閑話【 トチ狂イ編 】~魔法少女 まじか#%//a aaaaaaa
夢の中だろうか。
景色が無い、暗い空間。
なんだろう? 俺は、何かを待っているのだろうか?
ただ、暗闇の先を見つめていた。
どのくらい、経っただろうか。
……
…………
「って! なんでまたこの空間にいんだよ!!」
暗闇の先に向かって叫んだ。
なんだよ!! もう現れないとか言ってなかったか!?
「 また、ここかよ!! 」
「ひゃあ!?」
「!?」
叫んだ直後、横から悲鳴が聞こえた。
悲鳴…?
どこかで見た、ピンク色した全身タイツ…。
うさぎの帽子をかぶって…両手に包丁…。
「せ…先輩…。いきなり叫ばないで下さいよ! びっくりするじゃないですか!」
「え…あ、ごめんなさい…」
左横に、そんな奇抜なファッションの、澤さんが立っていたました。
俺の声に驚いたと、クレームを頂きまして…反射的に謝ってしまった。
あれ…なんでいるの?
というか俺自身も、何でここにいるか知らんけど…。
「…」
プリプリ怒ってる澤さんへ、顔を向けたら自身の格好も、普段と違うのに気がついた。
……白スーツ…。
頭に何かの感触…。
うん、帽子かぶっとる…。
「あ…違いました。今は指令でしたね」
…あ、うん。
分かった。
これは、いつか見た夢だ。
夢って続きを見れるものだっけ!?
「あれ…澤さんだけ?」
周りを見渡すと、暗い地平線まで誰もいなかった。
周りが薄暗いから、澤さんのタイツが目立つ、目立つ。
他のピンクのタイツ姿を探すも…誰もいない。
「え? そこに紗希がいますよ?」
何言ってんだって顔で、俺の右横を指さした。
その先…まぁ、反対側の俺の半身に、同じような格好で、俺にしがみついている紗希さんがいた…。
「……」
き…気が付かなかった…。
小声で、パパを連呼している紗季さん…。
なんでしょう? この状況。
と、いうか。
前回もそうだったけど…なんで夢の中だと認識できるのだろう?
…しかも、意識がこんなに、ハッキリとしているのだろうか?
まぁ何より…。
「パパ~♪」
紗季さんだけ、性格が大幅に変わっている。
……。
だから…俺ってこんなに欲求不満だっけか?
俺は、紗季さんへ何を求めているのだろうか…。
…特殊な趣味は無かったと思ったけど…?
「もう! 紗季! 仕事して!!」
澤さんのポジションは、現実と変わらないな…。
苦労人にでもなりそうだ。
うん……優しくしてやろう…。
「澤さん…そもそもなんで、ここに俺達いるんだ?」
まず当然の疑問。
この空間に、夢だとしても俺以外の人物がいる事に、凄まじい違和感を感じる。
それは、本能というのか…何なのか…。
どちらにせよ不自然さしかない。
「何を言っているんですか? 私達の目的…「例の人物」の反応を観測できたからじゃないですか!!」
「え……あぁ、そんな目的だったっけ…」
すでに記憶が曖昧だった…。
まぁ夢の内容を、事細かにいつまでも覚えているはずも無し…。
なんだっけ? 例の人物って…。
時空をどうの…
…先輩の子供
……。
…そんな事、言っていたっけ?
未来の俺のだっけ?
…ま、そんなのが実際に見れるわけがねぇしな。
やっぱり夢だ夢。
「一人や二人じゃない…すごい数の反応が…」
「……」
は?
「おかげで総帥達…物凄く……本当に…物凄く機嫌が悪くて…」
「……」
明後日の方向を向き…カタカタと、音を立てて震えだした澤さん…。
えっと…これは、俺が悪いのだろうか?
未来の責任まで、取れという方が無理があると思いますけど?
ま、ほらコレ夢だし! 俺はそんな軽薄は事はしないと…思いますけど?
その澤さんが向いている、何もない空間…。
ポーン
また、どこかで聞いたことのある、銀行とかで鳴る呼び出し音。
「……」
「……」
静寂…。
あれ? 前回だと、なんか事務所のお姉さんみたいな声が…。
「…わっ……わ!?」
俺と同じく、ぼけ~っと周りを見渡していた澤さんが、突然に慌てだした。
…なんだ?
黒と白のマーブル模様…とでもいうのか?
