バディファイト@サイバーダイバーズ   作:辻 逆月

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もう少し、清算してからアクセス編を終えた方がよかったかな…。
けど、日常と響竜は分けた方がいいかな。


話せない過去

前回から2日後、病院では。

 

蒼「手以外が動かせないだけのことが、こんなに暇と疲れを生むなんてな。」

 

医者と、自分の中から戻った蒼が人生ゲームに興じている。

蒼は結婚後に男子を一人設け、9億稼いでいるが不満そうだ

 

医者「こうやって、私と人生ゲームを楽しんでいるのに何が不満なんだい。」

 

蒼「こんなハチャメチャ人生。何度も見てると逆にパターンが読めてくる…。飽きが来やすいんだ。このボード内で、基本が自分の選択だけで終わるとなると特にな。」

 

医者「なるほど、なら対人戦ができるものならいいかい?」

 

医者の手にはバディファイトのカードとUNO、トランプが握られている。

 

蒼「その前にこんなことしてていいのか?先生はこの病院の院長なんだろ。」

 

医者「サイバーワールドという世界の住人は患者として初だからね。初のケースは私が担当している。だから君の保護者から提供されたデータと君の現在を照らし合わせながら…君の頭上の機械で精密検査しているんだ。君の入院が2ヶ月になったのは半分が医療データを採るためなんだ。」

 

蒼「へー。」

 

蒼の頭上にはパーマをかけそうな機械が浮かんでいる。

この機械を目の前の医者が組み上げたそうだから驚きだ。

 

医者「それにしても、君の体は凄いね。データ素材があれば復元可能で皮膚にすらプログラムが仕込める。これじゃあ体が犯罪や戦争に使われてもおかしくない。君の保護者がひた隠しにしてきたのも頷ける。」

 

蒼「前に客が持ってきたライトノベル風に言うと不死身の兵士、または人間爆弾ってあたりか?」

 

蒼の言葉を頷くことで肯定した医者は手元にあったタブレットと書類を見る。

そこには「仮称『コアアバター』について」と書かれ、赤い極秘の文字が捺印されていた。

 

医者「勿論、皮膚は直せても奥にある君の電脳体を支える中核。仮に『コアアバター』と呼ぶけど、それが傷ついていたら今回みたいに体中に痛みが走るし、動けなくなる。そういう体が更に傷つくのを防ぐ機構が幾らか備わってるから兵器にするとしたら他にもっと良いものがあるはずだ。けど、普通の人間と見分けがつかないことが問題だよ。」

 

蒼はその言葉の恐ろしさに身震いする。

 

医者「まあ、運び込まれた病院がウチで助かったね。ここはモンスターも地球の人間も分け隔てなく治療するから君の正体がバレずにサイバーワールドの住人として治療を受けられる。山井君の息子さんは本当に良い判断をしたよ。」

 

蒼「プラグ?何でプラグがそんなこと知ってたんだ。」

 

医者「彼の父親は大学時代の先輩でね。変人だったが医者としての腕は確かだったから勉強させてもらったんだ。」

 

蒼「へぇ。そういえばプラグの父親って危ない薬持ち歩いてるって聞いてたけど、医者だったんだな。」

 

医者「ハハ、確かにあの人は昔から危険な薬物を研究して、その対策を立ててたからね。だから敬遠されてたよ。」

 

蒼「そんな人間に教えてもらおうとする先生も十分変人だろ。」

 

医者「かもしれないね。じゃあ、その変人とバディファイトでもどうかな。」

 

蒼「OKだ。」

 

 

 

 

 

 

――某プロダクション

 

ドラマの撮影を終えた夜が廊下で社長を見つけ、声をかけた。

 

夜「社長、少しお時間よろしいでしょうか?」

 

社長「あ〜ら、夜ちゃん撮影お疲れ様〜。どうしたの、恋愛相談?」

 

夜「い、いえ。それはまたの機会に…。」

 

夜が「いえ」と言った瞬間、社長は眉根を潜め真面目そうな顔になる。

一瞬、彼女の持つカバンに目を向け、デッキケースを見つけると夜に目を戻す。

 

社長「……。夜ちゃんがそこまで堅い喋り方するってことは、なにか重要な話?」

 

夜「はい。ヴァルハラ社についてお聞きしたいことが。」

 

社長「……それは、どうして?私より詳しい人が居るはずよ。」

 

夜「わたくしや御兄様が産まれる以前からヴァルハラ社でお父様と仕事をされていた社長の方が分かることは多いのではと。」

 

社長「何を、聞きたいの?」

 

夜「それが。」

 

夜は社長に数日前の出来事、そしてタロットという男のことを話した。

 

 

――数日前、ディープジュール最下層

『テリトリー・デプス』

 

