バディファイト@サイバーダイバーズ   作:辻 逆月

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今回はアンダーズでのパーティーの模様ッス。
少し湿っぽくなるかも


パーティー

――N&Cアンダーズ。

 

凛「それじゃあ、チビの無事を祝してー!」

 

全員「カンパーイ!」

 

店内ではチビお帰りパーティが開催されていた。

いつもはカードゲームの対戦に使われる机が、スナック菓子やジュース。たくさんの冷凍食品で埋め尽くされていた。

 

チビ「響は?唐揚げはー?」

 

穂乃果「響君は病院に行ってるの、けど唐揚げはもうすぐくるよ。」

 

チビ「うおおおーー!」

 

ライナは隅っこでポテチを頬張っていたが、リンと結に見つかり連れていかれる。

玲時と炎斬はファイトをし、ゲンはそれを隣から見ている。

銀子、凛、花陽、マキナは女子トークをしている。

バディモンスター達も各々ご飯を食べたり、プリンの取り合いをしたり、世間話もしている。

そんな中、ドーン伯爵とミセリア、それにペンタはトランプをカモフラージュにしながら今回の事件について話していた。

 

ペンタ「さて、俺らの話に聞き耳立ててる奴はいねぇ。だから素で行かせてもらう。」

 

ドーン「了解した。では、今回の件の真犯人についてなのだが…我輩は手がかりを持っていない、二人はどうだ。」

 

ミセリア「僕も手がかりと言える物は持ってないです。」

 

ペンタ「俺は、あの場に居たカロクワの言うことを聞いていた奴らが気になる。」

 

ドーン「あの三人か。」

 

ペンタ「まず、一人はブッサシ。さっき調べたが、ジュール5層、ファイトステージ・ボンヤードでファイトと酒を楽しんでいるのをよく見かける元傭兵。恐らくは雇われだ。」

 

ミセリア「だったら情報は持ってなさそうだね。」

 

ペンタ「ああ、だから除外だ。次はタロット、コイツはなんとジュール10層、つまりあのテリトリー・デプスで占い師をやっている。」

 

ミセリア「テリトリー・デプス?」

 

ミセリアは首を傾げ、ドーンが情報を捕捉する。

 

ドーン「ジュール最下層の俗称だ。元々は存在しなかった空間なのだが、6年前に突如として現れ奥に何かが潜んでいるとされるエリアだったな。」

 

ペンタ「そう、そしてあの場所で活動するハッカーはタロットを除いて他に居ない。薄暗いが、タロットの占いを目当てに多くの人間が訪れる。そういう場所だ。」

 

ミセリア「なるほど、じゃあドン。タロットの経歴は分かりますか?」

 

ペンタ「ああ、さっき放ったC・ペンタからの報告が入った。どうやらタロットは……。」

 

ドーン「どうした。」

 

ペンタ「……現役でヴァルハラ社の常務をやっている男だ。」

 

ドーン&ミセリア「な!?」

 

二人はペンタのくちばしから飛び出した会社の名前に驚愕し、声を上げる。

 

凛「ん?どうしたにゃー。」

 

ミセリア「な、何でもないよ!」

 

ドーン「い、いやぁ!まさかド…ペンタに先に上がられるとはな!」

 

ペンタ「……やったペン!」

 

3体は慌ててごまかす。

ペンタはトランプをこっそりと隠し、ババ抜きで上がった様に見せる。

 

凛「もー、それで大声出してたにゃー!?びっくりしたにゃ!」

 

ドーン「すまない…。所で、花陽はどうした。さっきそこで…。」

 

凛「ついさっきスタッフルームの電子レンジを…。にゃ?」

 

ミセリア「どうしたの?」

 

凛「かよちん…?怖い顔してどうしたにゃ?」

 

ドーン「何!?」

 

後ろを振り向くと、そこにはスタッフルームから顔を出した花陽が眉間にシワを寄せていた。明らかにペンタ達に疑惑の目を向けている。

 

ドーン「……花陽、後で話がある。良いだろうか。」

 

花陽「……うん。」

 

その場が気まずくなり、モンスター3体の情報共有はお開きとなった。

 

 

 

 

 

 

銀子「そういえば、又木さんと後の二人はいいの?」

 

銀子はマキナ以外の警察が居ないことに気づき、マキナに問いかける。

 

マキナ「あいつらは来ねえよ。猿はバーサークソー・ドラゴンをバディポリスに引き渡しに行ったし、雉はこういう席だと軽く一つ摘んですぐに消えるような奴じゃん。又木さんに至っては…奥さんが死んでから騒がしいところにはあんまり近寄らなくなってるじゃん。」

 

銀子「ふーん。って、又木さん結婚してたの!?」

 

マキナ「知らなかったのかよ。もうお孫さんが5歳くらいになるじゃん。」

 

銀子「へぇー……アノ又木さんが。……全然想像できない!」

 

マキナ「それは分かるじゃん。」

 

マキナはそう言うと手当たり次第に料理を腹に突っ込み始める。

 

銀子「あ、ずるい!」

 

