転生者は平穏を望む   作:白山葵

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未来編
閑話【 トチ狂イ編 】~魔法少女 まじか#%//a aaaaaaa


 夢の中だろうか。

 

 景色が無い、暗い空間。

 

 なんだろう? 俺は、何かを待っているのだろうか?

 

 ただ、暗闇の先を見つめていた。

 

 どのくらい、経っただろうか。

 

 ……

 

 …………

 

「って! なんでまたこの空間にいんだよ!!」

 

 暗闇の先に向かって叫んだ。

 

 なんだよ!! もう現れないとか言ってなかったか!?

 

 

 

「 また、ここかよ!! 」

 

 

 

「ひゃあ!?」

 

「!?」

 

 叫んだ直後、横から悲鳴が聞こえた。

 悲鳴…?

 

 

 

 どこかで見た、ピンク色した全身タイツ…。

 うさぎの帽子をかぶって…両手に包丁…。

 

「せ…先輩…。いきなり叫ばないで下さいよ! びっくりするじゃないですか!」

 

「え…あ、ごめんなさい…」

 

 左横に、そんな奇抜なファッションの、澤さんが立っていたました。

 俺の声に驚いたと、クレームを頂きまして…反射的に謝ってしまった。

 

 あれ…なんでいるの?

 というか俺自身も、何でここにいるか知らんけど…。

 

「…」

 

 プリプリ怒ってる澤さんへ、顔を向けたら自身の格好も、普段と違うのに気がついた。

 

 ……白スーツ…。

 頭に何かの感触…。

 

 うん、帽子かぶっとる…。

 

「あ…違いました。今は指令でしたね」

 

 …あ、うん。

 

 分かった。

 

 これは、いつか見た夢だ。

 

 夢って続きを見れるものだっけ!?

 

「あれ…澤さんだけ?」

 

 周りを見渡すと、暗い地平線まで誰もいなかった。

 周りが薄暗いから、澤さんのタイツが目立つ、目立つ。

 他のピンクのタイツ姿を探すも…誰もいない。

 

「え? そこに紗希がいますよ?」

 

 何言ってんだって顔で、俺の右横を指さした。

 その先…まぁ、反対側の俺の半身に、同じような格好で、俺にしがみついている紗希さんがいた…。

 

「……」

 

 き…気が付かなかった…。

 小声で、パパを連呼している紗季さん…。

 なんでしょう? この状況。

 

 と、いうか。

 

 前回もそうだったけど…なんで夢の中だと認識できるのだろう?

 …しかも、意識がこんなに、ハッキリとしているのだろうか?

 まぁ何より…。

 

「パパ~♪」

 

 紗季さんだけ、性格が大幅に変わっている。

 

 ……。

 

 だから…俺ってこんなに欲求不満だっけか?

 俺は、紗季さんへ何を求めているのだろうか…。

 

 …特殊な趣味は無かったと思ったけど…?

 

「もう! 紗季! 仕事して!!」

 

 澤さんのポジションは、現実と変わらないな…。

 苦労人にでもなりそうだ。

 うん……優しくしてやろう…。

 

「澤さん…そもそもなんで、ここに俺達いるんだ?」

 

 まず当然の疑問。

 この空間に、夢だとしても俺以外の人物がいる事に、凄まじい違和感を感じる。

 それは、本能というのか…何なのか…。

 どちらにせよ不自然さしかない。

 

「何を言っているんですか? 私達の目的…「例の人物」の反応を観測できたからじゃないですか!!」

 

「え……あぁ、そんな目的だったっけ…」

 

 すでに記憶が曖昧だった…。

 まぁ夢の内容を、事細かにいつまでも覚えているはずも無し…。

 なんだっけ? 例の人物って…。

 時空をどうの…

 

 

 …先輩の子供

 

 

 ……。

 

 

 …そんな事、言っていたっけ?

 

 未来の俺のだっけ?

 

 …ま、そんなのが実際に見れるわけがねぇしな。

 やっぱり夢だ夢。

 

 

「一人や二人じゃない…すごい数の反応が…」

 

「……」

 

 

 は?

 

 

「おかげで総帥達…物凄く……本当に…物凄く機嫌が悪くて…」

 

「……」

 

 明後日の方向を向き…カタカタと、音を立てて震えだした澤さん…。

 

 えっと…これは、俺が悪いのだろうか?

