《 な…なにやってるんですか…先輩… 》
《 なぁにがぁ? 》
《 あの子! 還しちゃってどうするんですか!? 》
《 だから、何がよ 》
《 …尾形 エリナさんに、案内役を頼んだのではないのですか…? 》
《 ……ぁ 》
《 …… 》
《 あはは~! …頼むこと自体、忘れてた…… 》
《 …… 》
《 だっ…だぁいじょうぶよぉ! あんだけ人数がいるんだから! 何とかなるわよぉ!! 》
《 はぁ…そんないい加減な…。尾形さんに、また怒られますよぉ? 》
《 …… 》
…よし、後で覚えてろよ。
「さて…次だな」
「……」
「みほ…これは、こんな未来もあるという…可能性の話だ」
「…お姉ちゃん」
「……天文学的な数値でも、所詮は可能性だ。気にするな」
…あの…隊長さん。
結構エグイ事、言ってますよ?
さてと…次は…誰が来る?
また俺のHPが削られる結果になりそうで、もはや怖い…。
というか、どの様に現れるんだろ…。
「麻子!?」
沙織さんの声が聞こえた。
全員が一斉に、その声の方向に顔を向けた…。
「な…なっ!?」
いつの間に現れたのか…音もなく、何もなく…。
振り向いた先…いた…。
マコニャンが、見下ろす程の背丈…。
そのマコニャンの手に…幼い手が握られていた。
> 冷泉 麻子の場合 <
それは、見た目で…四歳くらいの子供…。
髪は短く真っ黒な髪。
眠そうな目をした…男の子だった。
というか、半分寝ているな。
「…」
何か信じられない物を見る目で、見下ろしているマコニャン。
「なに!? なにぃ!? 可愛い!! 可愛いぃぃ!!」
ぉぁぁあ…。
沙織さんのテンションが爆上がりですね…。
沙織さんは、しゃがみ込んで男の子の手を取った。
頭を撫でたり…頬を撫でたり…すげぇ…なんかもう…慣れてる動きだ。
「さっ…沙織!?」
「この子が、麻子の子かぁぁ!!!」
あぁ…一人なんか楽しそうですね?
というか、なんでそんなに適応力があるんでしょお?
「…隆史君」
「はい…なんでしょう、みほさん」
「私……そろそろ、胃に穴が空きそう…」
みほの口から、そんな言葉が聞けるとはな!!
「まだ、始まったばかりだぞ?」
「…隆史君の浮気者」
「」
いや…もう…なんか……。
他の世界線の俺達! まとめて来てくれよ!! ある意味押し付けられた気分だよ!!
みぽりん! 恨みがましい目で、見ないで下さい!
「ボク! ボク!! お名前教えてぇぇ?」
「……?」
沙織さんと、マコニャンの顔を見比べている…。
手を離さないって事は、若いけど母親として認識しているという事だろうか?
それとも…成長しないのか? 将来…マコニャンは…。
成長…できないのか!!??
何かを察したのか…俺を睨んできた。
…ので、目を逸らしました!!
「…ぬ…」
「……」
その男の子は、ジー…っと、無言でマコニャンの顔を見つめている。
慣れないのだろう…子供と接する事は、彼女にはそうそうないだろうしなぁ…。
無垢な目で見上げてきている子供…。
それに対して、マコニャンは、引きつった笑顔で…
「な…名前は……?」
「…ふぐっ!」
あ…泣きそう!! すげぇ涙ぐんだ!!
「ダメだよ麻子ぉ! ちゃんと優しく聞いてあげないとぉ!」
「……ぬ…子供は……苦手だ」
「自分の子供でしょぉ!?」
「…まさかこの歳で、それを言われるとは夢にも思わなかった……」
なんとも言えない…そんな顔。
邪険にも出来ないのだろうな…。
しかし、泣きそうだが、母親だと本能で理解しているのか…。
握った手を離さない。
「!?」
沙織さんが、耳打ちでマコニャンへ何か囁いているな…。
あやし方か、何かだろうか?
俺もボケーとしていては、悪いので…その子供に近づいて行く…。
「ぐ…ぅぅ…」
マコニャン…何を悩んでいるのだろう?
頭をグルグルと、小さく回している。
ぬぅ…と一言呟くと…諦めた顔になったね。
あぁ…相変わらず、愛想笑いが下手だなぁ…。
引きつった顔の、引きつった口を更に引き伸ばしながら…意を決したかの様に、腰を落とした。
子供の目線と同じ高さになり…聞いた事のない…マコニャンの声が聞こえた来た…。
「ぼ…ボクゥ? お名前、なんていうのかなぁ? …お…教えてぇくれるかなぁ?」
……。
…………。
「が…」
……カメラ……携帯……動画……ぁぁ……
撮りたかった……撮っておきたかったぁ!!!
なに!? 今の可愛いの!!!
すげぇ、顔が引きつっていたけど!!
あの!! 口調のマコニャンをぉ…!!
「くっそ! 記録媒体がない!!」
「隆史君! 私も持ってない!! いつも携帯持ち歩いてんのにぃ!!」
子供より、寧ろ俺と沙織さんが悶えていた。
あぁぁぁ…そうだぁ!! 記憶消えるのか!?
アレを思い出すことも出来なくなるのかぁ!!??
この断末魔の様な声が、マコニャンに聞こえると、間違いなく怒るから…小声で沙織さんと悶え苦しむ。
惜しい!! 本当に惜しい!!
「…おかぁさん」
「ぬぉ!?」
!?
しまった! 見てなかった!!
