バディファイト@サイバーダイバーズ   作:辻 逆月

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皆様、本日バディファイト@サイバーダイバーズは、念の為つけといた「残酷な描写」タグが本気でやべえ方向に火をふくんで、精神的に心配って方は今回閲覧を控えたほうがよろしいかと。


閲覧注意事件発生

チビ「プラグー、なんで僕のカードまだ出来ないの?」

 

チビが昼過ぎ、アンダーズの店内で不満そうな声を漏らす。

同時に手に持った自分入りのデッキを振り回す。

危ねえって。

 

プラグ「ちょ、あんまり振り回すなよ。お嬢はバランスを考えてる最中なんだよ。」

 

チビ「バランス?」

 

プラグ「カードパワーが強すぎるとバディファイトのバランスを壊しかねないんだよ。かと言って弱くしたら作った意味がない。お嬢はカードの試作品を多いときだと400作って、バディファイトの全カードとのバランスを極端に崩さないようにカードを作るんだ。ファイト中一度の魔法、とかデッキに1枚だけとかならそこまで考える必要ないんだけどな。」

 

多分結ちゃんたちに渡したカードもそういうほぼ一度きりのカードだな。

 

プラグ「チビのカードをそれだけ一生懸命考えてるってことだ、気長に待てよ。」

 

チビ「はーい。」

 

チビは言うことを素直に聞いてくれるんだよな。

どっかの釘バットスラッガーとは大違いだ。

 

蒼「プラグ。次これ流すぞ。」

 

プラグ「おー、もうクソ映画でもなんでも流せなが、せ…。」

 

蒼がいつもどおりクソ映画を流そうとする。

そのもはや見慣れた光景のはずが、トンデモナイモノが目に映る。

まさかアレは、アノパッケージハ。

 

プラグ「じゃねえ!流すな!何流そうとしてんだ!」

 

蒼「え?『超シーチキン☆シャイニングドリーム!!』に決まってるだろ?」

 

やっぱりか!

 

プラグ「子供がいる前でそんなヤバい代物流すな!ビデオ屋に返してこい!」

 

凛「また今度は何借りてきたにゃ?」

 

ナイス凛(最高だぜ)!

 

プラグ「凛!蒼からその映画を取り上げろ、早く!」

 

凛「え?あ、ハイ。」

 

蒼「いででででで!?ちょっ、待て待て!プラグ、何を。」

 

凛が奪ったDVDを受け取る。

マジかよ、本物だ。

 

プラグ「何をじゃねえ!伝説の『見る劇薬』を流そうとしやがって。というか良く見つけたな!発売して2日で絶版になったのに!」

 

凛「その映画って何かあるにゃ?」

 

プラグ「ああ、他の奴らにも伝えとかねえと。炎斬と響を呼んでくれ。」

 

 

 

 

 

 

出勤中のアンダーズ店員全員が蒼を除いて集まった。

蒼はネカフェの方に行かせた。

多分、蒼はコレの内容を知った上で大丈夫だろって思ってやってるんだ。

 

炎斬「んで、何で映画一つで大騒ぎしてるんだよ。」

 

響「そうっすよ。たかが映画一つで。」

 

プラグ「それを今から説明するって言ってるだろ。まず、この『超シーチキン☆シャイニングドリーム!!』だが、元々子供達に生き物の命の大切さを学ばせる目的で製作された映画だ。」

 

凛「それなら別に問題ない気がするけど。」

 

プラグ「ああ、コンセプトは確かに良かった…。だが、映画が完成したとき、まず50枚発売された結果、大事件が起こった…。」

 

アンダーズ「?」

 

プラグ「ストーリーは漁師に釣られたカツオがシーチキンにされる過程を魚自身の視点で描き、あまりにリアルな描写と感情表現に、見た子供達は感情移入しすぎて一部が発狂し、見た全員が子供とは思えない考えを持ったんだ。」

 

炎斬「子供とは思えないって?」

 

プラグ「この世に本当に大切な物は無いっていう死ぬ前の老人みたいな考えを持ってたんだ。」

 

