転生者は平穏を望む   作:白山葵

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閑話【 トチ狂イ編 】~夢の終わり?~

 誰も口を開かない…。

 

 召喚されたとされる少女達。

 

 …二人。

 

 同じ世界線…。

 

 この世界に現れたという事は、確定事項で俺の子供…。

 

 彼女達もソレを理解しているのだろう…。

 …無言を貫く、西住姉妹。

 その目は、自身の娘達ではなく…すっごい俺を見ている。

 すっごい真顔で…。

 

「はいは~い。黙っていても仕方ないから、続けるわよぉ?」

 

 駄女神の呑気な声が響く…。

 まぁ…こうしていても仕方がないからなぁ…。

 

 その召喚された娘達はというと、自身の母親達を見る訳もなく、召喚者同士で見つめ合っていた。

 特に驚く事もなく…。

 

 そこが少し…怖い。

 

 どうなってんの? この世界線の俺は!

 

 

 

 

 

 

「はい! では、氏名と年齢! 教えて頂戴!!」

 

 フォローはする…と、そう言った駄女神様は、司会進行します! と、ばかりに、手を一人の少女に向けた。

 正直…ありがたい…。

 この能天気さは、今のこの空間には必要なのかもしれないな。

 

 あ…違うな。

 若干、笑顔が引きつっている。

 この世界線の全貌を知っている駄女神だ。

 その笑顔が引きつる程の、最悪の将来なのだろうか?

 

「……」

 

 その手を向けられた少女…。

 

 着ている制服は、黒森峰の制服。

 うん…すっごい…中学生の時のみほだ。

 完全に一致。

 見比べるまでもなく…瓜二つ…。

 

 ロングヘアーという所を除けばな。

 

 いや…よく見ると、結構違う所があるな。

 そりゃそうか、娘と言ったって全く一緒って訳じゃないよな…。

 みほと違って、少し目つきが鋭いのも、その為だろう。

 

 …ん?

 

 黒森峰の制服…?

 

 ま…え? 

 

 はぁ!?

 

 

「…尾形 ちほ」

 

 ぶっきらぼうに答えた、みほ。

 

 …じゃない! ちほ!

 

 幾つだ!

 高校の制服を着てるとか!!

 

「黒森峰学園・中等部。…今年で、13歳よ。これでいい?」

 

「……」

 

 13…。

 

 う…うん…なんだろう?

 高校生じゃなくて良かった…。

 変に安心している自分がいる…。

 

 そうか。あの制服は中等部での、制服でもあるのか…。

 というか、中等部なんて設立されたんだ。

 

 あ…みほが、小さくガッツポーズを取った…。

 あ……まほちゃんの顔が、青くなった……。

 

 苗字が「尾形」って事は、結婚したのは、みほの方か。

 

「えっと…ちほ…ちゃん?」

 

「なに? っていうか、お母さん…若い頃から、あんまり変わらないね」

 

 遠慮がちな、若い頃の母親…からの呼びかけに、淡々と答える娘。

 いや…堂々としている。

 

「そ…そう…なの?」

 

「うん。いつも大体、未成年に疑われるよ? 20代後半でも、たまに夜出かけた時とかさ。高校生に間違えられて警察に補導されてたらしいよ?」

 

「……」ホドー…

 

 う…うん。みぽりん、童顔だしね…。

 

「まほ叔母さんも、見た目がほっとんど変わらないや…。そんなんだから、人気があるのかしら? 西住流って」

 

 少し呆れた様に、みほとまほを見比べている、ちほ。

 

 大丈夫だ…うん。

 ちほは、普通にまほ叔母さんと言っていた…。

 骨肉の争いには、なっていなさそうだ!

 叔母さんと言われて、少し俯いたまほちゃんは、スルーだ!

 

 と、いいますかね?

 みほが、ちょっとキツめの口調で話している姿は、貴重…というか違和感がすげぇ…。

 喋り方が、ちょっとエリリンに似ている気がする。

 

 …違う、ちほだ。

 いや…再度、前言撤回。

 見た目、ほとんど…中学生時代のみほだ。

 

 しかし、西住流の名前がでたな。

 それと黒森峰か…。

 

「ちほちゃんは、戦車道をしているの?」

 

「えぇ、そうよ。戦車道を履修する事自体は、許されてるみたい」

 

「ゆ…許される?」

 

 なにか、限定的な言い方をされた…どういうことだろうか?

 

「はっ! はいは~~い!! 次!!」

 

 邪魔をする様に、大声で割り込んできた駄女神。

 ぐるんと体を回し、一旦話はここまでと、もう一人の少女へ手を向けた。

 

「…え? 私?」

 

「そうよぉ!! 他に誰がいるの!?」

 

 そう…もう一人の子供…。

 見た目は完全に、中学生時代のまほちゃん…。

 

 中学生の割に、非常に大人びた顔…キリッとした目つき。

 ちほと同じく、髪を伸ばし…一本の三つ編みにしている。

 

 三つ編みまほちゃんと言っても過言ではないので、非常にうれs…。

 

「ナンデモナイデス」

 

 みほに、ガン見された…。

 

 とか、ちょっと浮ついてしまった気持ちを、もう一人の娘がぶち壊した。

 

 たどたどしく喋る娘。

 

 何というのだろうか?

 

 一言で言うのならば、内気なまほちゃん。

 

 その娘の自己紹介…。

 血の気が下がった…。

 

「あの…かほ…」

 

「…ふむ、かほ……か」

 

 すでに自分の娘と確信しているのか、まほちゃんが噛み締める様に呟く。

 

 

 ― が。

 

 

 

 

 

「尾形 かほ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 >  西住姉妹の場合  <

 

 

 

 

 

「「「 …… 」」」

 

 

「その…13歳で、ちほと同じで…中等部……」

 

 待って…。

 

「戦車道を履修して…ます…」

 

 いやいやいや。

 

「は…はい! 良く出来ましたぁぁ!!!」

 

 駄女神のヤケクソ気味な、拍手が鳴り響く…。

 

「ちょっと待て!! どういう事だ、隆史!!」

 

「 」

 

「何を呆けている!!」

 

 まほちゃんが、両手で俺の顔をはさみ、がっくんがっくんと、力いっぱい元気いっぱい揺らしてますね。

 ちょっとゴキッて、首が鳴ったけど…。

 

「姓が、尾形だと!?」

 

「 」

 

 混乱しているようだ。無理もない。

 みほは、みほで…またマバタキを繰り返し始めましたネ!

 それより二人共、同い年なのは気にならないのだろうかね!?

 

 俺? 俺は今…どうやって死のうかとオモッテマスヨ?

 

「いやぁ~…やっぱりこうなったかぁ…」

 

「しみじみ言ってんな!!」

 

 逃げ道が、駄女神しかないですね!

