【Splatoon2】「スカイフィッシュ」シリーズ 作:あすてる*
・オリジナル設定を随所に散りばめていますので、そういうのが苦手な方はブラウザバックをお願い致します。
では、この物語を読むことが、あなたにとって有意義な時間となりますように……
―ハイカラシティ―インクリング達の流行の発信地となった大都市である。
バトロイカ社が主催するチーム対抗型競技「ナワバリバトル」は長い歴史を経てこの世界を代表するスポーツとなり、世のインクリングの若者達はこの競技に参加することがステータスとされた。
数年経った頃、バトロイカ社は競技のマンネリ化を防ぐために競技の大幅なレギュレーション変更をするとともに、本拠地をハイカラシティから二駅離れた繁華街「ハイカラスクエア」へと移すことを決定した。
ここハイカラスクエアは、かつて治安がとても悪く軽犯罪が耐えない地域だったが、約一年半前にバトロイカ社が行った再開発事業により治安は回復。そしてハイカラシティに代わる新たな流行の発信地として躍進的な発展を遂げた。
そしてインクリング達は更にイカした存在となるため新たな舞台でナワバリバトルに勤しんでいたのだった。
―そんなこの地に、また一人のインクリングが足を踏み入れようとしていた―
✽
ハイカラスクエアの駅は、都市部であるハイカラシティの駅に対して比較的閑散としている。人々の流通のほとんどがハイカラシティに集中しているからだろう。元々ハイカラスクエアはハイカラシティからそれほど距離が離れていないため、電車を利用する人はそこまで多くはない。
そんなハイカラスクエアの駅に、一両編成の電車が停車した。少し錆びた車体を見る限り、かなり遠くの田舎から来たことがわかる。
車内には、乗客がたった一人しか乗っていなかった。インクリングの青年のようだ。青年は電車が到着したのを確認すると、空色のゲソを頭に装着していたパイロットゴーグルで抑えなおし、傍らに置いていたショルダーバッグを背負い電車を降りた。
「ここがハイカラスクエアか…やっぱりデカいな~!」
改札を抜けた青年は目の前に広がるビル群を見上げて驚きの声を上げる。田舎から出てきた青年にとっては生まれて初めて見た景色だったのだろう。
少しの間、辺りの景色に夢中になっていた青年だったが、何かを思い出したかのようにポケットからイカフォンを取り出し、どこかへ電話をかけ始めた。
『はい、シェアハウス「ユノス」です!』
三コール程の呼び出し音の後に、女性の声が電話に出た。
「あ、もしもしユズハさん? ソラです、今無事ハイカラスクエアに着きました」
ソラが電話をかけた先は入居予定のシェアハウスだった。
『そうですか! ではお迎えを寄越しますので、デカ・タワーの前で待っていて頂いてもよろしいですか? その子にはソラさんの特徴を伝えてあるので』
「デカ・タワーの前ですね、わかりました。じゃあまた後で、ユズハさん」
そう言うと、ソラは電話を切った。通話の終わったイカフォンをポケットにしまうと、遠くに見えるデカ・タワーのてっぺんを見据える。
「あそこを目指せば道に迷わずに済みそうだな。よし! 行くか!」
ハイカラスクエア駅からメインストリートまでは歩いて約二十分程度の距離だ。ソラはデカ・タワーのてっぺんを目印に歩き始めた。
✽
ハイカラスクエア駅を出発して約二十分。時刻は昼に差し掛かった頃、ソラはハイカラスクエアのメインストリートに到着した。
無機質なビル街から一転してカラフルな商店街やカフェ、右手にはニューススタジオやアミューズメント施設がずらりと並んでいる。ソラがここに来るまでに見た景色と比べてもはるかに異彩を放っていた。そして何よりも、目の前にそびえ立つ建物にソラの視線は釘付けになる。
デカ・タワー。ハイカラスクエアを象徴する超高層ビルである。ナワバリバトルの受付も兼ねているそのビルは、この先ソラも何度も訪れることになるだろう。
「あっそうだ、デカ・タワーの前で待ち合わせだったな、もう来てるかもしれないし急いで行かないとな。……ん?」
ソラは待ち合わせ場所まで向かおうとしたが、目的地であるデカ・タワーの入口前で誰かが口論をしているような声が聞こえた。
よく見てみると、一人のボーイが三人組のボーイに絡まれているようだ。ナワバリバトルを終えた直後のようで、4人全員ゲソの色がショッキングピンクに統一されている。三人組の方は明らかに柄の悪い雰囲気を漂わせていた。絡まれているボーイはソラよりも年下に見える、とても怯えているようだ。
「最後まで押されっぱなしで負けちまったじゃねえか!テメェのせいだぞ!」
「ご、ごめんなさい……まだバトルに慣れてなくて」
「俺達の連勝記録がこんなことで全部パーだ! どう落とし前つけてくれるんだ!?」
三人組の剣幕にボーイはすっかり萎縮してしまい、何も言えずに俯いてしまっている。