なに!? どうした…んだ……ろ?
「な…なんだ!? なんだ!?」
母と認識したのだろう。
同じ目線になったマコニャンに…抱きついていた。
そのまま軽く、尻餅をつくようにマコニャンは、後ろに腰を落としてしまった。
少し倒れ込むように…お子様は覆いかぶさり…。
「スー…スー…」
ね…寝息をたて始めた…。
いや、子供だし、夢を見ている時みたいだし…まぁ…普通に眠いのだろう。
遺伝…では無いよね?
どうしたらいいのか分からないのか、その状態で動く事も出来ず…固まって目を見開いてるマコニャン。
寝てしまった事に気がついた沙織さんも、後ろを振り向き…口元に人差し指を立てている。
ま…結局、名前は分からなかったな。
いやぁ…ま、いつまでも遠目で見ていても仕方ないしなぁ…。
「…ど…どうしたら!? どうしたら!?」
「取り敢えず…頭でも撫でてやれば?」
「しょっ!?…きぃぃ」
起こさない様に、ゆっくりと静かに近づいたのだけど…驚かしてしまったのか、一瞬声を張り上げそうになっていた。
が、目の前の子に気を使ったのか…我慢した様だ。
「 …… 」
「…ん?」
「…………」
あの…麻子さん…。
なんで口が、△の形から動かなくなってるんですかね?
俺の顔を見た瞬間から…小刻みに振動し始めた…。
あの…? 起きちゃうよ?
「…チッ」
なんで、舌打ち!?
「うっふっふ~。麻子ね、照れてるのよ」
「…沙織」
鬼の首を獲ったかのように…何故か、勝ち誇っている様な沙織さん。
その一言の後は、何も言わないで、寝ている子供の横に座り、指で頬を突っつきながら…楽しそうにしている。
「起こしちゃうのも可愛そうだし…ま、名前は諦めるかぁ~」
なんだろ…沙織さんの、この手馴れ感…。
特に特別な事はしていないと思うのに…なんだ……この彼女に任せておけば、大丈夫! って言い切れそうな…。
《 名前!? いいわ!! 教えたげるわ!! 》
「!!」
この声…。
突然、頭に響いたどこか焦ったような、駄女神の声…。
それは全員に聞こえた様で、澤さんもキョロキョロと周りを見渡している。
「なんだよ、いきなり…どういう事だ?」
《 ち…ちょっと、手違いがあってね…こっ! この私が!! 自ら貴方達を導いてあげる!! 》
「…導くって…しかも手違い? お前がただ、エリナに案内役を頼み忘れただけだろうが」
《 こ…細かいこたぁーいいのよ!! で? その子の名前、知りたいんでしょ!? 》
「……」
《 ついでに、話せないその子に変わって、その子の世界線も教えたげるわ!! どう!? これは、尾形 エリナ…さん。には、できないわよ!? 》
「……チッ」
くそ…正直知りたい。
が…このくっそ女神に頼むのは…。
「はい! 私知りたいです!!」
沙織さん!?
「わ…私も……」
「知りたいですね」
「きょ…興味はあります…」
「……」
マコニャン以外、全員が手をあげた…。
《 ふっふ~ん! どーよ!! 》
「…チッ。まぁいい…んじゃ、教えて……下さい」
こいつの性格上、絶対にこういった言い方をしろと、言ってくるだろうと踏んだ。
だからさっさと、こちらから折れる。
時間の無駄だ…。
《 よしよし。最初からそういった、殊勝な態度で…「エリスさん」
《 え? 私ですか? いいですけど… 》
《 待って!! 待ってぇ!! なんでパ「 んなら、はよしろ 」
《 …… 》
はい、時間の無駄です。
お前さんの性格が読めてきた。
上げて……叩き落とすのが有効だな、うん。
「……はっ…」
皆は声がするのは、上からだと思っているのか…暗い空を見上げている。
真っ暗な空間なのだが、この緊張感が微塵もない会話に、不安や恐怖感は無いのだろう。
ま、そうやって、見上げているから気がつかないのだろうな。
今の麻子の姿を。
無意識にだろうが…寝ている子供を、優しく撫で続けていた。
……
目が合うと、睨んでくるのは変わらないですけどね…。
《 その子の名前は「尾形 麻雄」くんって言うみたいね… 》
地面に光が差して、その名前の文字を描いた。
…麻子の字を取ったのか。
あさお…ね。
《 その世界線の貴方は…チッ 》
俺の事か? なんで舌打ち…。
《 主夫ね…。稼ぎは、その冷泉 麻子さんのようね。…なっさけない男ねぇ? 》
「…え? 麻子がぁ!? 朝起きれるの!?」
そうですね、沙織さん
嘘…だろ?
マコニャンが、稼ぎ頭?
あと、さりげなくディスってんじゃねぇ。
《 朝? あぁ朝は、そこの失礼な男が… 》
あ?
《 …… 》
なに? この間
《 うっわ…エッグッ…… 》
駄女神の本気で、引いた声が響く…。
「「「「「「「 …… 」」」」」」」
《 …貴方、女性に対して、なんて事してんの…? 》
全員の顔がこちらを振り向いた…。
「なっ!? 」
具体的な事を、敢えて言わない。
それにより、皆の中の想像力が、掻き立てらたのだろう。
まほちゃん! ため息やめて!!
「…書記……お前……寝てる私に何を…」
青いのか赤いのか…良く分からない顔色で引かないで!
身に覚えも何も、知る訳がねぇ!!