銀子も負けじと食べ続ける。

その横では床に置かれた皿に乗った料理をアギトが犬食いしている。

 

アギト「むぐむぐ。ごくん、そういえばデストロイヤーはどうしてるんだろうな。自分達の元から消えてもう随分経つぞ。」

 

マキナ「んなこと言われても俺はソイツに会ったことねぇじゃん。どんなやつかも知らねえよ。」

 

銀子「デストロイヤーって?」

 

アギト「可奈の…、又木の嫁さんのバディだぞ。というか、ガルガとクロス、それに自分も元は可奈の相棒だったんだぞ。」

 

銀子「え、そんなのあり?」

 

バディモンスターは一人の人間に対して、一体が基本である。

この場に玲時という例外が居るが、それはバディポリスがほとんど認めないレアケースだ。

 

アギト「細かい話は省くが、自分は元違法モンスターで人間から食べ物を奪って生活していたんだ…。そんな中、自分の前に現れたのがバディポリスの可奈とデストロイヤーだったんだ。」

 

銀子「へー、ってバディポリス?なら何で又木さんはバディファイトのルール知らないの?奥さんからバディファイト教えられそうだけど。」

 

アギト「…そいつは言えないぞ。又木も触れられたくないはずだ。」

 

アギトは悲しそうにうなだれる。

 

銀子「あ、なんかごめん。」

 

銀子は分からないなりに自分の発言がまずいと気づく。

 

アギト「とにかく…自分は可奈に取り押さえられて、その後にエンシェントワールドに帰る訳にはいかない事情を汲んだ可奈の元で保護観察と言う形で居候することになった。その後は可奈が死んだ後に、又木に紹介されてマキナのバディになったんだぞ。」

 

マキナ「ちなみに、コイツはエンシェントワールドじゃ弱くてネイキッドドラゴンにぶっ殺されそうになってたってのが帰れない理由じゃん。」

 

銀子「ええ…。」

 

アギト「それは自分の黒歴史だぞ…。」

 

 

 

 

 

 

炎斬と玲時のファイトは佳境に突入している。

 

玲時「超武装逆天竜。」

 

 

玲時「ドラムバンカー・ドラゴン…!」

 

 

玲時「逆天!」

 

玲時「連携攻撃時、ゲージ1を払うことで、螺天の打撃力を+2して攻撃力は∞になり、相手は対抗を使えない!」

 

炎斬「カルドブルグ!対抗じゃねえから能力が使える!」

 

玲時「んな!?っく、ターン終了。」

 

炎斬はメインフェイズで手札にクリムゾンブルグの新形態を手札に加える。

そしてアタックフェイズで。

 

炎斬「クリムゾンブルグ“S E M(スコーチド アース メイカー)”!!登場時能力で場のカード全てのソウルをドロップに!更にこのカード以外の場のカード全てと俺の手札2枚を破壊だ!」

 

玲時「自分の手札も犠牲になるのか…!」

 

炎斬「行くぜ!ブルグでファイターに攻撃!コイツはカードの能力でスタンドできない代わりに、場の空いたモンスターエリアの数だけ打撃力が上がる、つまり今コイツの打撃力は8だ!行け!!」

 

玲時「キャスト、緑竜の盾!」ライフ2→3

 

攻撃を防がれた炎斬は目が点になった。

そして、しばらく放心した後。

 

炎斬「……あー、ターン終了。」

 

玲時「これで、カルドブルグの能力で炎斬の敗北ってことだね。」

 

炎斬「かー!通ると思ったぜ…。」

 

玲時「正直冷や汗掻いたよ。螺天の逆天を止められたのは初めてだ。」

 

 

 

 

 

 

ライナ「使い心地は、どう…?」

 

結「バッチリだよ!」

 

リン「結ちゃんの新デッキ、前より攻撃の主軸がはっきりしてますね〜。」

 

ハル「僕があんなに強い攻撃ができたなんて本当に驚いたよ!」

 

ライナは結のデッキビルドをしながら、リンのデッキも確認していた。

この後、パーティーは夜更けまで続いた。

 

 

 

 

 

 

花陽「ヴァルハラ社常務、朱司未来さん…。この人が夜剣さんと戦ってた人だったの?」

 

パーティーの後、ドーン伯爵は花陽にペンタから得た情報を共有していた。

 

ドーン「そのようだ。それに加えて、帆風リンという少女が戦った男はファイト履歴を消していたようだが、その男はとあるハッカーチームの下っ端だった。」

 

花陽「それってどこなの?」

 

ドーン「…ハッカーチーム、イグドラジュール。CBSN1層で多くのイベントを主催しているハッカーチームで、ヴァルハラ社とのつながりを噂されるハッカーチームだ。」




そろそろ響竜アクセス編が終わります。
今見ると、最初に考えてた蒼の設定が随分と変わりましたw
実は本来なら蒼はテロリストで、記憶を取り戻して敵になり主人公は夜剣にシフトする筈だったのに、無理があるなと設定変えたらかなり他の設定にも影響があって当初の予定とは全く別の物語になってしまいました。
万事オッケーですけどw

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