オーロラの様な、半透明の壁が発生した。
カーテンと言っても、差し支えない。
「な…なに!? なんですか!? アレ!」
澤さんも、それに気がついたのか…指を指して……あ。
その壁が動いた…というか、近づいてくる。
スーっと音も立てないで。
「後ろも!?」
逃げようとでもしたのか、周りを見渡していた澤さんが、もうひとつの壁に気がついた。
こちらの方が近い…それもまた迫ってくる。
でもなぁ…この空間だしなぁ…夢だしなぁ。
とか思って、特に危機感も持たないで、眺めていると…ほら。
近い方の壁は、ホログラムの様に俺達の体を通り過ぎていく。
一瞬当たる瞬間、小さな悲鳴をあげた澤さんが、可愛かった!! と思った、くらいかなぁ…。
・・・。
抓られた。
通り過ぎた壁は、その先…もう一つの壁と折り重なる様にぶつかって…消えた。
「……」
そう、壁だけ。
……壁だけは…っだ。
その折り重なって消えた壁とは別に…新たに別の発生したものがある。
というか、現れた。
…気がついたら、いた。
仁王立ちをして…不遜。
その現れたモノ。
…女の子。
黒髪の…ショートカット。
服装は…なんだ? どこかで見たことある様な…顔…それと、制服。
…うん。
だが、知らない…。
やはり見た事は無いが、誰かと似ている…。
中学生位だろうか?
腕を組んで、顎を上げ高圧的な態度…。
きっつい目元……。
誰だ? 顔が誰かに似ている…。
少なくとも俺が知っている人物ではないな。うん、確信した。
随分とイライラとしているな。
その女の子は、そんな探るような目の俺を一瞥すると…大きなため息をし…。
「アンタ、もういいかしら?」
先程から随分と大人しく、俺にしがみついている紗季さん…を、睨んだ。
「いい加減にして。私は、さっさと終わらせたいの。前回は、大目に見たけど…なにあれ?」
「……」
「…なんで、みんな変身してんの? まっ。趣味は人、それぞれだけどぉ?」
小馬鹿にする様な目で、挑発する様に睨んでくる。
あっれ~…本当にどこかで見た顔だなぁ…。
というか、紗季さん。
貴女のお知り合いですか?
「…分かった。まったく…分かったわよ」
え…。
紗季さんの口調が、変わった。
そのまま諦める様に、俺から離れ…その中学生程の女の子へと近づいていく。
あ…。
「あれ? 私達、格好が…」
先程の壁が通り過ぎた後…だろうか?
いつの間にか澤さんの格好が、いつもの大洗学園の制服へと戻っていた。
「あぁ。あんな色物、いつまでも着ていられても私が迷惑だから、元に戻したわよ?」
目の前の女の子が、その疑問を、時間の無駄だと言わんばかりに…間髪入れずに説明した。
……あれ?
「…俺だけ変わってない」
俺だけ、白スーツに白帽子…といった、出で立ちだった…なんで?
「……」
説明をと顔を向けると…顔を背けて無視された…。
ま、いいや。
所詮、夢だし。
なんだろう…。
知らない女の子と、紗季さんが並び立っている。
「…老け顔だと年取っても変わらないっていうけど…本当ね」
何か失礼な事を言われた気がする…。
「ま、いいわ。後がつかえてるから、さっさと始めましょう。」
「…はぁ。もう終わりかぁ…」
女の子は、テンションだだ下がりの紗季さんを無視し…そのまま指をこちらに向けた。
んで…。
「アンタ、『尾形 隆史』よね?」
確認事項の様に聞いてきた。
「そうだけど…それ以前にまずな、人に対して指を向けるな。失礼だろ?」
なんか知らんが、カチンと来た…。
そうだった。
この夢の中だと、変に感情が昂ぶりやすかったな。
「チッ…言い方まで…」
なんだ? 年下だと思われる子に注意しただけ…なのだけど…。
なんかいきなり、泣きそうな顔をした。
それを呆然と眺めていると、気がついたのか…思いっきり顔を背けた。
「うん、パパ。取り敢えず話を聞いて?」
紗季さんに、またパパ呼ばれた…。
正直、俺の見た目からすると、結構洒落にならんからやめてほしい…。
街中で言われたら、絶対…特定の制服の方々に、しょっ引かれると思います。
その横から、横目で思いっきりこちらを睨んできた女の子。
澤さんが置いてきぼりだなぁ…。
なにが始まるんだろ…。
なんにせよ、所詮……
「取り敢えず、パパ。これ…この世界。ただの夢じゃないからね?」
…ん?