辺りは暗い闇に閉ざされ、一寸先も見えない中、夜剣は少し前に交戦した男。

タロットを見つけた。

 

夜剣「……逃げないのか。」

 

タロット「……逃げるつもりなどない。あの子を放っておくつもりは無いのじゃよ。」

 

タロットの背後から、大きなナニカが荒い息遣いで横たわっている。

夜剣には、その大きさは自身の本来の身長の5倍はあるように見えた。

 

夜剣「…まさか、黒幕の正体がこれだと?まるで、モンスターのような。」

 

タロット「そう、モンスターじゃよ。今はヨタバイト・ドランザーから受けた攻撃が予想以上に中核を貫いたゆえに休眠を余儀なくされている。」

 

夜剣「これはなんだ、答えろ!」

 

タロット「……我らヴァルハラ社は…世界を守るために生贄を捧げた…。」

 

夜剣「…ヴァルハラ社だと?」

 

夜剣は予想外の名前に驚いた。

タロットは気にせず話し続ける。

 

タロット「生贄を捧げねば世界は方向性無き欲望に飲み込まれる。だが、捧げた生贄にも待つものが居るのだよ。」

 

夜剣「何を言って…。」

 

タロット「真実は残酷だ、この子には耐えられないだろう。だから、奴がただ記憶を失っているだけだと言うしかなかった。」

 

夜剣「蒼くんは、ヴァルハラ社に関わりのある人間なのか…。」

 

タロット「……。もう帰るといい。占いなら受けるが。」

 

夜剣「まて、蒼くんは誰なんだ!」

 

タロット「……それを言ったところで何になる。」

 

夜剣「え?」

 

追及しようとした夜剣にタロットは恐ろしい形相を向ける

タロットが初めて怒りを露わにしたのだ。

 

タロット「奴はもう、人間だった頃とは違うのじゃ!残った亡骸に真実を伝えてどうする!この子が真実を思い出したらまたどれほどの被害が出るかも分からんぞ!奴に伝えて人格が壊れたら君は責任を取れるのか!!」

 

夜剣「っ……。」

 

阿修羅のごとき怒りの形相を見て夜剣は立ち尽くす。

そして、直ぐに元の表情に戻ったタロットはタロットカードを取り出す。

 

タロット「これ以上聞こうとするならば……お主の恐ろしい恋愛運を暴くぞ。」

 

夜剣「か、帰ります。」

 

 

 

 

 

――現在

 

夜「ということなんです。」

 

社長「……未来ちゃん。」

 

夜「やはり知っていたのですね。なら、教え。」

 

社長「ごめんなさい。」

 

夜「え?」

 

夜の言葉を遮り、社長は俯く。

 

社長「夜ちゃんが聞きたいことが分かったわ。…だから」

 

夜「だから?」

 

社長「貴方に、伝える訳にはいかない。それを知ったら、貴方もすごく悩む。蒼ちゃんに至っては、無いと信じたいけど、最悪の場合は自殺してしまうわ。」

 

夜「……え?な、んで。」

 

社長「…夜ちゃん、貴方が例えば誰かに毛糸の帽子を貰ったとするわ。それをカラスに盗まれてしまった。」

 

夜「はぁ…。」

 

社長「それが、ひな鳥が凍えないように巣の材料にする為だったら。夜ちゃんは取り戻す?」

 

夜「…取り戻さないと思います。」

 

社長「それはどうして?」

 

夜「だって、それを取ったらひな鳥が…。」

 

社長「そういうことよ。」

 

夜「え?」

 

社長「今は分からなくていいの。……夜ちゃん。」

 

社長は夜を優しく抱きしめる。

 

夜「な、何を!?」

 

社長「貴女が惚れた人は、世界を滅ぼさないために犠牲となったの。あの人がもしも、真実を知ってしまったら…絶望してしまわないように、側にいてあげて。」

 

夜「……え?」

 

社長「……この後、テレビ局で仕事でしょ?がんばってね」

 

社長は悲しそうな目で夜を見つめた後、去って行った。

 

 

夜「どういう、ことなんだ。」

 

蒼が犠牲になった。

二人の人間から聞いたその言葉の意味を夜は全く理解できなかった。

その後、ツルギヒメとしてのテレビ収録に身が入らず、周りに体調を心配されることとなった。

 

 

――蒼退院まで、大体57日

 




今回はここまで、感想&活動報告お待ちしてます。

以下の情報が更新されました。


年齢、?
性別、男
■アンダーズの監視を命じられてやってきたモンスター。
■人間のふりをして、現在はアンダーズでバイトをしている。
■一人称、俺
■使用デッキ、サイバーワールド。

グレー
■アンダーズのマスコットで蒼のバディ。
■自分たちのニックネームが色の名前にされているので、かつての同僚たちは何色がいいかを考えている。
■現在はアンダーズを離れている。
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