 その、将来の親達のやり取りを、ちほは覚めた目で見て…。

 かほは、オロオロしている。

 

「隆史…お前が聞いてこい…」

 

 若干血走った目を近づかせ…責任を取れとばかりに、迫って来ないでください。

 …いやいや。

 多重婚とかじゃ…ないとは思うけど…。

 日本じゃなぁ…絶対にないだろうしなぁ…。

 

 漸く解放された俺は、フラフラと娘達へ近づく…。

 足取りは重く、多分…いや、絶対にこの世界の俺は嫌われているだろうと、確信を持ったまま。

 

 …二人の前に立った俺を、その二人は、普通に見上げている。

 

 ……。

 

 …………よし。

 

「…あの…」

 

「なに?」

「なんですか?」

 

 

 

 なんて聞けば…。

 

 えっと…あ~…。

 

 

 ……。

 

 

 

「…君達」

 

「だから、なによ」

 

「……」

 

 

「パパンの事、好き?」

 

 

 

 はい、襟首を掴まれました。

 はい、引きずられてますね。

 はい、まほちゃんですねぇ…。

 

「…私もお前に対して、怒る時は怒るぞ? 隆史」

 

 いやぁ…結構、怒ってらっしゃいますよ? 次期家元様。

 はぁーはぁー息を切らすように、呼吸を繰り返しておいでで…。

 

 そのやり取りを、ジト目で見ている娘ズが視界にはいった。

 従姉妹同士でのやり取りは、あまりしな…。

 

()()()…なんか別人みたいね。父さん」

「…あれが、素の性格なんだね」

「そういや、この前の…最後の時に、あんな感じだったか」

「あぁ、そういえば」

 

 

 

 ……。

 

 …………聞こえた。

 

 

「ぬっ!? なんだ隆史! 急に立ち上がるな!」

 

 若干、興奮しているまほちゃんを無視し、迫るように二人の元に戻る。

 俺も変に興奮…というか、何というか…。

 まぁ、混乱しているんだろう。

 

 だから、真面目に意識しての……確認。

 

 

「な…なによ」

 

 その姿に、雰囲気の違う、目つきが少しキツイみほが…じゃない。

 まぁもう、いいや!!

 

「はい! まず確認! さっきの答えは!?」

 

「は? そんな事聞いて…分かった! 分かったわよ!!」

 

 少しずつ整理していかないと、おかしくなりそうだ。

 そんな迫る俺に、引いている娘ズ。

 

 そして多分、そろそろ俺は吐血する。

 

 …胃に穴が開いて!!

 

「父さんの事?」

 

「そう!!」

 

 二人の娘は、一度お互いの顔を見合わせ、答えてくれた。

 

「普通」

 

「普通ですけど…」

 

「っっ!!!」

 

 

 父親を好きか嫌いでの二択で、普通と答える辺り! それが普通だ!!!

 良かった! そう言ったって事は、少なくとも嫌われていては無いみたいだ!!

 気を使った感じはしないからな! ちょっとさみしいけど!!

 

 ……。

 

 ………って、事はだ…。

 

 仲が悪いって訳でもないし…。

 

 マジで重婚…。

 

 いやいやいや…。

 ここで、最後の確認…。

 

「えっと…ちほ?」

 

「なに? …そろそろウザイんですけど?」

 

「……」

 

 腕を組んで、疲れた様にこっちを見上げる。

 そのセリフ…。

 みほの顔で言われると…結構、堪える…。

 

「君のお母さんは、みほだよな?」

 

「だから?」

 

 …うん。

 年頃の娘の反応だ…。

 両手を降参…の様に上げて見せ、数回頷く。

 

 次だ…ここだ。

 

「かほ…」

 

「はい?」

 

「…君のお母さんは?」

 

 そう…あからさまに、まほちゃんの子供だ。

 だが、尾形の姓。

 どういうことだろうか?

 法律が、マジで変わったのだろうか?

 後は…………。

 

 ―が。

 

 そのかほからの答えが、予想とかけ離れたモノだった。

 

 

「どちらの、母ですか?」

 

 

「 」

 

 

 ど…。

 

 

 

 

「何を驚いて…あぁ…そういう事…か」

 

 ちほが、何かを察した様に…薄く笑った。

 だから、みほの顔でそれはやめて! ちょっと癖になりそう!

 

「私のお母さんは、そちら。尾形…じゃない、西住 みほ」

 

「なっ!?」

 

 あ…まほちゃんが、愕然とした。

 みほの苗字を、尾形と呼んだ時点で、確定した。

 

 …これは、みほの未来だ。

 

 娘達からすれば、それが普通。

 特に気を使う訳もなく、普通に言い放った。

 

 さらに…

 

 

「それで、ですね。そちらが、私の…()()()

 

 呼称が少し変わった…。

 まほちゃんが、しほさんを呼ぶ様に…お母様と。

 彼女の方向を向き、淡々と呼ぶ…。

 

 

「西住 まほ」

 

 

 

 これで何回目だろうか?

 胃に多大なダメージを与える、痛恨の一撃。

 そして、流れる静寂…。

 

 信じられない様なモノを見る目で、娘を見つめる…まほちゃん。

 

 ……。

 

 もはや、浮気とかそんな話じゃない…。

 どうなってんだ!? この未来!!

 

 みほは、口を押さえ、呆然とし、まほちゃんは、片手で目元を押さえている。

 二人共何か、ブツブツと呟いているが、俺には聞こえない。

 …何となく想像はつくけどな。

 

 駄女神は…駄目だ!!

 現実逃避で、どこか眺めてる!! なにがフォローするだ!!

 先程までの様に、補足しろや!!

 

 

 

「 補足します 」

 

 

 

 突然、後ろからの声。

 その、何度か聞いた事のある声に、一斉に振り向く。

 

 一人の女性が立っていた。

 

 薄紫のロングヘアーに、白と紺色を基調としたドレス? とでも言うのだろうか?

 白いロングスカート…どこぞの痴女神にも、見習わせたい清楚な格好…。

 

 正統派と言っても過言でもない、美女がいた。

 

「なによ。アンタも来たの?」

 

「…隆史さんのご希望でしたので。そんな訳で先輩? お帰り頂いて結構ですよ?」

 

「はぁ!?」

 

 …痴女神の不満な顔で、すぐにピンと来ました。

 なる程…。

 

 これがエリス様!!

 

「先程までの…もう一つの声。それが私、幸運の女神…エリスです」

 

 みほ達が、驚くなか淡々と自己紹介を済ませた。

 神々しくも感じる彼女に対しては、どこぞの駄女神と違い、すぐに納得したのだろう。

 

 うん…だが、俺の目は誤魔化せない。

 

 そう、あれは確かに。

 

 確かにパッ「…女神に対しての不敬は、厳しい対処をしますよ?♪」

 

「……」

 

 すげぇ、冷たい声で微笑んだ…。

 

「では、補足します」

 

「えっ!? ちょっ!! 私の仕事、取らないでよ!!」

 

「あ、エリス様。お願いします」

 

「なんでよぉぉ~!!」

 

 なんか…このやり取りが、お約束みたいになってきたな…。

 …はっ。

 シリアスっぽい雰囲気が、緩和できて丁度いい…。

 では…と、一言、補足が始まる。

 

「…この未来は、先輩が先程仰った様に、ある意味で最悪と言ってもいいです」

 

「ムッ」

「なによ? 最悪?」

 

 

 あ。

 

 エリス様の物言いに、娘達が少し、睨むように食いついた。

 まぁ、自分の世界を最悪だと言われれば、そりゃそうだろ。

 

「えぇ。最悪です。彼女達からすれば……最悪の()()()()()です。違いますか?」

 

「「……」」

 

 タイミング…強調したかの様に言った、エリス様の言葉に、二人の娘が食い下がった。

 なにか、納得出来る事があったのだろうか?

