残っていなかった。
まぁ…すげぇ写真いっぱい撮れたからいいけど。
しほさんは、肉付きがよろしい…が、あの様に筋肉も素晴らしいので、すっごいバランスが取れていた。
体の線もクッキリとし、動けば動く程艶かしい線も、一緒に動く。
「……」
…あれ? また自分の首絞めてない?
ま…まぁいいや。
「じゃぁ、はいコレ」
「え…」
二つのカメラから、SDカードを抜き出して、カメラマンから渡された。
その後ろで、すでにいつもの服装になっているが、二人の家元が項垂れているのが見える。
その横では、もう一人のスタッフさんが、一生懸命お片付けをされてますね…。
「じゃあ、後は選考お願いね…」
「……は?」
今、なんつった?
「はぁ!?」
「今回の写真、全てそれに入ってるから。それもそれで好きにしていいから…」
「いやいやいや!! 選考!? 俺が!?」
「本当は、撮影後に皆でやる予定だったんだけどね。…撮影延長時間が1時間。もう流石に無理」
「」
「後は、責任者の貴方が、責任もって選考してちょうだい」
「」
「貴方、PC……まぁ、今の子だったら持ってるか」
まて…待って!!
あるけど!!
いつやんの!?
家で!?
PC使って見ないとって事だよね!?
「後は…メールで送って…」
アドレスが書いたメモ用紙を渡された…。
そのままヨロヨロと、もう一人のスタッフさんへと近寄っていった…。
呆然と…する…。
やっばい…。
もう一人暮らしじゃないから…。
よりにもよって、みぽりんいるんですけど!?
バレたら…終わる…。
夜中にやるしかねぇ…かな…。
それ以前にも…消さないといけない写真が山盛り…。
カメラからカードを抜かれてしまったから、ソレも自分のPCでやらないといけないんか!!??
ま…まずい…。
やはり、確実に自身の首を締めてた…。
「さ…隆史君」
「千代さん!?」
呆然と、手の中のSDカードを眺めていた為に、接近に気が付かなかった!!
なに? なに!?
すげぇいい笑顔!!
「流石に私も、時間を掛けすぎました…すぐにでも、ホテルをでなければなりません」
「…は……い」
なに? なんなのでしょうか!?
「隆史君の欲しい物…と、やらを聞いておこうと思いまして…」
「」
あ…諦めてなかったのか…。
どうしよう…本当に追い詰められてる感がすっごい…。
「時間がありません。…ハヤク」
え……え……!?
両肩に手を置き、食い入る様に顔を近づけてきた!!
こ…これは…ま…いいか。
言ったところで、どうにかできる物じゃないし。
「は……」
「は?」
学園艦だと、常に移動している様な物だから、日光等…。
多分、あの住む事になる、家の庭先では無理だろう。
出来ない事はないだろうが、望むものは作れそうにないし……だから。
「…畑」
はい、閲覧ありがとうございました
次回から劇場版編へ入ります。
まぁ最初は、日常ばかりになりそうですけど。
はい、タラシ殿、正気に戻っていただきます。
ありがとうございました。