そんな光景を見て、ソラは黙っていられなかったようだ。未だに怒声を張り上げている三人組の方まで足早に近づき、三人組とボーイの間に割って入った。
「おい、もうそこまでにしておいたらどうだ? この子も何度も謝ってるだろ」
「あぁ? なんだテメェは?」
突然の闖入者に三人組は揃って訝しげな表情を浮かべた。
「負けた原因を一人に押し付けることはないだろ? ナワバリバトルはチームプレイだ、自分たちにも少しは原因があるとは考えないのか?」
そう言い放つソラを前に、三人組は一瞬だけ顔を見合わせると三人のうちの一人が前に出てきた。どうやらこのボーイがリーダー格のようだ。
「いきなりしゃしゃり出てきてわかったような口を聞くじゃねえか。ただ、バトルに関して俺たちに意見するにはまず見せなきゃいけないモンがあるんじゃねえか? あぁ?」
「見せなきゃいけないもの……?」
不機嫌な表情を隠そうともせずにそう言ったリーダーにソラは疑問を浮かべた。
と、その様子を見ていたリーダーの後ろにいる取り巻きがソラに声を投げかける。
「決まってるじゃねえか、ウデマエパスだよ! ウデマエパス! ナワバリバトルはウデマエが全てだ、だからまずはお前のウデマエを見せろってアニキは言ってんだよ!」
そう言われた瞬間、ソラは激しく動揺した。それもそのはず、ソラはまだハイカラスクエアについたばかりで、選手登録も済ませていない。ウデマエどころか、ウデマエパスすらまだ発行してもらっていないのだ。
動揺するソラを、リーダーは睨みつけたまま口を開く。
「どうした? まさかお前、ウデマエパスを持ってないなんて抜かすつもりじゃねえだろうなァ?」
「そ、それは……」
口ごもってしまったソラの様子を見た三人組は何かを確信したようだ、揃って腹を抱えて笑い声を上げた。
「ダッハハハハ! 図星みてぇだなァ? コイツは傑作だぜ! ウデマエパスも持ってねぇ新参が上級者様に偉そうに説教垂れるとはな!」
そう言うとリーダーはポケットから一枚のカードを取り出した。そこには赤い文字で大きく”A+”と書かれていた。
リーダーに続くように二人の取り巻きもそれぞれカードを取り出しソラに見えるように掲げる。そこには同じく赤い文字で大きく”A”と書かれていた。
「ほらよ、コイツがウデマエパスだ。ナワバリバトルでの強さを表す動かぬ証拠! ナワバリバトルの選手なら誰でも持ってるシロモノだ。そこのチビスケはC-みてぇだがな。」
そう言ってリーダーはソラの後ろで縮こまっているボーイを顎で示す。
ソラは三人組のウデマエを見て更に動揺したようだ。ナワバリバトルにおけるウデマエは”C-”から”S+”まで存在しており、取り巻きの二人は上から三番目、リーダーは二番目に高いウデマエを保持していた。一般的なナワバリバトルの参加者の中でも、十分に高いウデマエと言える。まだバトルに参加したことも無いソラにとっては、とんでもなく格上の相手だったのだ。
「俺たちとそこのチビスケの間にはここまでの差があるんだ。偶然俺たちのチームに組み分けされちまったようだが、格上が格下に合わせて戦ってるようじゃバトルは成り立たねぇ、だから格下のヤツが俺たち格上に合わせて動くのが筋ってもんだ。だが……」
リーダーはそこまで言うとボーイを鋭く睨みつけた。そして今まで以上に語気を荒げる。
「コイツにはそれが出来なかった! 前線に出もせずに裏道をコソコソしながら意味もねぇ塗りを延々としてやがった! おかげで前線は足りずに俺たちは囲まれて袋叩きだ、こんなに腹が立ったのは久々だぜ! これだから素人は――」
「……それでも」
「……あん?」
それまでやや俯きながらリーダーの話を黙って聞いていたソラは、はっきりとした声でリーダーの言葉を遮った。
「それでも、下級の選手一人を責めていい理由にはならない。そういう選手を導くのも上級者の役目じゃないのかよ……!」
リーダーのあまりにも勝手な言い分に、ソラはついに堪忍袋の緒が切れたようだ。ソラは毅然とした表情でリーダーを睨みつける。
「アンタがやってることは、自分が上級者だというプライドを振りかざしてすべての鬱憤を他人に押し付けてるだけだ! ホントに強い選手は、一つ一つの試合から自分の非を探してそれを克服して強くなってくものなんだ! どんなに強くなっても……俺はアンタみたいな選手にはなりたくないね」
言い終わるとソラは、誰も気がつかないくらいに小さく息を吐いた。
リーダーは少しの間黙っていたが、次第に額に青筋をたて、ゆっくりと搾り出すように口を開いた。
「……そうかよ、随分好き勝手言ってくれるじゃねえか。新参風情がよぉッ!」
リーダーは怒鳴り声を上げ、背中に携えていた本来ナワバリバトルで使用するブキ”カーボンローラー”を手に取り、ソラに向かって振り下ろした。
「うわぁッ!」
ソラは間一髪のところで横に素早く飛び退き攻撃を逃れる。たった今までソラがいたところにはリーダーのゲソの色と同じショッキングピンクのインクが縦に塗られていた。