 

 

「でもぉ? タイミングが最悪って言うけどさぁ…」

 

「なんだ? 駄女神」

 

「なんですか? 先輩」

 

 話の腰を折るように、駄女神が呟いた。

 

「ある意味で、ファインプレーじゃないのぉ? 一ヶ月くらい前の、あの娘達なら…アンタ、助けて貰えなかったかもよ?」

 

「は?」

 

「あ…」

 

 エリス様が何かに気が付いたように、声を漏らした。

 

「西住 みほさんは兎も角、あの娘達…西住 まほさんの事、憎悪してたわよ?」

 

「……」

 

「…憎悪」

 

 俺だけでなく…まほちゃんまで?

 その言葉に、まほちゃんの顔が少し暗くなる。

 

 二人の娘は、その言葉に目を伏せていた。

 事実…なのだろうか?

 

 

 

 

 

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 エリス様の補足。

 

 この世界線は、みほとの世界線。

 やはり、20代で結婚をしたらしい…。

 ただ、それは円満だとは言い辛いものだった。

 

 そう、俺のせいで。

 

 勘当。

 

 縁を切った。

 

 すでに無関係。

 

 …とは、言い切れなかった様だ。

 

 昔程ではないとはいえ…西住家と、因縁浅からぬ流派。

 

 島田家。

 

 その血族。

 

 俺の事だな。

 

 どうにも良くある権力図。

 …家元の上。

 長老…とでも言うのだろうか?

 引退しても、権力を継続して所持をしている連中。

 

 …俗な名称、相談役。

 

 分家を含めた、隠居した連中が、俺という存在に食いついた。

 それなりに歴史の有る家柄…発言権は、今現在も絶大で…現役家元のしほさんすら、ねじ伏せたらしい。

 

 西住流家元…その次女とはいえ、島田の血族なんかとの婚姻なんて、論外。

 そう言い捨てたらしい。

 西住の家に、島田の血を入れたくない。それが理由…。

 後は、陰謀論ってやつか。

 勘当されたはずの、母さんの息子。

 その息子が、当時の家元…千代さんと、その娘と懇意しているという人間関係。

 

 …なにか、島田家が企んでいるのでは? ってさ。

 

 

「あれ…でも、俺とみほは、結局は結婚したんですよね?」

 

「え? あぁ、それは割と簡単に」

 

「はっ!?」

 

 重々しい雰囲気で語り始めた割に、あっさりと言い放った。

 何故か、ここでエリス様の雰囲気が和らいだ。

 

「私達、ここでの事は、お祖母ちゃんから聞いてる」

 

 ちほが、軽く手を上げて発言した。

 ……うん。

 お祖母ちゃんって…しほさんの事だろうな…。

 なんだろ…すごい複雑…。

 

「呼び出された、お父さんが西住流…それも偉い人達の前で、言い放ったんだって」

 

「うん…私も聞いた。色々と疑われ、散々責められてる中で、空気を読まない様な言い方で…って、お祖母ちゃん、今だに嬉しそうに言うね」

 

 なに言った俺…。

 空気を読まない言い方って…。

 

 

「えっと…『 西住家なんて、どうでもいいから、みほだけ貰ってく 』…だって」

 

「……」

 

「後、確か…その場で、お祖母ちゃんに宣言させたみたいだよね」

 

 宣言させたって…。

 何故か、嬉しそうに説明してくれる娘達に対して…困惑しかねぇ。

 なに!? その新しい、黒歴史! はずっ!!

 

「隆史さんは、どうも…反対の事をする様に、西住 しほさんに嘆願してあったみたいですね」

 

 反対の事?

 何と反対の事だ?

 

 エリス様の言葉に、少し考えてみた。

 俺ならどうする?

 

 ……逆…反対…。

 

 ……。

 

 

 そんな状況なら…そ……あ…。

 

 ちほの少し、楽しそうな声が答えを教えてくれた。

 

 

 

「お母さんと、西住家との絶縁の宣言…だってさぁ!」

 

 

 

 

 

 縁切り。

 

 絶縁。

 

 みほの勘当…。

 

 いつか…しほさんを説得した事…。

 

 それの反対…。

 

 勘当された者同士…グダグダ言われる筋合いなんて無いからな。

 両人、家筋なんぞ関係なくなる。

 

 なにか、楽しそうに喋る女神様と娘ズ。

 

 

「ま、それでも色々と言ってくる人は、それなりにいたみたいだけどさ、後は勝手に籍を入れちゃったんだってぇ」

 

 …。

 

 …………。

 

 そんな無茶をした為、母さんは破門になったらしいが、特に気にしている様子もないようだ。

 戦車に乗る事を禁じられたそうだけど、無視したらしい。

 なにか言ってきても、法律で縛られないし、何より腕っ節で、かなう人類がいなかった為に、好き放題を継続中…らしい。

 西住家を名乗る事は、出来なくなったらしいが、それも特に気にしてない…との事。

 

 オカン…。

 

「……」

 

 将来の自分のしでかした事…とはいえ、なにその行動…。

 恥ずかしさが先行するね。

 はしゃぐ三人を眺めつつ、当人のもう一人。

 先程から、一言も喋らない方がいますね。

 

 まぁ…複雑だろうな。

 

「…なんか、すごい事してるな…俺。なぁ? み…ほ…………ぉ!?」

 

 はい、様子を伺おうとした先…もう一人のご当人様が…。

 

「 ッ! っっ!!! 」

 

 …すごい、真っ赤になってますね。

 あ…あの…すっごい、目に涙溜めてますね…。

 

「ふっ!? た…隆史君! ちょっと今、見ないでぇぇ!!」

 

 目が合った瞬間…しゃがみこんで、ふさぎ込みましたね…。

 すごい、その反応は恥ずかしいのですけど…。

 

 む…俺のする事は……頭を掻く事くらいしか無いですね…。

 

「……」

 

 ま…まほちゃんを見れない…。

 その理由をそんな事で、誤魔化す…。

 

「はぁ~い。感動している所悪いけど…ここからよ…この男のゲスさは…」

 

 青いのが、なんか面白くなさそうに発言した。

 お前、フォローするって言ったよな? なぁ!!??

 

「…西住 まほさんは、そんな状況は全く知らないで、ドイツにいました」

 

「まぁ? だからといっても、全く帰らないはずがない。尾形 隆史がいるなら尚更。…それに日本人なら、お盆や年末とかで、帰国するでしょ?」

 

「…言葉にするのは、心苦しいですが……帰国した時に知るわけです……その現状を……」

 

「はぁ…ほっとんど、現状を知らせる機会も無いまま話がついてしまった」

 

「それに、余計な事で次期家元の勉学の邪魔をするなという、隠居からの妨害…」

 

「だからこそかしら? …ショックは、計り知れなかったと思うわよ?」

 

 交互で喋りだす女神達。

 駄女神ですら、多少は神妙な顔をしている。

 

 …多分、俺はその状況を想像してはダメだろう。

 そんな権利は無い。

 

 まほちゃん…。

 

 娘達は…あれ?

 固まっている……?

 心理的にではなく、物理的に…微動だにしない。

 

 まさか…。

 

「西住 みほさんは、お優しい方…そして、アマイ。…だからこそ許してしまう…いえ、しまった」

 

 唐突に出された名前。

 呼ばれた本人は、不意打ちだったのだろう。

 話を殆ど聞いていなかった様だ。

 少し、ボーっとしている。

 

 …違う!? みほも止まっている!!

