ダンジョンに白い兎がいるのは間違っているだろうか   作:さははさ

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EP.1

ダンジョンの五階層。その洞窟に足を踏み入れた人間。その手に持つ短剣はモンスターなるコボルトの肉を切る。洞窟内と言う空間でコボルトの悲鳴は木霊した。

 

「…こんなものか」

 

ため息と共にそう言葉に表した。白い髪に赤い目の男はベル・クラネル。鞘に短剣をしまい、コボルトに付けた短剣の傷口に手を入れ、肉体の中から光輝く石を手にした。その石は魔石と言い、モンスターの中にある核になるものだと思う。魔石が身体から離れた瞬間にコボルトは灰になった。モンスターの特性として魔石が離れると灰になる。その灰はまた、モンスターとなるためにこのダンジョンに取り込まれる。

 

腰にぶら下げていた巾着の口を開け、今手にしたばかりの魔石を入れる。中に元々入っていた魔石と重なり音がなる。そろそろ魔石が入らなくなってきたから今日は帰ろう。

 

「けどなぁ…」

 

少年は退屈していた。この五階層で生まれるモンスターと戦う事に。けど彼はバイトで生計している。彼が此処に訪れる理由はお小遣い稼ぎと運動を目的としてきており、長い時間ダンジョンにはいられない。だが偶には強いのと戦いたい。

 

「はぁ…リューさんに頼んでみようかな…」

 

でも向こうは女性の方だしな…んー…。そう考えていると。

 

『ヴモォォォォォ!!』

 

…初めて聞く鳴き声だな。五階層であんな図太い声のモンスターは存在していただろうか。でも、行ってみる価値はありそうだな。

 

声が聞こえる場所に向かう。そこにはミノタウルスと言われるモンスターがいた。見た目からしてなかなか強そうに見える。少しだけ興奮をした。

 

僕から見る限りではご馳走には届かないけど結構いいところの料理だけど向こうからしてみれば丁度良いご飯だろうな。僕を視界に捉えてから垂れ落ちる涎の量が増えている。

 

けどそれは、僕の事をなめていると言う証拠。

 

戦いの場においてそれは最早…。

 

『ヴモォォォ!』

 

威嚇をしてきた。向こうからしてはきっとこれだけで倒せると思っているだろうが、僕はそれ以上に怖いものを知っている。てか体験してるしこの後も感じるだろうな。あぁ、考えるだけで頭痛が…。

 

向こうはもう此方に向かって走っている。腰を低くした状態で、タックルを仕掛けてきている。この距離からもうこんな近くにいる。結構早い事を確認して、周りを少しばかり確認する。

 

ここに向かう際には誰にも会わなかったし、気配も感じなかった。この広場に繋がる他の道からも気配は感じない。この場に僕とミノタウルスしかいない。

 

迫る巨体の牛男。荒々しく、鋭いツノが僕に向かってくる。

 

少しだけ、楽しめる気がした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

やばいな。バイトの時間に遅れてしまうと、ベルはその足の動きを早める。ジャラジャラと魔石が鞄の中で当たり音が鳴る。結構邪魔で捨てたくなるが、捨てることは出来ない。

 

走り、急いで曲がり角を曲がろうとすると、人が現れた。

 

「あっ!」

「…?」

 

僕はすぐ様身体を捻り、勢いを殺さないままその人をかわし、曲がり角を曲がって走り去る。

 

「すいませんでした!」

 

走っていたためにぶつかりそうになったのだ。此方が謝るのが当たり前だろう。横を通る際、綺麗な金色の長髪が目に入った。とても綺麗で見惚れそうになったが、バイトに遅れて怒られる方が怖い。

 

なので走り去る。

 

「…今のはミノタウルスの血の匂い…?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「すいません!換金に手間取ってました!」

 

僕はその店の裏側の扉を開けてそう叫んだ。店の中にいた人達からは怒られるよりも先に「臭い!!」「お客さんが帰ってしまう!」と、早く身体を洗ってこいと言われた。周りを見た感じミア母さんは居ないようだ。さっさと身体を洗って働こう。

 

豊饒の女主人。僕はこのお店にバイトをさせてもらっている。

 

とある事情でこのお店の屋根裏にも寝床を貸してもらっている。

 

「…上から制服取りに行くか」

 

厄介払いされた後に僕はしくしくと屋根裏に行く。その後で身体を洗いに行こうとしたが。

 

「重役出勤とは良いご身分だ事だ…ベル坊?」

「ふぁ!?ミア母さん居たんですか!?」

 

あぁ…かなりお怒りのご様子で、先ほどのミノタウルスとは比にならないくらいの恐ろしさを感じる。

 

「…ベル坊、まさかミノタウルスの返り血を浴びたのかい?」

「まさかあんな勢いよく血が出るとは思いませんでしたから」

 

するとミア母さんは、はぁ…と、ため息を吐き。

 

「さっさと身体を洗ってきな。勿論今日はいつも以上に働いてもらうからね」

「…はい」

 

そして身体を洗った後、厨房に入り皿洗いを始めるベルであった。

 

 

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