街中でインクによる攻撃が行われたことに気づいた周りのインクリング達も何事かとソラたちの周りに野次馬となり集まり始めた。
「い、いきなり何するんだよっ! 街中でブキを使用するのは禁止されてるはずだろ!」
受身を取り片膝をついたソラが声を張り上げる。
しかしリーダーは振り下ろしたカーボンローラーを持ち直すともう一度ソラに向かって構えた。
「うるせぇ、この街での礼儀を知らない奴にはキツ~い洗礼をくれてやるよ!」
そう言うと、鋭い笑顔を浮かべたリーダーは再びソラに向かって一気に距離を詰め、カーボンローラーを振り回す。
「くっ! やめろって!」
ソラは何度もカーボンローラーを振り下ろすリーダーの攻撃をギリギリのところで避け続けながら制止の声をかける。
しかし、リーダーは聞く耳を持たず何度もソラに向かって攻撃を仕掛ける。周りが見えていないリーダーが振り回すカーボンローラーから撒き散らされるインクは、やがてまわりを囲む野次馬やボーイにまで降りかかる危険があった。
このままでは埓が明かない、そう判断したソラは、すっかり興奮状態になりつつあるリーダーをまっすぐ見据える。
リーダーは再びカーボンローラーを振りかぶりソラに襲いかかろうとした。
その瞬間、ソラは姿勢を低くし、振り下ろされようとしていたカーボンローラーの柄を掴み、そのままリーダーの腕ごとリーダーの背中側に捻り上げ、リーダーの右足を引っ掛けるように蹴り上げる。するとリーダーは突っ込んだ時の勢いのまま顔面から地面に転んだ。転んだリーダーを手首を捻り上げたまま上から押さえつけたソラは、素早くカーボンローラーをもぎ取った。その時、あたりから野次馬の「おぉ……」という小さな歓声がこだました。
「クソッいってぇな! 離しやがれ!」
リーダーは顔面の痛みで多少の落ち着きを取り戻したようだが、怒りはまだ収まっていないようだった。ソラの腕を振り払うと起き上がり、振り向きざまにソラに飛びかかろうとする。
その瞬間、息を切らしながらもソラはリーダーから奪い取ったカーボンローラーをすかさずリーダーの眼前に突きつけた。
「ぁっ…!?」
「はぁ……はぁ……い、いい加減に、そろそろ落ち着いてくれよ」
そう言うと、ソラは呼吸を整えようと大きく息を吐いた。その時、リーダーは突然小さくニヤリと笑みを浮かべた。リーダーがとったその表情を訝しげに見ていたが……
「ぐっ……!?」
リーダーに気を取られていたソラは、後ろから投げつけられる物体の気配に気づくことができなかった。投げつけられたのはガラスのような素材でできたボトルだった。それはソラの背中に命中すると耳障りな音を立てて割れ、中に入っていた液体がソラを中心に撒き散らされ、やがてドーム状の霧となってソラを包んだ。その瞬間ソラは急激な体の重さと息苦しさに襲われた。
「な、なんだ? 体が動かない……!」
たまらずソラはその場に膝をついてしまう、後ろから迫ってくる足音にかろうじて振り向くと、今投げつけられたボトルを手に持ったリーダーの取り巻きの一人がいた。
「ポイズンボール、コイツが割れて発生した霧の中に入った相手の動きを制限できるウェポンってやつだぜ! 一つ勉強になっただろ?」
取り巻きの一人はポイズンボールの性能を自慢げに話す。その取り巻きが携行していたブキはラピッドブラスターエリート、サブウェポンにポイズンボールがセットになっているブキだった。
ソラはポイズンボール自体はテレビでやっていたナワバリバトルの試合で見たことがあったが、実際に受けたのは初めてで、その予想外の苦しさに悶えていた。
「油断は禁物だぜ新・参・くん?」
もうひとりの取り巻きも自分のブキであるボールドマーカーを手で弄びながらからかうような声をソラにかける。
「おっと、お前らは手出すなよ? コイツは俺がやる」
立ち上がったリーダーは他の取り巻き二人を制止する。そして苦しむソラの手からカーボンローラーを乱暴に奪い返した。
「随分調子に乗ってくれたな? 今度こそ痛い目見てもらうぜ?」
ポイズンボールの効果で、ソラにはもう攻撃を避ける力は残っていなかった。
「安心しな、死にやしねぇ。どっかのリスポーンユニットに復活できるだろうよ。痛みはしっかり覚えさせてやるけどなァ!」
ソラの目の前でカーボンローラーが振りかぶられる。ソラは覚悟を決めて固く目を瞑り歯を食いしばった。
その時、多くの野次馬に囲まれたデカ・タワーの前に、無機物同士が強くぶつかり合う音が響き渡った
「な、なんだぁ……!?」
ソラが固く閉じていた目を開けた。すると、自分に向かって振り下ろされたカーボンローラーが、突如横から突き出されたスプラローラーによって受け止められていた。ソラとリーダーは揃って横から伸びているスプラローラーの持ち主を見やった。