 

「はぁーーーーーーーーーーーーーーー~~~~~……」

 

「な…なんだよ、駄女神…」

 

 頭を押さえ…心底呆れた…そんなため息。

 …うん、すっげぇ長いな。

 

「アンタの、色んな世界線を見てきたけど…」

 

「……」

 

「アンタの女性関係は、真面目な世界線と下衆な世界線の落差が、ひっどい…。大気圏から深海の海底程ね」

 

「…どうい「その娘達…誕生日の誤差が、一週間です。……しかも、同い年……意味は解りますか? 」

 

 言葉を遮ってハッキリ言った。

 呆れた顔で、顔を赤らめて…。

 

「ま…まぁ!? それなりのドラマは、あったのですけどね!!」

 

 そして駄女神は、顔を上げ…見下す目で、俺に対して侮蔑の表情で言い捨てた。

 

 

「この…クッッソ、ど変態」

 

 

「 」

 

 

 

 

 

 ―そして、時は動き出す。

 

 

 

 

 

 

 ……

 

「あれ? 隆史君? どうしたの?」

 

「……」

 

 気を使って、俺以外には聞こえないようにしてくれていたようだった。

 動き出した瞬間、俺はどんな顔をしていたのだろうか?

 いきなり、心配されました…みほに。

 

「…隆史」

 

 まほちゃんにすら、心配する声をかけられ…

 

「……」

 

 ちょっと待て。

 

 声を掛けられた方向を見ると、まほちゃんが…いや! まほちゃんの顔が真っ赤に燃えてる!!

 今にも泣き出しそうな瞳…潤んだ…。

 

「……」

 

 なにか、喋ろうとしているのだろうけど…声がでないて感じか?

 

 はっはーーーーーー!!!!!

 

「あ、西住 まほさんは、通常営業よ?」

 

 駄女神が、ニヤけながら言いやがった!!

 エリス様は、驚いた顔で駄女神を見ている!!

 

 よし! てめぇの独断か!!!

 

「…………」

 

「ま…まほちゃん?」

 

「はっ…。女神達に経緯を聞かなくとも、私がどうしたか…簡単に想像ができてしまった…」

 

「っ!?」

 

「ならば、納得するほかあるまい? …まぁいい。だが、まだ現状の説明になっていないな」

 

 

 そうだな…。

 まだ…まだ……まだぁ。

 というか…なんか、俺って…見境がない…。

 

 自分自身に自信がなくなってきた…。

 

「…そのまま、ドイツへ戻った西住 まほさん…。全てを隠し、そんな体では休学する他ない。…そしてそのまま…ドイツで……」

 

「……」

 

 大分言葉を濁し、端折った。

 ちほ、かほがいる前という事も有るだろうな。

 まぁ…うん。俺でも流石に察することができた。

 

「……」

 

 …俺は……。

 

「…しかし、それもすぐにバレてしまう」

 

「ま、当然よね」

 

 島田との子供。

 しかも、次期家元が…更に西住に弓を引き、その妹を攫った男の子供。

 

 ……。

 

 激怒…それすら生ぬるい。

 西住家の完全な敵となる、俺…。

 

「…ま、後は簡単よね?」

 

「なる程…そうだな。あの老害共なら、殺害まではしなくとも…適当に養子にでも出して…あぁ、なる程な」

 

 まほちゃんは、何か予想が出来るのか…ひどく苦々しい顔をしている。

 

 そんな事をするくらいなば、かほの親権は俺に譲る…そういった運びになったそうだ。

 それに対して、みほはそれなりに悩んだそうなのだけど…まぁ…うん。

 結局は、それも許し…かほも、家族となったそうだ。

 

 娘達が、成長していく上で、しほさんもまほちゃんも、よく顔を出したようだ。

 まほちゃんは、母親だという事を隠して…。

 …いや……でも、週三で来るのはどうだろうか?

 

 その西住流そのモノのお二人様は、娘達にはデレッデレだったようだ。

 我儘させ放題だったらしい…それで、今度はみほと衝突したり…。

 意外だ…。

 まぁ、男でも自身の息子に厳しい人が、孫にはクソ甘くなる人がいる。

 しほさんも、その部類なのだろうな。

 

「ま、その流れも、あの娘達にバレるのだけどねぇ…」

 

「…は?」

 

「尾形 かほさん。…どうにも、実母に捨てられたと勘違いをした様で…その後、色々とありましたね」

 

「……」

 

 その言葉に、顔を伏せるかほ。

 捨てる…とは、違うだろ…。

 多感な時期とは言え…なんで、そんな考えに…。

 

「簡単に言えば、騙されたのよ。分家って奴の男にね」

 

「…騙された?」

 

 

 

 

 娘達からすれば、数ヶ月前の話。

 思春期が始まる時期だ。

 

 その頃までは、多少の歪みがあったものの、それなりに順風満帆。

 俺はなんか…日本戦車道連盟に、ほぼ強制的に就職させられた様で…。

 事務方とか、モロモロ…。

 まぁ、その方が西住家の動きが分かる為に、素直に働いている様だった。

 

 みほは、いわゆる専業主婦という奴らしい。

 こ…ここに来て、みぽりん…漸くまとも…。

 

 異母姉妹の娘達は、その事実は知っていたモノの、それなりに仲良くやっていっているみたいだ。

 かほ曰く。

 若干ちほが、シスコン気味で困っているらしいけどね…。

 

 その頃には、老害共が、高齢だった為、少しずつ数が減り…。

 実績を重ねていった、しほさんの発言力が高くなっていた。

 娘達への風当たりも、大分緩くなり、西住の名前を名乗らなければ良い…くらいにはなったそうだ。

 

 ちほ、かほ達にも、戦車道を本格的に、学ばせる為に黒森峰へと入学させた。

 しほさんの後押しも有り、割とすんなり。

 ま、血筋は隠さなければならなかったけど。

 

 別の事が、そこで発覚…。

 

 …娘達は、いわゆる天才だった。

 

 幼い頃から、現:西住姉妹と西住流家元の教えを、それなりに受けていた様で…。

 それぞれの特徴を生かし…なんというか…。

 

 ちほは、いわゆる…ヤンチャみぽりんが、そのまま成長したって感じだった。

 気が強く、攻撃的。

 しかも、西住流が根本に有り、みほの臨機応変さも兼ね備え…なんか、悪魔とか言われ始めているらしい。

 …なんかね? 容赦が全く無いらしいの…。

 相手のプライドをヘシ折る事に、生きがいを感じてんじゃねぇの? くらいに言われてるって!!

 

「は? 何が悪いのよ。るぅる内の事よぉ? 反則なんて、汚い真似はしてないわよ?」

 

 悪びれる様子もなく…ハッキリ言い切った。

 …何をどうするかは、聞かない方が良いのだろうな…。

 

 かほは、それとは対照的。少し気の弱い、まほちゃんって感じらしい。

 根本には、西住流。…簡単に言えば、迷いが一切無い、みぽりん。

 やはりこちらも、みほらしい戦術を得意とし…更には西住流の家訓を上手く取り入れていた。

 

 育ての親に似たらしく、お姉さん属性を持ったみほ…って言えば良いのか…。

 礼儀正しく、勇ましく…こちらはなんか、天使とか言われ始めているらしい。

 

「……ぅぅ」

 

 あらま、赤くなって…。

 なんか、弱々しく照れた、まほちゃん見ているみたいで…いいな!!