「まっ! 待て! 未来なんか知るわけがないだろ!? あいつが勝手に……あぁ!!」
あぁぁ!! 身に覚えの無い事で、なんで睨まれ…ぁぁあ!!
なんか納得した顔で、顔を伏せるな、みほ!!
「あぁもうっ!! この駄女神!!! お前、んな意味深な事言えば、どうなるか分かって…くっそッ! わざとだろ!!」
《 何の事ぉ? 私は事実を申し上げてるだけですけっどぉ? 》
「お前がこの人間関係、知らねぇはずねぇだろーが!! 知っていてワザと、んな言い回ししやがったな!!」
《 はいぃぃ? 私は知らないわよぉ? 知ってる事だけぇ 》
「 ブ ッ コ ロ ス ゾ 」
…転生特典。
因子なくてもいいから、今からでも…くれねぇかな…エリス様。
…神殺しとか、あるだろ…。
《 次いくわよぉ? 冷泉 麻子さん…持ち前の頭の良さ…適応能力の高さ…で、事業起こして成功してるわね…なに、この子…… 》
「麻子が、社長!!?? 女社長!!??」
沙織さん…。
ま…まぁ意外っちゃ意外か…。
《 まぁ(記憶が消えるとしても)知らなくていい事…知らない方がいい事ってのもあるから、詳しくは言わないでおくわ! 》
触りだけね! とか、絶対にドヤ顔で言っているのが何となく分かる…。
…まぁ、答えを知っている人生ってのは、どうなのだろうかね?
まぁ…普段は、こんな人柄だとか、そんなのは良いのだろうとは思うけど…。
《 そして…この…………って…え~… 》
なんだ? 今度は絶句した様な声。
《 あっはっはっは!! そこの男も大概だけど、貴女も結構やるわねぇ!! 》
「!?」
《 ね……ネコミミッ! ……ネコォ… 》
「なっ!?」
駄女神の、声を殺した笑い声が響く…。
殺しているのに響くって…どんだけ我慢してんだ…。
《 貴女! 散々渋ってた割には、ノリッノリね!! 20代前半位までは、月一のやくそ……く……んな、約束してたのぉ!? 》
…マコニャンが、マコニャンになりました。
《 若い頃って無茶するものだけ…どぉ……あははははは!! いえね、私の手元に資料が色々あんのよぉ! 》
…い…嫌な予感しかしねぇ…。
ヒーヒー言いながら、何か捲ってる音がする。
資料って紙かよ…。
まぁ、顔真っ赤にして……ごめん、マコニャン。
後で、あの駄女神はキチンとシメトクわ。
《 いやぁ…若いっていいわぁ…。こっちが恥ずかしくなる位に、ベッタリになるのねぇ…うわぁぁ… 》
「なっ…なっ……」
《 子供と父親、取り合うってどうよ! どうなのよ!! 日曜日はお母さんの番だっ! ってキメ顔で言ってるわ!! 》
「がががが…」
《 キリッ!! キリッッ!!! って顔してるわぁ!! 》
「…ぎ……」
あの…麻子さん……殺気が出てきてましてよ?
怒鳴りもしないで、言い返さないなぁ…。
「…」スー…
…そうか、子供気を使ってるのか…。
「あ…あの……麻子さん…お子様、お預かりしましょうか?」
気を使って、怒鳴りやすく、暴れやすい状況をお作りしようかと思いました。
というか、この子も結構図太いな…もう、結構騒いでるのに、ぜんっぜん起きねぇ…。
口に指加えて、静かに寝息立ててますね…。
「し…しないぞ…」
「…はい?」
「私はそんな事、絶対にしない……」
…空を睨んでますね…。
あ、俺は睨まないで下さいね?
悪いのはあの自称女神ですから。
「……あ」
そういや、マコニャン。
今回の…その、将来の相手が俺という可能性を、エリリンみたいに一切否定しなかったなぁ…。
「ふぐぃ!!??」
嫌じゃないのかなぁ……あ、もしかして、気を使って……っ!!??
ガチガチガチッ!
あの…そんなに口を開けたり閉じたりして、疲れないのでしょうか?
上下の歯が当たって、ガチガチ言ってますよ?
あの…顔の色がもはや、赤なんてモノじゃない色してますよ?
《 ヒー! ヒー!! 》
駄女神の声が…。
「…書記」
「……はい」
「いい加減、思ったこと……まぁいい、先にアレだ」
「アレだな」
「あれ…お前なら何とかできるか?」
《 なにこれ!! なにこれぇ!!! あっはっはっは!!》
「何とかとは?」
「自衛隊にでもなんでも頼んで…」
「……分かった。もっと頼りになる方に頼むわ」
「頼んだ」
はい、目に殺気が戻ってきましたね。
取り敢えず、こんな世界だ。念じてみましょう。
( エリス様~…聞こえますかぁ? )
(《 あ…はい。……スミマセン…ホントウニ、スミマセン… 》)
( あの馬鹿、なんとかして下さい )
(《 監視していた上司に掛け合ってみます… 》 )
やればできるもんだな。
はい、さすが本物の女神様。
仕事が早い。
《 …ァ…ハイ……スイマセン…… 》
即、流れて来た、力ない声が、心地いい…。
《 グスッ…私悪くないのにぃ… 》
自覚がないのが、またタチが悪い…。
---------
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---
《 さて、そこの貴女。この無礼な男が、意識不明になって運ばれた時…物凄い取り乱したみたいね… 》
「!?」
あからさまに真面目な声になったな。
しかも内容が、無視できないモノ…この野郎…強制的にシリアスに持ってくつもりだな…。
だからだろう。俺じゃなく、その声はマコニャンを指している。
いきなりの神妙なトーンの声が、胡散臭いなぁ…。
《 そこの男の子も、そんな母親を見て、子供ながらに気を使って…疲れきったのでしょうね。夢の中でも寝ちゃう程に… 》
「……」
何かに気がついたのか…マコニ…いや、麻子の顔が青ざめた。
どうした?
