いつか、すべてを燃やし尽くす日まで   作:炬燵猫鍋氏

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自分の無力さを忘れたことなんて、一日も無い。


自分の無力に悔やんだ日々の数は、思い出したくも無い。






ヴィランによる犯罪発生件数、毎日チェックとかしない?

被服控除はかなり悩んだ。

雄英に提出する個性届と身体情報。

それに基づいて作成してくれるコスチューム。

 

僕の個性は()()()()支援型だ。

その個性を生かして戦うという前提ではないのだが、それでも単騎で戦う状況は想定するべきだろう。

実技試験で準備した装備を原型とした、個性使用の為の要望を添えることとした。

デザインはオールマイトの銀時代(シルバーエイジ)を参考にした。

 

かっちゃんは自分でヴィジョンを持っていたので、少しばかりの助言にとどめた。

ノーリスクで最大火力を求めるあたりが何とも彼らしい。

 

 

さて、入学式までに色々とやっておきたい事は有るのだけれど。

今日はチーム緑谷(仮)の紅一点、麗日お茶子さんの為の家具選びに付き合うこととなっている。

 

というのも、麗日さんは親元を離れての独り暮らしで雄英に通うとのことで、実家で使っていた小物類や衣服は持ってきたけれど、家具類は送料を考えて、安価なものがあればこちらで購入を検討したいと言うのだ。

 

合格報告をした時にそういった話が出て、僕がリサイクルショップや格安店を案内すると申し出たのだ。

 

ちなみに、今はクッションやタオル類を寝具代わりにしているらしい。

健康の為にも早々に改善を図るべきだろう。

 

かっちゃんも誘おうかと思ったが、今回のミッションは麗日さんの個性について詳しく話を聞いたり、彼女の好感度を更に高めておくのが目的だ。

つまり、一緒にいてかっちゃんより麗日さんと話す方が自然と多くなる。

 

うん、かっちゃんの機嫌が微妙に悪くなる未来しか見えない。

 

小学校ではそんな事は無かったのだが、中学に入ってからは僕が女子と話すのを嫌がる素振りが見えるのだ。

自然とできる男女の壁的なアレだとは思うのだが、チーム緑谷(仮)の重要なメンバーである麗日さんとのコミュニケーションに支障をきたすのは御免こうむりたい。

 

麗日さんとかっちゃんを交えた円滑な人間関係の構築。

その為にも、麗日さんの情報収集を的確に早急に行う必要があるわけだ。

 

待ち合わせは、県内最多店舗数を誇る木椰子区ショッピングモール。

六本腕のあなたにも、六本足なあなたにも、きっと見つかるオンリーワン!

が、今月のキャッチコピーだったかな?

異形型の人も服や靴が揃えられるのが売りなのだが、今日の買い物はここじゃない。

 

このすぐ側に、リサイクルショップや型落ち品とか展示品を格安で扱う店が立ち並ぶ商店街が有るんだ。

ベッドや机を揃えたいとの麗日さんの要望にリーズナブルに対応できる店舗が複数ある。

 

と、いうわけで……。

 

「イズクくん!おまたせぇ。」

 

おぉ、何か山ガールっぽいぞ!?

ん?なら、かっちゃんとそれなりに合うのかな?

 

麗日さん、おはよう。

じゃあ、早速いこうか?

 

「お、イズクくんの格好は!」

 

はは。うん、オールマイトの公式グッズ。

銀時代(シルバーエイジ)ver.のパーカーだよ。

 

ファンかって?ヒーロー目指しててオールマイトのファンじゃ無い人の方が少なくない?

んー、昔は憧れを拗らせてた、かなぁ。

今は目標さ。

だから、この格好は、その事を常に忘れない為の覚悟みたいな感じだよ。

まぁ知識でそこらの半端マニアに負けるつもりも無いけどね。

 

 

うん。こっちこっち。

結構な穴場的ショップがあってね。

 

……っ!

 

()()()は、路地を抜けようとした僕たちの前に降り立った。

薄汚れた作業服。短く刈り込んだ髪。

紫色の瞳。

そして、手にしたボストンバッグからはみ出した、札束。

 

強盗犯(ヴィラン)、か!?