そこには紫色の長いゲソを二つ下げたガールがいた。ポケットに片手を突っ込み、もう片方の手だけでスプラローラーを突き出している。カモメッシュを目深に被っていて表情はあまり読めないが、浅黒い肌に紫色の目が覗いていた。
ガールは受け止めていたカーボンローラーを弾き返す。リーダーは後ろに少し仰け反るがすぐに体勢を立て直しガールを睨みつける。
「誰だテメェ! 邪魔すんじゃねえよ!」
リーダーの怒声に、ガールはゆっくりと口を開いた。
「……悪いな。私はコイツに用事がある、リスポーン送りにされるのは困るんだよ。ここはおとなしく消えてくれないか?」
「へっ! 悪いな、俺もそいつに用事があるんだわ。邪魔するんならテメェも一緒にリスポーン送りにしてやってもいいんだぜ?」
全く引き下がろうとしないリーダーに、ガールは目を閉じてため息をついた。
「……やっぱり口言っても無駄か。ならかかってこい、少しシメてやる。」
そう言うとガールは、スプラローラーを肩に担ぎ、リーダーを無機質な目で見据えた。
「はぁ? ナメたこと抜かしてんじゃねぇぜ!」
「アッアニキ、なんかこの女ヤバそうっすよ! 放っておいた方が良さそうですぜ……!」
ガールから異様な雰囲気を感じ取った取り巻きのボールドマーカーが、少し焦りながらリーダーを制止する。
「テメェは黙ってろ! 次から次へとジャマが入って俺ァ我慢の限界なんだよ! 覚悟しろや!」
取り巻きの制止を振り払い、リーダーは先ほどソラを襲った時に辺り一面に塗りたくった自分の色のインクにイカの姿となって潜り込み、声を張り上げながらガールに向けて突進した。そしてガールを射程内に捉えると、インクから飛び出しカーボンローラーを縦に振り上げた。
しかし、ガールは攻撃を避けて横に飛び退くとローラーを縦に構える。
「なッ!? や、ヤベェ……!」
カーボンローラーを空振りさせた瞬間、リーダーはすぐに体制を立て直そうとしたが、もう遅かったようだ。
ガールはリーダーの背中目掛け、ローラーを振り下ろした。
バシャンッッ!!
ガールの放った一撃は大量の紫色のインクとともにリーダーを襲い、リーダーはインクの塊となって弾けとんだ。
その瞬間を、ソラは唖然とした表情で見つめ、野次馬たちはどよめき、取り巻きたちは身を乗り出し驚愕した。
「「ア、アニキィ!!」」
取り巻き二人が同時に声を上げる。自分たちのリーダーが目の前であっという間にキルされてしまった、その衝撃は大きかったようだ。
そんな二人を尻目に、ガールは服をパンパンと払うと、まだ呆気に取られていたソラの元へと歩いて行った。
「……空色のゲソにゴーグル。お前がソラだな?」
ガールの確認するような声に、ソラは我に返ると慌てて答えた。
「えっ? あ、あぁそうだけど……もしかしてキミが?」
「ユズハに頼まれてきた。もう立てるな? 早く行くぞ」
そう言うと、ガールはまだ膝をついているソラを置いてさっさと歩き出してしまう。ソラは立ち上がった時に少しふらつくが、慌ててガールの後を追おうとする。
「お、おい待ちやがれ! テメェよくもアニキを!」
取り巻きの一人がラピッドブラスターエリートを手に握ってガールを呼び止める。
しかしガールは振り向きざまに取り巻きにローラーの先を向けた。そして懐から一枚のカードを取り出した。三人組が持っていた物と同じウデマエパスのようだが、三人組の物と違うところはそのウデマエだった。パスには銀色の文字で大きく”S”と記されていた。
「うっ……」
「やめておけ、お前たちじゃ私には勝てない。さっさと”アタマ”を迎えにでも行ったらどうだ?」
”アタマ”とはリーダーのことだろう。ガールの凍てつくような視線に気圧され、取り巻きのブキを握る手は震えていた。
ソラもガールの見せたウデマエパスに驚きを隠せなかった。ガールは間違いなく今この場で主導権を握れる強さを持っていた。
「く、クソッ! 覚えてやがれ!」
取り巻きの二人は捨て台詞を吐き、走り去っていった。
その直後、遠くからパトカーのサイレンらしき音が聞こえてくる。誰かがハイカラスクエア市警に通報したのだろう。その音を聞いたガールはローラーをしまうと足早に歩き始めた。
「さっさと行くぞ、警察に引き止められると面倒だ」
「えっ!? あぁちょっと! 置いてかないでくれよ!」
ソラは野次馬を押しのけてさっさと行ってしまったガールを慌てて追いかけようとした。
「あ……あのっ!」
後ろから掛けられた声にソラは振り向く。三人組に絡まれていたボーイだった。ソラのもとまで駆け寄ると少しおどおどしながらもソラの目をまっすぐ見つめた。
「助けてくれて、ありがとうございました……」
「ああ、ケガとかが無くてよかったよ。またああいうのに絡まれないように気をつけてな。」
そう言って歯を見せてニッと笑ったソラに、ボーイも笑顔を取り戻す。
「あのっ僕、ミツルって言います! あなたのお名前は?」
ミツルと名乗ったボーイはソラに名前を尋ねた。
「俺はソラって言うんだ。よろしくな! ってヤバイ、早く行かないと!」