「前回の夢は、この子がアンタと少し、絡みたいって言うから…仕方無しにやったようなモノのよ」
……ん?
「簡潔に…言うとね」
えっと…え?
紗季さんと、女の子が…交互に喋る…。
なんだ?
ちょっと嫌な予感が…鳥肌立つ程の…過去これまでに無い……
「しれ…、先輩……顔色…なんかすっごい悪いですけど…」
澤さんが横から、大丈夫ですかと心配の声をかけてくれる。
軽く手を上げて、大丈夫だと、笑顔で返すが…次に一言で、血の気が引いた。
『 転生特典の拒否 』
……
「パパが、これを拒否したせいでね…」
て…ん……
「今じゃなく、未来。要は…将来、確定事項で33歳になったら…アンタ…」
33歳…。
なんで、はっきりとした年齢…。
「……」
分かった。
すぐに気がついた。
「 死んじゃうのよ 」
それは、俺が前世で死んだ年齢。
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《 あっはっは~!! そんな訳で、ご愁傷様~!! 》
……。
あ?
呆然とした直後。
能天気な声が、俺に考える隙を与えない様に、鳴り響いた…。
なんだ…?
すげぇ…癪にさわる…。
「あ、女神様」
気がついた様に、何もない…暗い空…? 天井とでもいうのか…。
見上げながら、紗季さんが呟いた。
は? 女神?
《 シリアスになってる所悪いんですけどぉ~。話、聞いてもらえますぅ? 》
「……」イラッ!
《 今回起こっている、事項はねぇ~ 》
「いや、ちょっと待て」
《 ん? なによ。邪魔しないで欲しんですけどぉ? 》
「いやいや…アンタ、そんな喋り方だっけか?」
この頭に鳴り響く感覚は、覚えがある…。
「アンタ、あの時の…課題がどうの言っていた奴か? その時に比べると…」
《 あら!? やっぱり、私本人の方が…『 すげぇ頭、悪そうに喋るな 』 》
《 …… 》
「…喋り方が、違いすぎるだろ。なんにせよ、こういった事は、真面目にヤレ」
《 …… 》
「……」
《 助けるのやめようかしら…… 》
あ? 助ける?
《 (え? あっ! ごめんなさい! ごめんなさい!! やります! 真面目にやりますからぁ!!) 》
なんだ?
ちょっと潜もった声になった…。
他の誰かと話してんのか?
《 ちっ、やっと行った…。監視なんかしちゃって! 暇なのかしらねぇ……(アァァ、スミマセンスミマセンスミマセン) 》
「 …… 」
は…話が進まない…。
ほら、みんな置いてきぼり感がすげぇぞ。
《 はぁ…もう、この説明2回目なんだけど…。まぁいいわ。あの時の音声はね! 貴方の世界で言う所の、自動機械音声なのよ 》
…はぁ?
《 本来、命を司る水の女神たる私!! この私が!! 担当するはず…だったんだけどぉ…ちょーと、色々あって!! 》
…なんだ? この適当感。
以前感じた気がするが…。
《 美貌も信仰も! 胸も! む・ね・も!! 何もかも優っている私が!! …後輩のパット神に頼むのが、むっかつくから! 適当に自動音声に任せたのよ! 》
「……」
はぁ…なんで、自分でこいつ喋りながら、勝手に怒ってんだろ?
水の女神?
…神様ねぇ……。
「あぁ…詐欺の常套手段か…」
《 詐欺じゃないわよ!! なんで毎回毎回、信じてくれないのよ!!! 》
「あ~…もう、うっとおしい…。結局、何が言いたいんだ? 聞いてやるからさっさと言え」
……。
…………ん? 毎回?
《 先輩…話が進みません… 》
《 えっ!? なんで!? なんでアンタが出てくるのよ!? 》
《 はい。私は、幸運を司る女神…エリスです。では、ここからは私が、説明致します 》
《 ちょっ!? 私のしごっ『 あ、お願いします 』 》
《 》
うん…こっちの人(?)の方が、本能的に信頼できると確信した。
いきなりの乱入者に、混乱する所か、安心感がすっごい!
後ろのうるさいのは、黙ってろ。
《 尾形 隆史さん 》
「はい?」
《 この度は、本当に申し訳ありませんでした 》
…え?
