誰かを本当に救いたいの?
「多古場海浜公園でトレーニング?」
そうだよ、かっちゃん。
あそこは漂流物と不法投棄で、一部沿岸がゴミの山になってる。
ゴミの撤去をすることで、僕と君の筋トレになるうえに、かっちゃんの個性〝爆破〟を使っても近所迷惑にならない。
万一通報されても、ボランティアで清掃してましたって正直に言えばお咎めは無し。
「はー、悪くねぇな。さすがイズクだぜ。」
それにね、かっちゃん。
かっちゃんがプロになって、マスコミの取材を受ける時に言うのさ。
ここが自分の出発点ですっ、て。
だから、記録映像は撮っておこう。
誰の称賛も求めずに、二人の少年が黙々とトレーニングとボランティアに励む感動の記録を、ね。
「か~っ!やっぱりおまえは最高の相棒だぜ!だよな!学生時代から逸話を残すもんな、一流は!」
あぁ、知っているだろう?
君にだけ見せた〝将来の為のヒーロー分析ノート〟。
あれに書き留めたのは、個性や運用だけじゃない。
メディア対応や、副業の種類、過去の履歴までバッチリだ。
だから、今から準備するのさ。
未来の僕たちにふさわしい過去を。
かっちゃんは納得してくれた。
彼の思考はシンプルだ。
誰よりも強いヒーローになって、人気と栄光、それに付随する収入でトップに立つ。
その為に必要なアドバイスをしてきたし、よその暴れん坊とのケンカだって、年上だろうが人数が多かろうが、僕の指示と、
悪名もなるべく良い方向になるようにコントロールしてきた。
あぁ、できる限り、クラスメイトへのアドバイスと、
士傑や雄英程ではないが、英傑レベルを受験する人もいるのだから。
将来の彼らから感謝と協力を取り付ける為に、投資をしておくのは悪くない。
あくまでも本命は爆豪勝己と、雄英で出会う仲間だけれど。
海浜公園の清掃は悪くなかった。
全身の筋トレになったし、かっちゃんの個性のレベルアップにも最適だった。
広域爆破、集中爆破、轟音強化、閃光強化、荷物を抱えてのジャンプ、短距離飛行。
対ヴィラン戦闘、災害救助での瓦礫撤去や被災者救出。
様々な局面に対応する応用技が開発できた。
僕も、防犯グッズとその改造品を使った戦闘訓練もそこそこにできたし。
ヴィランというほどでは無かったが、チンピラがからんで来たことは何度かあった。
うん、かっちゃんが出るほどのこともない、雑魚だったけど。
通販の催涙スプレーと、ワイヤー分銅で僕があっさり撃退できるようじゃね。
はぁ、魂を燃やすものがないから、ヒーローどころかヴィランにすらなれないんだよ。
こういうのを燃えないゴミっていうんだよね。
ん?かっちゃん?
何、今のツボだった?そんなにおかしい?
受験日1ヶ月前には、見渡す限りのゴミの山だった海浜公園は、綺麗な昔日の姿を取り戻していた。
「やったなイズク!!」
そうだねかっちゃん。
ほら見てよ、毎日撮ってた映像のスタート時。
9ヶ月前だよ、これ。
「かぁーっ!俺らの偉業がばっちりだな!」
あぁ、そうさ。それに、僕たちの体つきもかなり鍛えられてるのがわかるね。
かっちゃん。 君の身体能力、個性の性能もかなりレベルアップしている。
だから、ヒーロー科の入試、一位合格を取るんだ。
「爆豪勝己。君ならできる。僕が、この緑谷出久が保証するよ。」
かっちゃんの瞳に焔がともる。
その身が熱く燃え、闘志が目に見えるかのようだ。
「まかせろイズクぅっ!!!俺と、お前の!伝説の始まりだーっ!!!」
空に向かって放たれた号砲。
うん、いい映像が最後に撮れた。
かっちゃん、君の爆発はやっぱりいいね。
全てを吹き飛ばし、焼き尽くすかのような雄々しさ。
そして、自身をも焼くのではないかと思わせる危うさがある。
君に、とてもふさわしい。
緑谷君へのクラスメイトの過剰接近は、かっちゃんが防ぎ止めます。
特に女子。