急に…。
「ぅう…」
麻子は、その胸の中の子供を抱きしめていた。
「……」
あぁ…。
そうか…分かった。
俺は一度、見ている。
取り乱した彼女を。
だから知っている。
……。
家族の死…。
麻子が一番恐れている事…だな。
未来の麻子が、どんな人物かは分からないが…うん。
想像は容易い…。
《 さぁ、お互いの手を取り、死という運命を覆し……そんな未来の貴女を、安心させてあげなさい 》
……。
急にまとめに入ったな。
なに? その大層な物言い…。
まぁ…いいけど。
そういう喋り方できるなら、終始それでいりゃいいのに…。
怒られたから、真面目にやるって…。
「…書記」
「…はいよ」
時間の概念は、この世界には無いのだろうが、目の前の寝ている子供を早く戻してやりたのだろう。
急かすように、俺のズボンの裾を引っ張って来た。
先程までいた、エリナも蕾もそうだけど…改めて見てみても、実感は余りないな…。
まぁ、あっても困るけど…。
自分の子供…。
うん、この子は男の子だというのに麻子似だよね。
「…おい、女神」
《 な…何かしら!? 》
麻子の呼びかけに即反応したな。
声が若干上ずっているねぇ…余程絞られたか?
「この際、私の事はいい。将来の書記はどうなんだ? 普段どんな感じなんだ?」
「俺!?」
なんだ? ここに来て、俺!?
《 あぁ…そういう…。まっ! そうね! 一言でいうなら… 》
何かを察した様に、真面目な口調が解けた。
どうやら、俺だけ一人焦っているみたいで、周りを見渡すと、みんなは結構真面目な顔をしてる…。
なに? なんなの!?
《 かっっわんないわねぇ。いえ? ちょっと違うか… 》
「違う?」
《 今以上に、普段からヘラッヘラ、してるわね! …ま、そういう事。良かったわね! 》
「はっ…そうか。良いか悪いは知らんが……それでいい」
そこまでだと、麻子は子供の手を握った。
なんというか…麻子って結構、母性が強いのだろうか…?
何でか、少し安心した様な顔をしている。
そのまま、有無を言わさないと言った感じで、俺の手首を掴み…子供の手に引っ張る。
促されるまま、その…子供…麻雄の手を握った。
あ、そういえば…俺はこの子を、撫でてもないなぁ…。
少しぐらい…。
「書記」
「えっ? はい?」
子供の体が発光し始め…麻子の体も光り始めた。
俺を呼んだその顔は、俺を一切見ないで…その腕の中の子供を見ていた。
「この際だ、相手がお前だとか色々な諸事情には、目を瞑る…」
それは、俺に話しかけているというよりか…どこか自分に向けての言葉だった。
「しょ…いや、た……ぬぅぅ!!」
な…なに? え? 今度は何か歯噛みし始めた!?
「たっ…隆史!」
「え? あ、え!?」
な…名前呼び!?
いきなり!? どしたの!?
「相手がお前だとしてもな!! わ…私は、どこかで…嬉しかったんだと思う」
「…嬉しい?」
戻る時間が、迫っていると感じたのか…声に焦りが見える。
視界に映る…麻子と子供を包む光が、強くなっていた。
「そうだ!! いいか!? 相手がお前だというのは及第点だ! 目を瞑るだけだぞ!!」
「いや…それはもう聞いた…」
「ぐっ…」
俺にだけする、いつもの舌打ちをし…目を落とし、子供の頭に手を置いた。
「…う……嬉しかったんだ。…本当に嬉しかった」
「……」
そんな彼女を見て、名残惜しそうに感じたのは、気のせいでは無いだろうな。
…だが、もう時間がない。
彼女達を包む光が、最大限へと到達したと感じた時…。
麻子は、笑った。
「私にも…新しく、家族ができるんだと…実感でき…た……」
最後の言葉を発して…子供と共に消えていった。
--------
-----
---
《 さっ! 次ね!!! 》
……
「隆史君!?」
「隆史!?」
…
……みほとまほちゃんの声が聞こえた。
その後次々に、華さん達からも俺を呼ぶ声が…。
どうしたんだろ…何を驚いて…。
《 あ~…あんた 》
んだよ、駄女神
《 なんで、泣いてんのよ 》
…あ?
「……は……初めて見た…」
「……」
言われて気がついた…。
手で顔を隠すように、目を確認すると…うっわ…。
ぬるっとした感触。
号泣してるよ…。
まだ、出てきてるよ…。
いや…俺、こんなに涙脆かったか?