謝罪…なに? いきなり…。
《 実は…ですね。今回の件は…完全にこちらの落ち度なんです 》
……。
…………。
世界というのは、色々な可能性で満ちている…。
色々な世界線とやらの、集合体で、できているそうで…。
上手く言えないが…うん…俺以外の、同じ時間軸で動いている俺もいるそうで…あぁもうめんどくさい!!
漫画とかで、そんな小難しい話なら読んだ事あるけど! 物によっては解釈がみんな違うから!!
要は、全てがパラレルワールドって事だろ!?
《 本来なら、キチンと「転生の特典」の意味と、受け取らなかった場合のリスクを説明する義務があるのですが… 》
うん…自動機械音声は、特典を受け取らないというイレギュラーは、初めてだったみたいで…。
素直に俺の意思に従ってくれた…ただそれだけだったそうだ。
《 んなのっ! アンタが、どの世界線でも頑なに転生特典、受託しないのが悪いんじゃない!! わ…私のせいじゃないわよぉ!! 》
お前は、黙ってろ。
《 リスク…それは…… 》
転生特典=その転生後の世界での因子。
それを埋め込むという事にもなるそうで、これがないと…ほぼ高確率で、前世の死亡年齢が、そのまま寿命になるそうだ。
《 せっかく、いい機会だからって! 前回の夢で、変身なりなんなり! いろんなの見せたげたのにぃ!! 一切、特典欲しがらないし!! 》
紗季さんの希望で、一石二鳥だと…というか、アレ見せたのテメェかぁ!!!
《 …で、ですね…ここから本題でして…… 》
はい。
…はい……はい…。
途中…例え、今すぐにでも、その特典とやらを受託さえすれば、この先問題が無かったそうですね。
はい…。
― 本来ならば
《 …他の世界線で…その…貴方に『 強制的に特典を押し付けた 』…という行為が問題を起こしまして… 》
不具合…その為に、世界規模でエラーが起こり…パラレルワールドも何も関係ない。
世界線も関係なく…因子を受け取れなくなってしまったという…齟齬が発生した…と…。
この上品に教えてくれた女神様がおっしゃいました。
うん…分かった。
しかも、その押し付けたという行為自体…自分の保身の為だけだと言う事も…聞いた。
ズルしたのがバレて、降格…神格が下がるという事態を防ぐ為だ……と…かぁ……ぁああ!!
《 なんでぇ!? なんで全部、言っちゃうのよぉぉ!! 》
「 お い、駄 女 神 」
《 !? 》
「お前…全て、お前のせいかぁぁ…」
《 ちっ! 違うわよ!! 貴方が素直に…『 しかも 』》
「俺にとっては…一番デリケートな事だっていうのに…。テメェ…保身の為に…澤さんと紗季さんまで引っ張りだして巻き込んで……俺の事までバラシやがって……」
《 》
《 あ、尾形 隆史さん。そこは大丈夫ですよ? 我々の声は、彼女…澤 梓さんには、届いていません。時間経過を消しておきました 》
「え…」
《 ほら、動いてないでしょ? その横の二人も同じです 》
あ…時間経過を消したってのは…よく分からないけど…。
周りの3人が、マネキンの様にまったく動かない。
若干…怖いけど…。
「 女神様!! 」
神様だ! 本当に女神様だ!!
ちゃんと気遣ってくれている!!
…それに比べて…。
《 なによ! 卑怯よエリス!! そうやってまた、教徒増やそうとして!! 》
…そういやあの、駄女神。名前すら名乗ってねぇな。
ま。いいや。
興味ねぇ。
《 そうよあんた!! あんた、巨乳好きよね!! こいつパッド入りなのよ!? それでもいいの!? パッドよ! パッド!!》
《 ッ!? 》
「あ、エリス様。話を続けてどうぞ」
《 様付け!? 私は無視ぃ!? 》
《 え…ぁ…はい。で…ですね、私達はその救済措置に来ました… 》
「ほう…」
《 簡単に言いますと…尾形 隆史さんのお子様から、因子を分け与えてもらうという処置です 》
「…は?」
遺伝子。
俺の遺伝子と、この世界の女性との子供。
転生者ハイブリットお子様から因子をコピー…受諾させる…という、訳がわっかんねえ処置だそうだ。
その未来の世界線の子供を、過去…つまり今に一時的に送り、その因子とやらを俺に渡すという事…らしい。
それで、その子供が元の時間軸に戻れば、俺は死なないですむらしい…けど。
ま、何より。
「あ~…俺、結婚できたんだ…ん?」
ちょっと…子供という事で…さっき澤さんが言っていた…なんか言っていた!