 未来の責任まで、取れという方が無理があると思いますけど?

 

 ま、ほらコレ夢だし! 俺はそんな軽薄は事はしないと…思いますけど?

 

 その澤さんが向いている、何もない空間…。

 

 ポーン

 

 また、どこかで聞いたことのある、銀行とかで鳴る呼び出し音。

 

「……」

 

「……」

 

 静寂…。

 あれ? 前回だと、なんか事務所のお姉さんみたいな声が…。

 

「…わっ……わ!?」

 

 俺と同じく、ぼけ~っと周りを見渡していた澤さんが、突然に慌てだした。

 

 …なんだ?

 

 黒と白のマーブル模様…とでもいうのか?

 オーロラの様な、半透明の壁が発生した。

 カーテンと言っても、差し支えない。

 

「な…なに!? なんですか!? アレ!」

 

 澤さんも、それに気がついたのか…指を指して……あ。

 

 その壁が動いた…というか、近づいてくる。

 

 スーっと音も立てないで。

 

「後ろも!?」

 

 逃げようとでもしたのか、周りを見渡していた澤さんが、もうひとつの壁に気がついた。

 こちらの方が近い…それもまた迫ってくる。

 

 でもなぁ…この空間だしなぁ…夢だしなぁ。

 

 とか思って、特に危機感も持たないで、眺めていると…ほら。

 

 近い方の壁は、ホログラムの様に俺達の体を通り過ぎていく。

 一瞬当たる瞬間、小さな悲鳴をあげた澤さんが、可愛かった!! と思った、くらいかなぁ…。

 

 

 ・・・。

 

 

 抓られた。

 

 

 通り過ぎた壁は、その先…もう一つの壁と折り重なる様にぶつかって…消えた。

 

「……」

 

 そう、壁だけ。

 

 ……壁だけは…っだ。

 

 その折り重なって消えた壁とは別に…新たに別の発生したものがある。

 というか、現れた。

 

 …気がついたら、いた。

 

 仁王立ちをして…不遜。

 

 その現れたモノ。

 …女の子。

 

 黒髪の…ショートカット。

 服装は…なんだ? どこかで見たことある様な…顔…それと、制服。

 

 …うん。

 

 だが、知らない…。

 やはり見た事は無いが、誰かと似ている…。

 

 中学生位だろうか?

 腕を組んで、顎を上げ高圧的な態度…。

 きっつい目元……。

 

 誰だ? 顔が誰かに似ている…。

 

 少なくとも俺が知っている人物ではないな。うん、確信した。

 随分とイライラとしているな。

 

 その女の子は、そんな探るような目の俺を一瞥すると…大きなため息をし…。

 

「アンタ、もういいかしら?」

 

 先程から随分と大人しく、俺にしがみついている紗季さん…を、睨んだ。

 

「いい加減にして。私は、さっさと終わらせたいの。前回は、大目に見たけど…なにあれ?」

 

「……」

 

「…なんで、みんな変身してんの? まっ。趣味は人、それぞれだけどぉ?」

 

 小馬鹿にする様な目で、挑発する様に睨んでくる。

 あっれ~…本当にどこかで見た顔だなぁ…。

 というか、紗季さん。

 貴女のお知り合いですか?

 

「…分かった。まったく…分かったわよ」

 

 え…。

 

 紗季さんの口調が、変わった。

 そのまま諦める様に、俺から離れ…その中学生程の女の子へと近づいていく。

 あ…。

 

「あれ? 私達、格好が…」

 

 先程の壁が通り過ぎた後…だろうか?

 いつの間にか澤さんの格好が、いつもの大洗学園の制服へと戻っていた。

 

「あぁ。あんな色物、いつまでも着ていられても私が迷惑だから、元に戻したわよ?」

 

 目の前の女の子が、その疑問を、時間の無駄だと言わんばかりに…間髪入れずに説明した。

 

 ……あれ?

 

「…俺だけ変わってない」

 

 俺だけ、白スーツに白帽子…といった、出で立ちだった…なんで?