麻子が消える直前の、最後の一言にやられた…というのは、何となく分かるけど…。
人前で…泣くほど…。
《 あぁ! そっかそっか!! 》
後ろを向き、腕と手で、顔を乱暴に拭う。
目の周りがあっつい…。
《 アンタ、この世界…前回の夢でもそうだけど、結構感情が昂ぶりやすいでしょ? 》
んぁ? そういや…変に怒りっぽくなってたな。
普段なら、気にも止めない事に…妙にイラついたし…。
《 この世界だと、自我が脆くなる様になってんの!! 素の状態が出やすくなってるみたいねぇ 》
「…隆史さんも泣くんですねぇ…」
「五十鈴殿…その物言いはちょっと…」
《 全ての本音が、漏れやすい様に、なってんの!! 》
「……何の為に…」
嫌がらせ以外に、思い当たらないがな…。
《 私に優しくしないからよ!!! 》
「……」
《 じょっ…冗談よぉ~。ただの冗談なんだから、本気で怒らないで!! 》
「……」
《 はい。では尾形 隆史さん。真面目にお答えしましょう 》
《 また、アンタ!? 出しゃばってこないでよ!! 》
「はい、お願いします。エリス様」
はい、チェンジで。
《 貴方、鈍感過ぎますし、変に気を使いすぎますし、これだけの女性に手を出してるんですから、少しは責任を感じてもらいたく思いまして 》
「………………」
い…言い方ぁ……
《 先程、冷泉 麻子さんが、未来の貴方の事を、気にしていた理由とか…急に貴方を、名前で呼んだ事とか……何でか分かります? 》
あ、うん。
驚いたけど…分かるかどうかって?
そりゃあー
「な…なんとな……く?」
《 …… 》
「「「「「「 …… 」」」」」」
《 …うっわ、アンタ…やっぱり一度、死んどけば? 》
駄女神に引かれた…。
あれ!? なんでかみんなに侮蔑の目で見られてる!?
というか、わかるよ!? 流石に分かるけど、はっきり言えるかぁ!!
《 はい、そんな訳で…女性の敵である貴方には、ここで少し、学んでもらおうかとも思いました 》
…み。
味方だと思っていたエリス様が…結構、キッツイ事を仰られました…。
《 私も女神です。いいですか? 女の神です 》
「」
《 ある意味、良かったです。貴方があの最後で、泣ける人間で。でなければ見捨てていた…かもしれませんねぇ 》
なんだろうか…にこやかに喋っているって感じはするのだけど…。
言葉に怒気を感じるのは、なんでだろう?
《 こちらに落ち度があるとは言え、いたずらにこれ以上、仕事を増やされても堪りませんし…はい、では次です 》
「いや…あの……」
《 次です♪ 》
……。
あ、はい。
《 では、その目の前の子を、次はお願いしますね 》
その子?
身長差があるので、軽く見下ろす。
うん…その目の前に立ってた。
なんかもう…目をキラッキラさせてんなぁ…。
「お…お……おぉ……」
手を握り締め、俺の顔を見上げている…。
「すっげ! マジで来た!!」
この非日常感を満喫するかの様に、興奮気味にはしゃいでいた。
「ぉぉお!! あんま変わってねぇけど、父ちゃん若っ!!」
と…父ちゃん……。
これはまた…。
「まだこの頃は、髪あったんだぁー!!」
「」
……な…んだ…と……。
ちょっと個人的に、聞く事ができたな。うん。
うん…この…パンチパーマの男の子に。
「すっげ!! あはは! なんにもねぇ! なんだここ!!」
「いや…ちょっと待て、詳しく聞こうじゃないか」
今お前、最後なんつった?
「…みぽりん」
「西住先輩…」
「…うん」
「誰のお子様か、すぐに分かりますねぇ」
「え? 誰ですか?」
「まず、年齢と名前を教えてくれ…」
一応…俺が親らしいから…坊主とか他人行儀な言い方は避けよう…。
しっかし…。
「は? 何ってんの? 父ちゃん」
「いや…だから……」
「あ! そうか!! 昔だから知らねぇのか!!」
話が早い…のか、遅いの分からん…。
というか…顔が完全にガキの頃の俺だ。
髪はパンチパーマだけどな。
「俺、隆成! 10歳!! おぉぉ! すげぇ! 地面に俺の名前出た!!」
て…テンションたけぇ…。
名乗った瞬間、麻雄と同じく、地面に名前が漢字で現れた。
今度は、俺の名前の漢字を取ったのか…。
「よし、隆成」
「なに!?」
「…俺には将来、髪の毛が無いのか?」
ここ! 重大!! 重要案件!!
「ねぇよ? ハゲだなハゲ。一本もねぇ」
「」
…お…お子様……少し気を使え…。
「うん、なんかたまに、頭剃ってる」
剃ってる?
「母ちゃんから、どっちかにしろって言われてるみたい」
「…は? どっちか?」
「うん! パンチパーマか、ハゲ」
「……」
強制かよ!!
「どっちもカッケーから、俺は良いんだけどさぁ…お客さん、父ちゃんが店番すると、みんな逃げちゃうんだよなぁ」
「…客? いや待て…」
目頭を押さえる…ダメだ…。
ちょっと衝撃的すぎて…。
将来の俺は…今の証言からすると…パンチパーマか、スキンヘッド…どちらか選べと、奥さんに選択をさせられたと…。
それに客だと言ったな…。
何やっての俺?
「よし、隆成」
「なに?」
「まず、俺の将来の風貌…要は、見た目を教えてくれ」
「だから、ハゲ…「違う! それはスキンヘッドだ! ハゲとは違う!!」」
「ん~…んじゃ、それで…鼻の下だけ、ヒゲ生やして…」
……。
「もっと、筋肉あった」
……。
…………。
よし! 俺の体は、まだ成長できる!!
違う!!
なんだそのイカツイ格好!! 奥さん、何考えてんの!?