《 あ、ちなみに母親側…つまり、将来の伴侶となる方にも、ここに来てもらいます。》
「…え……は!?」
《 子供と母親…そして貴方が、手を取れば、それですぐに受託完了です 》
その母親との接触は、その人物と一度受託をすれば、別の枝分かれになる世界線にも広がるので、大丈夫との事…。
いや…それより…。
「いやいやいや! ここ!? ここに!?」
《 大丈夫ですよ? ここの記憶は、母子共に全て消します。今後の事には影響しないようにしますので 》
「あ~……」
《 すでに皆さんにも、別の説明で済ませて誤魔化してあります。転生等の事は言っておりませんのでご安心下さい。後は呼ぶだけですね 》
「ぉぉ…」
す…すげぇ…。
アフターケアもバッチリだ…。
どこぞの駄女神とは、格が違う…。
《 後、色々と不具合が生じますが、それもこちらで何とかします 》
ぉぉおおお!!
《 ただ…ちょっと… 》
ぉぉお…?
《 人数が……9に… 》
人数?
《 …え? なに? 終わった? 》ボリボリ
「……」
《 …… 》
《 ふあぁぁーーあ…。んじゃ、さっさと呼んだけるから、終われせれば? 》ボリボリ
「てめぇ、なんか食いながら言ってんだろ」
《 先輩… 》
《 ヘッ。…どうせぇ? 私がいなくたって、どうとでもなんでしょお? んじゃ呼ぶわ。 はいはい、呼びますよぉ… 》ッコイ、ショ…
す…拗ねてやがる…。
女神が拗ねてやがる…。
《 …あ、最後に。受託をしたら、自動的に皆さんは、元の時間軸へと戻りますが…》
「え?」
《 一人だけ、案内役として残しておきますので、後は…… 》
《 えっと…呪文なだっけ……まぁいいや、ほい!》
「っ……と、え? なに?」
澤さんの声が聞こえた…。
と、同時に…あの脳内に響く声は消えた。
…最後…何を…
「……」
あの、くっそ女神ぃ!!!
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時間が動き出した…のだろう。
今までの会話は、彼女達には一瞬。
黒髪の女の子は、何か納得…というか、何となく分かっている様だった。
もしかしたら、この子が案内役…だろうか?
「えっ!? あれ? 西住先輩!?」
……あ~…うん。
元に戻った瞬間…あのくっそ女神が呼び出したのだろう…。
いたよ…また、すげぇ人数…。
マジデ?
…そんな可能性があるって事?
「あ…あれ? 隆史君? …本当にいた…」
みほ…。
呆然とする…8人。
華さん…沙織さん…マコニャン……優花里…。
あんこうチーム…。
と!
「…なんで、私まで……」
「…隆史」
まほちゃんとエリリン!!??
「……」ポッ
……え?
なんで?
なんで紗希さんがいんの!?
え!? あれ!?
ぉ…おお……。
「…ママ」
ふ…双子や双子がおる…というか……はぁ!?
黒い空間…いや…今は少し、明るくなって…。
それでも何もない空間に、突然と現れた8人。
「「「「「「「「 …… 」」」」」」」」
…なんて説明を受けているんだろ…。
あのエリス様って女神様なら、大丈夫だと確信できる分…気が楽だったけど…。
もし…説明があのクソ女神だったら…。
き…聞くのが怖い…。
何も言ってこないってこたぁ…うん。
> 丸山 紗希の場合 <
「では、私から行こうかな。丁度良い見本になると思うから…」
先程まで、俺をパパだと言っていた紗希さんが…前に出た…というか…。
マジで俺!
パパだった!!
ダディ!!!
「……」
へ…へこむわぁ…。
なに? …俺本当に節操がないの?
「あ…あの…聞いていい? 君…マジで俺の子? 娘? チャイルド?」
「そうだよぉ? 私は「尾形 蕾」っていうの!」
…驚いた…というより…。
わかっちゃいるけど、抑えられない!! って…殺気がいくつか感じる…。
「どちらかというと、私ってママより、パパ似だよねぇ! 性格は!!」
そ…そう? え?