 

「……」

 

 説明をと顔を向けると…顔を背けて無視された…。

 

 ま、いいや。

 所詮、夢だし。

 

 なんだろう…。

 知らない女の子と、紗季さんが並び立っている。

 

「…老け顔だと年取っても変わらないっていうけど…本当ね」

 

 何か失礼な事を言われた気がする…。

 

「ま、いいわ。後がつかえてるから、さっさと始めましょう。」

 

「…はぁ。もう終わりかぁ…」

 

 女の子は、テンションだだ下がりの紗季さんを無視し…そのまま指をこちらに向けた。

 んで…。

 

「アンタ、『尾形 隆史』よね?」

 

 確認事項の様に聞いてきた。

 

「そうだけど…それ以前にまずな、人に対して指を向けるな。失礼だろ?」

 

 なんか知らんが、カチンと来た…。

 そうだった。

 この夢の中だと、変に感情が昂ぶりやすかったな。

 

「チッ…言い方まで…」

 

 なんだ? 年下だと思われる子に注意しただけ…なのだけど…。

 なんかいきなり、泣きそうな顔をした。

 それを呆然と眺めていると、気がついたのか…思いっきり顔を背けた。

 

「うん、パパ。取り敢えず話を聞いて?」

 

 紗季さんに、またパパ呼ばれた…。

 正直、俺の見た目からすると、結構洒落にならんからやめてほしい…。

 街中で言われたら、絶対…特定の制服の方々に、しょっ引かれると思います。

 

 その横から、横目で思いっきりこちらを睨んできた女の子。

 

 澤さんが置いてきぼりだなぁ…。

 

 なにが始まるんだろ…。

 なんにせよ、所詮……

 

「取り敢えず、パパ。これ…この世界。ただの夢じゃないからね?」

 

 …ん?

 

「前回の夢は、この子がアンタと少し、絡みたいって言うから…仕方無しにやったようなモノのよ」

 

 ……ん?

 

「簡潔に…言うとね」

 

 えっと…え?

 

 紗季さんと、女の子が…交互に喋る…。

 

 なんだ?

 

 ちょっと嫌な予感が…鳥肌立つ程の…過去これまでに無い……

 

「しれ…、先輩……顔色…なんかすっごい悪いですけど…」

 

 澤さんが横から、大丈夫ですかと心配の声をかけてくれる。

 軽く手を上げて、大丈夫だと、笑顔で返すが…次に一言で、血の気が引いた。

 

 

 

 

『 転生特典の拒否 』

 

 

 

 ……

 

 

「パパが、これを拒否したせいでね…」

 

 

 て…ん……

 

 

「今じゃなく、未来。要は…将来、確定事項で33歳になったら…アンタ…」

 

 

 33歳…。

 

 なんで、はっきりとした年齢…。

 

 

「……」

 

 

 分かった。

 

 すぐに気がついた。

 

 

 

 

「 死んじゃうのよ 」

 

 

 

 

 それは、俺が前世で死んだ年齢。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ----------

 ------

 ---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《 あっはっは~!! そんな訳で、ご愁傷様~!! 》

 

 

 

 ……。

 

 

 あ?

 

 呆然とした直後。

 能天気な声が、俺に考える隙を与えない様に、鳴り響いた…。

 

 なんだ…?

 

 すげぇ…癪にさわる…。

 

「あ、女神様」

 

 気がついた様に、何もない…暗い空…? 天井とでもいうのか…。

 見上げながら、紗季さんが呟いた。

 

 

 は? 女神?

 

 《 シリアスになってる所悪いんですけどぉ~。話、聞いてもらえますぅ? 》

 

「……」イラッ!

 

 《 今回起こっている、事項はねぇ~ 》

 

「いや、ちょっと待て」

 

 《 ん? なによ。邪魔しないで欲しんですけどぉ? 》

 

「いやいや…アンタ、そんな喋り方だっけか?」

 

 この頭に鳴り響く感覚は、覚えがある…。

 

「アンタ、あの時の…課題がどうの言っていた奴か? その時に比べると…」

 

 《 あら!? やっぱり、私本人の方が…『 すげぇ頭、悪そうに喋るな 』 》

 

 

 《 …… 》

 

 

「…喋り方が、違いすぎるだろ。なんにせよ、こういった事は、真面目にヤレ」

 

 《 …… 》

 

「……」

 

 《 助けるのやめようかしら…… 》

 

 あ? 助ける?

 

 

 《 (え? あっ! ごめんなさい! ごめんなさい!! やります! 真面目にやりますからぁ!!) 》

 

 

 なんだ? 