「後、客と言ったな…何してんの? 隆成ん家」
「喫茶店」
「…喫茶店? 床屋じゃなくて?」
「そりゃ、じいちゃん家だよ。戦車どお? とかのグッズが、いっぱい飾ってある喫茶店やってるよ」
「……」
ま…まさかの…
戦車道喫茶、経営者…。
「よし…あの中に、母ちゃんがいる…わかるか?」
「へ?」
隆成の頭を軽く掴んで、並んでいる女子校生達へ向けた。
「おぉぉぉ!! なんか、綺麗なお姉さんいっぱい!!」
「違う! そうじゃ……違わないが!!!」
「父ちゃん、なに言ってんの?」
「俺にも分からん!!」
みほ達が、呆然としているな。
そのまま、彼女達の前へ連れて行く…つもりだったけど、先行して走り出した。
この頃の男の子って、本来こんなもんか…。
とにかく落ち着きが無い。
「あー…すっげ。母ちゃん若っか!!」
真っ先に正面に立ったな…。
「わっ…私ですかあぁ!?」
はい、ゆかりん。
他に誰がいる?
> 秋山 優花里の場合 <
「うん…隆史君、聞こえてた…将来の優花里って、すごいね…」
「わ…私、そんな趣味はないですよ!? パンチパーマは兎も角…」
そっちはあるんか!!
早速、将来の俺の風貌について色々と、言われてますね…はい。
…確かにその二択なら、迷わず俺は剃る!
「あ~…そういえば…父ちゃんの頭の事で、母ちゃんに聞いた事あったっけ…確か…」
「ほっ! ほら! 何かやっぱり理由があるんですよ!! 私も強制的に、そんな…」
「 浮気防止 」
「「「「「「 …… 」」」」」」
「とか、なんとか言ってたなぁ…意味良くしらねぇけど!!」
あ…うん…。
まぁ…なんでだろう…なる程って呟きが、何名様から聞こえてきた…。
「あっ…後! 喫茶店? お店開いてるんだね!!」
沙織さんに気を使われた…。
「しかも戦車道喫茶…個人経営っぽいね」
「…隆史さんと、優花里さんなら…まぁ趣味のお店ですかね? 一度見てみたいですねぇ」
まぁ、みほの言う通りだな。
その風貌のおっさんを、チェーン店なら普通、雇う訳が無い。
「母ちゃんが、戦車どおの人達が来るから、父ちゃんの頭変えたって言ってた」
「「「「「「 …… 」」」」」」
また聞こえた! なる程って!!!
「お……ぉぉぉお……」
「どうした隆成?」
「父ちゃん! 今気がついた! わっかい!! わっかい!!」
何をはしゃいでる?
取り敢えず、頭をワッシャワッシャしてみた。
「…なんかもう…普通に尾形先輩、お父さんしてません?」
「…私としては、少し複雑だが…男親とはこういったモノなのだろうか?」
なんだろう…まほちゃんと、澤さんの友好度が上がってるな…。
「わっかい! って…何を……あぁ若いか?」
「この人達、華おばさんと、沙織おばさんだろ!?」
「「 …… 」」オバ…
うん…。
まぁ…はい。
未来でも交流が続いているのですね…。
お二方…子供の言う事ですから…ね?
「…お前、二人共知ってるのか?」
「うん? 母ちゃんの友達だろ? 良く店に来るよ? 後、マコニャンおばちゃんって人」
「…」
「後…あ……」
「え?」
みほを見たら、隆成が固まったな…。
どうした?
「あの…」
直立不動で動かなくなったな…。
まぁ、華さんと沙織さんとも交流があるなら、みほも…
「みほさん…」
「……」
どうした!?
何があった未来!!??
みほに対してだけ、さん付け!?
「す…すいません。ちょっとはしゃぎすぎました…」
敬語!?
カタカタカタ…
震えてる!?
「…みほ、なにした?」
「知らない! 流石に知らないよぉ!!」
まぁそうだろうけど…。
この位の子供の顔を、青くさせるって…みぽりん…。
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「隆史」
「ん? なに?」
まほちゃんが、話しかけてきた。
そういば、エリリンがいなくなってしまって、ある意味でアウェー感がすごいだろう。
澤さんと、何故か親しげになっていたから、大丈夫だと思っていたけど…さみしいのだろうか?
「…正直、初めは色々と…その、どうかと思ったのだが…」
「……」
優花里と隆成が、座り込んで話をしている。
初めは、なんか俺と交互に見比べて、微振動を繰り返していた彼女も落ち着いたのか…今は隆成と笑っている。
…うん、笑ってるよね?
「ヤークトティーガー!? あんなのただの、金くい虫じゃないかぁ!」
「何を言っているんですか! 全てはロマンで始まったんですよ!?」
「母ちゃん、昔からそれかよ! ロマン? ロマンで勝てるか!! あれ一輌のコスト考えろよ!!」
「なっ!?」
……。
うん! 多分、笑ってる!
なんの英才教育だよ! 10歳の子供がする会話じゃねぇ!!
「……!?」
「母ちゃん?」
あら…目があったら、俯いちゃった…。
…うん、ゆかりん、何回かバグったしね。
ココココドッ! ってのを繰り返してましたね…。
まぁいいや…その二人を眺めている、まほちゃん。
「…なんだろうな…色々な可能性を見ている内に…今は、楽しみになった」
「な…何が?」
楽しみって…。
「何って…お前との子供だ」
「」
は…はっきり言った…。
やめて…顔が熱くなるから! どうしたのまほちゃん!!
「…なる程。結構すんなりと言えるものだな…。普段なら口が裂けても言えないが……」
…いやぁ…?
結構、はっきりと爆弾落としてきそうですよ? 貴女…。
「これが先程、女神とやらが言っていた、「本音が漏れやすくなる」という奴か」
あの…。
というか、今回は駄女神大人しいな!!
