銃奈「納得いかーん!もう一回、ねえもう一回!」
蒼「や、やめろって、パーカー引っ張るな!」
ファイトのすぐ後、銃奈はごねだした。
何でそこまでファイトしたいんだ。
銃奈「主人公になるために決まってるでしょ!看板あたしが奪って、「銃奈ちゃんウォーズ」の開幕なんだから!」
なんとも理由がメタいな。
自分が主人公に見えるのか、この群衆に紛れるモブ顔が。
プラグ「んで、アンタは何でコイツのバディになったんだ。えーっと、デスタールで合ってるよな?」
ライナ「それにあなたダークネスドラゴンワールドの《深淵》で《地獄》のモンスターだよね。ダンジョンワールドは地獄に近いわけでもないのに何でここに居るの?」
デスタール「ああ、吾輩は人間とモンスターを知るために此処に居たのだ。ここは異世界にして、人間に近いモンスターがそれぞれ個として生きているからな。地球に行く前に知っておきたかったのだ。」
デスタールはガレキと化した城を見上げて、他の世界にも行ったがなとぼやく。
不用意に槍降らせてすいませんでした。
ライナ「じゃあ、あなたの目的は何なの?」
デスタール「吾輩の目的は、この世の全ての世界を地獄に変えることだ!」
っちょ、とんでもないこと言いだしたぞこの人!
あ、人じゃないか?
って待て待て!
蒼「地獄にって、どういうことだ。それが人間とモンスターを知ることと関係あるのか!?・・・だから離せて!」
デスタール「それは!全てを地獄に変えたのち、全ての生き物に再教育を施すのだ!」
ライナ「再教育ってさっきも言ってたよね?何をするの?」
デスタール「それぞれの正しい生き方を叩き込んでやるのだ!あまりにも世界は変容し過ぎた。ダークネスドラゴンワールドのモンスターが畏怖の象徴とされなくなり、エンシェントワールドの竜たちは身近になった。ドラゴンワールドは進化し前に進むことより古い知識の保護が目的であるかのように振る舞う。煉獄騎士団の同胞の未来を守ろうとする生き様を忘れてな!」
色々言ってるが一切頭に入ってこない・・・。
ライナ「つまりあなたは、堕落したモンスターを、真モンスターに変えるって言いたいの?」
デスタール「そう、そして犯罪を犯す人間もだ!我らが堕落しなければ人間を戒めることが出来た。下らぬ争いに、消えぬ命もあったはずだ・・・。人間の、モンスターの、守るべき生き様を、吾輩は性根の腐った連中に示さなければならんのだ!」
遠い過去に思いをはせるような顔をしたデスタールは、その後に立てた爪で自分の心臓を叩く。
血の涙すら流しそうな表情だ。
何かあったのか?
デスタール「吾輩はあの日誓ったのだ。全てを再教育する、再生のための地獄を創るとな!そして、吾輩はついに見つけたのだ!」
プラグ「え、何をだ?」
デスタール「最初に地獄に落とし、社会の規範を教え込むべきアホをだ!」
あ、なるほど。
バディと言うより、再教育対象ね。
デスタール「このアホは恐ろしいほどアホでな!イワシのうまさも知らん特大のアホなのだ。そのうえ、異世界に行ける能力の使用を自重もできんアホだ!よってこのアホに吾輩は自らのアホさ加減とイワシの全て、能力のみだりな使用を抑えることを叩き込んでやるのだ!」
銃奈「アホアホうっさーい!地獄になんて落ちるつもり無いって!」
銃奈は耳をふさぐ。
プラグ「まあ、そっちの話はそっちでやってもらうとして、銃奈。とりあえず地球に戻ろうぜ、な?ギアゴッドで戻るといちいちバディポリスのシステム落とさないといけないからさ、お前のゲートで戻りたいんだよ。」
ん?てことは。
蒼「銃奈が創るゲートだとバレないのか?」
銃奈「ちょっとー、いきなりの名前呼びは無いと思うよー。」
プラグ「いや、ギアゴッドが自由にゲートを創れることがばれたくないんだ。故郷の物でもないゲートを自由に創れるやつが銃奈以外に、しかもアンダーズに居るってばれたら正直めんどいからな。」
銃奈「後でもう一回ファイトするなら!」
銃奈は自分を指さし、プラグとライナが親指を立てる。
要は、生贄になれ・・・と。
蒼「りょ、了解。」
そうしないとバディポリスハッキングでアンダーズが疑われるかもしれないからな・・・。
ライナ「ギアゴッド、戻って。」
ギアゴッド「イエス、ウィ・・・。ライナ。」
ギアゴッドがカードになってライナのコアデッキケースに入る。
銃奈「ほんじゃま、せいれーつ。ホイッと。」
銃奈は両手で空間をこじ開けた。
こんなあっさり・・・?