 ちょっと潜もった声になった…。

 他の誰かと話してんのか?

 

 《 ちっ、やっと行った…。監視なんかしちゃって! 暇なのかしらねぇ……(アァァ、スミマセンスミマセンスミマセン) 》

 

 

 「 …… 」

 

 

 は…話が進まない…。

 ほら、みんな置いてきぼり感がすげぇぞ。

 

 《 はぁ…もう、この説明2回目なんだけど…。まぁいいわ。あの時の音声はね! 貴方の世界で言う所の、自動機械音声なのよ 》

 

 …はぁ?

 

 《 本来、命を司る水の女神たる私!! この私が!! 担当するはず…だったんだけどぉ…ちょーと、色々あって!! 》

 

 …なんだ? この適当感。

 以前感じた気がするが…。

 

 《 美貌も信仰も! 胸も! む・ね・も!! 何もかも優っている私が!! …後輩のパット神に頼むのが、むっかつくから! 適当に自動音声に任せたのよ! 》

 

 

「……」

 

 

 はぁ…なんで、自分でこいつ喋りながら、勝手に怒ってんだろ?

 水の女神?

 

 …神様ねぇ……。

 

「あぁ…詐欺の常套手段か…」

 

 《 詐欺じゃないわよ!! なんで毎回毎回、信じてくれないのよ!!! 》

 

「あ~…もう、うっとおしい…。結局、何が言いたいんだ? 聞いてやるからさっさと言え」

 

 ……。

 

 …………ん? 毎回?

 

 

 《 先輩…話が進みません… 》

 

 《 えっ!? なんで!? なんでアンタが出てくるのよ!? 》

 

 《 はい。私は、幸運を司る女神…エリスです。では、ここからは私が、説明致します 》

 

 《 ちょっ!? 私のしごっ『  あ、お願いします  』 》

 

 《 》

 

 うん…こっちの人(?)の方が、本能的に信頼できると確信した。

 いきなりの乱入者に、混乱する所か、安心感がすっごい!

 

 後ろのうるさいのは、黙ってろ。

 

 《 尾形 隆史さん 》

 

「はい?」

 

 《  この度は、本当に申し訳ありませんでした  》

 

 …え?

 謝罪…なに? いきなり…。

 

 《 実は…ですね。今回の件は…完全にこちらの落ち度なんです 》

 

 ……。

 

 …………。

 

 

 世界というのは、色々な可能性で満ちている…。

 色々な世界線とやらの、集合体で、できているそうで…。

 

 上手く言えないが…うん…俺以外の、同じ時間軸で動いている俺もいるそうで…あぁもうめんどくさい!!

 漫画とかで、そんな小難しい話なら読んだ事あるけど! 物によっては解釈がみんな違うから!!

 

 要は、全てがパラレルワールドって事だろ!?

 

 《 本来なら、キチンと「転生の特典」の意味と、受け取らなかった場合のリスクを説明する義務があるのですが… 》

 

 うん…自動機械音声は、特典を受け取らないというイレギュラーは、初めてだったみたいで…。

 素直に俺の意思に従ってくれた…ただそれだけだったそうだ。

 

 《 んなのっ! アンタが、どの世界線でも頑なに転生特典、受託しないのが悪いんじゃない!! わ…私のせいじゃないわよぉ!! 》

 

 お前は、黙ってろ。

 

 《 リスク…それは…… 》

 

 転生特典=その転生後の世界での因子。

 それを埋め込むという事にもなるそうで、これがないと…ほぼ高確率で、前世の死亡年齢が、そのまま寿命になるそうだ。

 

 《 せっかく、いい機会だからって! 前回の夢で、変身なりなんなり! いろんなの見せたげたのにぃ!! 一切、特典欲しがらないし!! 》

 

 紗季さんの希望で、一石二鳥だと…というか、アレ見せたのテメェかぁ!!!

 

 《 …で、ですね…ここから本題でして…… 》

 

 はい。

 

 …はい……はい…。

 

 途中…例え、今すぐにでも、その特典とやらを受託さえすれば、この先問題が無かったそうですね。

 はい…。

 

 

 ― 本来ならば

 

 

 《 …他の世界線で…その…貴方に『 強制的に特典を押し付けた 』…という行為が問題を起こしまして… 》

 

 不具合…その為に、世界規模でエラーが起こり…パラレルワールドも何も関係ない。

 世界線も関係なく…因子を受け取れなくなってしまったという…齟齬が発生した…と…。

 

 この上品に教えてくれた女神様がおっしゃいました。

 

 うん…分かった。

 

 しかも、その押し付けたという行為自体…自分の保身の為だけだと言う事も…聞いた。

 ズルしたのがバレて、降格…神格が下がるという事態を防ぐ為だ……と…かぁ……ぁああ!!