 

「麗日さん、下がって!通報!」

 

とにかく彼女の安全!

後は警告して、催涙スプレーを……っ!

 

「悪いな。ちよっとだけおとなしくしててくれよ。」

 

男の目が光を放った。

 

しまっ……!

 

 

 

『無個性の癖に、ヒーロー気取りか、デク!!』

 

なんだ、これ。

 

『諦めた方がいいね。出久くんには関節が二つ有る。』

 

なんで、こんな。

 

『この世代じゃ珍しい……何の個性も宿ってない型だよ。』

 

こんな、昔の。

 

『ごめんねぇ出久ごめんね…!!』

 

違うよ、母さん。僕には、個性が、有るんだ、から。

 

くそっ。精神、に、干渉、する、個性、か。

 

 

「お父ちゃん、お母ちゃん、うち、うち……。」

 

麗日さん、も。

ダメだ。これ、以上、考えちゃ、ダメ、だ。

 

「悪いな。NIGHTMARE-EYEの効果は5分。そのまま悪夢を見ていてくれよ。」

 

くそ、体が、動かない。ダメだダメだダメだダメだ。

 

『来世は個性が宿ると信じて……屋上からのワンチャンダイブ!!!』

 

知ら、ない。かっちゃん、は、爆豪、勝己は、こんな、こと、言って、ない。

これは、ただの、妄想、だ。

 

『夢を見るのは悪い事じゃない。だが…相応に現実も見なくてはな、少年。』

 

誰、だよ、あんた。ガリガリ。これが、悪夢、なんだよ。

 

『赤谷海雲。君は無個性だというのに……』

 

僕は、緑、谷、出久、だ……。

 

「人の相方にぃ!何してくれとんじゃあっ!」

 

 

かっ……ちゃん!?

 

僕の肩をポンッと叩き、今まさに脇を通り過ぎようとしていたヴィラン。

 

その頭を思い切り横から殴りとばしたのは、かっちゃんだった。

 

「ぐはっ!!」

 

倒れ込むヴィラン。

……よしっ!!頭が晴れた!

 

「かっちゃん!タイプ瞳術(ゲイザー)!対応はS!」

 

叫んでバックダッシュ!麗日さんを抱えて距離を取る!

 

起き上がるヴィランがその個性を発現させるより早く、海浜公園でのトレーニングで開発した技の一つ、閃光・轟音特化が炸裂した。

 

倒れてのたうち回るヴィラン。

よし、これで通報から現着までは大丈夫かな。

 

あ、かっちゃん!それ以上は過剰防衛(いけない)

 

「あの、イズクくん、また、お姫様抱っこ……。」

 

あ、ごめんね麗日さん。

大丈夫だった? 今おろすね。

 

 

 

その後、警察とヒーローが到着し、僕たちは後日あらためて詳細を話すこととなった。

もしかしたら、かっちゃんはお小言を受けるかもしれないけれど、個性による直接的な攻撃は止めたから大丈夫だと思う。

 

麗日さんの買い物は後日として、僕たちは帰宅することにした。

 

かっちゃんが助けてくれたのは、本当に偶然見かけたからとのことだ。

ショッピングモールに新しい登山靴を買いに来ていたらしい。

麗日さんが、コンビの絆がどーのこーのと言って、かっちゃんの機嫌も悪くなさそうだ。

 

これなら、まあ、いいかな。

 

「しっかしよぉ、イズクぅ?」

 

ん?どうしたのかっちゃん。

 

「すっげぇ久しぶりに見た気がするわ。」

 

 

 

……っ!やめてよ。やめてよ。やめてよ。やめてよ。

やめてよ、かっちゃん。

言わないでよ、かっちゃん。

 

 

 

「お前が、助けを求める顔してたの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……本当に、悪夢のような、一日だった。




ヴィランの個性のタイプや爆破の応用は、短いワードで指示できるように取り決めています。

目を使うタイプ:ゲイザー、口から吐くタイプ:ブレスなど。
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