プラグ「じゃ、行こうぜー。」
プラグが飛び込むのに続き、銃奈、デスタール、ライナ、最後に自分がゲートに入っていった。
――アンダーズ店内
プラグ「ふー、到着っ、ぶげえ!?」
銃奈「よっとおおお!!ごめんねプラさん、あべし!?」
デスタール「上が留守だ、ぐごぁ!?」
ライナ「あ、ごめん。・・・ふん!」
蒼「ぐぶっはああ!?」
開いたゲートは床に平行になるように開かれたので、上から降りたプラグを銃奈が明らかに力の入ったストンピングをかまし、デスタールは銃奈にかかと落とし、落ちてきたライナがデスタールの頭にぶつかり、自分はライナに蹴り飛ばされた。
蒼「い、てて。」
銀子「ちょ、蒼ッチ。大丈夫?プラッチもライナちゃんも。」
銀子が歩いてきた。ってことはアンダーズについたのか?
響「銃奈ちゃんにかかと落とししたの誰すか?」
凛「店長、ライナちゃん戻ったにゃ!」
辰馬「・・・。」
店の奥から辰馬がゆらりと出てきた。
ライナ「あ、お兄ちゃん。」
辰馬「ライナ・・・。」
銀子「店長、ライナちゃんが心配で仕事中ずっとあんな感じだったの。仕事中失敗しなかったのが逆に不気味で奥で休んでもらってたのよ。」
辰馬「ライナぁえあああぁああああ!」
辰馬が叫び声を上げながらライナを抱きしめる。
このシスコン、通報してやろうか。
と、思ったら周りのほぼ全員がスマホを構えていた。
ライナ「ちょ、ちょっとお兄ちゃん。苦しいって。」
辰馬「心配だったんだ!異世界に、誘拐、なんぞされて。」
ライナ「もう・・・。こうして帰ってきたんだし大丈夫だよ。」
抱きしめてくる辰馬をライナは困った顔で見る。
あまり嫌という訳ではなさそうだ。
銃奈「じゃ、じゃああたしはこの辺で、ごゆっく・・・。」
?「おっと、そうはいかないよ?」
銃奈は店を出ようとするが、店に入ってきた誰かに阻まれる。
銃奈「わぶ、ちょ、誰よ、あたしは今、てっバディポリス!?」
店内の全員が銃奈のいる店の入り口に目を向ける。
辰馬「おまえは。」
プラグ「おいおい、ここはバディポリスの制服着てくるとこじゃないと思うぞ?盛谷。」
サツキ「いや、それは申し訳ない。仕事できたわけじゃないんだけど、気になることがあって。」
バディポリスの盛谷サツキが店内に出現した。
その事実にファイターたちは騒ぎだす。
子供「盛谷サツキさん!?」
ファイター「バディポリスのエースが何でここに、か、カメラどこ!?」
女の子「ケータイで撮ればいいでしょ!ファイトしたい・・・!」
女ファイター「あ、あの!私とファイトしてください!」
結論、イケメンよ。大爆発するがよい。
プラグと響と自分の意見は一致した。
サツキ「あ、あはは。それはまた後で、天王銃奈ちゃん、あと多分蒼くん。それに、店長さんとライナちゃんに話があるのだけど。」
そのメンツに話ということは・・・。
何したかバレてないけど何かしら疑われてるってことでいいのか?
サツキ「もちろん任意ではある、任務ではないしね。けど、僕の予想が合っていたらそれは、とんでもないことだから、出来れば君たちの話を聞きたいんだ。」
プラグ「多分当事者は俺と蒼だ。話には俺も加わるがいいか?」
サツキ「勿論。」
プラグ「というわけだ。銃奈、しばらく帰れると思うな?」
銃奈「オーマイデビル・・・。」
蒼「それならデスタールも、ん?デスタール、どうした?」
さっきから喋らないと思ったらデスタールは店内の画面に釘付けだった。
デスタール「どうしただと?これは、この映画は『鰯革命~我らは魚強と書くのだ~』ではないか!?」
!?確かに自分の借りた『鰯革命~我らは魚強と書くのだ~』が放映されていた。
響「あー、実は内容が気になって。・・・流してたっす。」
デスタール「人間の身勝手さからイワシが口にされなくなった世界で、自らの味の真価を人類に見せつけるべく蜂起したイワシたちの感動超大作!まさかこの場所で見られるとは!」
蒼「お前、この映画を知ってるのか!」
デスタール「当然だ!イワシ映画界に生まれた奇跡とされる映画を何故知らずにいられる!この映画を知らぬものは皆地獄行きの罪人だ!」
蒼「なら、『限海突破イワシガラン』は!」
デスタール「イワシ力に目覚めた主人公が仲間と獣人の支配に抗いやがて自らの運命に気づき宇宙に旅立つバトルものだろう!逆に聞こう。『イワシの墓』とは!?」