全員沈黙する。

 

プラグ「発狂した子供の更に一部は、意識が戻ったあと、悟りを開いて僧侶になって俗世を離れたり、自分の生き方に疑問を抱いて老け顔になったまま戻らなくなったそうだ。発売から2日、コレは絶版になり、『見る劇薬』として伝説になった。」

 

響「あ、危ないじゃないすか!!というか何でプラグは知ってたんすか!?」

 

プラグ「俺のビジネスパートナーがその事件のことを知って探し回ったんだ、遂に見つからなかったがな。まさか俺らが探してた劇物をあのクソ映画紹介機、いとも簡単に見つけてくるとは思わなかった。」

 

ふと見ると足元の影が揺らめいている。

エル、後で見せてやるから存在の証拠を出すな。

 

クリムゾンブルグ「なら、やつの借りてくる物は検閲しないとな、騒動になるとこっちが迷惑する。」

 

SD状態のクリムゾンブルグが最もなことを言う。

確かにそうだな。

 

プラグ「ああこれからは蒼が借りてきた映画は一度検閲にかける。このことは今日居ない店員にも伝えとくからな。」

 

凛「りょーかいにゃ。」

 

炎斬「ああ。」

 

響「了解っす。」

 

ミセリア「で、その映画どうするの?」

 

プラグ「あー、さっき言ったビジネスパートナーに見せてやらないとな。割と本気で残念がってたしな。んじゃ、解散!」

 

 

 

 

 

 

蒼「あー、見たかったな…『超シーチキン☆シャイニングドリーム』」

 

ネカフェの店番をしながらぼやく。

あの伝説の、『見る劇薬』とまで言われた映画作品。

見るしかないと思って借りたのに、よりによって見る直前に奪われるとは。

 

蒼「見たいだろ!怖いもの見たさってあるだろ!」

 

独り言がついつい大きくなる。

それを聞きつけて、ハタキで備品を掃除していたグレーが声をかけてくる。

 

グレー「蒼…僕もプラグから聞いてきたけど、その趣味はどうかと思うよ。」

 

蒼「人の趣味は千差万別!大画面で見るのが映画の楽しみだしあそこしかないと思ったんだよ!」

 

呆れ顔のグレーに力説するが良さが伝わっていないのか表情が一切変化しない。

解せぬ。

 

グレー「はた迷惑な趣味を…。そもそも、なんでそんなもの知ってるのさ。」

 

蒼「…ん?そんなの、好きだからに決まってるだろ。」

 

グレー「いやそうじゃなくて、蒼ってさ、記憶喪失なんだよね?」

 

蒼「だな、大体5ヶ月前に拾われた。」

 

グレー「じゃあ、映画の趣味はその5ヶ月でできた趣味なの?」

 

グレーの言葉を考えてみる。

自分が映画好きな理由…。

 

蒼「いやそれは……そういえばなんでだ。目が覚めて、えーと、記憶を失う前から好きだったのか?」

 

グレー「えー?それじゃあ、昔の蒼は結構ひねくれてたのかな。」

 

蒼「そんなわけないだろ。自分は多分今も昔も善良な一般ハッカーだったに違いないだろ!」

 

グレー「あ、ハッカーなのは確定なんだ。」

 

グレーは驚いている。

 

蒼「目が覚めて、覚えてることがパソコン関連の技術と、好みの映画のことばかりだったしな。多分ハッカーだった。」

 

名前も覚えてないが、それらだけ覚えてたからなんでも屋アンダーズの仕事も手伝うようになった。

 

グレー「じゃあさ、蒼って名前は誰がつけたの?」

 

蒼「ライナ。拾われたときの自分が枯れかけでなりそこないの干し草みたいだからって理由でつけられた…。」

 

今でもあの衝撃は胸の奥に残っておりますとも。

 

蒼「自分より年下の女の子にそんな理由で名前つけられて、落ち込むに決まってるだろ。他に助けを求めたら、プラグは『ごはんだいすき』、辰馬は『ヤス』なんて名前出すから他よりマシだと『蒼』に落ち着いた。」