太陽のような笑顔で名乗ったソラだったが、ガールが既にずっと遠くを歩いているのを確認すると慌てて走り出す。サイレンの音も更に近くなっていた。
「それじゃあな! ミツル! またいつか!」
「はい! ホントに、ありがとうございました!」
ミツルの声に、ソラはもう一度だけ振り返り、大きく手を振った。
◇◆◇
「なかなか面白いもんが見れたな」
ソラがガールの後を追い、野次馬もはけ始めた頃、近くの建物の影からその様子を腕を組んで眺めている者がいた。インクリングの青年のようだ。深い緑色のゲソを後ろで結い、ヤキフグビスケットバンダナを帯状に頭に巻いていた。
青年はまだ遠くに微かに見えるソラの後ろ姿を遠目に見つめる。
「あの新参、バトル経験もないのに”A+”相手にあそこまで立ち回るとは大したもんだ。それにあのローラー使いも只者じゃないな……」
青年はしばらく何かを考えていたようだったが、ふと顔を上げると何かを決心したようだ。
「よし、今度はあいつらと組んでみるとするか!」
そう呟くと、青年はその場を後にしようとするが、ふと立ち止まりまた何かを考え出した。
「でも問題はさっきのチンピラ連中だな……アイツらは昔からしつこい事で有名だ。こりゃまた一悶着ありそうだな」
そう言いながら青年は今度こそ建物の影から歩き去った。
◆◇◆
メインストリートを後にして数分、そこはマンションや一軒家が立ち並ぶ住宅街だった。なんとかガールに合流することができたソラは、切らした息を整えると、ガールの横に並ぶ。
「さっきはちゃんとお礼も言えなかったよな。ありがとう、キミが来てくれなかったらハイカラスクエアについて早々リスポーン送りにされるところだったよ」
ソラは隣を歩くガールに笑顔で感謝の言葉を伝える。ガールはソラを少し見てからまた視線を前に戻した。
「そいうえば、まだ名前を聞いてなかったな。俺はソラ、キミは?」
ソラがガールに名を訪ねると、ふたりの間に少しの沈黙が訪れた。ソラはガールを見つめ返答を待つ。
「……シオンだ」
「シオンか、いい名前だな!」
手短に名乗ったあと、それっきりシオンは黙ってしまった。
ソラも元々そこまでおしゃべりなタイプではなかったが、こうも会話が続かないと流石に気まづくなってきたようだ。なんとか話題を見つけようとしていた。
「それにしてもウデマエ”S”だなんて、すごく強いんだなシオンは! あの不良を相手にした時も全然動じてなかったしさ、俺も一応腕っ節には自信あるんだけど、あんな状況になったのは初めてでさ――」
「バトルをしたこともないくせに喧嘩の仲裁に入ったのか。無謀なやつだな、それともただのバカなのか?」
遮るように言い放たれたソラは、少し面食らっていたが、すぐに少々バツの悪そうな顔で頬を掻いた。
「ま、まぁ確かにバカだったかもしれないけど……あんなに怯えてたミツルに三人が絡んでたのを見たとき、気づいたら勝手に体が動いてたんだ」
そう言って神妙な顔つきになったソラを、シオンは横目で見ながら次の言葉を待っている。
「ナワバリバトルはチームプレイ、みんなで力を合わせて勝利するのが本質だと思うんだ。小さい頃からテレビで見てたバトルでも、チームの人たちはとても楽しそうにバトルをしてた。だから、あんなふうに一人を責めてせっかくのバトルの楽しみを台無しにするのは、なんというか……許せなかったんだ」
「……元々さっきのインクリングはあの三人組とはチームじゃない。チーム戦以外のバトルでは、チームメンバーは完全にランダムで振り分けられる。あの三人はフレンド登録をして一緒にバトルができるようになってたけど、そこに偶然アイツが振り分けられてしまったんだろう。よくあるトラブルだ」
そこまで言って、シオンは小さく息を吐いた。シオンの言葉に、ソラは少し目を伏せていた。
「ああいうことは、無くなるのが一番なんだけどな……」
「お前がやったことを否定する気はないが、いちいち気にしてたらキリがない。まだバトルに参加したこともないならなおさらだ」
「ああ、だから俺は俺のやり方で楽しむよ。ありがとなシオン!」
それを聞くと、シオンは表情ひとつ変えずにまた前を見て黙ってしまったが、ソラは拒絶されたわけではないと思ったのか、小さく笑ってシオンと同じく前を見て歩き続けた。
それから五分ほど経った頃、シオンは薄く黄色がかった大きな建物の前で立ち止まった。
「……ここだ」
「ここがそうか! ユズハさんに挨拶しないとな」
その建物は箱型の二階建てになっており、屋上にはバルコニーがあるのがわかる。一階のちょうど真ん中に玄関があり、備え付けの郵便受けは入居者分用意されている。そのうちの一つにはシオンの名もあった。
シオンは玄関の前に立ち、視線だけでソラに先に入るように促す。
ソラは玄関を開け、中へと入っていった。
✽