 

「んで、その分家の子供も、たまたま入学。そのせんしゃどーとやらで、ぼっこぼっこに毎回されてるみたいね」

 

「あぁ…なる程。僻まれたか」

 

「大人の方々は、当然その事を知っていましたしね…で、歪んだ情報を直接、吹き込まれたという事ですね」

 

「……」

 

 何を言ったか知らないが…そんな奴が、いるのかよ。

 って事は、現在もいるって事か…。

 

「しかも、若い頃…ま、現時点でのアンタ達ね。…どうにも西住姉妹…特に西住 まほさんに、かなり入れ込んでいたみたいでね…」

 

「…は?」

 

「よりにもよって、二人共まとめてアンタに取られたからさ! そりゃ腸煮えくり返るでしょうよ!」

 

「…言い方…考えろ、駄女神…」

 

 子供の前で、何て事言いやがる…。

 しかし、すでにそっちの話は、娘達の中では消化されているのか…。

 違う意味での侮蔑の視線を感じますね…。

 似てるなぁ…親子だなぁ…。

 

「…あいつか」

「……あっ」

 

 みほ達が、何かに気が付いたように…って、なに!? その顔!?

 二人共、眉間に皺を寄せ…すっごい嫌そうな顔してるよ。

 

「隆史が、転校した直後…やたらと連絡を寄越してきたな…そういえば。その頃からか…」

「お姉ちゃん。…私、あの人…嫌い」

「名前を出す事すら、虫唾が走るな…決勝戦の時にすら顔を見せぬのに、手紙一つで、何が応援していた、だ…気色が悪い」

「でも、見たくはないよね?」

「当然だ。…みほの方へは、お母様が完全にシャットアウトしているから、安心しろ。余計なモノは届かない」

「そうなんだ」

 

「……」

 

 …みほが…人を嫌いだと、ハッキリ言った…。

 あそこまで言うのって、初めて見るな。

 …本当に、どんな奴なのだろうか?

 

「―で、先週。その娘達の世界線での話…で、解決! 万事OKよ! 誤解も解けたわ!!」

 

 ……。

 

「ちょっと待て、駄女神。端折るな」

 

「いいじゃない! 解決したんだし! その子達の誤解も解けて、おーるぐりーん!!」

 

「いや…まず、娘達を騙くらかした野郎は、どうなったんだよ」

 

 いきなり始まり、即終わりじゃ消化不良だろうが!

 見ろよ! みほ達も固まっちゃったじゃないか。

 

「はい! じゃあ、補足は終わり!! 次行こうか!!」

 

「…おい、無視すんな」

 

「いやよ!! アンタ、絶対怒るから! 私関係ないのに、私に絶対怒るから!!」

 

「関係ないなら、怒んねぇよ! 何があったんだよ!」

 

「いや! アンタみたいな嘘つき、信用ならないわ!!」

 

 頑なに喋ろうとしない、駄女神…。

 くっそ!

 

「ふむ…流石に気になるな」

 

「……」

 

 援軍が来た!

 その軍の中から、返答があった。

 …結構、露骨に言いますね。

 

「あぁ、アイツね。アレは、父さんが潰した」

 

 潰したって…。

 

「うん…お父さん、すっごい怒ってた」

 

「勝手に父さん挑発して、勝手に怒らせて…勝手に勝負挑んで、負けて潰れた。間抜けよね」

 

「うん」

 

「俺…なにしたの?」

 

「お父さんの知り合い総動員して、アイツが後に引けない状況した後に、派手に惨めったらしく、大衆の面前で無様な姿を晒させながら、蹴散らしたの」

 

 ……かほ。

 君も、結構言いますね。

 

「いつもお母さんにセクハラして怒られてる、父親に見えなかったわ!」

 

「」

 

「うん、お母様にも結構それやって、怒られてるよね」

 

「」

 

「お母さんは、お尻」

 

「」

 

「お母様は、胸よね」

 

「」

 

「死ねばいいのに! このクソ親父!」

 

「…それは、嫌」

 

 酷い事と、嬉し事を言われた…。

 

「…勝負? ふむ…アイツだとしたら、少なくとも戦車道だろう?」

 

「うん、そう」

 

「未来の隆史は、戦車を扱えるのか?」

 

 あ…そうだ。

 俺、あんな鉄の箱、運転出来ねぇ。

 

「できないよ? だから…」

 

「だから? 隆史は何をした?」

 

「あっはっは! あれは私も笑ったわ!!」

 

 かほとまほちゃんの横で、ちほが爆笑した。

 少なくとも俺、そん時怒ってたんだろ?

 爆笑するような…。

 

「相手は、わざわざ母さんが乗ってた、Ⅳ号戦車持ち出したの! まぁ、流石に母さんの戦車じゃなかったけど」

 

「…やりそう」

 

 みほが、すっごい…なんだろう…生理的に受け付けませんって顔をした。

 俺…この顔されたら、多分立ち直れない…。

 

「父さんは…」

 

 なんだろう…知り合い総動員って事は…でも勝負か…。

 誰かに頼んで戦車に乗って…俺の事だから、装填手辺りか?

 

 

 

「ママチャリで、対戦車ロケット担いでたわ!!」

 

 

「「「  」」」

 

 な…ナニソレ?

 

「直接潰さなきゃ、気がすまないって言ってたわよ!?」

 

 面白そうに、笑いながら…なんかスゲェ事言ってるな…。

 つか、俺の事だよな。

 

「俺…戦車相手にどうやって、勝つんだよ…」

 

「なんか相手がさ、戦車ハッチから体全体出して仁王立ち。んで、父さんを戦車で追い回してたの」

 

「あぁ…あの馬鹿ならやりそうだな…。とにかく自己顕示欲が強いからな」

 

「そうそう、そんな感じの人だったね。だからかなぁ?」

 

「うん。お父さん、そこら辺の石を投擲して、その人を戦車から落としたの」

 

 …あ。

 何となく分かった。

 

「後は、混乱した戦車に、ママチャリで近づいて…」

 

「なる程…後は、ロケットか?」

 

「違うよ?」

 

「なに?」

 

「父さん、戦車に飛び乗って…ハッチから侵入して、車内の人達全員、力尽くで外に放り出したの」

 

「「 …… 」」

 

「後は、もう一つの武器…車内にポテトマッシャー放り込んで…」

 

「「 …… 」」

 

「中を爆破…そのまま、距離とってランチャーで止め……って感じだった!!」

 

「隆史!!」

「隆史君!!」

 

「もはや、戦車道関係ないね! 歩兵一人に、西住流がやられた。しかも! 相手ママチャリ! そいつの面目丸つぶれってね。もう、西住流名乗れないねぇ~ってね」

 

「ギャラリーも凄かったから…その人、実質的に終わった」

 

「よくやった! 隆史!!」

「ありがとう! 隆史君!!」

 

「……」

 

 嬉しそう。

 皆、嬉しそう…。

 

 俺、どういう顔すればいいのだろう?

