君が彼に差し出したモノは何?
四才の時に、無個性と言われた。
足の小指に関節が2つあるから、古い型の人間だって。
動画投稿サイトHero-Tubeでオールマイトの動画を見ながら、母さんに聞いたんだ。
泣きながら、聞いたんだ。
「超かっこいいヒーローに、僕もなれるかなぁ。」
母さんは泣きながら僕にしがみついて、ごめんねって。
ごめんねえってあやまったんだ。
僕の名前を何度も呼びながら。
その時感じた思いが、その時心を締め付けた感情が、僕の最初で最後の挫折だ。
なんで最後かって?
今の僕には個性が有るからだ。
サンタさんにもらった個性が。
そう、あれは四才の冬。
かっちゃん……
あの人はやって来た。
「誰も……助けてくれないんだね。辛かったね。……緑谷出久くん。〝無個性だから〟〝生まれつきだから〟そう言って君の心の痛みをしかたないと放置したんだね。一体どうしてこんな世の中になってしまったんだろう?君は何も悪くない。もう、大丈夫。……僕がいる。」
夕日を背に浴びて、その人も赤い色に染まっているかのようだった。
顔は……どうしても思い出せない。
優しく笑っていたのは確かだけれど。
「おじさん、誰?」
「
「サンタさん?」
「はははは。そうだね。僕は君のサンタさんさ。」
「サンタさん、ぼくね、個性が欲しいよ。」
「いいとも。君にステキな個性をあげよう。」
そして、僕は個性持ちになった。
母の個性、引き寄せ。
父の個性、火を吹く。
その2つから生まれた混合変質個性。
教室で、先生が叫んでいる。
「今から進路希望のプリント配るが みな!だいたいヒーロー科志望だよね!」
あーあー、みんなハーイって言いながら、個性使ってるよ。しょうがないなー。
まぁ、
ほとんどの生徒が、レベルのそれなりに高い高校のヒーロー科を志望するもんな。テンションも高くなるか。
「せんせぇーっ!いっしょくたにすんなよ!」
かっちゃん。机の上に足を乗せるのやめなよ。
「
あがるブーイング。
「いいかっ!
あ、静まった。
「あのオールマイトをも超えたトップヒーロー事務所を設立し!必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!」
先生が深く頷く。
「なるほど、緑谷も雄英のヒーロー科志望だったな。」
僕はノートを閉じて、先生と視線を合わせて答える。
「経営科と併願ですけどね。」
クラスメイトがまた騒ぎ出す。
「爆豪!将来設計を緑谷丸投げかぁっ?」
「いいなー私も緑谷君のアドバイスずっと受けたーい!」
「緑谷ぁ!サイドキックで俺も将来雇ってくれぇ!」
かっちゃんがガーッと吠える。
「うるせぇっ!イズクと並べるのは俺だけだっ!」
イズク……出久、か。
昔はデクって、木偶の坊のデクって呼んでたよね、かっちゃん。
そうだね。
僕と並べるのは君だけだ。
でも、雄英ならどうだろう?
君より火が点きやすくて、爆発力のある生徒がいたら、いつまで僕の側にいられるかわからないよ?
まぁ、僕は一人では無力だ。
たくさんの、たくさんの個性を僕の為に、僕一人の為に使ってよ。
未来に待つ級友たち。
デクくんこわー。