中へと入ると、最初にソラの目に映ったのは家の中央で大きな存在感を放つ長い階段だった。階段は二階まで伸びており、一階から二階までは吹き抜けになっていた。一階は階段を挟んで区分けされていて、右側はリビングスペース、左側はダイニングスペース。階段の奥にも部屋があり、そこがキッチンになっているようだ。
「ごめんくださーい!」
ソラの声が吹き抜けとなっている建物全体に響き渡る。その後、二階の方からスリッパが擦れるような軽い足音が聞こえてきた。
階段の上に現れた足音の主は、エプロン姿の妙齢のインクリングの女性だった。長い薄黄色のゲソを後ろでリボンで結っている。女性はソラとシオンの姿を確認すると、いそいそと階段を降りてきた。
「ようこそいらっしゃいました、ソラさん! 長旅、大変お疲れ様でした」
「こんにちはユズハさん! 無事に到着しました」
両手を体の前で重ね、柔和な笑みで歓迎するユズハに、ソラは答えた。
「シオンもお疲れ様です。 苦労をかけましたね」
「ああ……まさか当人がケンカの真っ最中だとは思わなかったけどな」
シオンの言葉を聞いたユズハはそれまでの柔和な笑顔から一転とても心配そうな顔をソラに向けた。
「えぇっ!? 大丈夫でしたかソラさん? いけませんよ、まだブキもお持ちでないのに……」
「ええまぁ……でも危ないところをシオンに助けてもらったんで、ケガとかはしてないです」
ユズハはまだ少し心配そうだったが、ソラがどこにもケガをしていないと身振りで示してくれて胸をなでおろした。
「それなら良かったです! シオンを迎えに行かせて正解でした」
ユズハはそう言ってシオンの方を見るが、シオンはカモメッシュを目深にかぶりなおすと階段の方へ歩き出した。
「……私はそろそろ部屋に戻る」
階段を登っていくシオンの後ろ姿を、ソラとユズハは同時に見上げていた。
ユズハはシオンの後ろ姿を見て「あらあら…」と小さく呟いたあと、ソラの方へ向き直った。
「ではこちらへどうぞ。ソラさんの部屋も二階にあります」
そう言われ、ソラは先を歩くユズハに連れられ、二階へと上がっていった。
「こちらが、ソラさんのお部屋になります! シオンの部屋の隣となっていますよ」
そう言ってユズハが示したのは、階段を上がってすぐ正面にある二つの部屋のうちの左側だった。右側の扉にはシオンの名が入った紫色を基調とした掛札がぶら下がっていた。
「これからは自分の部屋として自由に使っていただいてよろしいですからね。今日はこのあとどうされますか?」
「特に予定はないですね。ナワバリバトルの選手登録も明日にしようと思ってたんで、今日は少し休もうと思います」
「そうですか。でしたら今夜はソラさんの入居記念日として、腕によりをかけて夕飯を作りますね!」
自信満々に腕をまくってみせたユズハに、それを聞いたソラは目を輝かせて飛び上がった。
「すっごく楽しみです! 母さんからも聞いてたんですっ”ユズハの料理はすごく美味しいのよ!”って!」
「あらあら、ヒヨリさんも嬉しいことを言ってくれますね」
ユズハは口元に手を当て、照れくさそうに笑った。
ユズハはソラの母親、ヒヨリの古くからの友人で、その繋がりもあり、ヒヨリがソラにこのシェアハウスに紹介したのだ。
「そういえば、カイトさんは元気にしていますか?」
カイトとはソラの父親の名である。ヒヨリはソラの両親ともども友人関係だったようだ。
「父さんも元気にしていますよ。相変わらず母さんに振り回されてますけど」
「ふふっカイトさんは昔からヒヨリさんに頭が上がりませんからね」
ソラとユズハによる、ソラの両親の話はしばらく続いた。話している間のユズハはどこか懐かしげだった。
ひとしきり話したあと、ソラはユズハからシェアハウスと自室の鍵をそれぞれ受け取った。
「こちらが鍵になります。留守にするときは戸締りを忘れずにお願いしますね」
「わかりました。大切に持っておきますね」
「では、私は夕飯の買い出しに行ってきますので、ソラさんはゆっくりお休みください」
そう言って軽く会釈をすると、ユズハは階段の方へ歩いていくが、ふと何かを思い出したかのようにソラの方へ振り返った。
「あ、ソラさん」
「はい、どうしました?」
ソラはなんだろう? といった表情でユズハを見る。
「シオンとも、是非仲良くしてあげてください。あの子があんなに機嫌が良さそうな姿は久しぶりに見たので」
そう言われたソラは少し驚いた表情をした。
「えっシオンってさっきみたいな感じでも機嫌が良かったんですか!? 俺にはよくわからなかったですけど……」
「ふふっ付き合いが長くなると、すぐにわかるようになりますよ」
「は、はぁ……でも、無口ですけど根はとても優しそうでした。これから色々話してみたいと思います!」
それを聞くと、ユズハは安心したように笑顔を浮かべた。
「初対面でそこまであの子をわかってくれているなら、心配はいらなそうですね」
そう言って、今度こそユズハは階段を降りていった。
「あの子……か」