 

 というか、この姉妹にここまで嫌われるって、余程だぞ? ソイツ。

 

 それに、そこまで俺がやるってのも、余程の事だけど…。

 

 

 

 

「なぁ、駄女神」

 

「なによ」

 

「俺、その男に何言われたの? 俺がそこまでキレるって、そんなにないぞ?」

 

「…」

 

「怒らないから!!」

 

「……ま…まぁ、あの子達に言葉にして、言わせるのも酷よね…」

 

 お、めずらしい。

 先行して気を使ったよ。

 

「ほらぁ…気が使える相手にゃ怒らないからさぁ」

 

「…私じゃないからね? 言ったの私じゃないからね!!」

 

「わかってる、ワカッテル」

 

「ほら、あの子達って、島田家…要はアンタの血を引いてるわよね?」

 

 …ハッキリ言われると、少々照れるな

 

「まぁ、そうだな」

 

「だ…だから…散々、高校生の頃からの事言って、罵って……」

 

「だからって…高校の時? それが、島田と関係が…」

 

「最後にあの子達、指を指して…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 雑種って… 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「た、隆史!!??」

 

「隆史君!!??」

 

「ほらぁ!!! やっぱり怒ったぁぁ!!!」

 

 

 

「あ~あ…。父さん、またあの状態になっちゃった…」

「まぁ、この事件のお陰で、お母様との関係性も分かって、誤解が解けたんだけどね」

「……」

「……」

「そろそろ、言われてた時間だよね?」

「そうだね」

 

 

「隆史さん!! 落ち着いてください! 終わった事!! 終わった事です!!」

 

「…人間……特に暴れる訳でもないのに……ここまでブチギレてる事が、分かるものなのねぇ…」

 

「先輩! いきなり冷静にならないで!!」

 

「…隆史君…」

 

「……隆史」

 

「ほっ! ほら!! 人殺しみたいな目してますよ!!?? 娘さん達見てますよ!?」

 

 …ムス……メ…

 

 

「…姉さん」

「何?」

「父さん…私達、生まれる前の事なのに…未来の事なのに、あそこまで怒って…馬鹿だねぇ」

「ふふ…そうね」

「まっ…良かったかな。あんな気の多いクソ親父でも。」

「……」

「……」

「…ま、昔から変わんないって分かって……良かった」

「変わらない。…お母さんとお母様…結局、この先もずっと三人なのね」

「……なんだろう。改めて、父さんって女の敵だって思い知らされた気もする…」

「私の将来は……お父さんみたいな人は、嫌だなぁ…普通に浮気しそう」

「はっはー! 私も嫌かなぁ!!」

 

 

 

 ……ぬ。

 

 手に感触がある…。

 

 

 

「ほら、母さんも」

 

「…お母様」

 

 

 

 

 

 

 ---------

 -----

 ---

 

 

 

 

 

 光…。

 

 頭の中は真っ白だった。

 そりゃ、あんな事言われたら、ブチギレるだろう。

 理性がどうのって話じゃない。

 

 …俺、よくそいつ殺さなかったな。

 

 頭に登った血が、少し下がり…少し冷静になってきた。

 そこで初めて、繋がれた手に漸く気がつく。

 

 みほ。

 

 まほちゃん。

 

 円陣を組むように…丸く、繋がれた手…。

 

 

「…そういえば、何が最悪の未来だったんだろうか?」

 

「隆史君が、浮気する時点で最悪な気もするけど…」

 

 

 ……。

 

 光…。

 

 頭の中は真っ白だった。

 そりゃ、あん「誤魔化すな、隆史」

 

 

 

 …バレてた。

 

 

「タイミングが、最悪だと言ったのです。全てが丸く収まり…これからだって時に、隆史さんが死んでしまう…」

 

「…そりゃ確かにそのタイミングじゃ、俺としても、死んでも死にきれませんね…」

 

「あら、理性が戻ったのね。この嘘つ……睨まないで!!!」

 

 はぁ…最後の最後で…。

 

「…もう少し、話をしてみたかった気もするけどな…」

 

「まっ! しょうがないよね!! 父さんが全部悪いってのが、分かっただけでも良しとしないと!」

 

「うん。お父さんが悪い」

 

「……」

 

 みほに良く似た娘。

 

 まほちゃんに良く似た娘。

 

 どちらも愛娘…。

 笑いながら光輝いていく…。

 

「もう少し、私も話したかったけど…本来なら無理な事だし…」

 

「そうだね」

 

 いや…なんというか…。

 

「若い時点のお母さんが、こんな父さんのどこに、惚れたのか聞きたかった…」

 

 …ひどい。

 

「お母様の気の迷いを、正したかった……相手がお父さんじゃ…」

 

 ……何気に、かほって毒舌の気質あるよね!!

 

「…かほ」

「なに? お母様」

「……」

「……」

「ふっ…いや、何でもない。謝る場面じゃないだろうから…」

「そうだね…」

 

「えっと…ちほ…ちゃん?」

「なに?」

「…えっと……えっと…」

「……」

「え~~と…」

「えっとえっと言わない…。って、子供に言わせないで…」

「…ぅぅ」

「…なに?」

「ぉ…お腹出して、寝ないようにね?」

「………………」

「ぅぅう…気の効いた事が言えないよ…」

「…はっ…あははは!!」

 

 

 

 ―輝く。

 

 

 光輝く。

 

 

 

 

 最後の光。

 

 

 これで、終わり。

 

 

 

「じゃーね。パパ」

 

「さようなら。ダディ」

 

 

 

 うん、このタイミングでか。

 

 お前ら、確かに俺の娘だよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 全てが消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -------

 -----

 ---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぬっ」

 

「あ…あれ!?」

 

 戻っていない。

 

 戻ってはいなかった。

 

 記憶もあるし、胃の痛みは絶賛継続中…。

 

 

 そこは、何もない空間…。

 

 そこには、俺と…まほちゃんがまだいた…。

 エリス様と駄女神が、こちらを無言で見ている。

 

 

「……」

 

「ど…どういう事だ?」

 

「…………」

 

「みほは!? …いないな」

 

 周りを見渡しても、何もない空間が続いている。

 まほちゃんだけが、俺と共にいた。

 

「ふっ……ふふ……ふふふ」

 

「あの…まほちゃん?」

 

「…」

 

「なんで、腕を組んでるんすか?」

 

「あの…?」

 

「隆史…」

 

「はい!?」

 

「誰もいないな…」

 

「……あの? いるよ? エリス様と駄女神が…そこに」

 

「……」

 

 一瞥すると、すぐに視線を俺に戻した。

 

「誰も…いないなっ!」

 

「いる!! いますから!!」

 

「……」

 

「な…ん…っ!? 何してんの!!??」

 

「……既成事実という、言葉があってだな…」

 

「聞いて!!?? 俺の話を綺麗に無視しないで!!」

 

 だから、先程までの娘達とかぁぁ!!!

 当たる!! すっごいのが、当たってる!!!

 

 

「あのぉ…流石にここでは、困るのですけど…」

 

「猿か何か、アンタは」

 

「助けろよ!!」

 

「…そっちの娘が、睨むから嫌」

 

「っっとに、使えねぇな! オメェわよぉ!!」

 

「カズマみたいな、言い方しないでよぉ!!!」

 

「知らねぇよ!! 誰だよ、そいつは!!!」

 

 なんだよ!