こういう時こそしゃしゃり出てこいよ!! どうしたらいいの!?
「みほとの子も、興味がある」
「」
「…なる程な。これはある意味で楽だな。スラスラ言える……ちょうどいい……チョウドイイナ、コレハ…」
な…な……っ!?
い…いかん!!
なんかしらんが、まほちゃんに何かのスイッチが入った!!
「…記憶が残る、残らないの問題では、なくてだな……」
「」
……。
あ…
…………。
「…おい、聞いているのか、隆史」
白…。
純白…。
パールほわいとぉ…。
やはり、まほちゃんは白だな、白。
……というか…。
「…お前は私のどこを見て話…を……」
隆成…お前、優花里と話してたよな?
「……な…」
まぁ10歳くらいの男の子なら、分からんでもないけどな…。
やりそうな事…だけどな?
「なぁ!?」
相手、選べよ…。
視界に映る、10歳のお子様はまほちゃんの真後ろにいました。
まほちゃんのスカートを捲っておりました。
いや…左右をもって捲るとか…。
はい、全っっ開で……御開帳。
「ぉぉおお!」
おい、なんだ息子。
なんだ、その満面の笑みは…。
まほちゃんは、一瞬…思考が止まったのだろう…硬直して動かなかったね。
こういった悪戯には免疫がないだろうし…。
子供の頃からある意味で、恐れられていた彼女は、小学生の時にもこの手の被害にはあったことがなかったな。
うん…みんな本能的に死を直感していたのだろうね。
いやぁ…今更、スカート抑えても…遅いですよ?
ガッツリ見ました。
隆成の後方で…みほ達全員が、青くなってるな…うん。
では、せ~の…
「なにやってんだぁ!!」
しっかり見ていてなんだけど、即座に行動した!
隆成の腕を引っ張り、こちらに思いっきり引いた!!
「バカ野郎!! 死にたいのか!!」
「いや…綺麗なお姉さんがいれば…こうするのが礼儀だよね?」
「俺に確認とんな!! やるにしても相手選べよ!!」
「……」
ま…まほちゃ……ん?
「…ま、子供のする事だ。まぁいい」
まほちゃん!!!
大人だ! まほちゃん!!
「これが、公共の場なら……多少? オコッテイタカモナ」
まほちゃん!?
「あ…そういえば、この人知らない」
「バカ野郎!! いいからまず謝っとけ! 俺も一緒に謝ってやるから!!」
「え~……」
「良いと言った。…隆史にだけ、見られる分なら…まぁ、許容範囲だ」
や…やめて!!
普通に怒ってよ!! みほがスゲェ顔して……優花里!?
どうしたのゆかりん!! 表情が無いよ!? 真顔だよ!?
「え…なに? 父ちゃんの彼女? ふりんあいて?」
「どこで、そう言う言葉、覚えてくんだよ!!」
何故か、まほちゃんが笑顔で…。
「…惜しいな」
「惜しくない!!」
なに!? まほちゃんが壊れた!!??
「ねぇねぇ、父ちゃん。このお姉さん、本当に誰? ほんとに父ちゃんの彼女?」
「ち…ちがっ…!! この人は、みほのお姉ちゃんだ!!」
「 」
な…なんだ?
隆成の顔が…真っ青に…。
みほとまほちゃん、交互に顔を見比べていた…。
「こ…怖い人?」
「みほより数段な!!」
「」
「…おい、隆史」
まほちゃんは、黙ってて!!
「だから、先に謝っとけ…って!?」
お…俺の後ろに隠れた…。
これは完全に、避難態勢だな?
「こ…」
少し顔を出し…泣きそうな顔をして…
「このたびは…たいへん、もうしわけございませんでした……」
「「 …… 」」
意味は、良く分かっていないのだろう…が。
物凄く丁寧に…謝意を述べた…。
「……」
「……隆史」
「…なに?」
「私はそんなに怖く見えるのか…?」
………。
丁寧すぎる、子供の怯えに…珍しくまほちゃんがヘコんだ…。
「い…いや、そういう訳じゃ…。多分、こいつは、みほが怖いんだと…」
「」
あ、今度は遠くで、みほがヘコんだ…。
まぁ…この分だと、こいつが何か、したんだろうけど。
子供がガッタガッタと、引きつけを起こしそうになる程だし…。
一体みほは、何したんだ?
「お…おい、隆成。お前、一体みほに何した?」
「ま…」
「ま?」
「前に、父ちゃんの目の前で、スカート捲った…」
「…………」
「す……すっげぇ怒られた……笑いながら…すっげぇ笑いながらぁぁ…」
も…もはや語るまい。
「…………そうか、怖かったな」
「怖かったぁ!!」
まぁ…うん。
優花里が、まほちゃんにすっげぇ謝ってる中。
頭を撫でてやったら、本気で泣き出した…。
《 そろそろ次に行きたいんだけど…もういい? 》
あ、駄女神がやっと来た。
「あー!! はいはい!! この世界の私達が、何やってるか知りたいです!!」
沙織さんが、勢いよく手をあげた。
そういえば、麻子の時から妙にテンション高いなぁ…
《 え? えっと、武部 沙織さん…は、普通に専業主婦ってのしてるわね! 》
「 結婚できたぁぁああ!!!! 」
そら…貴女ならできるでしょうよ…。
あぁ、そうだ。最近現れてなかったよね、ゼクシィ武部殿。
いや…本当にどうしたんだろ、そのテンション。
聞いたら聞いたで、また怒られそうだから黙ってよ。
《 五十鈴 華さん…は、五十鈴流ってなんか華道って、言うのかしら? それの家元襲名してるわね…20代で…… 》
「…え」
うっわ!! めっちゃ怪訝な顔!!