そう呟き、ソラは隣のシオンの部屋の扉を見つめる。街で最初に出会った不思議な雰囲気を纏った少女……彼女のことをソラはまだよく知らないが、これから長い付き合いになるだろう。ソラはこれからの日々に思いを馳せつつ、鍵を開け、自室へと入っていった。
✽
夕食を食べ終え、入浴も済ませたソラは自室で荷物の整理をしていた。といっても、ソラの荷物はショルダーバッグ一つに入る程度しか持ってきていなかったが。
「それにしても、いい感じに狭い部屋だからすごく落ち着くな」
ソラにあてがわれた部屋は、4.3帖程の広さにシングルサイズのベッド、デスクと小さめの本棚、そしてクローゼットがついたシンプルな様相の部屋だった。一人が寝泊りするには十分なスペースであり、ソラはこの部屋がとても気に入ったようだ。
荷物の整理がひと段落着いたソラは、シェアハウスの屋上にあるバルコニーへ行ってみることにした。時刻はもうじき日を跨ごうとしていたが、ソラは外の空気が吸いたかったようだ。
部屋を出たソラは、自室から見て右側の通路にバルコニーに続いている階段を発見した。ソラはそこまで歩き階段を登る。階段を登りきると、建物の屋上全体を使った大きなバルコニーに出た。
バルコニーの一角には、おそらくユズハが育てているのだろう、小さなビニールハウスの家庭菜園があった。
ソラはバルコニーの正面にある住宅街とデカ・タワーを一望できる木の柵張りになっている場所へと歩いて行った。すると、そこには先客がいた。
「あっ……シオン」
「……お前か」
シオンは昼間とは違って帽子は被っておらず、長袖のシャツにスウェットを履いていた。ソラと同じく部屋着なのだろう。シオンはソラを一瞥してまた外の景色を眺め始めた。
ソラはシオンの隣に歩み寄り同じく遠くにそびえ立つデカ・タワーを眺めた。
「……こんな時間にどうした」
「ちょっと外の空気を吸いたくなってさ。シオンは?」
「私もそんなところだ」
その後、しばらく二人で景色を眺めていたが、ソラがゆっくりと口を開いた。
「今日は、ホントありがとな。俺一人じゃ、きっとどうしようもなかったかもしれない」
「何度も同じことで礼を言わなくてもいい」
「それでもだよ。」
シオンは少し呆れるように息を吐き、ソラの方を向いた。
「……変わった奴だな」
「そうか? ”自分を助けてくれた人には全身全霊でお礼の気持ちを伝える”父さんに昔言われた言葉だよ。それ以来、俺のモットーになってるんだ」
シオンはそれを聞くとまた視線を外の景色へと戻した。
その様子を見ていたソラは、突然「あ…そうだっ」と声を上げ、いそいそとバルコニーを出て行ってしまった。走り去るソラに、シオンは視線を少し向けたがそれっきりだった。
しばらくすると、シオンの背後から階段を駆け上って来る足音が聞こえてきた。ソラだった。両手に缶ジュースを持っていた。
「はい、これはシオンの分な」
シオンはソラから缶ジュースを受け取るとその缶を凝視した。今まで見たことがない種類の飲み物だったからだ。
「それは俺の地元にしか売ってない、その名も”わかめスカッシュ”! ちょうど二本だけ持ってきてて良かったよ」
わかめスカッシュと呼ばれたジュースは、缶の全体に緑色のデザインが施されており、幾何学な模様の中にグチャグチャの文字で名前が書いてあった。おそらくここにわかめスカッシュと書いてあるのだろう。
「俺が小さい頃から大好きだったジュースなんだ! こっちに来たら誰かに飲んでみてもらおうと思っててさ、シオンが第一号だ!」
シオンはしばらく缶を凝視していたが、ソラに促されるとゆっくりと缶を開けた。炭酸がはじける音が響く。
シオンはゆっくりと缶に口をつけて中の液体を飲んだ。爽やかな柑橘系の香りと酸味、そしてほんの少しの塩味が効いていた。
「すだちだ。わかめの風味によく合うだろ?」
わかめスカッシュの味を簡単に説明し、ソラはシオンに感想を求めた。
「……悪くない」
気に入ってくれたのだろう、シオンは黙々とわかめスカッシュを飲んでいた。
それを見てソラも自然と笑みがこぼれる。
「気に入ってくれてよかった! もっといっぱい持って来ればよかったな」
そう言って、ソラも自分の分であるわかめスカッシュも開け、シオンの隣で飲み始めた。
「……チームをさ、組んでみたいんだ」
二人でしばらく黙々とわかめスカッシュを飲んでいた時、ソラは唐突に口を開いた。シオンも視線だけをソラに向けている。
「ナワバリバトルの大きな大会に出るにはチームでの出場が絶対条件だろ? だから、明日選手登録をしたら、まずはチームになってくれそうな人を探そうと思うんだ」
そこまで言うと、ソラはシオンの方をまっすぐ向いた。それを見てシオンもソラの方を見た。
「それで、もしよかったらなんだけど……」
ソラはひと呼吸おいてはっきりと言った。
「俺とチームを組んでくれないか!」
シオンは少し驚いたのか、ソラに視線を合わせたまま固まってしまったいた。