 

 

 《 なんでぇ!? なんで全部、言っちゃうのよぉぉ!! 》

 

 

「  お い、駄 女 神  」

 

 

 《 !? 》

 

「お前…全て、お前のせいかぁぁ…」

 

 《 ちっ! 違うわよ!! 貴方が素直に…『 しかも 』》

 

 

「俺にとっては…一番デリケートな事だっていうのに…。テメェ…保身の為に…澤さんと紗季さんまで引っ張りだして巻き込んで……俺の事までバラシやがって……」

 

 《   》

 

 

 《 あ、尾形 隆史さん。そこは大丈夫ですよ? 我々の声は、彼女…澤 梓さんには、届いていません。時間経過を消しておきました 》

 

 

「え…」

 

 《 ほら、動いてないでしょ? その横の二人も同じです 》

 

 あ…時間経過を消したってのは…よく分からないけど…。

 周りの3人が、マネキンの様にまったく動かない。

 若干…怖いけど…。

 

「 女神様!! 」

 

 神様だ! 本当に女神様だ!!

 ちゃんと気遣ってくれている!!

 

 …それに比べて…。

 

 《 なによ! 卑怯よエリス!! そうやってまた、教徒増やそうとして!! 》

 

 …そういやあの、駄女神。名前すら名乗ってねぇな。

 

 ま。いいや。

 

 

 

 興味ねぇ。

 

 

 

 《 そうよあんた!! あんた、巨乳好きよね!! こいつパッド入りなのよ!? それでもいいの!? パッドよ! パッド!!》

 

 《 ッ!? 》

 

 

「あ、エリス様。話を続けてどうぞ」

 

 《 様付け!? 私は無視ぃ!? 》

 

 

 《 え…ぁ…はい。で…ですね、私達はその救済措置に来ました… 》

 

「ほう…」

 

 《 簡単に言いますと…尾形 隆史さんのお子様から、因子を分け与えてもらうという処置です 》

 

「…は?」

 

 遺伝子。

 

 俺の遺伝子と、この世界の女性との子供。

 転生者ハイブリットお子様から因子をコピー…受諾させる…という、訳がわっかんねえ処置だそうだ。

 その未来の世界線の子供を、過去…つまり今に一時的に送り、その因子とやらを俺に渡すという事…らしい。

 それで、その子供が元の時間軸に戻れば、俺は死なないですむらしい…けど。

 

 ま、何より。

 

「あ~…俺、結婚できたんだ…ん?」

 

 ちょっと…子供という事で…さっき澤さんが言っていた…なんか言っていた!

 

 《 あ、ちなみに母親側…つまり、将来の伴侶となる方にも、ここに来てもらいます。》

 

「…え……は!?」

 

 《 子供と母親…そして貴方が、手を取れば、それですぐに受託完了です 》

 

 その母親との接触は、その人物と一度受託をすれば、別の枝分かれになる世界線にも広がるので、大丈夫との事…。

 いや…それより…。

 

「いやいやいや! ここ!? ここに!?」

 

 《 大丈夫ですよ? ここの記憶は、母子共に全て消します。今後の事には影響しないようにしますので 》

 

「あ~……」

 

 《 すでに皆さんにも、別の説明で済ませて誤魔化してあります。転生等の事は言っておりませんのでご安心下さい。後は呼ぶだけですね 》

 

「ぉぉ…」

 

 す…すげぇ…。

 アフターケアもバッチリだ…。

 

 どこぞの駄女神とは、格が違う…。

 

 《 後、色々と不具合が生じますが、それもこちらで何とかします 》

 

 ぉぉおおお!!

 

 《 ただ…ちょっと… 》

 

 ぉぉお…?

 

 《 人数が……9に… 》

 

 人数?

