いつか、すべてを燃やし尽くす日まで   作:炬燵猫鍋氏

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皆の眼差しが眩しくて、皆の笑顔が目映くて、僕はいつものように笑顔を浮かべる。

親友の獰猛な笑顔なら、何の罪悪感も有りはしないのに。




みんな、早く食べなよ。……冷めちゃうよ?

僕が個性に目覚めたのは、4才の冬だったかな。

父さんの個性は火を吹く。

母さんの個性は物を引き付ける。

 

でも、僕の個性は全く違った。

 

灼熱の煽動(ヒート・アジテート)。それが、僕の個性の名前。

 

人の心を引きつけ、その心に、魂に火を灯す。

そうして熱を帯びた魂は、心身に力を与える。

 

ほら、今日は気分がいいとか、凄くやる気が出るとか、そういう時って有るよね?

僕の個性を受けた者は、コンディションが目に見えるほど上がるんだ。

 

母さんが元気になる。

近所のおじさんが元気になる。

……近所のいじめっ子とケンカをしていたかっちゃんを応援したら、かっちゃんがメチャクチャ勢いづいた。

 

そんな事から、僕はこの個性に気がついたんだ。

ちなみに、使うとお腹が減る。

どうやら自分の熱量(カロリー)を消費しているみたいでね。

 

あ、カツバーガー、さくさくで美味しいや。

 

「そうか、あの時感じた高揚感は……。」

 

飯田くん、クワッ!って感じだったね。

 

で、これはどうにも自分に使う個性じゃないと理解してね。サポートする個性ならばって割りきって、知識を蓄える方向に力を入れ始めたんだ

ちなみに、一番の得意分野はヒーロー・ヴィランの情報と、過去に存在した個性の知識に基づく、他者の個性分析、だよ。

 

「そうか。初対面の我らに対して有効なる指揮をとれたのも、かく培った土台ありきなのだな、軍師よ。」

 

……本当にしゃべり方が面白いな常闇くん。

 

そして、その過程でかっちゃんの信頼を得た僕は、こう考えるようになった。

 

かっちゃん……爆豪勝己の個性も性格も、僕の個性と相性がいい。そして、長い付き合いから、的確なアドバイスが出来る。そもそも彼はありとあらゆる分野に天性のセンスが光る。僕が支えることで、彼はどこまでも高く昇っていけるんじゃないか、とね。

 

「で、俺とイズクはコンビを組んだ訳だ。俺とイズクが組めば、オールマイトをも超えるヒーローになれるはずだっ!いや、俺はなる!」

 

「ほぇー。イズクくん、バクゴーくん、すごいねー。」

 

あ、麗日さんの頬っぺたに米粒付いてる。

……少し黙っておこう。

 

容易な道でないことは百も承知しているよ。でも、望みは高く持とうと二人で決めたんだ。()()にたどり着くまでは全てが通過点。ならば傲ることなく、向上心を持ち続けようってね。

 

 

 

 

そう。()()()()()()()()()()()。たどり着いてみせる。

一番の高みで燃やす灯火ならば、地の果てまでも見えるだろう。

一番の高みで叫ぶ檄ならば、地の果てまでも届くだろう。

 

 

 

 

で、さっきの常闇くんの質問に対する答えなんだけどね、かっちゃんのヒーローとしての旨味は単独戦闘なんだよね。

 

「……この試験で、まずそれを試してみたのか。畏れ入る。雄英の入学試験を自分達の試しの場とするとは。」

 

 

 

ふむ。頭も切れるな、常闇くん。僕の言わんとする事を理解してくれたよ。相当使えるな、彼。

影の個性のリスク、絶対何か有るはずだからそこが気になるけど……。

 

 

 

高速機動、広範囲爆破、集中単体爆破……。うん、詳しい話をかっちゃんに聞いてみないと断言はできないけど、今日という日に備えて鍛えたんだ。この実技試験、かっちゃんは、爆豪勝己は一位を獲っているはずさ。

0ポイント仮想ヴィラン、エグゼキューターをかっちゃんに倒してもらったのは、常闇くんが言った通り、最大戦闘力を僕達が確認しただけにすぎないんだ。

 

「……すげぇ。すげぇよお前ら!熱い友情とクールな判断ってヤツか!?かっけーなぁ!!」

 

 

 

切島くん、ホントに熱いなぁ。シンプルな個性だけど、それゆえに伸ばせばどこまでも強くなるよね。

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

で、だ。卒業後にどこかの事務所にサイドキックで入って、経験を積むというのは確かに悪くない。いや、普通はそうするべきなんだろう。ただ、それだと時間がかかる。そのヒーローが、爆豪勝己を理解して、使いこなすのに時間がかかる。かっちゃんを一番理解しているのは僕だ。例えプロのヒーローだからって、彼を使い損ね、得られるリターンをみすみす減らすなんて我慢がならない!