 

 知らねぇよ! 

 

 昔の男か!?

 

 シェ○ブリットか!?

 

 どちらにしろ関係ねぇ!!

 

 

 

「……チッ」

 

 まほちゃんの舌打ちも、そろそろ聴き慣れたかな…。

 流石に興が冷めたのか…腕を離してくれ…「冷静に考えれば…ここでは意味がないな…」

 

「……」

 

 い…や…まぁ…。

 

 

「では、隆史さん」

 

「はい!?」

 

 冷静になれる時間がない…。

 エリス様が、微笑みながら佇んでいるのは、絵になるから良いのだけど…。

 

 

「さて…すべての工程が終了しました」

 

「…はい」

 

 

 

「 今回は 」

 

 

 

 …ん?

 

 今回?

 

 

「…さぁ…後、何回有るのでしょうか…?」

 

「あの…どういう…」

 

「ここからですね…貴方と伴侶となる方が出る度に…この様な事を繰り返さないといけなくなりました」

 

「……え?」

 

 痛い。

 

 腕が痛いなぁ……まほちゃん?

 

 

「現時点でも……まだ……かなりいますよ? えぇ…いい加減にしてくださいね?♪」

 

「」

 

「はい、では隆史さん」

 

「…はい?」

 

「もしかしたら、隆史さんと一生の付き合いをする羽目になりそうですね?♪」

 

「なぁ!!??」

 

「…それはそうでしょう? 自信のタラシ度具合を猛省してください」

 

「あっ! 私は知らないわよ? 今回の事で、私の責任は果たしたんだしぃ…」

 

 自分は関係ない…そう宣言した駄女神。

 いやもう…いいよ、それで。

 多分、放っておくのが一番被害がなさそう…。

 

「先輩?」

 

 なんか…様子がオカシイ…。

 うん、エリス様が変だ。

 

「なによ」

 

「……」

 

「……な…なによ……」

 

「死にたいんですか?」

 

「なっ!?」

 

「現状、大罪を隆史さんに許しを得ている状態…つまり彼は、命の恩人…」

 

「し…知らないわよ!!! 一度許してくれんたんだから、それで…「却下されたらどうするんです?」」

 

「……」

 

 あ…あの?

 

「…やっぱりやめる。その一言で…無に帰しますね?♪ 先輩?」

 

「」

 

 いや…そんな事しませんけど…?

 面倒臭いから…。

 

「ひっ! 卑怯よ! アンタ!! どうせアンタの事だから! 欲望の限り! 私をりょ…「 先輩 」」

 

「…いい加減にしないと、怒りますよ?」

 

「」

 

 

 …どうしたの!? 

 駄女神に、突っ込みすら入れられなかった!!

 

「…西住 まほさんを残したのは、証人です」

 

「は?」

 

「女神…その神が、人間に貸しを作った…それを無視なさるのですか?」

 

「」

 

 なんか話が、勝手に進んでいくんですけど?

 あの…まほさん。

 くっつきすぎ…話聞いてますか!?

 

「さて、隆史さん。何か普段、身につけている物とかあります?」

 

「…はぇ?」

 

 いきなり話を振られたので、結構間抜けな返事をしてしまった。

 なに? どしたんですか!?

 

「…私の……神威の加護を与えます」

 

「なっ!?」

 

 なんだ?

 駄女神の方が驚いてんな。

 加護? 女神様の?

 

「エリス、あんた! 流石に越権行為よ!? 生物に加護!? しかも神威!? あんた、幸運の女神なのよ!?」

 

「…」

 

「処分されるわよ…」

 

「違います。生物では無く、隆史さんが普段身につけている物。大丈夫ですよ」

 

「……」

 

「ここまでされたのです…命ですよ? 人間に神族が、助けられたのですよ?」

 

「……」

 

「もはや沽券の問題です…。意地でも、隆史さんには幸せになってもらいます…」

 

「……」

 

「それに先輩。…エラーが発生したの気がつきました?」

 

「……はぇ?」

 

「……」

 

「んっ!? も…もちろんにょ!!」

 

 にょ…。

 

 噛み方…。

 

「何が起こるかわからない…これはおん…神としての維持です」

 

「…オイ、コウハイ」

 

 女神同士の言い争いは、聞いていてもよくわからん。

 加護?

 

「なぁ、駄女神」

 

「もう、それいい加減にやめて!!」

 

 うん、無視だ。

 

「エリス様って幸運の女神なんだろ? 加護っての受けるとどうなるの?」

 

「…相性が悪すぎる…下手すると、因果改変…」

 

「因果? あれ? それで死にかけてなかったっけ?」

 

「そうよ! あんた、その加護を受けた物持って、宝くじにでも行けば!? 1等以外は、引けなくなるわよ!?」

 

「は?」

 

「神威の加護。…最高峰の加護…しかも幸運!? 因果律すら捻じ曲げて、強制的にアンタの都合の良い未来へ持っていくわ」

 

「ふ~~ん」

 

「ふ~~んって、アンタ…」

 

 なんちゅーもんを…。

 因果律ねぇ…。

 

「エリス様」

 

「…決まりましたか?」

 

「加護って言いましたか?」

 

「はい…」

 

 なんか、覚悟決めた顔してる所、申し訳ないのですけど…。

 

 

「 拒否します 」

 

 

「「 はっ!? 」」

 

 

「うん、いらね。余計なお世話です」

 

「…え? は?」

 

 拒否をされるとは、思っていなかったのだろうか?

 えらく驚いた顔をしている。

 

「い…いらない? 拒否!?」

 

 

「うん! 邪魔!!」

 

「」ジャ…

 

 何を驚くのだろう…。

 転生特典を蹴った俺だぞ?

 

「そんなもん受け取ったら…今までの未来の子供達と、誰とも会えなくなる」

 

「……ぁ」

 

 そう、そんなモンが無い世界。

 例え、大洗学園が無くなって……別世界線とやらに向かったとしても…。

 チート最大級の加護なんぞもらったら…それらが全て消えてしまう。

 

 何より…。

 

「運ごときで、俺の努力…主に筋肉が!!! 無駄になるのは御免被るな!!」

 

 努力…。

 

 報われない事もあるだろうな。

 

 いや、ほぼ人生なんて報われる事があれば…それこそ運が良い方だ。

 

「後…将来の嫁さん。婿になるかも知れないけど…運が良かっただけで、一緒になったなんて言いたくない」

 

 全てが運。

 

 幸運。

 

 いらん。

 

 そんな毒。

 

 麻薬と同じだ、そんな物。

 

「運が悪くて死んだ…それならそれでも良い。原因があれば、それを潰すだけです」

 

「…な…なんでこっち見るの!?」

 

 駄女神、お前が悪運だからだ。

 

「そういう訳で、余計な事するな、駄女神2号」

 

「駄女っ!!??」

 

 はっはー。

 アンタも結構、抜けてそうだしな。

 

 ……。

 

 …………。

 

「…隆史」

 

「えっと…なに?」

 

「ふふ…それでこそだ」

 

「なにが?」

 

 なんか…まほちゃんが嬉しそうに…。

 

「いだだだだ!!??」

 

 腕を決めるっっ!!??

 

「…いや。複雑だな」

 

 なにが!?