 

 《 …え? なに? 終わった? 》ボリボリ

 

「……」

 

 《 …… 》

 

 《 ふあぁぁーーあ…。んじゃ、さっさと呼んだけるから、終われせれば? 》ボリボリ

 

「てめぇ、なんか食いながら言ってんだろ」

 

 《 先輩… 》

 

 《 ヘッ。…どうせぇ? 私がいなくたって、どうとでもなんでしょお? んじゃ呼ぶわ。 はいはい、呼びますよぉ… 》ッコイ、ショ…

 

 す…拗ねてやがる…。

 女神が拗ねてやがる…。

 

 《 …あ、最後に。受託をしたら、自動的に皆さんは、元の時間軸へと戻りますが…》

 

「え?」

 

 《 一人だけ、案内役として残しておきますので、後は…… 》

 

 《 えっと…呪文なだっけ……まぁいいや、ほい!》

 

 

「っ……と、え? なに?」

 

 澤さんの声が聞こえた…。

 

 と、同時に…あの脳内に響く声は消えた。

 

 …最後…何を…

 

「……」

 

 あの、くっそ女神ぃ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 -----------

 -------

 ---

 

 

 

 

 

 

 時間が動き出した…のだろう。

 

 今までの会話は、彼女達には一瞬。

 黒髪の女の子は、何か納得…というか、何となく分かっている様だった。

 もしかしたら、この子が案内役…だろうか?

 

 

「えっ!? あれ? 西住先輩!?」

 

 

 ……あ~…うん。

 

 元に戻った瞬間…あのくっそ女神が呼び出したのだろう…。

 いたよ…また、すげぇ人数…。

 

 マジデ?

 

 …そんな可能性があるって事?

 

 

「あ…あれ? 隆史君? …本当にいた…」

 

 みほ…。

 

 呆然とする…8人。

 

 

 華さん…沙織さん…マコニャン……優花里…。

 

 

 あんこうチーム…。

 

 

 と!

 

 

「…なんで、私まで……」

 

「…隆史」

 

 まほちゃんとエリリン!!??

 

「……」ポッ

 

 

 ……え?

 

 なんで?

 

 なんで紗希さんがいんの!?

 

 え!? あれ!?

 

 ぉ…おお……。

 

「…ママ」

 

 ふ…双子や双子がおる…というか……はぁ!?

 

 黒い空間…いや…今は少し、明るくなって…。

 それでも何もない空間に、突然と現れた8人。

 

 

 

 「「「「「「「「 …… 」」」」」」」」 

 

 

 

 …なんて説明を受けているんだろ…。

 あのエリス様って女神様なら、大丈夫だと確信できる分…気が楽だったけど…。

 

 もし…説明があのクソ女神だったら…。

 

 き…聞くのが怖い…。

 何も言ってこないってこたぁ…うん。

 

 

 

 

 

 >  丸山 紗希の場合  <

 

 

 

 

 

「では、私から行こうかな。丁度良い見本になると思うから…」

 

 先程まで、俺をパパだと言っていた紗希さんが…前に出た…というか…。

 

 マジで俺! 

 

 パパだった!!

 

 ダディ!!!

 

「……」

 

 へ…へこむわぁ…。

 なに? …俺本当に節操がないの?

 

「あ…あの…聞いていい? 君…マジで俺の子? 娘? チャイルド?」

 

「そうだよぉ? 私は「尾形 蕾」っていうの!」

 

 …驚いた…というより…。

 わかっちゃいるけど、抑えられない!! って…殺気がいくつか感じる…。

 

「どちらかというと、私ってママより、パパ似だよねぇ! 性格は!!」

 

 そ…そう? え?

 

 いつの間にか、紗希さんが俺の横に来て…裾をつまんでいた…。

 

 ……。

 

 あの…見たことない顔してんすけど…。

 この子も顔、赤くすんだな…。

 近くに来ら分かった、比べてみると…この蕾と名乗る娘の方が…小さい。

 なる程…娘か…。

 

「…あの…君、俺が33歳の時の子…だよね?」

 

「そうだよ?」

 

 ……。

 

「き…君…いくつ?」

 

「私? 今、12歳」

 

 …。

 

「お…お母さんから、馴れ初めとか…その聞いてる? 俺との…」

 

 き…聞きたい…。

 未来は知らない方が良いって事だと思うけど…この時間軸へと、俺が行くとも限らない…。

 というか!!