いつの間にか、紗希さんが俺の横に来て…裾をつまんでいた…。
……。
あの…見たことない顔してんすけど…。
この子も顔、赤くすんだな…。
近くに来ら分かった、比べてみると…この蕾と名乗る娘の方が…小さい。
なる程…娘か…。
「…あの…君、俺が33歳の時の子…だよね?」
「そうだよ?」
……。
「き…君…いくつ?」
「私? 今、12歳」
…。
「お…お母さんから、馴れ初めとか…その聞いてる? 俺との…」
き…聞きたい…。
未来は知らない方が良いって事だと思うけど…この時間軸へと、俺が行くとも限らない…。
というか!!
この紗希さんと、そんな関係にまで発展すんのかよ!!
「ん~…詳しくは…ほら! ママってすっごい無口でしょ?」
「……」
ま…まぁ…12歳の子供に聞くことじゃないな…。
というか…澤さんの顔が……真っ赤…。
意味わかってる顔してる…って事は…。
いつの間にか、時間止められて、彼女にも説明が行ったって事だろうか?
…彼女も対象だという事でしょうか!?
そうだよ!! じゃなきゃ、ここに連れてこられねぇよ!!
…あ。
「…パパ…一昨日…心臓発作で、病院に運ばれて…動かなくて…顔も見れなくて……」
いつの間にか…手を握られていた…。
何かを思い出しているのか…そのまま震えだした…。
「…昨日…夜……変な夢見て…それでこんな事になったの…」
「……」
あ…やば…。
これは……まずい…。
すっごい、抱きしめてやりたくなる程に…力なくうなだれている。
「パパが言ってた。言霊って言葉があって…口にしない方がいい事もあるって! だから!」
そう言って、もう一つの手…紗希さんへと伸ばした。
蕾…ちゃん…が、俺の右手を取り…左手に紗希さんの手を取ると…。
3人の体が発光した…。
「うん…これでいいみたい。難しい事は、良くわかんないけど…」
「……」
「先に戻ってるね。これで、目を覚ましたら…パパは…無事なんだって!」
泣くわけでもなく…ただ、嬉しそうに…薄く光ってる彼女の顔は、嬉しそうに笑ってた。
子供…か。
前世じゃ…考えもつかなかったな…。
「パパもママも…若い頃からあんまり見た目変わんないね! 面白か……た……よ……」
そこまで。
フェードアウトする訳でもなく…そのまま、光って消えた…。
あれが…俺の娘だったのか…?
いい子そうだった。
…見た目……お母さんと、殆ど変わんなかった…け…
裾を引かれた。
引かれた先…紗希さんの体も、また発光していた。
あぁ、受託が完了したら、記憶と共に消えていくと言っていたな…。
ん?
裾を強く引かれた。
しゃがめという事だろうか…?
その様にしゃがみ込むと、紗希さんが顔を近づけて来た。
耳元でに顔を近づける。
うっすらと光る彼女は、なんだろう…いつ消えるか分からない程、儚く見えた…。
ま…死ぬわけではないし…俺と違って…。
耳元に口を近づけると…。
「 先輩…と、いるの……安心……する 」
「……」
その一言で、彼女の気配が…横から消えた。
彼女の消えていく姿を、見る事ができなかった…。
……。
…………。
「……あんた」
「……」
エリカの声がした…。
見上げると、腕を組んだ彼女が…
「…別に死んだわけでも無し…なんで、涙目なのよ…」
あ…
「何言われたか、知らないけど…あの…彼女普通に戻っただけよ?」
……。
く…空気にめちゃくちゃ流された…。
今生の別れみたいに感じちゃった……あぁぁ……。
「な…なんだろう……」
「なによ?」
「めっちゃ、子供ほしい…」
「「「「「「「「 !? 」」」」」」」」
「ばっ…は…はぁ!?」
あら、エリリン顔真っ赤。
「隆史君の父性が…全開になった…」
「ふむ…今が好機か」
「…オネエチャン?」
「ま…丁度いいかもね」
一人残った、黒髪の子が…近づいて来た。
あ。
「…あの声から、何聞いたか知らないけど…今みたいに、すぐに終わるわ。予防注射みたいな物…」
結局この子の正体を知らないままだった…。
「じゃ、さっさと終わらせましょ?」
そう言って、俺の手を握った。
「次は、私の番ね」
…え
「……ほら。お母さん。手、出して」
エリリンに向かって、手を差し伸べた…。