それが、ガラス細工のように脆くとも、君は抱きしめるの?
ジャージの下に衝撃吸収性の高いラバーアンダーウェアを。
拳には内部に同質のラバー、外に超硬合金製のナックルガードを仕込んだ手袋。
カーボンと特殊繊維で編み込まれたワイヤー。
改造した高電圧スタンバトン。
後は……夜間・望遠などのモード切り替えつきのゴーグル内蔵の防護キャップ。
ま、こんなものかな。
『雄英の実技試験に御社の製品を使用して挑みたく。
使用後のレポートを提出させていただきます。』
この文言で、サポート会社から割安で各種装備が購入できた。
……使わなかった時は丁寧にお詫び文を書かないとな。
催涙スプレーやスタングレネードなどの装備はナップザックに入れておく。
試験内容によって、持ち込むか置いていくか決めよう。
実技試験当日。
かっちゃんといっしょに到着した試験会場は、受験生たちの放つ緊張感と熱気に包まれていた。
いいな、この感じ。
あ、かっちゃん、緊張してる?
「してねぇし!」
……してるなぁ。あ、足元、危ないよ?
「うおっ?!」
かっちゃん、浮いてる!?
「わたしの〝個性〟ごめんね勝手に。でも転んじゃったら縁起悪いもんね。」
無重量状態にする個性?
ちょっとぽっちゃりした女の子が微笑む。
あ、かっちゃん機嫌悪そう。
フォローしとくか。
かっちゃんが何か言い出す前に、彼女の方へ、と。
「ありがとう、僕は緑谷出久。彼は爆豪勝己。助かったよ。」
「麗日お茶子です、緊張するよねぇ。」
なんかあったかい感じの子だな。
でも、芯に強い何かが有る、な。
うん、悪くない。
「お互い、がんばろう!」
「じゃあ!」
ん?かっちゃん、どうしたの?
「いいかイズクぅ!俺は、あんな女に助けてもらわんでも転んでねぇからなっ!」
あぁ……うん。そうだね。
「今日は俺のライヴにようこそー!!!」
プレゼンテーションはボイスヒーローのプレゼント・マイクか。
テンション高いな。うん、悪くない。
雄英の講師はみなプロのヒーローだからなぁ。
10分間の『模擬市街地演習』か。
持ち込みは自由なのはいいとして……指定の演習会場がかっちゃんと別だな。
「ダチどうしの連携封じってことか。」
「受験番号連番なのにね。」
「ちっ、イズクに見せらんねぇじゃねぇか。」
仮想ヴィランを三種配置、ね。
アンチヒーローな行為は厳禁。
プリントには四種類目が載っているけど、0ポイントか。
ふーん。
ん?メガネ君が質問か。
誤載とか痴態とか……もう少し落ち着きなよ。
プレゼント・マイクの説明、途中だよ?
「ついでにそこの縮毛の君!」
ん?僕?
「先程からボソボソと……気が散る!物見遊山のつもりなら、即刻ここから去りたまえ!」
ははっ。いーね、いーね。
余裕が無いのかな、やっぱり。ピリピリしてさ。
でも、その
だから、かっちゃん。おちついてよ。
「うるさくしたなら謝罪するよ。うん、緊張していたからね。……
「……っ!すまなかった!プレゼント・マイク先生も申し訳ありません!決してその様な意図があった訳でなく!」
ちょっと言い過ぎたかな。
でも、かっちゃんが落ち着いたからよしとしよう。
プレゼント・マイクの説明ではお邪魔虫、と。
ふーん。
そーかなー。
しかし、この四体って、あれか。
1ポイント:ヴィクトリー
2ポイント:ヴェネター
3ポイント:インペリアル
0ポイント:エグゼキューター
雄英と提携していたり、援助している企業体を調べていた時に引っ掛かったガードロボットや軍事用ロボットがベースだな。
ふん、ガトリングやロケットランチャーは模擬弾としても……。
僕の腕力と装備ではエグゼキューターはどうにもならないな。
軽量化とコスト軽減、そして受験生に対しての一定の配慮が為されていると考えれば、強度は……。
かっちゃん、1~3ポイントは片手、6割の出力で充分だよ。
数をこなす事を考えて、7分。余力を残しておいて。
おそらく残り3分ぐらいで0ポイントが暴れだす。
そうしたら、そうだね、高い建物が有れば屋上から、0ポイントの頭部に向けて、集中型の全力を叩き込めば破壊できる。
もし近くに使える建物が無ければ……
「はっ!イズクの読みがバトルで外れた事一度もねぇからなっ!まかせろっ!!」
あとね、これが重要なんだけど、0ポイントを倒す時には、たぶん他の受験者が逃げている。
そこでは『どけっ!』とか『邪魔だッ』とか言わないで、
『俺にまかせろ!』とか『さっさと逃げろ!』とかそんな感じで向かって行って欲しいんだ。
で、できれば、転んだ受験生とかいたら、手を貸してあげるくらいは頼めないかな。
「なんでンな事しなきゃなんねぇんだ?」
簡単に言えば、将来的に使える映像と音声の為かな。
実技試験一位合格の雄姿を、将来的に雄英から提出してもらって、宣伝に使うのさ。
「伝説の2ページ目か。よし!わかったぜ、イズク!!」
うん。これでいいかな。おそらく存在する裏ポイントについて意識させ過ぎると、肝心の撃破ポイントが減りそうだし。
さて、そろそろ行かないと。
「かっちゃん……いや、爆豪勝己。君は強い。とてもとても強い。
「あぁっ!」
「
体が、かぁーっと熱くなり、叫んだ直後に冷めていく。
「そうだ!お前の信じる俺は!
よし、
これが僕の個性。
僕の周りの人を巻き込み、引き寄せ、その魂に火を点ける。
個性:
テンションが上がり、心身のスペックが上昇する。
僕のこの個性と、かっちゃんはとても相性がいい。
爆豪勝己は身も心も熱くなりやすいからね。
……きっと、燃え尽きるのも早いだろうな。
でも、本望なんじゃないかな。
僕が最初から
さてさて、僕も頑張らないと。
友情?
あるよもちろん。
ちゃんと、与えているよ?