 

 この紗希さんと、そんな関係にまで発展すんのかよ!!

 

「ん~…詳しくは…ほら! ママってすっごい無口でしょ?」

 

「……」

 

 ま…まぁ…12歳の子供に聞くことじゃないな…。

 というか…澤さんの顔が……真っ赤…。

 

 意味わかってる顔してる…って事は…。

 いつの間にか、時間止められて、彼女にも説明が行ったって事だろうか?

 

 …彼女も対象だという事でしょうか!?

 

 そうだよ!! じゃなきゃ、ここに連れてこられねぇよ!!

 

 …あ。

 

「…パパ…一昨日…心臓発作で、病院に運ばれて…動かなくて…顔も見れなくて……」

 

 いつの間にか…手を握られていた…。

 何かを思い出しているのか…そのまま震えだした…。

 

「…昨日…夜……変な夢見て…それでこんな事になったの…」

 

「……」

 

 あ…やば…。

 

 これは……まずい…。

 すっごい、抱きしめてやりたくなる程に…力なくうなだれている。

 

「パパが言ってた。言霊って言葉があって…口にしない方がいい事もあるって! だから!」

 

 そう言って、もう一つの手…紗希さんへと伸ばした。

 

 蕾…ちゃん…が、俺の右手を取り…左手に紗希さんの手を取ると…。

 3人の体が発光した…。

 

「うん…これでいいみたい。難しい事は、良くわかんないけど…」

 

「……」

 

「先に戻ってるね。これで、目を覚ましたら…パパは…無事なんだって!」

 

 泣くわけでもなく…ただ、嬉しそうに…薄く光ってる彼女の顔は、嬉しそうに笑ってた。

 

 子供…か。

 

 前世じゃ…考えもつかなかったな…。

 

 

「パパもママも…若い頃からあんまり見た目変わんないね! 面白か……た……よ……」

 

 そこまで。

 

 フェードアウトする訳でもなく…そのまま、光って消えた…。

 あれが…俺の娘だったのか…?

 

 いい子そうだった。

 

 …見た目……お母さんと、殆ど変わんなかった…け…

 

 裾を引かれた。

 

 引かれた先…紗希さんの体も、また発光していた。

 

 あぁ、受託が完了したら、記憶と共に消えていくと言っていたな…。

 

 ん?

 

 裾を強く引かれた。

 

 しゃがめという事だろうか…?

 

 その様にしゃがみ込むと、紗希さんが顔を近づけて来た。

 

 耳元でに顔を近づける。

 

 うっすらと光る彼女は、なんだろう…いつ消えるか分からない程、儚く見えた…。

 

 ま…死ぬわけではないし…俺と違って…。

 

 耳元に口を近づけると…。

 

「 先輩…と、いるの……安心……する 」

 

「……」

 

 その一言で、彼女の気配が…横から消えた。

 彼女の消えていく姿を、見る事ができなかった…。

 

 

 

 

 ……。

 

 

 …………。

 

 

 

 

「……あんた」

 

「……」

 

 エリカの声がした…。

 見上げると、腕を組んだ彼女が…

 

「…別に死んだわけでも無し…なんで、涙目なのよ…」

 

 あ…

 

「何言われたか、知らないけど…あの…彼女普通に戻っただけよ?」

 

 ……。

 

 く…空気にめちゃくちゃ流された…。

 

 今生の別れみたいに感じちゃった……あぁぁ……。

 

「な…なんだろう……」

 

「なによ?」

 

「めっちゃ、子供ほしい…」

 

 

 「「「「「「「「 !? 」」」」」」」」

 

 

「ばっ…は…はぁ!?」

 

 あら、エリリン顔真っ赤。

 

「隆史君の父性が…全開になった…」

「ふむ…今が好機か」

「…オネエチャン?」

 

 

「ま…丁度いいかもね」

 

 一人残った、黒髪の子が…近づいて来た。

 あ。

 

「…あの声から、何聞いたか知らないけど…今みたいに、すぐに終わるわ。予防注射みたいな物…」

 

 結局この子の正体を知らないままだった…。

 

「じゃ、さっさと終わらせましょ?」

 

 そう言って、俺の手を握った。

 

「次は、私の番ね」

 

 …え

 

 

「……ほら。お母さん。手、出して」

 

 

 エリリンに向かって、手を差し伸べた…。

 

 

 

 

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