ソラはそれを見て少し心配になったのか、シオンのそばまで寄っていった。
「シ、シオン……? 大丈夫か?」
シオンは何も答えなかったが、ふと我に返ると、何か悩んでいるような素振りを見せた。
「……少し」
「えっ……?」
「……少し考えさせてくれ」
そう言うとシオンは、残っていたわかめスカッシュの中身を一気に飲み干すと、ソラに空き缶を押し付けた。押し付けられるまま、ソラは空き缶を受け取る。
「早く寝ておけ、今日はもう遅い」
呆気に取られていたソラを置いて、シオンはバルコニーの入口まで歩き出した。しかし、途中で立ち止まると、ソラの方を一度だけ振り向いた。
「わかめスカッシュ……美味かったぞ」
そう言って、シオンは階段を降りていった。
バルコニーには、一人立ち尽くすソラだけが残されていた。
◇◆◇
夜も更けた頃、ハイカラスクエア郊外のとある路地裏、人があまり寄り付かない空き地に、大勢のインクリング達が集まっていた。ソラとシオンが撃退したリーダーをはじめとする不良グループだった。その数はおよそ二十人。皆リーダーの取り巻きのようだ。
「クソッ! あの新参のボーイと突然しゃしゃり出てきたガール……許せねぇぜ!!」
そう声を上げたのはあの場に居合わせたラピッドブラスターエリートだった。プルプルと拳を震わせ、怒り心頭のようだ。
「どうやら、あの二人は一緒に行動してるみたいっすよ、アニキ」
同じく居合わせていたボールドマーカーもリーダーに声をかける。
リーダーはあぐらを掻いて横に倒したドラム缶の上に腰掛けていた。俯いているため、その表情は伺えない。
「そいつは確かなんだろうな……?」
リーダーはまるで呻くように低い声でボールドマーカーに問いかける。
「間違いないっす…! どうやらあのガール、あの新参を迎えに来てたみたいっす。新参は明日にはナワバリバトルの選手登録をするはずっす、チャンスはその後ですぜ!」
その言葉を聞き、リーダーはドラム缶から飛び降りる。そして勢いよくドラム缶を後ろに蹴り飛ばした。
路地裏にドラム缶が壁にぶつかる轟音が響き渡る。
顔を上げたリーダーは、恐ろしい形相をしていた。あの時自分を叩きのめした二人のインクリングへの憎悪に染まっている。
「ここまでコケにされて黙ってるつもりはねぇ、俺をナメ腐るヤツは誰であろうと潰す……テメェら、しくじるんじゃねぇぞ!」
「応!」
リーダーの張り上げた声にその場にいた全員が気合の声を上げる。自分達のリーダーに手を出されて、取り巻きたちも気が立っているようだった。
不良グループが決起している中、物陰から1人のインクリングがその様子を盗み見ていた。昼間、ソラたちが起こした騒ぎの時も遠くから見ていたインクリングの青年だった。
「やっぱりこうなったか。さて、明日は少し気合を入れる必要がありそうだな……」
そう小さく呟くと、青年は不良たちに気づかれないように早々にその場を去っていった。
「……あんたらも、少し覚悟決めておいたほうがいいかもな」
路地裏を抜けた青年は、空に浮かぶ月を眺めながら、ここにはいないあの時の二人のインクリングに向けて呟く。そして、またどこかへと歩き出していった……
To Be Continued……
小説ってこんなに難しいのですね…というわけでどうも、あすてる*と申します。ずっと頭の中で沸騰させていたネタをこの度ぶちまけようと思い、投稿させていただきました。
誤字脱字報告、ここをこうすればいいよ等のアドバイス、誹謗中傷なんでもござれです
自分の頭の中でかなりスケールの大きい話に膨れ上がってしまっているので、作者の遅筆も相まってあまりペースを早くすることはできないかもしれませんが、どうぞお付き合いください。
では、ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
あすてる*
Twitter→https://twitter.com/aster_myika
キャラ紹介
ソラ 【アタマ:パイロットゴーグル フク:マウンテンフローズン 靴:オルカHi】
主人公。17歳。幼い頃からテレビでナワバリバトルを見て育ち、自分もナワバリバトルに参加したいという思いを胸にハイカラスクエアへとやってくる。少しやんちゃで正義感が強く真っ直ぐでバカ正直な性格。両親からある程度のバトルの手ほどきを受けており、体も鍛えているため、そこらの並みのインクリング相手には引けをとらない実力を持っている。
シオン 【アタマ:カモメッシュ フク:マウンテンノリタマゴ 靴:トレッキングプロ】
ヒロイン。19歳。ソラがハイカラスクエアで出会ったガール。無口で無愛想だが、時々激情をあらわにする一面も。ウデマエはS
ユズハ
ソラ達が生活するシェアハウス「ユノス」の管理人で、シオンとは昔からの長い付き合い。家事と料理の腕は達人級で、家庭菜園もやっており、ソラたちの日常生活全般をサポートする。