《 異例の早さらしいけど…なに? 嬉しくないの? 》
「……いえ…私…結局、家に戻るのですね…」
《 なんか、下克上とでもいのかしら…五十鈴流の乗っ取りがどうの…って書いてあるけど…… 》
……。
「!! …ふむ。ならまぁ…及第点でしょうか? あら? なんですか? 隆史さん」
…やりそう。
と、しか言えねぇ…。
というか、それ聞いて、いい事思いつきましたぁって顔したのが、めっちゃ怖い。
「あの…私は……?」
みぽりん!!
《 大学で講師してるみたいよ? せんしゃどーとかいうのの 》
「先生!?」
《 一時、すごいもてはやされた見たいよ? 若い頃は、海外遠征……国際強化選手がどうのって、書いてある… 》
「わ…私が…」
《 あ、丁度、その男が結婚した時ね 》
ぼくは、だまっていたほうがいいよね?
「……………」
「みぽりん…結構、ふっきる手段がすごいね…」
「先程は、自衛隊…でしたっけ?」
《 んで、お姉さんの方は……まぁ、さっきの子と一緒ね 》
「……」
あ、なんか寂しそうな目をした…。
他の事とかしてみたいのだろうな…。
《 んで、そっちの秋山 ゆか…… 》
「はい?」
《 …… 》
なんだ?
優花里の場合は、息子から聞いて…
《 ねぇ? 尾形 隆史 》
「お前、俺は呼び捨てかよ。というか、なんだよその猫撫で声は」
《 あんた……いくら奥さん相手だからって… 》
「…は?」
俺のクレームを無視して…またドン引きの声…。
《 なに? あの紐 》
「「 ………… 」」
《 しかも二種類あるし…あ、でも最後位には、奥さんもノリッノリで着ているから…いいのかしら? 》
「「 ………… 」」
《 ここら辺の事は、私には分からいけど……ま、程々になさいね? 》
「紐? 紐とはなんの事でしょ? 優花里さ…」
「やめとこ、華…多分…聞くと後悔するから」
「そうですね。ほっときましょう」
はい、華さん。
貴女の声は、もはや届いてません。
「はい、優花里さん。子供の前でやめて下さい…」
「着ません! 流石にもう着ませんよ!!?? なんですか、二種類ってぇ!!!」
「あぁ……マイクロ…」
「またですか!? またですか!? またアレ持ち出すんですかぁ!!??」
「いやぁ…未来の事はなんともぉ…」
「なに、笑ってるんですか!!!」
「…優花里、多分な…未来の俺は…」
「っっんですかぁ!!!」
「 優花里の水着姿が見たいんだ 」
「その声、やめてください!!!」
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「はい! では、タラシ殿!!」
「はい…」
「アレか! ついにアレか!!」
なんの事か、分かっていないだろうに…変にはしゃいでいる隆成と、向かい合わせになる。
「な…なんかごめんな?」
「は? なにがですか!? は!!??」
…ゆかりん、ご機嫌斜め…。
「……あの……」
優花里の体が光りだした…って、はや!!
「お前…なにしてんの?」
「え? なにが? こうすりゃいいんだろ?」
「く…空気読めよ…」
「おぉぉ! マジで体光った!!」
子供に空気読ませちゃダメだと思うけど…いきなりだな。
すでに隆成の両手には、俺と優花里の手が握られている。
「では、優花里」
「なんですか? もう着ませんよ?」
「……」
「冗談です。なんですか?」
「…ま、うん。なんだろうな…こんな未来も…その、良いなと…思った」
「…そうですねぇ。私もそう思いました。うん、この子と話せて、楽しかったです」
「…だな」
だから、時間が残されている内に、その子供と最後の話だ。
この未来には、俺は行けないかもしれないから…な。
「ところで隆成。なんかお前、ずっと元気だったな…。話聞いて理由知ってるんだよな?」
「え? 父ちゃんが死んじゃうかもしれないって話?」
光る中…あっけらかんとしていた。
うん、だからだろうか。
終始こんなんだったから、こちらもある意味で、楽だった気がする。
「だって、俺信じてなかったもん」
「…は?」
その割には、この世界に順応してたな…。
ただ当然だろ? って顔には流石にビックリしたけど…。
「車に跳ねられても、死なねぇ父ちゃんだしな!」
「「 …… 」」
な…なにがあった未来。
なんか、すっげぇ笑顔で返してくる隆成を見て…ま、もう余計な事をいうのはやめよう。
「ま、いいや。お前と話せて…楽しかったぞ?」
「そ? いつもの父ちゃんと話してるみたいで……あ、見た目は違うか」
すでに体の光が、最大にまで達していた。
そろそろだな。
最後くらい、もうちょっと話して見たかったんだけどな…。
「母ちゃんとはどうだった?」
「若い母ちゃん面白かった!!!」
「はっ、面白いか…」
空いた手で、ガシガシと頭を撫でてやる。
最後に触れられて、よかった。
「…じゃあな」
二人の気配が無くなった。
閲覧ありがとうございました
誰の未来かネタバレになりそうでしたので、タイトルに表記しませんでした、
あんこうチーム全員無理でした! はい、嘘つきました、すいません!!
というか、未来へ書いていて面白くて、文字数ばかり伸びてしまうので、もうちょっと続きます
あ、もう時期やっとこさ環境がもどるので…PINKの続きかけそうです