 

 

 

 

「…分かりました。ですが…それでは…私はどうしたら…」

 

「えー…」

 

 なんか、落ち込んだ顔した。

 少々顔が暗い…。

 あれだ…これは、ケイさんの時と何か似てる…。

 

 いやぁ……。

 

 

 なんか、気を使うの嫌になってきた。

 長時間…それこそ何年も付き合いがある感覚が、彼女達、女神に感じる。

 

 だからこそ。

 

 敢えて、言おう。

 

 

 

 

「…………めんどくせぇ…」

 

 

 

 

「はい!?」

 

「…いいよもう。これからも迷惑かけそうだから、それでいい。もうそれでいいだろ?」

 

「あの…なんか、口調が…」

 

「エリス、あんた真面目なのは美徳だけどな。いい加減にしろ。鬱陶しい」

 

「」

 

「俺が良いと言ったんだ。それで終わりだ。ケイとは違ってガキじゃないんだ。わかるだろ? 察しろ」

 

 

「…た…隆史?」

 

 

 素を出す。

 

 腐っていた前世。

 

 それなりに謳歌した現世。

 

 どちらも俺。

 

 混じり合って丁度いい。

 

 両方を知る人物だ。

 

 いいだろ。

 

 

「今の俺が不敬と言うなら、好きに罰しろよ。知った事か。…俺の人生に関与したんだ、最後まで面倒見ろ。それ良いだろ?」

 

「………しかし…」

 

 プライドだろうか?

 まだ濁す。

 

 言葉を濁す。

 

 

「じゃあ、何か? 神様が、人間ごときの言う事を聞く? 俺の女になれって言えば、なるのか?」

 

「おんっ!?」

 

「ならなねぇだろうが。なれないだろう!? ……いや…ほんっっっと面倒臭い…俺、元々インドア気質なのに…隠キャラなのに…」

 

「」

 

「はぁ。そういう訳で…もういいですか?」

 

「…分かりました」

 

 少し…なんか、微妙な顔になったな。

 

()()で、良いのですね?」

 

「ぁ~、はいはい。それで良いです」

 

 もう、何でもいいから帰してくれ…寝たい…。

 

 いや? 寝てるのか。

 

「た…隆史?」

 

「あ? すまん、まほ」

 

「まっっ!?」

 

 何を驚いているんだろ…。

 あぁ、久しぶりだな。

 呼び捨ては。

 

 まぁいい。

 

「これが、俺の素だ…多分。嫌か?」

 

「い…いや…」

 

 少し…今までの子供達を思い出した。

 胃が痛む。

 

 違うな…もっと、根本的なモノだ。

 

 だがそれ以上に…安心する自分がいた。

 

 …なんでだろうな?

 

 あぁ…くっそ…。

 

 

「あんた…やっぱり、魅了とかのスキル貰ってんじゃないの?」

 

 駄女神がうるせぇ。

 なんだその顔。

 つか、なんだそのスキル。

 

「まっ! …いいわ。もう少し付き合ってあげる」

 

 いらんなぁ…エリス様だけでいいや。

 

 

「…じゃあーね! クソ女っタカシ!」

 

 なんだ…?

 

 視界が…。

 

 薄まる視界。

 

 まほが…光り輝いた。

 

 …俺は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《    受諾完了    》

 

 

 

 

 

 

 突然、無機質な声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 --------

 ------

 ---

 

 

 

 

 

 

 

 

 …。

 

 和室。

 

 和室!?

 

 

 ……あぁ、そうだ。

 

 引っ越したんだった。

 比較的に、学校に近い。

 

 いやぁ…職場に近すぎるのって、すぐに呼び出される可能性あ有るから嫌なんよな…。

 

 ……。

 

 5時前か。

 

 目覚まし…あぁ、初日じゃこんな物か。

 

「……」

 

 なんか、言葉が浮かぶ…。

 

 浮かぶ?

 

 言葉?

 

 なんの…。

 

 エラー…。

 

 二人の子供…。

 

 子供…?

 

 誰の…俺の……子供……。

 

「……」

 

 なんの冗談だろう。

 

 はっ…。

 

 さて、飯作るか。

 

 昨晩、下拵えは済ませてあるからな。

 

 3人分…違うな、5人分だな。

 

 来るんだろうなぁ…あの二人…。

 

 まぁ、歓迎はしよう。

 

 問題ない。

 

 みほも、慣れてきた様な感じはしたし…。

 

 なんだろう…。

 

 次?

 

 次ってなんだ?

 

 そんな呼びかけがあった感じがした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ノンナさん…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女の顔が浮かんだ。

 なぜだろうか?

 

 ……。

 

 まぁ…今から来そうだし…。

 携帯…。

 

 メールが来ている。

 

 ……。

 

 寝ぼけてんのか?

 

 寝起きじゃ……あぁ、寝起きだ。

 

 寝ぼけんなぁ…。

 

 

「…くぁ……ぐっ」

 

 

 あくびを噛み殺し、携帯を確認。

 届いているメールを確認する。

 …いやぁ…うん。

 連絡くれるだけありがたい。

 

 多くは望むまい。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、来るってメール来たし…。

 

 

 

 

 

 

 作るか。

 

 

 

 

 

 ……。

 

 

 違和感がすっごい。

 無意識に顔を触る。

 

 ……。

 

 

「あれ…?」

 

 

 

 

 

 

 なんで俺…泣いてんだろ…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《 お父様? 》

 

 《 お父様 》

 

 《 お母様? 》

 

 《 お母様 》

 

 《 お父様? 》

 

 《 お父様 》

 

 《 お母様? 》

 

 《 お母様 》

 

 

 

 《 どちらかが、消えるね? 》

 《 仕方がないよね? 》

 

 

 《 選ぶのは、お父様? 》

 《 違う?  お母様? 》

 

 

 《 消えないかもしれない? 》

 《 消えないかもね ?   》

 

 《  error  》

 《 ERROR? 》

 

 《 選ぶのは、誰? 》

 

 《 MIHO? 》

 《 MIHO  》

 

 《 彼女が私を殺し、貴方を生かす 》

 《 彼女が僕を殺し、貴女を生かす 》

 

 

 《 梨里寿? 》

 《 威里寿? 》

 

 《 リリス 》

 《 イリス 》

 

 

 《 少し休もう 》

 《 多少の休息 》

 

 《 もう少し 》

 《 あと少し 》

 

 

 

 

 タダ…

 

 

 

 

 

 

 《 《    アノ女ハ、イラナイ     》 》

 

 

 

 

 

 




閲覧ありがとうございました

はい…うん。

まほVerの未来編は後々。
一番最初に浮かんだのは彼女。
大洗存続後は、その内…。

世界線別の子供は、基本的に全て名前は、同一となります。
性別が異なる場合は、別ですけどね。

ちほ、かほの世界線は、続きがあります。
本来のプロト…というか、最初に書こうと思った作品。
隆史(夫)が死亡し、本格的に壊れてしまったみほを、再起させるべく、
大人になったアンコウチームを、黒森峰に在籍している、みほの子供が、再結成させて、何とかみほを戦車に乗せて、子供達チームと試合し、復活をさせる…的なストーリーでした。

元々は、転生物では無かったのですね。

はい! バッドかグッドか良くわからない未来。

次回は…愛してるゲーム。

で、本格的に閑話…日常会が終わります。

はい、ブペ子さん。オファーですよ。


ありがとうございました

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