 

グレー「うわぁ、辰馬はともかくプラグは絶対ふざけてたよね?」

 

蒼「ああ。殴りたいこの笑顔、と何度思ったか。…ってなんの話してたんだ?」

 

グレー「さあ?」

 

最初に何話してたか忘れた。

これで沈黙するとなんかムズムズする。

 

蒼「あ、映画の――。」

 

言いかけたところでお客様がご来店。

 

蒼「あ、いらっしゃいませー!」

 

?「なあ、ちょっと聞きたいことあるっしょ。」

 

蒼「はい?」

 

なんだこの客。

染めてるっぽい金髪に全身真っ黒な服。

手にはバディファイトのカードを持ってる。

んで、背中に大きめのバッグ。

雰囲気も異様だ。

 

?「ここの店長って誰っしょ?」

 

蒼「あ、店長の辰馬でしたら、今所用で席を外しております。お呼びしましょうか?」

 

辰馬はネカフェの深夜営業に備えて寝ているはずだ。

 

?「あー、大丈夫っしょ。じゃあ噂の釘バットガールって居る?」

 

…ちょっとおかしいな。

 

蒼(…グレー。こいつ怪しいぞ。)

 

グレー(うん、アンダーズ最大戦力(物理www)が居るかいないか聞いてきてる。銀子は今日いないけど、居ることにしておこう。)

 

蒼「弁天に御用でしたらお呼びいたしますが。」

 

?「あー、ダイジョブダイジョブ。そっかー、居ないのか。」

 

蒼&グレー「!?」

バレた!?

 

?「いや、ごにょごにょ話して相談した後に居るって言われても説得力皆無っしょ。じゃ、嘘つきの悪い子には…。」

 

男は手に持っていたカードを上に投げる。

カードが光り、モンスターに変わる。

バディカードか!

 

?「痛い目見てもらうっしょ。」

 

 

 

 

 

 

プラグ「ん?ネカフェの方騒がしいけどどうした?」

 

ネカフェですごい騒音と、叫び声?が聞こえる。

ちょっと見に行くか。

 

?「おーい、店員さーん。」

 

プラグ「はい!何かございましたか?」

 

ネカフェの方に行こうとしたらお客さんに止められた。

緑がかった髪の女性だ。

 

?「そこのドラゴン、名前なんていうんですか?」

 

チビ「僕のことー?」

 

プラグ「あ、コイツはチビって言うんす。」

 

?「チビ?…えーっと、そうじゃないんです。」

 

プラグ「え?」

 

チビを確かに指差してる。

なのにそうじゃないってどういう?

 

?「そいつは、オーバードライブって名前でしょー!?」

 

突如、女性がチビを、懐から取り出した袋に詰め、走り去っていく。

 

チビ「うわー!?」

 

プラグ「チビ!?まちやが…!」

 

?「ネカフェの店員さんがどうなってもいいのー!?」

 

なんの話だ。

俺が構わず追おうと走り出した時。

 

響「あ、あお!?あ、あんた!なに、を何してんすかあ!!?」

 

響の大声が響いてくる。

ネカフェの方を見ると真っ赤なチェーンソーを持った男と、あれはバズソーロアー・ドラゴン?が走り去っていった所だった。

 

プラグ「どうした!…!?」

 

響「プラ、グ…。あお、あ、蒼が。」

 

目に映ったのは、全身が切り裂かれチマミレノアオ。

横で、グレーが怯えて震えている。

 

プラグ「お、おい。蒼、何してんだ。冗談きついぞ、お前、どうせ、これ、ケチャ。」

 

ぬるりとした質感。ケチャップじゃない。

じゃあこれは…。

 

グレー「あ、あ、蒼。カバンからさっきのやつがあれ出して、あの、あれで、あおが。」

 

まじ、かよ。

蒼が、蒼が、

 

……死んだ?

 

ライナ「蒼…プラグ、蒼は。」

 

お嬢…。

 

プラグ「お嬢…蒼が、蒼が、死ん

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