バディファイト@サイバーダイバーズ   作:辻 逆月

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今回でこの章は終わりなんですが、今回の話は直接関わりのなかったところの模様をお伝えする形になります。


物語は動き出し

都内某所の薄暗い部屋。

この場所で一人の老人がパソコンを操作している。

真剣な顔で、一切瞬きをせずに老人は何かを解析している様だ。

その背後の扉から部屋に誰かが入ってくる。

 

?「ゴースト様、お疲れ様です。頼まれたものを借りてきましたよ。」

 

ゴースト「……む?おお、倉野ではないか。お前が感じていた違和感の正体、ある程度掴めたぞ。」

 

老人に話しかけゴーストと呼んだのは、以前蒼達にDDDおじさんと呼ばれた男、倉野竜誠だった。

老人は少し遅れて倉野を認識し、老人の言葉に倉野は少し顔を緩める。

 

倉野「ありがとうございます。それでは、世界が我々の知る過去と違う部分があるのはなぜだったのでしょう。」

 

倉野はしばらく前からこの世界に違和感を覚えていた。

彼の知る歴史では暴君とされていたモンスターが英雄と物語の中で称えられていたり、倉野の知るある人物が記憶喪失になっていたり、果てはCBSNという電脳世界が存在するなど、彼が知らない歴史がこの世界には幾つも存在したのだ。

 

ゴースト「もう結論からぶっちゃけるぞ。この世界は、ワシらの知る過去ではない。そもそもこの世界は未知の世界だったのじゃよ。」

 

倉野「…は?どういうことでしょうか。」

 

ゴースト「ワシらが居た世界とは次元が異なった。パラレルワールドと呼ばれる世界だったのじゃ。」

 

倉野「……パラレルワールド、ですか。」

 

ゴースト「証拠としては角王の歴史じゃな。まず、ワシらが居た世界の歴史ではどうなっておった。」

 

ゴーストは説明のために手元にあった資料に目を通す。

 

倉野「確か、武装騎神デュナミスにより選ばれたヤミゲドウを倒すため集められた存在が角王、一角獣王ジウン、二角魔王アスモダイ、三角水王ミセリア、四角炎王バーンノヴァ、五角竜王天武、六角嵐王ヴァリアブル・コード、七角地王ドーン伯爵、八角神王グランガデスが死闘の末にヤミゲドウを封印したと聞いておりますが。」

 

ゴースト「まず、この世界においては角王はヤミゲドウとは別の巨大なモンスターに立ち向かう為に集められた存在じゃった。」

 

倉野「ヤミゲドウとは別の、ですか。ということはヤミゲドウはこの世界に存在しないということでしょうか。」

 

ゴースト「いや、存在はする。じゃが、……いや、これは後で説明しようか。」

 

倉野「?何故でしょう。」

 

ゴースト「その方が面白いからじゃよ。話を戻すが、元の世界ではそこには九角勇王キャプテン・アンサーが間に合わなかった。じゃが、この世界では間に合っている。どうにかヒーローワールドの動乱を鎮めてな。」

 

倉野「なんと、9人の角王が揃ったのですか。」

 

 

ゴースト「違う、8人じゃ。」

 

倉野「……ああ。別の角王が遅れたのですか。ではこの世界では誰が巨大モンスターを封印したのでしょうか。」

 

ゴースト「確か、三角水王ミセリア、四角炎王バーンノヴァ、五角竜王天武、六角嵐王ヴァリアブル・コード、七角地王ドーン伯爵、八角神王グランガデス、九角勇王キャプテン・アンサー」

 

倉野「ジウンとアスモダイが?これでは7体になるのでは。」

 

ゴースト「そして、百角鬼王ヤミゲドウじゃ。」

 

倉野「百角鬼王ですか!?」

 

ゴースト「そう、この世界では百角鬼王という角王が存在しているじゃよ。そして、そやつは自らの意思で自身を淵神の一族に封印させておった。」

 

倉野「なんと…。」

 

ゴースト「それだけではない。後に巨大モンスターが復活した際、前に合流出来なかった者達も含めた九人の角王がバディを持ち、やっとの思いで巨大モンスターを倒したのじゃが。その時五角竜王がドラムという武装騎竜になっていた所までは同じじゃが、九角勇王はキャプテン・アンサーのままじゃった。」

 

倉野「では、九角勇王ムクロはどうなったのですか。」

 

ゴースト「分からぬ。存在してはいると思うが…。そのへんもデュナミスに聞いておくべきじゃったか。」

 

倉野「分かりませんか…。……え、デュナミス?」

 

ゴーストは倉野を一瞥し、ため息をつく。

そして手に持っていた資料を倉野に渡す

 

ゴースト「今語った歴史はこの次元に存在するデュナミスから聞いたものじゃぞ?誰に聞いたと思っておった。」

 

倉野「やけに詳しいと思えば…。この場所を離れてまで調査しておられたのですか。貴方にしては珍しい。」

 

ゴースト「研究中のモンスターを使いにやった、まさかドラゴンワールドに出向かせることになるとは思わなんだが。いい動作テストにはなったわい。」

 

倉野「そうですか。しかし、この場所が私達の知らない、次元。だとすればあの方に報告し戻った方が良いのでは。」

 

ゴースト「それなのじゃが、あやつに報告はした。しかし今は戻れない事が分かった。」

 

倉野「な!?それでは私達はこのまま」

 

ゴースト「今はと言ったじゃろう!そもそもワシらがパラレルワールドに来てしまったのはこの世界に原因がある。それを取り除けばアレを使って帰還できる場筈じゃ。」

 