 

「俺とイズクの見ている道は最短距離だ。荒れ野だろうと爆走する。壁が有るならブッ飛ばす!!」

 

 

 

……いけない。少し熱くなっちゃったかな。

いや、熱くなるのはいいんだ。でも、思考はクールにいかなくちゃね。

 

 

 

僕たちのプランはね、事務所を立ち上げた場所の近隣に有るヒーロー事務所、そう、なるべく多くと提携を結んで、ヴィラン制圧の助っ人として協力するように立ち回ることさ。助っ人でいい。ただし、事件解決後の自治体や警察への提出書類には、必ずかっちゃんのヒーローネームを協力者として明記してもらう。マスコミの取材にも、ね。……サイドキックじゃない。対等の関係なんだから当然だよね。

 

かっちゃんほどの戦闘力が無くて、ヴィラン制圧で他のヒーローに功績を獲られているヒーローを提携相手にしたいね。

 

収入より、まずは公文書に残る実績と、人々の目と耳に存在を焼き付けることを選ぶ。ちなみに、副次プランとして、商店街や企業と直接契約し、警察や自治体からの要請の手順を踏むことなく有事に駆けつけられるようにする事も考えているよ。もっともこれはリスクが大きいから、実現性は低めになりそうだけどね。

 

あと、副業としてはね、サポート会社の開発テストに参加できないかなって考えているんだ。

かっちゃんの個性を耐久テストに生かしてもらおうかなって。

 

「君は……入学前からそこまで考えているのか。」

 

飯田くん?だからこんなのは獲らぬ狸のなんとやらだってば。

実際はそんなに簡単じゃないはずさ。

 

で、ね。

このプランは僕が経営科に入学……ヒーロー科に落ちてもいいように考えたものなんだ。

 

「そう、それだよイズクくん!どうして落ちるかもって。」

 

あの試験で僕が倒した仮想ヴィランのポイントは20にも満たない。

おそらく……飯田くんや常闇くんの半分にも達していないだろうね。

ただ、ここから先は推測にすぎないのだけれど、本当にこの試験で評価するのはそれだけなのかな?

 

「む……何か別の()()が有ると考えたのか、緑谷くん!」

 

そうだよ飯田くん。人助けを、フォローをした受験生に与えられるポイントが有るんじゃないか。そう考えている。

 

「だったら緑谷ぁ!お前だって充分だろ!」

 

そこが問題なんだ、切島くん。

果たして僕の個性、僕の煽動、僕の指揮を雄英サイドがどう判断するか?

ヒーローを統率する、ヒーローに相応しい個性として、皆でエグゼキューターを撃破した点をポイントとして評価するのか?

雄英のヒーローとして育てるにはふさわしくない個性としてヒーロー科の門戸を閉ざすのか?

……合否が見えない、半々かなって言ったのはそういう事だよ。

 

でも、筆記で落ちるつもりは欠片もないよ。

だから、最悪でも経営科で入学する。

ここにいる皆はきっとヒーロー科に合格しているはずさ。

たとえ科は違っても、同じ雄英の生徒には違いないよね?

 

うん。ぶっちゃけちゃうとね、最後の皆へのアピールタイムもさ、後々僕らのヒーロー事務所へのコネになったらいいなーっていう下心丸出しさ。

 

でも、君たちとの縁は特別だと勝手に僕は思っている。

 

 

たぐいまれなる機動性を持つ飯田くん。

 

自在変幻な影を操る攻守に優れた常闇くん。

 

シンプルな硬化という個性がとても頼もしい切島くん。

 

そして、エグゼキューター攻略の為にあの場で考えた戦術、その全てのパターンで最も重要な役割を担っていた無重力使い、麗日さん。

あぁ、そうだよ。

君が一番の要だっていったよね。

機動性と攻撃力。

最大限に引き出せる個性は、麗日さんの個性だったんだ。

あ、頬っぺたにご飯粒付いてるよ?

取ったげるね。

 

「あ、ちょ、イズクくん、その……。」

 

 

今日、君達と出会い、力を借りて成果をあげる事ができたのは、その、えっと、言うよ。

 

運命の出会いかなって、うん、そんな風に感じるんだ。

 

僕の一方的な思い込みかもしれない。

でも、今日という日はきっと、僕の特別な日で有り続ける。そんな気がしてならないよ。

 

僕とかっちゃんの進む道、もし君達と重なることがあれば力をこれからも貸してほしい。

 

「おぉ、お前らぁ。イズクがここまで買ってんだ、俺も認めてやるぜ、雑魚でもモブでも無いってな。

だから……考えとけやぁっ!」

 

……これで正常運転だからね。

 

 

 

 

 

 

皆が笑って頷いてくれた。

いい日だ。

今日は本当にいい日だ。

アドレスを交換して、お別れしよう。

 

 

僕も心から笑えているでしょうか。

サンタさん。

 

あの日の貴方のように笑えているかな

 

もしも、僕の生きざまを一つの物語とするのなら、

貴方に会ったあの日が原点(オリジン)

 

これは僕が最高のヒーローになるという夢から覚めた後の現実(ものがたり )だ。

 




きっと普段より早口で話していたと思われます。

かっちゃんは終始ドヤ顔。
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