蒼「戦争に巻き込まれたイワシたちが自らの死期を悟って書いた遺書が見つかり、それをめぐる子孫のイワシたちの骨肉の、いや、すり身の争いを描いた長編映画!」
デスタール「・・・ふっ。」
蒼「・・・ははっ。」
蒼&デスタール「同士よ!」
銀子「クソ映画仲間できちゃった・・・。」
響「しかもイワシ限定って・・・。」
――スタッフルーム
蒼とデスタールを放置して、俺たちは盛谷に色々説明することになった
辰馬「んで、何を話せばいい。」
サツキ「バディポリスの次元監視網をシャットダウンさせたのは君たちなんだろう?」
プラグ「・・・ああ。けど何でそうしたかってのを説明する気は無いからな?こっちも隠したいことがあってしたんだ。」
サツキ「そうか。それが聞ければ十分だ。むしろ君たち以外がハッキングしていたら、サーバに何をされるか分かったものじゃない。」
盛谷は安堵のため息をついて、こう切り出した。
サツキ「実は、バディポリスの方で銃奈ちゃんがゲートを創ったのを観測したんだ。長官がカンカンだったよ。」
銃奈「うへー、もしかしなくてもあの神童ヤマトとかいうオッサンでしょー?あのオッサンの説教はこりごりだってー。」
サツキ「何か様子がおかしかったから、バディポリスが君の身柄を抑える前に君たちに話を聞こうと思ったんだ。」
辰馬「様子がおかしい?ああ、ハッキングの件か。」
ライナ「あ・・・。」
辰馬もお嬢もギアゴッドがやったことには気が付いてるんだろ。
頬を掻いている。
サツキ「それで、銃奈ちゃんが最初にゲートを開いたアンダーズに何かあると思ったんだ。しかも外で話を聞く限り、この場合誘拐事件として扱われるわけだけど・・・。」
銃奈「ん?どしたの。」
サツキ「予想以上に厄介な状況で、銃奈ちゃんは誘拐犯として捕まることになるけど、場合によっては君たちがバディポリスサーバのハッキングをした悪質なハッカーとして捕まるかもしれない。」
辰馬「・・・どうしろと。」
プラグ「創られたのは銃奈のゲートだけだってことだ。お嬢も早く着替えないと見つかった時面倒だから着替えとけ。」
頷いたお嬢はスタッフルームから出た。
ライナルームに向かったな。
サツキ「本当ならただ説明するだけのつもりだったけど、・・・仕方がないから僕も話を合わせるよ。」
辰馬「・・・恩に着る。」
銃奈「そ、そんであたしは・・・。」
サツキ「ゲートの勝手な発生の件と誘拐まがいの行為について。多分こってり絞られると思うよ。」
銃奈「うぼふ・・・。」
スタッフルームから出た俺たちはまずスタッフ一同に話し合いの内容を説明した。
全員、納得してくれた。
そして5分後、店にバディポリスが来た。
バディポリス「天王銃奈、確保しました。」
銃奈「は、離しとくれえええ!?あたしは、誘拐しかしてないんじゃー!」
完全な犯罪だろうが。
蒼「んじゃ。またな、フル!」
デスタール「ああ、楽しみにしているぞ蒼!」
当然バディとなったデスタールも連れてかれることになった。
バディポリスの車が遠ざかっていた。
って、フル?
プラグ「・・・・・・ん?蒼、フルって誰のことだ?」
蒼「ん?ああ、デスタールのことだよ。アイツ元々は『黒蛇暴君フルーデーク』って名前なんだってよ。」
プラグ「・・・ん?んんーー?」
蒼の言葉に自分の耳を疑う。
それは俺も知ってる名前だったからな。
蒼「どした?」
プラグ「いやあり得ねえって、フルーデークってのは地球にもそのおとぎ話が伝わるレベルの化け物だぞ?一撃で世界を破壊すると言われた力を私欲じゃなく、相手の堕落をただすために振るったっていうダークネスドラゴンワールドでも変わり者の堅物で傑物。流石にあのイワシバカ一代は違うだろ。」
蒼「へえ?」
プラグ「さ、今日は疲れたし、売り上げと在庫の確認だけして上がろうぜ。」
蒼「了解、・・・あ。」
店に戻ろうとした俺の耳に蒼の「あ」が響く。
プラグ「どした、まだなんかあるのか?」
蒼「グレー。」
プラグ「あ。」
グレー「もう知らないもん!バーカバーカ、実家に引きこもってやるもん!」
蒼「落ち着けグレー!そこはライナルームだ!」
それから、ライナルームに引きこもっていたグレーを引っ張り出すのに、3時間奮戦することとなった・・・。
蒼にデスタールが言ったことの真偽はさておき、次回からどうしよう・・・。
感想&活動報告お待ちしてるっす。