倉野「そ、そうなのですか。良かった…。」

 

ゴースト「今はこの事態を産んだ元凶。仮に"エネルギー吸収高エネルギー体"と呼ぶとして、そやつを探すことから始めるからお前は情報が無いか探してこい。」

 

倉野「分かりました。」

 

倉野は自らの知る世界に帰るため、情報を集めにその場を立ち去、ろうとしたがゴーストに呼び止められた。

ゴーストの手にはディスクの入ったケースがある。

 

ゴースト「おい倉野、何じゃこれは。」

 

倉野「ご注文にあった映画のDVDです。私自身戸籍が無いのでレンタル出来ずに買ってきました。」

 

ゴースト「ワシが頼んだのはナイスメバルク!!漢・ザ・シーチキンじゃぞ!?何故元映画のナイスバルク!!漢・ザ・プロテインと間違える!」

 

倉野「そんな違い分かりません!」

 

ゴースト「ええい!見るだけ無駄の中堅マッスルクソ映画と聞いておったからどれだけ時間を無駄に出来るか気になっておったのに…!」

 

倉野「先程の言葉と矛盾してませんか!?」

 

この後、ゴーストをどうにか納得させた倉野であった。

 

 

 

 

ーー?

 

とある高層ビルの最上階、スーツを着た青年がPCのキーボードを叩いている。

青年の顔には眉根が寄り、真っ黒な髪は手入れが行き届いているようで肩のあたりで整っている。

 

青年「そろそろ外部のハッカーにでも発注しないと、セキュリティ強化が間に合わないか…。」

 

?「失礼します。」

 

青年「どうぞ。」

 

部屋の扉をノックする音が響き、青年の許可を得て初老の女性が入ってくる。

柔らかな笑みを浮かべた女性はタブレットを抱えて青年の座る机の前まで歩く。

 

初老の女性「昨日のことで報告があります。」

 

青年「ヨタバイト・ドランザーが現れたって話なら聞いてるよ。サイバーワールドのモンスターをバディにした人間が現れたのなら、それは喜ぶべきだ。」

 

青年は椅子に持たれながら、芝居がかった口調で話しながら上を向く。

 

初老の女性「その事ではなく。ヨタバイト・ドランザーのバディと見られる人物が少し気になったので、ファイトデータを見ていたら、面白いことになっていましたよ。」

 

青年「……、見せてくれ。」

 

青年は映像を見るが、最初のターンは気になる点が見つからない。

 

青年「これの何が面白いことなんだ?」

 

初老の女性「1ターン目のファイナルフェイズです。」

 

そこにタイムラインを合わせ、カードを確認し愕然とする。

 

『ハッキング サイバールート乱舞!!』

 

青年「…なんだと?」

 

初老の女性「それだけではありません。このあと、3ターン目のメインフェイズです。」

 

『電脳騎士 コネクト・アルファード』

 

青年「………あの人なのか?」

 

初老の女性「見た目は20代前半ですし、……あの人は私の目の前で死にました。ですから違います。ですが、ハッキング サイバールート乱舞はあの人が創り上げた、世界に一枚だけのカード。蒼という人が、どうやって手に入れたのかが気になります。」

 

青年「…しかも、コネクト・アルファードが従っている人間か。調べて見る必要があるか。」

 

初老の女性「はい、ですが。データを調べるよりも本人に聞いた方が良いかも知れませんよ。」

 

青年「なぜだ?そんな時間は」

 

初老の女性「この人、随分お嬢様と仲良くされているみたいです。キャッスルモールでデートをなされていました。」

 

初老の女性は

 

青年「な!それは本当ですか!?」

 

初老の女性「おほほ、久々に素が出ましたわね。」

 

青年「う、……一度、仕事に区切りをつけて会いに行こうか。」

 

初老の女性「ええ、必ず。」

 

初老の女性は満足気な顔で部屋を後にした。

 

青年「……。仙崎さんも、おせっかいが過ぎるというか…。」

 

青年は上を向いてため息をついた。

 

青年「…。もう『ニーズヘッグ事件』から8、いや9年になるのだったな。」

 

青年「……そろそろ10年、良い機会だ。早めに会いに行こう。」

 

青年は、再びPCに向き直り仕事を再開する。

青年の名は、剣野太陽。

現ヴァルハラ社、代表取締役たる男。




というわけで響竜関係ないところで響竜クロスワールドアクセス編終わりです。
今回は初登場の面々を紹介することはできませんが、その内また。
感想&活動報告待ってます。



ーー未確認のデータが複数あります。

解析中、解析中。
スマホ音声データ解析完了。
家庭内見守りカメラ映像データ解析完了。

響「ふー、すっかり遅くなった。ただいまー…。」

チビ「ぐごー。」

響がアンダーズでチビを拾い、背中におぶって家に帰ったのは午前2時のこと。
家の明かりは当然消えていた。

響「姉貴は、寝てるだろうな…。ってあれ?」

響は姉の部屋のドアが開いていることに気がつく。
中を覗くと、中に姉はいない。
同時に、リビングのメモに気がつく。

響「会社に泊り込む、多分仕事が終わらない…か。」

チビ「ぐー、むにゃにゃ。」

響の姉は響が家で暮らするようになるずっと前から根を詰めることが日常茶飯事だったらしい。
偶に家に帰らず、会社に寝泊まりすることがあった。

響「実は、ヴァルハラ社ってブラック企業なのか…?」

チビ「ぐー、ぴー、すー、ひゅー。」

響「…風呂入って寝るか。」
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